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2019年1月6日日曜日

武漢の麻雀(省略なし版)

中国各地のローカルルールの中でも個人的に気に入っている武漢の麻雀です.以前に書いたルール紹介は,なぜか他のローカルルールに比べ閲覧数が極端に少ないので,バリエーションの紹介を控え気味にし,また基本的な麻雀のルールを省略しないで書き下しました.メインで紹介するルールは,厳密にいえば「紅中發財頼子槓」です.

道具

136枚の麻雀牌(パイ,またははい).1から9の筒子(この語の中国音はトンヅだが日本語では餅子の中国音ピンヅで呼ばれる),1から9の策子(ソーヅ),1から9の萬子(ワンヅ)の3種類の数牌と東(トン)南(ナン)西(中国音はシーだが習慣的にシャーと呼ばれる)北(ペイ),中(チュン),發(はつ,中国音で呼ばれることはまれ),白(はく,たまに中国名のパイパンも使われる)の字牌からなり,すべての牌が4枚ずつある.
サイコロ2つ.
紙幣・硬貨(を模したもの)を1人あたりの事前に決めた分量(例500単位)×4.

席決め

任意の1人,例えば年長者ではない人が,東南西北を各1枚ずつ抜き取り,裏向きにしてよく混ぜる.この中から1人1枚ずつ好きな牌を取る.東を引いた人はサイコロ2つを振る.自分を1として反時計回りに2つの目の合計まで数えた位置の席に着席する(右隣りが2,向かいが3,左隣りが4,1巡して自分に戻ってきて5のように数える).他の3人は,反時計回りに東南西北の順になるように着席する.
電動卓では,東南西北を1枚ずつ集めるのが面倒なので,次の方法で東南西北を決めてもよい.全員が,自分の前の山から牌を1枚引き,引いた牌の数字が大きい順に東南西北とする.字牌は数牌より下で,上から順に東南西北中發白とする.数が同じなら上から順に筒,索,萬として種類を比べる.同じ牌を引いた人がいる場合,同じ牌を引いた人だけが,もう1枚自分の山から牌を引いて,同点だった人の間の順番を決める.

手の開始

4人で牌を伏せてよく混ぜたら,牌の山を築く. 各人が,机の縁に沿って横17枚の裏向きの牌の列を2列作る.2列の牌を中央に向けて押し出し,自分に近い列を遠い列の上に乗せる. 人によっては,右手側を左手側より前になるように斜めに押し出す.

親

最初の親は東の人が務める.それ以後は,親が4周して席替えし直すまでは,親が上がるか流局したら親を変えず,親以外の人が上がったら親の右隣りの人が次の親となる.

牌を配る(配牌)

親が2つのサイコロを振る.親を1として反時計回りに2つの目の合計まで数えた席の人が,自分の山を右端を1として右から左へ2つの出目のうち小さい方まで数え,最後に数えた位置と,その次の間に切れ目を作る.切れ目の時計回り側が山の先頭,反時計回り側が山の末尾になる.山はゲームの進行とは逆方向の時計回りに使うことに注意する.また,牌を1枚ずつ取るときは,先頭からでも末尾からでも,上の牌を下の牌より先に取る.親から順に山の先頭から2列4枚の牌を取ることを3回繰り返し,12枚の牌を取る.ついで,親から順に山の先頭から牌を1枚ずつとる.最後に親が山の先頭から1枚牌を取る(全員が1枚ずつ取るときにこの1枚を一緒に先にとる方が普通).
牌は,横1列に並べ,背を相手側に向けて縦向きに起こし,自分以外の人に見えないようにする.

頼子(ライツ)

牌を配り終えたら,山の先頭の牌を表向きにし,山の末尾の近くに全員に見えるようにのせる.この牌は頼子皮(ライツピー)という.頼子皮が筒子,策子,萬子なら,同じ種類で数が1つ大きい牌が頼子,9のときは1,字牌なら,東南西北中發白の順で次の牌,白のときは戻って東が頼子になる.中と發は頼子になれないので,頼子皮が北か中のときは,白が頼子になる.日本のドラのルールに慣れている人は,東南西北と中發白を分けないことと,中發白の順番が日本と逆なことに注意する.
頼子は,上がった手の中に限り,中發以外の何にでも化けられるワイルドカードである.

ゲームの目的

ゲームの目的は上がること.上がるには,カン以外でさらした牌と手の牌に以下のいずれかを加えて頭(あたま)と4メンツを作る.
  • ツモ順かカンの補充で山から引いた牌
  • 他人が捨てた牌
  • ポンにカンで足そうとした牌
ここで
  • 頭は同じ牌2枚
  • メンツは順子(シュンツ)か刻子(コーツ)のいずれか.なお4枚のカンは,ルール上3枚の刻子とカン1枚が一緒になったものとして扱う
  • 順子は同じ種類で数字が続きの牌3枚,例えば3索4索5索.9と1は続きでない
  • 刻子は同じ牌3枚,例えば北北北
例外的な上がり方や上がりの他の条件は,後で説明する.

進行

順番の行動

親から始めて,反時計回りに順番がくる.順番はツモ順ともいう.ツモ順には,手に14枚の牌がある親の最初のツモ順でない限り,山の先頭から1枚牌を引く(ツモ).この牌で上がれないか,上がりたくない場合,牌を手の中に入れ,手から不要な牌を1枚捨てる.捨て牌は,何を捨てたか全員に分かるように表向きに置いた後,誰がいつ何を捨てたか覚えていなければ分からないように,机の中央近くに乱雑に集められた中に押し出す.中,發,頼子を捨てたときは,机の中央でなく,自分がチー・ポン・カンした牌の置き場に移す.これは,捨てた中,發,頼子を点数計算でカンと同じように扱うからである.

チー

手の中の牌2枚と左隣りの人が捨てた牌で順子になる場合,チーと発声することで順子を作れる.チーを言ったら手の中の不要な牌を1枚捨て,手の中の牌2枚を表向きにして,左隣りの人が捨てた牌と合わせて3枚をさらす.牌をさらす場所は,手の左側,あるいは右側,あるいは手の背中側のうち使いやすい1個所を選び,一度選んだ場所は変えない.なお牌をさらすとき,誰からどの牌をもらったかは示さない.チーのあと,ツモ順はチーした人の右隣りに移る.チーした順子から牌を手に戻せない.チーした順子に牌を付け加えられない.チーした順子から牌を捨てられない.頼子入りのチーはできない.捨てられた頼子はチーできない.

ポン

手の中に中,發以外の同じ牌が2枚あり,他の3人の誰かがそれと同じ牌を捨てた場合,ポンと発声することで刻子を作れる.ポンを言ったら手の中の不要な牌を1枚捨て,手の中の牌2枚を表向きにして,捨てられた牌と合わせて3枚をさらす.なお牌をさらすとき,誰からどの牌をもらったかは示さない.ポンのあと,ツモ順はポンした人の右隣りに移る.ポンされた牌を捨てた人とポンした人の間の人のツモ順は飛ばされる.同じ捨て牌にチーとポンがあった場合,ポンが勝つ.ポンした刻子から牌を手に戻せない.ポンした刻子から牌を捨てられない.頼子入りのポンはできない.捨てられた頼子はポンできない.

カン

カン(槓)には4通りある.
(1)紅中槓(ホンチュンカン),發財槓(ファーツァイカン),頼子槓(ライツカン).自分の番に,手の中に中,發,頼子があれば(山から引いた牌でもそうでなくてもよい),カンと発声し,この1枚を表向きにさらす.
(2)暗槓(アンカン).自分の番に,手の中に中,發以外の同じ牌が4枚あるとき(うち1枚は山から引いた牌でもそうでなくてもよい),カンと発声し,この4枚を伏せてさらす.この4枚は手が終わったとき表にする.
(3)明槓(ミンカン)その1.手の中に中,發以外の同じ牌が3枚あり,他の3人の誰かがそれと同じ牌を捨てた場合,カンと発声し,手の中の牌3枚を表向きにし,捨てられた牌と合わせて4枚をさらす.なお牌をさらすとき,誰からどの牌をもらったかは示さない.
(4)明槓(ミンカン)その2.自分の番にポンでさらした牌と同じ牌が手にあるとき(普通は山から引いた牌だがそうでなくてもよい),カンと発声し,その牌をポンに加えてさらす.
(1)から(4)のどの場合も,カンをさらしたら,山の末尾から牌を1枚引いて手の枚数を戻してから,不要牌を1枚捨てる.カンのあと,ツモ順はカンした人の右隣りに移る.(3)のときカンされた牌を捨てた人とカンした人の間の人のツモ順は飛ばされる.同じ捨て牌にチーと(3)のカンがあった場合,カンが勝つ.カンから牌を手に戻せない.カンから牌を捨てられない.頼子入りの4枚カンはできない.捨てられた頼子はカンできない.

上がり

手の牌とチー・ポンした牌に,
  • ツモ順かカンの補充で山から引いた牌(ツモ上がりという)
  • 他人が捨てた牌(振り込みまたは放銃という)
  • ポンにカンで足そうとした牌(チャンカンという)
のどれかを加えると上がれる場合,上がりを意味する発声とともに,手の牌を倒して公開することで上がれる.ツモのときツモ牌は手に入れないで,手のそばに表向きにして置く.振り込み上がりは,チー・ポン・カンに勝つ.手の勝者は1人だけで,振り込みかチャンカンで同じ牌に対して2人以上が上がりを宣言した場合,上がり牌を捨てた人かカンを試みた人から一番ツモ順が近い人の上がりとなる.上がったら,支払いを行い,次の手を始める.なお,フリテンやそれに類する制限はないので,上がり牌を捨てていても見逃しても,ツモ順が来るか飛ばされるのを待たずに,振り込みでもチャンカンでも上がれる.
上がるには,次の条件をすべて満たさなければならない.
  • 中と發がない.中と發は,すべてカンするか捨てる
  • 1つ以上開口(チー,ポンまたは明槓)する.たとえツモ上がりでも,4メンツと頭が不要な風一色,将一色でも,開口なしに上がろうとしたら反則である
  • 風一色か将一色でなければ,手の牌,カン以外のさらした牌ともう1枚(待ちという)で頭(あたま)と4メンツを作る
  • 一部の役を除き頭は,2か5か8でなければならない.頭にこの制約がある場合,頼子2枚の頭は,頼子の額面が2か5か8でないと認められない.2か5か8と頼子の組は正当な頭である
  • 役がない場合,頼子が1枚か0枚.頼子を額面通りに使ってもこの制限からは逃れられない.頼子が2枚以上あり役がないなら,余分な頼子をカンするか捨てなけば上がれない
  • 誰からもらう点数も16点以上ある.これを16点しばりとも4番(ファン)しばりともいう.この4番は16点の同義語で,役があるときにも4番を要求するわけではない.

また頼子を使った上がり方には,次のような制限がある.
  • 刻子4つが完成していて残りが頼子1枚で頭を待つ場合のように任意の牌で上がれる手は,ツモ(カンの補充牌を含む)でしか上がれない
  • 捨てられた頼子では振り込み上がりできない.頼子入りのメンツを頼子でない捨て牌で完成させて上がることはできる

海底撈と流局

山は頼子皮と(頼子皮を含めないで数えて)10枚を使わずに残す.山の残りが14枚になったら海底撈(ハイティラオ)といい,全員が順番に1枚ずつ山から牌を引き,それで上がれなかったら牌を捨てない.最後の順番の人だけでなく,4人全員が海底撈になったら牌を捨てない.また海底撈になったらカンはできない.4人とも海底撈で上がれなかったら流局(荒荘,ファンチャン)である.流局では,点数の受け渡しはなく,親を変えずに次の手を始める.

上がりの支払い

包(パオ,責任払い)が成立しない限り,上がらなかった3人が,それぞれ,上がった人に支払う.払う額は,上がった人と自分の番数(ファンすう)を足した回数だけ役の点数を2倍した結果を10(1分という)または20(5厘という)で割って1の位へ四捨六入した結果である.例えば小胡の7番だと1分なら128÷10=12.8で13,5厘なら128÷20=6.4で6を払う.なお,ファンは日本では飜の字を当てるが,中国語では,旧字体を使う香港でも番と書く.
役の点数は
  • 小胡(シャオホー):1.役のない上がり
  • 大胡(ターホー):役1つにつき10
  • なお胡の字は正しくは和だが,和は普通にはホー(hu)と読めないので,胡や糊の字を当てることが圧倒的に多い.
役は,次の通り.
  • 風一色(フォンイーソー):カンを除くすべての牌が字牌.頭も4メンツも不要だが開口は必要.額面が字牌でない頼子があってよい.
  • 将一色(チャンイーソー):カンを除くすべての牌が2か5か8.頭も4メンツも不要だが開口は必要.額面が2,5,8でない頼子があってよい.
  • 清一色(チンイーソー):カンを除くすべての牌が1種類の数牌.頭は258でなくてよい.額面の種類が異なる頼子があってよい.
  • 碰碰胡(ポンポンホー):対対胡(トイトイホー)の俗称.4つのメンツがすべて刻子.頭は258でなくてよい.
  • 槓上開(カンシャンカイ):カンで山の末尾から引いた牌で,4メンツと258の頭の形で上がる.このとき対対胡などの役があれば,4メンツと258の頭でなくても上がれるが,槓上開の役は成立しない.
  • 海底撈(ハイティラオ):海底撈の牌で4メンツと258の頭の形で上がる.このとき対対胡などの役があれば,4メンツと258の頭でなくても上がれるが,海底撈の役は成立しない.
  • 搶槓(チャンカン):ポンに付け加えてカンしようとした牌で4メンツと258の頭の形で上がる.このとき対対胡などの役があれば,4メンツと258の頭でなくても上がれるが,搶槓の役は成立しない.
  • 全求人(チェンチウレン):4つのメンツをチーかポンし,258の頭の振り込みで上がる.このとき対対胡などの役があれば,258の頭でなくても上がれるが,全求人の役は成立しない.
番数は,払う人と上がった人の該当するものをすべて加える
(1)全員につく番
  • 開口:1番.ポン,チーしていたら,ポン・チーの数を問わず1番
  • 紅中槓,發財槓:1枚につき1番.捨てた中發にもカンと同様に番がつく
  • 明槓:1つにつき1番.搶槓されたカンは未成立なのでこの番はつかない
  • 頼子槓:1枚につき2番.捨てた頼子にもカンと同様に番がつく
  • 暗槓:1つにつき2番
  • 荘家(おや):親なら小胡では1番,大胡では0番
(2)上がられた人だけにつく番
  • 放冲(ふりこみ):振り込み上がりの上がり牌を捨てた人は,小胡では1番,大胡では半番(1.5倍)
(3)上がった人だけにつく番
  • 自摸(ツモ):ツモ上がりで上がった場合,小胡では1番,槓上開と海底撈では0番,他の大胡では半番(1.5倍)
  • 硬胡(インホー):1番.カン以外の頼子が1枚もないか額面通りに使った手.黑的(ヘイダ)ともいう
例1
A: 親,開口,發財槓1回
B: 放銃,開口
C: 開口,紅中槓1回,頼子槓1回
D: 上がり,小胡,硬胡,開口
とすると,
AからD
  1(小胡)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Aの親)x2(Aの開口)x2(Aの發財槓)=32
BからD
  1(小胡)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Bの放銃)x2(Bの開口)=16
CからD
  1(小胡)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Cの開口)x2(Cの紅中槓1つ)x4(Cの頼子槓1つ)=64

例2
A: 開口
B: 親,開口
C: 開口,發財槓1回,碰碰胡,槓上開,自摸
D: 開口,紅中槓2回
AからC
[10(碰碰胡)x1.5(自摸)+10(槓上開)x1(自摸)]x2(Cの開口)x2(Cの發財槓)x2(Aの開口)=200
BからC
[10(碰碰胡)x1.5(自摸)+10(槓上開)x1(自摸)]x2(Cの開口)x2(Cの發財槓)x1(大胡なので親の倍なし)x2(Bの開口)=200
DからC
[10(碰碰胡)x1.5(自摸)+10(槓上開)x1(自摸)]x2(Cの開口)x2(Cの發財槓)x2(Dの開口)x4(Dの紅中槓)=800→封頂400

封頂(フォンティン)

点数の上限を封頂という.封頂以上の点はすべて封頂になる.比較的よく使う封頂は400点である.封頂の点数は常に変わらないが,上がらなかった3人の点数や開口状態によって払う点は次のように変わる.
  • 金頂(チンティン):3人全員が封頂の場合.400点でなく500点を払う.風一色は無条件で金頂にする人がいる
  • 陽光頂(ヤンカンティン)または光明頂(カンミンティン):金頂のとき開口していない人.500点でなく600点を払う
  • 三陽開泰(サンヤンカイタイ):3人全員が陽光頂の場合.600点でなく800点(封頂の倍)を払う

包

次の人は,3人分の支払いを1人で肩代わりする.
  • 3開口以上ある清一色の3つ目の開口をポン・チーされた人
  • 搶槓された人
  • 聴牌(テンパイ)してないで全求人に振り込んだ人.聴牌は,振り込みかツモで上がれる手のこと.上がりの条件を満たさない手は聴牌でない.チャンカンか槓上開でないと上がれない手は聴牌でない.全求人が成立しなければ包にならないので,258の振込みに限られる

反則

大相公(ターシャンコン),小相公(シャオシャンコン).手の牌が多すぎ(大相公),少なすぎ(小相公)の人は,その手の間ゲームに参加し続けるが,上がれない.
自分のツモ順でないのにツモるか間違った場所の牌をツモった人は,その手の間ゲームに参加し続けるが,上がれない.
間違った上がり(チョンボ)は,上がろうとした手の点を逆方向に払う.

バリエーション

  • 七皮四頼(チーピースーライ):頼子皮とその1つ前の牌を中發のように扱い,中發は他の字牌と同様に扱う.例えば,頼子皮が5策なら45策,東なら白と東がカン専用牌になる.本文のルールよりカン専用牌が1枚少なくなるが,それほど大きな違いは感じられない.むしろ,使いづらい牌が頼子皮により変わることに慣れが必要である
  • 紅中頼子槓(ホンチュンライツカン):紅中發財頼子槓のもとのルール.中だけが槓牌で,發は他の字牌と同様に扱う.8点(3番)しばり,封頂300,金頂400,陽光頂500,三陽600
  • 口口番(コウコウファン):開口1つにつき1番を与える.それに対し,本文のように,開口したら,開口数を問わずに1番にするのは開口番(カイコウファン)という.32点(5番)しばり,封頂600,金頂800,陽光頂1000,三陽1200

2018年10月23日火曜日

ピケ(piquet)

16 世紀からある古いゲームです.山札交換と手役宣言で相手の手が読めることが多いので,カード勝負で得点するために手役の一部を隠す作戦があるなど,戦術的です.主な情報源は,古いフランスの文献をもとにしたルールを掲載している“忘れ去られたゲームのアカデミー (L’Académie des jeux oubliés)” (academiedesjeux.jeuxsoc.fr) です.ピケは,トランプゲームとしては極めて例外的に,大きなルールの相違がほとんどありませんが,変化の可能性を示すために,古いイギリスの文献を主にした David Parlett 氏の“Historic card games” (www.davidparlett.co.uk/histocs) のルール記述との違いを追記しました.

(2013.7.30) 複数の続き (セカンス) と組 (トロワ,カトルズ) を得点できる条件を,点数ではなく,宣言の強さに修正しました.
(2013.7.30) David Parlett 氏のルールとの違いを追記しました.
(2018.10.23) 「古いルール」が19世紀中ごろまでのルールであることを追記しました.手役の文章を書き直しました.
(2018.10.27) 手役の文章をさらに添削し,また 1 番手は点の手役を宣言しないことはできないので,2 番手のルピックの例を改めました.

人数とカード


2 人.4 つの印ごとに 8 枚の計 32 枚.強い順に 1(A),R(K),D(Q),V(J),10,9,8,7.切札はありません.ピケは400年間も流行したにもかかわらず両大戦間に急激に衰退し,20 世紀中頃には遊ぶ人がほとんどいなくなってしまいましたが,南欧以外のヨーロッパ大陸の国々では,このゲームから始まり,現代の国民的ゲームに至るまで 32 枚を使うものが多いので,普通に売られているトランプも 32 枚組が多いです.

目的


複数の手の合計点で,決められた点に先に到達することです.

順番決め


カット,または 1 枚引いて,低いカードを引いた方が,最初の配り手です.配り手の相手が 1 番手,配り手は,2 番手です.以後の手では,ゲームの終了まで,交互に配り手をつとめます.

カードを配る


配り手は,カードをよく切り,相手にカットさせてから,相手自分の順で交互に 2 枚または 3 枚ずつ,12 枚の手札を配り,残り 8 枚を山札 (タロン,talon) として 2 人の中央に 1 枚ずつずらして伏せて置きます.

絵札なし(カルト・ブランシュ,cartes blanches)


配られた直後の手札に 1 枚も絵札 (K,Q,J) がない場合,1 番手は自らの手札交換の前に,2 番手は 1 番手の手札交換の後,自らの手札交換の前に,絵札なしを宣言できます.このとき,手札をすばやく 1 枚ずつ表向きに重ねて置き,絵札がないことを相手に示します.絵札なしの点数は,10 点です.

手札交換


1 番手は,手札を少なくとも 1 枚,最大で 5 枚,枚数を言って捨て,同じ枚数の山札を上から順に取ります.手札を 5 枚交換しない場合,5 枚交換で手にできた山札をのぞき見できます.

2 番手は,1 番手の後に,手札を少なくとも 1 枚,最大で山札の残りだけ捨て,同じ枚数の山札を上から順に取ります.2 番手は,残りの山札をのぞき見できます.1 番手は,最初のカード勝負に出す手札の印を告げれば,残りの山札を公開できます.なお,イギリスの文献に基づく David Parlett 氏のルール記述は,2 番手が手札を 1 枚も捨てないことを認め,残りの山札を 1 人で見ることは認めず,見たければ 2 人が見えるように公開しなければならないとします.

捨てたカードは右の手元に伏せて置き,ゲームには使いません.David Parlett 氏は,逆に、自分が捨てたカードはいつでも見てよいとします.

1 番手に絵札がないとき,2 番手が 1 番手の手札を見て手札を交換できないように,絵札なしの宣言,および手札交換を次の手順で行います.(1) 1 番手は,絵札なしを宣言するとともに,交換する手札の枚数を 2 番手に告げる.(2) 2 番手は手札交換で交換する手札を捨てる.(3) 1 番手は手札をすばやく 1 枚ずつ表向きに積み,絵札がないことを示す.(4) 1 番手は告げた枚数の手札を捨て,同じ枚数の山札を取る.(5) 2 番手は,自分が捨てた枚数の山札を取る.David Parlett 氏は,この複雑な手順に言及していません.

手役の宣言


1 番手は,点 (ポアン,point),続き (セカンス,séquence),組 (トロワとカトルズ,trois et quatorze) の順に手役を宣言します.宣言の手順は,次の通りです.

1 番手は,手役を宣言します.

2 番手は,1 番手の宣言に勝てる手役があれば宣言を拒み,なければ宣言を認めます.同じ手役があれば同点とします.宣言を認める,拒む,同点とするための言葉は,互いに理解できるなら,何でも構いません.いい/だめ/あいこ,OK/NG/同じなどでもいいでしょう.フランス語では,"C’est bon(セボン)","mieux(ミユ,[自分の方が]もっと良いの意)","égal(エガル)"です.

1 番手は,最強の手役を宣言しなくても,続きと組は手役を隠しても構いません.2 番手も,最強の手役と比べなくても,手役を隠しても構いません.

1 番手は,2 番手が認めた手役の点を得ます.2 番手は,拒んだ手役と 1 番手が宣言しなかった手役を,1 番手が最初に手札を出した後,自分が最初の手札を出す前に,申告して得ます.続き (セカンス) 役の宣言が認められた 1 番手と,続き役の宣言がなかったか拒んだ場合の 2 番手は,宣言に勝った続き役に勝てない続き役が手にあれば,その点も得点できます.宣言・拒否に使わなかった続き役は得点しなくても構いません.組役も,同様に,宣言に勝った組役に勝てない組役はすべて得点できます.どの手役も,最後まで同点なら,2 人とも点を得られません.なお,David Parlett 氏のルール記述は,宣言で勝ったもの以外の続き役と組役の得点に役の強弱の制約がありません.

点の役と続き役のカードは,得点するときに相手に見せます.組役は,普通は,公開しないでも分かるので,公開の義務がありませんが,相手が要求したら,得点したカードを見せなければなりません.

手役 1:点 (ポアン, point)


現代のルールでは,枚数が多い印のカードの枚数を宣言します.同点なら,A=11点,K,Q,J=10点,それ以外=額面として換算した点数の合計を宣言します.宣言/申告した印の枚数が得点になります.古いルール(19世紀中ごろまで)では,はじめから点数を宣言し,点数の 1 の桁を四捨五入し 10 で割った値を得点します.ポアンは,17 世紀前半までは,ロンフル (ronfle) と呼ばれました.

手役 2:続き (セカンス, séquence)


同じ印で強さ順に 3 枚以上続いているカード (例:スペードのA,K,Q,J) の枚数とその中で最強のカードをまとめて宣言します.そのようなカードがないときまたは公表したくないときは,続き役がないと宣言します.David Parlett 氏のルールでは,枚数を宣言して,同点なら最強のカードの強さを宣言します.印は比較しません.1 つあたりの得点は,3 枚続き (ティエルス,tierce) が 3 点,4 枚続き (カトリエーム,quatrième) が 4 点,5 枚続き (カント,quinte) が 15 点,6 枚続き (セジエーム,seizième) が 16 点,7 枚続き (ディス・セティエーム,dix-septième) が 17 点,8 枚続き (ディズ・ウィティエーム,dix-huitième) が 18 点です.

手役 3:組 (トロワとカトルズ, trois et quatorze)


A,K,Q,J,10 のどれかが 3 枚以上あるとき,強さ (A,K など) と枚数 (3 または 4) を宣言します.9 以下の組は,この役になりません.組がないときまたは公表したくないときは,何も言わずにカード勝負に移ります.David Parker 氏のルールでは,枚数を宣言して,同点なら強さを比較します.1 組あたりの得点は,3 枚組 (トロワ) が 3 点,4 枚組 (カトルズ) が 14 点です.

カード勝負


12 枚の手札で 12 回のカード勝負を行います.1 回目は 1 番手,2 回目以降は,直前の回の勝者が先手になります.先手は,手札から好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.後手は,先手と同じ印の手札があればそれを,なければ好きな手札を 1 枚出します.先手と同じ印で強いカードを出した方が,その回に勝ちます.勝った人は,2 枚のカードを取り,重ねて伏せ,手元におきます.カードを置くとき,勝ち数がわかりやすいように,直前が縦向きなら横,横向きなら縦にして,十字型を作ります.参考にしたルール記述は,直前のカード勝負に出されたカード以外は見てはいけないと明記しています.David Parlett 氏のルールは,取ったカードを見ていいかどうかに言及していません.

カード勝負の点


現代のルールでは,先手で手札を出したら,1 点を得,相手が先手のとき勝ったら,1 点を得ます.古いルール(19世紀中ごろまで)では,先手は,10 以上の手札を出したら 1 点を得,相手が先手の時に 10 以上で勝ったら 1 点を得ます.

12 回目のカード勝負に勝ったら,1 点を得ます.この点は,先手の点,相手の先手に勝った点とともに取れます.古いルールでも,カードの大きさに関係なくこの点を取れます.なお,David Parlett 氏が引用する 1620 年ごろのドイツの文献は,10 以上で勝たないとこの点も取れなかったとします.現代のルールでは,12 回全勝の時は,この 1 点を認めない人がいます.

カード勝負終了後,相手より勝ち数が多ければ 10 点,12 回全勝ならこの 10 点の代わりに 40 点を得ます.

ルピック (repic) とピック (pic)


1 手の中で,相手が 1 点も得点していないうちに,絵札なしと手役だけで 30 点に達したとき,ルピックといい,その人は 60 点のボーナスを得ます.

1 手の中で,相手が 1 点も得点していないうちに,絵札なし,手役,カード勝負で 30 点に達したとき,ピックといい,その人は 30 点のボーナスを得ます.相手より勝ち数が多いときの 10 点と全勝の 40 点は,ピックには使えません.ルピックでボーナス点を得た場合,ピックにはなりません.現代のルールでは,1 番手は 1 回目の先手で 1 点取れるので,2 番手のピックはありえません.古いルールでも,2 番手のピックは実際には起こりません.

ピックおよびルピックの判定では,絵札なし (カルト・ブランシュ),点 (ポアン),続き (セカンス),組 (トロワとカトルズ),カード勝負の順に点が入り,2 人の得点が確定しない限り,後の点は入っていないと見なします.したがって,1 番手が手役を宣言しなかったか,拒まれた場合,その後の 1 番手の手役と最初の先手の点は,ゲームとは異なる時点で入ると見なされます.例えば,1 番手が点の宣言を拒否され続きを宣言せずに,組を宣言して認められ,最初に手札を出したあとに,2 番手が 2 組の 5 枚続きを申告したら,続きは組より前なので,2 番手のルピックになります.

得点計算


得点するたびに,その手で得た点の合計を言います.1 番手は,宣言しないか拒まれた手役があった後も,手役の点を,宣言時点で数え上げますが,ルピック,ピックの判定は,上記に従います.1 手が終わったら,スコアシートにその手で得た点を書き加え,次の手の得点は,また 0 から数えます.

合計点が目標に先に到達した人が勝ちです.このゲームの古い名前がフランス語で 100 を意味する Cent であることからわかるように,100 点が伝統的な目標です. 150 点,200 点などを使う人もいます.手の途中で,目標に到達したら,その時点で終わりにします.このとき,点は,ピック・ルピックの判定と同じ順序で入るとみなします.カード勝負に入ったら,目標点に到達しても打ち切らずに 12 回のカード勝負を行い,2人とも目標に到達した場合,カード勝負の結果点も合わせた合計点が大きい方を勝ちとします.

普通は,100 点の勝負を 2 回行い,1 勝 1 敗なら,もう 1 勝負します.

17 世紀のピケ


モリエールの作品に登場するピケは,18 世紀以降のルールである古いルールとは,次のような違いがあります.
- 各印 A~6 の 36 枚を使い,手札,山札は 12 枚です.32 枚を使うピケは,17 世紀末に登場しました.
- 1 番手は 1~8 枚を交換.2 番手は,1~残リ枚数を交換します.
- 2 人とも絵札なしなら,どちらも 10 点を得点します.
- 9 枚続きは 19 点です.

ルビコン


ルビコンは,勝負の決め方に関するバリエーションです.

最初の配り手を決めるとき,高いカードを引いた方が,1 番手か 2 番手の好きな方を選び,後は手ごとに交代します.

ゲームは 6 手で,合計点が大きい方が勝ちです.同点の場合,2 手延長します.負けた方が 100 点未満なら,2 人の点の合計+100 点の勝ち,100 点以上なら,2 人の点の差+100 点の勝ちです.

2018年10月6日土曜日

武漢の「紅中頼子槓」麻雀

ルール名は,ホンチュン・ライツカンと読みます.得点計算がユニークで,「頼子(ライツ)」というワイルドカードがある麻雀です.高い手を目指す人は高いリスクを負う公平なインフレシステムが魅力です.ワイルドカードは一般的には「混(ホン)」,北京では「混兒(ホワール)」と呼ばれ,ワイルドカードを使うルールは,北京や浙江・福建・江西省各地などにも分布しています.なお,頼子は癩子と表記する方が多いかもしれませんが,画数も多く,字義も良くないのであえてこうします.

主な参考資料は,「武漢麻將紅中頼子槓超詳細入門教程」です.この資料は,「紅中頼子槓」のインフレ版「紅中發財頼子槓」を解説しているので,上限の点数,大役複合時の点数は他の資料も参考にしました.

道具

麻雀牌136枚.萬子,索子,筒子と東南西北白發中.花牌は使いません.
サイコロ2つ.

席決め

伝統的な方法と,電動卓向けの新しい方法があります.
伝統的な方法は,東南西北1枚ずつ4枚を伏せてよく混ぜ,1人1枚ずつ好きな牌を取ります.東を引いた人がサイコロ2つを振って出た目の合計の席が東の席です.反時計回りに東南西北の順になるように席を変えます.
新しい方法は,自分の目の前の山から牌を1枚とり,数字の大きい順に東南西北にします.字牌は数牌より下で,上から順に東南西北中發白です.数が同じ場合,種類を比べます.上から筒,索,萬の順です.同じ牌を引いた人は,もう1枚自分の山から牌を引いて,同じように比べ,同点だった人の間の順位を決めます.東がサイコロを振る以降は伝統的な方法と同じです.

配牌

サイコロは2つで,牌を取り始める山は2つの目の合計で決めますが,山を分ける位置は,合計でなく小さな方の目だけを使います.例えば,2-5なら,合計の7にあたる親の対面が,小さい方の目が2なので右から2列目と3列目の間に切れ目を作り,親は3列目と4列目を取ります.親がチョンチョンして残った下段の牌を表向きにし,牌の山の上にのせます.山の末尾近くに置くことが多いですが,カン補充牌を多く使うルールなので,特にどこに置くという決まりはなく,全員に頼子が何か分かればよいです.この牌が「頼子」表示牌です.この牌が数牌なら,同じ種類で数が1つ大きい牌,9のときは1,字牌なら,東南西北中發白の順で次の牌,白のときは戻って東が頼子です.風と三元牌を分けないことと,三元牌の順番が日本語と逆なことに気をつけてください.なお中は決して頼子になれないので,表示牌が北のときは,發が頼子です.(決め方が似ている頼子があるので書いていませんでしたが念のため.ドラはありません)

進行

最初の親は,席ぎめで東になった人です.流局か親が上がると連荘です.子が上がると,親の下家(右隣)が次の親です.流局するのは,牌の山を使い切って誰も上がらなかったときだけです.
1回のゲームは,親4周(一荘戦)です.続けるときは,席決めからやり直します.
参考までに,“一分(点0.1元)”のレートで“紅中發財頼子槓”の開口飜の一荘戦を行うと,普通の勝敗は200〜300元,荒れると1000元近くになります.一荘戦を3回すると,普通は500元前後,荒れると800元から1200元,おとなしいと200元前後です.
捨て牌は,誰が何を捨てたか覚えておかないと分からないように,机の中央に乱雑に置きます.
チー・ポン・カンした牌と,1枚でカンするか捨てた中・頼子は,左手側の隅から1列または何列かに分けて並べます.自分に面した縁に沿って並べる人もいます.
チー・ポン・カンで,誰からどの牌をもらったかは示しません.
カンを何回しても,流局になりません.

暗槓は4枚を伏せてさらし,手が終わったときに公開します.
中は,ポンも4枚揃えてのカンもできません.中が手にあるか山から引いたら,1枚でカンのようにさらし,山の末尾から補充牌を引けます.また,中を捨てても構いません.カンしても,捨てても,紅中槓となります.
頼子は,中を除くどんな牌の代わりにもなります.頼子を含むメンツは,チー・ポン・カンできません.上がるときは頼子入りのメンツや頭を捨て牌で完成できますが,捨てられた頼子では上がれません.また頼子は,中と同じように1枚でカンできます.頼子を捨てても構いません.カンしても捨てても頼子槓となります.
牌の山が残り14枚(7列)になったら,1人1回1枚ずつ,順に山からツモるだけで,牌を捨てません.このときカンはできません.牌の山が残り10枚になっても誰も上がらなければ,流局です.これ以外の流局はありません.
武漢での10000人麻雀大会の写真も参考にしてください.中だけでなく發もカンしている人がいるので,“紅中發財頼子槓”であることがわかります.また,牌をさらす場所が人によって違うこと,頼子表示牌を山の中の牌を表に返して決めている卓が1つあるなど,作法の細かい違いにも気づけると思います.

上がり

上がるには,次の条件を満たす必要があります.
  • 手に中がなく,あった中はすべてカンするか捨ててある.
  • 少なくとも1つ“開口(カイコウ)”している.“開口”は,食い,泣きのことで,チー・ポンまたは明槓のどれでもよい.暗槓,紅中,頼子のカンは開口に数えない.
  • 風一色でも将一色でもない場合,4つのメンツと1つの頭がある.
  • 対対胡,風一色,将一色,清一色のどれでもない場合,頭が2か5か8.頼子2枚の頭は,額面が2,5,8でなければ認められない.頼子1枚の単騎で,任意の2,5,8を待つのは,認められる.
  • 小胡の場合,手にある頼子が1枚か0枚.このとき額面どおりで使っている頼子は数え,カンしている頼子は数えない.小胡を聴牌した手に頼子が1枚あって,頼子をツモったら,上がれる手を維持するためには,どちらか1枚を捨てるかカンしなければならない.
  • 上がる人と他の3人それぞれの間の点数が,あらかじめ決めた下限,例えば8点や16点以上なければ上がりを認めないことが多い.8点,16点でなく3飜,4飜ということもあり,この場合,大胡なら,これらの飜数がなくても上がれる (4飜は16点の同義語なので,大胡なら10点と開口で少なくとも20点はある).後述する紅中發財頼子槓や口口番では,さらに高い32点 (5飜) 縛りがあり,この場合,大胡でも点数に気を付ける必要があるが,実際は損失を抑えるために,どれだけ開口と槓牌を増やさないか気にしなければならないことの方が多い.

対対胡での頼子の単騎待ちのように,どんな牌でも上がれる待ちは,自摸か搶槓(チャンカン)でしか上がれません.
上がり牌を見逃した場合,自分のツモ順を待たないでも上がれます.なお,日本以外のほとんどのルールと同じく,上がり牌を自分で捨てていても振り込みで上がれます(振り聴なし)
同じ捨て牌で2人以上が同時に上がることを認めません.この場合,捨て牌を捨てた人から順番が一番近い人の上がりとなります(頭ハネ).

点数計算

包でなければ,上がった人以外の3人が,それぞれ上がった人に点を払います.支払う点数は,基礎点(起翻)を自分の飜数と上がった人の飜数を合わせた回数だけ2倍した点です.スコアカード,ポーカーチップや点棒の類は使わず1手ごとに精算するので,一分(点0.1)なら10分の1,五厘なら20分の1し,小数点以下を四捨六入した額を現金や現金に見立てたトランプのカードで受け渡しします.
1人あたりの支払い点数には上限(封頂,フォンティン)があり,点数計算の結果が上限以上なら,上限の点を払います.
普通の上限は,
  • 封頂 300点
  • 3人全員が封頂の場合は金頂(チンティン)といい,400点負けにします.
  • 金頂のとき開口していない人は陽光頂(ヤンクワンティン),光明頂(クワンミンティン)などといい,500点負けにします.
  • 3人全員が陽光頂のときは三陽(サンヤン)といい,600点負けにします.

基礎点

  • 小胡(シャオホー):1点
  • 大胡(ターホー):上がった手で該当するもの1つにつき10点

小胡(シャオホー)

  • 平胡または屁胡(ピーホー).大胡でない手.

大胡(ターホー)

  • 碰碰胡: 対対胡(和)です.頭に2,5,8以外の牌も使えます.
  • 風一色(フォンイーソー):風か發か白だけの手.このとき,中と頼子のカンは手に含めないで判定します.14枚がこの条件を満たし1開口あれば,4面子も1雀頭も不要で,風發白の何でも上がれます.他の一色役でもそうですが,化けた頼子を混ぜて構いません.
  • 将一色(チャンイーソー):2,5,8だけの手.このとき,中と頼子のカンは手に含めないで判定します.14枚がこの条件を満たし1開口あれば,4面子も1雀頭も不要で,258の何でも上がれます.
  • 清一色(チンイーソー):数牌1種類だけの手です.このとき,中と頼子のカンは手に含めないで判定します.頭に2,5,8以外の牌も使えます.
  • 海底撈: 山の最後の10枚を除いた最後の4枚の牌どれかでのツモ上がり.繰り返しになりますが,山の最後の4枚は,ツモるだけで,捨てません.また,この牌ではカンできません.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ海底撈の役は成立しません.海底撈はツモを含む役なので,ツモの半飜は数えません.
  • 槓上開: カンの補充牌でのツモ上がり.頼子と紅中のカンでの補充を含みます.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ,槓上開の役は成立しません.槓上開はツモを含む役なので,ツモの半飜は数えません.
  • 搶槓(チャンカン):ポンに牌を付け加えるカンが上がり牌のとき,その牌であがること.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ,搶槓の役は成立しません.
  • 全求人(チェンチウレン):4つ開口しての,裸単騎の振り込み上がり.4開口なので,暗槓すると作れません.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ,全求人の役は成立しません.

飜数

基礎点に次のうち上がった人と支払う人の該当する項目をすべて掛け合わせます.
上がりにも支払いにも適用される倍は,自分が上がったときにもらう点を増やすだけでなく,上がられたときの支払も増やします.

(1)上がった人払う人双方の分を数える

  • 開口(カイコウ):1飜(x2) .チー,ポン,明槓.開口が1つ以上あれば1飜.
  • 暗槓,頼子槓:1つにつき2飜(x4).頼子はカンしても捨てても頼子槓になる.
  • 明槓,紅中槓:1つにつき1飜(x2).中はカンしても捨てても紅中槓になる.チャンカンされた槓は成立していないので数えない.
  • 荘家: 小胡なら1飜(x2),大胡なら0飜(x1)

(2)上がった人の分だけを数える

  • 硬胡(インホー): 1飜(x2).頼子が1枚もないか,あってもカンしたか,額面通りに使った手.
  • ツモ: 小胡なら1飜(x2),大胡なら半飜(x1.5).槓上開・海底撈は,ツモを含んだ役なので,この飜はつかない.

(3)払う人の分だけを数える

  • 放銃者:小胡なら1飜(x2),大胡なら半飜(x1.5)

例

A: 親,開口
B: 放銃,開口
C: 開口,紅中槓1回,頼子槓1回
D: 上がり,小胡,硬胡,開口
とすると,
AからDへ
  1(基本点)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Aの親)x2(Aの開口)=16
BからDへ
  1(基本点)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Bの放銃)x2(Bの開口)=16
CからDへ
  1(基本点)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Cの開口)x2(Cの紅中槓1つ)x4(Cの頼子槓1つ)=64
で,Dは16+16+64=96点を得ます.

包

包の人は,全員分の点数を1人で肩代わりします.
  • 聴牌していないで,全求人を放銃したら包です.上がりの条件を満たしていない手は聴牌とみなしません.チャンカンか槓上開でないと上がれない手は聴牌ではありません.全求人が成立しなければ包にならないので,将(258)の振込みに限定されます.
  • 3開口以上ある清一色の3つめの開口を泣かせた人は包です.
  • 搶槓された人は包です.

荆州?麻雀(紅中頼子槓の三麻)

三国志でおなじみの荊州のルールとして掲載されていた3人向けバージョンです.荊州は紅中頼子槓の流行地域から少し外れているので,本当に現地で知名度のあるルールなのかわかりませんが,よくできていると思うので,ここに紹介します.4人ルールとの違いだけ書きます.
  • 数牌1種類の1〜9(例えば萬子すべて)と東を除いた96枚を使い,16枚2段の山を作る
  • 後述の發を槓牌にするオプションや口口飜は使わない
  • 8点縛りだが,敗者全員でなく少なくとも1人が縛りを満たせば上がれる
  • 大胡の海底撈はない.したがって最後のツモに関する特別なルールはなく(カンできる,不要牌を捨てる),残り10枚で流局
  • 大胡でも自摸,放銃は1飜
  • 三麻なので手が高くなりやすいが,封頂は変えずに封頂300,金頂400.
  • 風一色と将一色は無条件で金頂

バリエーション

槓牌を増やす.次のように,カンすれば2倍になる牌の枚数を増やす人がいます.
  • 紅中發財頼子槓といって,發も中と同じように扱うルールは広く遊ばれています.
  • 皮子(ピーツ,痞子とも書く)槓.中・發ではなく,頼子表示牌と1つ下の牌を“皮子”として,中のように扱う人もいます.中・發は皮子でない限り普通の牌です.
これらの場合,縛りは16点(4飜)以上が多く,封頂も上げます.
  • 封頂400点
  • 金頂500点
  • 陽光頂600点
  • 三陽700点または800点

口口飜(コウコウファン).開口(チー,ポン,明槓)1つにつき1飜(x2)を与えます.これに対し,開口がいくつでも1飜なのは“開口飜(カイコウファン)”といいます.“口口飜”では,更に封頂を上げ,封頂600,金頂800,陽光頂1000,三陽1200が多いです.

大胡の基礎点
大胡が複合したときの基礎点を,2つなら20,3つなら40とする人もいます.
風一色,将一色,清一色の基礎点を15点にする人(地域?)がいます.奇数で半飜計算はしづらいので,自摸と放銃はプラス5点の20点から倍々計算します.

包.将一色,風一色に清一色と同様の包を認める人もいます.

更新履歴

(2015.8.25)サイコロの使い方が違うので書き加えました.「頼子」,「飜」の文字づかいを揃えました.上限を整理しました.
(2015.9.8)飜しばり,上限のバリエーション,一色役の包,痞子について書き加えました.
(2015.9.9)全求人の頭の制限について加筆し,全求人の包は258の振り込みでしか成り立ち得ないと書き直しました.点数計算の硬胡の定義で頼子を捨てると認められないと書いてあった誤りを修正しました.上がりのしばりは,飜でなく点数の下限設定に修正しました.小胡の頼子の枚数にはカンした頼子も含まれることを追記しました.食い,泣きを意味する言葉に“開門”と“開口”の両方を使っていたのを“開口”に統一しました.
(2015.12.22)対々胡の頼子単騎のように何でも上がれる待ちは自摸でしか上がれないことを書き加えました.席決めと初めの親の決め方を補足しました.大胡のうち手の形ではなく,上がり方である槓上開,搶槓,海底撈は全求人と同じように頭が258でないと認められないと修正しました.
(2016.3.11)頭が258でなければならない手で,頼子単騎で258を待てるのは全求人だけではないので,全求人だけにあったこの説明の重複を削りました.
(2016.3.14)何でも上がれる手はツモ以外にチャンカンでも上がれることを書き加えました.一色役と小胡の制限で,カンした中と頼子は除いて考えることを明記し,2枚以上頼子があるときは余分な頼子を捨てないと小胡で上がれないとしていたのを改めました.
(2016.3.19)一色役に頼子を混ぜて良いことを明記しました.痞子の表記を皮子に変えました.全求人の258に関するルール記述を他の役に合わせました.
(2016.3.23)主な参考資料に従い,頼子はカンしても捨てても2飜を基本形にするとともに,頼子槓の飜数のバリエーションについて書き加えました.槓上開ではツモの半飜は付かないと改めました.チャンカンされた槓は不成立であることを追記しました.
(2016.3.24)捨て牌は乱雑に置くこと,さらした牌と捨てた中・頼子は左側の隅に置くことを明記しました.
(2016.3.26)金頂の記述が上限の引き上げにも読めたので改めました.海底撈も槓上開と同じくツモを含む役なので,ツモの飜が付かないことを追記しました.
(2016.3.28)包の規則でチャンカンか槓上開の助けを借りないと上がれない手は聴牌とみなさないことを書き加えました.
(2016.3.31)封頂の違いや口口翻の記述をバリエーションに移動しました.
(2016.4.2)頼子表示牌の置き場所について書き忘れていたので,補足しました.
(2016.4.4)中と頼子の使い方に点数計算の記述が混ざっていたのを削除しました.
(2018.9.24)海底撈などの成立条件の説明を誤解の余地が少ないように書き直しました(頭が自由な手なら,258以外の頭だとこれらの役は成立しないが,上がることは可能).
(2018.9.29)荊州?(紅中頼子槓エリアではないので当地で遊ばれているのかどうか怪しいが,ルールそのものは良い三麻アレンジなので)の三麻ルールを追記しました.
(2018.10.1)各種の封頂(満貫)の記述をすべて基本ルールに移動しました.高い縛りだと大胡も縛りの対象になることを追記しました.
(2018.10.4)ドラがないことと,何回カンしても流局しないことを追記しました.
(2018.10.6)点数計算の概要が飜数をかけるとなっていたのを,飜数の回数2倍すると正確な表現に改めました.大胡の基礎点のバリエーションを追加しました(鄂州のもの)
(2018.12.10)皮子の記述を七皮四頼のルールに従って固定槓牌なしに修正しました.実際に牌で遊ぶことを前提にしたルール記述で頼子槓の飜数を2にしていないものがないので,頼子槓の飜数のバリエーションを削除しました.

2015年8月27日木曜日

香港・マカオの雀荘ルール

香港・マカオの麻雀館(雀荘)は,2007年に斜陽化を食い止めるため,大陸客を狙って大陸のルールである跑馬仔(大陸牌,碰槓牌,深圳麻雀などともいう)を導入する前は,50年以上変わらない古い広東ルールを使っていました.


香港ルールとして知られる旧章(清章)との違いは,お金の授受法と,役の番(飜)数です.

  • 飜縛りはありません.
  • 花牌を使うオプションはありません.
  • 自摸でも放銃でも支払いは同じです.3人が上がった人に支払い,払う人か受け取る人が親の場合,金額を倍にします.
  • 自摸の1番はありません.
  • 刻子にすると番がつく字牌が頭の場合,平糊(平和)と認められません.
  • 清一色と上限役以外の役は混一色,対対糊,小三元も1番です(連風牌の刻子は2番).
  • 1950年代の上限は3番で清一色も十三么も3番でしたが,香港の雀荘では,上限を1番,あるいは1人あたりの支払額の上限を子から子への鶏糊の4倍(レート表示の上の数字の2倍)に設定します.マカオ政府が1991年に布告した麻雀法定博彩規則(麻雀法定博技規則)の「伝統麻雀」では2番が上限でした.
  • 上がりの見逃しは認められません.
  • チョンボはチョンボした人が上限の手で勝った場合の金銭授受と逆方向にお金を払います.
  • 包のルールは雀荘によって違います.


レートは“$50/$100”のように表示します.

  • 子が鶏糊(役なし)で上がったら,振り込みでも,自摸でも,他の2人の子は$50ずつ,親は$100を上がった子に払います.
  • 親が鶏糊(役なし)で上がったら,振り込みでも,自摸でも,3人の子は$100ずつ上がった親に払います.
  • 子が1番の手で上がったら,振り込みでも,自摸でも,他の2人の子は$100ずつ,親は$200を上がった子に払います.
  • 親が1番の手で上がったら,振り込みでも,自摸でも,3人の子は$200ずつ上がった親に払います.

お金をもらった人は,レートの大きい方の金額の2割を抽水(テラ銭)として,例えば,$50/$100なら$20を雀荘に払います.


2015年8月16日日曜日

香港の「旧章」・「新章」麻雀

ルール名は,「章」の字が広東語では(北京語でも)「張」と同音なので,「古い/新しい牌(つまり麻雀)」とも,「党章」などの「章」の意味から「古い/新しいルール」とも解釈できます.結局はどちらでも麻雀のルールになるので,些細な問題かもしれません.香港で麻雀書で有名だった作家(って阿佐田哲也みたいですね),簡而清氏に従って旧章を「清章」(ピュアなルール)という人も多いです.

個人的な趣向---より面白いと思うから---で,本文は少し古め(1970年代前後)のルールを紹介します.現代の主流のルールは,その後に紹介します.

(2015.8.24)旺牌16枚もあるという記述は,台湾ルールとの混同によるものなので削除しました.花牌による槓上開花の文章が変だったので直しました.リーチ麻雀ルールの類推で誤解される余地があるので,3翻縛りに花牌の翻が入ることを追記しました.面子の中国語の話は蛇足なので削除しました.
(2015.8.29)「飜」と「翻」の字が混在していたので,「飜」に揃えました.
(2015.8.30)広東語では「チー」といわず「シェン」,字も「吃」でなく「上」なことを追記しました.ついでに他の発声の広東語音がカタカナでどんな感じになるかも書きました.
(2015.9.4) 「和」の字が普通には使われないことと,ツモ上がりに対する感覚について書き加えました.

使うもの

麻雀牌(パイ,はい),136枚.136枚の内訳は,萬子(マンズ),銅銭を縄で連ねた形が起源の索子(ソーズ),銅銭の形から来た筒子(ぴんず)の3種類の1から9,東南西北白(はく)發(はつ)中(チュン)7つの字牌(じはい,ツーパイ)で,すべての牌は4枚ずつあります.さいころは,3つが普通です.なければ,2つでもかまいません.手ごとに直ちに精算するので,点数を記録する道具はありませんが,ポーカーチップなどを1点単位で,各人100~300点程度持ってお金の代わりにしてもよいでしょう.

席決め

東(トン)南(ナン)西(北京音は“シー”だが日本の麻雀用語では“しゃー”と読む)北(ペー)各1枚ずつをとり,よく混ぜてから,伏せて4枚積み上げます.年長者など,任意に決めた人がサイコロ3つ(古くは2つだったらしい)を振り,出目の合計を,振った人の席を1として,反時計回りに数えた位置にいる人から,山の上から順に牌(パイ,または,はい)を取ります.4枚を伏せて混ぜてから,サイコロを使わず,好きな牌をつかみ取りしてもよいです.東を引いた人はそのまま着席します.それ以外の人は,反時計回りに東南西北の順になるように座ります.

山を作る

4人で協力して,全ての牌をなるべく伏せて混ぜます.4人ともに,横1列に17枚の牌を,テーブルの縁に短いほうの辺が接するように伏せて並べます.もう1列17枚の牌を並べた牌に接するように並べます.2列の牌を伏せたまま,4人の列がかみ合った井桁のようになるように,机の中央に押し出します.このとき,右手は机の中央に近く,左手は遠くなるように,斜めにします.手前の列を,遠い側の列の上に乗せて,2階建てにします.

最初の親決め

東を引いた人は,サイコロを3つ(2つ)を振ります.席決めと同じように数えた席に座っている人が,最初の親になります.

開門

親は,サイコロ3つを振ります.席決めと同じように,振った人を1として,反時計回りに数え,出目の合計の位置に座っている人の山を,そこに座っている人から見た右端を1として,出目の合計まで左に数えます.その位置の列と,その1つ先の列の間にすき間を空けます.山を数えつくした場合,時計回りに隣の山へと数え続けます.牌の山だけは,他のゲーム進行と異なり,時計回りであることに注意してください.なお,ドラはありません.

配牌(はいパイ)

4人は,親から順番に反時計回りに,山を割った位置の*時計周り側*から,2列4枚の牌を時計周りに取って手元に横1列に並べます.最初の2列は親,次の2列は親の右隣,その次の2列は親の向かい,その次は親の左隣が取ります.これを3周して,全員が12枚の牌を取ったら,親は,左隣の人が9~12枚目の牌を取った次の位置から上段の1枚目と3枚目の牌を取ります.親の右隣の人は,1枚目の下段,ついで,親の向かいは2枚目の上段,親の左隣りは,2枚目の下段の牌をそれぞれ取ります.これにより,親は14枚,子は13枚の牌を手にします.親の枚数が1枚多いのは,最初に山からとる牌を先に引くからです.

手の進行

親は,1枚の不要牌を4つの山に囲まれた中央部に表向きに捨てます.それ以降は,反時計回りに,順番に,山の次の牌を1枚とり,手から不要な牌を1枚捨てることを繰り返します.山は,配牌で使った残りの個所から順番に時計回りに,親以外の人が最後の一枚の牌を引いたときと同じように使います.捨て牌は,誰が何を捨てたか覚えておかなければ分からないように,乱雑に置きます.そのため,何を捨てたかはっきり声に出して言うことが多いです.

上がり

手と山から引いた牌または他の3人の誰かが捨てた牌を合わせた14枚が,同じ牌の2枚組(頭(あたま)または雀頭(ジャントウ))1つと,4つの面子(メンツ)になったら上がりです.上がる人は,そのことを宣言しなくてはなりません.日本語だと,山から引いた牌で上がるときは“ツモ”,人が捨てた牌で上がるときは“ロン”といいます.広東語だと,前者は“チモ”,後者は“シクゥ[食糊]”といいます.

面子は,順子(シュンツ),刻子(コーツ),槓子(カンツ)のいずれかです.順子(シュンツ)は,同じ種類で数字が連続した数牌3枚(9から1はつながらない),刻子(コーツ)は,同じ牌3枚,槓子(カンツ)は,宣言してさらした同じ牌4枚です.

2人以上の人が同時に上がりを宣言した場合,牌を捨てた人から反時計回りにみて順番が一番早い人の上がりになります(頭ハネ).ただし,十三么(日本での通称は国士無双,広東語音サップサムイウ,北京語音シーサンヤオ)だけは,頭ハネに勝ちます.上がり牌に関する制限はありません.上がり牌を見逃したとき,自分の番が来る前に同じ牌で上がることを禁じる人もいます.

ポン[碰]

手に同じ牌が2枚あり,それと同じ牌を他の3人の誰かが捨てたとき,ポン(広東語ではプン)と宣言することにより,捨て牌と手牌2枚で1つの刻子を作れます.ポンする人は,2枚の手牌ともらう捨て牌1枚を,手牌の左端に表向き倒してさらし,1枚手牌を捨てます.ポンに使った牌とポンでもらった牌は,手牌と交換できません.次の番は,ポンをした人の右隣りになります.左隣以外の人が捨てた牌でポンする場合,その人とポンをする人の間の順番は飛ばされます.上がりとポンが同時に宣言された場合,上がりが優先されます.

捨て牌の捨て方同様に,誰が何を捨てたか覚えておくのは技術だという考え方があるので,牌をさらすときにも,誰から牌をもらったか明示しません.これは,これから説明するチーとカンでも同じです.

チー[吃]

左隣りの人が捨てた牌と手にある数字の牌2枚で順子が作れる場合,チー(広東語ではシェン[上])と宣言することにより,捨て牌と手牌2枚で1つの順子を作れます.チーする人は,2枚の手牌ともらう捨て牌1枚を,手牌の左端に表向き倒してさらし,1枚手牌を捨てます.チーに使った牌とチーでもらった牌は,手牌と交換できません.次の番は,チーをした人の右隣りになります.チーとポンが同時に宣言された場合,ポンが優先されます.チーと上がりが同時に宣言された場合,上がりが優先されます.

カン[槓]

カンには,3種類あります.
  • 自分の番で手牌に同じ牌が4枚ある場合(暗槓,アンカン)
  • 手牌に同じ牌が3枚ありそれと同じ牌が捨てられたとき(大明槓,だいミンカン)
  • ポンした牌と同じ牌を山から引くか手牌にあるとき(加槓,チャーカン)
どの場合も,カン(広東語ではコン)と宣言することで,槓子を作れます.カンする人は,4枚の牌を手牌の左側にさらし,開門位置から牌を1枚補充してから,1枚手牌を捨てます.カンで補充する牌は,開門位置から,反時計まわりに1枚ずつ使います.「ドラ」はないので,何回カンしても,流局になりません.この“自分の番”は,チー,ポン宣言したときでも構いません.上がりは,捨て牌に対するカンより優先されます.捨て牌に対するカンは,チーより優先されます.どのカンでも,カンした牌は,4枚を表向きにしてさらします.人によっては(大陸のルールか?),4枚の中1枚を,3枚の中央の上にのせます.

手の終了

誰かが上がるか,山の牌が残り14枚になったら,その手は終了します.カンがあっても,山を必ず14枚残すことに注意してください.残す牌は,ワンパイ(広東語だとウォンパイ.ウォンの字は明らかでなく,旺牌,皇牌などと書く)といいます.手の途中で流局することはありません.親が上がるか,流局の場合,親は移動しません.親以外の人が上がったら,親の右隣の人に親が移動します.山を築くところから,親決めを除いた手順を繰り返します.これで,4人全員が4回目の親を終えるまで打ち続けます.

“旧章(旧ルール)”の役と得点計算

特定の形の手には,飜(ファン.中国語では旧字体を使う香港・台湾を含め「番」)数が付きます.飜数と,上がりかたが山から引いた牌による自摸(ツモ)か,捨て牌による振り込みかで得点が決まります.後で説明する包(パオ,責任払い)が成立していない場合,残りの3人が上がった人に点数を支払います.振り込みの場合,捨てた人,自摸の場合,全員が倍の点数を,それぞれ上がった人に支払います.4~5飜,6~7飜,8飜~は同じ点数です.
例えば,レートは1として,役のない手を振り込みで上がると,振り込んだ人から1の倍の2点,後の2人から1点ずつの合計4点をもらえます.また,平和をツモで上がると,平和とツモ上がりで2飜なので,全員から4の倍の8点ずつ,合計24点をもらえます.
自摸の点の高さは,香港(や台湾)の麻雀に深く定着しています.自摸がお得でないとつまらないという感覚は,リーチ麻雀で,多くの人が,ドラ,リーチ,一発,裏ドラの倍(に比べると自摸3倍はささやかですが)がないとつまらないと思っているのと非常に似ています.

点数は次の通りです.“勒(ラーク)”は,点数が高くなり過ぎないように,一定範囲の飜数を同じものとして扱います.日本の“満貫”とよく似ています.“勒”は,“辣(ラーッ)”ともいいます.
  • 0飜(鷄糊): レートx1
  • 1飜: レートx2
  • 2飜: レートx4
  • 3飜: レートx8
  • 4飜〜5飜(=1勒[ラーク]): レートx16
  • 6飜〜7飜(=2勒): レートx32
  • 8飜〜(=3勒): レートx64

(参考)古いルールでは,親が上がったときは自摸のパターン,子が上がったときは放銃のパターンで点数を支払っていました.子の上がりで倍払うのは親でした.

1飜役

  • 平和(ピンフ): 順子4組.チーできます.待ち,雀頭も何でもよいです.刻子で飜がつく牌の雀頭は認めない人もいます.なお,香港では,上がりの意味で「和」の字を使わず(そもそも発音が合わない),「糊」と書くことが多いです.大陸だと「胡」の方が普通です.
  • 自摸(ツモ): 山から引いた牌での上がり.ポン・チーできます.
  • 白(はく),發(はつ),中(チュン)の刻子・槓子.1組につき1飜.
  • 自分の風の刻子・槓子.親は東,子は親から反時計回りに南,西,北.
  • 場の風の刻子・槓子.親が1巡するまでは東,2巡目は南,3巡目は西,4巡目は北.自分の風と場の風が同じ人は,刻子・槓子1組で2飜付きます.
  • 海底(ハイテー): 山の最後の牌での上がり.必ずツモの1飜もつきます.最後の捨て牌での振込みは,役になりません.
  • 槓上(開)花(カンシャン(カイ)ファー): 嶺上です.槓の補充牌での上がり.必ずツモの1飜もつきます.振り込みになることはありません.
  • 搶槓(チャンカン): 捨てたら上がれる牌を,ポン+1枚の形でカンしたら,その牌を待っていた人は上れます.カンした人の振込み扱いとなります.国士無双だけは,暗槓(手牌4枚の槓)も搶槓できます.
  • 花么(ファーヤオ): 混老頭(ホンロートー)です.字牌と一九牌だけからなる手.必ず対対和の3飜もつきます.

3飜役

  • 対対和(トイトイホー): 4組の刻子.刻子は槓子でも可.
  • 混一色(ホンイーソー): 字牌と1種類の数牌からなる手.
(参考)古くはこの2つの役は2飜で,清一色は4飜,点数の上限も4飜でした.

4飜役

  • 槓上槓(カンシャンカン): 槓の補充牌でまた槓してその補充牌での上がり.常にツモ扱いです.槓上開花,ツモとは複合しません.
  • 小三元(しょうさんげん): 三元牌の刻子(槓子)2つともう1つの三元杯の雀頭を含む手.三元牌の刻子(槓子)2つの2飜とは複合しません.

6飜役

  • 清一色(チンイーソー): 数牌1種類だけからなる手.

8飜(上限)役

“*”は認めない人もいます.
  • 大三元(だいさんげん): 三元牌の刻子(槓子)3つを含む手.6翻にすることもあります.三元牌の刻子(槓子)3つの3飜とは複合しません.
  • 字一色(ツーイーソー): 字牌(東南西北白發中)だけからなる手
  • 四喜和(スーシーホー): 東南西北がそろった手.大四喜(だいスーシー)は,すべてが刻子か槓子の場合.小四喜(しょうスーシー)は1つが雀頭の場合.小四喜は,6飜にする人もいます.
  • 十三么(シーサンヤオ): 国士無双(こくしむそう)です.一九牌と字牌13種類がそろい,そのうち1種が雀頭として2枚ある手.13面待ちで頭を待っても,1つ欠けている牌を待ってもよいです.
  • *坎坎胡(広東語でカンカンウー,音が合わないが刻刻胡とも書く),四暗刻(スーアンコー): 4つの刻子か槓子を1度もポンせずに作り,雀頭をツモ上がりしたとき.待ちを限定せず,すべてのツモ上がりに認める人もいます.大明槓と暗槓はしても構いません.
  • *清么九(チンヤオチュウ): 清老頭(チンロートー)です.一九牌だけからなる手.
  • *十八羅漢: 四槓子(スーカンツ)です.槓子が4つある手.
  • 九子連環(広東語カウチーリンカン): 九蓮宝燈(チューレンポートー)です.1種類の牌の1112345678999の9面待ちで上がったとき.9面待ちの場合に限られる.
  • 天和(テンホー): 親が配牌で上がっていたとき.
  • 地和(チーホー): 親の最初の捨て牌で上がったとき.子の最初のツモでの上がりには,特別な役や点はありません.

包(パオ=責任払い)


9枚ざらし(三副露)の包

清一色,字一色,清么九を作っている人が3組の牌をさらし,9枚さらしたことを宣言したとき,危険牌を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.危険牌は,清一色なら,萬子,索子,筒子のうち集めている種類の牌,字一色なら字牌,清么九なら一か九です.

大四喜,小四喜を作っている人が,東南西北のうち3組の牌をさらし,9枚さらしたことを宣言したとき,東南西北の残り1種を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.

同様に,大三元を作っている人が,白發中のうち2組の牌をさらし,2組さらしたことを宣言したとき,白發中の残り1種を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.

12枚ざらし(四副露)の包

清一色,字一色,清么九を作っている人が3組の牌をさらし,9枚さらしたことを宣言したとき,危険牌を捨てて4組目の牌をポン・チーされたら,役を作っている人がツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.また,振り込み上がりの場合,4組目の牌をポン・チーされた人と振り込んだ人の2人(この両者が同じ人の場合1人)で,全員分の点数を折半して支払います.

大四喜を作っている人が3組の牌をさらし,9枚または12枚さらしたことを宣言したとき,危険牌を捨てて4組目の牌をポンされたら,大四喜をツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.また,振り込み上がりの場合,4組目の牌をポンされた人と振り込んだ人の2人(この両者が同じ人の場合1人)で,全員分の点数を折半して支払います.

同様に,大三元を作っている人が,白發中のうち2組の牌をさらし,2組さらしたことを宣言したとき,白發中の残り1種を捨ててポンされたら,大三元をツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.また,振り込み上がりの場合,3組目の牌をポンされた人と振り込んだ人の2人(この両者が同じ人の場合1人)で,全員分の点数を折半して支払います.

包の宣言

9枚ざらし,12枚ざらしの包が成立するためには,清一色,大三元,字一色,四喜和,清么九を作っている人の宣言が必要とする人と,そうでない人がいます.宣言は,広東語だと,9枚さらしたという意味の“九張落地(カウチェンロックテイ)”,“九張在地(カウチェンチョイテイ)”を発声します.宣言を要求する場合,ポン・チー・カンの直後に宣言しなくても構いません.また,宣言を要求する場合,包の条件に当たるのに宣言しないで上がると,責任払いになるはずの人は,他の人の分の支払いを拒否でき,他の2人は,責任払いを主張して支払いを拒否できます.

やむを得ない捨て牌の免除

包が成立するためには,危険牌でない捨て牌が可能でなければなりません.したがって,手に危険牌しかない人が危険牌を捨てても包になりません.ただし,包の宣言の後に,ポン・チーした場合は,自分で手牌を減らしているので,包になります.

先を包し後を包せず(包先不包後)

例えば,Aさんが萬子とBさんが筒子の清一色に走り,まずAさん,ついでBさんが9枚なきの宣言をしたとき,手に萬子と筒子しかないCさんが,萬子を捨ててAさんの清一色に振り込んだら包(責任払い)になりますが,筒子を捨てて,後に宣言したBさんに振り込んでも,包にはなりません.

残り5枚での生牌(ションパイ)の包(五子包生)

旺牌14枚を残して,牌の山から引ける牌が残り5枚以下になったとき,生牌(ションパイ),つまり1度も捨てられてなく,さらされてもいない牌を捨てて振り込み上がりされた人は,全員分の点数を責任払いします.残り牌の枚数を5枚以下でなく4枚以下とする人もいます.

反則

  • 錯和(ちょんぼ): 上がれない手で上がった人は,他の3人に,上限点x2を払います.
  • 手牌の数が多い・少ない(大相公,小相公): 手牌とさらしている牌の合計が13枚でなくなったら,あがり放棄です.他の人が上がるか,流局まで,そのまま打ち続けます.

花牌

春夏秋冬,梅蘭菊竹の8枚の花牌を加えた144枚で遊ぶ人もいます.

手の進行

牌の山を築くとき,17枚でなく18枚の列を作ります.

花牌が配牌時に手にあったら,親が最初の牌を捨てる前に,親から順番に,手の花牌をさらし,さらしたのと同数の牌をカンと同じ位置から補充します.山から花牌を引いたときも,同様にさらして補充します.補充牌が花牌なら,花牌でない牌を引くまで,さらして補充しつづけます.花牌の補充牌での上がりは,槓上開花と認めない人と認める人がいます.海底牌が花牌だったときは,補充しないで流局です.

役

  • 無花(ウーファー): 花牌を1枚も引かないで上がると,1飜.
  • 正花(チョンファー): 自分の花牌1枚につき1飜.東(親)は春と梅,南は夏と蘭,西は秋と菊,北は冬と竹.
  • 一台花(イータイファー): 花牌4枚1組につき1飜.組となるのは春夏秋冬または梅蘭菊竹.必ず正花と複合する.なので,一台花を2飜役として,正花とは複合しないとする人もいる.
  • 花胡(ファーホー): 花牌7枚を1人で集めたとき.3飜のツモとみなす.花牌7枚を集めたとき,この役で上がらないでもよい.
  • 大花胡(ターファーホー)または八仙過海(パーシェンクオハイ,はっせんかかい): 花牌8枚を1人で集めたとき.点数は上限.

現代流の旧章

香港の若い(というか老人でない)世代に行われているルールです.役満狙いでない限り,対対和,混一色,清一色の3つの役でしか上がれない縛りがあります.興味深いことに,広東麻雀とは無関係な現代の上海ルールは,この3役と字牌染めしか認めず流局が多いという特徴を共有しています.今まで説明したルールとの相違点は,次の通りです.
  • 3飜縛り.3飜ないと上がれません.したがって,必ず対対和か混一色/清一色,まれに役満を狙うことになります.なお,花牌を使う場合,花牌関連の翻も含めて3飜あれば上れます.
  • 旺牌を14枚(16枚)残さないで使い切ります.
  • 一部の役(例: 清一色7飜)の飜数を引き上げる人がいます.
  • 新章の役の一部(例: 門清)を採用する人がいます.
  • 二人以上同時に上がることを認める人がいます.
  • “全銃制”といって,包でなくても,振り込みを放銃者ひとりの責任払いにする人がいます(というか多数派になりました).伝統的な支払い方法は,これに対して“半銃制”といいます.全銃制には,勝者視点でレートを設定するとき,金額を4で割り切れる数字にする必要がないというメリットがあります.デメリットは,捨て牌の作法や包の規則との相性の悪さと,ベタ下りを促すことです.

 “新章 (新ルール)”の役

新章は旧章に役を追加したものです.追加する役には,“六独”,“十八番”,“無奇不有”の3グループがあります.人により,これ以外の様々な役を挙げる人もいます.中国の文科省に相当するお役所が決めた“国標麻将”(国家標準麻雀の意味)も,点数計算の体系は異なりますが,この一種です.新章(国標も含め)は,存在はよく知られていますが,役が多すぎるので,ほとんど普及していません.

六独

すべて1飜です.
  • 断么.一九字牌を使わない.
  • 不求人.一度もポンとチーをしないでツモで上がる.門清,自摸と必ず複合します.
  • 門清.一度もポンとチーをしないで上がる.
  • 欠門.数牌だけの手で,萬策筒のうち1種類がない.
  • 将眼.258のどれかを頭にする.
  • 独聴.ペンチャン,カンチャン,単騎待ち.

十八番

六独に,次の手を加えます.飜数に定説はありません.役の数が18にならないのは,六独に平和(平糊)を含めるからですが,それだと,六独が7つになってしまいます…
  • 一般高(イーパンカオ).日本ではこの名前がなまってイーペイコーと呼ばれるようになりました.
  • 全帯么.字の通りチャンタです.
  • 五門斉(ウーメンチー).萬索筒風三元の五種類の牌がすべてある手.
  • 一条龍(イーティャオロン).一気通貫です.
  • 四帰一(スークイイー).同じ牌4枚を1つまたは2つの面子で使った手.
  • 全求人(チュエンチウレン).裸単騎で振り込み上がり.
  • 清帯么.ジュンチャンです.
  • 三相逢(サンシャンフォン).三色同順です.清帯么もそうですが,漢字を使ったネーミングセンスの圧倒的な違いを感じないではいられません.
  • 老少(ラオシャオ).同じ種類の牌の123と789
  • 老少碰(ラオシャオポン).同じ種類の牌の111と999
  • 大七対(ターチートイ).名前に反し,リャンペーコーのことです.

無奇不有

十八番に次の(ようなさまざまな)手を加えます.
  • 清四碰.4つポンして上がる.
  • 三暗刻.
  • 小七対.七対子.同じ牌4枚を2組の対子として扱ってよい.
  • 太般高(タイパンカオ).イーペーコーにもう一つ同じ順子を追加.
  • 満庭芳(マンティンファン).頭と4面子の全てに同じ数が含まれる手.
  • 三数.3つの数だけの手.東南西北は1つ,三元牌はもう1つの数としてそれぞれ数えます.
  • 二数.2つの数だけの手.
  • 四帰三.同じ牌4枚を3つの面子で使った手.
  • 四帰四.同じ牌4枚を3つの面子で使った手.
  • 全大.789だけの手.
  • 全中.456だけの手.
  • 全小.123だけの手.
  • 清龍.一条龍(一気通貫)のこと.
  • 花龍.三色一通.
  • 混龍.二色一通.
  • 双龍会.一気通貫のうちの1面子が2組ある手.
    三結義.三色同刻です.
    自搶自槓.自分自身を搶槓.
  • 十八羅漢.
  • 歩歩高.同じ種類の牌で,234 345 456のように1つずつ大きい順子を3組作る.
  • 十三不搭.

2015年8月14日金曜日

四川の「血戦到底」麻雀

(2015.8.18)上がったときの進行と配牌の始め方を訂正しました.
(2015.9.4)カンしたときの補充牌を引く位置が他の麻雀と違うことを強調しました.七対子,海底,絶張の記述が不親切だったので,書き変えました.
(2015.9.5)単釣(裸単騎)の複合と,上がったあとの順番について,加筆しました.
(2018.9.29)上がりのあとのツモ順を修正しました.

四川省成都起源のローカルルールです.「到底」は,中国語で「最後まで」,麻雀では牌の山を残さずに使い切ることなので,訳せば「徹底血戦」です.
四川ルールは,四川,重慶,貴州などで遊ばれる独特な麻雀で,字牌なしの108枚の牌を使い,チーを許さず,上がりには1種類の牌を欠くこと(欠門)を要求します.「血戦到底」は,そこに,1人が上がっても手を終わりにせず,3人が上がるか山を使い尽くすまで打ち続けるルールを加えたことにより,ゲーム展開の多様さをもたらしています.

人数と道具


4人.東南西北白發中を除いた数牌だけの麻雀牌108枚.サイコロ2つ.中国語によるルール記述では,しばしば点数計算にそのものズバリの「元」を使っていますが,トランプのカード,ポーカーチップや碁石などをやりとりし,終わってから精算してもよいと思います.

席決め・親決め・配牌


席は好きな方法で決めます.

牌をすべて伏せ,4人で協力して混ぜあわせます.各人が,牌を伏せたまま,牌の短い辺を自分に向け,テーブルの縁に沿って,同じ長さの牌の列を作り,それに接するように同じ長さの列をもう1列作ります.列の長さに決まりはありませんが,長すぎたり短すぎたりしないようにします.なお,108枚を4人で分けると1人あたり27枚と奇数になるので,全員の列を同じ長さにはできません.牌の列ができたら,2列のまま,テーブルの中央に押し出し,4人の牌が口の字になるようにします.そして,手前の列を中央に近い列の上にのせ,2段の牌の山をつくり,山の位置を微調整します.
ゲームの最初は,年長者などが,牌に囲まれた中でサイコロ2つを振り,出た目の合計の席の人が親です.サイコロを振った人を1として,反時計回りに,右隣が2,向かいが3,左隣が4,自分が5のように数えます.2手目以降は,前の手で最初に上がった人が親です.前の手の最初の上がりが2人以上同時の振り込みだった場合は,それに振りこんだ人が親です.誰も上がらないで流局したときは,前の手の親が引き続き親です.

親が2つのサイコロを牌に囲まれた中で振ります.出た目の合計の席の人は,目の前にある牌の山を,右端を1として,時計回りに,2つの目のうち小さい方の分だけ数え,その列と次の列の間にすき間を開けます.親から反時計回りに,牌の山を2列2段の4枚ずつ,分け目から時計回りに取っていきます.取った牌は,自分の前に,1段の横一列に伏せて置きます.これを3周続けて,全員が12枚の牌を取ったら,親は,次に牌を取る位置の上の段の1枚目と3枚目の2枚の牌を取り,ついで,反時計回りに,順番に,下の段の牌1枚,次の列の上の段の牌1枚,下の段の牌1枚を取ります.これで,親には14枚,残り3人には13枚の牌が行き渡ります.親だけ1枚多いのは,山から引く牌をあらかじめ取っているからです.全員が牌を取り終わったら,各人が,自分だけに見えるように,牌を起こします.

なお,ドラはありません.

ゲームの目的と上がりの形


山から牌を引くか,他人の捨て牌をもらい,不要牌を捨てることを繰り返し,上がりを目指します.
上がるには,萬子,索子,筒子の3種類のうち,少なくとも1種類を欠く手でなければなりません.これを欠門(チュエメン)といいます.欠門でないと,上がれないだけでなく,上がった人が2人以下のとき,高い点数を他の3人に払わなければなりません.
また上がるには,自分の手と,山から引いた牌または他人が捨てた牌で,組4つと頭1つまたは同じ牌のペア7組を作らなければなりません.組は,同じ牌3枚,カンした同じ牌4枚,または同じ種類で数字が連続した3枚の牌です.1と9は連続していないので,912は組になりません.頭は,同じ牌2枚です.
下叫(シャーチャオ).聴牌(テンパイ)のことです.上がれる状態,つまり,待っている牌を山から引くか捨てられたら上がれる状態を言います.下叫でないともらえない点,下叫でないと払わされる点があります.

手の進行.親は,手牌のうち不要な牌を1枚捨てます.捨て牌は,自分の前の牌の山よりテーブルの内側に捨てます.ついで,反時計回りに順に,山から1枚牌を引き,手から不要牌を1枚捨てることを繰り返します.山は,ゲームの進行と異なり,時計回りに使います.手の最初は,親が1枚おきに取った残りの下段,後は,上,下,次の列の上,下の順に使い,山を使い終わったら,時計回りで隣の山に移ります.

ポン.手に同じ牌が2枚あり,その牌が捨てられたとき,ポンと発声すれば,手の2枚と捨てられた1枚で3枚組を作れます.ポンした人は,この3枚を表向きにさらし,不要牌を1枚捨てます.次の順番はポンした人の右隣りになります.ポンされた牌を捨てた人とポンした人の間の順番は飛ばされます.ポンと上がりが同時にあったときは,上がりが優先されます.

カン.同じ牌4枚1組のセットを作ります.
直槓(チーカン).大明槓(だいミンカン)です.手に同じ牌が3枚あり,その牌が捨てられたとき,カンと発声すれば,手の3枚と捨てられた1枚で4枚組を作れます.カンした人は,この4枚を表向きにさらし,牌の山の末尾ではなく,次のツモ位置から1枚手に補充し,不要牌を1枚捨てます.次の順番は,カンした人の右隣りになります.カンと上がりが同時にあったときは,上がりが優先されます.
面下槓(メンシャーカン)または弯槓(ワンカン).加槓(チャーカン)です.すでに自分がポンしている牌と同じ牌を山から引いたとき,カンと発声して,引いた牌をポンした牌に加えてさらし,牌の山の末尾ではなく,次のツモ位置から1枚手に補充してから,不要牌を1枚捨てます.このカンは,搶槓(チャンカン)されることがあります.
暗槓(アンカン).手に同じ牌が4枚あるとき,カンと発声してこの4枚の1枚を表,残りを裏向きにしてさらし,牌の山の末尾ではなく,次のツモ位置から1枚手に補充してから,不要牌を1枚捨てます.

なお,チーはありません.

上がり.手とさらした牌に今他人が捨てた牌または山から引いた牌を合わせると上がれるなら,上がりを意味する発声とともに,捨て牌または山から引いた牌を手の右側に表向きに置いて上れます.捨て牌での上がりは,日本語では振り込み,放銃など,中国語でも点炮,出銃など火器に因んだ表現をつかいます.山から引いた牌での上がりは,自摸(ツモ)といいます.上がっても,手が終わるまでは,手を公開しません.捨て牌で上がる場合,一度見逃した牌は,自分の順番が来る前には上がれません.なお,ポン・カンで順番が飛ばされたときは,順番が来たものとみなします.これ以外に振り聴のような上がりを制限するルールはありません.発声は,振り込みで上がる場合,四川では“割了(コーラ)”,“割牌(コーパイ)”といいます.日本語の“ロン”でもいいでしょう.同じ捨て牌で2人,3人が同時に上がることもできます.自摸のときは,“自摸(ツモ)”と発声します.上がった人は,その手から抜け,手が終わるまで何もしません.次のツモ順は,上がった人の次の人,2人同時に上がったときは,2人のうち捨て牌から順番が遠い方の人の次の人です.3人が上がるか,牌の山がなくなったら,その手は終わりです.なお,牌の山を一定枚数残すことはしないで,最後の1枚まで使い切ります.

上がりの点数授受


振り込み上がりは,上がり牌を捨てた人が,上がった人に手の点数を払います.2人,3人が同時に上がった場合,上がった人ひとりずつに支払います.ツモのときは,他の上がっていない人全員が,それぞれ手の点数を払います.したがって,手の最初のツモ上がりは,振り込みの3倍の点が得られます.ツモの点が高いのは,中国各地のルールに共通の特徴です.さらにツモを優遇する“自摸加底”というオプションもあり,上がるならツモでないと損です.

手の役と点数


上がった手は,手の中にある役で点数をつけます.点数は,番数または倍数または倍数にレートをかけた金額で示します.番数は,番数から1を引いた回数だけ2倍することを意味することもあれば,レートを1としたときの点数を指すこともあるので,注意してください.この記事では,2倍の方の意味で使います.1番なら,1を引くとゼロなので倍なし,4番なら,1を引くと3なので,3回2倍して8倍です.番数は2倍の回数より1多いので,役が2つ複合する時,番数をそのまま足すと1番余計になります.そのため,複合役に,例えば,清一色+対対和なら清対という名を付けて,4番(x8)役にしています.倍数を使えば,清一色のx4と対対和のx2で8倍なので,ここでは,複合役を列挙しません.
満格(マンゴー)/封頂(フォンディン)/極品(ジーピン).役による点の上限です.満貫と訳すと,これ以上の点数もあるように誤解されるので,四川話の満格/標準語の封頂,極品のままがよいと思います.普通は4番(x8)に設定します.
*は,一般的とはいえないので,認めるかどうか事前に相談してください.


1番(x1)
  • 平胡.屁胡.平和にかぎらず,役のない手はなんでもこれです.「和」をhu2と読むのはまれなので,「胡」,「糊」などの字がよくあてられます.
2番(x2)
  • 対対胡.4つの刻子か槓子と頭.大対子(タートイツ),対子胡(トイツホー)ともいう.
3番(x4)
  • 清一色.萬子だけ,索子だけ,または筒子だけ.
  • 暗七対(ガンチートイ).七対子.同じ牌2枚のペア7組.同じ牌4枚をペア2組としてよく,その場合,下記の槓または帰の倍が付く.ただしカンしたら七対子にならない.
  • *将対(チャントイ).2,5,8だけの対対胡.対対胡と複合しない.
  • *帯么.4つの組と頭すべてに1か9がある.
  • **単釣.4つの組をポン,カンして,手牌1枚で頭を待って上がる.対対胡と複合しない.
上がり方による2倍
  • 槓上花(カンシャンファー).槓の補充牌での上がり.カンが直槓(チーカン)/大明槓(だいミンカン)なら,カンした人の振り込みで,ツモ扱いされません.ただし,カンの補充牌でもう一度カンして上がった場合は,ツモです.
  • 槓上炮(カンシャンパオ).槓の捨て牌で振り込み.
  • 搶槓(チャンカン).待ち牌を面下槓(加槓)したとき.カンした人の振り込み扱い.
  • 槓または帰(クイ).手に同じ牌が4枚あれば,カンしてもしなくてもつく.
  • *海底(ハイテイ).山の最後の牌での自摸上がり,および最後の牌を引いた人の捨て牌での振り込み.
  • *絶張(チュエチャン).待ち牌が1枚以外すべて捨てられるか,ポン,カンで公開されているとき,残りの1枚での上がり.

自摸加底.自摸の場合,手役の点に(x1)を加える人がいます.例えば,対対胡をツモったら,レートが1なら,1x2+1x1=3点ずつ上がってない人からもらいます.
天和,地和は極めてまれですが,認めるなら,満格/封頂/極品にします.

カンのボーナス


下雨(シャーユー,雨降り)刮風(グワフォン,風吹き)といいます.カンがあったらメモしておき,手の終わりに精算します.役の満点とは無関係に授受します.この点は上がるか下叫(聴牌,上がりを待っている状態)でなければ,もらえません.死叫(スーチャオ,待ち牌がすべて捨てられたかポン・カンされている)で認める人と認めない人がいるので,事前に決めてください.

  • 下雨.暗槓は,上がっていない人から2番(x2)ずつ.
  • 刮風.加槓は,上がっていない人から1番(x1)ずつ.大明槓は,喰われた人から喰った人に2番(x2).


槓の捨て牌で振ったら,その槓でもらう下雨,刮風の点を振り込んだ人に渡します.2人以上に同時に振り込んだ場合,振り込んだ人が,2人目以降にも,同じ点数を渡します.

欠門と下叫の罰金


3人が上がらずに手が終わった時には,査花猪(チャーファーチュ),査叫(チャーチャオ)を行います.

査花猪(チャーファーチュ).欠門のチェックです.さらした牌も含めた手に3種類の牌がある人は,上がった人も含む他の3人に,それぞれ満格/封頂(!)分の点数を払います(賠花猪,ペイファーチュ).満点を設けない青天井なら,10点など事前に別途決めた点数を払います.

査叫(チャーチャオ).下叫(聴牌)のチェックです.下叫(聴牌)していない人は,聴牌している(が上がっていない)人に,その手で上がったときの最小または最大の点数を払います(賠叫,ペイチャオ).最小か最大かは,事前に決めてください.死叫(スーチャオ,待ち牌が全部捨てられたか食われている場合)を下叫と認めるかどうかも,事前に決めてください.
このルールに関連して,最後の4枚の自摸及び捨て牌で上がれるときは,上がらなければなりません.

2015年3月22日日曜日

カリブ海諸国のドミノ

ドミノは,カリブ海の国々では,一番盛んな伝統ゲームです.国や地域により,ルールの大枠は同じでも,少しずつ違いがあります.一見単純そうに見えますが,奥の深い遊びです.手始めには,ジャマイカかプエルトリコのチバ(完封戦)あるいは国際ドミノ連盟式を試してみるとよいと思います.あとは,牌の枚数が多いだけでなく,使わない牌がある西キューバ式が,他と大きく異なるゲームです.

(2015.3.24)共通なルールはまとめて書き,細かい違いだけを分けて書くようにしました.
(2015.3.25)ドミニカの手詰まり(tranque)で同点のときのルールを修正しました.キューバ東部のルールを追加しました.
(2015.3.27)ベネズエラとコロンビアのルールを追加しました.
(2015.3.31)ドミニカのgeneralとpatioを追加しました.選択肢をアルファベット順に並べました.2~3人の個人戦のバリエーションを追記しました.色分けはうるさく見えるのでやめました.
(2015.4.3)メキシコのルールは,国際ドミノ連盟のルールであることを示すとともに,同連盟の規則に合わせて,手を始める人の決め方(同点でも引き直さない)と,手詰まりで引き分けの後に手を始める人(特別扱いしないで反時計回りに交代する)を修正しました.
(2015.4.6)ゾロ目がなくても手詰まりは起きるので,ゾロ目をすべて除いた遊び方の注記を削除しました.例えば,場に6-0 0-1 1-6 6-2 2-3 3-6 6-4 4-5 5-6と出ると,6の目がある牌はもうないので,手詰まりです.
(2015.4.11)メキシコのルールを追加しました.これまでメキシコと書いていたルールは,国際ドミノ連盟のルールにしました.
(2015.4.12)プエルトリコの手詰まりの勝ち判定に最小点プレーヤーのチーム,点数の丸め方に四捨五入を追加しました.
(2015.5.24)最初の牌の置き方を追記しました.

凡例


[*]: 選択肢に明記していない場合
[C]: コロンビア.
[D]: ドミニカ.“ヘネラル(general)”
(略記[Dg]),“パティオ(patio)”(略記[Dp]),別の資料によるパティオ系の200点戦(略記[D2]),500点戦(略記[D5])があります
[F]: 国際ドミノ連盟(Federación Internacional de Dominó)による世界選手権のルールです.
[H]: ハバナなどのキューバ西部.9-9まである55枚組のドミノを使うのが特徴です.
[J]: ジャマイカ.チーム戦だけでなく個人戦も盛んです.
[M]: メキシコ.
[P]: プエルトリコ.2種類の点数戦(略記[Pp])と,ジャマイカルールに似た完封戦の“チバ(chiva)”(略記[Pch])があります.
[S]: サンティアゴ・デ・クーバなどのキューバ東部.“ドミノー(dominó)”(略記[Sd])と“カピクーア(capicúa)” (略記[Sc])の2種類のルールがあります.
[V]: ベネズエラのタチラ,スリア,メリダ,カラカス,カラボボ,ガイヤナ市など.マラカイボ周辺の変種は[Vm].
[2]: 2人戦.7枚ずつで始めて残りの牌を使う(略記[2a]),10枚ずつで始めて残りの牌を使わない(略記[2b])の2種類の遊び方を紹介します.
[3]: 3人戦.7枚ずつで始めて残りの牌を使う(略記[3a]),0-0だけを除いた27枚を配り切る(略記[3b]),ゾロ目7枚を除いた21枚を配り切る(略記[3c])の3種類の遊び方を紹介します.

道具


  • [*]0-0から6-6のドミノ28枚
  • [H]0-0から9-9のドミノ55枚
  • [3b]0-0から6-6のドミノから0-0をのぞいた27枚
  • [3c]0-0から6-6のドミノからゾロ目7枚をのぞいた21枚.

人数


  • [*]2人のチーム2組.同じチームどうしは向かい合って座ります.ほとんどの地域で,これ以外の遊び方はまれです.
  • [2]2人の個人戦
  • [3]3人の個人戦
  • 4人の個人戦

牌の配り方


全員で牌を裏返しにし,1人が裏向きのままかき混ぜます.牌を混ぜ終わったら,全員が自分の牌をつかんで手元に並べます.このとき,牌を混ぜた人は,他の人より先にとらないようにします.全員が自分の牌を取ったら,自分だけに見えるようにします.専用の台か,卓の縁に立てかけることが多いです.なければ牌を立てたり,手で支えて持っても構いません.1人あたりの牌の枚数は,

  • [*]7枚
  • [H]10枚.残り15枚は,伏せたまま場の端に寄せ使わない
  • [2b]10枚.残り8枚は,伏せたままにして使わない.
  • [3b]9枚

手に5枚以上ゾロ目があるとき,公開すれば,牌を配り直しにできるとする人がいます.

手の始め方


手を始める(スペイン語でサリダ(salida),マノ(mano),ジャマイカではpose)人は,ゲームの最初の手は,
  • [*]目の合計が一番大きなゾロ目の牌を持つ人が,そのゾロ目の牌を場に出します.
  • [F]牌を配る前に1人1枚ずつ牌を引き,目の合計が一番大きい牌を引いた人が好きな牌を1枚出します.合計が同点の場合,2つの目のうち大きい方を比べます.
  • [Hの別法,3c]牌を配った後に,あまった牌を1人1枚ずつ引き,目の合計が一番大きい牌を引いた人が好きな牌を1枚出します.同点の場合,同点の人だけが牌を引き直します.引いた牌は,伏せて戻し,ゲームには使いません.
2手目以降は,
  • [*,Sc]前の手に勝ったチームの2人で相談して決め,好きな牌を1枚出します.手の内容を話してはいけません.
  • [F,Mの別法,Sd,V]前の手を始めた人の右隣りの人が好きな牌を1枚出します.
  • [Pの別法,個人戦]前の手に勝った人が好きな牌を1枚出します.

なお,最初の牌がゾロ目のときは,出す人から見て横向きに,そうでないときは,大きい方の目が自分側になるように縦向きに置く習慣があります.

手の進め方


最初の人が牌を場に出したら,反時計回りに,順番に,場に出せる牌が手にあれば,1枚出します.場に出せる牌がなければ,何も出さないでパスします.場に出ている牌の列の両端と同じ目のある牌が,場に出せます.同じ目どうしが隣り合って接するように置きます.列が長くなりすぎたら,反時計回りに曲げて,S字の裏返しのような形にします.牌の列は枝分かれせず,牌をつなげる場所は,常に列の両端2個所しかありませんが,習慣的に,ゾロ目の牌は,他の牌とT字に交わるようにおきます.

[2a,3a]手に出せる牌がなく,配られていない牌が残っているときは,パスでなく,出せる牌を引き当てるまで,配られていない牌を1枚ずつ手に加えます.牌が残っていないときは,パスします.

手の終わり


誰かが手の牌を全部出し切って上がるか,全員が牌を場に出せない手詰まり(スペイン語でシエレ(cierre)またはトランカ(tranca)またはトランケ(tranque),ジャマイカではblock)になったら,その手は終わりです.上がりは上がった人の勝ちです.手詰まりのとき誰/どのチームを勝ちとするかは,場所や人により次のように違います.
  • [*,D25の別法,Pの別法]手の目の合計が一番小さい人(が属するチーム)
  • [Dg,F,M,P,V]チームの目の合計が小さいチーム
  • [Dp25,Pの別法]最後に牌を出した人とその右隣の相手のうち手の目の合計の小さい方が属するチーム
  • [Cの別法]最後に牌を出した人が,相手チーム2人のどちらよりも手の目の合計が少なければ,最後に牌を出した人のチーム,相手のどちらかのほうが少なければ,相手チーム.なお.これは,バホ・カウサ,サラゴサ,アンティオキア県でよく行われるルールです.


手詰まりの目数比べで同点の場合,
  • [*,Mの別法,P]誰も/どのチームも得点しない.次の手を始める人はゲームの最初と同じように決める.
  • [C,P]最後に牌を出した人のチームの勝ち.
  • [D,Mの別法,P,S]手を始めた人に近い人/手を始めたチームの勝ち.
  • [F,V]どちらのチームも得点しない.
  • [M]最後に牌を出した人のチームの負け.
  • [Vm]個人で手の目の合計を比較して,一番小さな人がいるチームの勝ち.

ゲームの勝敗


(1) 勝ち数による方式


  • [J,Pch]勝った人/チームは勝ち点1を得ます.0勝の人/チームがいる状態で[J]6勝/[Pch]4勝した人/チームの勝ちです.全員が1勝以上したら,ゲームを最初からやり直します.
  • [Jの別法]0勝の人/チームがなくても,6勝した人/チームの勝ちとします.

(2) 合計得点による方式


負けた人の手の目の合計を得点するルールと,全員の手の目の合計を得点するルールがあります.
  • [C,Dg2,H,V]勝った人/チームは,自分(たち)以外の人の手の目の合計を得点します.
  • [Dp5,F,Vm]勝ったチームは,自分たちを含む全員の手の目の合計を得点します.
  • [M]負けたチームは,自分たちの手の目の合計を得点します.
  • [Pp]勝った人/チームは,自分(たち)を含む全員の手の目の合計を1の桁を切り捨てて/四捨五入して得点します.
  • [S]勝ったチームは,自分たちを含む全員の手の目の合計の1の位を切り上げ10で割った点を得点します.ただし1点は2点にします.したがって目の合計が3~20点なら,すべて2点です.

次の目標点に先に達した人/チームの勝ちです.
  • [C,V]100点
  • [Dgp]100点または200点
  • [D2]200点または250点
  • [D5]500点
  • [F]200点または300点
  • [H]150点または100点または200点
  • [M]100点(に達したチームの負け)
  • [Pp]200点または500点
  • [S]20点

特別な点数


ジャマイカ


  • [J]全員/両チームが1勝のときは,ゲームをやりなおしにしないで,次の手を始める人をゲームの始めと同じように決め,勝った人/チームを2勝,他の人/チームを0勝にする人がいます.
  • [J]手詰まりの目数比べで同点だったとき,次の手に勝った人/チームは2勝にする人がいます.

キューバ東部


  • [S]ゲーム(手ではなく)で最初に相手をパスさせたチームに2点.この2点は0点のチームは得られず,パスさせたチームは,その手が終わるまでに,手に勝ったことによる点を得なければなりません.
  • [Sc]では,上がり牌が,牌の列のどちらの端にもつなげられる(カピクーア(capicúa))なら,そのとき得られる点を倍にします.ただし,ゾロ目では認められません.

ドミニカ


次の場合にボーナス点が得られます.
  • [D2]手の最初に出した牌で相手がパスしたら10点.ただし,味方もパスしたら取り消し.
  • [D5]手の最初に出した牌で相手がパスしたら25点.ただし,味方もパスしたら取り消し.
  • [Dp]手の最初に出した牌で相手がパスしたら25/30点.
  • [D25]3人を連続でパスさせたら25点.
  • [Dp]3人を連続でパスさせたら25/30点.
  • [D25]上がり牌が,牌の列のどちらの端にもつなげられるなら25点.ただし,ゾロ目と0のある牌では認められない.
  • [Dp]上がり牌が,牌の列のどちらの端にもつなげられるなら25/30点.ただし,ゾロ目では認められない.

プエルトリコ


200点勝負で次のボーナス点を認める人がいます.
  • [Pp]相手をパスさせたとき,手で最初のパスなら20点,それ以後は1回10点.


500点勝負のボーナス点は次のとおりです.
  • [Pp]最初の手に勝ったら100点,2つ目の手に勝ったら75点,3つめの手に勝ったら50点,4つ目の手に勝ったら25点のボーナス点.5つ目以後の手にはボーナスはつかない.
  • [Pp]上がり牌が,牌の列のどちらの端にもつなげられるなら100点.ただし,ゾロ目では認められない.
  • [Pp]上がり牌が,0-0なら100点.
  • [Pp]上がったときに,牌の列の両端が1なら100点を与える人がいます.
  • [Pp]ゲームで最初に手詰まりで勝ったとき100点を与える人がいます.

2014年12月27日土曜日

天九

ものすごい久しぶりに書いてみます.日本語の記事も探してみると多い香港・広東のドミノのような天九牌という牌を使ったゲームです.

天九牌は,ドミノのように,1-1 から 6-6 までの 2 つのさいころの目が描かれた牌で,21 種中 11 種の牌は 2 枚ずつあります.黒地に白が普通 (古くは白地に黒) で,肉厚でやや縦長,1 と 4 の目および 6 のゾロ目の半分は赤,3 のゾロ目は目が十字形に並んでいます.ドミノのような 2 つの目を区切る線や釘はありません.

左が天九牌,右が西洋ドミノ
この牌はかなり厚いですが,牌九というカジノゲーム用のものはより薄いです
牌と同じ名前の“天九”というゲームのルールを紹介します.牌の強弱を覚えるのが少し面倒ですが,トランプのゲームと似ているようで似ていない不思議な面白さがあります.主な参考資料は,既存の資料と自身の子供時代からの経験を基にルールを整理した Alone in the fart の“天九入門”
(http://aloneinthefart.blogspot.com/2009/02/blog-post_04.html) です.

人と道具


4 人,天九牌 1 式 32 枚,サイコロ 2 つ.

目的


各手の最終周の勝負に勝つことです.

席決め


4 人が好きな席に着き,反時計回りに順にさいころを振ります.出た目の合計が大きい順に,好きな席を選びます.

親決め


 最初の親は,席決めで一番大きな目を出した人がさいころを振って決めます.さいころを振った人を 1 として,反時計回りに 2,3,4 と数えて目の合計に当たる人が最初の親になります.その後は,前の手に勝った人が親になります.

配牌


4 人で協力して,牌を伏せて混ぜます.各人が牌を 4 枚伏せて重ねた山を 2 つ作ります.全員が作った山を場の中央に寄せ集め,親が長い辺に向かい合うように,8 列 4 段の牌の壁を作ります.自分の山をどこにいれても構いません.親の向かいの人が,山の取り方を言い,サイコロを振ります.親決めと同じようにサイコロを振った人から数えて目の合計に当たる人から,反時計回りに,言われた方法でひとり当たり 8 枚の牌を取ります.よくある取り方は,次の通りです.山の取り方を言わなかった場合どれにするかは事前に決めます.
  • 端から順に 2 列ずつ.端は,さいころが止まったところに近い方です.以下も同じです.
  • 上から順に 8 列ずつ
  • 下から順に 8 列ずつ (実際には左隣りから順に時計回りに取る)
  • 端から順に 1 列ずつ
  • 端から順に 1 列目と 3 列目,2 列目と 4 列目,5 列目と 7 列目,6 列目と 8 列目
  • 中央の 2 列から順に中の 2 列ずつ
  • 両端の 2 列から順に外の 2 列ずつ

勝負


1 手の最初の周は,親が先手です.以後の周は,直前の周の勝者が先手です.

先手は牌を手から表向きにして場に出します.先手が出せる牌は 1 枚,ペア,3 枚組み,4 枚組みのいずれかです.他の人は,親の右隣りから順番に,反時計回りに,先手と同じ枚数の好きな牌を手から出します.同じ種類の牌や勝てる牌を持っていても出す義務はありません.表向きで出ている牌のうち一番強いものに勝てないか勝ちたくないときは,伏せて出します.勝てる牌があり,勝ちたいときは,表向きに出します.4 人が牌を出し終ったら 1 周の勝負は終わります.一番強い牌を表向きで出した人が,その周に勝ちます.周に勝った人は,場に出された牌を取ります.取った牌は 4 枚ずつの山にして手元に置きます.

1 枚勝負の勝敗


牌が,他の牌に勝つには,種類が同じ (文なら文,武なら武) で,強さが上でなければなりません.種類と強さが同じときは,先に出た牌が勝ちます.

牌の種類は,文 (中国語で文子) と武 (中国語で武子) の 2 種類です.

文は,同じ牌が 2 つずつあり,同じ牌の強さは同じです.強い順に,(1) 6-6 (天),(2) 1-1 (地),(3) 4-4 (人),(4) 1-3 (鵝,古くは和だったらしい),(5) 5-5 (梅花),(6) 3-3 (長衫),(7) 2-2 (板□(□=登が上,几が下の字)),(8) 5-6 (斧頭),(9) 4-6 (紅頭十,屏封など),(10) 1-6 (高脚七),(11) 1-5 (伶淋六,鈴淋六など,音はリン・ラム・ルッ(ク)だが字は一定しない.2 文字目は広東語の方言字でワ冠に林) です.

文牌.同じ牌が2枚ずつありますが,写真では省略しました.


武は,1 枚ずつで,目の合計が同じ牌の強さは同じです.強い順に,(1) 3-6 または 4-5 (九),(2) 2-6 または 3-5 (八),(3) 2-5 または 3-4 (七),(4) 2-4 (六,大鶏(つくりは隹,以下同様)),(5) 1-4 または 2-3 (五),(6) 1-2 (三,山鶏,幺鶏など) です.なお,香港などでは,幺は始めの“く”の下半分がなく“ノ”になっている字を使います.
武牌

ペア勝負の勝敗


ペアが他のペアに勝つには,種類が同じで,強さが上でなければなりません.例えば,文のペア“6-6 と 6-6”は,文のペアである“1-1 と 1-1”には勝てますが,武のペア“2-5 と 3-4”や,混合の“1-3 と 1-4 (または 2-3)”には勝てません.種類と強さが同じときは,先に出た牌が勝ちます.

ペアの種類は,至尊,文のペア,武のペア,混合ペアの 4 種類です.これら以外の 2 枚の牌の組み合わせは,先手で出すことも表向きに出すこともできません.裏向きで出すときは,ペアを構成できるできないに関係なく好きな 2 枚を出せます.

至尊 (しそん,チー・チュン) は,“1-4 と 1-2”の 1 組しかありません.したがって,至尊は,先手で出せは必勝,後手で出せば必敗です.

文のペアは,1 枚の強さが同じ牌からなり,強い順に,(1) “6-6 と 6-6”(天対または双天,以外同様),(2) “1-1 と 1-1”,(3) “4-4 と 4-4”,(4) “1-3 と 1-3”,(5) “5-5 と 5-5”,(6) “3-3 と 3-3”,(7) “2-2 と 2-2”,(8) “5-6 と 5-6”,(9) “4-6 と 4-6”,(10) “1-6 と 1-6”,(11) “1-5 と 1-5”です.

武のペアは,1 枚の強さが同じ牌からなり,強い順に,(1) “3-6 と 4-5”(雑九),(2) “2-6 と 3-5”(雑八),(3) “2-5 と 3-4”(雑七),(4) “1-4 と 2-3”(雑五) です.

混合ペアは,天と九,地と八,人と七,鵝と五からなり,強い順に,(1) “6-6 と 3-6”または“6-6 と 4-5”(天九),(2) “1-1 と 3-5”または“1-1 と 2-6”(地八),(3) “4-4 と 3-4”または“4-4 と 2-5”(人七),(4) “1-3 と 1-4”または“1-3 と 2-3”(鵝五) です.

3~4 枚勝負の勝敗


ある 3~4 枚組みが他の 3~4 枚組みに勝つには,構成が同じで,強さが上でなければなりません.例えば,文 2 武 1 の 3 枚組み“6-6 と 6-6 と 3-6 (または 4-5)”は,同じ文 2 武 1 の 3 枚組み“1-1 と 1-1 と 2-6 (または 3-5)”には勝てますが,文 1 武 2 の“1-1 と 2-6 と 3-5”には勝てません.

3~4 枚組みの構成は,天と九,地と八,人と七,鵝と五で,文 2 武 1,文 1 武 2,文 2 武 2 の 3 種類です.これら以外の 3~4 枚の牌の組み合わせは,先手で出すことも表向きに出すこともできません.裏向きで出すときは,3~4 枚組みを構成できるできないに関係なく好きな 3~4 枚を出せます.

文 2 武 1 の 3 枚組みは,強い順に,(1) “6-6 と 6-6 と 3-6”または“6-6 と 6-6 と 4-5”(三文天九),(2) “1-1 と 1-1 と 3-5”または“1-1 と 1-1 と 2-6”(三文地八),(3) “4-4 と 4-4 と 3-4”または“4-4 と 4-4 と 2-5”(三文人七),(4) “1-3 と 1-3 と 1-4”または“1-3 と 1-3 と 2-3”(三文鵝五) です.

文 1 武 2 の 3 枚組みは,強い順に,(1) “6-6 と 3-6 と 4-5”(三武天九),(2) “1-1 と 3-5 と 2-6”(三武地八),(3) “4-4 と 3-4 と 2-5”(三武人七),(4) “1-3 と 1-4 と 2-3”(三武鵝五) です.

4 枚組みは,強い順に,(1) “6-6 と 6-6 と 3-6 と 4-5”(四天九),(2) “1-1 と 1-1 と 3-5 と 2-6”(四地八),(3) “4-4 と 4-4 と 3-4 と 2-5”(四人七),(4) “1-3 と 1-3 と 1-4 と 2-3”(四鵝五) です.

手の勝者


手の最後の周に勝った人が手の勝者です.これを“結 (広東語でキッ(ト))”といいます.日本語でも“結びの一番”というように,“締め”の意味です.結には,最後の周に取った牌も含め少なくとも 2 山の牌を取らなければなりません.したがって,手が残り 1 枚のとき,1 山も牌を取っていなければ,結の資格がないので,必勝の天や九でも裏向きに出さなければなりません.最終周が 2 枚以上の勝負なら,1 山も牌をとれていなくても,勝負に勝てます.

点数計算


手の勝者は,他の 3 人と点数を受け渡しします.

手の勝者以外の 3 人は,自分が取った 1 山 4 枚の牌の山の数が 0 なら 5 点,1~3 なら“山数 - 4”点に,親の倍,勝ち方の倍,完封の倍をかけた点数を勝者に払います.5 と 6 の場合,それぞれ入一 (ヤップ・ヤット),入二 (ヤップ・イー) といい,“山数 - 4”点に親の倍だけをかけた点数を勝者から受け取ります.親が入一,入二で負けたときは,例外的に,親の倍もつきません.

(親の倍) 点を支払う人か受け取る人が親の場合,点数に親の倍がかかります.例えば,親が手に勝てず取った山が 1 山の場合,(4 - 1)×2=6 点を手の勝者に払います.なお,ハイリスク・ハイリターンの親をおいしく辞めることを認めないために,親が入一,入二で負けたときにもらう点には,親の倍はつきません.親を続けて務めたときは,この倍を 2 度目の親では 3 倍,3 度目の親では 4 倍と親が続く限り増やします.

(勝ち方の倍) “至尊”での結を包尊 (パウ・チュン) といい点数が倍になります.4 枚組みでの結を四大包 (セイ・タイ・パウ) といい,点数が 4 倍になります.最弱の武“1-2”での結を幺結 (イウ・キッ)といい,点数が倍になります.包尊,四大包,幺結による倍は,勝者に払う点だけにつき,勝者から点をもらう入一,入二にはつきません.
最終周に 1-2 を先手で出して,2-4 が結なら,擒 (カム) といい,1-2 を出した人は,勝者への支払いをひとりで肩代わりします.そのうえ,払う点数が 2 倍になります.擒のときも,入一,入二の人は,勝者から擒の倍なしに点をもらいます.

(完封の倍) 8 山すべてを取って勝ったとき,結の 2 山縛りの助けなしに勝てなかった場合は七支 (チャッ・チー) といい点数が倍になります.それ以外の完封勝ち,つまり 2 枚以上か,確実に勝てる 1 枚で最終周を勝った場合は八支 (パッ・チー) といい点数が 4 倍になります.

祝儀


最終周以外で至尊の先手と 4 枚組みの勝負があったら,すぐに祝儀を受け渡しします.親が受け取る点と払う点には,親の倍がつきます.

(1) 賀尊 (ホー・チュン)

至尊“2-4 と 1-2”を先手で出したら,他の 3 人から 2 点ずつもらえます.最終周の場合,包尊の倍になり,この祝儀はありません.

(2) 四大賀 (セイ・タイ・ホー)

4 枚組みの周に勝った人は,他の 3 人から 4 点ずつもらいます.最終周の場合,四大包の倍になり,この祝儀はありません.

文武尊


文武尊を認めるか認めないかは事前に決めます.

文の最弱牌である 1-5 のペアを“文尊 (ぶんそん,マン・チュン)”,“2-4 と 1-2”を“武尊 (ぶそん,モウ・チュン)”とし,ともに至尊扱いします.

最終周の勝ち方による倍の条件に,1-5 (文で最弱の牌) 1 枚の先手を追加します.

最終周の先手で 1-5 を 1 枚で出し,1-6 を出した人に勝たれたら,先手は 勝者への支払いを肩代わりします.最終周の先手の 1-2 が 2-4 に負けたときと同じ倍を適用します.

バリエーション


ネットにある天九のルールは少ないのに,内容が記事によって大きく違います.これが地域や遊び手による違いなのか,情報源の記事が指摘するような衰退に伴うルール伝承の混乱なのかは不明です.

情報源以外のルール記述は,入一,入二を特別扱いしません.しかし,情報源の作者の知る限り,天九を遊ぶ人でこのルールを使わない人はいないとのことです.入一,入二を特別扱いしない場合,親でも子でも親の倍と勝ち方の倍がつきます.

親が始めの周に天,九,至尊を出したら八支を認めない人がいます.この場合に七支も認めない人もいます.

文尊を認めるとき,文尊が高脚対(1-6のペア)だけには負けるとする人がいます.これを認める場合,文尊の先手に高脚対で結を取ったら擒とみなす人がいます.

結でも賀尊と四大賀を認める人がいます.

四大賀を 4 枚組みを出した人全員に認める人がいます.先手で出した人,先手で出して勝った人だけに認める人もいます.

擒の倍を 4 倍にする人がいます.情報源が 4 倍は成功の難易度と失敗時のペナルティが釣り合わないと 2 倍にした理由を説明しているので,4 倍の方が多いかもしれません.

4 枚組みに擒を認める人がいます.

配牌に手役があったら,役に応じて,七支または八支として扱う人がいるとする記事があります (Alan Chan さんの天九遊戯規則.中国語版 Wikipedia の記述は明らかにこの引用).しかし,手役を説明している人は,手役が一般的でないと明記しています.

戦術


一番大切なのは,親に結を取らせないことです.そのために,親が牌を取るのを防げるなら防ぐ,最初の三順で他の子が勝っている牌に勝たないなどします.

親のとき,安全策を取って,先手のうちに取れる牌を取る人もいます.こうすると,手に勝つ可能性は減りますが,損失も減らせます.

2013年12月9日月曜日

キング

また,ロシアのゲームです.キング(кинг)とは,このゲームで大きな得失点をもたらすことがあるハートのKのことです.“女プレフェランス(женский преферанс)”という異名があります.ロシア語では,トランプ関係に外来語を使う場合,フランス語かドイツ語が普通で,英語はまれなのに,英語を使っていることが興味深いです.なお,ロシアでは,普通は,“K”をキングとは呼ばず,ロシア語で王を意味する“コロリ(король)”と呼びます.

(2013.12.10) キングの出し方のルールが舌足らずだったので補足しました.

人数とトランプ


4人.4つの印ごとに,A,K,Q,J,10,9,8,7の32枚のトランプ

カードの強弱


強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7.

ゲームの目的


14手で一番多く得点する.

カードを配る


最初にカードを配る人はくじ引きで決め,後は,時計回りに交代します.

カードを配る人は,カードをシャッフルしてから,右隣にカットしてもらい,左隣から順番に時計回りに,ひとり8枚の手札を配ります.

カード勝負


カードを配り終えた直後の1回目のカード勝負は,配り手の左隣,そのあとは,前のカード勝負の勝者が先手です.先手は,好きな手札を1枚表向きにして場に出します.ただし,ハートかキングが得失点札になる第4,5,7,11,12,14手は,他の印が手札にあるとき,ハートを先手で出せません.先手の左隣から時計回り順に,1人1枚の手札を出します.このとき,先手と同じ印があれば出さなければならず,なければ,好きな手札を出します.キングが得失点札になる第5,7,12,14手は,ハートのKが手札にあれば,出せる最初の機会に出さなければなりません.全員が1枚ずつ手札を出したら1回のカード勝負は終わりです.先手と同じ印で一番強いカードを出した人がカード勝負に勝ちます.

得点計算


前半の7手は,マイナス点,後半の7手はプラス点が付きます.勝ったカード勝負か勝ったカード勝負に出たカードにつき,次の点が付きます.

  1. 勝たない.1勝ごとに-2点.
  2. 男の子を取らない.J1枚ごとに-4点.
  3. 女の子を取らない.Q1枚ごとに-4点.
  4. ハートを取らない.ハート1枚ごとに-2点.
  5. キングを取らない.ハートのKを取ると-16点.
  6. 最後の2回に勝たない.7回目と8回目のカード勝負1勝ごとに-8点.
  7. 全部取らない.1~6すべての失点がつく.
  8. 勝つ.1勝ごとに+2点.
  9. 男の子を取る.J1枚ごとに+4点.
  10. 女の子を取る.Q1枚ごとに+4点.
  11. ハートを取る.ハート1枚ごとに+2点.
  12. キングを取る.ハートのKをとると+16点.
  13. 最後の2回に勝つ.7回目と8回目のカード勝負1勝ごとに+8点.
  14. 全部取る.8~13すべての得点がつく.

3人のキング


黒のA2枚を除いて30枚にし,全員に10枚ずつの手札を配ります.男の子と女の子は5点ずつ,最後の2回は10点ずつ,キングは20点にします.

2013年11月25日月曜日

1000

ドゥラークやプレフェランスと同じように,ロシアや旧ソ連諸国で人気のあるトランプゲームのひとつです.

(2013.11.25) 同じ印のKとQの一方を先手で出すことを単に“ペア”と呼ぶと,出さずに手に持っているだけで成立するように誤解される可能性があるので,一貫して“マリアージュ”と呼ぶようにしました.
(2013.11.26) “リーチ”の記事を書き足しました.
(2013.11.27) カットで3回続けて底のカードが9のとき失点する人は配り手は誤りで,カットした人が正しいです.0勝だけをボルトにする人もいることを書き加えました.
(2013.11.28) プラスマイナス555点になったら0点に戻るルールの名前(ダンプカー)を追記しました.A4枚にマリアージュを認めるバリエーションを追記しました. リーチの点数が880点でないバリエーションは,2人リーチを認めないバリエーションとは無関係なので,記述場所を変えました.
(2013.12.10) 501と32枚のトランプを使うバリエーションを追記しました.
(2013.12.11) マリアージュのときいう言葉はロシア語でもいろいろあるので,マリアージュを告げることが全員に通じれば何でもいいことを明記しました.

人数とトランプ


3人から4人.4人のときは,配り手がゲームから抜けます.4つの印ごとにA(ロシア語ではТ,以下同様),K(К),Q(Д),J(В),10,9の24枚のトランプ.

目的


一番早く1000点以上取ること.

1000点でなく,1001点に到達した人を勝ちとする人がいます.

カードの強弱と点数


カードの強い順は,A,10,K,Q,J,9です.カードの点数は,Aは11点,点数は,10が10点,Kが4点,Qが3点,Jが2点,9が0点です.同じ印のKとQのペアの手役マリアージュの点は,ハートが100点,ダイヤが80点,クラブが60点,スペードが40点です.

カードの配り方


最初の配り手は,1枚ずつカードを引き一番弱いカードを引いた人など,くじ引きで決め,あとは時計回りに交代します.配り手は,右隣の人にカードをカットしてもらってから,左隣が最初,自分が最後になるように,時計回りに,1枚ずつ,ひとり7枚の手札と場に3枚の山札を配ります.3人のときは,山札を最後に配らないようにします.4人のときは,山札を配り手の手札のように配るので,最後に配る1枚は山札です.

カットのあと,配り手は自分に最後に配るカードとなる底のカードを見てもよいとする人がいます.これを認める場合,底のカードが9なら,配り手は,それを全員に見せてから,再カットを求められます.これが3回続いたら,カットした人は,120点を失います.底のカードがJなら,それを全員に見せてから,カードの山の真ん中に戻して,カードを配ります.

カードが出た順番をある程度覚えられる上級者は,最初の手以外は,カードをシャッフルしないで遊ぶことが多いです.

せり


カードとペアで合計何点以上取るかをせります.目標点は5の倍数で,最低は100点です.手にあるペアの点に120点を足した点より大きな点は言えません.配り手の左隣からせりを始めます.配り手の左隣は,手の良し悪しに関係なく100点を言います.時計回り順に,今までに言われた点より5点大きな点を言うか,せりから下ります.下りた人は,同じ手のせりに戻れません.2人が下りたら,せりは終わり,一番大きな点を言った人がせりに勝ちます.

せりで,5点だけでなく,どの5の倍数せりあげてもよいとする人がいます.

黄金週(золотой кон).最初の1周は,配り手の左隣が最低でも120点を宣言しなければならないとする人がいます.黄金週では,スコアシートに記録するとき,カードの点を倍にします.4人のときの配り手がもらう固定点も,倍にします.マリアージュの点も倍にする人もいます.

マイナスのせり.-150,-120,-100など,あらかじめ決めた点を下回ったら,せりで100点以外いえないとする人がいます.

見ず出("в тёмную").手札を見ないでせりに出ることを認める人がいます.これでせりに勝ったら,山札を見せずに取り,スコアシートに記録するとき,カードの点を倍にします.4人のときの配り手がもらう固定点も,倍にします.マリアージュの点も倍にする人もいます.目標が100点の手を見ず出と同じように扱う人がいます.

手札交換


せりに勝った人は,山札を全員に公開してから手札に加え,不要な2枚を1枚ずつ伏せて相手に渡します.このあと,せりに勝った人は,目標点を,せり落とした点より大きい5の倍数に言い直せます.

配り直し


山札と手札交換の後の手札が次のような場合,配り直しにします.配り直しのとき,配り手は変わりません.
  • 手札に9が4枚あるとき.
  • 手札の点数が13点未満のとき.
  • 山札に9が2枚以上あるとき.
  • 山札が4点以下のとき.

手札に9が3枚でも配り直しにする人がいます.配り手の左隣だけ,9が3枚でも配り直しにする人もいます.手札の点数が14,15,16点未満で配り直しにする人もいます.山札が,5点または7点以下のとき配り直しにする人もいます.配り直しが3回続いたら,配り手が120点を失うとする人がいます.

カード勝負


手の最初のカード勝負は目標点を言った人,その後は前のカード勝負に勝った人が先手です.先手は,好きな手札を1枚,表向きにして場に出します.時計回り順に,先手と同じ印の手札,それがなければ切札,それもなければ好きな印の手札を1枚出し,全員が1枚ずつ手札を出したら,1回のカード勝負は終わりです.一番強い切札,切札が出ていなければ,先手の印で一番強いカードを出した人の勝ちです.カード勝負に勝った人は,場に出た3枚のカードの点を得ます.

マリアージュ(марьяж)または祝言(хваль)


カード勝負に勝って得た先手で,同じ印のKとQが手札に残っているとき,全員に分かる表現,例えば,その点数をいうか結婚のお祝いを言ってから,どちらか1枚を出すと,マリアージュ(marriage,フランス語で結婚の意味)の点が得られます.また,そのときから,切札が,そのカップルの印に変わります.手の最初の先手は,カード勝負に勝っていないので,始めは切札はありません. 1手の中で,最大4回切札が変わります.

祝言をあげるときは,KでなくQを出さなければならないとする人がいます.

Aのマリアージュ.カード勝負に勝った後の先手は,手札にAが4枚残っているなら,そのことを告げてAを出すことで,Aのマリアージュの点200点を得るとする人がいます.切札は変わりません.

点数計算


8回のカード勝負が終わったら,全員が,カード勝負で取ったカードの点とマリアージュの点の合計を計算します.目標点を言った人は,カードの点とマリアージュの点で目標点以上取れたら,目標点を得,そうでなければ,目標点を失います.残りの2人は,カードの点とマリアージュの点の合計を一番近い5の倍数に丸めた点を得ます.

4人のときの配り手は,ゲームに参加しませんが, 次の点を得ます.
  • 5点単位に丸めた山札の点
  • 山札で配り直しにならず,山札に祝言をあげたカードがなれけば,固定点(25点か30点が普通)
  • 山札に,祝言をあげたカードの両方か片方があれば,祝言の点

ダンプカー(самосвал).カード勝負後の点数計算の結果,点数がちょうどプラス555点かマイナス555点になったら,点数を0点に戻す人がいます.

リーチ(сидеть на бочке)


点数が880点以上1000点未満になったら,リーチです.ロシア語の表現を直訳すると“樽にすわる”です.リーチの人のスコアシートには,点数を線で囲うか,●を貫く横線を書きます.リーチでは,点数は880点になり,3手の間に,目標点による得点で一気に1000点に到達しなければなりません.リーチのときは,目標を達成したときの点以外の得点は入りません.リーチで失点したら,リーチでなくなります.リーチが3手続いたら,120点失点して,リーチでなくなります.

リーチを880点でなく,900点などにする人もいます.

2人リーチ.2人以上のリーチを認めない人がいます.この場合,2人目がリーチしたら,1人目は,120点を失点してリーチでなくなり,2人同時リーチでは,リーチの全員が120点を失点して,リーチでなくなります.

リーチから3手の間に勝てないことを3回繰り返すと,120点減点でなく,点数を0点に戻す人がいます.

ボルト(болт)


1点もとれなかったらボルトといい,スコアシートに横線を1本書きます.2点を丸めた0点は,ボルトではありません.ボルト3本につき,120点失点します.

カード勝負に1勝もしなかったときだけ,ボルトにする人がいます.ボルトの失点を,黄金週と見ず出で倍にすることがあります.

投了(расписать)


目標点を言った人が,山札を交換したあと,目標を達成できないと考えたら,投了できます.リーチのときは,投了できません.投了したら,相手2人は,それぞれ,60点または目標点の半分を5の倍数に丸めた点のどちらをもらうか,事前に決めます.また,投了した人は,失点なしか,目標点を失点するか,投了3回につき120点を失点するか,事前に決めます.

バリエーションあるいは類似のゲーム

501


目標点は501点,マリアージュの点は,ハートが80,スペードが60,ダイヤが40,クラブが20点です.せりは40点から始めます.切札は,せりに勝った人が,山札を手に入れた後,最初の手札を出す前に指定します.マリアージュで切札は変わりません.

32枚のトランプを使う


4つの印ごとにA(ロシア語ではТ,以下同様),K(К),Q(Д),J(В),10,9,8,7の32枚のトランプを使います.手札を5枚ずつ,山札2枚,手札を5枚ずつと,10枚の手札を3人に配ります.せりは50点から始め,10点ずつせりあげます.配り手の左隣は50を言わなければなりません.せりに勝った人は,山札を全員に見せてから手に入れ,不要な2枚を伏せて捨てます.このとき,最後に言った目標点より高い点を言いなおせます.カード勝負のルール,カードの点,マリアージュの点は同じです.手の最後の10回目のカード勝負に勝った人は10点を得ます.目標点を決めた人は,目標を達成したら,目標点を得,失敗したら,目標点を失います.他の2人は,カード点とマリアージュの点を10に丸めた(四捨五入)点を得ます.

2013年10月16日水曜日

ドゥラークまたは“ばか” (3) ロシア選手権の勝負

残念ながら棋譜はないのですが,最後の勝負の決着があまりに劇的なので,抄訳しました.1~2回の全露チャンピオン アルベルト・ミヌリン(コムソモルスカヤ・プラウダ紙のチェス記者),セカンドはアナトリー・カルポフ (チェスの元世界チャンピオン),相手は,ヴァレリィ・ジェレズニャコフ(プロのギャンブラー兼数学者,モスクワ物理・技術大学),セカンドはレヴァン・フブラロフ(プロのカードプレーヤー) です.

1回戦は,ミヌリンのダブルをジェレズニャコフが受け,ジェレズニャコフのダブルにミヌリンが投了で,ミヌリン0,ジェレズニャコフ2になりました.切札表示はKで,手札には切札がない状態で,ジェレズニャコフはダブルを提案されました.ジェレズニャコフは,ゲームが始まったばかりなので,だめもとで受けました.ところが,2手後に切札のAが来たので,ミヌリンの手に切札のQ-Jがあると読めました.

次もジェレズニャコフが勝ち0-3で,やはり,プロの相手にはならないのかという声が広がり始めました.しかし,ミヌリンが3-3に挽回し,その後も互角の戦いを続け,8-7とミヌリンが1点リードします.

次の手で,ジェレズニャコフのダブルをミヌリンが受けます.ミヌリンのリダブルをジェレズニャコフが直ちに返したので,この手で勝者が決まることになりました.この8倍のダブルから,ジェレズニャコフは,守備でひたすらカードを拾い続け,3枚以外のカードをすべて手にし,場内が騒然となります.ここで,勝利を確信したジェレズニャコフは,手札を公開しました.ミヌリンの手札は,切札を含むQ2枚と切札の7で,この時点で勝ち目はほぼありませんでしたが,1時間後粘った末に,投了しました.

(おまけ)アナトリー・カルポフのドゥラーク評


上の記事の登場人物の中で圧倒的に有名なのは,カスパロフのライバル,元チェス世界チャンピオンのアナトリー・カルポフです.彼は,なぜ飛び入りドゥラークがすきなのかとの質問に,次のように答えています.このゲームの魅力は,論理的なことです.好きなゲームには,他に,プレフェランス,ブリッジ,ベロートなどがあるが,全部論理的なゲームです.ただし,これらは3~4人向けのゲームです.2人の飛び入りドゥラークは,全然“ばか”ではなく,もっとも頭脳的なゲームたりえます.

2013年10月1日火曜日

ドゥラークまたは“ばか” (2) 戦術

ドゥラークは珍しいタイプのゲームで,筆者自身,記事は書いたものの,どう戦ってよいのか分からないので,参考にしたサイト www.durbetsel.ru にあった作戦を抄訳してみました.

(2013.10.2) 抄訳しすぎたので,もう少し内容を細かくしました.
(2013.10.20)  a への対策で,“切札を出すこと”を“切札を出させること”に修正しました.

どんなタイプのゲームでも

一番大事なのは,出されたカードを覚えておくことです.場から除かれたカードと,カードが出された順番を覚えておきます.なくなったカードが分かれば,相手にどのカードがあるかが分かります.カードが出された順番から,カードがどこにあるかを推測できます.例えば,相手が攻め札としてハートの10を出したら,ハートの9は,まだ山のなかにある可能性があります.ただし,相手が上級者の場合は,手に9が何枚かあって,10は1枚しかないなら,10を出すこともあります.

最初から守りに切札を使ってはいけません.手の最初に切札を捨てる理由はありません.最初は切札を出すのを控え,次から守るのが定跡です.

守りはじめるときは,ペアになっているカードを使って守ると,カードを掴まされる確率が低くなります.手に弱いカードや,3枚以上切札でない同じ印のカードがあると,カードを掴まされるリスクがあります.

相手に,守りで切札か最上位のカードを使わせるには,自分が最初の攻め札を出す手番で,切札でない同じ印のカードが数枚あるなら,その中の弱いカードで攻めると,序盤か中盤なら,相手は拾うでしょうが,終盤だと,切札で守らざるを得なくなります.

時にはハッタリ(ブラフ)をかますことも必要です.例を挙げます.終盤に数人残っているとき,自分の手に切札が3枚,例えば,クラブのK,10,6があって,守り手になる手番だったとします.最初の攻め札がダイヤのAだったら,クラブの10で守らなければなりません.ついでスペードのAが出されたら,クラブのKで守ります.なぜなら,こうすることで,他のプレーヤーは,まだ上位の切札をもっていると考えて,切札のAでは攻めず,例えばダイヤのAで攻めるかもしれないからです.ブラフは,使いすぎてはいけません.

2人のゲーム

1. 相手のスタイルを把握する.
2. そのスタイルに対抗する.

相手のスタイルを把握するには,同じ相手と試しに数回勝負します.相手が勝とうと考えてプレーしている限り,多くの場合,次の4つの基本形のいずれかに該当するはずです.他のスタイルは,4つの基本形の組み合わせです.

a. 切札をため込む.このスタイルの人は,決して切札で飛び入りせず,最初の攻め札と飛び入りは,相手を困らせるカードでなく,不要なカードを捨てて,山札から切札を得ようとします.

b. 上位のカード(A,K,Q)をため込む.A,AがなくなったらK,KがなくなったらQを4枚と切札2枚を集めようとします.このスタイルの人は,普通は,山札がなくなった後に分かります.

c. 相手に弱いカードを押し付ける.このスタイルの人は,攻め札をすべて取らせようとします.この利点は,山札から切札を引く確率を高めることと,相手にゲームの主導権をとらせないことです.

d. ペアをため込む.さまざまな大きさのカードのペアを集めます.ペアを持っていると,守りでも,攻めでも,有利です.このスタイルの人は,いつでもペアを持っています.

それぞれのスタイルへの対抗策は,次のとおりです.

a. 切札をため込む相手への対抗策は,相手の弱い印を探し当てることと,弱い印に対して切札を出させることの2段階に分かれます.中盤までは,相手の弱い印の把握に費やします.なるべく異なる印のカードを出すようにし,相手の弱い印が分かったら,一貫して,相手が切札で守らざるを得ないようにするよう努めます.

b. 上位のカードをため込む相手は,切札を貯め込まず,終局は上位のカード4枚の優位性を利用することがわかっているので,対抗策も易しいです.終局の2または3回前の攻防,山札が6枚かもう少しあるときに,上位のカードで守らざるを得なくさせます.

c. 弱いカードを押し付ける相手への対抗策は,まず,序盤には上位のカード,つまりA,K,Qだけで守ります.序盤で上位のカードを貯め,1回か2回は守ってもかまいません.中盤までに上位のカードをすべて集め,中盤以降の各攻防で,弱いカードで攻めを始め,上位のカードはパスします.中盤で切札は相手に与えなくないので,取らざるを得なくなります.

d. ペアを集める相手に対抗するのは難しく,こちらもペアで攻めペアで守るしかありません.

情報源の著者が作ったプログラムの弱点を突いた攻撃方法も,紹介されています.人間相手には,何度も同じ手は使えないが,知らない相手には有効だとしています.はじめから上位(下位でもよい)の切札が2~3枚あるとき,相手の攻撃を守らず,山札が残り8~10枚になるまで取り続けてから,一番弱いカードで攻撃を始めます.攻撃用の弱いカードは,同じ大きさのカードが3~4枚そろっていなければなりません.相手が取らずに守っても,山札から切札を得る可能性は低く,相手の攻撃を容易に守れます.ただし,相手が,ここでカードを取って,同じ戦術を採用する可能性もあります.

3人のゲーム

ペアと切札を集めます.そのためには,守る必要があります.

3人ゲームで一番大事なのは,自分の左隣にカードを押し付けないことです.そうしていいのは,山札がなくなり,左隣が最初に手札をなくしそうなときだけです.なぜなら,左隣にカードを押し付けると,攻撃の手番を失うので,次は,自分が攻撃されることになり,カードを捨てることも,自分を攻めるプレーヤーの手をくずすこともできません.

自分に出されたカードを故意に守らずに取り,左隣に自分を攻めるプレーヤーを攻撃させることもあります.後の機会にこのプレーヤーを攻めます.

4人のチーム戦

序盤では,弱いペアのカードを左隣に出すとよいです.弱いペアがなければ,長い印の一番下のカードを出します.それもなければ,6のような弱いカードのペアを作ります.

左隣にカードを押し付けて,自分が攻め手になったら,左右両隣が持っていないカードを出すのが望ましいです.1周経てば,ないカードは推測できます.例えば,8,10,Jで守り,もう1人が7とQを出していたら,6,7または9を出すとよいです.これらのカードは,パートナーの手にある可能性が高いです.

相手が上位のカード(K,Q)を取ったときは,そのカードを使わせるようにします.これらのカードを出されると守れない(すぐにペアのもう一方のカードをだされる)し,山札から切札かペアを得るチャンスがあるからです.

右隣が守れずにカードを取り,左隣にカードを掴ませる自身があるなら,上位のカードで飛び入らなくてもよいです.なぜなら,自分のパートナーが攻めるとき,右隣が反撃するので,そのとき飛び入らなくてはならないからです.

4人以上の個人戦

チーム戦でない場合,弱いカードを出されたら取って,多くの弱いカードを掴まされるのを避けます.例えば,6を8で守ると,6と8をすべて取らされる可能性がありますが,すぐに取れば6だけで済みます.

上位の攻め札出されて,守りきれないことが分かっているときは,より高いカードで守って,上位のカードが飛び入りで集まるようにします.

2013年9月18日水曜日

ブロートまたはブロットまたはベロート(3)

ブロート(ブロット)は,ルールのバリエーションがあまりにも多いゲームなので,主な選択肢を分類・整理しました.時間があれば,シュナプセンに関してwww.psellos.comが行ったような体系的な比較(もともとは大改訂前のpagatが誤っていることを証明するためでした.その甲斐あって,現在のpagatは,オーストリア・ハンガリーで実際に遊ばれているルールを掲載するようになりました.pagatが直ってしまったおかげで,psellosの記事が面白くなくなってしまったのは,少し残念なのですが…)をwww.ludi.com,www.ludicash.com,gameduell.fr,www.beloteenligne.fr,www.belote-en-ligne.frなどのルールを対象にやってみたいのですが,いくらなんでも,選択肢が多すぎですよね…

(2013.9.20) 最大のオプションの1つである切札なし(サン・ザトゥー,sans atout)とすべて切札(トゥ・タトゥー,tout atout)の有無を書き忘れていました.
(2013.9.20) 細かい表現を直しました.

1. ゲームの種類


このゲームのバリエーションの中で最大の相違点は,切札の決め方と手役の有無です.オンラインゲームでは,このそれぞれを異なるゲームとして扱っています.

1.1 切札の決め方

主に地域,プレーヤー仲間による違いです
 - 手札を5枚配って,表向きの切札候補を使う.
 - 手札を8枚配りきって,目標点数を競るときに切札を言う.
 - 手札を8枚配りきって,切札を競る(フランスにはない.ブルガリア,キプロス).

1.2 手役

どちらもよく行われます
 - あり(古い)/なし(新しい)

2. 進行


他の項目の多彩さを見ると,こういうことは,どうでもいいことに思えますが,のせておきます.
 - 反時計回り(普通)/時計回り
 - 配り方は,3枚,2枚,3枚(普通)/2枚,3枚,3枚/3枚,3枚,2枚(コアンシュでないと不可能)

3. 切札の決め方


3.1 表向きのカードを使う場合のせり

 - 2周目に切札なし,すべて切札を: 認めない/認める.
 - 切札指名後,他の人が,切札なしかすべて切札で取って代わることを: 認めない/認める
 - 2周目に誰も切札を指名しなかったら: 配り手を交代して配り直し/配り手が切札を指名する(ヴァシュというバリエーション).
 - 表向きのカードがV(J)のとき: 取らなくてもよい/取らなければならない.

3.2 目標点か切札を競る場合のせり

 - 切札なし,すべて切札を: 認めない/認める
 - コアンシュ(シュール・コアンシュ)を順番を飛び越して: 言える(普通)/言えない
 - より高い目標は,コアンシュ(シュール・コアンシュ)に: 勝てない/勝てる(bridgée(ブリッジ化)というバリエーション).
 - カポ(とジェネラル)にコアンシュを: 言えない/言える
 - ジェネラルを: 認めない/認める

4. 極端に偏った手の除外


 - 手札が11点未満なら: 配り直し/配り直しにできない

5. 手役宣言


 - 最初の手札を出すときに宣言し,1周目の勝負が終わったら手役を公開する /
   手札を8枚手にしたら,なるべく早く宣言・公開する (カジュアルなルール).
 - 切札でない同一の手役の最上位のカードが等しいときは: 引き分け(普通) / 配り手の右隣を最上位としてカードを配られる順が早い方の勝ち
 - 1枚のカードを複数の手役(belote-rebeloteを除く)には: 使えない(普通)/複数の手役に使える(まれ)
 - 8の4枚組は: 手役でない(普通)/その手のすべての手役を無効にする.
 - 7の4枚組は: 手役でない(普通)/その手のすべての手役を無効にする/その手を配りなおしにする.
 - 切札なしの場合,4枚組は: 手役でない/Aの4枚組みだけ200点の手役/Aは200点,10は150点,K,Q,J,9は100点/9は手役と認めない

6. カード勝負


 - 相手のカードが勝っていて,先手と同じ印も勝っているカードより強い切札もないとき: 負ける切札があれば出さなければならない/好きなカードを出せる

7. 得点


 - 1手ごとに得点を: 丸めない/10点単位に五捨六入する/5点単位に丸める
 - 点数を丸める場合: 2チームの合計が160点になるように丸め方を工夫する/しない
 - 勝敗判定に使う点は: 最後の10点も含めたカード点だけ/カード点+belote-rebelote/
   カード点+belote-rebelote+手役
 - 点数を競る場合: 勝敗判定用の点数が競り落とした点以上なら成功とする/勝敗判定用の点数が競り落とした点以上でかつ相手の点より大きかったら成功とする
 - belote-rebelote の点は: 引き渡し対象にならず常にもらえる/失敗したら相手に渡す
 - 手役の点は: 失敗したら相手に渡す/カポ負けのときは相手に渡す/引き渡し対象にならず常にもらえる
 - 切札なしのときの点は: そのまま/2倍にする
 - 切札なしのときのカード点(最後の10を含む)は: そのまま/Aを19点にする/162をかけて130で割る
 - すべて切札のときの点は: そのまま/2倍にする
 - すべて切札のときのカード点(最後の10を含む)は: そのまま/162をかけて258で割る
 - 9とAの4枚組の点は: 150点と100点(普通)/140点と110点(まれ)
 - 2チームが同じ手で目標点を超えたら: 合計点の高いチームの勝ち(普通)/最後の手に勝ったチームの勝ち
 - カポ負けの手で得た点で勝つことを: 認める/認めない
 - (シュール)コアンシュの倍は: 競った目標点だけにつく/勝ったチームが得るすべての点につく
 - せりで目標点を決める場合,勝ったチームは: ゲームの点と競った目標点の合計を得る(普通)/競った目標点だけを得,ゲームの点は成否判定にしか使わない

2013年9月6日金曜日

ブロートまたはブロットまたはベロート(2)

フランス語版Wikipediaから,ブロート(ブロット)の戦術とマイナー(?)な変種を紹介します.
 

切札について

 

切札は,ブロートで一番大事な印で,“古典的”戦略も,切札にまつわるものです.普通は,複数の最強のカード (V と 9)があり,相手チームより枚数の多い印を切札に選びます.こうすれば,切札を狩って,相手チームの切札をなくせます.相手に切札がなければ,切られるリスクなしに,A を出せます.切札を指名するとき,パートナーと勝算を検討できないので,パートナーとその癖をよく知って,手札を読む必要があります.

切札を指名したチームの相手は,なるべく切札を守り,相手を切り,無駄なく相手の切札を使わせるよう務めます.

 

切札の選び方

 

切札を選ぶときは,8枚の手札のうち,5枚しか配られていないので,偶然に左右されると思いがちです.古典ルールよりコアンシュを好む人も,このことを理由に挙げることが多いです.しかし,カードをシャッフルしないルールがあるので,配りきるルールより,古典ルールのほうが,より技術的な面もあります.

配り手の右隣りの人は,後で配られる手札が,表向きのカードと同じ印になりやすいと期待できます.カードを混ぜないので,表向きのカードと後から配られる手札は,直前の手で同じカード勝負に出されたカードの可能性があるからです.自分の味方が配り手の右隣りのときも,同様です.

前の手でカードがどう出されたか憶えていると,表向きのカードにより,配られたカードとこれから配られるカードをある程度読めるので,切札の選択に役立ちます.カードをどれだけ憶えられるかは,人により違いますが,10を取ったA,Aを切った7のように決め手となる勝負は憶えやすいです.

表向きのカードがV(J)のときは,取るメリットが大きいです.切札のV(J)は最強のカードなので,カポ負けを必ず回避できます.また,手に他のV(J)がないとき,相手がV(J)4枚組の手役を作るのを防げます.

誰も仮の切札を受け入れなかったら,2周目には,表向きのカードが切札でない手札になることを考慮します.Aが最も良く,次は10です.
最後の人に順番が来たときは,表向きの印に誰も興味がなく,カードを取るリスクが少ないことを当てにできます.相手チームの失敗を期待する戦法を取られたときは,例外です.しかし,この戦法は,長い目でみれば,勝利の機会を捨てているので,損です.手がよいときは,ためらわずにカードを取るべきです.取らないチームは,ゲームにあまり勝てません.

勝たず (アンパス Les impasses)


勝たず (アンパス) とは,最上位の勝てる手札を故意に出さないことです.そのすぐ下のカードも出ないことを期待して,そのカードを後のカード勝負で取ることを目指す作戦です.

例: 
  • Aさんがダイヤの8を出し,Bさんがダイヤが手にないので別の印のカードを捨て,CさんがダイヤのD(Q)を出したとき,ダイヤのAとV(J)を持つDさんは,10がまだ出てないので,次のダイヤの周にAで10を取ることを期待してV(J)を出しました.
  • 手に2または3枚ある印にAがあるとき,後にこの印の周でAで10を取ることを期待して,Aでないカードを先手で出しました.
  • 手役を認めるゲームで,10を含む3枚続きをさらしたとき,Aを持つ味方が,その印の数札を出したら,故意に弱いカードを出したことが分かるので,10でその勝負に勝ちます. 
 
アンパスには,2つのリスクがあります.1つは,アンパスの2周目を切られること,もう1つは,アンパスした周に相手に10を出されることです.
 
アンパスするかどうかは,これまでに出されたカードによります.切札を全部狩った後か,相手に切札がなくなったときは,自分たちの勝てるカードを切られるリスクはなくなります.しかし,相手に10で勝たれるリスクは残ります.アンパスを試みる印がそれまで一度も出されていないときは,相手も含めた全員がその印を持っている可能性が高いです.普通,取って攻めるチームは,相手の切札を狩るので,慣れたプレーヤーは,そのあと残っているカードによって,リスクを判断します.
 

最後の10点 (ディス・ド・デール Le dix de der)

 

最後のカード勝負は,10 点を追加で得られるので重要です.この 10 点だけでなく,カード勝負も,よくディス・ド・デールと呼ばれます.

この勝負では,10点を超えるカード点を得られることが多いです.1勝を期待して持っていたAなどが残って,ディス・ド・デールが,20,30,または40点にもなることが珍しくありません.したがって,可能なら,最後まで切札を温存するとよいです.
 

Wikipedia(など)に紹介されているバリエーション

 

カードの配り方

  • 2枚ずつ,3枚ずつと配る人もいます.コアンシュでは,3枚-3枚-2枚,2枚-3枚-3枚という配り方もあります. 
  • 配り間違えたら,配り手を変えずに配りなおしにする人と,配り手の相手のチームに162点を与えて,配り手を変えて配りなおす人がいます.

 

切札の決め方

  • 表向きのカードがV(J)なら,配り手の右隣が取らなくてはならないとする人がいます.
  • 誰かが切札を選んだら,他の人が,切札をせり上げることを認める人がいます. 
  • 11点未満しか手になく切札もない場合,ゲームを無勝負にできるとする人がいます. 
  • 手札が11点未満の人がいたら,手を流す人がいます. 

 

カード勝負

点数の高いカードというあいまいな内容を含むルールなので,実戦で揉めごとをおこす可能性がありますが,フランス語版 Wikipedia には,こんな記述がありました.
  • 先手の印が手になく,相手チームのカードが勝っているとき,それに勝てる切札がなかったら,点数の高いカードを捨てなければならないとする人がいます(アルカレット,alcarette). 

 

手役

  • 7か8の4枚組を宣言すると,味方・相手のすべての手役を無効にできるとする人がいます.
  • 7の4枚組を宣言すると,その手を流せるとするところがあります. 
  • 手役の点も,失敗しても奪われないとする人がいます. 
  • 1枚の手札を複数の手役に使うことを認める人がいます(フランス語Wikipedia以外で見たことがないので,まれなバリエーションである可能性があります).
  • 手役が引き分けのとき,カードを配られる順が先の人が勝ちとする人がいます(www.pagat.comの英語記事でしか見たことがないので,まれなバリエーションである可能性があります).
 

点数計算

  • 点数を5点単位で丸める人もいます.
  • 両チームが同じ手で目標点を超えた場合,最後の手に勝ったチームの勝ちとする人がいます.  
  • 手役の点を成功・失敗の判定に使う場合に,カポ負けしたチームは,その手で相手を失敗させることも,ゲームに勝つこともできないとする人がいます. 

2013年8月23日金曜日

ブロートのカードの出し方のルールについて

フランスのブロートは,何回か遊んで慣れるまでは,カードの出し方のルールが,間違えずに遊べるのかと思うぐらい複雑です.

(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているなら,切札があれば出す.
(3) 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
(4) 切札を出す義務がある場合,勝っているカードに勝つ切札があれば出す.
(2) には,次の変種があります.
(2+) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているとき,それに勝つ切札がないなら,負ける切札があっても,好きなカードを出してよい.

このルールがさまざまな国にそのまま伝わったわけではなく,ギリシャやサウジアラビアのブロートで使われるルールは,次の通りです (情報源は Wikipedia の記事だけなので,どこまで正確かはわかりません).
(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手にないとき,切札があれば出す.勝っているカードに勝てる切札があれば出す(ギリシャ).
(3) 先手が切札のときは,勝っているカードに勝つ手札があれば出す.

この系統のゲームの発祥地と考えられているオランダのクラバーヤッセン (必ず8枚の手札を配りきることと,カード勝負に出たカードに役を認めることを除いては,ブロートとほぼ同じゲームです) は,主なカードの出し方に,次の 2 通りがあります.どちらも,ブロートよりは簡単です.アムステルダム式は,(2+) を採用したブロートに近いですが,先手の印が手になく,味方のカードが勝っているか,勝つ切札がないとき,出ているカードに負ける切札を自由に出せない点が違います.

(アムステルダム式)
(1) 先手と同じ印があれば出す.
(2) 先手と同じ印がなく,相手のカードが勝っている場合,それに勝つ切札があれば出す.
(3) どんな場合でも,出ている切札に負ける切札は,他に選択肢がないかぎり出せない.

(ロッテルダム式)
(1) 先手と同じ印があれば出す.
(2) 先手と同じ印がなく,出ているカードに勝つ切札があれば出す.
(3) どんな場合でも,出ている切札に負ける切札は,他に選択肢がないかぎり出せない.

19 世紀後半から,1940 年ごろにブロートに抜かれるまで,フランスで一番人気のあったマニーユ (manille) のカードの出し方は次の通りです.ブロートは,もともとフランスで広く知られていて,同じ32枚のトランプを使うゲームの影響を受けたのではないでしょうか.
(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(1+) このとき,相手のカードが勝っていて,それに勝つカードがあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
(3) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っていて,それに勝つ切札があれば出す.勝つ切札がなければ,好きなカードを出す.

2013年8月17日土曜日

バルートまたはアラビア版ブロート

ブロートは,サウジアラビアでは“バルート”と呼ばれ,同国の文化の一部だと言われるほど
盛んです.先月書いたフランス版とは,切札の決め方と役の点数が少し違い,切札なし (サン・アトゥー/ザトゥー) に相当する“スン”を体系的に優遇します.また,コアンシュのようなダブルの役割も面白いルールです.

(2016.7.13)別の情報源の記述と,フランスのルールとあまり変わらないと言っている人がいたのを根拠に,切札を指名したチームの得点が相手より少ないときは,ダブルがなくても相手に点を渡すと改めました.

人数とカード


ペア 2 組の 4 人.ペアは向い合って座ります.4 つの印ごとに A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 の 32 枚.

 

カードの強弱と点数


切札の J と 9 を特別扱いします.

カードの強さの順は,強い順に,切札は,J,9,A,10,K,Q,8,7,切札以外は,A,10,K,Q,J,9,8,7 です.

カード勝負で取ったカードの点数は,切札の J が 20 点,切札の 9 が 14 点,A が 11 点,10 が 10 点,K が 4 点,Q が 3 点,切札以外の J が 2 点,切札以外の 9 が 0 点,8 と 7 が 0 点です.この他に,手の最後の 8 回目のカード勝負に勝つと 10 点をもらえます.

 

目標


目標は,152 点です.他のブロートの 1520 点に相当します.

 

カードを配り切札を選ぶ


最初にカードを配る人は好きな方法で決め,以後は反時計回りに交代します.

配り手の左隣りの人は,カードを配る前に,カードをカットする,何もしない,先頭のカードを表向きにする,底の 3 枚を自分のパートナーに渡すのどれかを選びます.

配り手は,右隣の人から反時計回りに,1 周目は 3 枚ずつ,2 周目は 2 枚 ずつで各人 5 枚の手札を配り,次のカードを 1 枚表向きにして机の上に置きます.

ここで切札を決めるせりを行います.1 周目は,表向きのカードを手札にし,切札なしで戦う“なし (スン)”,表向きのカードを手札にし,その印を切札にして戦う“切札 (ホクム)”,表向きのカードを取らない“パス” のいずれかを,配り手の右隣から順に,反時計回りに言います.誰かが“なし”を言ったら,配り手の右隣の 1 番手から“なし”を言った人の手前までの人が順に,代りに“なし”で出るかパスするか言い,せりを終えます.誰かが“切札”を言ったら,他の全員が 1 番手から順に,代わりに“なし”で出るかパスするか言い,全員がパスしたら,“切札”を言った人は,“切札”を“なし”に変えるか“切札”のまま戦うかを言い,せりを終えます.3 番手と 4 番手は,このほかに,“アシュカル”と言えます.これは,表向きのカードをパートナーに取らせた上で,切札なしで戦います.表向きのカードが A のときは,アシュカルを認めない人がいます.1 番手と 2 番手が間違って“アシュカル”を言ったら,“なし”を言ったものとみなします.手札に 7,8,9 しかない場合,切札決めの 1 周目なら,配り手を交代して手を配りなおしにできます.

1 周目に全員がパスしたら,2 周目に入ります.“なし”なら,せりは終わり,1 周目と違い,他の人は代りに出られません.“切札”なら,2 周目の順番が来ていない人が,代わりに“なし”で出るか“パス”かを言い,残りの全員がパスしたら,“切札”のままで行くか,“なし”に変えるかを言います.切札の場合,表向きのカードの印以外の印を指名しなければなりません.切札を指名する前に,あとから配られる 2 枚の手札をみたら,切札なしになります.2 周目には“アシュカル”は言えません.

2 周目も全員パスしたら,配り手を交代して,手を配りなおします.

切札が決まったら,配り手は,表向きのカードを取った人には 2 枚,その他の人には 3 枚ずつ手札を配ります.

手札が配り手のミスで表向きになっても,それが A でなければ,ゲームを続けます.A なら,配り手を変えないで配り直します.

ダブル


切札を決めてからカード勝負に入るまでの間に,ダブルをいえます.ダブル,トリプルなどには,点数を倍にするだけでなく,手に勝ったチームがその手の両チームの得点を独り占めする効果があります.

切札がある場合,切札を指名したチームの相手は,点を倍にするダブルを言えます.ダブルを言われたら,表向きのカードを取った人は,点を 3 倍にするトリプルで応じられます.トリプルを言われたら,ダブルを言った人は,点を 4 倍にできます.4 倍を言われたら,表向きのカードを取った人は“勝負 (ガハワ)”といえます.勝負は,ゲーム全体の勝敗をこの手の勝敗で決めます.

ダブルと 4 倍では,切札の封印をあわせて指定できます.切札を封印すると,手札に切札以外のカードがある場合,先手で切札を出せません.

切札なしの場合,一方のチームが 100 点を超えていて,もう片方が 100 点以下の場合に限り,切札を指名したチームの相手はダブルを言えます.切札なしには,トリプル以上の倍はありません.

手役の宣言


手札に手役がある場合,1 回目のカード勝負に手札を出すとき,得点したい手役の種類をいいます.最強の手役を持つチームは,2 回目のカード勝負の前に,手役を公開します.同じカードは,1 つの手役でしか使えません.

手役は,弱いものから順に,次の通りです.同じ手役のなかでは,最上位のカードが上の方が強いです.手役のカードの順は,カードの強弱とは違い,上から下へ A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 です.続き役も,この順での続きをみます.
  • 同じ印の 3 枚続き.20 点.
  • 同じ印の 4 枚続き.50 点.
  • 10,J,Q,K,A の 4 枚組.100 点.A は切札があるときだけです.
  • 同じ印の 5 枚以上の続き.100 点.
  • 切札なしのときの A の 4 枚組.400 点.

カード勝負


8 枚の手札で 8 回のカード勝負を行います.最初は配り手の右隣,以後は直前のカード勝負の勝者が先手になります.先手は,好きな手札を 1 枚表向きに場に出します.ついで,反時計回りに順番に手札をひとり 1 枚表向きにして出します.このとき,次のルールに従います.先手と同じ印がなかったら無条件に切札を使わされるのが気に入らなければ,フランス風のルールを使ってもいいでしょう.
  • 先手と同じ印があれば出す.
  • 先手と同じ印がない場合,切札があれば出す.
  • 先手が切札の場合,勝っているカードに勝てるカードがあれば出す.
切札が出た場合,一番強い切札,そうでなければ,先手の印で一番強いカードを出した人の勝ちです.カード勝負に勝った人は,出された 4 枚のカードを取ります.取ったカードは,チームでまとめて置きます.

バルート


切札の K と Q が手札にある場合,手からこのペアの 2 枚目を出すときに“バルート”というと 20 点を得られます.K と Q の一方が手役にある場合と,2 枚とも 5 枚続きの役にある場合は,バルートになりません.

得点計算


点数は,チームごとに,10 点単位で記録します.
  • 切札なしの場合,10 の桁で 4 捨 5 入 した点を 10 で割り 2 倍する.
  • 切札ありの場合,10 の桁で 5 捨 6 入 した点を 10 で割る.
  • 切札なし専用の手役 400 点は,例外的に切札なしの 2 倍がつかない.

バルートの点には,ダブル,トリプルなどの倍はつきません.

切札を指名したチームの点数が,相手のチームと同じか多いなら,両チームとも自分のチームの点を得ます.

切札を指名したチームの点数が,相手のチームより少ないなら,相手のチームが両チームの点を合わせて得ます.このとき,バルートの点は相手に渡しません.

ダブル,トリプルなどの場合は,その手の点数の多いチームが,バルート以外の相手の点も含む点を得ます.チームの点数を比べるとき,役の点を含めるかカード勝負の点だけ比べるかは,事前に決めてください.

2013年8月10日土曜日

7 または点札取り

ハンガリー,チェコ,ルーマニア,旧ユーゴなどで遊ばれているゲームです.チェコ語,ルーマニア語,セルビア語などでは,“7”の意味の名で呼ばれ,ハンガリー語では,得点札を意味する名前で呼ばれるので,表題のように名づけて見ました.

(2013.8.12) トランプ以外でも遊べることを追記しました.
(2013.8.13) 延長のルールに関する変種の表現を改め,負けてないと延長できないが,味方に負けても延長できるというルールがあることを分かりやすくしました.実例は,例えば www.sedmice.com です.

人数とカード


2 人 2 組の 4 人か,2~3 人.中欧のトランプでは,印ごとに 2,10,王,上の僕,下の僕,9,8,7 の 32 枚組.3 人 のときは 8 を 2 枚取り除いて 30 枚にし,8 も 7 のように扱います.英米のトランプでは,2 は A,上の僕は Q,下の僕は J にそれぞれ対応します.

目的


ゲーム点 5 点,あるいは 10 点を先に取る.個々の手では,2 (A) と 10 を多くとってゲーム点を取る.

遊び方


最初にカードを配る人は好きな方法で決めます.以後は,順番に交代します.4 人の場合,味方同士は向い合って座ります.

配り手は,自分の右隣から反時計回りに順番に手札を 4 枚ずつ配り,残りは山札として場の中央に伏せておきます.

最初は配り手の右隣,そのあとは直前のカード勝負に勝った人が先手になります.先手は,手札を 1 枚表向きにして場に出します.ついで,先手の右隣から反時計回りに順に 1 人 1 枚ずつ手札を場に出します.先手と同じ大きさのカードか 7 を最後に出した人がそのカード勝負に勝ち,出されたカードを得ます.7 は他のカードより強く,7 が出たときは,最後に 7 を出した人が勝つとする人もいます.

先手に,自分が出したのと同じ大きさのカードまたは 7 があるなら,それを場に出して,カード勝負を延長できます.手札が続く限り,2 周以上でも延長できます.7 を他のカードより強いとする場合,7 が出たら,7 でないと延長できません.カード勝負の延長を,先手がカード勝負に勝っているときは認めない人も,先手のチームがカード勝負に勝っているときは認めない人も,常に認めない人もいます.

1 回のカード勝負が終わったら,勝った人から反時計回りに順番に,手札が 4 枚になるまで山札から手札を補充します.山札が足りない場合は,山札を全員で均等に分けます.

4 人で遊ぶとき,味方同士で,勝て,勝つな,2 (A) か 10 を出せ,出すなと指示することを認める人もいます.このとき,指示に従わなくても構いません.

2 (A) と 10 を多く取った方がゲーム点を得ます.4 対 4 のときは,最後のカード勝負に勝った方がゲーム点を得ます.ゲーム点は,取った 2 (A) と 10 の枚数が 4~7 枚のとき 1 点,8 枚で相手がカードを取ったとき 2 点,8 枚で相手がカードを 1 枚も取れなかったとき 3 点です.取った枚数に関わらず,常に勝った方に 1 点を与える人もいます.また,2 (A) と 10 各 1 枚につき 10 点,最後のカード勝負に勝ったら 10 点として,あらかじめ決めた手数の合計を競うか,目標点数に先に到達した方を勝ちとする人もいます.

トランプでなくても


このゲームは,印を区別しないので,8 種類のカードを 4 枚ずつ揃えられる花札,株札,麻雀牌などでも遊べます.例えば花札なら,花が書いてある梅,桜,藤,菖蒲,牡丹,萩,菊,桐の 8 ヶ月を使い,梅と桜の 8 枚を集めるとよいでしょう.ススキ (坊主) も花ですが,華がないので外してみました.先手と同じ月を最後に出した人が出された札を取ります.何でも取れる月は,外れている感じのする桐を使うか,ワイルドカードといえば雨と思う人は,桐を外して雨を入れるとよいでしょう.

2013年8月8日木曜日

プレフェランス (5)

実戦で役立つかもしれない情報を参考資料から拾ってみました.

勝ち数の見積り


何勝できそうか見積もるとき,印の違いは関係ないはずですが,“クラシック”の参考資料から抄訳した下記の一覧のように,ダイヤを特別扱いすることがあります.これは,先手で何を出すか迷ったらダイヤを出せと言う格言があるからです.この格言は,現代ロシアのルールでは意味がなく,他のプレーヤーがこの格言を知らなければ,前提が崩れるので,ダイヤを特別扱いするべきではないでしょう.

A: 1 勝
A, K: 2 勝
A, K, Q: 3 勝
A, K, Q, J: 4 勝
A, K, Q, J, x: 5 勝
A, K, Q, J, x, x: 6 勝
A, K, Q, J, x, x, x: 7 勝
A, K, Q, J, x, x, x, x: 8 勝
A, K, x, x: 3 勝
A, K, x, x, x: 4.5 勝
A, K, x, x, x, x: 6 勝
A, Q: 1 勝
A, Q, J: 1 勝
A, Q, J, x: 2.5 勝
A, Q, J, x, x: 3.5 勝
A, Q, J, x, x, x: 6.5 勝
A, Q, J, x, x, x, x: 7 勝
ダイヤの A: 1 勝
A, J, x: 1 勝
ダイヤの A, x, x: 2 勝
ダイヤの A, x, x, x: 4.5 勝
ダイヤの A, x, x, x, x: 5.5 勝
A, x, x: 1 勝
A, x, x, x: 1.5 勝
A, x, x, x, x: 2.5 勝
K: 0 勝
K, Q (マリヤージュ): 0.7 から 1 勝
K, Q, J (トレリヤージュ): 1.5 から 2 勝
K, Q, J, x: 3 勝
K, Q, x, x: 3 勝
K, Q, x, x, x: 4 勝
K, Q, x, x, x, x: 5 勝
K, Q, J, x, x, x, x: 6 勝
ダイヤの K: 0 勝
K, J, x: 0 勝
ダイヤの K, x, x: 0.5 から 2 勝
K, J, x, x, x: 2.5 勝
K, J, x, x, x, x: 4.5 勝
Q, J: 0 勝
Q, J, x: 0 から 0.3 勝
Q, J, x, x: 0.5 から 1.5 勝
Q, J, x, x, x: 3 勝
Q, J, x, x, x, x: 4.5 勝
J, x, x: 0 勝
J, x, x, x: 0 から 1 勝
J, x, x, x, x: 0 から 2 勝
x, x, x, x: 0 から 2 勝

ミゼールをいうには


手札のすべての印が次のような手をきれいなミゼールといいます.

1 枚目: 7
2 枚目: 8 か 9
3 枚目: 10 か J
4 枚目: Q か K
5 枚目: A

このうちどれかがない場合,ミゼールは,捕まる可能性があります.例えば,ある印が 7 と10 なら,2 枚目の 8 か 9 がありません.相手が 8 か 9 を先手で出したら 7 で応じなければならないので,次に残りの 9 か 8 を出されて,もう 1 人の手に同じ印が残っていなかったら,このミゼールは捕まってしまいます.

ミゼールが捕まる確率は,次の通りです.
7, 10: 50%
7, 9: 親が先手なら 5%
7, J: 80%
7, Q: 95%
8: 親が先手なら 5%,子が先手なら 30%
8, 9: 80%
9: 親が先手なら 15%,子なら 80-90%
7, 8 か 9, Q: 20%
7, 8 か 9, K: 70%
7, 8 か 9, A: 100%
7, 8 か 9, 10 か J, A: 10%

穴が 1 つか 2 つあっても,捕まる確率が 80% 以下なら,山札で穴がふさがるか捕まる確率が下がることを期待して,ミゼールを言ってもよいでしょう.7 がないのに他のカードが複数あるなら,ミゼールはリスクに見合いません.7 がないのにミゼールを言っていいのは,8 (か 9) 1 枚だけで,最初に先手で出せる場合だけです.

ロストフ風の山札


ロストフ風プレフェランスのオプションのルールとして,山札に (ほぼ) 確実に勝てるカードがあるときと山札を拒否したときの点があります.一見ふざけたルールに思えるこの点は,山札を取るか取らないかの判断を複雑にします.

山札を取らなければ,10 点もらえるので,山札を取るときは,山札で純得点を 10 点以上増やせなければ損です.3 人の場合,6 の代を宣言して 6 勝すると約 5.3 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると約 14.7 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合,山札を取るのは 2/3 点の損です.4 人の場合は,6 の代を宣言して 6 勝すると 7 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると 18 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合でも,山札を取った方が 1 点だけ得です.

同じように,山札に A があったときも,喜んで取るのでなく,山札を取らなかった場合より,純得点を 20 点以上増やせるか考えなければなりません.3 人でも,4 人でも,K-Q が A-K-Q になる場合のように,6 の代が 8 の代にならなければ,20 点の価値はありません.8 の代が 9 の代になっても 20 点は増えません.A-K は 30 点増,A 2 枚は 40 点増でなければ,割に合いません.

3 人の場合,6 から 7 は 9 1/3 点,6 から 8 は 22 2/3 点,6 から 9 は 40 点,6 から 10 は 61 1/3 点の違いです.7 から 8 は 13 1/3 点,7 から 9 は 30 2/3 点,7 から 10 は 52 点の違いです.8 から 9 は 17 1/3 点,8 から 10 は 38 2/3 点の違いです.9 から 10 は 21 1/3 点の違いです.

4 人の場合,6 から 7 は 11 点,6 から 8 は 26 点,6 から 9 は 45 点,6 から 10 は 68 点の違いです.7 から 8 は 15 点,7 から 9 は 34 点,7 から 10 は 57 点の違いです.8 から 9 は 19 点,8 から 10 は 42 点の違いです.9 から 10 は 25 点の違いです.

以上の理由から,ロストフは,他と比べて,6 の代の手が多くなりやすいです.ミゼール以外の
7 の代以上の手は,親が確実に取れる勝負を取るのを見るだけになりがちなので,接戦の 6 の代の方が,カード勝負は,面白いことが多いです.それでも,ラスパシーの点が相対的に高く,ラスパシーが勝敗を決してしまうことは,サンクトペテルブルク風と変わりません.

2013年8月6日火曜日

ドゥラークまたは“ばか” (1) 基本ルールとバリエーション

プレフェランスとは別の意味で旧ソ連諸国で盛んなゲームです.日本に例えると,ドゥラークは家族や友人が賭けずに遊ぶので大貧民,プレフェランスは学生や社会人,お偉いさんが賭けて雀荘のようやクラブやオンラインゲームで遊ぶので麻雀のような存在です.この名前と遊び方にもかかわらず,チェスの元世界チャンピオン カルポフやプロのカードプレーヤー ジェレズニャコフによると,2 人勝負のドゥラークは,最も知的に難しいトランプゲームのひとつです.

(2013.11.12) カード勝負のルールに不明点の多い十字軍式を削除しました.全体を読み直して,説明を補足し,細かい表現を直すとともに,修正履歴が長くなり過ぎたので,削除しました.
(2013.11.13) たらい回しのバリエーションに“待った”を,手札のバリエーションに等差数列を,攻守のルールのバリエーションに“くるくる”をそれぞれ追加しました.“くるくる”のロシア語名は,配り切り(дорожный)か交換(круговой)と同じですが,ルールは異なります.1週以上するカード勝負のルール,круговойの意味,および“ばか”との言葉の相性のよさを考えて,名づけました.“山積み”のカード補充の誤りを正すとともに,すべてのカードを取らないでよいバリエーションがあることを追記しました.一度削除した十字軍は,矛盾点の多いカード勝負のルールは,“くるくる”と同じルールを記述し切れていないと解釈するのが自然なので,復活させました.
(2013.11.14) durbetsel.ru の“без названия(無題)”のルールを,ダイヤの9を特別扱いする“くるくる”のバリエーションとして追記しました.
(2013.11.16) 引き分けに関するルールを書き足しました.
(2013.11.17) 飛び入りのルールを詳しくしました.
(2013.11.19) バリエーションに,変わる切札,バルチック,大きさでも印でも,チュホンスキー,見えない切札,裏返しを追加しました.
(2013.12.18) チーム戦の配り手の決め方を追記しました.

人数とカード


2~6 人.4 人か 6 人の場合,個人戦も,2 人か 3 人のチームに分かれて戦うこともできます.チーム戦では,同じチームの人は隣りに座らないようにします.2 人のチーム 3 つで戦うときは,各チームを 1,2,3 として,1,2,3,1,2,3 の順に座ります.4 つの印ごとに Т(A),К(K),Д(Q),В(J),10,9,8,7,6 の 36 枚のトランプを使います.この 36 枚組が,ロシアで普通に売っているトランプです.

目的


手札を人より先になくしてゲームから抜け,最後までゲームに残る“ドゥラーク(ばか)”にならないようにします.

カードの強さ


切札は他の印のカードに勝ちます.切札以外は,印が違うカードに勝てません.印が同じカード同士では,強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7,6 です.

カードを配る


最初にカードを配る人は,好きな方法で決めます.その後は,“ドゥラーク”が配り手です.チーム戦では,“ドゥラーク”のチームが,チームの中で自由に配り手を決めます.なお,前の手が引き分けなら,前の“ドゥラーク”が,引き続き配り手を務めます.

配り手は,全員にひとり 6 枚の手札を配ります.次の 1 枚を表向きにして場に置き,残りを伏せて直角に交わるように重ね,表向きのカードが何かわかるようにします.表向きのカードと同じ印が切札です.伏せたカードと表向きのカードが山札で,表向きのカードは,最後の山札です.

最後のカードまたは好きなカードを 1 枚抜いて表向きにする人もいます.手札に 5 枚以上同じ印がある場合,配り直しにする人がいます.表向きのカードが A の場合,配り直しにする人がいます.切札の 6 を手にしたら,いつでも表向きのカードと交換できるとする人がいます.

6 人の場合,カードを配り切るので,配り手は最後の 1 枚を全員に見せてから自分の手に入れます.このカードの印が切札です.

攻めと守り


このゲームには,いつも攻め手と守り手が 1 人ずついます.最弱の切札を持つ人が最初の攻め手で,2 手目以後は,“ドゥラーク”の左隣(ドゥラークが最後に攻める)または右隣(ドゥラークが最初に守る)のどちらを最初の攻め手にするか事前に決めます.最弱の切札を持つ人を探すには,まず切札の 6 を持つ人がいないか聞き,持っている人は,切札の 6 を全員に示してから,最初の攻め手になります.6 を持つ人がいなければ,同じように 7,8 と続けます.誰も切札を持っていなかったら,どうするかその場で決めてください.攻め手の左隣が守り手です.

攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.守り手は,攻め札 1 枚につき,勝つ手札を 1 枚表向きに,攻め札が見えるように重ねて出します.

同じ大きさの手札は,攻め札としてまとめて一度に出せるとする人がいます.

飛び入り


“飛び入りあるいは飛び込み (подкидной) ドゥラーク”というルールでは,守り手がすべての攻め札に守り札を出すたびに,攻め手および守り手の味方でない人は,場に出ている攻守のカードと大きさが同じ手札を,攻め札として追加できます.追加の攻め札を出す順番は自由で,特にルールはありません.追加する攻め札は,場に出ている攻め札の横に並べて置きます.攻め札が 6 枚になるか,守り始めたときの守り手の手札が 5 枚以下なら,その枚数になったら,攻め札を追加できません.

追加を,いつも攻め手から始め,攻め手が終わったら時計回りで次の人というように順番に行う人もいます.順番はないが,攻め手が追加しないと,他の人は追加できないとする人もいます.順番はないが攻め手をいつも優先する人もいます.4 人以上の個人戦で,攻め札を追加できる人を,守り手の両隣りの 2 人だけにする人がいます.多人数の個人戦では,はじめの守り手が不利なので,最初の守り手,あるいは,守備に成功する人が出るまでは,攻め札を 5 枚以下に制限する人がいます.

攻守の終わり


出された攻め札すべてに守り札を出せば,守備は成功で,出せないか出すのを止めたら,守備は失敗です.守備が成功したら,場に出たカードは伏せて片付け,次の手まで使いません.守備が失敗したら,失敗した守り手は,自分と攻撃側が出したすべてのカードを自分の手札に加えます.

守備が失敗したとき,攻め札が上限まで出ていなければ,攻撃側は,上限まで攻め札を追加できるとする人がいます.

手札の補充と上がり


守備が成功か失敗したら,攻め手は,手札が 5 枚以下なら,手札が 6 枚になるまで,山札をもらいます.攻め手が終わったら,手札が 5 枚以下の人は,時計回り順に手札を 6 枚に戻し,最後に守り手が手札を補充します.山札がなくなったら,手札を補充しないで,手札を 0 枚にした人は上がりでゲームから抜けます.山札があるうちは,手札を使いきっても,手札を補充しなければなりません.

攻守の交代


守り手が失敗したときは,守り手の左隣が次の攻め手です.守り手が成功し,上がっていないときは,次の攻め手になります.守り手が成功して上がったときは,その左隣が次の攻め手です.どの場合も,次の守り手は,次の攻め手の左隣です.

勝敗


守備と手札の補充が終わったとき,手札を持っているのが 1 人か 1 チームだけなら,その人かチームが負けです.敗者は攻守の途中では決まらないので,攻め手の最後の 1 枚の手札での攻めを守り手が最後の 1 枚の手札で守ったら,引き分けです.引き分けを認めないなら,この場合,守り手の負けとします.

負けた人は,“ドゥラーク”とよばれます.ロシア語でアホ,バカ,まぬけの意味のありがたくない称号です.“イワンのばか”の“ばか”の原語です.パーティーなどで遊ぶ場合,ドゥラークになった人は,お酒を一杯飲む,帽子をかぶるなどします.

切札でない 6 が 1 枚だけ,または 6 が 2 枚以上だけの手札の相手に攻められて負けるのは,特に不名誉な負け方です.

戦術


ドゥラークは珍しいタイプのゲームなので,慣れないと戦い方も分からないと思います.ドゥラークの戦術の記事を参考にしてみてください.

たらい回しドゥラーク


“たらい回し (переводной) ドゥラーク”では,攻め手の最初の攻め札と同じ大きさの手札を守り手が出すと,この守り手が攻め手になり,その左隣りの人が守り手になります.たらい回しを起こしたカードは,はじめの攻め札と共に攻め札になります.新たに守り手になった人も同じようにできるので,守り手が一周して,初めの攻め手が守り手になることもあります.守り手になる人の手札が攻め札より少ない場合,たらい回しはできません.

攻め手が 1 巡するまでは,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡は,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡で認める場合,最後の守り手を越えるなら,反時計回りに回す人もいます.

切札は,出さずに見せるだけで,たらい回しできるとする人がいます.ただし,たらい回しが 1 週したあとは,切札でも出さなければならないとするのが普通です.

単純なドゥラーク


“単純な (простой) ドゥラーク”は,すべてのバリエーションの元になった古いルールです.飛び入りがありません.攻め手は,好きな手札を 1 枚,または同じ大きさの手札 2 枚を攻め札にできます.守り手の手札の枚数より多い攻め札は出せません.

守備が失敗したとき,守られた攻め札と守り札は,守り手が取らないで,片付けるとする人がいます.攻め札の出し方のバリエーションも参照してください.

バリエーション


ロシア語版 Wikipedia や,その多くのバリエーションの元ネタである www.durbetsel.ru の“Правила игры в дурака” (ドゥラークのルール) に書かれているものだけで 40 を超えるバリエーションがあります.また,アルメニア式と 2 度目のチャンスとポーカーのようにバリエーションを組み合わせることもあります.この記事では,pagat.comによれば“まれ”で,ロシア語のルール記述では全く言及されないことが多い 52 枚のトランプを使うバリエーション,パーティーゲーム的なもの,ルール記述が理解できなかったものを除いて紹介します.

競技ルール


  • ロシア選手権のルール.人数は 2 人,トランプは,普通のドゥラークと異なり 6 を抜いた 32 枚,あとバックギャモンのダブリングキューブを 1 つ使います.カードをシャッフルし配るのは,プレーヤーでなく,専門のディーラーです.プロを含めたロシア頂上決戦では,会場のカジノ“コスモス”がディーラーを務めました.15 点を先に取った人の勝ちです.第 1 局の先攻は,トランプを 1 枚ずつ引いて決め,以後は互先です.カード勝負のルールは,飛び入りドゥラークですが,普通と異なり,引き分けは認めません.相手を負けまたは下りに追い込むと 1 点です.ダブリングキューブを持つ人は,相手にダブリングキューブを渡し,ゲームの点を 2 倍にしてゲームを続けるか,下りるか選ばせることができます.手の始めは,2 人どちらも,ダブリングキューブを使えます.なお,このルールの参考情報は,コメルサントの記事“Гроссмейстеры подкидного дурака (飛び入りドゥラークのグランドマスターたち)”(www.kommersant.ru/doc/21092),www.marriage.ruのロシア頂上対決の記事“Русский дурак в "Космосе" (カジノ“コスモス”でのロシア・ドゥラーク)”(www.marriage.ru/durak/),および 1997 年 12 月 14 日版モスコフスキー・コムソモリェツ紙の記事“Как карпов своего подопечного сдал(カルポフが弟子から離れたら)”(http://holio.ru/99/160)です.

グループ戦


  • 2 対 2.2 人のチーム 2 組で遊びます.ペアどうしは向かいあって座ります.個人でなく,チームが負けます.先に上がると,味方が 1 対 2 で戦うことを考える必要があります.
  • ペア戦の変種.2 人のチーム 2 組で遊ぶとき,1 人が上がったら,手の残りは個人戦にします.

カードの強弱


  • 日本式 (ヤポンスキー),あるいは“スペードにはスペードを”.スペードに勝てるのはスペードだけで,切札でも勝てません.また,スペードは切札になれません.切札表示がスペードなら,切札はなしです.スペードの女王をスペード最強のカードにする人がいます.切札表示を使わないで,ダイヤを常に切札にすることもあります.
  • 切札なし.切札なしで遊びます.
  • 自分の切札.ひとりずつ自分専用の印を切札にします.攻め手が自分の切札で攻めても,守り手には,切札としての効果はありません.攻め手が切札で攻めたら,守り手は切札で応じなければならないとする人がいます.
  • 印なし.切札以外の印の違いを区別しません.例えば,切札でない J には,どの Q でも勝てます.
  • ロワイヤル.6 に勝つのは A だけです.切札の A は,どの 6 にも勝てます.その上,同じように,A に勝つのは 6 だけとする人がいます.
  • 隠し切札.切札表示の下か側に 1 枚カードを伏せておきます.このカードが最後の山札で,切札表示はその 1 つ前の山札です.切札表示を取ったときに,このカードを表向きして全員に見せ,手が終わるまで,切札をこのカードの印に変えます.
  • 変わる切札.守り手が守りきったとき,最後に守りで出したカードと切札表示を交換してから,カードを片付けます.切札は,新しい切札表示の印に変わります.

少人数または多人数


  • 飛び入りダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは飛び入りできますが,攻めと守りはできません.
  • プレーするダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは,攻め,飛び入り,守りがすべてできます.
  • ダブル.36 枚のトランプ 2 組を使います.攻め札と印も大きさも同じカードを守りで出すと,飛び入り禁止になるとする人がいます.

手札の変形


  • 取り替え.攻守が終わり,山札があるなら手札を補充したあと,全員が,自分の手札を左隣の人に渡して,時計回りに手札を交換します.
  • 使い切り.手札の補充は,手札を使い切ったときしかできません.
  • マガダン式.6 枚の手札を 1 枚は手に,残り 5 枚は目の前に伏せて配ります.伏せてある手札は使えません.守り札を 1 枚出すたびに,伏せてある手札から好きな 1 枚を手に入れます.手札を補充するときは,手札の枚数に,伏せてある手札も含めます.山札がなくなったら,全員が,伏せた手札をすべて手に入れます.
  • 等差数列.手札を 1 人 1 枚ずつ配ります.最初の手札の補充では,手札が 2 枚になるまで補充します.2 度目は 3 枚,3 度目は 4 枚と,山札がなくなるまで補充の枚数を 1 枚ずつ増やし続けます.
  • ポーカー.手札が 6 枚以下なら,守る前に手札を 2 枚捨て,山札から 2 枚補充できます.
  • ポー ランド式.手札なしで始めます.場の中央にカードを表向きに 1 枚置きます.この印が切札です.残りのカードは山札で,切札を囲むように伏せて広げます.配り手の左隣は,好きな山札を 1 枚取り,表向きにして,切札の上にのせます.その左隣の人から順に時計回りに,山札から好きなカードを 1 枚引き,右隣の人が置いたカードに勝てるならその上にのせて守り,もう 1 枚カードを引いて,左隣の人への攻め札としてその上にのせます.勝てないなら,右隣の人が置いたカードと山から引いたカードの合計 2 枚を手に取り,山をめくって,表向きのカードの山の上に攻め札として表向きにしてのせます.手にカードがあるときは,山札を引けず,守り札も,次の人への 攻め札も手札から出します.山札がなくなったら,守れないときは,一番上のカード 3 枚を取ります.次の人は,カードを取った後に一番上になったカードに対して守り札を出します.
  • 印合わせ.手札なしで始めます.山札の一番上のカードを表向きにして場におきます.最初の人から順に,時計回りに,山札がなくなるまで,次のようにします.山札の先頭のカードを 1 枚めくります.このカードが場のカードのどれか 1 枚と同じ印で強いなら,このカードとその場のカードの合計 2 枚を手に入れ,山札の次のカードをめくって場に置きます.そうでなければ,めくったカードを表向きにして場に置きます.めくったカードが,場の複数のカー ドに勝てるときは,勝てるカードのうち,好きな 1 枚を取ります.山札の最後のカードの印が切札です.また,最後のカードは,場のカードを全部取ります.この後は,飛び入りかたらい回しのルールでゲームを 行います.一番弱い切札を持つ人が,最初の攻め手です.
  • 十字軍.手札なしで始めます.全員にカードを 1 枚ずつ表向きに配ります.一番大きなカードを配られた人から順に,時計回りに,次のようにします.まず,山札から 1 枚カードを引きます.引いたカードをのせられるカードがあれば,その上にのせて,自分の番を終えます.表向きのカードには,大きさが 1 つ上のカードをのせられます.A には,6 をのせられます.のせられるカードが 2 枚以上あるときは,時計回りに見て自分に一番近いカードの上にのせます.どこにものせられなければ,引いたカードを手札に加えて,自分の番を終えます.山札がなくなったら,全員が,自分の目の前にあるカードの山を手札に加えて,ゲームを始めます.切札はダイヤですが,クラブに勝てるのはクラブだけです.“くるくる”のルールで,手札にダイヤの 6 がある人が,最初に手札を出します.
  • 裏返し.手札の背を自分に向け,自分はカードが見えず,相手には見えるように持ちます.守り手が,攻め札を守るカードを出せたら,飛び入りできます.守り か飛び入りで間違ったカードを出したら,出ているすべての攻め札と守り札を手に入れます.カードを取った人の左隣が次の攻め手です.

山札を使う攻守


  • アルメニア式あるいはアルバニア式.手札の代わりに,山札の一番上のカードをめくって攻め札を出せます.
  • 2 度目のチャンス.守りに使える手札がない場合,山札をめくり,それが使えるなら出し,使えないなら手札に加えます.

山札の変形


  • チュクチ式.手札を配り終えたら,切札表示ごと山札を片付けます.
  • 配りきり.人数で割り切れるように,低いカードを適切な枚数取り除いてから,山札を残さずに,すべて手札として配りきります.最後に配るカードは,全員に見せてから,配り手の手に入れます.この印のカードが切札です.
  • リサイクル.山札があるうちは,守備が成功したとき,2 回に 1 度は場に出たカードを片付けないで,山札に戻します.
  • 見えない切札.ゲームに参加しない配り手が,手札を配ったあと,切札表示を表向きにしないで,山札の底のカードを見て,その印を切札として告げます.

飛び入り


  • アメリカ式.誰も飛び入りのカードを出せない場合,守り手が,自分の手札で飛び入りして,それを自分で守れます.
  • ずるい.守れない攻め札を出した人は,守り手の代わりにそのカードを守って,自分の手札を減らし,守り手が取るカードを増やせます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 厚かましい.“ずるい”に,飛び入りを始めるときは,自分で出したカードを自分で守るというルールを付け加えます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 飛び入り禁止.たらい回しのルールで,飛び入りは認めません.攻め札と同じ大きさのカードが手札にあるときは,一緒に出さなければなりません.
  • 雪崩.6 枚でなく,守り手の手札の枚数まで飛び入りできます (playset.ru のブログ記事 дурака до завала に紹介されていました).
  • 大きさでも印でも.同じ大きさだけでなく,同じ印のカードでも飛び入りできます.

たらい回し


  • 待った.残り 2 人で,攻め手が最後の 1 枚の手札を出したとき,その相手は,攻め手に手札がないにもかかわらず,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 1.飛び入りのときも,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 2.たらい回しされた人は,たらい回しを起こしたカードだけ守ればよいとします.
  • バルチック.守り手は,攻め札を守るとき,守り札と同じ大きさの手札が別にあれば,一緒に出せます.こうすると,攻め手と守り手が入れ替わり,もとの攻め手は,守り手が一緒に出したカードをすべて守らなければなりません.

攻守のルール


  • くるくる.全員の手札の枚数ができるだけ同じになるように,カードを配り切ります.山札はありません.最後のカードは,全員に見せてから,配り手の手札に入れます.このカードの印が切札です.配り手の左隣から順に,時計回りに,場の一番上のカードに勝つ手札を 1 枚その上に出すか,場の一番下のカードを 1 枚取って手札に加えます.場にカードが 1 枚もないときは,好きな手札を出せます.ゲームに残っている人数と同じ枚数のカードが場に出たら,場のカードを片付け,最後にカードを出した人が,次にカードを出します.場のカードが取られてなくなったら,最後にカードを取った人の左隣が,次にカードを出します.ダイヤの9を,次の2つの特別な働きがあるカードにする人がいます.ダイヤの9が手札にある人が最初に手札を出します.他のカードの上にダイヤの9を出したら,出ている枚数に関係なく,場のカードを片付けて,次に手札を出せます.
  • 中国式.切札表示はなく,スペードが常に切札です.ただし,クラブにはクラブしか勝てません.攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きで出します.攻め手の左隣から順に,時計回りに,一番上の表向きのカードに勝つ手札を 1 枚表向きで出します.出した手札は,新しい一番上のカードになります.表向きのカードが 5 枚になったら,片付けます.この場合,最後に手札を出した人が,次の攻め手です.手札が出せないか,出したくないなら,表向きのカードの一番下を手札に入れ,他を片付けます.この場合,カードを取った人の左隣が,次の攻め手です.山札を残さないで,すべてのカードを手札として配りきる人もいます.10 は K に勝ち A に負けるとする人もいます.表向きのカードの枚数が,ゲームに残っている人数と同じになったら,片付ける人もいます.
  • 山積み.1 枚ずつ 3 枚の手札を配り,次のカードを切札表示として表向きにし,その上に山札をのせます.攻め手が攻め札を 1 枚出し,その左隣が守ります.守れた攻め札と守り札は,片付けないで,場においておきます.守り札を出せたら,次の攻め手になります.守れないか,守りたくなければ,場にあるカードをすべて取ります.この場合次の攻め手は,カードを取った人の左隣です.山札があるうちは,攻守が済むたびに,手札が 2 枚以下の人は,手札が 3 枚になるまで補充します.守れなかった攻め札が切札なら最後の 5 枚,そうでなければ最後の 3 枚を取るとする人もいます.
  • チュホンスキー.カードをすべて,なるべく同じ枚数になるように,手札として配りきります.最初の攻め手は,1手目は配り手の左隣,2手目は,配り手の左隣か右隣かどちらか決めておきます.ぐるぐるか中国式のように,順番に大きいカードを出します.枚数の制限はありません.Aが出たら,出されたカードをすべて片付けます.このとき,次に手札を出すのは,Aを出した人です.出せるカードがないか,出したくない人は,一番上のカードを1枚取り,残りのカードを片付けます.このとき,次にカードを出すのは,カードを取った人の左隣です.

単純なドゥラークの攻め札


  • ペア.手札は 5 枚です.手札の補充でも,手札を 5 枚に戻します.1 枚,大きさが同じカード 2 枚と他の 1 枚,あるいはペア 2 組と他の 1 枚を攻め札として出せます.
  • グループ.基本のルールはペアで,3 枚組と 4 枚組も攻め札にできます.3 枚組には他の 1 枚を付けられません.

その他


  • お人好し.守り手が失敗しても,順番を飛ばさずに,次の攻め手になれます.
  • 弱虫.飛び入りでない攻めには,最強の手札しか出せません.
  • 点数制.守ったカード数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れたカード数を数えます.
  • 絵札.10 以上の攻め札を守った枚数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れた枚数を数えます.
  • 肩章.攻め札と飛び入りで,同じ大きさのカード2枚を同時に出した回数が一番少ない人を敗者とします.
  • ダウト.守りのカードは伏せて出します.このカードが守れていないと疑う人は,“うそ!”,“ダウト”などといい,カードを表向きにします.守れていたら,ダウトした人が,出されたカードをすべて取ります.守れていなかったら,守り手が,出されたカードをすべて取ります.