2013年7月31日水曜日

ブロートまたはブロットまたはベロート(1)

ブロート(Belote)は,フランスでは 1920 年代に普及した歴史の浅いゲームであるにも関わらず,同国で一番人気のあるトランプゲームです.古くはBelotteとも綴られたので,“ブロット”とカナ表記することも多いです.オランダでは,非常によく似たゲームが,長らく国民的ゲームとして遊ばれてきました.また,この2カ国とは離れた地域に広く分布し,旧ユーゴ(ベロート),ブルガリア(ブリッジベロート),ギリシャ(ブルロートとヴィーダ),キプロス(ピロータ),アルメニア(ブロトとバザールブロト),サウジアラビア(バルート)などでも人気があります.ウクライナの黒海沿岸でもデベルツという名で遊ばれています.フランス以外は,オスマントルコ領だったことがあるという共通点がありますが,これらの国に囲まれたトルコでは,ブロートが盛んだという記録を見たことがありません.

(2013.8.14) 発祥が比較的新しい1910~20年代と考えられているのに,言語が互いに通じない国に,記録もなく国際的に普及した不思議なゲームなので,分布の不思議さについて書き加えたくなりました.
(2013.8.15) カードの出し方のルールがわかりづらいと感じたので,書き方を変えました.
(2013.8.16) 目標点がいろいろあることを分かるようにしました.
(2013.8.17) カポと同点の扱いに関するバリエーションを追記しました.
(2013.8.18) ブロートと同点が同時にあった場合の扱いを明記しました.
(2013.8.21) コアンシュのルールを詳しくするとともに,全体の構成を見直しました.
(2013.8.24) カードを決してシャッフルしないことを強調しました.切札なしの場合の手役の扱いを追記しました.
(2013.8.29) “すべて切札(トゥ・タトゥー,tout atout)”のルールの誤りを修正しました.
(2013.9.3) コアンシュの切札なしとすべて切札のカード点計算を修正しました.
(2013.9.19) カードをシャッフルする場合について追記しました.
(2013.9.20) 表題に複数のゲーム名を挙げているので,少し,その背景を書き加えてみました.
(2013.9.21) 切札なしと手役を認める場合,9の4枚組を手役と認める人もいることを書き加えました.

人数とカード


2人のチーム2組の4人.チームは向かい合って座る.印ごとに,1(A),R(K),D(Q),V(J),10,9,8,7の8枚がある32枚のカード.

ゲームの目標


目標点を超えること.目標点は,1000点,500点などがよく使われます.

カードの強弱と点数


カードの強弱と点数は,切札と切札以外で違います.切札以外のカードは,強い順に,A,10,R(K),D(Q),V(J),9,8,7 で,点数は,Aが 11点,10が10 点,R(K)が4点,D(Q)が3点,V(J)が2点,それ以外が0点です.切札は,強い順に,V(J),9,A,10,R(K),D(Q),8,7 で,点数は,V(J)が20点,9が14点,他は切札以外と同じです.

配り手を決める


1人1枚ずつカードを引いて一番小さいカードを引いた人が,最初にカードを配ります.このときのカードの順序が強弱順か手役順かは,事前に決めてください.そのあとは,前の手でカードを配った人の右隣の人が配ります.

カードを配る(1)


最初にカードを配るときは,配り手が,シャッフルなどで,カードをよく混ぜます.普通は,このとき以外は,カードを混ぜないで,2組のチームが取ったカードの山を重ね合わせるだけです.切札を決めるときの判断には,配られるカードが直前の手のカード勝負で出されたように並んでいることを活用して構いません.

4手連続で誰も切札を指名しなかったときは,カードをシャッフルすることがあります.

配り手は,カードの山を左隣の人に渡します.左隣の人は,カードの山を2つに分けます.配り手は,2つの山を,分ける前と上下が逆さになるように重ねて1つに戻します.

配り手は,自分の右隣の人から順番に,反時計回りに,3枚ずつ,ついで,2枚ずつ伏せて配ります.その次のカードを表向きにして場に置きます.

 

切札を決める


全員が,5枚の手札を手に取り,配り手の右隣の人から順に,反時計回りに,表向きのカードの印を切札にするかパスするか言います.4人全員がパスしたら,2周目は,表向きのカードの印以外で切札にしたい印を言うかパスします.2周目も全員がパスしたら,カードを集め,配り手を交代して,配りなおします.誰かが切札を決めたら,後の人の発言を待たずに,残りの手札を配ります.

2周目に切札の種類として,4つの印の他に,“切札なし (サン・ザトゥー,sans atout)”,“すべて切札 (トゥ・タトゥー,tout atout)”を認めることがあります.

2周目に誰も切札を選ばなかったら,配り手が切札を選ばなければならないとすることがあります.これを“ヴァシュ(la vache)”といいます.

カードを配る(2)


切札を決めた人は,表向きのカードを自分の手札に加えます.配り手は,自分の右隣の人から順番に,反時計回りに,切札を決めた人には2枚,他の人には3枚のカードを1度に配ります.

主なバリエーションの中には,コアンシュ(coinche)のように,切札をせりで決めるものがあります.この記事の末尾をみてください.

カード勝負


8枚の手札で8回のカード勝負を行います.1回目のカード勝負は,配り手の右隣,残りの 7回は,直前のカード勝負に勝った人が先手です.先手は,好きな手札を1枚表向きにして,場に出します.残りの3人は,先手の右隣から順に,反時計回りに,次のルールに従って,手札を1枚場に出します.
  • 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
  • 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているなら,切札があれば出す.
  • 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
  • 切札を出す義務がある場合,勝っているカードに勝つ切札があれば出す.
4人が1枚ずつ手札を出したら,1回のカード勝負は終わりです.切札が出た場合,最強の切札,そうでなければ,先手の印で最強のカードを出した人が,カード勝負に勝ちます.カード勝負に勝った人は,4枚のカードを取り,裏返して,自分と味方が取ったカードの山の上にのせます.

すべて切札では,切札は他の印に負けないので,カードの強弱が切札順になり,勝っているカードに勝つカードを出す義務があることを除けば,“切札なし”と同じで,先手の印で一番強いカードが勝ちます.

先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているとき,それに勝つ切札がないなら,切札に限らず好きなカードを出してよいとすることがあります.

ブロート(belote)・ルブロート(rebelote)


切札のR(K)とD(Q)が手札にあるとき,1枚目を出すときブロート,2枚目を出すときルブロートということで,20点をもらえます.ルブロートは言わなくてもよいとする人と,ブロート,ルブロートのどちらか一方でも言い忘れると,この点はもらえないとする人がいます.

“切札なし”にはブロート・ルブロートはなく,“すべて切札”では,最大4組のブロート・ルブロートがあります.

ブロート・ルブロートでは,先にR(K)を出さなければならないとすることがあります.

手役 (アノンス,annonces)


手役は,認める人と認めない人がいます.1回目のカード勝負に手札を出すとき,あるいは,8枚の手札を手にしたら,手札にあり得点したい組み合わせの種類をすべていいます.続きは,強さと違い,A,R(K),D(Q),V(J),10,9,8,7の順で続いているかをみます.同じカードは,2つ以上の手役に使えません.
  • V(J)の4枚組: 200点
  • 9の4枚組: 150点
  • A,10,R(K),D(Q)の4枚組: 100点
  • 同じ印の5枚以上の続き: 100点
  • 同じ印の4枚続き: 50点
  • 同じ印の3枚続き: 20点V(J) の 4 枚組: 200 点

最強の手役を持つチームは,申告して公開した手役の点をもらえます.手役の公開は,2回目のカード勝負の前,あるいは手役を申告するとき直ちに行います.役の強弱は,次のように判定します.得点の多い役が強く,100点どうしは,4枚組の方が強く,同じ役どうしは,一番上のカードが上の方が強く,一番上のカードが同じときは,切札が強いです.同じ役で一番上のカードが同じで,どちらも切札でないときは,両チームの手役とも無効です.役の上下を比べるときのカードの上下は,続き役には続き用の順序,4枚組には切札の強弱順を使います.

切札なしのときは,Aの4枚組を200点,10の4枚組を150点,R(K),D(Q),V(J)の4枚組を100点にし,9の4枚組は100点役と認める人も認めない人もいます.

点数計算


両チームが,カード勝負で取ったカードの点数の合計を計算します.このとき,取ったカードの順番を変えないようにします.手の最後の8回目のカード勝負に勝ったチームは,それに10点を加えます.8回全勝したチームは,10点の代わりに100点を加えます.

どの点をどのチームが得るかは,切札を選んだチームが成功したか,失敗したか,同点かによって変わります.切札を選んだチームの成功・失敗・同点の判定には,カードの点数だけを使う,カードの点数とブロート・ルブロートの点を使う,カードの点数とブロート・ルブロートの点と手役の点を使うという3つの流儀があるので,事前にどれにするか決めてください.

切札を選んだチームの点数が,そうでないチームより多いときは,切札を選んだチームの成功(勝ち)で,両チームとも,それぞれ得た点を記録します.切札を選んだチームの点が,そうでないチームより少ないときは,切札を選んだチームの失敗(負け)で,切札を選んだチームの点は,ブロート・ルブロートを除いて相手の点になります.同点のときは,切札を選ばなかったチームは,直ちに点を記録しますが,切札を選んだチームの点は,次の手の勝者に持ち越されます.このときも,ブロート・ルブロートの20点は例外で,切札を選んだチームでも直ちに記録できます.

同点の扱いは複雑なので,例を示します.判定にブロート・ルブロートの点を含めるとして,Aチームが切札を選んで,カードで71点,ブロート・ルブロートで20点の計91点,Bチームがカードで91点を得たとすると,同点です.この手では,Aチームは,ブロート・ルブロートの20点を記録し,残りの71点は次の手に持ち越します.Bチームは,この手で91点を記録します.

切札なしの場合,最後の10点を含むカード点が130点しかないので,カード点を2倍にすることがあります.すべて切札の点も2倍にすることがあります.

カード勝負に1勝もできなかったら,手役の点を,全勝した相手に渡すことがあります.

ブロート・ルブロートの20点を宣言したチームに保障しないで,同点のときの持ち越し,失敗のときの明け渡しの対象にすることがあります.

点数の記録と勝敗


電子的な手段を使わないときは,手ごとに点数を10点単位に丸めて記録することが多いです.10点単位に丸める場合,五捨六入します.五捨六入だと,末尾が6のとき合計点が170になるのを嫌うなら,五捨七入し,6は点の高いチームを切り上げ,低いチームを切り下げます.

紙を使う場合,誰か1人が点数の記録を担当します.スコアシートは,自分のチームと相手のチームの2つの欄に分けます.縦線で2つのチームを分け,左側に自分たちのチーム名(フランス語だとnousのNを使うことが多い),右側に相手チームの名前(同じくeuxのE)を書いて,その下に累計点を書き加えていきます.

チップを使う場合,10,50,100点用のチップを使います.500点のチップも使うと,卓上のチップ数が減らせて,点数が分かりやすくなります.

先に目標点を超えたチームが,ゲームに勝ちます.両チームが同じ手で目標点を超えた場合,点の多いチームを勝ちとします.同点の場合,1手延長戦を行います.

カポされた手で得た点での勝ちを認めないことがあります.この場合,1手延長戦を行います.

サイン(アペル, appels)


捨て札で,出して欲しい印,出して欲しくない印を相手に伝えることが認められます.事前にパートナーとどのサインを使うか相談します.
  • 長さのサイン(la longue).Aを捨てると,その印に,複数の勝てるカードがあることを示します.
  • 直接サイン(appel direct).ある印の弱いカードを捨てると,その印にAなどの勝てるカードがあることを示します.
  • 間接サイン(appel indirect).ある印のカードを捨てると,同じ色のもう1つの印にAなどの勝てるカードがあることを示します.
  • クロスサイン(appel indirect croisé).間接サインを同じ色の印でなく,ハートとクラブ,スペードとダイヤで出します.
  • 逆サイン(appel négatif).ある印のカードを捨てると,その印を先手で出して欲しくないことを示します.
  • モダンサイン(appel moderne).先手と同じ色の印を捨てると捨てた印がよいことを,違う色だと捨てた印が悪いことを,それぞれ示します.
  • 絵札を捨てたら,その印が悪いことを示します.
  • ブロート.切札の先手に,ブロートでR(K)を出すと,R(K)とD(Q)以外の切札がないことを示し,D(Q)を出すと少なくとも3枚の切り札があることを示します.
  • 切札のA.パートナーの切札のV(J)に対して,切札のAを出すと,切札の9が手にないことを示します.

次の2つは,サインというより,定石的なカードの出し方という方がよいかもしれません.
  • 切札を選んだ人が,最初の先手で,切札以外のAを出すと,切札のV(J)が手にないことを示します.
  • 切札を選んだ人が,最初の先手で,切札以外の7~9を出すと,V(J)以外の切札がほとんどないことを示します.

コアンシュ(coinche)


せりで切札を決めるバリエーションです.コントレ(contrée)とも呼ばれます.手役を認めるものをコアンシュ,認めないものをコントレと区別することもあります.

8枚の手札を,3枚,2枚,3枚で一度に配り切ります.

全員が8枚の手札を手にしたら,配り手の右隣の人から順に,反時計回りに目標点数をせり上げます.点数は,80~160点の10点単位の点または最大の目標であるカポです.点数とあわせて,切札の種類をいいますが,切札はせりの比較対象にはなりません.せりに出られないか,せり上げられない人はパスします.パスしても,せりに戻れます.

相手チームの目標に対して,達成を阻めると考えるなら,“コアンシェ (coinchée)”といえます.コアンシェは,点を倍にします.相手チームに“コアンシェ”を言われたら,“シュール・コアンシェ (コアンシェ返し)”といえます.これは,点を4倍にします.

3人が続けてパスするか,コアンシェ,シュール・コアンシェ,カポが言われたら,せりは終わります.なお,カポ(ジェネラルも)にも,コアンシェを言えるとする人と,言えないとする人がいます.

切札なし(サン・ザトゥー),すべて切札(トゥ・タトゥー)のカードの合計点が162点でないのは,不都合なので,次のようにします.
  • 切札なしの場合,Aを19点にするか,点数に162を掛けてから130で割る.
  • すべて切札の場合,Jを14点,9を9点,Aを6点,10を5点,Kを3点,Qを1点にするか,点数に162を掛けてから258で割る.
卑見に過ぎませんが,1つの印の点の合計が38点になるように,比例配分に比較的に近いカード点を決めた方がよいように感じます.例えば,切札なしは,Aが15点,10が14点,R(K)が4点,D(Q)が3点,V(J)が2点,すべて切札は,V(J)が12点,9が8点,Aが7点,10が6点,R(K)が3点,D(Q)が2点です.

成功するには,点数が,せり落とした点以上でなければなりません.同時に,相手の点より多くなければならないとする人もしない人もいます.相手の点より多いことを求めない場合(contréeではこれが普通です),80点でせりに勝ったら,80対82でも成功です.

点数計算の方法は,複数の記述が一致することがないぐらい多様です.ここでは2つの方法を紹介します.

ひとつは,手に勝ったチームが,ボーナス点だけを記録する方法です.ボーナス点は,せり落とされた点です.カポ宣言は,250点です.コアンシェ,シュール・コアンシェがあったら,ボーナス点をそれぞれ2倍,4倍にします.

もうひとつは,ブロート風の点数に,手に勝ったチームがボーナス点を足して記録する方法です.コアンシェの倍はボーナス点だけに付きます.この場合,目標点は2~3倍にします.コアンシェ,シュール・コアンシェのときは,負けたチームは勝ったチームに引渡し対象の(普通はブロート・ルブロートの20点は渡さない)点を渡します.カポに失敗したときは,成功したときと同じ250(252)+250=500点を相手が記録します.

1 人で全勝する“ジェネラル”をせりでいうのを認める人がいます.ジェネラルはカポより上で,ボーナス点は,350,500,700,1000 などがあります.

 

切札の印をせる


ブリッジ・ベロートは,ブルガリアで盛んなルールです.8枚の手札を配り切ってから,点数でなく切札をせります.切札の順位は,ブリッジ順で,下から上へ,クラブ,ダイヤ,ハート,スペード,なし,すべてです.コアンシェ,シュール・コアンシェに相当するコントラ,レコントラも言えます.

キプロスのピロータは,同じく切札をせります.切札の順位はプレフェランス順で,スペード,クラブ,ダイヤ,ハート(,なし,すべて)です.

2013年7月30日火曜日

Rules of Russian Preferans (2) Other Variants

Kazakhstan's


With greedy and responsible whists, slightly eased penalties against soloist and reduced points for all-pass, it is a mirror image of subtle Rostov, and seen as a very dynamic game.

The game points are quadruples of those of Sochi, a six-trick game is worth 8 points, seven 16, eight 24, nine 32, and ten and misere 40.

The pool is usually 120 points.

The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game.

The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else but a passing partner, but including the dealer of a four player game, writes the same amount in the whists against him/her as a prize. Some players do not score the undertrick prizes at all. The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist).

When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

Some players use "over-greedy whist" where there are no shared responsibility of partners and only personal responsibility matters. Personal quota is 2 tricks in a six-trick game and 1 for seven- through nine-trick games. If two players whist, a whister pay penalties if he/she does not take personally required number of tricks, regardless of number of tricks taken by the partnership as a whole. If only one player whists, his/her quota is still the same as when two do, games are always played closed, and tricks taken by the passing partner do not belong to anyone. Some apply the "over-greedy" rule only when there are two whisters.

All-pass games are played without the widow, and a player taking the least number of tricks writes 10 points for each trick taken by an opponent in each of his/her whists against that player. If there are two such players, tricks taken by the other player is equally divided between them. One who does not take any tricks writes two points in the pool unless he/she is the dealer of a four player game who scores nothing. Some allows the dealer to write two points in the pool.

Some players exchange cards before all-pass games. The eldest hands add the two cards of the widow without showing them to his/her hand and discards two face down to form a new widow. The second and the youngest hand do the same in this order.

The minimum bid and points of all-pass games do not change. Some raise trick points of all-pass games like 10-20 or 10-20-30.

Pool points in excess of the pool size are treated just like in Sochi.

Finn's


A "racing" variant popular in Odessa, it is, unlike other conventions, more focused on getting pool points than not losing much in all-pass or failed games.

The pool is 40 points. Every player writes a half of that, 20 points, on his/her hill before starting.

Misere is overbid by 9 spades. "Misere hand" is not allowed.

There are prizes for quick tricks in the widow in four player games. Dealer writes in his/her whists against the soloist the following: one trick for an Ace or a pair of King and Queen of one suit, two tricks for a pair of Ace and King of one suit, and three tricks for two Aces.

Ten trick games are whisted with one trick quota. When two players whist against 8, 9 or 10 trick games, the second whister is responsible.

Whist-Pass-Half-whist is allowed.

The soloist writes the game points off from the hill and writes the same amount in the pool for a successfully played game.

The soloist writes twice the game points for each undertrick if the game is not misere, and everyone else, excluding passing partner but including dealer of a four player game, writes the same amount in the whists against him/her as a prize. The whisting partner records the prize that would belong to the passing partner in other variants as his/her, in addition to his/her own. The soloist writes twice the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

The whister writes twice the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. The tricks include those taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist).

When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes twice the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

All-pass games are played with the widow, and each one writes two point on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes two points in the pool if it is not full, in which case he/she writes two points off from the hill. The points are forfeited if the pool is full and the hill is empty. It is rare to increase minimum bid or points of all-pass tricks.

The first player to make his/her hill empty writes in each of his/her whists against the other players 60 points when four play, and 80 points in three player games.

The first player to fill his/her pool writes 120 points in each of his/her whists against the other players.

When a pool becomes full, points to be written there are written in pool with the smallest room. When a hill becomes empty, points to be written off from there are written off from the smallest hill. One who does so writes 10 times the points given in his/her whists against the recipient.

A game ends when a player fills his/her pool. A game can also be finished when everyone agrees. In that case pool size minus pool points are added to each player's hill before the calculation of outcome.

VMK or Seleznevka


VMK is a Russian acronym for Computer Mathematics and Cybernetics, a faculty of Moscow State University where this variant is said to have originated and remains popular. It is Sochi with some elements from Rostov and Piter.

Soloist can resign by writing three undertricks on the hill.

Whist-Pass-Half-whist is not allowed.

If two partners whist against 8 or 9 trick games, both are responsible and share hill points equally when they do not take any tricks.

10 trick games are checked and not whisted.

Two partners must whist against a game of 6 spades ("Stalingrad").

The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game. He/she can also choose to write the points off from his/her hill if the game is not whisted.

The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including the passing partner and the dealer of a four player game writes 10 points for each undertrick of the soloist in the whists against him/her as a prize. The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist).

When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

All-pass games are played with the widow, and each one normally writes two points on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes one point in the pool.

After an all-pass game, the minimum biddable number of tricks is raised to 7 and points for all-pass games are doubled. A whisted and successfully played game brings this back to the normal -- six tricks and no doubles for all-pass.

Pool points in excess of the pool size are either treated just like in Sochi, or used to write points off from one's own hill. Soloist can freely choose between them.

Two-player game


There is always a dummy player to the left hand side of the dealer. The dummy is the eldest hand who always passes in bidding and whisting. Its hand remains hidden until a whister opens it. A whisting player can choose to whist alone against games at six or seven tricks, in which case the hand of the dummy is not used at all and the whister aims to take two tricks in a six-trick game and one in seven. Some do not allow this and allow "half-whist" instead. If a whister whists with the dummy, the hand is played just like open whists in three player games.

The widow and the hand of the dummy player is not used in all-pass games.

"Rogue (Razboynik)"


It is played on its own as a variation for two players, and less frequently by three or four players in contemporary games. It was also the first half of the "classical" preferans. There are no bidding and the second hand is always the soloist. When three or four players play, the designated soloist is either the eldest or the second hand, by prior agreement between players. The soloist has to name all the games from his/her own list of games, one game at a time and each game only once. The list of "small rogue" is 10 games of 6 spades, 6 clubs, 6 diamonds, 6 hearts, 6 no trump, any 7 trick once, any 8 trick once, any 9 trick once, any 10 trick once and misere once. The "large rogue" is 14 games of 6 spades, 6 clubs, 6 diamonds, 6 hearts, 6 no trump, 7 spades, 7 clubs, 7 diamonds, 7 hearts, 7 no trump, any 8 trick once, any 9 trick once, any 10 trick once, and misere once. The "extra large rogue" is 30 games of 6 to 10 trick games in 5 trumps and misere five times.

The soloist must name number of tricks and a trump before turning the widow up if it is a six-trick game in "small rogue", a six- or seven-trick game in "large rogue", or all the trick games in "extra large rogue". Misere must be named before the turning of the widow as usual. For the other trick games he/she names number of tricks before seeing the widow and a trump after that.

The opponent must whist with dummy and open hands in a two player game. When three or four play some say both partners must whist and some say the first partner whists and the second passes. The hands of the partners are open in both cases. Some allow closed whists.

A game ends when every player finishes playing all the games in his/her list.

Racing


A "racing" game is made of four rounds or as many rounds as number of players. In each round players aim to be the first one to fill the pool or one to have the smallest hill, each of whom receives large amount of bonus in his/her whists. The reward for filling the pool is larger than that for losing least, usually by one and a half.

The following is a rule for racing game based on Piter.

Minimum bid and points for all pass games go up as in the normal Piter, that is, 6, 7, 7, 7... and 2, 4, 6, 6, ...  A whisted and successfully played game brings back the normal state of six tricks and 2 points.

A round is 22 points or 17 points, that should be agreed upon before. If the limit is reached when minimum bid and points for all-pass games are raised, it is extended until an exit from the all-pass mode.

First dealer of a round is the left hand side neighbour of the first dealer of the previous round.

A first hand of a round is an all-pass.

Soloist cannot resign by writing three undertricks.

Players are forced to whist against 6 trick games ("Stalingrad").

10 trick games are whisted and not checked.

When two players whist against 8, 9 or 10 trick games, both are responsible.

When a game is not whisted and successful, the soloist can either write the points in the pool or write them off from the hill.

When a player including dealer in a four player game does not take any tricks in an all-pass game, he/she can either write the points in the pool or write them off from the hill.

If there's a failed misere, following hand is an all-pass without doubles (2 points) if the soloist won a trick, with doubled points if two, and with tripled points if three or more.

If there's a failed 9 or 10 trick game that overbid misere, following hand is an all-pass without doubled points if the soloist was in short of one trick, with doubled points if two, and with tripled points if three or more.

The first player to fill the pool in a round writes 300 points in each of his/her whists againts the other players. Player with the smallest hill at the end of a round writes 200 points similarly. The points are shared equally in case of a tie.

At the end of all rounds, one with highest total of pool receives 300 point bonus and smallest total hill 200, just like a round.

Important options


Because the rules have many options, important ones are summarised here.
 - Jump bids (to call bids higher than lowest ones the rules allow): allowed or not allowed
 - Exit from all-pass: 6 (not tightened); 6, 7, 7 (tightened); 6, 7, 8, 8 (hard)
 - Exit from all-pass when soloist fails, if the game played is misere, or if the game played is not whisted.
 - Misere: outbid by a 9 trick game; outbid by a 9 trick game which is outbid by misere hand which is outbid either a 9 trick hand or a 10 trick non-hand game by prior agreement by players.
 - Soloist's resignation (without 3 no whists): allowed or not allowed
 - Whist requires for 6 spades (Stalingrad): not allowed
 - Games at ten tricks: checked without whisting, or whisted with partners' quota of one trick
 - Whist-Pass-Half-whist in games at six- or seven-tricks: allowed or not allowed
 - Opening lead of soloist in open games other than misere: with open hands or closed hands
 - Opening lead of soloist in misere: with open hands or closed hands
 - Widow in all-pass: used like Sochi or not used like Rostov
 - Whist is greedy or gentlemen's
 - Whist is responsible or half-responsible
 - Responsible whister in eight to ten trick games if two whist: second whister or both
 - Trick points of all-pass (progressive or not): 1, 1, 1 (no progression); 1, 2, 2, 2; 1, 2, 3, 3 (arithmetic); 1, 2, 4, 4 (geometric). Doubled for Piter.

The Code of Preferans of 1996, as a tournament-oriented guideline, recommends the following.
 - Jump bids (to call bids higher than lowest ones the rules allow): not allowed
 - Exit from all-pass: 6
 - Various conditions for exit from all-pass: by agreement
 - Misere: misere, 9 spades
 - Soloist's resignation (without 3 no whists): not allowed
 - Whist requires for 6 spades (Stalingrad): not allowed
 - Games at ten tricks: whisted
 - Whist-Pass-Half-whist in games at six- or seven-tricks: by agreement
 - Opening lead of soloist in open games other than misere: with open hands
 - Opening lead of soloist in misere: with closed hands
 - Widow in all-pass (used or not): by agreement
 - Whist is greedy or gentlemen's: by agreement
 - Whist is responsible or half-responsible: by agreement
 - Responsible whister in eight to ten trick games if two whist: second whister
 - Trick points of all-pass (progressive or not): by agreement

2013年7月29日月曜日

ウルティ

ハンガリーを代表するゲームです.強力な手を作れる反面次の人を利さないように注意する必要がある手札交換,自由度の高いせりのシステム,組み合わせ目標を個別に採点する得点システムなど魅力的な要素が多いです.参考資料は,次の 3 つです.
  • 英語とハンガリー語の Wikipedia の記事 (ハンガリー語は読めないので得点表だけ見ました)
  • "Rules of Ulti (Modified 4M standard) Recorded by Csaba Biro"
  • www.pagat.net の記事. 

(2013.7.30) パスしてもせりに参加できることがわかりやすい書き方に改めました. 配り方の表現が断定的すぎたので,さまざまなバリエーションがあることがわかる表現に改めました.スブコントラより上のコントラの間違いを直しました.

人数と道具


3 人.ハンガリー風の 32 枚組のカード.手に入らないときは,4 つの印ごとに A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 の 32 枚で代用できます.

ハンガリー風のトランプは,もともと同じ国だったオーストリア,旧ユーゴスラビア,ルーマニアの一部などでも広く使われています.4 つの印は,ハンガリー語では,ハートの型が赤,鈴の形がかぼちゃ,葉の形が緑,どんぐりの形はそのままどんぐりを意味する言葉で呼びます.カードの位は,強い順に,切札があるときは,2 (A),X (10),王 (K),上 (Q),下 (J),IX (9),VIII (8),VII (7),ないときは,2 (A),王 (K),上 (Q),下 (J),X (10),IX (9),VIII (8),VII (7) です.切札があるときは,カード点があり,2 (A) と X (10) が各 1 枚 10 点,10 回目のカード勝負に勝つと 10 点,手札に同じ印の王 (K) と 上 (Q) のペアがあると,切札は 40 点,それ以外は 20 点です.

カードを配る


最初にカードを配る人は,好きな方法で決めます.以後は,反時計回りに順番に交代します.配り手は,カードをシャッフルし,左隣の人に渡します.左隣の人は,カットするか,カードの山に軽く触れます.右隣のひとから反時計回りに,全員に 5 枚ずつ,右隣りに 7 枚,後の 2 人に 5 枚ずつと配ります.カットしたときは,12枚,10枚,10枚,しなかったときは,はじめだけ 7 枚,あとは 5 枚ずつという配り方もあります.1〜2枚に細かく分けて配ることを勧める人もいます.

せり


せりでは,カード勝負で達成する目標をいいます.目標は組み合わせられます.また,最後に言われたものより上なら何でもよく,VII (7) を持っていないときのウルティなど,達成不可能な目標を言うことも,目指す目標と無関係なことを途中でいうことも認められます.

配り手の右隣の人は,12 枚の手札から 2 枚の不要札を伏せて場に捨ててから目標とするゲーム種別をいいます.ついで,反時計回りで順番に,目標を言いたければ,伏せられた 2 枚のカードを手に入れ,不要な 2 枚を伏せて捨ててから,先に言われたものより上の目標をいいます.目標を言いたくなければ,伏せられた 2 枚の札を次の人に伏せたまま渡します.目標を言わなくても,せりが続く限り,後の自分の順番に言えます.3 人が続けて目標を言わなかったら,せりは終了です.最後に目標を言った人が,それを自らの宣言として親になり,残りの 2 人が子になります.親は,赤以外を切札にする場合,切札にする印を言います.

最低の目標である赤以外のゲーム (パス,パルティ) で立った親は,この時点で,勝負せずに下りることができます.このとき,親は,2 人の子に 2 点ずつ渡します.この下りを任意でなく強制にする人もいます.

目標


せりで言える目標と点数は,次のとおりです.“40-100”と“ゲーム”のように,ある目標を達成すると必ず達成できる目標や,切札ありと切札なしのように相反する目標でなければ,自由に組み合わせられます.せりでの上下は,合計点の大小で比べ,同点の場合,目標数が少ない方を上とします.例外として,“40-100 とドゥルヒマルシュ (4+6=10)”と“ウルティとドゥルヒマルシュ (4+6=10)”は,“赤のウルティ (8+2=10)”と“赤の 2 (A) 4 枚 (8+2=10)”と同点でなく上とみなす人がいます.また,目標数を比べないで合計点だけを比べる人もいます.目標数を比べず,“ゲーム”の 1~2 点を除いた合計点だけを比べ,同点の場合,“ゲーム”の点を足して比べる人もいます.

(1) 切札ありの目標


切札がある目標は,赤を切札にする“赤の(目標名)”と,それ以外を切札にする“(目標名)”があり,“赤の”は点数が倍になります.目標の組み合わせをいうとき,目標ごとに“赤の”を繰り返す必要はありません.

  • ゲーム (パス,パルティともいう).1 点.カード点で子に勝つ.ペアのカード点だけで勝つことは認められず,少なくとも 1 回はカード勝負に勝たなくてはいけません.親が捨てた 2 枚のカードの点は子のものです.“ウルティ”,“2 (A) 4 枚”以外の目標がある組み合わせとは複合しません.
  • ウルティ (ウルティモ).4 点.10 回目のカード勝負に最低の切札 VII (7) で勝つ.単独では言えません.“2 (A) 4 枚”を認める場合,ともに単独で言えない“2 (A) 4 枚”との組み合わせでは,他の目標も組み合わせる必要があります.“ゲーム”との組み合わせは,省略して“ウルティ”といいます.ウルティを宣言した親は,ルールの許す限り,切札の VII (7) を手に持ち続けなければなりません.ウルティに失敗した場合,この 4 点の他にペナルティとして 4 点を失います.このペナルティには,赤の倍は適用されますが,ウルティへのコントラの倍は適用されません.
  • 40-100 (しじゅうひゃく,よんじゅうひゃく).4 点.切札のペア 40 点以外のペア点を認めないで,カード点を 100 点以上取る.
  • 20-100 (にじゅうひゃく).8 点.親の 20 ひと組以外のペア点を認めないで,カード点を 100 点以上取る.
  • ドゥルヒマルシュ.6 点.全勝する.切札ありの場合,他の目標と組み合わさないといけないとする人もいます.7 点にする人もいます.
  • オープンドゥルヒマルシュ.赤でも赤以外でも 24 点.1 回目のカード勝負が終わったら,全員が手札を公開する条件で,全勝する.なお,2 人の子は作戦を議論してはいけません.赤以外が切札のときは 12 点にする人もいます.切札ありの場合,他の目標と組み合わさないといけないとする人もいます.手札を公開するのは親だけにする人もいます.

つぎの目標を認める人もいます.

  • 2 (A) 4 枚.4 点.4 枚の 2 (A) をとる.単独では言えません.ともに単独で言えない“ウルティ”との組み合わせでは,他の目標も組み合わせる必要があります.“ゲーム”との組み合わせは,省略して“2 (A) 4 枚”といいます.ドゥルヒマルシュとは複合しません.

(2) 切札なしの目標

全勝または全敗を目指します.同じ内容で点数が倍になる目標があります.倍の目標は,切札がないにも関わらず“赤の”と言う人がいます.また,切札ありのドゥルヒマルシュと同じように,手札の公開が選べます.手札を公開すると,点数が 4 倍になります.

  • ベトリ.5 点.全敗する.
  • レベトリまたは赤のベトリ.10 点.全敗する.ベトリと点数以外の違いはありません.点数が倍になるので,切札がないのに“赤の…”と言うことがあります.
  • オープンベトリ.20 点.1 回目のカード勝負が終わったら,全員が手札を公開する条件で,全敗する.なお,2 人の子は作戦を議論してはいけません.手札を公開するのは親だけにする人もいます.
  • ドゥルヒマルシュ.6 点.全勝する.
  • レドゥルヒマルシュ.12 点.全勝する.ドゥルヒマルシュと点数以外の違いはありません.
  • オープンドゥルヒマルシュ.24 点.1 回目のカード勝負が終わったら,全員が手札を公開する条件で,全勝する.なお,2 人の子は作戦を議論してはいけません.切札ありのオープンドゥルヒマルシュを 12 点にする場合,せりで,切札の有無を言わなければなりません.手札を公開するのは親だけにする人もいます.

カード勝負


10 枚の手札で 10 回のカード勝負を行います.1 回目は親が,2 回目以降は,直前のカード勝負の勝者が,先手になります.先手は,手札を 1 枚表にして場に置きます.ついで,反時計回りに順番に 1 枚ずつ手札を表にして場に置きます.このとき,先手と印が同じ手札があれば出さなければなりません.そうでない場合,切札があれば出さなければなりません.さらに,このルールが許す範囲で,すでに場に出てるカードに勝てる手札があれば出さなければなりません.一番強い切札,切札が出なかった場合,先手の印で一番強いカードを出した人がその回のカード勝負に勝ちます.勝った人は,カード勝負に出された 3 枚のカードを自分の手元にまとめておきます.切札がある場合,勝った人は,カード勝負に出た 2 (A) と X (10) 1 枚につきカード点 10 点を得ます.10 回目のカード勝負に勝った人は,10 点のカード点を得ます.

ペアの宣言


切札があり,100 か全勝系の目標が宣言されていない場合,同じ印の王 (K) と上 (Q) のペアを持っている人は,1 回目のカード勝負にカードを出すときに,切札のペアなら“40”,切札以外のペアなら“20”ということで,言っただけのカード点を得ます.ペアを構成するカードを公開する必要も,場に出す必要もありません.なお,複数のペアがある場合,点数を足しあわせず,“40 と 20”,“20 ふた組”のようにいいます.

コントラ


子は,1 回目のカード勝負に手札を出すとき,親の宣言のうち破れると思う目標に対してコントラと言えます.例えば,“40-100 とドゥルヒマルシュにコントラ”です.親は,1 回目のカード勝負に 3 人がカードを出し終わったとき,コントラを言われた目標のうち対抗できると考えるものに対してレコントラと言えます.例えば,“40-100 にレコントラ”です.実戦ではまれですが,レコントラより上の応酬も認められ,子のスブコントラ,親のモルドコントラ,子のヒルシュコントラ,親のフェダーク・シャーリなどと続きます.最後のフェダーク・シャーリは有名なオペラ歌手の名で,その場で思いついた言葉を言ったのが定着したらしいです.これらを言うたびに,コントラは 2 倍,レコントラは 4 倍,スブコントラは 8 倍,ヒルシュコントラは 16 倍のように,指定した目標に関する点数が倍になります.この倍は,切札ありの場合,どちらの子が言っても両方の子と親の間に,切札なしの場合,言った子と親の間の点数授受に適用されます.

1 回目のカード勝負の勝者は,レコントラやそれ以上の倍が終わるのを待ってから,場に出たカードを回収し,2 回目のカード勝負に入ります.

出来役


ベトリ以外の手で,親が宣言していない目標を親か子が達成したら,達成した側が以下の点を得ます.赤が切札のときは倍になります.ベトリの他に,ドゥルヒマルシュでも認めない人がいます.

  • 黙ってウルティ.2 点.10 回目のカード勝負に切札の VII (7) を出して勝ったとき.また,10 回目のカード勝負に切札の VII (7) を出して負けたら,その人が他の 2 人に対して 1 人あたり 4 点を払います.子が失敗した場合,精算を親子間でなく,失敗した子と他の 2 人で行うことに注意してください.
  • 黙って 100.2 点.カード点で 100 点以上取ったとき.ペアによる 40,20 の点がいくつあっても構いません.“ゲーム”の点を置き換えます.ゲームへのコントラが効くとする人がいます.
  • 黙ってドゥルヒマルシュ.3 点.全勝したとき.親の“ゲーム”の点を置き換えるという人も,“ゲーム”の 1 点に加算して 4 点にする人もいます.ゲームへのコントラが効くとする人がいます.

2 (A) 4 枚を認めるとき,黙って 2 (A) 4 枚に 2 点を認める人がいます.

点数計算


宣言の目標ひとつずつと出来役を,別々に採点します.目標の一部が失敗しても,成功した目標の点を得られます.
  • 親が達成した目標と出来役に対し,それぞれの子は,目標か出来役の点数を親に払います.親子間に目標へのコントラがあれば,コントラ,レコントラなどに応じて点数を倍にします.
  • 親が達成できなかった目標と子の出来役に対し,親は,目標か出来役の点数を子ひとりずつに払います.親子間に目標へのコントラがあれば,コントラ,レコントラなどに応じて点数を倍にします.

例えば,親が赤のウルティを宣言し,ウルティにもゲームにもコントラがなく,ゲームは未達成,ウルティは達成したら,赤のゲームで 2 点を失うので,子ひとりにつき 2 点ずつ計 4 点を払い,赤のウルティで 8 点を得るので,2 人の子から 8 点ずつ計 16 点をもらいます.

(参考) せりの階層


せりで指定できる組み合わせとその順位は複雑なだけでなく,人により異なるので,表にして全員が見えるようにしておくとよいでしょう.“2 (A) 4 枚”なし,“オープンドゥルヒマルシュ”は常に 24 点で目標数を比較する例を示します.

(1) 1 点: ゲーム
(2) 2 点: 赤のゲーム
(3) 4 点: 40-100
(4) 5 点 (2 目標): ウルティ
(5) 5 点 (1 目標): ベトリ
(6) 6 点: ドゥルヒマルシュ (切札ありは認めない人もいる)
(7) 8 点 (2 目標): 40-100 とウルティ
(8) 8 点 (1 目標): 赤の 40-100,20-100
(9) 10 点 (2 目標): 赤のウルティ
(9') 10 点 (2 目標,(9) より上にする人あり): 40-100 とドゥルヒマルシュ,ウルティとドゥルヒマルシュ
(10) 10 点 (1 目標): レベトリ (赤のベトリ)
(11) 12 点: レドゥルヒマルシュ,赤のドゥルヒマルシュ (認めない人もいる)
(12) 14 点 (3 目標): 40-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
(13) 14 点 (2 目標): 20-100 とドゥルヒマルシュ
(14) 16 点 (2 目標): 赤の 40-100 とウルティ
(15) 16 点 (1 目標): 赤の 20-100
(16) 18 点: 20-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
(17) 20 点 (2 目標): 赤の 40-100 とドゥルヒマルシュ,赤のウルティとドゥルヒマルシュ
(18) 20 点 (1 目標): オープンベトリ
(19) 24 点 (2 目標): 赤の 20-100 とウルティ
(20) 24 点: オープンドゥルヒマルシュ
(21) 28 点 (3 目標): 赤の 40-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
(22) 28 点 (2 目標): 赤の 20-100 とドゥルヒマルシュ,40-100 とオープンドゥルヒマルシュ,ウルティとオープンドゥルヒマルシュ
(23) 32 点 (3 目標): 40-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ
(24) 32 点 (2 目標): 赤の 40-100 とオープンドゥルヒマルシュ,赤のウルティとオープンドゥルヒマルシュ,20-100 とオープンドゥルヒマルシュ
(25) 36 点: 20-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ,赤の 20-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
(26) 40 点 (3 目標): 赤の 40-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ
(27) 40 点 (2 目標): 赤の 20-100 とオープンドゥルヒマルシュ
(28) 48 点: 赤の 20-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ

(参考) UltiNet.hu の点数


目標と点数は,人により大きく異なります.例えば,オンラインサイトの UltiNet.hu では,次の通りです.組み合わせは合計点だけを比較しますが,ウルティ,2 (A) 4 枚,X (10) 4 枚 と複合するパルティの点は数えません.
  • パルティ (ゲーム): 1 点
  • 2 (A) 4 枚: 3 点
  • 40-100: 4 点
  • ウルティ: 4 点
  • ベトリ: 5 点
  • 20-100: 6 点
  • ドゥルヒマルシュ: 7 点,切札ありのドゥルヒマルシュは,他の目標との組み合わせを要します.
  • X (10) 4 枚 (切札ありで X (10) を 4 枚取る): 9 点

出来役は,黙って 100 が 1 点,黙ってウルティが 2 点,黙ってドゥルヒマルシュが 4 点です.黙ってドゥルヒマルシュは,ドゥルヒマルシュだけでなく,2 (A) 4 枚,X (10) 4 枚の宣言があっても認められません.これより,X (10) 4 枚は,2 (A) 4 枚,ドゥルヒマルシュと同系列の目標であることがわかります.したがって,これらは互いに複合しません.

Rules of Russian Preferans (1) General Rules and the Major Variants

Since there do not seem to be any descriptions of way-too-many variations in the game in English (it's a Russian game, anyway), I am tempted to roll my own...

Players and cards


Preferans (преферанс, sometimes préférence) is a game for three or four players. Dealer sits out in a hand he/she deals when four play. Everything in the game is done clockwise. A pack of 32 cards common in the continental Europe is used. There are eight cards in each of the four suits: A, K, Q, J, 10, 9, 8 and 7 from high to low.

Seating


Each player draws or cuts a card. One who draws or cuts the lowest card picks a seat first, followed by the next lowest, and so on. An ace ranks low below 7 only in this case. Suits are compared when there is a tie. Order of the suits are hearts, diamonds, clubs and spades from high to low, the same as in the bid ladder.

Deal


Dealer of the first hand is chosen by any means. A player to the left of the dealer deals in the next hand. The dealer shuffles cards, and after having them cut by his/her right hand neighbour, deals ten cards to each player and a widow of two cards in a batch of two, starting from the player to his/her left. The widow can be dealt at any time so long as they are not the first or the last cards.

The dealer deals again in case of a misdeal. If it is a misdeal again, he/she writes one undertrick of a six-trick game on his/her hill and the next player deals.

Auction


Bidding starts from the eldest hand, that is the left hand neighbour of the dealer, and continues until only one player is left or all players pass. A bid is a combination of a trump suit and number of tricks to be taken, for example "6 (in) clubs". A bid with larger number of tricks outbids one with less, and among bids with same number of tricks, spades ranks lowest, followed by clubs, diamonds, hearts and no trump in this order from low to high. The suits are also known by their numbers: spades as one, clubs as two, diamonds as three, hearts as four, and, less often than the others, no trump as five. The lowest number of tricks one can bid is usually six, that is always omitted when suits are called by their numbers and often still when they are called by their names. Therefore, one can bid, from low to high: "(6) spades" or "one," "(6) clubs" or "two," "(6) diamonds" or "three," "(6) hearts" or "four," "(6) no trump," "7 spades" or "7 in one," "7 clubs" or "7 in two," ..., "10 hearts" or "10 in four," and "10 no trump."

When a player cannot make a bid, he/she says "pass" and drops out from the auction. Once a player passes, he/she may not bid again in that hand.

In order to remain in an auction, one has to make a next higher bid in the ladder if the previous bid was made by an elder hand, and repeat the last bid by a younger hand. Some allow bids higher than these, although it is advantageous to make lowest possible bid even in this case so that these two options are effectively the same.

Here are some examples of bidding:
 - A: Pass, B: Spades, C: Pass
 - A: Spades, B: Pass, C: Clubs, A: Clubs too, C: Diamonds, A: Pass.
 - A: Pass, B: One, C: Two, B: Also Two, C: Pass

One can also call misere, that is a bid to lose all ten tricks. It should be called at one's first chance in an auction. One who called anything cannot call it, and one who called misere cannot call anything else either. A bid of 9 spades overbids misere. Some allows a special bid of "misere hand" (misere without the widow) by a caller of misere when it's overbid. Some say that 10 spades overbids misere hand, others say that it is "9 spades hand."

When all three players pass, a game called "raspasovka" or "raspasy" in Russian, or "all-pass" is played. Some raise minimum bid, points of all-pass games, or both after an all-pass game ("St. Petersburg" convention).

Exchange of widow and soloist's declaration


The last player to remain in the auction becomes the soloist. The other two players try to spoil the soloist's game as temporary partners. The soloist turns the widow open for everyone to see, add them to his/her hand, and discards two cards face down. Then, if he/she did not bid misere, names a game he/she is going to play. It must be equal to or higher than his/her bid in the ladder. For example, if the soloist won an auction by "(6) diamonds", he/she can name 6 diamonds, 6 hearts, 6 no trump, or any games at 7 or higher but he/she cannot say 6 spades or 6 clubs. One cannot play misere unless he/she called it, and who called misere cannot play anything else.

Some players score points for quick tricks in the widow or for refusing it ("Rostov" convention).

Some allow the soloist to invite the dealer in high risk games like misere when four play. If dealer accepts the invitation, he/she shares profit or losses equally with the soloist.

Some players allow the soloist to resign without playing the hand after looking at the widow. He/she writes points for three undertricks, that are number of tricks in short of the stated goal, on the hill to do so.

Partners' declarations


Starting from the one sitting left to the soloist, the partners say "whist" if he/she is willing to take required number of tricks and "pass" otherwise. Whisting player(s) have to take 4 tricks if the game is at six, 2 tricks if seven, and 1 trick if it's eight or nine. There are no requirements for ten-trick games or misere. The partners do not say "whist" or "pass" in these games. They are played in special ways because there are no whisters. Some players set 1 trick requirement for games at ten tricks and play them like the others.

If two players whist, they try to take the required number of tricks together. When they fail to do so, one who failed to reach one half of the requirement is deemed responsible and scores penalty. When the requirement is one, some players make the second whister, or who said "whist" after, solely responsible; and some make both equally responsible and share penalty points equally.

If only one player whists and the other passes, tricks taken by the passing partner belong to the whister and he/she is solely responsible for taking the required number of tricks. The whister has an option of playing "up" or "closed", and "down" or "open". In a "closed" game, three players play holding their cards in their hands. In an "open" game, the partners reveal their hands face up on the table and the whister plays hands of the passing partner as well as his/her own.

If the two partners pass, the soloist is assumed to have won 10 tricks.

When a game is at six or seven tricks and the first partner passes, the second partner can say "half-whist" in addition to "whist" and "pass". When this occurs the first partner has to say if he/she whists or passes again. If he/she whists, the half-whisting player is assumed to have passed; if he/she passes, the half-whisting player is assumed to have won a half of the required number of tricks and the soloist the rest. When four play and there is a half-whist-pass, the dealer has a chance to say whist or pass after looking at the hand of one of the partners. Some allows the first partner to say "half-whist" after he/she said "whist" and the second partner said "pass".

When four play, a game is at eight or nine tricks (or ten if it is to be whisted), and the two partners pass, the dealer has a chance to say whist or pass after looking at the hand of one of the partners.

Play of the cards


If the game is to be played "open" or misere and the soloist is not the eldest hand, the two partners reveal their hands before the play of a hand begins. If the soloist *is* the eldest hand in an "open" game or misere, the partners reveal their hands before the opening lead if the game is not misere and after the opening lead in  misere. Some players choose different set of rules regarding when -- before or after the opening lead -- to open partners' hands if the soloist has the opening lead, for games other than misere and for misere.

In misere, the partners can take notes and discuss their moves. These actions are strictly forbidden in the other types of games.

If the game is at ten tricks and it does not require the partners to take a trick, the three players reveal their hands and play them to check if the soloist can lose some tricks, or it is played by the rules of misere, by prior agreement. There are nothing special in ten trick games if they are to be whisted.

The eldest hand leads a card to the first trick and the other players, in turn, must play a card of the suit led if he/she has one, or a card of the trump suit if he/she has one and does not have any card of the suit led, or any card otherwise. The highest card of the suit led wins a trick unless trumps are played, in which case the highest trump wins. The winner of a trick leads to the next trick.

Though not a rule, there is implicit assumption that the partners should cooperate, putting his/her own personal gains aside; he/she should not take a trick that is already his/her partner's, he/she leads low against the soloist and high against the other partner, shows his/her strong suit by first discard and weak one second, should not whist without a trick in hand but always whists with four trumps, and so on.

An all-pass game is played either with ("Sochi" or "St Petersburg" conventions) or without ("Rostov" convention) the widow, upon agreement. Players try to avoid taking tricks and there are no trumps. In an all-pass game with the widow, the first two tricks are led by turning the top card of the widow, and the eldest hand plays next. The third trick is led by the eldest hand. The fourth trick and onwards are led by the winner of previous trick. The widow just shows the suit of a trick and cannot win in three player games, while it can win tricks and belongs to the dealer when four play. An all-pass without the widow plays like the other games.

If a player failed to play a card of the suit led or trump when he/she can, there's no penalty if it is corrected within the same trick. If this is discovered in a later trick, the offending player gives at least one trick to the opponent. Any problems arising from the offence is solved to the detriment of the offending player. It is more usual to have the offender write three undertricks in his/her hill.

General rules of scoring


A score sheet is a rectangular piece of paper divided into four areas by two diagonals, with each area corresponding to a cardinal direction of a player. There's a small circle at the center, where pool size, stakes (per whist point) and other agreed upon terms are written down. A triangular area is further divided into three layers by two horizontal lines. The top section is called 'hill' and penalties are recorded. The middle one is called 'pool' and successful games are recorded. The bottom is called 'whists' and divided equally by vertical line(s) into number of other players, where tricks taken from him/her as a whister are recorded. Any points written are added to previous value. It is done by writing a new value after a previous one, separated by a period.

Size of the pool, that determines duration of a game, is usually 10, 20 or 30 points.

Game point of a six-trick game is 2, seven 4, eight 6, nine 8, and ten and misere 10.

The outcome of a game is calculated this way:
- Each player subtracts points of the smallest hill from his/her own hill, so that the smallest hill becomes zero.
- Each player multiply his/her hill by 10 and divide the result by number of players.
- Each player pay the resulting points to each opponents as points in the whists.
- The net score is (sum of points in one's own whists) minus (sum of points in the other players' whists against him/her).

Sochi's


Born in 1960's and had become the most popular form the game by early 1970's, it is regarded as the basic or the classical form of the game even today when Piter is by far the most played variant. It favours soloist more than Piter.

Some say that one must whist against a game of 6 spades. This is called "Stalingrad" because there is no way out, and some use it even when they are not playing Sochi.

The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game.

The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including passing partner and the dealer of a four player game write the same amount in the whists against him/her as a prize. The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist). Note that only whisting players score these points therefore no one writes them in misere or a 10 trick game without partners' responsibility.

When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

All-pass games are played with the widow, and each one writes one point on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes one point in the pool. There is, or, was usually no increase in minimum bid or points for all-pass tricks after an all-pass hand. Some introduce Piter-like increase of points for all-pass, although the raised state usually ends automatically after playing fixed number of hands like three.

When the pool of a player becomes full, he/she writes points of his/her successful game in the pool of a player with smallest room, and 10 times the pool points given to him/her in his/her own whists against that player in return. When all the pools become full, remaining pool points are subtracted from player's own hill.

A game ends when every player's pool becomes full. A game can also be finished when everyone agrees. In that case pool size minus pool points are added to each player's hill before the calculation of outcome.

St Petersburg's (Piter)


Its distinctive feature is progressive all-pass and tightening of exit from that condition, that can result in big win and loss. Compared with Sochi, it also favours whisters who are more difficult to play well than soloist, therefore it is easier for beginners.

The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game. Pool points are not doubled unlike the rest to make size of the pool consistent with other conventions, but it's doubled before the calculation of outcome.

The soloist writes twice the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including passing partner and the dealer of a four player game write the same amount in the whists against him/her as a prize. The soloist writes twice the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

The whister writes twice the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister shares a half of these points with the passing partner when the soloist fails (gentlemen's whist).

When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (half-responsible whist -- it is not doubled). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

All-pass games are played with the widow, and under the normal conditions, each one writes two points on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes one point in the pool.

After an all-pass game, the minimum biddable number of tricks is raised to 7 and points for all-pass games are doubled. A whisted and successfully played game brings this back to the normal -- six tricks and no doubles for all-pass.

If there is an all-pass game when the seven tricks and double rule is in effect, following games are played with the minimum bid of 7 and triple points for all-pass games in ordinary Piter. Some make it minimum of 8 and triple (hard Piter), and some 8 and quadruple. A whisted and successfully played game brings things normal again.

The game ends when the total points in the pools exceed the pool size times number of players, or agreed upon time passes. Pool points in excess of the pool size are doubled and subtracted from his/her hill, and pool points in short of the pool size are doubled and added to his/her hill before calculating the outcome.

Rostov's or Moscow's


Though much less number of games are played in some online gaming sites than the previous conventions, it is regarded as one of three major forms of the game along with Sochi and Piter. It has some distinctive features like rules and scoring of all-pass and heavy penalties for undertricks of soloists, and seen as a game for cautious and technical players.

Some score points for the widow. They counter-balance the chance factor of widow. Dealer of four player games or each partner of three player games writes the following points (in half in three player games) in his/her whists against the soloists if the widow contains: an Ace - 10 points, a King and a Queen of one suit - 10 points, an Ace and a King of one suit - 20 points, and two Aces - 30 points. Soloist writes 10 points in his/her whists against dealer in four player games and 5 against each partner when three play if he/she refuses to take the widow after turning them up and leaves them on the table.

The soloist writes game points in the pool for a successfully played game.

The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including a passing partner and the dealer of a four player game writes 10 points for each undertrick in the whists against him/her as a prize.  The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister shares a half of these points with the passing partner when the soloist fails (gentlemen's whist).

When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes a half of the game points for each undertrick on the hill (half-responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

All-pass games are played without the widow, and a player taking the least number of tricks writes 5 points for each trick taken by an opponent in each of his/her whists against that player. If there are two such players, tricks taken by the other player is equally divided between them. One who does not take any tricks writes one point in the pool unless he/she is the dealer of a four player game who scores nothing. Some allow the dealer to write one point in the pool.

The minimum bid and points of all-pass hands remain unchanged throughout the game.

Pool points in excess of the pool size are treated just like in Sochi.

2013年7月28日日曜日

ギリシャのプレフェランス (プレファ)

ロシア版のように 7 の代以上の目標がありながら 6 の代の点数にバルカン版と同じ格差がある,ミゼールがない,子の目標に遊びがない,点数計算のルールが複雑など,独特の個性があるというか,ロシア版に比べるとかなり子に厳しいゲームです.情報源は,bridge-preferance.ru などにコピーが置かれている Eric L. Ball さんの“Prefa (Greek Preference)”です.場合分けが多すぎる得点計算は,同じ結果が得られるように,筆者が整理しました.

人数


3~4 人.4 人のときは配り手が抜けます.

道具


  • 4 つの印ごとに 8 枚,32 枚組のカード.強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7.日本でもおなじみのフランス風のカードが普通に使われます.
  • スコアシート: スコアをつける人が持ちます.四角形を ⊥ で区切り,各欄の中央の上に名前を書きます.下の大きい欄がスコアをつける人の欄,後の 2 つは,着席位置に合わせます.名前の真下から下にプール点を,他の人の欄との境界線近くで紙の辺に近いところから下または上に,その人からもらった点の累計を書き加えます.

カードを配る


最初にカードを配る人は好きな方法で決めます.そのあとは反時計回りに交代で務めます.すべてのゲーム進行が反時計回りです.

配り手は,カードをシャッフルし,左隣の人にカットしてもらってから,手札 10 枚,山札 2 枚を,右隣の人から反時計回りに,3 人の手札を 2 枚ずつ,山札 2 枚,手札 2 枚ずつ,手札 2 枚ずつ…と配ります.席順は,配り手の右隣が一番早い 1 番手で,ついで,反時計回りに 2 番手,3 番手となります.

せり


せりでは,ゲームの目標を言います.目標は,切札の種類とカード勝負で何勝以上するか (6~10) の組み合わせです.切札の種類には,4つの印の他に“ノートランプ” (切札なし) を指定できます.勝ち数が多い目標は,少ない目標より上,勝ち数が同じ目標は切札を比較します.切札の順は,下から上に,スペード,クラブ,ダイヤ,ハート,ノートランプです.勝ち数の 6 は,普通は省略します.“10 ノートランプ”はありません.したがって目標を最低から順に並べると“スペード”,“クラブ”,“ダイヤ”,“ハート”,“ノートランプ”,“7 スペード”…となり,最高の目標は“10 ハート”です.“10 ノートランプ”を認める人もいます.認める場合,ゲーム点を 11 点にするか 10 点にするかも決めます.

1 番手からせりを行います.最初に言える目標は,最低の“スペード”かパスです.最初の手だけは,ダイヤの 7 が手札にある人からせりを始め,この人が次の配り手になるとする人がいます.この場合,ダイヤの 7 が山札にあったら,配り直します.

ついで,反時計回りに,残りが 1 人になるまで,せりをつづけます.せりに残るためには,最新の目標を後の番手が言ったなら,それを繰り返すか,同じく何々,自分も何々などといい,前の番手が言ったなら,それより 1 つ上の目標を言います.これらが言えないときは,パスと言って,せりから下りなければなりません.

全員がパスしたら,その手は放棄して,配り手を交代します.

せりで誰もスペードを言っていないとき,仮に出ることを認める人がいます.仮に出ると,他の人が全員パスした場合,せりに勝ち,誰かがスペードを言ったら,パスしたことになります.仮に出てせりに勝ったあと,山札を見て,6 スペード以上の目標を達成できそうにないことが分かったら,プールを 2 点増やし,他の 2 人に 2 点ずつ払って辞退できます.

親と子の宣言


最後までせりに残った人が,親になります.残りの 2 人は子となり,協力して子の目標達成を目指します.

親は,2 枚の山札を見せずに,手札に加え,不要札を 2 枚伏せて捨てます.ついで,せりの目標順でせり落とした以上 (最後に言った目標も含みます) の目標を宣言して,カード勝負の切札と目指す勝ち数を決めます.

親が山札を手札に加えたときに A が 4 枚あったら,宣言時にそれを告げると,事前に合意しただけ,例えば,プールの初期値の 1 / 10 だけゲーム点を上げる,あるいは,親が成功したら,子 1 人ずつから事前に決めたボーナス点をもらい,親が失敗したら,子 1 人ずつに事前に決めたボーナス点を払うとする人がいます.親子でボーナス点を受け渡す場合,抜けた配り手も子に含めます.

親の右隣から順に,子は,カード勝負に出るか下りるか宣言します.1 人下りた場合,残りの子は,親と 2 人でカード勝負を行うか,下りた子を連れて出て,3 人でカード勝負を行うか選びます.連れて出た方が親の宣言達成が難しくなりますが,子の得失点を 1 人で負担することになります.出た子には,子の目標があり,全 10 回のカード勝負から親の宣言勝ち数を引いた残りの勝ち数を目指します.2 人出たときは,その半分が個人目標になります.奇数のとき,あまりの 1 勝は,親の右隣の子の目標に加えます.子が 1 人出て,下りた子を連れて出なかった場合は,子の目標を 2 で割り端数を切り上げます.10 の代の宣言には子の目標がないので,子は出る下りるを言いません.10 の代の子の目標を 0 勝でなく 1 勝にする人もいます.

1 人目の子が下りて,2 人目の子が 1 人で出たとき,1 人目の子が,2 人目の子を連れて出ると言い直すことを認める人がいます.このときは,1 人目の子が 2 人目の子を連れて出たことになります.

子が 2 人とも下りた場合,カード勝負なしに宣言達成となります.点数計算は,子に目標がないので,親子ともに目標達成,親の 10 回全勝とみなして行います.

カード勝負


10 枚の手札で 10 回のカード勝負を行います.1 回目は 1 番手,2 回目以降は直前の回の勝者が,先手になります.先手は,手札から 1 枚を表に向け場に出します.先手の右隣から順に,反時計回りに,全員が 1 枚ずつ手札を表向きに場に出します.このとき,先手と同じ印の手札があるなら,出さなければなりません.先手と同じ印の手札がなく,切札がある場合,切札を出さなければなりません.一番強い切札,切札がないときは,先手と同じ印で一番強いカードを出した人が,1 回の勝負に勝ちます.

点数計算


全員のプールに,31 点,20 点,または 10 点など,あらかじめ決めた点数を記入します.プールの点はマイナス点で,プールの 1 点は,人からもらう点 10 点に相当します.全員のプールが 0 になったら終局です.1 人以外のプールが 0 点になったら,終局にする人もいます.この場合,プールに点が残っている人は,プールを 10 倍してから人数で割った結果を,他の人ひとりずつに払います.

点数計算には,ゲーム点を使います.ゲーム点は,親の宣言によって決まり,スペードは 2,クラブは 3,ダイヤ は 4,ハートは 5,ノートランプは 6,7 スペード~7 ハートは 7,7 ノートランプ~8 ハートは 8,8 ノートランプ~9 ハートは 9,9 ノートランプ~10 ハートは 10 です.

どの場合にも,連れられた子は,プール点の相殺以外では,点数を受け渡しせず,連れられた子の勝ち数は,連れて出た子のものになります.

親子ともに目標を達成したときは,親のプールからゲーム点を引き,子は“自分の勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.ここで,子の目標達成は,子 2 人の合計で判断し,個人目標は無関係です.残りのプール点がゲーム点より少なかったら,0 を超える分は,プールの残額が一番多い人のプールから引き,その人から引いたプール点の 10 倍の点をもらって相殺します.

親が目標達成に失敗したときは,親のプールにゲーム点を加え,子は“自分の勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.目標を 2 勝以上下回った場合,これらの点をすべて倍にします.4 人で遊ぶ場合,親が 1 勝不足のときは 25 点,2 勝以上不足のときは 50 点を,親が抜けた配り手に払います.

子 2 人の合計が子の目標に届かなかった場合,親と個人目標を達成した子は,“自分の勝ち数×ゲーム点”を,個人目標を達成できなかった子からもらいます.子が 2 人とも個人目標を達成していない場合,親は,子 2 人から点をもらえます.子 2 人の合計が目標を 2 勝以上下回った場合,個人目標を 2 勝以上下回った子は,渡す点を倍にします.

“もらった点の合計-他の人が自分からもらった点の合計”が成績です.

2013年7月27日土曜日

バルカン半島のプレフェランス

セルビア,クロアチアなどで遊ばれています.プレフェランスの原型に近いという説があります.情報源は,“pravila preferansa (プレフェランスのルール)”の検索結果のうちセルビア語,クロアチア語のページの機械翻訳,および ipref (www.ipref.com) のクライアントの挙動なので,セルビアのルールに偏っているかもしれません.

人数とカード


3~4 人.4 人の時は,カードを配る人が抜けます.

4 つの印ごとに 8 枚の 32 枚組.セルビアではフランス風とハンガリー風の両方を,クロアチア北部では,ハンガリー風のトランプを主に使います.アドリア海沿岸では,イタリア風のトランプを使います.印は,上から順に,ハンガリー風では,どんぐり,赤(ハート),かぼちゃ(鈴),緑(葉),フランス風では,クラブ,ハート,ダイヤ,スペード,イタリア風では,棒,剣,金貨,杯です.カードの強さは,強い順に,ハンガリー風では 2,王,上,下,10~7,フランス風では 1,王,妃,召使,10~7,イタリア風では 1,王,馬,召使,7~4 です.

カードを配る


最初にカードを配る人は好きな方法で決めます.そのあとは反時計回りに交代で務めます.

配り手は,カードをシャッフルし,左隣の人にカットしてもらってから,手札 10 枚,山札 2 枚を,右隣の人から反時計回りに,手札を 5 枚ずつ,山札 2 枚,手札 5 枚ずつの順で配ります.席順は,配り手の右隣が一番早い 1 番手で,ついで反時計回りに 2 番手,3 番手となります.

せり


せりでは,ゲームの目標を言います.目標は,下から上の順に,
  • “2 (dva)”: 緑/スペード/杯を切札にして 6 勝以上する.
  • “3 (tri)”: かぼちゃ/ダイヤ/金貨を切札にして 6 勝以上する.
  • “4 (četiri)”: 赤/ハート/剣を切札にして 6 勝以上する.
  • “5 (pet)”: どんぐり/クラブ/棒を切札にして 6 勝以上する.
  • “6 (šest)”: 切札なしで全敗する.“ベトル (betl)”といいます.
  • “7 (sedam)”: 切札なしで 6 勝以上する.親の左隣が最初の先手.セルビアでは“サンス (sans)”,クロアチアでは“サナツ (sanac)”といいます.
  • “プレー (igra)”: 山札を使わない.他の目標を言ったら言えず,これを言ったら他の目標は言えないので,最初の機会にいう必要があります.igra は,セルビア語,クロアチア語で (ロシア語でも) “遊び,遊ぶこと”の意味です.

1 番手がせりを始めます.ここで言えるのは“2”,“プレー”,“パス”のいずれかです.目標が手にあわなくても,せりに勝った後で言い直せます.

ついで,反時計回りに,残りが 1 人になるまで,せりをつづけます.せりに残るためには,最新の目標を後の番手が言った場合,それを繰り返して,“自分も何々”,“同じく…何々(moje …)”と言い,前の番手が言った場合,それより 1 つ上の目標を言います.“プレー”だけは,順番を飛び越してもよく,また番手に関係なく前の人が“プレー”でも言えます.ただし,“2”の“プレー”を目指している人は,先に“プレー”を言われたらせりから下りるべきだという人もいます.せりに残る目標が言えないときは,“パス (dalje)”と言って,せりから下りなければなりません.

“プレー”に対しては,数字を言っていなければ“プレー”と言えます.複数の人が“プレー”を言ったら,ゲームの種類を順番に言い,目標の順で上の人がせりに勝ちます.先に言われた種類に勝てなかったら,“パス”を言わなければなりません.2 人以上が同じ種類を言うのはまれなので,この場合のルールは定説がありません.先の人の勝ちとする人も,後の人の勝ちとする人もいます.“プレー”の“6”,“7”は,最初から“プレー”でなく,“ベトル”,“サンス” (セルビア語.クロアチア語では“サナツ”.以下同様) と言います.

せりで全員がパスしたら,配り手を交代して配り直すだけでなく,帽子の下に入った人がいなければ,各人のスコアシートの自分の欄に 1 つずつ,レファという欄を横断する横線を書き込みます.レファを持つ人が親になると,すべての点数が倍になります.レファで点数を倍にしたときに,短い斜線でレファを消します.レファの回数には,はじめの点数 30 点につき 1 回などの上限を設定します.

親と子の宣言


最後までせりに残った人が,親になります.残りの 2 人は子となり,協力して子の目標を目指します.2 人の子の利害が合わなくても,子の協力を優先しなければなりません.例えば,次が親のときは弱いカード,子のときは強いカードを先手で出す,もうひとりの子が勝っている勝負を奪わないなどのマナーがありますが,ルールではありません.

親は,せりで“プレー”を言わなかったときは,2 枚の山札を公開してから手札に加え,不要札を 2 枚伏せて捨てます.ついで,“プレー”でゲームの種類を言った場合を除き,親は,せり落とした以上 (最後に言ったゲームの種類も含みます) のゲームの種類を宣言します.切札は数字,それ以外は名前で言います.セルビアでは,“プレー”でせりに勝った人は,“ベトル”,“サンス”は宣言できません.クロアチアでは,“プレー”でせりに勝った人が,“ベトル”,“サンス”を宣言することを認める人もいます.

宣言が切札か“サンス”の場合,子は,親の右隣から順に,カード勝負に“出る (dođem, pratim)”か“下りる (ne dođem, ne pratim)”か言います.出る子は,子が 2 人なら 4 勝,1 人なら 2 勝を目指します.2 人とも下りた場合,カード勝負なしに親が 10 回全勝したものとして,点数計算を行います.1 人しか出ない場合,出る子は,1 人で出て ([idem] sam) 親と 2 人でカード勝負を行うか,下りた子を連れて出て (idemo zajedno) 3 人でカード勝負を行うか選べます.連れられて出た子には,点数の授受はありません.

出た子が親の目標達成を阻止できると考える場合,子が出る下りるを言い終わった後,1 回目の手札が出る前に“コントラ”といえます.2 人とも出たときは,親の右隣から順に,コントラする (kontra) かしない (može) か言います.コントラをいった子は,もう一人の子が出たか下りたかに関わらず,もう一人の子を連れて出た扱いになります.コントラは,すべての点数を 2 倍にします.

コントラを言われたとき,目標を達成できると考える親は,コントラ後 1 回目の手札が出る前に“レコントラ”といえます.レコントラは,すべての点数を 4 倍にします.レコントラを言われても,コントラを言った子は,もう 1 人の子を連れて出たことになります.レコントラ以上の子と親の倍の掛け合いも認められます.参考までに,レコントラに対抗する子は“スブコントラ”,それに対抗する親は“モルトコントラ”と言います.

“プレー”でない“2”にレファもコントラもないときは,カード勝負を行わない人がいます.例えば,セルビアでは,レファが配れる状態なら,レファを配り,配り手を交代して配り直します.レファが配れない場合,親が帽子の下なら,親が 10 回全勝したものと見なして点数計算し,そうでなければ,何もせずに配り手を交代して配り直します.レファが配れない場合,親の帽子の状態に関係なく,親を 10 回全勝とみなす人もいます.

カード勝負


10 枚の手札で 10 回の勝負を行います.最初の回は 1 番手,2 回目以降は直前の回の勝者が,先手になります.サンスの場合,親の左隣の人が最初の回の先手です.先手は,手札から 1 枚を表に向け場に出します.先手の右隣から順に,反時計回りに,全員が 1 枚ずつ手札を表向きに場に出します.このとき,先手と同じ印の手札があるなら,出さなければなりません.先手と同じ印の手札がなく,切札がある場合,切札を出さなければなりません.一番強い切札,切札がでなかったときは,先手の印で一番強いカードを出した人が,1 回の勝負に勝ちます.

子が 5 回勝ったら,手を直ちに終了し,子が 5 勝したものとみなして点数計算を行います.

点数計算


1 人に 1 枚ずつスコアシートを用意します.スコアシートには,全員分の欄を作成します.中央は自分の欄で,目標達成/失敗に伴う点を,左右は他人の欄で,左右に座る人からもらった点を記入します.欄は縦長にし,点数を更新するときは,最新の値を下に書き加えます.

ゲーム開始前に,全員の自分の欄に,30 点,60 点,100 点,120 点,150 点など事前に決めた点数を記入します.3 人の 100 点のゲームは,約 2 時間かかります.3 人の自分の欄の合計が 0 点になったらゲームを終了します.

点数計算には,ゲーム点を使います.ゲーム点は,親が宣言したゲームの種類の数字の倍で,緑/スペードから順に,4,6,8,10,12,14 となります.“プレー”の場合,2 を加えます.これに,コントラ,レコントラなどと親のレファによる倍をすべて掛けあわせます.例外として,親も子も目標を達成し,全員の自分の欄の合計がゲーム点より低い場合,ゲーム点を全員の自分の欄の合計まで切り下げます.

親が宣言した目標を達成したら,スコアシートの自分の欄からゲーム点を引きます.この結果自分の欄がゼロ以下になったら“∩”(帽子) を書いてから,その下に点を符合なしに書きます.帽子の下では,自分の欄へのすべての足し引きを逆にします.親が宣言した目標を達成しなかったら,スコアシートの自分の欄にゲーム点を足します.この結果,帽子の下の値がマイナスになったら,プラスに戻って帽子が外れたことを示すために“∪”(逆さの帽子) を書いてから,その下に点を符号なしに書きます.

切札ありかサンスの場合,出た子が 2 人の場合,子 2 人で合計 4 勝未満なら,2 勝できなかった子は,スコアシートの自分の欄にゲーム点を足します.出た子が 1 人の場合,他の子を連れなかったら 2 勝未満,連れたら子側で合計 4 勝未満なら,出た子は,スコアシートの自分の欄にゲーム点を足します.

切札ありかサンスの場合,出た子は,“ゲーム点×勝ち数”をスコアシートの親の欄に足します.下りた子を連れて出た場合,子 2 人の勝ち数は,連れて出た子 1 人のものになります.ベトルの場合,親が失敗したときに限り,子 2 人が,それぞれのスコアシートの親の欄に“ゲーム点×5”を足します.

成績は,帽子の下なら“もらった点の合計-あげた点の合計+自分の欄×10”,そうでなければ“もらった点の合計-あげた点の合計-自分の欄×10”です.全員が途中でゲームをやめることに合意したときは,自分の欄の合計が 0 になるように全員の自分の欄から同じ点数を引いてから,成績を計算します.全員の自分の欄の合計が人数で割り切れないときは,自分の欄が大きい人が端数を分け合います.3 人の場合,端数が 1 なら,自分の欄が一番大きい人から 1 点引き,2 なら,自分の欄が一番大きい人と 2 番目に大きい人から 1 点ずつ引きます.

バリエーション


子が 1 人で出るとき,何勝できるか見込みを言い,親がそれを認めたら,カード勝負なしに点数計算を行う人がいます.

コントラがあったベトルに親が成功したとき,コントラを言った子は,親が自分の欄から引いたのと同じ点を自分の欄に足すとする人がいます.

最後の手に親が失敗したら,親が自分の欄に足す点を倍にする人がいます.このとき,他の点は倍にしません.

主にセルビアで,“7”の上に,親の左隣を最初の先手にして,切札なしで全勝を目指す“8 (osam)”という目標を認める人がいます.“プレフェランス”といいます.“プレー”の場合のせりと宣言のルールは,ベトル,サンスと合わせます.ゲーム点は 16 点,“プレー”なら 18 点で,子は親が失敗したとき,親の欄に“ゲーム点×5”を足します.

プレフェランス (4)

最後は,参考情報です.

ルールの選択肢一覧


ルールのバリエーションが多いゲームなので,主な選択肢を一覧にしました.

  • せりで前と同じ/1つ上より上の目標をいうことを: 認めない/認める
  • ラスパシーの後のせりの最低目標: 6 (上げない)/6, 7, 7… (ラスパシー後は 7 の代)/6, 7, 8, 8… (1 回目のラスパシー後は 7 の代,2 回目の後は 8 の代)
  • ラスパシー状態の終了条件: 親が失敗したとき終わるか,子の目標のない手を成功させたとき終わるか.
  • ミゼールのせり: ミゼールは 9 の代にせり負ける/ミゼールに対して 9 の代をいわれたら,山札なしミゼールで対抗でき,それに勝つのは 10 の代/ミゼールに対して 9 の代をいわれたら,山札なしミゼールで対抗でき,それに勝つのは山札なしの 9 の代
  • 親が山札を引いたあとカード勝負を行わずに 3 勝不足分の失点で下りることを: 認めない/認める
  • 6 スペード宣言時の子の強制出場 (“スターリングラード”): 認めない/認める
  • 10 の代に対し子は: 確認する/子の目標を 1 勝にし,出るか下りるか言う
  • 6~7 の代で,出る,下りるの後,出るを半分出るに変えることを: 認める/認めない
  • ミゼール以外で親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 前/後
  • ミゼールで親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 前/後
  • ラスパシーで山札を: 使う/使わない
  • 子が 1 人で出て親を失敗に追い込んだときの授受点配分: 紳士な出た子/欲張りな出た子
  • 出た子が失敗した時の失点: 半責任/全責任
  • 8~10 の代の2人出の子の失点: 2 人で半分ずつ払う/2 人目の子の責任払い
  • ラスパシーが連続した時の失点: 1, 1, 1 (サンクトペテルブルク風だと 2, 2, 2)/1, 2, 2 (同 2, 4, 4)/1, 2, 3 (同 2, 4, 6)/1, 2, 4 (同 2, 4, 8), 

参考までに,競技ルール志向の“プレフェランス法典”が推奨する選択肢は,次のとおりです.

  • せりで前と同じ/1つ上より上の目標をいうことを: 認めない
  • ラスパシーの後のせりの最低目標: 6
  • ラスパシー状態の終了条件: 事前に決める
  • ミゼールのせり: ミゼールは 9 の代にせり負ける
  • 親が山札を引いたあとカード勝負を行わずに 3 勝不足分の失点で下りることを: 認めない
  • 6 スペード宣言時の子の強制出場 (“スターリングラード”): 認めない
  • 10 の代に対し子は: 子の目標を 1 勝にし,出るか下りるか言う
  • 6~7 の代で,出る,下りるの後,出るを仮に出るに変えることを: 認めるか認めないか事前に決める
  • ミゼール以外で親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 前
  • ミゼールで親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 後
  • ラスパシーで山札を: 使うか使わないか事前に決める
  • 子が 1 人で出て親を失敗に追い込んだときの授受点配分: 紳士か欲張りか事前に決める
  • 出た子が失敗した時の失点: 半責任か全責任か事前に決める
  • 8~10 の代の 2 人出の子の失点: 2 人目の子の責任払い
  • ラスパシーが連続した時の失点: 事前に決める

得失点の純価値


フィンランド風,ヴェー・エム・カーやクラシックの得点の付け方およびサンクトペテルブルク風と途中終局の精算方法から明らかなように,得点 1 点は,失点マイナス 1 点 (サンクトペテルブルクだけはマイナス 2 点) に相当します.失点は授受点に換算する前に 10 倍してから,全員で山分けするので,3 人のときは,得点 1 点は,10÷3×2=6.66…点のプラス,他の 2 人には,10÷3=3.33…のマイナスです.同じように,4 人のときは,得点 1 点は,10÷4×3=7.5点のプラス,他の 3 人には,10÷4=2.5 点のマイナスです.

宣言通りに勝ったとき親が得る点を授受点にすると,次のようになります.ソチとロストフはこのまま,サンクトペテルブルクは倍にしてください.3 人の場合,6 の代は 5.3… 点,7 の代は 14.6… 点,8 の代は 28 点,9 の代は 45.3… 点,10 の代とミゼールは 66.6… 点です.4 人の場合,6 の代は 7 点,7 の代は 18 点,8 の代は 33 点,9 の代は 52 点,10 の代とミゼールは 75 点です.

6 の代で 1 勝不足したときの損失を授受点にすると,次のようになります.3 人のソチでは -27.3… 点,4 人のソチでは -31 点,サンクトペテルブルクはソチの倍,3 人のロストフでは -43.3… 点,4 人のロストフでは -55 点です.7 の代の 1 勝不足は,3 人のソチでは -50.6… 点,4 人のソチでは -58 点,サンクトペテルブルクはソチの倍です.

失点式のラスパシーの純得失点をを授受点にすると,次のようになります.自分が n 勝したとき,他の人は必ず 10 - n 勝しているので,損得は,自分の勝ち数で決まります.3 人では,0 勝は 40 点,1 勝は 23.3… 点,2 勝は 13.3… 点,3 勝は 3.3… 点,4 勝は -6.6… 点,5 勝は -16.6 点,6 勝は -26.6… 点,7 勝は -36.6… 点です.4 人では,0 勝は 32.5 点,1 勝は 15 点,2 勝は 5 点,3 勝は -5 点,4 勝は -15 点,5 勝は -25 点,6 勝は -35 点,7 勝は -45 点です.いずれも,サンクトペテルブルクは倍です.また連続時の倍があるなら,それもかけてください.

戦術についてひとこと


親が失敗したときの失点が大きいので,宣言では 2 人の子のカード配置を悲観的に考えることが重要です.せりでも,山札がよくなければ 6 勝できない手なら,パスの方が安全です.ラスパシーの点が上がらない限り,3 人なら,ラスパシーで 6 勝しても,6 の代で 1 勝不足するよりは,損失が少ないです.4 人だと,ラスパシー 6 勝の方が少し損失が多いです.

古いルール


古くは,ミゼールはオプションで,手札を公開しない大ミゼール,小ミゼールと,手札を公開する大ウヴェア,小ウヴェアという区別がありました.“プレフェランス法典”は,“現代のミゼールは次のように行う”と言っているので,古いルールでは,ミゼールのやり方も,異なっていたようです.

“半分出る”を導入する前は,子が 1 人出て 1 人下りた場合,出る子が,もう 1 人の子を“連れて出る”か,“1 人で出る”か選びました.“連れて出る”は,現行の 1 人出と同じ,“1 人で出る”は,子側の目標を現行の個人目標に引き下げ,下りた子の手札を使わずに,親と出た子の 2 人でカード勝負を行います.

19世紀末~20世紀初頭は,切札によりゲーム点が違いました.古い点数表は,review-pref.ru が紹介しています.各切札の点は 4,6,8,10,12 点,“^”は階乗で,(1) 切札の点×(宣言勝ち数-5),(2) 切札の点+(宣言勝ち数-6)×10,(3) 切札の点+(宣言勝ち数-5)×10,(4) 10×(宣言勝ち数-5),(6) 切札の点×2^(宣言勝ち数-6)

古くは,ラスパシーはありませんでした.

用語集


参考したサイトの読解で独自の用語に苦労したのと,Marriageなどロシア語しか表示しないソフトウェアを操作するときの参考にもなるので,プレフェランス用語を集めてみました.

プレフェランス: преферанс (フランス語の外来語), преф, пулька
エース: туз (語源は deuce に相当するドイツ語の Daus),肩の文字はТ
キング: король,肩の文字はК
クイーン: дама (フランス語 dame),肩の文字はД
ジャック: валет (フランス語 valet),肩の文字はВ
ハート: червы (単数は何?)
ダイヤ: бубен (複数は бубны) 根拠不詳ですが,先手に困ったらダイヤを出せという格言があります.
クラブ: тpеф (フランス語の外来語)
スペード: пик (フランス語の外来語)
切札: козырь
切札なし,ノートランプ: без козыря
山札: прикуп (常に単数) “山札を知っていたらソチに住める”ということわざがあります.
1 番手: первая рука
2 番手: вторая рука
3 番手: третья рука
4 人のときの配り手: сидящий на прикупе (山札の席の人)
せり: тоpговля
(せりの)1: раз (2 から 5 は普通の数詞)
(せりの)同じく…: … здесь, … мои
6 の代: шестерная
7 の代: семерная
8 の代: восьмерная
9 の代: девятерная
10 の代: десятерная, тотус
ミゼール: мизер (フランス語の外来語)
宣言: заказ
“パス”,“下りる”: пас
“出る”: вист (英: whist).プレフェランスを代表する概念といってよいでしょう.
“半分出る”: полвиста
ラスパシー,ラスパソフカ: распасы, распасовка
親: играющий, разыгрывающий (ともに“プレーする人”の意味.英語で言いたければ,1 人でプレーする人なので,ソロイストが適切な訳語でしょう)
子: партнер (パートナー)
出た子: вистующий (ヴィストする人)
下りた子: пасующий (パスする人)
手を隠す: втёмную (闇で)
手を明かす: всветлую (光で)
最初の先手(オープニングリード): первый ход (親のときいつ子が手を明かすかがルール上の問題)
勝ち数,回(数),“トリック”: взятка (指小辞つきの“つかむもの,取るもの”なので,ロシア人にとっては“おつかみ”のような言葉です.しゃれで“取りっこ”と訳したくなります.)
印の間違い,間違った捨て札: фальшренонс (ファルシュレノンス.ドイツ語の falsch とフランス語の renonce を組み合わせた外来語.重大な反則です)
ラスパシー状態から抜ける: выход из (рас)пасов (この条件は,人により異なるので事前に確認します)
親が目標を達成する: сыграть (単に“プレーした”です)
失敗: ремиз, подсад (前者はフランス語)
スコアシート: пуля, пулька (プレフェランスの別称でもあります)
失点欄: гора
失点する: писать в гору (山に書く)
得点欄: пуля
得点する:  писать в пулю (プールに書く)
授受点: висты (単数は何?)
点をもらう: писать на его висты (もらう人に何々ヴィストを書く)
ゲーム点: стоимость игры
祝儀: консоляция (フランス語かラテン語.語源から考えると“お悔やみ”だが,失敗した人が払うものの名としてふさわしくないし,“法典”なども親を落とした賞だと解説しているので,こう意訳しました)
紳士な出た子: вист джентльменский
欲張りな出た子: вист жлобский
欲張りすぎな出た子: вист сверхжлобский
(出た子の) 半責任: вист полуответственный
(出た子の) 全責任: вист ответственный

2013年7月26日金曜日

プレフェランス (3)

1971 年にモスクワ国立大学のプレフェランシスト総会が承認したと銘打った“プレフェランス: ルールとバリエーション (Преферанс: правила и разновидности)”を参考資料として,“クラシック”のルールを現代ルールとの違いを中心に解説します.同文書は,当時の主流はソチ風だと書いているにもかかわらず,クラシックを中心にルールを解説しています.

席決め


席決めで最上位のカードを引き最後に着席した人が,1 人 1 枚ずつカードを表向きに配ります.最初に A が来た人が最初の配り手で,この人に配り手が移るときに最終周が終わります.

ゲームの構成


ゲームは,せりなしに規定された手を行う前半戦と,せりで自由に手を決める後半戦からなります.その間のハーフタイムに,2 周,4 人なら 8 手のラスパシーがあります.

前半戦が終わったら,そのとき失点が一番多い人が,ゲームのレートと後半戦の終了条件を決めます.他の人は,失点が一番多い人に助言しても構いませんが,意見を押し付けてはいけません.レートは,授受点 1 点がいくらか,終了条件は,目標点と制限時間です.目標点は,そのとき失点が一番少ない人の失点以下でなければなりません.制限時間になったら,最終周が始まります.

配り手


配り手は,1 手ごとに交代します.例外は,後半戦のラスパシーで,同じ配り手で 3 手連続でラスパシーになるまでは,ラスパシーの後は配り手を交代しません.ラスパシー中の有利を打ち消すために,3 手続けて配り手を務めた人に,最大 10 点失点させる人がいます.

せり


前半戦には,せりがなく,1 番手と 2 番手のどちらを親にするか,事前に決めます.ハーフタイムには,全員がパスしかできない名目的なせりがあります.後半戦は,だれが親になるか,せりで決めます.

せりでミゼールの上に来るのは,山札なしの 9 の代です.ミゼールに対して山札なしの 9 の代を言われたら,山札なしのミゼールを言えます.山札なしのミゼールに対抗できるのは,山札なしの 10 の代だけです.

同じせりで手札を見てせりに出た人がいない限り,手札を見ないでせりに出る見ず出が認められます.手札を見た人が見ず出にせりで対抗するには,印が同じで勝ち数が 1 つ上の目標を言わなければなりません.見ず出した人は,手札を見た目標を言われたとき,自分の手札を見てせりを続けられます.

同じせりに出た人がいないかぎり,手札を見ないで下りる見ず下りが認められます.見ず下りがあったとき,せりに出られる最低の目標は,同じ配り手が,直前に何手連続見ず下りを伴うラスパシーを配っているかで変わります.0 手なら見ず出の 6 の代か見ての 7 の代,1 手なら見ず出の 7 の代か見ての 8 の代,2 手なら見ず出の 8 の代か見ての 9 の代です.

親の宣言


親が山札なしの目標でせりに勝ったときは,山札と親の手札の交換を行いません.

親は,山札を表にしたあと,山札を取らないで放置できます.

親が見ず出のまませりに勝ったら,ミゼールを言っていなくても,ミゼールを宣言できます.まれですが,見てのせりでも,ミゼールを言わなかった人にミゼールの宣言を認める人がいます.

前半戦では,指定されている席順の人が,せりなしに親になります.親は,自分の一覧にある目標をすべて 1 回ずつ宣言します.宣言の順番は自由です.一覧は,6 の代 1 回,7 の代 1 回,8 の代 1 回,9 の回 1 回,10 の代 1 回,ミゼール 1 回の 1 人あたり 6 手です.勝ち数は山札を公開する前に,切札は,2 枚のカードを捨ててから言います.

4 人で遊ぶ場合,親は,ハイリスクな手で,配り手を招待できます.招待を受け付けたら,配り手は,親とその手の損得を半分ずつ分け合います.


子の宣言


10 の代には,子の目標はなく,ミゼールと同じルールでカード勝負を行います.

“半分出る”はありませんが,6 と 7 の代で,子が 2 人とも下りたら,“下りる”-“半分出る”-“下りる”とまったく同じように扱います.

宣言が 6 スペード,あるいは見ず出がせりに勝った場合,せりと同じ印で勝ち数が 1 つ上の宣言までは,子は必ず出なければなりません.

前半戦では,1 人目の子は必ず出て 2 人目の子は必ず下りるか,2 人とも必ず出るかを事前に決めます.手を常に明かすか,隠してもいいかも決めます.

カード勝負


親が 1 番手でないときは,ミゼール,10 の代と手を明かす場合,カード勝負が始まる前に,子 2 人の手を公開します.
親が 1 番手のときは,ミゼールと 10 の代の場合に限り,親が最初の手札を出した後に,子 2 人の手を公開します.

ラスパシーは,山札を使います.

得点計算


ゲーム点は,爆弾がなければ,ソチと同じです.親の得点欄に爆弾があるときは,ゲーム点を 1 重爆弾なら 2 倍,2 重爆弾なら 4 倍,3 重爆弾なら 8 倍します.親が見ず出のまませりに勝ったら,さらに 2 倍します.得点欄に複数の爆弾がある場合,一番古い爆弾を使います.使った爆弾は,親が目標を達成したときは消え,そうでないときは消えずに残ります.

親が宣言を達成したら,ゲーム点の半分を得点し,残り半分を失点から引きます.失点に手をつけないで,全額を得点してもかまいません.

後半で宣言を達成した手数が,前半戦の手数かラスパシーの手数を超えたら,宣言を達成した親は,ゲーム点の半分を失点します.この失点は,後半戦の成功した手数が,前半戦またはラスパシーの手数以下でなければならないというルールを満たすための架空の手です.

親は,宣言を達成しなかった場合,ミゼール以外では,“不足勝ち数×ゲーム点”を失点し,また祝儀として,同じ点を下りた子を含む子と抜けている配り手 1 人ずつに渡します.ミゼールでは,“勝ち数×ゲーム点”を失点します.

出た子は,目標を達成してもしなくても,“勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.出た子が 1 人のときは,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.どんな場合も,この点を下りた子と分け合いません.

この採点方法は,“欲張りな”出た子ですが,参考資料は,“通常の”出た子と呼び,他に,“紳士な”出た子と,“捕食者な”出た子を紹介しています.紳士な出た子は,現代の同名のルールとは違い,出た子以外には,祝儀も勝ち数の点もありません.捕食者は,下りた子も抜けている配り手も出た子と同じ点をもらいます.

出た子は,子 2 人の勝ち数が目標より少なく,自分の勝ち数が個人目標より少なかった場合,“個人目標への不足勝ち数×ゲーム点”を失点します.

4 人のとき,山札に次のカードがあり親が山札を拒まなかったら,配り手は親から点をもらいます.A  1 枚は 1 勝分,同じ印の K と Q は 1 勝分,同じ印の A と K は 2 勝分,A 2 枚は 3 勝分です.親が山札を取らなかったら,配り手は 1 勝不足分を失点します.

親の得点が目標に到達したら,あふれた点は,得点欄の空きが一番少ない人に書きます.ただし,出た子と抜けている配り手には書けません.全員の得点が一杯なら,自分,ついで他人の失点を減らします.点を他人の得失点欄に書いたときは,書いた点の 10 倍の点をもらって相殺します.

ラスパシーでは,1 勝あたり 1 点を失点します.1 勝もしなかった人は 1 点失点を減らします.配り手を変えない 2 手目,3 手目のラスパシーでは,これらの点をそれぞれ 2 倍,4 倍にします.1 人でも見ず下りしたら,さらにこれらの点を 2 倍にします.ラスパシーの点は,自分の失点欄にしかつけられません.したがって,失点がないときに 1 勝もしなかったら,得られたはずの点は消えます.

せりで全員がパスし,そのうち少なくとも 1 人が見ず下りだったら,見ず下りした人は,爆弾を得ます.全員が見ず下りなら,抜けている配り手も同じ爆弾を得ます.手札を見た人がいたときは,手札を見た人と抜けている配り手は,ひとつ下の爆弾を得ます (1 重のときはなしです).爆弾の種類は,配り手が交代しないで,見ず下りのラスパシーを何手連続で配ったかで変わります.1 手目は 1 重,2 手目は 2 重,3 手目は 3 重爆弾です.爆弾を手にした人は“∧”の記号を得点欄に書き込みます.2 重,3 重の場合,この記号を垂直に重ね合わせます.

罰則


配り手は,山札を最初や最後に配る,枚数が違うなどの配り間違いがあったら,1 点を失点して,配りなおします.

親は,山札を手に加えたあと,2 枚捨てずにカード勝負をしたら,3 勝不足分の失点を払って手を終えます.

先手と同じ印,あるいは切札を出すルールを破ったら,反則を犯した人は,ラスパシー以外では,3 勝負不足分の失点を払って,手を終えます.この手は,目標達成とはみなしません.ラスパシーでは,正常にラスパシーが終わったものとみなし,反則を犯した人が 10 回全勝したものとして,採点します.

子同士でゲームのアドバイスとみなせる会話があったら,アドバイスした人は 1 回につき 1 点を失点します.抜けている配り手が山札か 1 人の子の手を見たあとで,ゲームのアドバイスとみなせる発言をしたら,1 回につき 1 点を失点します.

その他の反則は,事前に話し合って決めます.参考文献は,親が勝てることが自明な回数を下回って宣言したときと,子が勝つことが自明な回数勝たなかった場合を反則とみなしています.

終局


最終周に入った後で,最初の配り手に配り手が変わるとき,終局になります.それより前でも,全員の得点が一杯になり,失点がなくなったら終局です.

2013年7月25日木曜日

プレフェランス(2)

プレフェランスは,非常にバリエーションの多いゲームです.今回は,オンラインゲームサイトで実際にプレーされているものや,ロシアのプレフェランスのサイトで紹介されているバリエーションを紹介します.次回は,点数を倍にする“爆弾”だらけのゲームのように紹介されることが多い“クラシック”のルールを紹介します.

 サンクトペテルブルク風


ロシア人にも長い名なので,ピーテル (Питер) といいます.旧地名を使ってレニングラード風 (Ленинградка) ともいうこともあります.大勝ち大負けがありうるラスパシーの点数と最低目標の引き上げが特徴です.親よりカード勝負が難しい子をソチ風より優遇するので,初心者にも優しいです.

ラスパシーの後の手では,せりの最低目標を 7 の代,ラスパシーの点を 2 倍にします.普通の状態である 6 の代からのせり,ラスパシーの倍なしに戻るには,子の目標がある宣言を親が達成しなければなりません.したがって,ミゼール,10 の代,子が 2 人とも下りた手では,ラスパシー後の状態から抜けられません.“半分出る”でカード勝負がなかったとき,子の目標がある宣言達成にあたるかどうかは,定説がありません.

7 の代からのせり,ラスパシー 2 倍のときにラスパシーになったら,次の手から,ラスパシーの点を 3 倍にします.このとき,せりの最低目標も 8 の代に上げる人がいます.8 の代からのせり,ラスパシーの点 4 倍とする人もいます.普通の状態に戻る条件は,子の目標がある宣言を親が達成することです.

親は,宣言を達成した場合,ゲーム点を得点します.この点数体系の特徴は,子の失点を半分にする代わりに,子の失点以外のすべての点を 2 倍することですが,得点だけは,スコアシートでは 2 倍せず,成績を計算する直前に 2 倍にします.

親は,宣言を達成しなかった場合,ミゼール以外では,“不足勝ち数×ゲーム点×2”を失点し,また祝儀として,同じ点を下りた子を含む子と抜けている配り手 1 人ずつに渡します.ミゼールでは,“勝ち数×ゲーム点×2”を失点します.

出た子は,目標を達成してもしなくても,“勝ち数×ゲーム点×2”を親からもらいます.出た子が 1 人のときは,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.出た子が 1 人で親が宣言に失敗したときは,この点を子 2 人で半分ずつ分け合います.これを“紳士な出た子”といいます.

出た子は,子 2 人の勝ち数が目標より少なく,自分の勝ち数が個人目標より少なかった場合,“個人目標への不足勝ち数×ゲーム点”を失点します.この点だけ 2 倍が付きません.このように,子の失点を親の失点の半分にするのを“(出た子の) 半責任”といいます.出た子が 1 人のときは,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.

ラスパシーは,山札を使い,全員が,“勝ち数×2”を失点します.1 勝もしなかった人は 1 点を得点します.ラスパシー後の状態のときは,先に解説したように,得失点を倍にします.

全員の得点の合計が“目標点×人数”を超えたとき,あるいは,決めた時間か手数が経過したら終局です.

目標点を上回る得点の 2 倍を失点から引き,目標点に不足する得点の 2 倍を失点に加えてから,つまり“(目標点-得点)×2”を失点に加えてから,成績を計算します.

ロストフ/モスクワ風


ロストフ (Ростов) は,モスクワ式プレフェランス (Московская пулька) ともいいます.ラスパシーのやり方と採点法,親が失敗したとき渡す点の高さなど独特な要素が多い辛口ルールです.オンラインゲーム数では少数派ですが,ソチ,サンクトペテルブルクとともに,プレフェランスの 3 大ルールの 1 つとされます.

ラスパシーの後に,せりの最低目標を上げません.

親がカード勝負せずに 3 勝不足分の点を失点して下りることを認めません.

山札についての点数を受け渡す人がいます.山札の偶然性を打ち消す意味があります.山札に次のカードがあり,親が山札を手にしたら,4 人の場合配り手,3 人の場合他の 2 人に半分ずつ,親が次の点を渡します.A 1 枚なら 10 点,同じ印の K と Q なら 10 点,同じ印の A と K なら 20 点,A 2 枚なら 30 点です.親は,公開した山札を取らずにそのままにすると,4 人の場合配り手から 10 点,3 人の場合他の 2 人から 5 点ずつもらえます.山札を放置することを,ロシア語の表現で,“山札を配り手に投げつける”というため,ふざけたルールと誤解されることがあります.

親は,宣言を達成した場合,ゲーム点を得点します.

親は,宣言を達成しなかった場合,ミゼール以外では,“不足勝ち数×ゲーム点”を失点し,また祝儀として,宣言の勝ち数に関係なく,1 勝不足ごとに 10 点を下りた子を含む子と抜けている配り手 1 人ずつに渡します.ミゼールでは,“勝ち数×ゲーム点”を失点します.

出た子は,目標を達成してもしなくても,“勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.出た子が 1 人のときは,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.出た子が 1 人で親が宣言に失敗したときは,“紳士な出た子”で,この点を子 2 人で半分ずつ分け合います.

出た子は,子 2 人の勝ち数が目標より少なく,自分の勝ち数が個人目標より少なかった場合,半責任で,“個人目標への不足勝ち数×ゲーム点÷2”を失点します.

ラスパシーは,山札を使わず,勝ち数が一番少ない人が 1 人の場合,他の 2 人から,それぞれの勝ち数×5 点をもらいます.2 人の場合,残りの 1 人の勝ち数×5 点を半分ずつもらいます.1 勝もしなかった人は,1 点を得点します.失点がある場合,失点を 1 点減らす,ない場合 1 点を得点するという人もいます.抜けている配り手には何の点もありません.抜けている配り手が,ラスパシーのとき,失点を 1 点減らせるとする人もいます.ラスパシーの後も,ラスパシーの点数を変えません.

目標点を上回る得点は,ソチと同じように,他人につけ,10 倍の点をもらって相殺します.

カザフスタン風


カザフスタン風 (Казахстанка) は,出た子は,全責任で欲張り,親の失敗とラスパシーの失点は控えめと,渋いとされるロストフとは逆の特徴を備えたルールで,ダイナミックだと評されます.

よく使われる目標点は 120 点です.

ラスパシーの後に,せりの最低目標を上げません.

親は,宣言を達成した場合,宣言が 6 の代なら 8 点,7 の代なら 16 点,8 の代なら 24 点,ミゼールなら 40 点,9 の代なら 32 点,10 の代なら 40 点を得点します.この点がカザフスタン風のゲーム点です.

親は,宣言を達成しなかった場合,ミゼール以外では,“不足勝ち数×ゲーム点”を失点し,また祝儀として,同じ点を,出た子に渡します.下りた子と抜けている配り手には祝儀はありません.祝儀を 0 にする人もいます.ミゼールでは,“勝ち数×ゲーム点”を失点します.

出た子は,目標を達成してもしなくても,“勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.出た子が 1 人のときは,“欲張りな出た子”で,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.

出た子は,子 2 人の勝ち数が目標より少なく,自分の勝ち数が個人目標より少なかった場合,全責任で,“個人目標への不足勝ち数×ゲーム点”を失点します.

子の採点に,子 2 人の共同目標がなく,個人目標しかない“欲張りすぎな出た子”というルールを使う人がいます.個人目標は,6 の代は 2 勝,7~9 の代は 1 勝です.子が 2 人とも出た場合,子 2 人の勝ち数の合計が何であっても,自分の勝ち数が個人目標より少ない子は,不足勝ち数だけ全責任で失点します.子が 1 人だけ出た場合も,子の目標は,上記の個人目標です.カード勝負は,手を隠して行い,下りた子の勝ち数は誰のものにもしません.“欲張りすぎな出た子”を,子が 2 人出たときだけ使う人もいます.

ラスパシーでは,山札を使わず,勝ち数が一番少ない人が 1 人の場合,他の 2 人から,それぞれの勝ち数×10 点をもらいます.2 人の場合,残りの 1 人の勝ち数×10 点を半分ずつもらいます.1 勝もしなかった人は,2 点を得点します.抜けている配り手が,この 2 点をもらえるかどうかは,事前に決めます.

ラスパシーの後も,ラスパシーの点数を変えないのが普通です.10-20,10-20-30 と点を上げる人もいます.

ラスパシーの前に,手札交換を認める人がいます.1 番手が山札を見せずに手に入れ不要札を 2 枚伏せて捨てます.ついで 2 番手,3 番手の順に同様に手札交換を行います.

目標点を上回る得点は,ソチと同じように,他人につけ,10 倍の点をもらって相殺します.

フィンランド風


原語は“Финка”です.review-pref.ru では“オデッサの”という形容詞を冠している個所があるので,フィンランドとは無関係かもしれません.“競争”系のルールで,普通のプレフェランスのルールと異なり,失点や授受点より得点を重視します.

4 人のとき,配り手は,山札に次のカードがあれば,親から点をもらえます.もらえる点は,A または同じ印の K と Q のペアは 1 勝分,同じ印の A-K は 2 勝分,A 2 枚は 3 勝分です.

6 と 7 の代での出る-下りる-半分出るを認めます.

8 と 9 の代で子が 2 人とも出るときは,1 勝は 2 人目の子の個人目標にします.

10 の代は子の目標を 1 勝にして出る下りるをいいます.

はじめる前に,目標点 40 点の半分にあたる 20 点を全員の失点欄に記入します.

親は,宣言を達成したら,ゲーム点を失点から引き,かつ,得点に加えます.

親は,宣言に失敗したら,ミゼールでなければ,“不足勝ち数×ゲーム点×2”を失点し,また,同じ点を祝儀として,子 1 人ずつに渡します.このとき,抜けている配り手も祝儀をもらえますが,下りた子の分は,出た子のものになります.ミゼールは,“勝ち数×ゲーム点×2”を失点します.

出た子は,目標を達成してもしなくても,“勝ち数×ゲーム点×2”を親からもらいます.出た子が 1 人のときは,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.“欲張りな出た子”で,親が宣言に失敗しても,この点を下りた子と分け合いません.

出た子は,子 2 人の勝ち数が目標より少なく,自分の勝ち数が個人目標より少なかった場合,全責任で,“個人目標への不足勝ち数×ゲーム点×2”を失点します.

ラスパシーは,山札を使い,全員が,“勝ち数×2”を失点します.0 勝の場合,2 点を得点します.この得点で得点が目標点に達したら,失点を減らし,失点も 0 に達していたら,余りの点は消えます.ラスパシーの後も,点数もせりの目標も上げないのが普通です.

最初に失点を 0 点にした人は,3 人の場合 80 点,4 人の場合 60 点ずつ他の人からもらいます.

最初に得点が目標点の 40 点に到達した人は,他の人から 120 点ずつもらいます.

得点が目標点に達したか失点を 0 にした人が得点したら,一番少ない失点を減らし,一番多い得点を増やすとともに,減らした失点と与えた得点 1 点につき 10 点をもらいます.

得点が目標点に達する人が出るか,決めた時間が経ったら,終局です.目標点に不足する得点を失点に加えてから,成績を計算します.

ヴェー・エム・カー (ВМК) またはセレズニョフカ (Селезнёвка)


ヴェー・エム・カーは,“計算数学サイバネティクス (ВМиК)”というモスクワ国立大学のコンピュータサイエンス学科の略称です.ロストフの特徴のうち,親が失敗したときとラスパシーの点が高いことをソチに移植したようなルールです.

ラスパシーの後は,せりは 7 の代から (6,7,7,7),ラスパシーの点は 2 倍 (2,4,4,4) にします.ミゼール,10 の代,2 人の子が下りたなどの子の目標がない手では,親が目標を達成しても,ラスパシー状態から抜けません.

親は山札を手にしたあと,3 勝不足分の点を失点して下りられます.

宣言が“6 スペード”の場合,子側は 2 人とも出なければなりません (“スターリングラード).

6 の代と 7 の代で,1 人目の子は,出るを半分出るに言い換えられません.

8 の代と 9 の代で子が 2 人とも出たとき,子が目標を達成できなかったら,失点を半分ずつ分け合います.

10 の代に子の目標はありません.

親は,宣言を達成した場合,ゲーム点を得点します.ミゼールなどの子の目標がない手の得点は,得点にしても,得点にしないで,失点から引いてもかまいません.

親は,宣言を達成しなかった場合,ミゼール以外では,“不足勝ち数×ゲーム点”を失点し,また祝儀として,“不足勝ち数×10”を下りた子を含む子と抜けている配り手 1 人ずつに渡します.ミゼールでは,“勝ち数×ゲーム点”を失点します.

出た子は,目標を達成してもしなくても,“勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.出た子が 1 人のときは,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.親が宣言に失敗した場合,“欲張りな出た子”で,点を下りた子と分け合いません.

出た子は,子 2 人の勝ち数が目標より少なく,自分の勝ち数が個人目標より少なかった場合,“全責任”で“個人目標への不足勝ち数×ゲーム点”を失点します.

ラスパシーは,山札を使い,全員が,“勝ち数×2”を失点します.配り手以外で 1 勝もしなかった人は 1 点を得点します.ラスパシーの後は,これらの点がそれぞれ,“勝ち数×4”,2 点になります.

目標点を上回る得点は,ソチと同じように,他人につけ,10 倍の点をもらって相殺するか,あるいは,誰にも得点をつけず,自分の失点を減らします.

全員が目標点に到達したら終局です.目標点を上回る得点が余ったら,自分の失点を余った得点だけ減らします.これで失点が負になってもかまいません.

全員が目標点に到達していなくても,終局に合意したら,“目標点-得点”を各人の失点に加えてから,成績を計算します.

2 人用のルール (Гусарик)


1 番手の位置である配り手の左隣に影の子の手札を配ります.影の子は,いつも 1 番手で,せりと子の宣言では,パスしか言わないものとして扱います.影の子の手札は,親子の宣言が終わるまで伏せておき,誰も見てはいけません.子は,6 と 7 の代では,影の子を使わずに 1 人で出ても構いません.この場合,子は,影の子の手札を使わず,親子 2 人の手札でカード勝負を行い,6 の代では 2 勝,7 の代では 1 勝を目指します.子が 1 人で出ることを認めず,“半分出る”を認める人もいます.子が普通に出る場合,子と影の子の手を明かし,3 人のゲームで子が 1 人で出たときと同じようにカード勝負を行います.

ラスパシーでは,山札も影の子の手札も使いません.カードの配置が読めない運任せのカード勝負です.

“盗賊” (Разбойник)


今は 2 人用の追加ルールとして遊ばれることが多いですが,3~4 人でも遊べます.また,“クラシック”の前半戦でもありました.どれだけ失点を避けるか競います.

せり,宣言とカード勝負に次のルールを付け加えます.

せりは行いません.親になる人は席順で決めます.2 人の場合 2 番手が親です.影の子が 1 番手なので,2 番手は配り手の相手です.3~4 人の場合 1 番手と 2 番手のどちらを親にするか事前に決めます.

親は,自分の目標の一覧にある目標をすべて 1 度ずつ宣言します.同じ目標を 2 度は言えません.宣言の順番は自由です.“小盗賊”の 1 人あたりの目標は,6 スペート,6 クラブ,6 ダイヤ,6 ハート,6 ノートランプ,7 の代~10の代各 1 回,ミゼール 1 回の 10 手です.“大盗賊”の 1 人あたりの目標は,6 スペート,6 クラブ,6 ダイヤ,6 ハート,6 ノートランプ,7 スペート,7 クラブ,7 ダイヤ,7 ハート,7 ノートランプ,8 の代~10の代各 1 回,ミゼール 1 回の 14 手です.“特大盗賊”の 1 人あたりの目標は,5 種類の切札で 6~10 の代各 1 回とミゼール 5 回の計 30 手です.したがって,2 人の“小盗賊”では 20,3 人では 30,4 人では 40 手のカード勝負を行います.“特大盗賊”だと,2 人でも 60 手かかります.

“小盗賊”の 6 の代,“大盗賊”の 6 と 7 の代と“特大盗賊”のすべての手では,山札を見る前に切札と勝ち数を宣言します.ミゼールも山札を見る前に宣言します.それ以外は,山札を見る前に勝ち数,見た後に切札を宣言します.

子は,影の子も含め,必ず出なければなりません.3~4 人の場合,親の左隣りの子が出て,もう 1 人の子は下りるとする人もいます.

子は,手を明かします.3~4 人の場合,隠してもよいとする人もいます.

全員が,すべての目標で 1 度ずつ親をつとめたら,終局です.

“競争” (Скачки)


得点を競うか失点をなるべく避けるかの 2 つの目的があるゲームです.

人数分の“ラウンド”を行います.1 回のラウンドは,誰かの得点がラウンドの目標点に達したら終わりです.目標点を取った人は,多額のボーナス点を他の人 1 人ずつからもらいます.ラウンド中の失点が一番少なかった人も,他の人 1 人ずつからボーナス点をもらいます.失点のボーナスは,得点のボーナスより少なくします.同点の場合,ボーナス点を等分します.ラウンドがすべて終わったら,全ラウンドの得点の合計が一番多い人と,失点の合計が一番少ない人が,それぞれ,目標と失点のボーナス点をもらいます.

サンクトペテルブルク風をもとにした“競争”のルールを紹介します.

ラウンドの目標点は,22 点か 17 点に決めます.ゲームでは,人数分のラウンドを行います.

ラウンドの始めの配り手は,直前のラウンドの最初の配り手の左隣りです.ラウンドの最初の手は,ラスパシーを行います.人数分の手だけラスパシーを行うとする人もいます.

ラスパシーの後のせりは 7 の代から,ラスパシーの点は,2,4,6 です.子に目標のある宣言を親が達成したら,ラスパシー後のしばりと点数引き上げから抜けます.

せりで全員パスしたとき以外でも,ラスパシーになることがあります.ミゼールが失敗したら,次の手はラスパシーです.このラスパシーの点数は,ミゼールの親の勝ち数により変わります.1 勝したときは 2,2 勝したときは 4,3 勝以上したときは 6 から始めます.ミゼールにせりで勝った 9~10 の代が失敗したら,次の手はラスパシーです.このラスパシーの点数は,失敗した親の不足勝ち数で変わります.1 勝不足なら 2,2 勝不足なら 4,3 勝以上不足したときは 6 から始めます.

子の目標がない宣言とラスパシーで 0 勝したときの得点は,得点にしても,失点の相殺に使っても構わないとする人がいます.

1 つのラウンドは,誰かの得点が目標点に達したら終わります.このとき,ラスパシーから抜けてなかったら,ラスパシーから抜けたときにラウンドが終わります.ラウンドで一番多く得点した人は,他の人から 300 点ずつもらいます.一番失点が少なかった人は,他の人から 200 点ずつもらいます.同点のときは,この点を分け合います.

すべてのラウンドが終わったら,総得点が一番多い人は,他の人から 300 点ずつもらいます.総失点が少なかった人は,他の人から 200 点ずつもらいます.同点のときは,この点を分け合います.

2013年7月24日水曜日

プレフェランス(1)

ドゥラークと並んでロシアを代表するトランプゲームであるロシア版プレフェランス (преферанс) をさまざまなルールのバリエーションも含めて紹介します.主な情報源は,ロシアプレフェランス協会が 1996 年に制定した“プレフェランス法典”(Кодекс преферанса,法典とは大げさな…) と,多くのルール,ソフトウェア,書籍を紹介しているロシアのサイト review-pref.ru,オンラインゲームサイトの gambler.ru です.
あまりの長文なので,まずは,一般的なルールとソチ風の点数計算です.次回は,サンクトペテルブルク,ロストフなど,さまざまなバリエーションを紹介します.

(2013.9.12) 子が2人とも下りたときのルールの2つの段落の順序を入れ替え,一般的な場合を先に,特殊な場合を後にしました.

人数


3~4 人.4 人の方が普通です.4 人のときはカードを配る人が抜けます.

 

道具


  • 4 つの印ごとに 8 枚,32 枚組のトランプ.強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7.ロシアのトランプはこの他に 6 がある 36 枚ひと組で,印は,日本でもおなじみのフランス風です.
  • スコアシート: 麻雀の点数計算と同じように,プレフェランスを象徴する存在です.紙を対角線で 4 個所に区切ります.3 人のときは,Y の字で 3 個所に区切ってもよいです.線の交わる中央に円を書き,目標点を記入します.線で区切られた区画 1 つが 1 人に対応します.区画を 3 段に分け,山に当たる上段に失点,麓にあたる中段に得点,裾に当たる下段は,縦線 1 または 2 本で区切り,他の人からもらった点を記録する欄を作ります.サンクトペテルブルク風では山を,ロストフ風では裾をそれぞれ大きくした方がよいです.4 人用の裾は,紙の辺の真ん中から斜めに線を引いて区切る人もいます.各欄には,左上から横向きに,ピリオドで区切って,最新の合計点を書き加えていきます.

 

席決め


1 枚ずつカードを引き,弱いカードを引いた順に好きな席につきます.席決めのときは,A は 7 より下の一番弱いカードです.カードの強さが同じ場合,印を比べます.印の順は,せりと同じで,スペードが一番弱く,クラブ,ダイヤで,ハートが一番強いです.公式の試合では,席はくじ引きで決めます.

 

カードを配る


最初にカードを配る人は好きな方法で決めます.例えば,席決めで一番弱いカードを引いた人,自分から申し出た人などです.そのあとは,カード勝負があってもなくても,時計回りに交代します.すべての進行は時計回りです.

配り手は,カードをシャッフルし,右隣の人にカットしてもらってから,手札 10 枚,山札 2 枚を,左隣の人から時計回りに,3 人に手札 2 枚ずつ,山札 2 枚,手札 2 枚ずつ,手札 2 枚ずつ…と配ります.山札 2 枚は,最初か最後にならなければ,どこで配っても構いません.4 人のときは,山札を配り手の近くに置きます.席順は,配り手の左隣が 1 番手で,ついで,時計回りに 2 番手,3 番手となります.

枚数が異なる,カードを表にしたなどの配り間違いがあったら,配り手を変えずに配り直します.配り直しで配り間違いがあったら,配り手は,あらかじめ決めた 2 点 (6 の代の 1 勝不足分の失点なので,サンクトペテルブルク風,フィンランド風なら 4 点) などの失点を払って交代します.

 

せり


せりでは,ゲームの目標を言います.目標は,切札の種類とカード勝負で何勝以上するか (6~10) の組み合わせです.6 は省いてかまいません.切札の種類には,4 つの印の他に切札なしを指定できます.“切札なし”は,ロシア語の直訳ですが,英語の“ノートランプ”でもいいでしょう.勝ち数が多い目標は,少ない目標より上,勝ち数が同じ目標は切札の種類を比較します.切札は,下から順に,スペード,クラブ,ダイヤ,ハート,ノートランプです.一番下から順に目標を並べると,スペード,クラブ,ダイヤ,ハート,ノートランプ,7 スペード,7 クラブ,…となり,最高の目標は,10 ノートランプです.スペードは 1,クラブは 2,ダイヤは3,ハートは 4,なしは 5 と,切札の代わりに数字を言う人もいます.この場合,7 の代以上は,“1 で 7”のように言います.

これらの目標の他に,10 回全敗を目指す“ミゼール”があります.ミゼールは他の目標と異なり,ミゼール以外を言った人は言えず,ミゼールを言ったら他の目標は言えません.したがって,ミゼールを言いたい人は,せりの順番が最初に回ってきたときにいう必要があります.せりでミゼールに勝つのは,9 の代です.ミゼールに対して 9 の代を言われたら,ミゼールを言った人はパスしなければなりません.ミゼールに対して 9 の代を言われたとき,他では山札を使わない目標を認めなくても,この場合だけ山札なしのミゼールを言うことを認める人もいます.山札なしミゼールの上は山札なしの 9 の代にする人も,山札を使う 10 の代にする人もいます.

1 番手からせりを行います.最初に言えるのは,最低の目標“スペード”か“ミゼール”か“パス”です.

ついで,時計回りに,残りが 1 人になるまで,せりをつづけます.せりに残るためには,最新の目標を後の番手が言ったなら,それを繰り返すか,同じく何々,自分も何々などといい,前の番手が言ったなら,それより 1 つ上の目標を言います.ミゼールは,目標の順に関係なく言えます.これらが言えないときは,パスと言って,せりから下りなければなりません.

せりの例を挙げます.A スペード,B パス,C クラブ,A 同じくクラブ,C ダイヤ,A パスは C さんの勝ちです.Aさん は 1 番手なので,3 番手の C さんが言ったクラブを繰り返しています.A パス,B スペード,C クラブ,B 同じくクラブ,C パスは B さんの勝ちです.C さんは 3 番手なので,2 番手の B さんは“同じく”を言えます.C さんは,クラブ以上を言えなかったのでパスしました.“同じく”でも,最後に残ったのは B さんなので,B さんの勝ちです.

目標の順序を飛び越して,このルール以上の目標をいうことを認める人もいますが,実際のせりは,ほとんど変わりません.個人戦では,強い印を人に教えるメリットがないからです.

全員がパスしたら,宣言なしに,ラスパシーまたはラスパソフカというゲームを行います.これは,切札なしのカード勝負で,どれだけ勝たないかを競います.

ラスパシーの後の手では,せりの最低目標を上げる人がいます.

 

親と子の宣言


最後までせりに残った人が,親になります.残りの 2 人は 子となり,協力して子の目標を目指します.参考までに,原語では,親は“ゲームをする人”です.子をまとめて指す言葉はあまり使われず,出た子を“ヴィストする人”,下りた子を“パスする人”といいます.親と出た子にはともに目標があり,攻守とは概念が異なるだけでなく,英語圏ではプレフェランスは全く知られていないので,よく使われる英語の用語を避け,簡潔な親子を使ってみました.

親は,2 枚の山札を表にし,全員に見せてから,手札に加え,不要札を 2 枚伏せて捨てます.ついで,ミゼールでなければ,せりの目標順でせり落とした以上の目標を宣言して,カード勝負の切札と目指す勝ち数を決めます.例えば,“(6) ダイヤ”でせりに勝ったら,“(6) ダイヤ”,“(6) ハート”,“(6) ノートランプ”,7 の代以上の目標を宣言できますが,“(6) スペード”と“(6)  クラブ”は宣言できません.ミゼールをせりで言わなかったら,ミゼールはできません.ミゼールでせりに勝った場合,ミゼール以外はできません.

山札を引いたあと,親が宣言を 3 勝下回ったときの点を失点して,カード勝負なしに下りることを認める人がいます.このとき親から子に払う点はありません.

主にミゼールで,親が抜けている配り手を招くことを認める人がいます.招待を受けたら,配り手は,親とミゼールの得失点を半分ずつ分け合います.

親の左隣から順に,子は,出るか下りるか言います.出る子は,親の宣言が 6 の代なら 4 勝,7 の代なら 2 勝,8~9 の代なら 1 勝,子 2 人で勝つことを目指します.下りた子には目標はありませんが,一部の例外を除けば点も得られません.10 の代とミゼールには子の目標がないので,子は,出る下りるを言わず,親を捕まえようと (失敗させることです) します.これらの手には,出た子がいないので,カード勝負の方法も他の手と異なります.10 の代の子の目標を 1 勝にする人もいます.この場合,子は,10 の代に対しても,出る下りるを言い,普通にカード勝負を行います.なお,“出る”の原語は“ヴィスト”で,英語の whist 起源の外来語です.この言葉は,英語でも,“ホイスト”というゲーム名以外の意味は失われているので,意訳しました.“下りる”の原語は“パス”です.

子が 2 人とも出る場合,3 人でカード勝負を行い,子 2 人で子の目標を目指します.子 2 人の勝ち数の合計が子の目標より少なかったとき,個人目標より勝ち数が少ない子には失点があります.個人目標は,子の目標の半分です.子の目標が 1 勝の場合,1 勝は 2 人目に出た子の個人目標です.子の目標が 1 勝の場合に,子の失点を出た 2 人の子で半分ずつ分け合う人もいます.

子が 1 人しか出ない場合,子の目標と出た子の個人目標は同じです.出る子は,手を明かすか隠すか選べます.明かす場合,2 人の子は手札を印ごとに整理して表向きに並べ,出る子が 1 人で 2 人分の手札を扱います.隠す場合,下りた子を含む 3 人でカード勝負を行います.手を明かしても隠しても,子 2 人の勝ち数は,すべて出た子のものです.

宣言が 6 か 7 の代で,1 人目の子が下りたとき,2 人目の子は,出る,下りるの他に,“半分出る ”と言えます.原語は,“ポルヴィスタ (半ヴィストの意味)”です.また,宣言が 6 か 7 の代で,1 人目の子が出て,2 人目の子が下りたとき,1 人目の子が出るを半分出るに変えることを認める人がいます.子が半分出たとき,もうひとりの子は,もう 1 度出るか下りるか言います.出るなら半分出た子は下りたことになります.下りるなら親子ともに目標達成,半分出た子は子の目標の半分,親は残りを勝ったとみなして,カード勝負なしに点数計算します.4 人の場合,半分出るに対してもう 1 人の子が下りたら,配り手が,どちらか一方の子の手をみて,出るか下りるか言います.出るなら,配り手は見た子の手札を使って出ます.半分出た子は下りになります.

子が 2 人とも下りた場合,カード勝負なしに,親の 10 回全勝による宣言達成となり,点数計算を行います.このとき,子の目標はないので,子の失点はありません.

8 の代以上の宣言で,2 人の子が下りたら,4 人のときの配り手は,どちらか一方の子の手を見て,出るか下りるか言います.

カード勝負


ミゼールと子が手を明かすときは,親が 1 番手でなければ,カード勝負開始前に,子 2 人の手札を明かします.親が 1 番手の場合,ミゼール以外ではカード勝負開始前,ミゼールでは,親が 1 回目の手札を出してから子 2 人の手札を明かします.親が 1 番手のとき,子 2 人の手札を,親が手札を出す前に明かすか,後に明かすは,ミゼール以外とミゼールのそれぞれで,これとは違うルールに従う人もいます.

ミゼールでは,子は,メモをとったり,作戦を議論して構いません.ミゼール以外では,これらの行為は厳禁です.

10 の代に子の目標がない場合,3 人とも手を明かしてカード勝負を行い,子が全勝を防げるか確認します.ミゼールと同じルールでカード勝負を行う人もいます.

10 枚の手札で 10 回のカード勝負を行います.1 回目は 1 番手,2 回目以降は直前の回の勝者が先手です.先手は,手札から 1 枚を表に向け場に出します.先手の左隣から順に,時計回りに,全員が 1 枚ずつ手札を表向きに場に出します.このとき,先手と同じ印の手札があるなら,出さなければなりません.先手と同じ印の手札がなく,切札がある場合,切札を出さなければなりません.一番強い切札,切札が出てないときは,先手と同じ印で一番強いカードを出した人が,1 回の勝負に勝ちます.

先手と同じ印の手札があるのに出さなかった場合,あるいは先手と同じ印がなく切札があるのに切札を出さなかった場合,ただちに間違いに気づいて直したときは,そのままゲームを続けます.同じ手の後の勝負で間違いが分かったときは,間違えた人が相手側に最低限 1 勝を渡します.この間違いが起こした問題は,すべて間違えた人が不利になるように裁定します.以上は,プレフェランス法典の規定ですが,一般的には,3 勝不足分の失点を払って手を終えます.

ラスパシーでは,切札なしでどれだけ勝たないかを競います.ラスパシーには,山札を使うやり方と使わないやり方があり,どちらにするか事前に決めます.山札を使う場合,1~3 回の先手は,通常のゲームと異なります.最初の 2 回の先手は山札を 1 枚ずつめくって出し,1 番手がそれに続けてカードを出します.3 人の場合,山札が先手のときは,先手と同じ印で先手以外で一番強いカードが勝ちます.4 人の場合,山札の勝ちを認め,山札の勝ちは,抜けている配り手の勝ち数にします.3 回目は 1 番手が先手です.4 回目以降は通常のゲームと同じように直前の回に勝った人が先手です.山札を使わない場合,普通のゲームと同じように 1 回目の先手は 1 番手,以後は直前の回に勝った人が先手です.

 

子の協力


子は,自分の点数より,2 人で協力して,親の目標達成を阻むことを優先するという暗黙の了解があります.子の協力の例として,子が 2 人とも出た場合,先手の子は次が親のときは弱いカード,子のときは強いカードを出す,子が 2 人とも出た場合,もうひとりの子が勝っているカード勝負を横取りしない,手札を公開しない場合,最初の捨て札 (先手と違う印を出すこと) で強い印を,2 番目の捨て札で弱い印を示す,カード勝負に 1 勝する見込みがなければ出ない,切札が 4 枚あったら下りないなどがあります.これらはマナーであって,ルールではありません.

 

点数計算


得点,失点,他の人からもらった点を分けて記録します.また,目標点を設定します.10 点,20 点,30 点などがよく使われます.麻雀のように伝統的にお金をかける遊びですが,レートは低く,授受点 1 点あたり 1~2 円程度に設定するのが普通です.

点数計算には,ゲーム点を使います.ゲーム点は,親の宣言によって決まり,6 の代は 2 点,7 の代は 4 点,8 の代は 6 点,ミゼールは 10 点,9 の代は 8 点, 10 の代は 10 点です.

成績は次のように計算します.失点が一番少ない人の失点が 0 になるように,全員の失点から同じ点数を引きます.ついで,各人が,自分の失点を 10 倍してから全員の人数で割った結果を自分以外の人ひとつずつに渡します.“人からもらった点の合計-人にあげた点の合計”が成績です.端数は,勝った人が損し負けた人が得するように丸めます.“人からもらった点の合計-人にあげた点の合計-(失点-全員の失点の平均)×10”を計算しても,同じ結果が得られます.

ルールと点数の体系で最も一般的なのは,サンクトペテルブルク (レニングラード) 風とソチ風です.サンクトペテルブルク,ソチ,フィンランド,ロストフの 4 種類のルールを実装しゲーム記録を公開しているオンラインゲームサイト trellis-club.com のゲーム数では,サンクトペテルブルクが 55%,ソチが 33%,フィンランドが 11%,ロストフが 0.5% を占めます.ルールを 1 つだけ実装する場合,ソチ風が選ばれます.

 

ソチ風


ソチ風 (Сочинка) は,1960 年代に生まれ,1970 年代初めには最も盛んなルールになっていました.一番人気をサンクトペテルプルク風に譲った今も,プレフェランスの基本ルールとして紹介されることが多いです.サンクトペテルブルク風に比べて,親が有利で,ラスパシーの後の点数とせりの下限の引き上げがありません.

ラスパシーの後に,せりの最低目標もラスパシーの点も上げません.サンクトペテルブルク風のようなラスパシーのルールを使う人もいますが,その場合も,3 手などのあらかじめ決めた手数が過ぎたら,普通の状態に戻します.

宣言が“6 スペード”の場合,子は 2 人とも出なければならないとする人がいます.この強制出場は“スターリングラード”といい,ソチ風以外でも使う人がいます.

親は,宣言を達成した場合,ゲーム点を得点します.

親は,宣言を達成しなかった場合,ミゼール以外では,“不足勝ち数×ゲーム点”を失点し,また祝儀として,同じ点を下りた子を含む子と抜けている配り手 1 人ずつに渡します.ミゼールでは,“勝ち数×ゲーム点”を失点します.

出た子は,目標を達成してもしなくても,“勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.出た子が 1 人のときは,勝ち数として,子 2 人の勝ち数の合計を使います.どんな場合も,この点を下りた子と分け合いません.これを“欲張りな出た子”といいます.なお,ソチ風だけでなく,すべてのバリエーションでも,この点の受け渡しがあるのは,“出た子”がいる場合に限られます.したがって,ミゼールだけでなく,10 の代に子の目標を設けないときも,この点の受け渡しがないことに気をつけてください.

出た子は,子 2 人の勝ち数が目標より少なく,自分の勝ち数が個人目標より少なかった場合,“個人目標への不足勝ち数×ゲーム点”を失点します.このように,子の失点を親の失点と同じにするのを“(出た子の) 全責任”といいます.

ラスパシーは,山札を使い,全員が,勝ち数を失点します.1 勝もしなかった人は, 1 点を得点します.

得点が目標点に達したら,目標点を上回る得点を,目標点に達していない人のうち得点が最大の人の得点につけ,つけた得点の 10 倍の点を得点をつけた人からもらって相殺します.残り 2 人の得点が同じときは,左隣の人につけます.つけた得点で目標点を上回るなら,目標点を上回る点を,他の人につけます.なお,得点を誰につけても,成績の計算結果は変わりません.例えば,目標点が 20 点,得点が A は 18,B は 10,C は 12 のとき,A さんが 8 の代の宣言を達成したら,得点 6 のうち 2 で目標の 20 点に到達するので,2 点を自分の得点欄につけ,残りの 4 点を C さんの得点欄につけます.そして,A さんが C さんからもらった点の欄に,4×10=40 点をつけます.全員が目標点に到達したら終局です.目標点を上回る得点が余ったら,自分の失点を余った得点だけ減らします.これで失点が負になってもかまいません.

全員が目標点に到達していなくても,終局に合意したら,“目標点-得点”を各人の失点に加えてから,成績を計算します.

2013年7月23日火曜日

練習代わりのシュナプセンのルールです

趣味で書きためた文章が誰かの暇つぶしの役に立てばと思い,さらしてみました.まずは,個人的にお気に入りのトランプゲームのルールをいくつか紹介します.英語圏での知名度が低いので,もとネタを英語文献に頼っている日本でも知名度が低いものを選びました.次は,超長文のロシア版プレフェランスを何回かに分けてのせます.

シュナプセンまたは 66


オーストリアとハンガリーで盛んなゲームです.ハンガリー出身で,ドイツ語と英語の複数の情報源を比較した psellos.com の Martin Tompa 氏の記事と,同氏の BoardGameGeek への投稿が主な情報源です.4 人版はオーストリアとハンガリーで異なり,ここで紹介するのはハンガリー式です.こちらは,ネットの掲示板の複数の情報をまとめました.

 

人数とカード


2 人.4 つの印ごとに 5 枚の 20 枚.ドイツ・ハンガリー風トランプだと,斜めに 2 つ印が付いた 2,10,上に印があり馬に乗る王,上に印がある僕,下に印がある僕です.日本でもお馴染みのフランス風トランプは,オーストリアの一部で使われており,こちらだと,A,10,K,Q,J (ドイツ語では A, 10, K, D, B) です.

カードの強弱と点

カードは,強い順に,2 (A),10,王 (K),上 (Q),下 (J) です.点は,2 (A) が 11 点,10 が 10 点,王 (K) が 4 点,上 (Q) が 3 点,下 (J) が 2 点です.

 

目的


ゲーム点 7 点を先にとった方が勝ちです.各ゲームでは,カード点とペアの点で 66 点を先に取ることです.ゲーム点は,7 から 0 へと数えます.軸がカーブした 7 つ玉のそろばんのような専用の道具で取ったゲーム点だけ玉を手前に動かすか,ヨーロッパ大陸で一般的な 2~6 がない 32 枚組のカードのうち,このゲームで使わない 7 を 2 枚ずつ使い,1 枚を表,もう 1 枚を裏向きにし,取ったゲーム点だけ裏向きのカードで印を隠すかします.

 

カードの配り方


最初にカードを配る人は好きな方法で決め,あとは交互に交代します.配り手は,5 枚の手札と山札を配ります.相手,自分の順に手札を一度に 3 枚ずつ,場に表向きに 1 枚,相手,自分の順に手札を一度に 2 枚ずつ,残りのカードを,表向きのカードの印と位が分かるように,その上に交差させて伏せて置きます.表向きのカードが切札表示で,同じ印のカードが切札になります.伏せたカードと切札表示が山札で,切札表示は最後の山札になります.

 

カード勝負


カードを配った直後は配り手でないほうが先手,以後は直前のカード勝負に勝った方が先手です.先手は,好きな手札を 1 枚表にして出します.ついで,後手が手札を 1 枚表にして場に出します.山札が引けるうちは,後手も好きなカードを出せます.山札がなくなるか閉じられて引けなくなったら,後手は,先手と同じ印の手札があれば出さなければならず,その上で,先手に勝てる手札があれば出さなければなりません.つまり,先手の印の強い手札,なければ先手の印の弱い手札,それもなければ切札,いずれもなければ好きな手札を出します.

切札が出たときは強い切札,そうでない場合は先手の印で強いカードを出した人がその回のカード勝負に勝ちます.勝負に勝った人は場に出された 2 枚のカードを取ります.取ったカードは伏せて手元に置きます.自分が取ったカードは,あとで見ても構いませんが,カードを取るたびにカードを見て点を計算し直すのは,マナー違反です.

山札が引けるなら,カード勝負に勝った側,負けた側の順に,山札の先頭から 1 枚ずつカードを引いて手札に加え,手札を 5 枚に戻します.

次のカード勝負の先手は,山札を引けるうちは,2 人が山札を引いてから手札を出すまでの間に,手札にある切札の下 (J) を切札表示と交換できます.交換の後は,下 (J) が切札表示になります.1 回目のカード勝負の前でも交換できます.

次のカード勝負の先手は,2 人が山札を引いてから手札を出すまでの間に,切札表示を抜き,伏せて山札の上に乗せて,山札を閉じられます.山札を閉じると,山札を引けなくなります.切札表示を交換するときも,1 回目のカード勝負の前でも,山札を閉じられます.

先手は,手札に同じ印の王と上 (K と Q) のペアがあるなら,一方を手札から出すときにもう一方を見せると,切札のペアなら 40 点,それ以外なら 20 点を直ちに得ます.1 回目のカード勝負の先手が公開したペアの点は例外で,ペアを公開した人がカード勝負に勝ったときに入ります.公開したペアを示すため,樽型でふたに印が書かれた専用アクセサリか,使わないカード 4 枚,32 枚組のトランプなら 8 のうち,公開したペアの印を取り,手元に置きます.

 

カード勝負の終了


取札とペアの点の合計が 66 点以上になったと思う人は,上がりを宣言して,カード勝負を終わらせることができます.上がりの宣言がない場合,手札がなくなったら終わりです.

 

ゲーム点


上がりの宣言が正しく,相手が山札を閉じていないときと,山札を使いきった最終回 (10 回目) に勝ったときは,相手が取札とペアで 33 点以上獲得していれば 1 点,32 点以下で 1 枚以上カードを取っていれば 2 点,1 枚もカードを取っていなければ 3 点のゲーム点を得ます.

上がりの宣言が正しく,相手が山札を閉じていたときと,相手の上がり宣言が間違っていたとき
は,1 枚もカードを取っていなかったら 3 点,そうでなければ 2 点のゲーム点を得ます.
山札を閉じた場合,ゲーム点を区別する点・枚数は,山札を閉じたときのものを使います.また,山札を閉じたのに上がり宣言なく終わったら,山札を閉じた人が終わったときに上がりを宣言した場合と同じように採点します.

 

競技ルール


競技会などでは,以下のルールのすべてまたは一部を追加します.
  • 取ったカードをあとで見てはいけません.点数は覚えていなければなりません.
  • 1 回目のカード勝負の先手は,ペア公開と下 (J) の交換はできません.
  • ペア公開時は,手札から王 (K) を出さなければなりません.
  • 下 (J) と切札表示の交換と,山札を閉じることは,伏せられた山札が 3 枚以上残っていないとできません.
  • 山札を閉じたときも,終局時の点・枚数をゲーム点の判定に使う人がいます.

 

4 人版


4 枚の 9 を加えた 24 枚を使います.9 は 下 (J) より弱く,カード点は 0 点です.

最初にカードを配る人は好きな方法で決め,その後は,反時計回りに交代します.カードを配る人はカードを混ぜ,左隣の人にカットしてもらってから,右隣の人から順に反時計回りに一度に 3 枚ずつ配ります.配り手の右隣の人は,3 枚のカードを見てから,自分のパートナーが持っていて欲しいカードを 1 枚指名します.指名したカードと同じ印のカードが,切札になります.切札指名後,配り手は,同じように 3 枚ずつカードを配ります.

指名したカードを持つ人は配り手の右隣とチームを組み,残りの 2 人と対戦します.ただし,指名したカードを手から出すまで,自分がパートナーだと公表してはいけません.配り手の右隣に指名したカードが来た場合,1 人対 3 人の対戦になります.このときも,パートナーがいないことを公表してはいけません.

最初は,配り手の右隣の人,以降は,直前のカード勝負に勝った人が先手になります.先手は,好きな手札を 1 枚,表向きにして場に出します.残りの 3 人は,順番に反時計回りに,手札を 1 枚表向きにして場に出します.このとき,先手と同じ印の手札があれば出し,それがなく切札があるときは,切札を出さなければなりません.このルールに従いながら,場に出ている手札に勝てるカードがあれば,出さなければなりません.切札が出たときは,一番強い切札,そうでないときは,先手の印で一番強いカードを出した人が,カード勝負に勝ちます.カード勝負に勝った人は,出されたカードを取ります.取ったカードは手元に伏せて置きます.

先手は,手札に同じ印の 王と上 (K と Q) があるとき,両方を見せてから,一方を場に出すと,切札のペアなら 40 点,それ以外なら 20 点を直ちに得られます.1 回目のカード勝負の先手が公開したペアの点は例外で,ペアを公開した人がカード勝負に勝ったときに入ります.

最後のカード勝負に勝つと 10 点を得られます.

取札とペアの点で合計 66 点以上取ったと思う側の人は,そのことを宣言して,カード勝負を終わらせることができます.

宣言が正しいか,最後のカード勝負のあと点の多かった側は,相手側が取札とペアで 33 点以上とっていたら,各 1 点,相手側が 32 点未満で,1 枚以上カードをとっていたら各 2 点,相手側が 1 枚もカードを取っていなかったら各 3 点を 1 人ずつ得ます.

宣言が間違っていたら,宣言しなかった側は,宣言しなかった側が 1 枚以上カードを取っていたら各 2 点,宣言しなかった側が 1 枚もカードを取っていなかったら各 3 点を 1 人ずつ得ます.

 

他の国々の 66


ドイツ,ブルガリア,ギリシャなどでは,9 を加えた 24 枚組を使い,手札 6 枚で遊びます.9 は下 (J) より弱く,カード点は 0 点です.他の相違点は,次のとおりです.
  • 直前の手の勝者が配り手になります.
  • 切札表示と交換できるのは,下 (J) でなく切札の 9 です.
  • 1 回目のカード勝負の先手によるペア公開と切札表示の交換を認めない人がいます.
  • ブルガリア,ギリシャでは,山札を引けないときの後手は,先手と同じ印が手札にあるとき,勝つカードを出す義務がありません.
  • ドイツでは,山札を閉じた後は,ペアを公開できません.
  • 山札を使い果たした最終回に勝った人は,10 点を得ます.
  • 山札を閉じたときも,終局時の点・枚数をゲーム点の判定に使います.
  • 山札を引く前の手札が 5 枚ずつのときに山札を閉じてもよいとする人がいます.