2013年7月28日日曜日

ギリシャのプレフェランス (プレファ)

ロシア版のように 7 の代以上の目標がありながら 6 の代の点数にバルカン版と同じ格差がある,ミゼールがない,子の目標に遊びがない,点数計算のルールが複雑など,独特の個性があるというか,ロシア版に比べるとかなり子に厳しいゲームです.情報源は,bridge-preferance.ru などにコピーが置かれている Eric L. Ball さんの“Prefa (Greek Preference)”です.場合分けが多すぎる得点計算は,同じ結果が得られるように,筆者が整理しました.

人数


3~4 人.4 人のときは配り手が抜けます.

道具


  • 4 つの印ごとに 8 枚,32 枚組のカード.強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7.日本でもおなじみのフランス風のカードが普通に使われます.
  • スコアシート: スコアをつける人が持ちます.四角形を ⊥ で区切り,各欄の中央の上に名前を書きます.下の大きい欄がスコアをつける人の欄,後の 2 つは,着席位置に合わせます.名前の真下から下にプール点を,他の人の欄との境界線近くで紙の辺に近いところから下または上に,その人からもらった点の累計を書き加えます.

カードを配る


最初にカードを配る人は好きな方法で決めます.そのあとは反時計回りに交代で務めます.すべてのゲーム進行が反時計回りです.

配り手は,カードをシャッフルし,左隣の人にカットしてもらってから,手札 10 枚,山札 2 枚を,右隣の人から反時計回りに,3 人の手札を 2 枚ずつ,山札 2 枚,手札 2 枚ずつ,手札 2 枚ずつ…と配ります.席順は,配り手の右隣が一番早い 1 番手で,ついで,反時計回りに 2 番手,3 番手となります.

せり


せりでは,ゲームの目標を言います.目標は,切札の種類とカード勝負で何勝以上するか (6~10) の組み合わせです.切札の種類には,4つの印の他に“ノートランプ” (切札なし) を指定できます.勝ち数が多い目標は,少ない目標より上,勝ち数が同じ目標は切札を比較します.切札の順は,下から上に,スペード,クラブ,ダイヤ,ハート,ノートランプです.勝ち数の 6 は,普通は省略します.“10 ノートランプ”はありません.したがって目標を最低から順に並べると“スペード”,“クラブ”,“ダイヤ”,“ハート”,“ノートランプ”,“7 スペード”…となり,最高の目標は“10 ハート”です.“10 ノートランプ”を認める人もいます.認める場合,ゲーム点を 11 点にするか 10 点にするかも決めます.

1 番手からせりを行います.最初に言える目標は,最低の“スペード”かパスです.最初の手だけは,ダイヤの 7 が手札にある人からせりを始め,この人が次の配り手になるとする人がいます.この場合,ダイヤの 7 が山札にあったら,配り直します.

ついで,反時計回りに,残りが 1 人になるまで,せりをつづけます.せりに残るためには,最新の目標を後の番手が言ったなら,それを繰り返すか,同じく何々,自分も何々などといい,前の番手が言ったなら,それより 1 つ上の目標を言います.これらが言えないときは,パスと言って,せりから下りなければなりません.

全員がパスしたら,その手は放棄して,配り手を交代します.

せりで誰もスペードを言っていないとき,仮に出ることを認める人がいます.仮に出ると,他の人が全員パスした場合,せりに勝ち,誰かがスペードを言ったら,パスしたことになります.仮に出てせりに勝ったあと,山札を見て,6 スペード以上の目標を達成できそうにないことが分かったら,プールを 2 点増やし,他の 2 人に 2 点ずつ払って辞退できます.

親と子の宣言


最後までせりに残った人が,親になります.残りの 2 人は子となり,協力して子の目標達成を目指します.

親は,2 枚の山札を見せずに,手札に加え,不要札を 2 枚伏せて捨てます.ついで,せりの目標順でせり落とした以上 (最後に言った目標も含みます) の目標を宣言して,カード勝負の切札と目指す勝ち数を決めます.

親が山札を手札に加えたときに A が 4 枚あったら,宣言時にそれを告げると,事前に合意しただけ,例えば,プールの初期値の 1 / 10 だけゲーム点を上げる,あるいは,親が成功したら,子 1 人ずつから事前に決めたボーナス点をもらい,親が失敗したら,子 1 人ずつに事前に決めたボーナス点を払うとする人がいます.親子でボーナス点を受け渡す場合,抜けた配り手も子に含めます.

親の右隣から順に,子は,カード勝負に出るか下りるか宣言します.1 人下りた場合,残りの子は,親と 2 人でカード勝負を行うか,下りた子を連れて出て,3 人でカード勝負を行うか選びます.連れて出た方が親の宣言達成が難しくなりますが,子の得失点を 1 人で負担することになります.出た子には,子の目標があり,全 10 回のカード勝負から親の宣言勝ち数を引いた残りの勝ち数を目指します.2 人出たときは,その半分が個人目標になります.奇数のとき,あまりの 1 勝は,親の右隣の子の目標に加えます.子が 1 人出て,下りた子を連れて出なかった場合は,子の目標を 2 で割り端数を切り上げます.10 の代の宣言には子の目標がないので,子は出る下りるを言いません.10 の代の子の目標を 0 勝でなく 1 勝にする人もいます.

1 人目の子が下りて,2 人目の子が 1 人で出たとき,1 人目の子が,2 人目の子を連れて出ると言い直すことを認める人がいます.このときは,1 人目の子が 2 人目の子を連れて出たことになります.

子が 2 人とも下りた場合,カード勝負なしに宣言達成となります.点数計算は,子に目標がないので,親子ともに目標達成,親の 10 回全勝とみなして行います.

カード勝負


10 枚の手札で 10 回のカード勝負を行います.1 回目は 1 番手,2 回目以降は直前の回の勝者が,先手になります.先手は,手札から 1 枚を表に向け場に出します.先手の右隣から順に,反時計回りに,全員が 1 枚ずつ手札を表向きに場に出します.このとき,先手と同じ印の手札があるなら,出さなければなりません.先手と同じ印の手札がなく,切札がある場合,切札を出さなければなりません.一番強い切札,切札がないときは,先手と同じ印で一番強いカードを出した人が,1 回の勝負に勝ちます.

点数計算


全員のプールに,31 点,20 点,または 10 点など,あらかじめ決めた点数を記入します.プールの点はマイナス点で,プールの 1 点は,人からもらう点 10 点に相当します.全員のプールが 0 になったら終局です.1 人以外のプールが 0 点になったら,終局にする人もいます.この場合,プールに点が残っている人は,プールを 10 倍してから人数で割った結果を,他の人ひとりずつに払います.

点数計算には,ゲーム点を使います.ゲーム点は,親の宣言によって決まり,スペードは 2,クラブは 3,ダイヤ は 4,ハートは 5,ノートランプは 6,7 スペード~7 ハートは 7,7 ノートランプ~8 ハートは 8,8 ノートランプ~9 ハートは 9,9 ノートランプ~10 ハートは 10 です.

どの場合にも,連れられた子は,プール点の相殺以外では,点数を受け渡しせず,連れられた子の勝ち数は,連れて出た子のものになります.

親子ともに目標を達成したときは,親のプールからゲーム点を引き,子は“自分の勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.ここで,子の目標達成は,子 2 人の合計で判断し,個人目標は無関係です.残りのプール点がゲーム点より少なかったら,0 を超える分は,プールの残額が一番多い人のプールから引き,その人から引いたプール点の 10 倍の点をもらって相殺します.

親が目標達成に失敗したときは,親のプールにゲーム点を加え,子は“自分の勝ち数×ゲーム点”を親からもらいます.目標を 2 勝以上下回った場合,これらの点をすべて倍にします.4 人で遊ぶ場合,親が 1 勝不足のときは 25 点,2 勝以上不足のときは 50 点を,親が抜けた配り手に払います.

子 2 人の合計が子の目標に届かなかった場合,親と個人目標を達成した子は,“自分の勝ち数×ゲーム点”を,個人目標を達成できなかった子からもらいます.子が 2 人とも個人目標を達成していない場合,親は,子 2 人から点をもらえます.子 2 人の合計が目標を 2 勝以上下回った場合,個人目標を 2 勝以上下回った子は,渡す点を倍にします.

“もらった点の合計-他の人が自分からもらった点の合計”が成績です.

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