シュナプセンまたは 66
オーストリアとハンガリーで盛んなゲームです.ハンガリー出身で,ドイツ語と英語の複数の情報源を比較した psellos.com の Martin Tompa 氏の記事と,同氏の BoardGameGeek への投稿が主な情報源です.4 人版はオーストリアとハンガリーで異なり,ここで紹介するのはハンガリー式です.こちらは,ネットの掲示板の複数の情報をまとめました.
人数とカード
2 人.4 つの印ごとに 5 枚の 20 枚.ドイツ・ハンガリー風トランプだと,斜めに 2 つ印が付いた 2,10,上に印があり馬に乗る王,上に印がある僕,下に印がある僕です.日本でもお馴染みのフランス風トランプは,オーストリアの一部で使われており,こちらだと,A,10,K,Q,J (ドイツ語では A, 10, K, D, B) です.
カードの強弱と点
カードは,強い順に,2 (A),10,王 (K),上 (Q),下 (J) です.点は,2 (A) が 11 点,10 が 10 点,王 (K) が 4 点,上 (Q) が 3 点,下 (J) が 2 点です.
目的
ゲーム点 7 点を先にとった方が勝ちです.各ゲームでは,カード点とペアの点で 66 点を先に取ることです.ゲーム点は,7 から 0 へと数えます.軸がカーブした 7 つ玉のそろばんのような専用の道具で取ったゲーム点だけ玉を手前に動かすか,ヨーロッパ大陸で一般的な 2~6 がない 32 枚組のカードのうち,このゲームで使わない 7 を 2 枚ずつ使い,1 枚を表,もう 1 枚を裏向きにし,取ったゲーム点だけ裏向きのカードで印を隠すかします.
カードの配り方
最初にカードを配る人は好きな方法で決め,あとは交互に交代します.配り手は,5 枚の手札と山札を配ります.相手,自分の順に手札を一度に 3 枚ずつ,場に表向きに 1 枚,相手,自分の順に手札を一度に 2 枚ずつ,残りのカードを,表向きのカードの印と位が分かるように,その上に交差させて伏せて置きます.表向きのカードが切札表示で,同じ印のカードが切札になります.伏せたカードと切札表示が山札で,切札表示は最後の山札になります.
カード勝負
カードを配った直後は配り手でないほうが先手,以後は直前のカード勝負に勝った方が先手です.先手は,好きな手札を 1 枚表にして出します.ついで,後手が手札を 1 枚表にして場に出します.山札が引けるうちは,後手も好きなカードを出せます.山札がなくなるか閉じられて引けなくなったら,後手は,先手と同じ印の手札があれば出さなければならず,その上で,先手に勝てる手札があれば出さなければなりません.つまり,先手の印の強い手札,なければ先手の印の弱い手札,それもなければ切札,いずれもなければ好きな手札を出します.
切札が出たときは強い切札,そうでない場合は先手の印で強いカードを出した人がその回のカード勝負に勝ちます.勝負に勝った人は場に出された 2 枚のカードを取ります.取ったカードは伏せて手元に置きます.自分が取ったカードは,あとで見ても構いませんが,カードを取るたびにカードを見て点を計算し直すのは,マナー違反です.
山札が引けるなら,カード勝負に勝った側,負けた側の順に,山札の先頭から 1 枚ずつカードを引いて手札に加え,手札を 5 枚に戻します.
次のカード勝負の先手は,山札を引けるうちは,2 人が山札を引いてから手札を出すまでの間に,手札にある切札の下 (J) を切札表示と交換できます.交換の後は,下 (J) が切札表示になります.1 回目のカード勝負の前でも交換できます.
次のカード勝負の先手は,2 人が山札を引いてから手札を出すまでの間に,切札表示を抜き,伏せて山札の上に乗せて,山札を閉じられます.山札を閉じると,山札を引けなくなります.切札表示を交換するときも,1 回目のカード勝負の前でも,山札を閉じられます.
先手は,手札に同じ印の王と上 (K と Q) のペアがあるなら,一方を手札から出すときにもう一方を見せると,切札のペアなら 40 点,それ以外なら 20 点を直ちに得ます.1 回目のカード勝負の先手が公開したペアの点は例外で,ペアを公開した人がカード勝負に勝ったときに入ります.公開したペアを示すため,樽型でふたに印が書かれた専用アクセサリか,使わないカード 4 枚,32 枚組のトランプなら 8 のうち,公開したペアの印を取り,手元に置きます.
カード勝負の終了
取札とペアの点の合計が 66 点以上になったと思う人は,上がりを宣言して,カード勝負を終わらせることができます.上がりの宣言がない場合,手札がなくなったら終わりです.
ゲーム点
上がりの宣言が正しく,相手が山札を閉じていないときと,山札を使いきった最終回 (10 回目) に勝ったときは,相手が取札とペアで 33 点以上獲得していれば 1 点,32 点以下で 1 枚以上カードを取っていれば 2 点,1 枚もカードを取っていなければ 3 点のゲーム点を得ます.
上がりの宣言が正しく,相手が山札を閉じていたときと,相手の上がり宣言が間違っていたとき
は,1 枚もカードを取っていなかったら 3 点,そうでなければ 2 点のゲーム点を得ます.
山札を閉じた場合,ゲーム点を区別する点・枚数は,山札を閉じたときのものを使います.また,山札を閉じたのに上がり宣言なく終わったら,山札を閉じた人が終わったときに上がりを宣言した場合と同じように採点します.
競技ルール
競技会などでは,以下のルールのすべてまたは一部を追加します.
- 取ったカードをあとで見てはいけません.点数は覚えていなければなりません.
- 1 回目のカード勝負の先手は,ペア公開と下 (J) の交換はできません.
- ペア公開時は,手札から王 (K) を出さなければなりません.
- 下 (J) と切札表示の交換と,山札を閉じることは,伏せられた山札が 3 枚以上残っていないとできません.
- 山札を閉じたときも,終局時の点・枚数をゲーム点の判定に使う人がいます.
4 人版
4 枚の 9 を加えた 24 枚を使います.9 は 下 (J) より弱く,カード点は 0 点です.
最初にカードを配る人は好きな方法で決め,その後は,反時計回りに交代します.カードを配る人はカードを混ぜ,左隣の人にカットしてもらってから,右隣の人から順に反時計回りに一度に 3 枚ずつ配ります.配り手の右隣の人は,3 枚のカードを見てから,自分のパートナーが持っていて欲しいカードを 1 枚指名します.指名したカードと同じ印のカードが,切札になります.切札指名後,配り手は,同じように 3 枚ずつカードを配ります.
指名したカードを持つ人は配り手の右隣とチームを組み,残りの 2 人と対戦します.ただし,指名したカードを手から出すまで,自分がパートナーだと公表してはいけません.配り手の右隣に指名したカードが来た場合,1 人対 3 人の対戦になります.このときも,パートナーがいないことを公表してはいけません.
最初は,配り手の右隣の人,以降は,直前のカード勝負に勝った人が先手になります.先手は,好きな手札を 1 枚,表向きにして場に出します.残りの 3 人は,順番に反時計回りに,手札を 1 枚表向きにして場に出します.このとき,先手と同じ印の手札があれば出し,それがなく切札があるときは,切札を出さなければなりません.このルールに従いながら,場に出ている手札に勝てるカードがあれば,出さなければなりません.切札が出たときは,一番強い切札,そうでないときは,先手の印で一番強いカードを出した人が,カード勝負に勝ちます.カード勝負に勝った人は,出されたカードを取ります.取ったカードは手元に伏せて置きます.
先手は,手札に同じ印の 王と上 (K と Q) があるとき,両方を見せてから,一方を場に出すと,切札のペアなら 40 点,それ以外なら 20 点を直ちに得られます.1 回目のカード勝負の先手が公開したペアの点は例外で,ペアを公開した人がカード勝負に勝ったときに入ります.
最後のカード勝負に勝つと 10 点を得られます.
取札とペアの点で合計 66 点以上取ったと思う側の人は,そのことを宣言して,カード勝負を終わらせることができます.
宣言が正しいか,最後のカード勝負のあと点の多かった側は,相手側が取札とペアで 33 点以上とっていたら,各 1 点,相手側が 32 点未満で,1 枚以上カードをとっていたら各 2 点,相手側が 1 枚もカードを取っていなかったら各 3 点を 1 人ずつ得ます.
宣言が間違っていたら,宣言しなかった側は,宣言しなかった側が 1 枚以上カードを取っていたら各 2 点,宣言しなかった側が 1 枚もカードを取っていなかったら各 3 点を 1 人ずつ得ます.
他の国々の 66
ドイツ,ブルガリア,ギリシャなどでは,9 を加えた 24 枚組を使い,手札 6 枚で遊びます.9 は下 (J) より弱く,カード点は 0 点です.他の相違点は,次のとおりです.
- 直前の手の勝者が配り手になります.
- 切札表示と交換できるのは,下 (J) でなく切札の 9 です.
- 1 回目のカード勝負の先手によるペア公開と切札表示の交換を認めない人がいます.
- ブルガリア,ギリシャでは,山札を引けないときの後手は,先手と同じ印が手札にあるとき,勝つカードを出す義務がありません.
- ドイツでは,山札を閉じた後は,ペアを公開できません.
- 山札を使い果たした最終回に勝った人は,10 点を得ます.
- 山札を閉じたときも,終局時の点・枚数をゲーム点の判定に使います.
- 山札を引く前の手札が 5 枚ずつのときに山札を閉じてもよいとする人がいます.
0 件のコメント:
コメントを投稿