ルールの選択肢一覧
ルールのバリエーションが多いゲームなので,主な選択肢を一覧にしました.
- せりで前と同じ/1つ上より上の目標をいうことを: 認めない/認める
- ラスパシーの後のせりの最低目標: 6 (上げない)/6, 7, 7… (ラスパシー後は 7 の代)/6, 7, 8, 8… (1 回目のラスパシー後は 7 の代,2 回目の後は 8 の代)
- ラスパシー状態の終了条件: 親が失敗したとき終わるか,子の目標のない手を成功させたとき終わるか.
- ミゼールのせり: ミゼールは 9 の代にせり負ける/ミゼールに対して 9 の代をいわれたら,山札なしミゼールで対抗でき,それに勝つのは 10 の代/ミゼールに対して 9 の代をいわれたら,山札なしミゼールで対抗でき,それに勝つのは山札なしの 9 の代
- 親が山札を引いたあとカード勝負を行わずに 3 勝不足分の失点で下りることを: 認めない/認める
- 6 スペード宣言時の子の強制出場 (“スターリングラード”): 認めない/認める
- 10 の代に対し子は: 確認する/子の目標を 1 勝にし,出るか下りるか言う
- 6~7 の代で,出る,下りるの後,出るを半分出るに変えることを: 認める/認めない
- ミゼール以外で親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 前/後
- ミゼールで親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 前/後
- ラスパシーで山札を: 使う/使わない
- 子が 1 人で出て親を失敗に追い込んだときの授受点配分: 紳士な出た子/欲張りな出た子
- 出た子が失敗した時の失点: 半責任/全責任
- 8~10 の代の2人出の子の失点: 2 人で半分ずつ払う/2 人目の子の責任払い
- ラスパシーが連続した時の失点: 1, 1, 1 (サンクトペテルブルク風だと 2, 2, 2)/1, 2, 2 (同 2, 4, 4)/1, 2, 3 (同 2, 4, 6)/1, 2, 4 (同 2, 4, 8),
参考までに,競技ルール志向の“プレフェランス法典”が推奨する選択肢は,次のとおりです.
- せりで前と同じ/1つ上より上の目標をいうことを: 認めない
- ラスパシーの後のせりの最低目標: 6
- ラスパシー状態の終了条件: 事前に決める
- ミゼールのせり: ミゼールは 9 の代にせり負ける
- 親が山札を引いたあとカード勝負を行わずに 3 勝不足分の失点で下りることを: 認めない
- 6 スペード宣言時の子の強制出場 (“スターリングラード”): 認めない
- 10 の代に対し子は: 子の目標を 1 勝にし,出るか下りるか言う
- 6~7 の代で,出る,下りるの後,出るを仮に出るに変えることを: 認めるか認めないか事前に決める
- ミゼール以外で親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 前
- ミゼールで親が 1 番手のとき,子が手札を明かすのは,親が最初の手札を出すより: 後
- ラスパシーで山札を: 使うか使わないか事前に決める
- 子が 1 人で出て親を失敗に追い込んだときの授受点配分: 紳士か欲張りか事前に決める
- 出た子が失敗した時の失点: 半責任か全責任か事前に決める
- 8~10 の代の 2 人出の子の失点: 2 人目の子の責任払い
- ラスパシーが連続した時の失点: 事前に決める
得失点の純価値
フィンランド風,ヴェー・エム・カーやクラシックの得点の付け方およびサンクトペテルブルク風と途中終局の精算方法から明らかなように,得点 1 点は,失点マイナス 1 点 (サンクトペテルブルクだけはマイナス 2 点) に相当します.失点は授受点に換算する前に 10 倍してから,全員で山分けするので,3 人のときは,得点 1 点は,10÷3×2=6.66…点のプラス,他の 2 人には,10÷3=3.33…のマイナスです.同じように,4 人のときは,得点 1 点は,10÷4×3=7.5点のプラス,他の 3 人には,10÷4=2.5 点のマイナスです.
宣言通りに勝ったとき親が得る点を授受点にすると,次のようになります.ソチとロストフはこのまま,サンクトペテルブルクは倍にしてください.3 人の場合,6 の代は 5.3… 点,7 の代は 14.6… 点,8 の代は 28 点,9 の代は 45.3… 点,10 の代とミゼールは 66.6… 点です.4 人の場合,6 の代は 7 点,7 の代は 18 点,8 の代は 33 点,9 の代は 52 点,10 の代とミゼールは 75 点です.
6 の代で 1 勝不足したときの損失を授受点にすると,次のようになります.3 人のソチでは -27.3… 点,4 人のソチでは -31 点,サンクトペテルブルクはソチの倍,3 人のロストフでは -43.3… 点,4 人のロストフでは -55 点です.7 の代の 1 勝不足は,3 人のソチでは -50.6… 点,4 人のソチでは -58 点,サンクトペテルブルクはソチの倍です.
失点式のラスパシーの純得失点をを授受点にすると,次のようになります.自分が n 勝したとき,他の人は必ず 10 - n 勝しているので,損得は,自分の勝ち数で決まります.3 人では,0 勝は 40 点,1 勝は 23.3… 点,2 勝は 13.3… 点,3 勝は 3.3… 点,4 勝は -6.6… 点,5 勝は -16.6 点,6 勝は -26.6… 点,7 勝は -36.6… 点です.4 人では,0 勝は 32.5 点,1 勝は 15 点,2 勝は 5 点,3 勝は -5 点,4 勝は -15 点,5 勝は -25 点,6 勝は -35 点,7 勝は -45 点です.いずれも,サンクトペテルブルクは倍です.また連続時の倍があるなら,それもかけてください.
戦術についてひとこと
親が失敗したときの失点が大きいので,宣言では 2 人の子のカード配置を悲観的に考えることが重要です.せりでも,山札がよくなければ 6 勝できない手なら,パスの方が安全です.ラスパシーの点が上がらない限り,3 人なら,ラスパシーで 6 勝しても,6 の代で 1 勝不足するよりは,損失が少ないです.4 人だと,ラスパシー 6 勝の方が少し損失が多いです.
古いルール
古くは,ミゼールはオプションで,手札を公開しない大ミゼール,小ミゼールと,手札を公開する大ウヴェア,小ウヴェアという区別がありました.“プレフェランス法典”は,“現代のミゼールは次のように行う”と言っているので,古いルールでは,ミゼールのやり方も,異なっていたようです.
“半分出る”を導入する前は,子が 1 人出て 1 人下りた場合,出る子が,もう 1 人の子を“連れて出る”か,“1 人で出る”か選びました.“連れて出る”は,現行の 1 人出と同じ,“1 人で出る”は,子側の目標を現行の個人目標に引き下げ,下りた子の手札を使わずに,親と出た子の 2 人でカード勝負を行います.
19世紀末~20世紀初頭は,切札によりゲーム点が違いました.古い点数表は,review-pref.ru が紹介しています.各切札の点は 4,6,8,10,12 点,“^”は階乗で,(1) 切札の点×(宣言勝ち数-5),(2) 切札の点+(宣言勝ち数-6)×10,(3) 切札の点+(宣言勝ち数-5)×10,(4) 10×(宣言勝ち数-5),(6) 切札の点×2^(宣言勝ち数-6)
古くは,ラスパシーはありませんでした.
用語集
参考したサイトの読解で独自の用語に苦労したのと,Marriageなどロシア語しか表示しないソフトウェアを操作するときの参考にもなるので,プレフェランス用語を集めてみました.
プレフェランス: преферанс (フランス語の外来語), преф, пулька
エース: туз (語源は deuce に相当するドイツ語の Daus),肩の文字はТ
キング: король,肩の文字はК
クイーン: дама (フランス語 dame),肩の文字はД
ジャック: валет (フランス語 valet),肩の文字はВ
ハート: червы (単数は何?)
ダイヤ: бубен (複数は бубны) 根拠不詳ですが,先手に困ったらダイヤを出せという格言があります.
クラブ: тpеф (フランス語の外来語)
スペード: пик (フランス語の外来語)
切札: козырь
切札なし,ノートランプ: без козыря
山札: прикуп (常に単数) “山札を知っていたらソチに住める”ということわざがあります.
1 番手: первая рука
2 番手: вторая рука
3 番手: третья рука
4 人のときの配り手: сидящий на прикупе (山札の席の人)
せり: тоpговля
(せりの)1: раз (2 から 5 は普通の数詞)
(せりの)同じく…: … здесь, … мои
6 の代: шестерная
7 の代: семерная
8 の代: восьмерная
9 の代: девятерная
10 の代: десятерная, тотус
ミゼール: мизер (フランス語の外来語)
宣言: заказ
“パス”,“下りる”: пас
“出る”: вист (英: whist).プレフェランスを代表する概念といってよいでしょう.
“半分出る”: полвиста
ラスパシー,ラスパソフカ: распасы, распасовка
親: играющий, разыгрывающий (ともに“プレーする人”の意味.英語で言いたければ,1 人でプレーする人なので,ソロイストが適切な訳語でしょう)
子: партнер (パートナー)
出た子: вистующий (ヴィストする人)
下りた子: пасующий (パスする人)
手を隠す: втёмную (闇で)
手を明かす: всветлую (光で)
最初の先手(オープニングリード): первый ход (親のときいつ子が手を明かすかがルール上の問題)
勝ち数,回(数),“トリック”: взятка (指小辞つきの“つかむもの,取るもの”なので,ロシア人にとっては“おつかみ”のような言葉です.しゃれで“取りっこ”と訳したくなります.)
印の間違い,間違った捨て札: фальшренонс (ファルシュレノンス.ドイツ語の falsch とフランス語の renonce を組み合わせた外来語.重大な反則です)
ラスパシー状態から抜ける: выход из (рас)пасов (この条件は,人により異なるので事前に確認します)
親が目標を達成する: сыграть (単に“プレーした”です)
失敗: ремиз, подсад (前者はフランス語)
スコアシート: пуля, пулька (プレフェランスの別称でもあります)
失点欄: гора
失点する: писать в гору (山に書く)
得点欄: пуля
得点する: писать в пулю (プールに書く)
授受点: висты (単数は何?)
点をもらう: писать на его висты (もらう人に何々ヴィストを書く)
ゲーム点: стоимость игры
祝儀: консоляция (フランス語かラテン語.語源から考えると“お悔やみ”だが,失敗した人が払うものの名としてふさわしくないし,“法典”なども親を落とした賞だと解説しているので,こう意訳しました)
紳士な出た子: вист джентльменский
欲張りな出た子: вист жлобский
欲張りすぎな出た子: вист сверхжлобский
(出た子の) 半責任: вист полуответственный
(出た子の) 全責任: вист ответственный
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