勝ち数の見積り
何勝できそうか見積もるとき,印の違いは関係ないはずですが,“クラシック”の参考資料から抄訳した下記の一覧のように,ダイヤを特別扱いすることがあります.これは,先手で何を出すか迷ったらダイヤを出せと言う格言があるからです.この格言は,現代ロシアのルールでは意味がなく,他のプレーヤーがこの格言を知らなければ,前提が崩れるので,ダイヤを特別扱いするべきではないでしょう.
A: 1 勝
A, K: 2 勝
A, K, Q: 3 勝
A, K, Q, J: 4 勝
A, K, Q, J, x: 5 勝
A, K, Q, J, x, x: 6 勝
A, K, Q, J, x, x, x: 7 勝
A, K, Q, J, x, x, x, x: 8 勝
A, K, x, x: 3 勝
A, K, x, x, x: 4.5 勝
A, K, x, x, x, x: 6 勝
A, Q: 1 勝
A, Q, J: 1 勝
A, Q, J, x: 2.5 勝
A, Q, J, x, x: 3.5 勝
A, Q, J, x, x, x: 6.5 勝
A, Q, J, x, x, x, x: 7 勝
ダイヤの A: 1 勝
A, J, x: 1 勝
ダイヤの A, x, x: 2 勝
ダイヤの A, x, x, x: 4.5 勝
ダイヤの A, x, x, x, x: 5.5 勝
A, x, x: 1 勝
A, x, x, x: 1.5 勝
A, x, x, x, x: 2.5 勝
K: 0 勝
K, Q (マリヤージュ): 0.7 から 1 勝
K, Q, J (トレリヤージュ): 1.5 から 2 勝
K, Q, J, x: 3 勝
K, Q, x, x: 3 勝
K, Q, x, x, x: 4 勝
K, Q, x, x, x, x: 5 勝
K, Q, J, x, x, x, x: 6 勝
ダイヤの K: 0 勝
K, J, x: 0 勝
ダイヤの K, x, x: 0.5 から 2 勝
K, J, x, x, x: 2.5 勝
K, J, x, x, x, x: 4.5 勝
Q, J: 0 勝
Q, J, x: 0 から 0.3 勝
Q, J, x, x: 0.5 から 1.5 勝
Q, J, x, x, x: 3 勝
Q, J, x, x, x, x: 4.5 勝
J, x, x: 0 勝
J, x, x, x: 0 から 1 勝
J, x, x, x, x: 0 から 2 勝
x, x, x, x: 0 から 2 勝
ミゼールをいうには
手札のすべての印が次のような手をきれいなミゼールといいます.
1 枚目: 7
2 枚目: 8 か 9
3 枚目: 10 か J
4 枚目: Q か K
5 枚目: A
このうちどれかがない場合,ミゼールは,捕まる可能性があります.例えば,ある印が 7 と10 なら,2 枚目の 8 か 9 がありません.相手が 8 か 9 を先手で出したら 7 で応じなければならないので,次に残りの 9 か 8 を出されて,もう 1 人の手に同じ印が残っていなかったら,このミゼールは捕まってしまいます.
ミゼールが捕まる確率は,次の通りです.
7, 10: 50%
7, 9: 親が先手なら 5%
7, J: 80%
7, Q: 95%
8: 親が先手なら 5%,子が先手なら 30%
8, 9: 80%
9: 親が先手なら 15%,子なら 80-90%
7, 8 か 9, Q: 20%
7, 8 か 9, K: 70%
7, 8 か 9, A: 100%
7, 8 か 9, 10 か J, A: 10%
穴が 1 つか 2 つあっても,捕まる確率が 80% 以下なら,山札で穴がふさがるか捕まる確率が下がることを期待して,ミゼールを言ってもよいでしょう.7 がないのに他のカードが複数あるなら,ミゼールはリスクに見合いません.7 がないのにミゼールを言っていいのは,8 (か 9) 1 枚だけで,最初に先手で出せる場合だけです.
ロストフ風の山札
ロストフ風プレフェランスのオプションのルールとして,山札に (ほぼ) 確実に勝てるカードがあるときと山札を拒否したときの点があります.一見ふざけたルールに思えるこの点は,山札を取るか取らないかの判断を複雑にします.
山札を取らなければ,10 点もらえるので,山札を取るときは,山札で純得点を 10 点以上増やせなければ損です.3 人の場合,6 の代を宣言して 6 勝すると約 5.3 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると約 14.7 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合,山札を取るのは 2/3 点の損です.4 人の場合は,6 の代を宣言して 6 勝すると 7 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると 18 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合でも,山札を取った方が 1 点だけ得です.
同じように,山札に A があったときも,喜んで取るのでなく,山札を取らなかった場合より,純得点を 20 点以上増やせるか考えなければなりません.3 人でも,4 人でも,K-Q が A-K-Q になる場合のように,6 の代が 8 の代にならなければ,20 点の価値はありません.8 の代が 9 の代になっても 20 点は増えません.A-K は 30 点増,A 2 枚は 40 点増でなければ,割に合いません.
3 人の場合,6 から 7 は 9 1/3 点,6 から 8 は 22 2/3 点,6 から 9 は 40 点,6 から 10 は 61 1/3 点の違いです.7 から 8 は 13 1/3 点,7 から 9 は 30 2/3 点,7 から 10 は 52 点の違いです.8 から 9 は 17 1/3 点,8 から 10 は 38 2/3 点の違いです.9 から 10 は 21 1/3 点の違いです.
4 人の場合,6 から 7 は 11 点,6 から 8 は 26 点,6 から 9 は 45 点,6 から 10 は 68 点の違いです.7 から 8 は 15 点,7 から 9 は 34 点,7 から 10 は 57 点の違いです.8 から 9 は 19 点,8 から 10 は 42 点の違いです.9 から 10 は 25 点の違いです.
以上の理由から,ロストフは,他と比べて,6 の代の手が多くなりやすいです.ミゼール以外の
7 の代以上の手は,親が確実に取れる勝負を取るのを見るだけになりがちなので,接戦の 6 の代の方が,カード勝負は,面白いことが多いです.それでも,ラスパシーの点が相対的に高く,ラスパシーが勝敗を決してしまうことは,サンクトペテルブルク風と変わりません.
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