2013年8月12日月曜日

中欧のトランプ

中欧で普通に使われているトランプは,“トランプ”と起源は同じでも,日本の花札と同じように,見かけがまったく違うものです.このタイプのトランプはハンガリー発祥で,デザインがよいだけでなく,肩のインデクスの助けを借りないでも,多くのカードの見分けが付く実用性を兼ね備えているからか,旧オーストリア・ハンガリー帝国領の各地方に普及しました.例外は,首都のウィーン (宮廷文化の地にふさわしくフランス風),チェコとチロル地方 (絵柄は似ているが,上下反転できない),セルビア (フランス風と併用) などです.

オーストリアなどでは,“Doppeldeutsche” (ダブル・ドイツ),ハンガリーでは“Magyar kártya” (ハンガリーのカード),旧ユーゴでは,Mađarice (ハンガリー風),Belot (ベロート用) など,ほとんど同じデザインのカードが別の名前で売られています.

特徴的なのは,エースに相当するカードがどう見ても 2 にしか見えない女性が描かれた絵札であることです.

同じオーストリアの Piatnik 社によるハンガリー語 (上) と,ドイツ語 (下) の 2 です.上辺中央にある春夏秋冬の言葉が違うだけでなく,よくよくみると,ハンガリー版のほうが女性が元気な表情をしています.
フランスやドイツと同じように,1 組のカードは 32 枚なので,1 つの印には 8 枚のカードがあります.例えば,赤 (ハート) は,次の通りです. 数札にも絵があり,芸が細かいです.

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