2013年8月6日火曜日

ドゥラークまたは“ばか” (1) 基本ルールとバリエーション

プレフェランスとは別の意味で旧ソ連諸国で盛んなゲームです.日本に例えると,ドゥラークは家族や友人が賭けずに遊ぶので大貧民,プレフェランスは学生や社会人,お偉いさんが賭けて雀荘のようやクラブやオンラインゲームで遊ぶので麻雀のような存在です.この名前と遊び方にもかかわらず,チェスの元世界チャンピオン カルポフやプロのカードプレーヤー ジェレズニャコフによると,2 人勝負のドゥラークは,最も知的に難しいトランプゲームのひとつです.

(2013.11.12) カード勝負のルールに不明点の多い十字軍式を削除しました.全体を読み直して,説明を補足し,細かい表現を直すとともに,修正履歴が長くなり過ぎたので,削除しました.
(2013.11.13) たらい回しのバリエーションに“待った”を,手札のバリエーションに等差数列を,攻守のルールのバリエーションに“くるくる”をそれぞれ追加しました.“くるくる”のロシア語名は,配り切り(дорожный)か交換(круговой)と同じですが,ルールは異なります.1週以上するカード勝負のルール,круговойの意味,および“ばか”との言葉の相性のよさを考えて,名づけました.“山積み”のカード補充の誤りを正すとともに,すべてのカードを取らないでよいバリエーションがあることを追記しました.一度削除した十字軍は,矛盾点の多いカード勝負のルールは,“くるくる”と同じルールを記述し切れていないと解釈するのが自然なので,復活させました.
(2013.11.14) durbetsel.ru の“без названия(無題)”のルールを,ダイヤの9を特別扱いする“くるくる”のバリエーションとして追記しました.
(2013.11.16) 引き分けに関するルールを書き足しました.
(2013.11.17) 飛び入りのルールを詳しくしました.
(2013.11.19) バリエーションに,変わる切札,バルチック,大きさでも印でも,チュホンスキー,見えない切札,裏返しを追加しました.
(2013.12.18) チーム戦の配り手の決め方を追記しました.

人数とカード


2~6 人.4 人か 6 人の場合,個人戦も,2 人か 3 人のチームに分かれて戦うこともできます.チーム戦では,同じチームの人は隣りに座らないようにします.2 人のチーム 3 つで戦うときは,各チームを 1,2,3 として,1,2,3,1,2,3 の順に座ります.4 つの印ごとに Т(A),К(K),Д(Q),В(J),10,9,8,7,6 の 36 枚のトランプを使います.この 36 枚組が,ロシアで普通に売っているトランプです.

目的


手札を人より先になくしてゲームから抜け,最後までゲームに残る“ドゥラーク(ばか)”にならないようにします.

カードの強さ


切札は他の印のカードに勝ちます.切札以外は,印が違うカードに勝てません.印が同じカード同士では,強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7,6 です.

カードを配る


最初にカードを配る人は,好きな方法で決めます.その後は,“ドゥラーク”が配り手です.チーム戦では,“ドゥラーク”のチームが,チームの中で自由に配り手を決めます.なお,前の手が引き分けなら,前の“ドゥラーク”が,引き続き配り手を務めます.

配り手は,全員にひとり 6 枚の手札を配ります.次の 1 枚を表向きにして場に置き,残りを伏せて直角に交わるように重ね,表向きのカードが何かわかるようにします.表向きのカードと同じ印が切札です.伏せたカードと表向きのカードが山札で,表向きのカードは,最後の山札です.

最後のカードまたは好きなカードを 1 枚抜いて表向きにする人もいます.手札に 5 枚以上同じ印がある場合,配り直しにする人がいます.表向きのカードが A の場合,配り直しにする人がいます.切札の 6 を手にしたら,いつでも表向きのカードと交換できるとする人がいます.

6 人の場合,カードを配り切るので,配り手は最後の 1 枚を全員に見せてから自分の手に入れます.このカードの印が切札です.

攻めと守り


このゲームには,いつも攻め手と守り手が 1 人ずついます.最弱の切札を持つ人が最初の攻め手で,2 手目以後は,“ドゥラーク”の左隣(ドゥラークが最後に攻める)または右隣(ドゥラークが最初に守る)のどちらを最初の攻め手にするか事前に決めます.最弱の切札を持つ人を探すには,まず切札の 6 を持つ人がいないか聞き,持っている人は,切札の 6 を全員に示してから,最初の攻め手になります.6 を持つ人がいなければ,同じように 7,8 と続けます.誰も切札を持っていなかったら,どうするかその場で決めてください.攻め手の左隣が守り手です.

攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.守り手は,攻め札 1 枚につき,勝つ手札を 1 枚表向きに,攻め札が見えるように重ねて出します.

同じ大きさの手札は,攻め札としてまとめて一度に出せるとする人がいます.

飛び入り


“飛び入りあるいは飛び込み (подкидной) ドゥラーク”というルールでは,守り手がすべての攻め札に守り札を出すたびに,攻め手および守り手の味方でない人は,場に出ている攻守のカードと大きさが同じ手札を,攻め札として追加できます.追加の攻め札を出す順番は自由で,特にルールはありません.追加する攻め札は,場に出ている攻め札の横に並べて置きます.攻め札が 6 枚になるか,守り始めたときの守り手の手札が 5 枚以下なら,その枚数になったら,攻め札を追加できません.

追加を,いつも攻め手から始め,攻め手が終わったら時計回りで次の人というように順番に行う人もいます.順番はないが,攻め手が追加しないと,他の人は追加できないとする人もいます.順番はないが攻め手をいつも優先する人もいます.4 人以上の個人戦で,攻め札を追加できる人を,守り手の両隣りの 2 人だけにする人がいます.多人数の個人戦では,はじめの守り手が不利なので,最初の守り手,あるいは,守備に成功する人が出るまでは,攻め札を 5 枚以下に制限する人がいます.

攻守の終わり


出された攻め札すべてに守り札を出せば,守備は成功で,出せないか出すのを止めたら,守備は失敗です.守備が成功したら,場に出たカードは伏せて片付け,次の手まで使いません.守備が失敗したら,失敗した守り手は,自分と攻撃側が出したすべてのカードを自分の手札に加えます.

守備が失敗したとき,攻め札が上限まで出ていなければ,攻撃側は,上限まで攻め札を追加できるとする人がいます.

手札の補充と上がり


守備が成功か失敗したら,攻め手は,手札が 5 枚以下なら,手札が 6 枚になるまで,山札をもらいます.攻め手が終わったら,手札が 5 枚以下の人は,時計回り順に手札を 6 枚に戻し,最後に守り手が手札を補充します.山札がなくなったら,手札を補充しないで,手札を 0 枚にした人は上がりでゲームから抜けます.山札があるうちは,手札を使いきっても,手札を補充しなければなりません.

攻守の交代


守り手が失敗したときは,守り手の左隣が次の攻め手です.守り手が成功し,上がっていないときは,次の攻め手になります.守り手が成功して上がったときは,その左隣が次の攻め手です.どの場合も,次の守り手は,次の攻め手の左隣です.

勝敗


守備と手札の補充が終わったとき,手札を持っているのが 1 人か 1 チームだけなら,その人かチームが負けです.敗者は攻守の途中では決まらないので,攻め手の最後の 1 枚の手札での攻めを守り手が最後の 1 枚の手札で守ったら,引き分けです.引き分けを認めないなら,この場合,守り手の負けとします.

負けた人は,“ドゥラーク”とよばれます.ロシア語でアホ,バカ,まぬけの意味のありがたくない称号です.“イワンのばか”の“ばか”の原語です.パーティーなどで遊ぶ場合,ドゥラークになった人は,お酒を一杯飲む,帽子をかぶるなどします.

切札でない 6 が 1 枚だけ,または 6 が 2 枚以上だけの手札の相手に攻められて負けるのは,特に不名誉な負け方です.

戦術


ドゥラークは珍しいタイプのゲームなので,慣れないと戦い方も分からないと思います.ドゥラークの戦術の記事を参考にしてみてください.

たらい回しドゥラーク


“たらい回し (переводной) ドゥラーク”では,攻め手の最初の攻め札と同じ大きさの手札を守り手が出すと,この守り手が攻め手になり,その左隣りの人が守り手になります.たらい回しを起こしたカードは,はじめの攻め札と共に攻め札になります.新たに守り手になった人も同じようにできるので,守り手が一周して,初めの攻め手が守り手になることもあります.守り手になる人の手札が攻め札より少ない場合,たらい回しはできません.

攻め手が 1 巡するまでは,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡は,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡で認める場合,最後の守り手を越えるなら,反時計回りに回す人もいます.

切札は,出さずに見せるだけで,たらい回しできるとする人がいます.ただし,たらい回しが 1 週したあとは,切札でも出さなければならないとするのが普通です.

単純なドゥラーク


“単純な (простой) ドゥラーク”は,すべてのバリエーションの元になった古いルールです.飛び入りがありません.攻め手は,好きな手札を 1 枚,または同じ大きさの手札 2 枚を攻め札にできます.守り手の手札の枚数より多い攻め札は出せません.

守備が失敗したとき,守られた攻め札と守り札は,守り手が取らないで,片付けるとする人がいます.攻め札の出し方のバリエーションも参照してください.

バリエーション


ロシア語版 Wikipedia や,その多くのバリエーションの元ネタである www.durbetsel.ru の“Правила игры в дурака” (ドゥラークのルール) に書かれているものだけで 40 を超えるバリエーションがあります.また,アルメニア式と 2 度目のチャンスとポーカーのようにバリエーションを組み合わせることもあります.この記事では,pagat.comによれば“まれ”で,ロシア語のルール記述では全く言及されないことが多い 52 枚のトランプを使うバリエーション,パーティーゲーム的なもの,ルール記述が理解できなかったものを除いて紹介します.

競技ルール


  • ロシア選手権のルール.人数は 2 人,トランプは,普通のドゥラークと異なり 6 を抜いた 32 枚,あとバックギャモンのダブリングキューブを 1 つ使います.カードをシャッフルし配るのは,プレーヤーでなく,専門のディーラーです.プロを含めたロシア頂上決戦では,会場のカジノ“コスモス”がディーラーを務めました.15 点を先に取った人の勝ちです.第 1 局の先攻は,トランプを 1 枚ずつ引いて決め,以後は互先です.カード勝負のルールは,飛び入りドゥラークですが,普通と異なり,引き分けは認めません.相手を負けまたは下りに追い込むと 1 点です.ダブリングキューブを持つ人は,相手にダブリングキューブを渡し,ゲームの点を 2 倍にしてゲームを続けるか,下りるか選ばせることができます.手の始めは,2 人どちらも,ダブリングキューブを使えます.なお,このルールの参考情報は,コメルサントの記事“Гроссмейстеры подкидного дурака (飛び入りドゥラークのグランドマスターたち)”(www.kommersant.ru/doc/21092),www.marriage.ruのロシア頂上対決の記事“Русский дурак в "Космосе" (カジノ“コスモス”でのロシア・ドゥラーク)”(www.marriage.ru/durak/),および 1997 年 12 月 14 日版モスコフスキー・コムソモリェツ紙の記事“Как карпов своего подопечного сдал(カルポフが弟子から離れたら)”(http://holio.ru/99/160)です.

グループ戦


  • 2 対 2.2 人のチーム 2 組で遊びます.ペアどうしは向かいあって座ります.個人でなく,チームが負けます.先に上がると,味方が 1 対 2 で戦うことを考える必要があります.
  • ペア戦の変種.2 人のチーム 2 組で遊ぶとき,1 人が上がったら,手の残りは個人戦にします.

カードの強弱


  • 日本式 (ヤポンスキー),あるいは“スペードにはスペードを”.スペードに勝てるのはスペードだけで,切札でも勝てません.また,スペードは切札になれません.切札表示がスペードなら,切札はなしです.スペードの女王をスペード最強のカードにする人がいます.切札表示を使わないで,ダイヤを常に切札にすることもあります.
  • 切札なし.切札なしで遊びます.
  • 自分の切札.ひとりずつ自分専用の印を切札にします.攻め手が自分の切札で攻めても,守り手には,切札としての効果はありません.攻め手が切札で攻めたら,守り手は切札で応じなければならないとする人がいます.
  • 印なし.切札以外の印の違いを区別しません.例えば,切札でない J には,どの Q でも勝てます.
  • ロワイヤル.6 に勝つのは A だけです.切札の A は,どの 6 にも勝てます.その上,同じように,A に勝つのは 6 だけとする人がいます.
  • 隠し切札.切札表示の下か側に 1 枚カードを伏せておきます.このカードが最後の山札で,切札表示はその 1 つ前の山札です.切札表示を取ったときに,このカードを表向きして全員に見せ,手が終わるまで,切札をこのカードの印に変えます.
  • 変わる切札.守り手が守りきったとき,最後に守りで出したカードと切札表示を交換してから,カードを片付けます.切札は,新しい切札表示の印に変わります.

少人数または多人数


  • 飛び入りダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは飛び入りできますが,攻めと守りはできません.
  • プレーするダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは,攻め,飛び入り,守りがすべてできます.
  • ダブル.36 枚のトランプ 2 組を使います.攻め札と印も大きさも同じカードを守りで出すと,飛び入り禁止になるとする人がいます.

手札の変形


  • 取り替え.攻守が終わり,山札があるなら手札を補充したあと,全員が,自分の手札を左隣の人に渡して,時計回りに手札を交換します.
  • 使い切り.手札の補充は,手札を使い切ったときしかできません.
  • マガダン式.6 枚の手札を 1 枚は手に,残り 5 枚は目の前に伏せて配ります.伏せてある手札は使えません.守り札を 1 枚出すたびに,伏せてある手札から好きな 1 枚を手に入れます.手札を補充するときは,手札の枚数に,伏せてある手札も含めます.山札がなくなったら,全員が,伏せた手札をすべて手に入れます.
  • 等差数列.手札を 1 人 1 枚ずつ配ります.最初の手札の補充では,手札が 2 枚になるまで補充します.2 度目は 3 枚,3 度目は 4 枚と,山札がなくなるまで補充の枚数を 1 枚ずつ増やし続けます.
  • ポーカー.手札が 6 枚以下なら,守る前に手札を 2 枚捨て,山札から 2 枚補充できます.
  • ポー ランド式.手札なしで始めます.場の中央にカードを表向きに 1 枚置きます.この印が切札です.残りのカードは山札で,切札を囲むように伏せて広げます.配り手の左隣は,好きな山札を 1 枚取り,表向きにして,切札の上にのせます.その左隣の人から順に時計回りに,山札から好きなカードを 1 枚引き,右隣の人が置いたカードに勝てるならその上にのせて守り,もう 1 枚カードを引いて,左隣の人への攻め札としてその上にのせます.勝てないなら,右隣の人が置いたカードと山から引いたカードの合計 2 枚を手に取り,山をめくって,表向きのカードの山の上に攻め札として表向きにしてのせます.手にカードがあるときは,山札を引けず,守り札も,次の人への 攻め札も手札から出します.山札がなくなったら,守れないときは,一番上のカード 3 枚を取ります.次の人は,カードを取った後に一番上になったカードに対して守り札を出します.
  • 印合わせ.手札なしで始めます.山札の一番上のカードを表向きにして場におきます.最初の人から順に,時計回りに,山札がなくなるまで,次のようにします.山札の先頭のカードを 1 枚めくります.このカードが場のカードのどれか 1 枚と同じ印で強いなら,このカードとその場のカードの合計 2 枚を手に入れ,山札の次のカードをめくって場に置きます.そうでなければ,めくったカードを表向きにして場に置きます.めくったカードが,場の複数のカー ドに勝てるときは,勝てるカードのうち,好きな 1 枚を取ります.山札の最後のカードの印が切札です.また,最後のカードは,場のカードを全部取ります.この後は,飛び入りかたらい回しのルールでゲームを 行います.一番弱い切札を持つ人が,最初の攻め手です.
  • 十字軍.手札なしで始めます.全員にカードを 1 枚ずつ表向きに配ります.一番大きなカードを配られた人から順に,時計回りに,次のようにします.まず,山札から 1 枚カードを引きます.引いたカードをのせられるカードがあれば,その上にのせて,自分の番を終えます.表向きのカードには,大きさが 1 つ上のカードをのせられます.A には,6 をのせられます.のせられるカードが 2 枚以上あるときは,時計回りに見て自分に一番近いカードの上にのせます.どこにものせられなければ,引いたカードを手札に加えて,自分の番を終えます.山札がなくなったら,全員が,自分の目の前にあるカードの山を手札に加えて,ゲームを始めます.切札はダイヤですが,クラブに勝てるのはクラブだけです.“くるくる”のルールで,手札にダイヤの 6 がある人が,最初に手札を出します.
  • 裏返し.手札の背を自分に向け,自分はカードが見えず,相手には見えるように持ちます.守り手が,攻め札を守るカードを出せたら,飛び入りできます.守り か飛び入りで間違ったカードを出したら,出ているすべての攻め札と守り札を手に入れます.カードを取った人の左隣が次の攻め手です.

山札を使う攻守


  • アルメニア式あるいはアルバニア式.手札の代わりに,山札の一番上のカードをめくって攻め札を出せます.
  • 2 度目のチャンス.守りに使える手札がない場合,山札をめくり,それが使えるなら出し,使えないなら手札に加えます.

山札の変形


  • チュクチ式.手札を配り終えたら,切札表示ごと山札を片付けます.
  • 配りきり.人数で割り切れるように,低いカードを適切な枚数取り除いてから,山札を残さずに,すべて手札として配りきります.最後に配るカードは,全員に見せてから,配り手の手に入れます.この印のカードが切札です.
  • リサイクル.山札があるうちは,守備が成功したとき,2 回に 1 度は場に出たカードを片付けないで,山札に戻します.
  • 見えない切札.ゲームに参加しない配り手が,手札を配ったあと,切札表示を表向きにしないで,山札の底のカードを見て,その印を切札として告げます.

飛び入り


  • アメリカ式.誰も飛び入りのカードを出せない場合,守り手が,自分の手札で飛び入りして,それを自分で守れます.
  • ずるい.守れない攻め札を出した人は,守り手の代わりにそのカードを守って,自分の手札を減らし,守り手が取るカードを増やせます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 厚かましい.“ずるい”に,飛び入りを始めるときは,自分で出したカードを自分で守るというルールを付け加えます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 飛び入り禁止.たらい回しのルールで,飛び入りは認めません.攻め札と同じ大きさのカードが手札にあるときは,一緒に出さなければなりません.
  • 雪崩.6 枚でなく,守り手の手札の枚数まで飛び入りできます (playset.ru のブログ記事 дурака до завала に紹介されていました).
  • 大きさでも印でも.同じ大きさだけでなく,同じ印のカードでも飛び入りできます.

たらい回し


  • 待った.残り 2 人で,攻め手が最後の 1 枚の手札を出したとき,その相手は,攻め手に手札がないにもかかわらず,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 1.飛び入りのときも,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 2.たらい回しされた人は,たらい回しを起こしたカードだけ守ればよいとします.
  • バルチック.守り手は,攻め札を守るとき,守り札と同じ大きさの手札が別にあれば,一緒に出せます.こうすると,攻め手と守り手が入れ替わり,もとの攻め手は,守り手が一緒に出したカードをすべて守らなければなりません.

攻守のルール


  • くるくる.全員の手札の枚数ができるだけ同じになるように,カードを配り切ります.山札はありません.最後のカードは,全員に見せてから,配り手の手札に入れます.このカードの印が切札です.配り手の左隣から順に,時計回りに,場の一番上のカードに勝つ手札を 1 枚その上に出すか,場の一番下のカードを 1 枚取って手札に加えます.場にカードが 1 枚もないときは,好きな手札を出せます.ゲームに残っている人数と同じ枚数のカードが場に出たら,場のカードを片付け,最後にカードを出した人が,次にカードを出します.場のカードが取られてなくなったら,最後にカードを取った人の左隣が,次にカードを出します.ダイヤの9を,次の2つの特別な働きがあるカードにする人がいます.ダイヤの9が手札にある人が最初に手札を出します.他のカードの上にダイヤの9を出したら,出ている枚数に関係なく,場のカードを片付けて,次に手札を出せます.
  • 中国式.切札表示はなく,スペードが常に切札です.ただし,クラブにはクラブしか勝てません.攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きで出します.攻め手の左隣から順に,時計回りに,一番上の表向きのカードに勝つ手札を 1 枚表向きで出します.出した手札は,新しい一番上のカードになります.表向きのカードが 5 枚になったら,片付けます.この場合,最後に手札を出した人が,次の攻め手です.手札が出せないか,出したくないなら,表向きのカードの一番下を手札に入れ,他を片付けます.この場合,カードを取った人の左隣が,次の攻め手です.山札を残さないで,すべてのカードを手札として配りきる人もいます.10 は K に勝ち A に負けるとする人もいます.表向きのカードの枚数が,ゲームに残っている人数と同じになったら,片付ける人もいます.
  • 山積み.1 枚ずつ 3 枚の手札を配り,次のカードを切札表示として表向きにし,その上に山札をのせます.攻め手が攻め札を 1 枚出し,その左隣が守ります.守れた攻め札と守り札は,片付けないで,場においておきます.守り札を出せたら,次の攻め手になります.守れないか,守りたくなければ,場にあるカードをすべて取ります.この場合次の攻め手は,カードを取った人の左隣です.山札があるうちは,攻守が済むたびに,手札が 2 枚以下の人は,手札が 3 枚になるまで補充します.守れなかった攻め札が切札なら最後の 5 枚,そうでなければ最後の 3 枚を取るとする人もいます.
  • チュホンスキー.カードをすべて,なるべく同じ枚数になるように,手札として配りきります.最初の攻め手は,1手目は配り手の左隣,2手目は,配り手の左隣か右隣かどちらか決めておきます.ぐるぐるか中国式のように,順番に大きいカードを出します.枚数の制限はありません.Aが出たら,出されたカードをすべて片付けます.このとき,次に手札を出すのは,Aを出した人です.出せるカードがないか,出したくない人は,一番上のカードを1枚取り,残りのカードを片付けます.このとき,次にカードを出すのは,カードを取った人の左隣です.

単純なドゥラークの攻め札


  • ペア.手札は 5 枚です.手札の補充でも,手札を 5 枚に戻します.1 枚,大きさが同じカード 2 枚と他の 1 枚,あるいはペア 2 組と他の 1 枚を攻め札として出せます.
  • グループ.基本のルールはペアで,3 枚組と 4 枚組も攻め札にできます.3 枚組には他の 1 枚を付けられません.

その他


  • お人好し.守り手が失敗しても,順番を飛ばさずに,次の攻め手になれます.
  • 弱虫.飛び入りでない攻めには,最強の手札しか出せません.
  • 点数制.守ったカード数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れたカード数を数えます.
  • 絵札.10 以上の攻め札を守った枚数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れた枚数を数えます.
  • 肩章.攻め札と飛び入りで,同じ大きさのカード2枚を同時に出した回数が一番少ない人を敗者とします.
  • ダウト.守りのカードは伏せて出します.このカードが守れていないと疑う人は,“うそ!”,“ダウト”などといい,カードを表向きにします.守れていたら,ダウトした人が,出されたカードをすべて取ります.守れていなかったら,守り手が,出されたカードをすべて取ります.

    5 件のコメント:

    1. このゲーム凄く好きですw
      このブログで理解も深まりました。ありがとうございます!

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    2. どういたしまして。簡単だけど深いいいゲームですよね。大して読めないロシア語と格闘したのは、トランプ関連の情報は英語経由のフィルタが酷いのを何とかしたいという気持ちがありました。英語圏以外にしかない名作ゲームがたくさんあるので。

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    3. それはモッタイナイですね。僕は色々と挑戦してみたいです。
      一つ質問しても良いですか…?
      コンピュータとドゥラークを遊んでいたのですが,2人たらい回しルールで,僕の攻めが「切札を見せて」たらい回しされる→僕が「攻め札を加えて」やり返す→「切札を加えて」またたらい回しされる→僕が「攻め札を更に加えて」やり返そう…と思ったらできなかったのですが,これはローカルルールの一つでしょうか?
      それとも公式ですか?

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    4. メインの飛び込み(ポドキドノイ)でも、かなり本質的では?と思うルールの違いがあるように、公式ルールなんてものはない!というゲームです。コンピュータゲームの作者が、これなら多くの人に楽しんでもらえるだろうと考えて作っているには違いないので、その良さ悪さ、自分ならこうしたい!と思うことも含めて楽しんではいかがでしょうか。

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    5. わかりました!僕なりに考えてみようと思います。

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