個人的な趣向---より面白いと思うから---で,本文は少し古め(1970年代前後)のルールを紹介します.現代の主流のルールは,その後に紹介します.
(2015.8.24)旺牌16枚もあるという記述は,台湾ルールとの混同によるものなので削除しました.花牌による槓上開花の文章が変だったので直しました.リーチ麻雀ルールの類推で誤解される余地があるので,3翻縛りに花牌の翻が入ることを追記しました.面子の中国語の話は蛇足なので削除しました.
(2015.8.29)「飜」と「翻」の字が混在していたので,「飜」に揃えました.
(2015.8.30)広東語では「チー」といわず「シェン」,字も「吃」でなく「上」なことを追記しました.ついでに他の発声の広東語音がカタカナでどんな感じになるかも書きました.
(2015.9.4) 「和」の字が普通には使われないことと,ツモ上がりに対する感覚について書き加えました.
使うもの
麻雀牌(パイ,はい),136枚.136枚の内訳は,萬子(マンズ),銅銭を縄で連ねた形が起源の索子(ソーズ),銅銭の形から来た筒子(ぴんず)の3種類の1から9,東南西北白(はく)發(はつ)中(チュン)7つの字牌(じはい,ツーパイ)で,すべての牌は4枚ずつあります.さいころは,3つが普通です.なければ,2つでもかまいません.手ごとに直ちに精算するので,点数を記録する道具はありませんが,ポーカーチップなどを1点単位で,各人100~300点程度持ってお金の代わりにしてもよいでしょう.席決め
東(トン)南(ナン)西(北京音は“シー”だが日本の麻雀用語では“しゃー”と読む)北(ペー)各1枚ずつをとり,よく混ぜてから,伏せて4枚積み上げます.年長者など,任意に決めた人がサイコロ3つ(古くは2つだったらしい)を振り,出目の合計を,振った人の席を1として,反時計回りに数えた位置にいる人から,山の上から順に牌(パイ,または,はい)を取ります.4枚を伏せて混ぜてから,サイコロを使わず,好きな牌をつかみ取りしてもよいです.東を引いた人はそのまま着席します.それ以外の人は,反時計回りに東南西北の順になるように座ります.山を作る
4人で協力して,全ての牌をなるべく伏せて混ぜます.4人ともに,横1列に17枚の牌を,テーブルの縁に短いほうの辺が接するように伏せて並べます.もう1列17枚の牌を並べた牌に接するように並べます.2列の牌を伏せたまま,4人の列がかみ合った井桁のようになるように,机の中央に押し出します.このとき,右手は机の中央に近く,左手は遠くなるように,斜めにします.手前の列を,遠い側の列の上に乗せて,2階建てにします.最初の親決め
東を引いた人は,サイコロを3つ(2つ)を振ります.席決めと同じように数えた席に座っている人が,最初の親になります.開門
親は,サイコロ3つを振ります.席決めと同じように,振った人を1として,反時計回りに数え,出目の合計の位置に座っている人の山を,そこに座っている人から見た右端を1として,出目の合計まで左に数えます.その位置の列と,その1つ先の列の間にすき間を空けます.山を数えつくした場合,時計回りに隣の山へと数え続けます.牌の山だけは,他のゲーム進行と異なり,時計回りであることに注意してください.なお,ドラはありません.配牌(はいパイ)
4人は,親から順番に反時計回りに,山を割った位置の*時計周り側*から,2列4枚の牌を時計周りに取って手元に横1列に並べます.最初の2列は親,次の2列は親の右隣,その次の2列は親の向かい,その次は親の左隣が取ります.これを3周して,全員が12枚の牌を取ったら,親は,左隣の人が9~12枚目の牌を取った次の位置から上段の1枚目と3枚目の牌を取ります.親の右隣の人は,1枚目の下段,ついで,親の向かいは2枚目の上段,親の左隣りは,2枚目の下段の牌をそれぞれ取ります.これにより,親は14枚,子は13枚の牌を手にします.親の枚数が1枚多いのは,最初に山からとる牌を先に引くからです.手の進行
親は,1枚の不要牌を4つの山に囲まれた中央部に表向きに捨てます.それ以降は,反時計回りに,順番に,山の次の牌を1枚とり,手から不要な牌を1枚捨てることを繰り返します.山は,配牌で使った残りの個所から順番に時計回りに,親以外の人が最後の一枚の牌を引いたときと同じように使います.捨て牌は,誰が何を捨てたか覚えておかなければ分からないように,乱雑に置きます.そのため,何を捨てたかはっきり声に出して言うことが多いです.上がり
手と山から引いた牌または他の3人の誰かが捨てた牌を合わせた14枚が,同じ牌の2枚組(頭(あたま)または雀頭(ジャントウ))1つと,4つの面子(メンツ)になったら上がりです.上がる人は,そのことを宣言しなくてはなりません.日本語だと,山から引いた牌で上がるときは“ツモ”,人が捨てた牌で上がるときは“ロン”といいます.広東語だと,前者は“チモ”,後者は“シクゥ[食糊]”といいます.面子は,順子(シュンツ),刻子(コーツ),槓子(カンツ)のいずれかです.順子(シュンツ)は,同じ種類で数字が連続した数牌3枚(9から1はつながらない),刻子(コーツ)は,同じ牌3枚,槓子(カンツ)は,宣言してさらした同じ牌4枚です.
2人以上の人が同時に上がりを宣言した場合,牌を捨てた人から反時計回りにみて順番が一番早い人の上がりになります(頭ハネ).ただし,十三么(日本での通称は国士無双,広東語音サップサムイウ,北京語音シーサンヤオ)だけは,頭ハネに勝ちます.上がり牌に関する制限はありません.上がり牌を見逃したとき,自分の番が来る前に同じ牌で上がることを禁じる人もいます.
ポン[碰]
手に同じ牌が2枚あり,それと同じ牌を他の3人の誰かが捨てたとき,ポン(広東語ではプン)と宣言することにより,捨て牌と手牌2枚で1つの刻子を作れます.ポンする人は,2枚の手牌ともらう捨て牌1枚を,手牌の左端に表向き倒してさらし,1枚手牌を捨てます.ポンに使った牌とポンでもらった牌は,手牌と交換できません.次の番は,ポンをした人の右隣りになります.左隣以外の人が捨てた牌でポンする場合,その人とポンをする人の間の順番は飛ばされます.上がりとポンが同時に宣言された場合,上がりが優先されます.捨て牌の捨て方同様に,誰が何を捨てたか覚えておくのは技術だという考え方があるので,牌をさらすときにも,誰から牌をもらったか明示しません.これは,これから説明するチーとカンでも同じです.
チー[吃]
左隣りの人が捨てた牌と手にある数字の牌2枚で順子が作れる場合,チー(広東語ではシェン[上])と宣言することにより,捨て牌と手牌2枚で1つの順子を作れます.チーする人は,2枚の手牌ともらう捨て牌1枚を,手牌の左端に表向き倒してさらし,1枚手牌を捨てます.チーに使った牌とチーでもらった牌は,手牌と交換できません.次の番は,チーをした人の右隣りになります.チーとポンが同時に宣言された場合,ポンが優先されます.チーと上がりが同時に宣言された場合,上がりが優先されます.カン[槓]
カンには,3種類あります.- 自分の番で手牌に同じ牌が4枚ある場合(暗槓,アンカン)
- 手牌に同じ牌が3枚ありそれと同じ牌が捨てられたとき(大明槓,だいミンカン)
- ポンした牌と同じ牌を山から引くか手牌にあるとき(加槓,チャーカン)
手の終了
誰かが上がるか,山の牌が残り14枚になったら,その手は終了します.カンがあっても,山を必ず14枚残すことに注意してください.残す牌は,ワンパイ(広東語だとウォンパイ.ウォンの字は明らかでなく,旺牌,皇牌などと書く)といいます.手の途中で流局することはありません.親が上がるか,流局の場合,親は移動しません.親以外の人が上がったら,親の右隣の人に親が移動します.山を築くところから,親決めを除いた手順を繰り返します.これで,4人全員が4回目の親を終えるまで打ち続けます.“旧章(旧ルール)”の役と得点計算
特定の形の手には,飜(ファン.中国語では旧字体を使う香港・台湾を含め「番」)数が付きます.飜数と,上がりかたが山から引いた牌による自摸(ツモ)か,捨て牌による振り込みかで得点が決まります.後で説明する包(パオ,責任払い)が成立していない場合,残りの3人が上がった人に点数を支払います.振り込みの場合,捨てた人,自摸の場合,全員が倍の点数を,それぞれ上がった人に支払います.4~5飜,6~7飜,8飜~は同じ点数です.例えば,レートは1として,役のない手を振り込みで上がると,振り込んだ人から1の倍の2点,後の2人から1点ずつの合計4点をもらえます.また,平和をツモで上がると,平和とツモ上がりで2飜なので,全員から4の倍の8点ずつ,合計24点をもらえます.
自摸の点の高さは,香港(や台湾)の麻雀に深く定着しています.自摸がお得でないとつまらないという感覚は,リーチ麻雀で,多くの人が,ドラ,リーチ,一発,裏ドラの倍(に比べると自摸3倍はささやかですが)がないとつまらないと思っているのと非常に似ています.
- 0飜(鷄糊): レートx1
- 1飜: レートx2
- 2飜: レートx4
- 3飜: レートx8
- 4飜〜5飜(=1勒[ラーク]): レートx16
- 6飜〜7飜(=2勒): レートx32
- 8飜〜(=3勒): レートx64
(参考)古いルールでは,親が上がったときは自摸のパターン,子が上がったときは放銃のパターンで点数を支払っていました.子の上がりで倍払うのは親でした.
1飜役
- 平和(ピンフ): 順子4組.チーできます.待ち,雀頭も何でもよいです.刻子で飜がつく牌の雀頭は認めない人もいます.なお,香港では,上がりの意味で「和」の字を使わず(そもそも発音が合わない),「糊」と書くことが多いです.大陸だと「胡」の方が普通です.
- 自摸(ツモ): 山から引いた牌での上がり.ポン・チーできます.
- 白(はく),發(はつ),中(チュン)の刻子・槓子.1組につき1飜.
- 自分の風の刻子・槓子.親は東,子は親から反時計回りに南,西,北.
- 場の風の刻子・槓子.親が1巡するまでは東,2巡目は南,3巡目は西,4巡目は北.自分の風と場の風が同じ人は,刻子・槓子1組で2飜付きます.
- 海底(ハイテー): 山の最後の牌での上がり.必ずツモの1飜もつきます.最後の捨て牌での振込みは,役になりません.
- 槓上(開)花(カンシャン(カイ)ファー): 嶺上です.槓の補充牌での上がり.必ずツモの1飜もつきます.振り込みになることはありません.
- 搶槓(チャンカン): 捨てたら上がれる牌を,ポン+1枚の形でカンしたら,その牌を待っていた人は上れます.カンした人の振込み扱いとなります.国士無双だけは,暗槓(手牌4枚の槓)も搶槓できます.
- 花么(ファーヤオ): 混老頭(ホンロートー)です.字牌と一九牌だけからなる手.必ず対対和の3飜もつきます.
3飜役
- 対対和(トイトイホー): 4組の刻子.刻子は槓子でも可.
- 混一色(ホンイーソー): 字牌と1種類の数牌からなる手.
4飜役
- 槓上槓(カンシャンカン): 槓の補充牌でまた槓してその補充牌での上がり.常にツモ扱いです.槓上開花,ツモとは複合しません.
- 小三元(しょうさんげん): 三元牌の刻子(槓子)2つともう1つの三元杯の雀頭を含む手.三元牌の刻子(槓子)2つの2飜とは複合しません.
6飜役
- 清一色(チンイーソー): 数牌1種類だけからなる手.
8飜(上限)役
“*”は認めない人もいます.- 大三元(だいさんげん): 三元牌の刻子(槓子)3つを含む手.6翻にすることもあります.三元牌の刻子(槓子)3つの3飜とは複合しません.
- 字一色(ツーイーソー): 字牌(東南西北白發中)だけからなる手
- 四喜和(スーシーホー): 東南西北がそろった手.大四喜(だいスーシー)は,すべてが刻子か槓子の場合.小四喜(しょうスーシー)は1つが雀頭の場合.小四喜は,6飜にする人もいます.
- 十三么(シーサンヤオ): 国士無双(こくしむそう)です.一九牌と字牌13種類がそろい,そのうち1種が雀頭として2枚ある手.13面待ちで頭を待っても,1つ欠けている牌を待ってもよいです.
- *坎坎胡(広東語でカンカンウー,音が合わないが刻刻胡とも書く),四暗刻(スーアンコー): 4つの刻子か槓子を1度もポンせずに作り,雀頭をツモ上がりしたとき.待ちを限定せず,すべてのツモ上がりに認める人もいます.大明槓と暗槓はしても構いません.
- *清么九(チンヤオチュウ): 清老頭(チンロートー)です.一九牌だけからなる手.
- *十八羅漢: 四槓子(スーカンツ)です.槓子が4つある手.
- 九子連環(広東語カウチーリンカン): 九蓮宝燈(チューレンポートー)です.1種類の牌の1112345678999の9面待ちで上がったとき.9面待ちの場合に限られる.
- 天和(テンホー): 親が配牌で上がっていたとき.
- 地和(チーホー): 親の最初の捨て牌で上がったとき.子の最初のツモでの上がりには,特別な役や点はありません.
包(パオ=責任払い)
9枚ざらし(三副露)の包
清一色,字一色,清么九を作っている人が3組の牌をさらし,9枚さらしたことを宣言したとき,危険牌を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.危険牌は,清一色なら,萬子,索子,筒子のうち集めている種類の牌,字一色なら字牌,清么九なら一か九です.大四喜,小四喜を作っている人が,東南西北のうち3組の牌をさらし,9枚さらしたことを宣言したとき,東南西北の残り1種を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.
同様に,大三元を作っている人が,白發中のうち2組の牌をさらし,2組さらしたことを宣言したとき,白發中の残り1種を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.
12枚ざらし(四副露)の包
清一色,字一色,清么九を作っている人が3組の牌をさらし,9枚さらしたことを宣言したとき,危険牌を捨てて4組目の牌をポン・チーされたら,役を作っている人がツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.また,振り込み上がりの場合,4組目の牌をポン・チーされた人と振り込んだ人の2人(この両者が同じ人の場合1人)で,全員分の点数を折半して支払います.大四喜を作っている人が3組の牌をさらし,9枚または12枚さらしたことを宣言したとき,危険牌を捨てて4組目の牌をポンされたら,大四喜をツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.また,振り込み上がりの場合,4組目の牌をポンされた人と振り込んだ人の2人(この両者が同じ人の場合1人)で,全員分の点数を折半して支払います.
同様に,大三元を作っている人が,白發中のうち2組の牌をさらし,2組さらしたことを宣言したとき,白發中の残り1種を捨ててポンされたら,大三元をツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.また,振り込み上がりの場合,3組目の牌をポンされた人と振り込んだ人の2人(この両者が同じ人の場合1人)で,全員分の点数を折半して支払います.
包の宣言
9枚ざらし,12枚ざらしの包が成立するためには,清一色,大三元,字一色,四喜和,清么九を作っている人の宣言が必要とする人と,そうでない人がいます.宣言は,広東語だと,9枚さらしたという意味の“九張落地(カウチェンロックテイ)”,“九張在地(カウチェンチョイテイ)”を発声します.宣言を要求する場合,ポン・チー・カンの直後に宣言しなくても構いません.また,宣言を要求する場合,包の条件に当たるのに宣言しないで上がると,責任払いになるはずの人は,他の人の分の支払いを拒否でき,他の2人は,責任払いを主張して支払いを拒否できます.やむを得ない捨て牌の免除
包が成立するためには,危険牌でない捨て牌が可能でなければなりません.したがって,手に危険牌しかない人が危険牌を捨てても包になりません.ただし,包の宣言の後に,ポン・チーした場合は,自分で手牌を減らしているので,包になります.先を包し後を包せず(包先不包後)
例えば,Aさんが萬子とBさんが筒子の清一色に走り,まずAさん,ついでBさんが9枚なきの宣言をしたとき,手に萬子と筒子しかないCさんが,萬子を捨ててAさんの清一色に振り込んだら包(責任払い)になりますが,筒子を捨てて,後に宣言したBさんに振り込んでも,包にはなりません.残り5枚での生牌(ションパイ)の包(五子包生)
旺牌14枚を残して,牌の山から引ける牌が残り5枚以下になったとき,生牌(ションパイ),つまり1度も捨てられてなく,さらされてもいない牌を捨てて振り込み上がりされた人は,全員分の点数を責任払いします.残り牌の枚数を5枚以下でなく4枚以下とする人もいます.反則
- 錯和(ちょんぼ): 上がれない手で上がった人は,他の3人に,上限点x2を払います.
- 手牌の数が多い・少ない(大相公,小相公): 手牌とさらしている牌の合計が13枚でなくなったら,あがり放棄です.他の人が上がるか,流局まで,そのまま打ち続けます.
花牌
春夏秋冬,梅蘭菊竹の8枚の花牌を加えた144枚で遊ぶ人もいます.手の進行
牌の山を築くとき,17枚でなく18枚の列を作ります.花牌が配牌時に手にあったら,親が最初の牌を捨てる前に,親から順番に,手の花牌をさらし,さらしたのと同数の牌をカンと同じ位置から補充します.山から花牌を引いたときも,同様にさらして補充します.補充牌が花牌なら,花牌でない牌を引くまで,さらして補充しつづけます.花牌の補充牌での上がりは,槓上開花と認めない人と認める人がいます.海底牌が花牌だったときは,補充しないで流局です.
役
- 無花(ウーファー): 花牌を1枚も引かないで上がると,1飜.
- 正花(チョンファー): 自分の花牌1枚につき1飜.東(親)は春と梅,南は夏と蘭,西は秋と菊,北は冬と竹.
- 一台花(イータイファー): 花牌4枚1組につき1飜.組となるのは春夏秋冬または梅蘭菊竹.必ず正花と複合する.なので,一台花を2飜役として,正花とは複合しないとする人もいる.
- 花胡(ファーホー): 花牌7枚を1人で集めたとき.3飜のツモとみなす.花牌7枚を集めたとき,この役で上がらないでもよい.
- 大花胡(ターファーホー)または八仙過海(パーシェンクオハイ,はっせんかかい): 花牌8枚を1人で集めたとき.点数は上限.
現代流の旧章
香港の若い(というか老人でない)世代に行われているルールです.役満狙いでない限り,対対和,混一色,清一色の3つの役でしか上がれない縛りがあります.興味深いことに,広東麻雀とは無関係な現代の上海ルールは,この3役と字牌染めしか認めず流局が多いという特徴を共有しています.今まで説明したルールとの相違点は,次の通りです.- 3飜縛り.3飜ないと上がれません.したがって,必ず対対和か混一色/清一色,まれに役満を狙うことになります.なお,花牌を使う場合,花牌関連の翻も含めて3飜あれば上れます.
- 旺牌を14枚(16枚)残さないで使い切ります.
- 一部の役(例: 清一色7飜)の飜数を引き上げる人がいます.
- 新章の役の一部(例: 門清)を採用する人がいます.
- 二人以上同時に上がることを認める人がいます.
- “全銃制”といって,包でなくても,振り込みを放銃者ひとりの責任払いにする人がいます(というか多数派になりました).伝統的な支払い方法は,これに対して“半銃制”といいます.全銃制には,勝者視点でレートを設定するとき,金額を4で割り切れる数字にする必要がないというメリットがあります.デメリットは,捨て牌の作法や包の規則との相性の悪さと,ベタ下りを促すことです.
“新章 (新ルール)”の役
新章は旧章に役を追加したものです.追加する役には,“六独”,“十八番”,“無奇不有”の3グループがあります.人により,これ以外の様々な役を挙げる人もいます.中国の文科省に相当するお役所が決めた“国標麻将”(国家標準麻雀の意味)も,点数計算の体系は異なりますが,この一種です.新章(国標も含め)は,存在はよく知られていますが,役が多すぎるので,ほとんど普及していません.六独
すべて1飜です.
- 断么.一九字牌を使わない.
- 不求人.一度もポンとチーをしないでツモで上がる.門清,自摸と必ず複合します.
- 門清.一度もポンとチーをしないで上がる.
- 欠門.数牌だけの手で,萬策筒のうち1種類がない.
- 将眼.258のどれかを頭にする.
- 独聴.ペンチャン,カンチャン,単騎待ち.
十八番
六独に,次の手を加えます.飜数に定説はありません.役の数が18にならないのは,六独に平和(平糊)を含めるからですが,それだと,六独が7つになってしまいます…- 一般高(イーパンカオ).日本ではこの名前がなまってイーペイコーと呼ばれるようになりました.
- 全帯么.字の通りチャンタです.
- 五門斉(ウーメンチー).萬索筒風三元の五種類の牌がすべてある手.
- 一条龍(イーティャオロン).一気通貫です.
- 四帰一(スークイイー).同じ牌4枚を1つまたは2つの面子で使った手.
- 全求人(チュエンチウレン).裸単騎で振り込み上がり.
- 清帯么.ジュンチャンです.
- 三相逢(サンシャンフォン).三色同順です.清帯么もそうですが,漢字を使ったネーミングセンスの圧倒的な違いを感じないではいられません.
- 老少(ラオシャオ).同じ種類の牌の123と789
- 老少碰(ラオシャオポン).同じ種類の牌の111と999
- 大七対(ターチートイ).名前に反し,リャンペーコーのことです.
無奇不有
- 清四碰.4つポンして上がる.
- 三暗刻.
- 小七対.七対子.同じ牌4枚を2組の対子として扱ってよい.
- 太般高(タイパンカオ).イーペーコーにもう一つ同じ順子を追加.
- 満庭芳(マンティンファン).頭と4面子の全てに同じ数が含まれる手.
- 三数.3つの数だけの手.東南西北は1つ,三元牌はもう1つの数としてそれぞれ数えます.
- 二数.2つの数だけの手.
- 四帰三.同じ牌4枚を3つの面子で使った手.
- 四帰四.同じ牌4枚を3つの面子で使った手.
- 全大.789だけの手.
- 全中.456だけの手.
- 全小.123だけの手.
- 清龍.一条龍(一気通貫)のこと.
- 花龍.三色一通.
- 混龍.二色一通.
- 双龍会.一気通貫のうちの1面子が2組ある手.
三結義.三色同刻です.
自搶自槓.自分自身を搶槓. - 十八羅漢.
- 歩歩高.同じ種類の牌で,234 345 456のように1つずつ大きい順子を3組作る.
- 十三不搭.
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