2013年12月9日月曜日

キング

また,ロシアのゲームです.キング(кинг)とは,このゲームで大きな得失点をもたらすことがあるハートのKのことです.“女プレフェランス(женский преферанс)”という異名があります.ロシア語では,トランプ関係に外来語を使う場合,フランス語かドイツ語が普通で,英語はまれなのに,英語を使っていることが興味深いです.なお,ロシアでは,普通は,“K”をキングとは呼ばず,ロシア語で王を意味する“コロリ(король)”と呼びます.

(2013.12.10) キングの出し方のルールが舌足らずだったので補足しました.

人数とトランプ


4人.4つの印ごとに,A,K,Q,J,10,9,8,7の32枚のトランプ

カードの強弱


強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7.

ゲームの目的


14手で一番多く得点する.

カードを配る


最初にカードを配る人はくじ引きで決め,後は,時計回りに交代します.

カードを配る人は,カードをシャッフルしてから,右隣にカットしてもらい,左隣から順番に時計回りに,ひとり8枚の手札を配ります.

カード勝負


カードを配り終えた直後の1回目のカード勝負は,配り手の左隣,そのあとは,前のカード勝負の勝者が先手です.先手は,好きな手札を1枚表向きにして場に出します.ただし,ハートかキングが得失点札になる第4,5,7,11,12,14手は,他の印が手札にあるとき,ハートを先手で出せません.先手の左隣から時計回り順に,1人1枚の手札を出します.このとき,先手と同じ印があれば出さなければならず,なければ,好きな手札を出します.キングが得失点札になる第5,7,12,14手は,ハートのKが手札にあれば,出せる最初の機会に出さなければなりません.全員が1枚ずつ手札を出したら1回のカード勝負は終わりです.先手と同じ印で一番強いカードを出した人がカード勝負に勝ちます.

得点計算


前半の7手は,マイナス点,後半の7手はプラス点が付きます.勝ったカード勝負か勝ったカード勝負に出たカードにつき,次の点が付きます.

  1. 勝たない.1勝ごとに-2点.
  2. 男の子を取らない.J1枚ごとに-4点.
  3. 女の子を取らない.Q1枚ごとに-4点.
  4. ハートを取らない.ハート1枚ごとに-2点.
  5. キングを取らない.ハートのKを取ると-16点.
  6. 最後の2回に勝たない.7回目と8回目のカード勝負1勝ごとに-8点.
  7. 全部取らない.1~6すべての失点がつく.
  8. 勝つ.1勝ごとに+2点.
  9. 男の子を取る.J1枚ごとに+4点.
  10. 女の子を取る.Q1枚ごとに+4点.
  11. ハートを取る.ハート1枚ごとに+2点.
  12. キングを取る.ハートのKをとると+16点.
  13. 最後の2回に勝つ.7回目と8回目のカード勝負1勝ごとに+8点.
  14. 全部取る.8~13すべての得点がつく.

3人のキング


黒のA2枚を除いて30枚にし,全員に10枚ずつの手札を配ります.男の子と女の子は5点ずつ,最後の2回は10点ずつ,キングは20点にします.

2013年11月25日月曜日

1000

ドゥラークプレフェランスと同じように,ロシアや旧ソ連諸国で人気のあるトランプゲームのひとつです.

(2013.11.25) 同じ印のKとQの一方を先手で出すことを単に“ペア”と呼ぶと,出さずに手に持っているだけで成立するように誤解される可能性があるので,一貫して“マリアージュ”と呼ぶようにしました.
(2013.11.26) “リーチ”の記事を書き足しました.
(2013.11.27) カットで3回続けて底のカードが9のとき失点する人は配り手は誤りで,カットした人が正しいです.0勝だけをボルトにする人もいることを書き加えました.
(2013.11.28) プラスマイナス555点になったら0点に戻るルールの名前(ダンプカー)を追記しました.A4枚にマリアージュを認めるバリエーションを追記しました. リーチの点数が880点でないバリエーションは,2人リーチを認めないバリエーションとは無関係なので,記述場所を変えました.
(2013.12.10) 501と32枚のトランプを使うバリエーションを追記しました.
(2013.12.11) マリアージュのときいう言葉はロシア語でもいろいろあるので,マリアージュを告げることが全員に通じれば何でもいいことを明記しました.

人数とトランプ


3人から4人.4人のときは,配り手がゲームから抜けます.4つの印ごとにA(ロシア語ではТ,以下同様),K(К),Q(Д),J(В),10,9の24枚のトランプ.

目的


一番早く1000点以上取ること.

1000点でなく,1001点に到達した人を勝ちとする人がいます.

カードの強弱と点数


カードの強い順は,A,10,K,Q,J,9です.カードの点数は,Aは11点,点数は,10が10点,Kが4点,Qが3点,Jが2点,9が0点です.同じ印のKとQのペアの手役マリアージュの点は,ハートが100点,ダイヤが80点,クラブが60点,スペードが40点です.

カードの配り方


最初の配り手は,1枚ずつカードを引き一番弱いカードを引いた人など,くじ引きで決め,あとは時計回りに交代します.配り手は,右隣の人にカードをカットしてもらってから,左隣が最初,自分が最後になるように,時計回りに,1枚ずつ,ひとり7枚の手札と場に3枚の山札を配ります.3人のときは,山札を最後に配らないようにします.4人のときは,山札を配り手の手札のように配るので,最後に配る1枚は山札です.

カットのあと,配り手は自分に最後に配るカードとなる底のカードを見てもよいとする人がいます.これを認める場合,底のカードが9なら,配り手は,それを全員に見せてから,再カットを求められます.これが3回続いたら,カットした人は,120点を失います.底のカードがJなら,それを全員に見せてから,カードの山の真ん中に戻して,カードを配ります.

カードが出た順番をある程度覚えられる上級者は,最初の手以外は,カードをシャッフルしないで遊ぶことが多いです.

せり


カードとペアで合計何点以上取るかをせります.目標点は5の倍数で,最低は100点です.手にあるペアの点に120点を足した点より大きな点は言えません.配り手の左隣からせりを始めます.配り手の左隣は,手の良し悪しに関係なく100点を言います.時計回り順に,今までに言われた点より5点大きな点を言うか,せりから下ります.下りた人は,同じ手のせりに戻れません.2人が下りたら,せりは終わり,一番大きな点を言った人がせりに勝ちます.

せりで,5点だけでなく,どの5の倍数せりあげてもよいとする人がいます.

黄金週(золотой кон).最初の1周は,配り手の左隣が最低でも120点を宣言しなければならないとする人がいます.黄金週では,スコアシートに記録するとき,カードの点を倍にします.4人のときの配り手がもらう固定点も,倍にします.マリアージュの点も倍にする人もいます.

マイナスのせり.-150,-120,-100など,あらかじめ決めた点を下回ったら,せりで100点以外いえないとする人がいます.

見ず出("в тёмную").手札を見ないでせりに出ることを認める人がいます.これでせりに勝ったら,山札を見せずに取り,スコアシートに記録するとき,カードの点を倍にします.4人のときの配り手がもらう固定点も,倍にします.マリアージュの点も倍にする人もいます.目標が100点の手を見ず出と同じように扱う人がいます.

手札交換


せりに勝った人は,山札を全員に公開してから手札に加え,不要な2枚を1枚ずつ伏せて相手に渡します.このあと,せりに勝った人は,目標点を,せり落とした点より大きい5の倍数に言い直せます.

配り直し


山札と手札交換の後の手札が次のような場合,配り直しにします.配り直しのとき,配り手は変わりません.
  • 手札に9が4枚あるとき.
  • 手札の点数が13点未満のとき.
  • 山札に9が2枚以上あるとき.
  • 山札が4点以下のとき.

手札に9が3枚でも配り直しにする人がいます.配り手の左隣だけ,9が3枚でも配り直しにする人もいます.手札の点数が14,15,16点未満で配り直しにする人もいます.山札が,5点または7点以下のとき配り直しにする人もいます.配り直しが3回続いたら,配り手が120点を失うとする人がいます.

カード勝負


手の最初のカード勝負は目標点を言った人,その後は前のカード勝負に勝った人が先手です.先手は,好きな手札を1枚,表向きにして場に出します.時計回り順に,先手と同じ印の手札,それがなければ切札,それもなければ好きな印の手札を1枚出し,全員が1枚ずつ手札を出したら,1回のカード勝負は終わりです.一番強い切札,切札が出ていなければ,先手の印で一番強いカードを出した人の勝ちです.カード勝負に勝った人は,場に出た3枚のカードの点を得ます.

マリアージュ(марьяж)または祝言(хваль)


カード勝負に勝って得た先手で,同じ印のKとQが手札に残っているとき,全員に分かる表現,例えば,その点数をいうか結婚のお祝いを言ってから,どちらか1枚を出すと,マリアージュ(marriage,フランス語で結婚の意味)の点が得られます.また,そのときから,切札が,そのカップルの印に変わります.手の最初の先手は,カード勝負に勝っていないので,始めは切札はありません. 1手の中で,最大4回切札が変わります.

祝言をあげるときは,KでなくQを出さなければならないとする人がいます.

Aのマリアージュ.カード勝負に勝った後の先手は,手札にAが4枚残っているなら,そのことを告げてAを出すことで,Aのマリアージュの点200点を得るとする人がいます.切札は変わりません.

点数計算


8回のカード勝負が終わったら,全員が,カード勝負で取ったカードの点とマリアージュの点の合計を計算します.目標点を言った人は,カードの点とマリアージュの点で目標点以上取れたら,目標点を得,そうでなければ,目標点を失います.残りの2人は,カードの点とマリアージュの点の合計を一番近い5の倍数に丸めた点を得ます.

4人のときの配り手は,ゲームに参加しませんが, 次の点を得ます.
  • 5点単位に丸めた山札の点
  • 山札で配り直しにならず,山札に祝言をあげたカードがなれけば,固定点(25点か30点が普通)
  • 山札に,祝言をあげたカードの両方か片方があれば,祝言の点

ダンプカー(самосвал).カード勝負後の点数計算の結果,点数がちょうどプラス555点かマイナス555点になったら,点数を0点に戻す人がいます.

リーチ(сидеть на бочке)


点数が880点以上1000点未満になったら,リーチです.ロシア語の表現を直訳すると“樽にすわる”です.リーチの人のスコアシートには,点数を線で囲うか,●を貫く横線を書きます.リーチでは,点数は880点になり,3手の間に,目標点による得点で一気に1000点に到達しなければなりません.リーチのときは,目標を達成したときの点以外の得点は入りません.リーチで失点したら,リーチでなくなります.リーチが3手続いたら,120点失点して,リーチでなくなります.

リーチを880点でなく,900点などにする人もいます.

2人リーチ.2人以上のリーチを認めない人がいます.この場合,2人目がリーチしたら,1人目は,120点を失点してリーチでなくなり,2人同時リーチでは,リーチの全員が120点を失点して,リーチでなくなります.

リーチから3手の間に勝てないことを3回繰り返すと,120点減点でなく,点数を0点に戻す人がいます.

ボルト(болт)


1点もとれなかったらボルトといい,スコアシートに横線を1本書きます.2点を丸めた0点は,ボルトではありません.ボルト3本につき,120点失点します.

カード勝負に1勝もしなかったときだけ,ボルトにする人がいます.ボルトの失点を,黄金週と見ず出で倍にすることがあります.

投了(расписать)


目標点を言った人が,山札を交換したあと,目標を達成できないと考えたら,投了できます.リーチのときは,投了できません.投了したら,相手2人は,それぞれ,60点または目標点の半分を5の倍数に丸めた点のどちらをもらうか,事前に決めます.また,投了した人は,失点なしか,目標点を失点するか,投了3回につき120点を失点するか,事前に決めます.

バリエーションあるいは類似のゲーム

501


目標点は501点,マリアージュの点は,ハートが80,スペードが60,ダイヤが40,クラブが20点です.せりは40点から始めます.切札は,せりに勝った人が,山札を手に入れた後,最初の手札を出す前に指定します.マリアージュで切札は変わりません.

32枚のトランプを使う


4つの印ごとにA(ロシア語ではТ,以下同様),K(К),Q(Д),J(В),10,9,8,7の32枚のトランプを使います.手札を5枚ずつ,山札2枚,手札を5枚ずつと,10枚の手札を3人に配ります.せりは50点から始め,10点ずつせりあげます.配り手の左隣は50を言わなければなりません.せりに勝った人は,山札を全員に見せてから手に入れ,不要な2枚を伏せて捨てます.このとき,最後に言った目標点より高い点を言いなおせます.カード勝負のルール,カードの点,マリアージュの点は同じです.手の最後の10回目のカード勝負に勝った人は10点を得ます.目標点を決めた人は,目標を達成したら,目標点を得,失敗したら,目標点を失います.他の2人は,カード点とマリアージュの点を10に丸めた(四捨五入)点を得ます.

2013年11月9日土曜日

ドゥラークまたは“ばか”の Wikipedia に貢献してみました

日本語版 Wikipedia の今日時点での“ドゥラーク”の内容と,このブログの記事と内容が似ているのは,情報源も,筆者も同じだからです.盗用でも,偶然でもありません.引用元を細かく書けるのは,気分が良い反面,参考文献を示せないルールが書きづらいので,ドゥラークのように公式ルールも,専門の書籍もないゲームには,Wikipediaの規則は辛かったです.

当ブログでは,あえて除外した52枚組のトランプを使ったバリエーションも,ロシア語版Wikipedia から訳出してみました.編集合戦や荒らしがひどくて,信用できる情報かと言われると疑問もあるのですが,他に52枚のバリエーションをまとめた情報源を知りません.それだけ,実際には,レアなのでしょう.

2013年10月16日水曜日

ドゥラークまたは“ばか” (3) ロシア選手権の勝負

残念ながら棋譜はないのですが,最後の勝負の決着があまりに劇的なので,抄訳しました.1~2回の全露チャンピオン アルベルト・ミヌリン(コムソモルスカヤ・プラウダ紙のチェス記者),セカンドはアナトリー・カルポフ (チェスの元世界チャンピオン),相手は,ヴァレリィ・ジェレズニャコフ(プロのギャンブラー兼数学者,モスクワ物理・技術大学),セカンドはレヴァン・フブラロフ(プロのカードプレーヤー) です.

1回戦は,ミヌリンのダブルをジェレズニャコフが受け,ジェレズニャコフのダブルにミヌリンが投了で,ミヌリン0,ジェレズニャコフ2になりました.切札表示はKで,手札には切札がない状態で,ジェレズニャコフはダブルを提案されました.ジェレズニャコフは,ゲームが始まったばかりなので,だめもとで受けました.ところが,2手後に切札のAが来たので,ミヌリンの手に切札のQ-Jがあると読めました.

次もジェレズニャコフが勝ち0-3で,やはり,プロの相手にはならないのかという声が広がり始めました.しかし,ミヌリンが3-3に挽回し,その後も互角の戦いを続け,8-7とミヌリンが1点リードします.

次の手で,ジェレズニャコフのダブルをミヌリンが受けます.ミヌリンのリダブルをジェレズニャコフが直ちに返したので,この手で勝者が決まることになりました.この8倍のダブルから,ジェレズニャコフは,守備でひたすらカードを拾い続け,3枚以外のカードをすべて手にし,場内が騒然となります.ここで,勝利を確信したジェレズニャコフは,手札を公開しました.ミヌリンの手札は,切札を含むQ2枚と切札の7で,この時点で勝ち目はほぼありませんでしたが,1時間後粘った末に,投了しました.

(おまけ)アナトリー・カルポフのドゥラーク評


上の記事の登場人物の中で圧倒的に有名なのは,カスパロフのライバル,元チェス世界チャンピオンのアナトリー・カルポフです.彼は,なぜ飛び入りドゥラークがすきなのかとの質問に,次のように答えています.このゲームの魅力は,論理的なことです.好きなゲームには,他に,プレフェランス,ブリッジ,ベロートなどがあるが,全部論理的なゲームです.ただし,これらは3~4人向けのゲームです.2人の飛び入りドゥラークは,全然“ばか”ではなく,もっとも頭脳的なゲームたりえます.

2013年10月1日火曜日

ドゥラークまたは“ばか” (2) 戦術

ドゥラークは珍しいタイプのゲームで,筆者自身,記事は書いたものの,どう戦ってよいのか分からないので,参考にしたサイト www.durbetsel.ru にあった作戦を抄訳してみました.

(2013.10.2) 抄訳しすぎたので,もう少し内容を細かくしました.
(2013.10.20)  a への対策で,“切札を出すこと”を“切札を出させること”に修正しました.

どんなタイプのゲームでも

一番大事なのは,出されたカードを覚えておくことです.場から除かれたカードと,カードが出された順番を覚えておきます.なくなったカードが分かれば,相手にどのカードがあるかが分かります.カードが出された順番から,カードがどこにあるかを推測できます.例えば,相手が攻め札としてハートの10を出したら,ハートの9は,まだ山のなかにある可能性があります.ただし,相手が上級者の場合は,手に9が何枚かあって,10は1枚しかないなら,10を出すこともあります.

最初から守りに切札を使ってはいけません.手の最初に切札を捨てる理由はありません.最初は切札を出すのを控え,次から守るのが定跡です.

守りはじめるときは,ペアになっているカードを使って守ると,カードを掴まされる確率が低くなります.手に弱いカードや,3枚以上切札でない同じ印のカードがあると,カードを掴まされるリスクがあります.

相手に,守りで切札か最上位のカードを使わせるには,自分が最初の攻め札を出す手番で,切札でない同じ印のカードが数枚あるなら,その中の弱いカードで攻めると,序盤か中盤なら,相手は拾うでしょうが,終盤だと,切札で守らざるを得なくなります.

時にはハッタリ(ブラフ)をかますことも必要です.例を挙げます.終盤に数人残っているとき,自分の手に切札が3枚,例えば,クラブのK,10,6があって,守り手になる手番だったとします.最初の攻め札がダイヤのAだったら,クラブの10で守らなければなりません.ついでスペードのAが出されたら,クラブのKで守ります.なぜなら,こうすることで,他のプレーヤーは,まだ上位の切札をもっていると考えて,切札のAでは攻めず,例えばダイヤのAで攻めるかもしれないからです.ブラフは,使いすぎてはいけません.

2人のゲーム

1. 相手のスタイルを把握する.
2. そのスタイルに対抗する.

相手のスタイルを把握するには,同じ相手と試しに数回勝負します.相手が勝とうと考えてプレーしている限り,多くの場合,次の4つの基本形のいずれかに該当するはずです.他のスタイルは,4つの基本形の組み合わせです.

a. 切札をため込む.このスタイルの人は,決して切札で飛び入りせず,最初の攻め札と飛び入りは,相手を困らせるカードでなく,不要なカードを捨てて,山札から切札を得ようとします.

b. 上位のカード(A,K,Q)をため込む.A,AがなくなったらK,KがなくなったらQを4枚と切札2枚を集めようとします.このスタイルの人は,普通は,山札がなくなった後に分かります.

c. 相手に弱いカードを押し付ける.このスタイルの人は,攻め札をすべて取らせようとします.この利点は,山札から切札を引く確率を高めることと,相手にゲームの主導権をとらせないことです.

d. ペアをため込む.さまざまな大きさのカードのペアを集めます.ペアを持っていると,守りでも,攻めでも,有利です.このスタイルの人は,いつでもペアを持っています.

それぞれのスタイルへの対抗策は,次のとおりです.

a. 切札をため込む相手への対抗策は,相手の弱い印を探し当てることと,弱い印に対して切札を出させることの2段階に分かれます.中盤までは,相手の弱い印の把握に費やします.なるべく異なる印のカードを出すようにし,相手の弱い印が分かったら,一貫して,相手が切札で守らざるを得ないようにするよう努めます.

b. 上位のカードをため込む相手は,切札を貯め込まず,終局は上位のカード4枚の優位性を利用することがわかっているので,対抗策も易しいです.終局の2または3回前の攻防,山札が6枚かもう少しあるときに,上位のカードで守らざるを得なくさせます.

c. 弱いカードを押し付ける相手への対抗策は,まず,序盤には上位のカード,つまりA,K,Qだけで守ります.序盤で上位のカードを貯め,1回か2回は守ってもかまいません.中盤までに上位のカードをすべて集め,中盤以降の各攻防で,弱いカードで攻めを始め,上位のカードはパスします.中盤で切札は相手に与えなくないので,取らざるを得なくなります.

d. ペアを集める相手に対抗するのは難しく,こちらもペアで攻めペアで守るしかありません.

情報源の著者が作ったプログラムの弱点を突いた攻撃方法も,紹介されています.人間相手には,何度も同じ手は使えないが,知らない相手には有効だとしています.はじめから上位(下位でもよい)の切札が2~3枚あるとき,相手の攻撃を守らず,山札が残り8~10枚になるまで取り続けてから,一番弱いカードで攻撃を始めます.攻撃用の弱いカードは,同じ大きさのカードが3~4枚そろっていなければなりません.相手が取らずに守っても,山札から切札を得る可能性は低く,相手の攻撃を容易に守れます.ただし,相手が,ここでカードを取って,同じ戦術を採用する可能性もあります.

3人のゲーム

ペアと切札を集めます.そのためには,守る必要があります.

3人ゲームで一番大事なのは,自分の左隣にカードを押し付けないことです.そうしていいのは,山札がなくなり,左隣が最初に手札をなくしそうなときだけです.なぜなら,左隣にカードを押し付けると,攻撃の手番を失うので,次は,自分が攻撃されることになり,カードを捨てることも,自分を攻めるプレーヤーの手をくずすこともできません.

自分に出されたカードを故意に守らずに取り,左隣に自分を攻めるプレーヤーを攻撃させることもあります.後の機会にこのプレーヤーを攻めます.

4人のチーム戦

序盤では,弱いペアのカードを左隣に出すとよいです.弱いペアがなければ,長い印の一番下のカードを出します.それもなければ,6のような弱いカードのペアを作ります.

左隣にカードを押し付けて,自分が攻め手になったら,左右両隣が持っていないカードを出すのが望ましいです.1周経てば,ないカードは推測できます.例えば,8,10,Jで守り,もう1人が7とQを出していたら,6,7または9を出すとよいです.これらのカードは,パートナーの手にある可能性が高いです.

相手が上位のカード(K,Q)を取ったときは,そのカードを使わせるようにします.これらのカードを出されると守れない(すぐにペアのもう一方のカードをだされる)し,山札から切札かペアを得るチャンスがあるからです.

右隣が守れずにカードを取り,左隣にカードを掴ませる自身があるなら,上位のカードで飛び入らなくてもよいです.なぜなら,自分のパートナーが攻めるとき,右隣が反撃するので,そのとき飛び入らなくてはならないからです.

4人以上の個人戦

チーム戦でない場合,弱いカードを出されたら取って,多くの弱いカードを掴まされるのを避けます.例えば,6を8で守ると,6と8をすべて取らされる可能性がありますが,すぐに取れば6だけで済みます.

上位の攻め札出されて,守りきれないことが分かっているときは,より高いカードで守って,上位のカードが飛び入りで集まるようにします.

2013年9月18日水曜日

ブロートまたはブロットまたはベロート(3)

ブロート(ブロット)は,ルールのバリエーションがあまりにも多いゲームなので,主な選択肢を分類・整理しました.時間があれば,シュナプセンに関してwww.psellos.comが行ったような体系的な比較(もともとは大改訂前のpagatが誤っていることを証明するためでした.その甲斐あって,現在のpagatは,オーストリア・ハンガリーで実際に遊ばれているルールを掲載するようになりました.pagatが直ってしまったおかげで,psellosの記事が面白くなくなってしまったのは,少し残念なのですが…)をwww.ludi.com,www.ludicash.com,gameduell.fr,www.beloteenligne.fr,www.belote-en-ligne.frなどのルールを対象にやってみたいのですが,いくらなんでも,選択肢が多すぎですよね…

(2013.9.20) 最大のオプションの1つである切札なし(サン・ザトゥー,sans atout)とすべて切札(トゥ・タトゥー,tout atout)の有無を書き忘れていました.
(2013.9.20) 細かい表現を直しました.

1. ゲームの種類


このゲームのバリエーションの中で最大の相違点は,切札の決め方と手役の有無です.オンラインゲームでは,このそれぞれを異なるゲームとして扱っています.

1.1 切札の決め方

主に地域,プレーヤー仲間による違いです
 - 手札を5枚配って,表向きの切札候補を使う.
 - 手札を8枚配りきって,目標点数を競るときに切札を言う.
 - 手札を8枚配りきって,切札を競る(フランスにはない.ブルガリア,キプロス).

1.2 手役

どちらもよく行われます
 - あり(古い)/なし(新しい)

2. 進行


他の項目の多彩さを見ると,こういうことは,どうでもいいことに思えますが,のせておきます.
 - 反時計回り(普通)/時計回り
 - 配り方は,3枚,2枚,3枚(普通)/2枚,3枚,3枚/3枚,3枚,2枚(コアンシュでないと不可能)

3. 切札の決め方


3.1 表向きのカードを使う場合のせり

 - 2周目に切札なし,すべて切札を: 認めない/認める.
 - 切札指名後,他の人が,切札なしかすべて切札で取って代わることを: 認めない/認める
 - 2周目に誰も切札を指名しなかったら: 配り手を交代して配り直し/配り手が切札を指名する(ヴァシュというバリエーション).
 - 表向きのカードがV(J)のとき: 取らなくてもよい/取らなければならない.

3.2 目標点か切札を競る場合のせり

 - 切札なし,すべて切札を: 認めない/認める
 - コアンシュ(シュール・コアンシュ)を順番を飛び越して: 言える(普通)/言えない
 - より高い目標は,コアンシュ(シュール・コアンシュ)に: 勝てない/勝てる(bridgée(ブリッジ化)というバリエーション).
 - カポ(とジェネラル)にコアンシュを: 言えない/言える
 - ジェネラルを: 認めない/認める

4. 極端に偏った手の除外


 - 手札が11点未満なら: 配り直し/配り直しにできない

5. 手役宣言


 - 最初の手札を出すときに宣言し,1周目の勝負が終わったら手役を公開する /
   手札を8枚手にしたら,なるべく早く宣言・公開する (カジュアルなルール).
 - 切札でない同一の手役の最上位のカードが等しいときは: 引き分け(普通) / 配り手の右隣を最上位としてカードを配られる順が早い方の勝ち
 - 1枚のカードを複数の手役(belote-rebeloteを除く)には: 使えない(普通)/複数の手役に使える(まれ)
 - 8の4枚組は: 手役でない(普通)/その手のすべての手役を無効にする.
 - 7の4枚組は: 手役でない(普通)/その手のすべての手役を無効にする/その手を配りなおしにする.
 - 切札なしの場合,4枚組は: 手役でない/Aの4枚組みだけ200点の手役/Aは200点,10は150点,K,Q,J,9は100点/9は手役と認めない

6. カード勝負


 - 相手のカードが勝っていて,先手と同じ印も勝っているカードより強い切札もないとき: 負ける切札があれば出さなければならない/好きなカードを出せる

7. 得点


 - 1手ごとに得点を: 丸めない/10点単位に五捨六入する/5点単位に丸める
 - 点数を丸める場合: 2チームの合計が160点になるように丸め方を工夫する/しない
 - 勝敗判定に使う点は: 最後の10点も含めたカード点だけ/カード点+belote-rebelote/
   カード点+belote-rebelote+手役
 - 点数を競る場合: 勝敗判定用の点数が競り落とした点以上なら成功とする/勝敗判定用の点数が競り落とした点以上でかつ相手の点より大きかったら成功とする
 - belote-rebelote の点は: 引き渡し対象にならず常にもらえる/失敗したら相手に渡す
 - 手役の点は: 失敗したら相手に渡す/カポ負けのときは相手に渡す/引き渡し対象にならず常にもらえる
 - 切札なしのときの点は: そのまま/2倍にする
 - 切札なしのときのカード点(最後の10を含む)は: そのまま/Aを19点にする/162をかけて130で割る
 - すべて切札のときの点は: そのまま/2倍にする
 - すべて切札のときのカード点(最後の10を含む)は: そのまま/162をかけて258で割る
 - 9とAの4枚組の点は: 150点と100点(普通)/140点と110点(まれ)
 - 2チームが同じ手で目標点を超えたら: 合計点の高いチームの勝ち(普通)/最後の手に勝ったチームの勝ち
 - カポ負けの手で得た点で勝つことを: 認める/認めない
 - (シュール)コアンシュの倍は: 競った目標点だけにつく/勝ったチームが得るすべての点につく
 - せりで目標点を決める場合,勝ったチームは: ゲームの点と競った目標点の合計を得る(普通)/競った目標点だけを得,ゲームの点は成否判定にしか使わない

2013年9月6日金曜日

ブロートまたはブロットまたはベロート(2)

フランス語版Wikipediaから,ブロート(ブロット)の戦術とマイナー(?)な変種を紹介します.
 

切札について

 

切札は,ブロートで一番大事な印で,“古典的”戦略も,切札にまつわるものです.普通は,複数の最強のカード (V と 9)があり,相手チームより枚数の多い印を切札に選びます.こうすれば,切札を狩って,相手チームの切札をなくせます.相手に切札がなければ,切られるリスクなしに,A を出せます.切札を指名するとき,パートナーと勝算を検討できないので,パートナーとその癖をよく知って,手札を読む必要があります.

切札を指名したチームの相手は,なるべく切札を守り,相手を切り,無駄なく相手の切札を使わせるよう務めます.

 

切札の選び方

 

切札を選ぶときは,8枚の手札のうち,5枚しか配られていないので,偶然に左右されると思いがちです.古典ルールよりコアンシュを好む人も,このことを理由に挙げることが多いです.しかし,カードをシャッフルしないルールがあるので,配りきるルールより,古典ルールのほうが,より技術的な面もあります.

配り手の右隣りの人は,後で配られる手札が,表向きのカードと同じ印になりやすいと期待できます.カードを混ぜないので,表向きのカードと後から配られる手札は,直前の手で同じカード勝負に出されたカードの可能性があるからです.自分の味方が配り手の右隣りのときも,同様です.

前の手でカードがどう出されたか憶えていると,表向きのカードにより,配られたカードとこれから配られるカードをある程度読めるので,切札の選択に役立ちます.カードをどれだけ憶えられるかは,人により違いますが,10を取ったA,Aを切った7のように決め手となる勝負は憶えやすいです.

表向きのカードがV(J)のときは,取るメリットが大きいです.切札のV(J)は最強のカードなので,カポ負けを必ず回避できます.また,手に他のV(J)がないとき,相手がV(J)4枚組の手役を作るのを防げます.

誰も仮の切札を受け入れなかったら,2周目には,表向きのカードが切札でない手札になることを考慮します.Aが最も良く,次は10です.
最後の人に順番が来たときは,表向きの印に誰も興味がなく,カードを取るリスクが少ないことを当てにできます.相手チームの失敗を期待する戦法を取られたときは,例外です.しかし,この戦法は,長い目でみれば,勝利の機会を捨てているので,損です.手がよいときは,ためらわずにカードを取るべきです.取らないチームは,ゲームにあまり勝てません.

勝たず (アンパス Les impasses)


勝たず (アンパス) とは,最上位の勝てる手札を故意に出さないことです.そのすぐ下のカードも出ないことを期待して,そのカードを後のカード勝負で取ることを目指す作戦です.

例: 
  • Aさんがダイヤの8を出し,Bさんがダイヤが手にないので別の印のカードを捨て,CさんがダイヤのD(Q)を出したとき,ダイヤのAとV(J)を持つDさんは,10がまだ出てないので,次のダイヤの周にAで10を取ることを期待してV(J)を出しました.
  • 手に2または3枚ある印にAがあるとき,後にこの印の周でAで10を取ることを期待して,Aでないカードを先手で出しました.
  • 手役を認めるゲームで,10を含む3枚続きをさらしたとき,Aを持つ味方が,その印の数札を出したら,故意に弱いカードを出したことが分かるので,10でその勝負に勝ちます. 
 
アンパスには,2つのリスクがあります.1つは,アンパスの2周目を切られること,もう1つは,アンパスした周に相手に10を出されることです.
 
アンパスするかどうかは,これまでに出されたカードによります.切札を全部狩った後か,相手に切札がなくなったときは,自分たちの勝てるカードを切られるリスクはなくなります.しかし,相手に10で勝たれるリスクは残ります.アンパスを試みる印がそれまで一度も出されていないときは,相手も含めた全員がその印を持っている可能性が高いです.普通,取って攻めるチームは,相手の切札を狩るので,慣れたプレーヤーは,そのあと残っているカードによって,リスクを判断します.
 

最後の10点 (ディス・ド・デール Le dix de der)

 

最後のカード勝負は,10 点を追加で得られるので重要です.この 10 点だけでなく,カード勝負も,よくディス・ド・デールと呼ばれます.

この勝負では,10点を超えるカード点を得られることが多いです.1勝を期待して持っていたAなどが残って,ディス・ド・デールが,20,30,または40点にもなることが珍しくありません.したがって,可能なら,最後まで切札を温存するとよいです.
 

Wikipedia(など)に紹介されているバリエーション

 

カードの配り方

  • 2枚ずつ,3枚ずつと配る人もいます.コアンシュでは,3枚-3枚-2枚,2枚-3枚-3枚という配り方もあります. 
  • 配り間違えたら,配り手を変えずに配りなおしにする人と,配り手の相手のチームに162点を与えて,配り手を変えて配りなおす人がいます.

 

切札の決め方

  • 表向きのカードがV(J)なら,配り手の右隣が取らなくてはならないとする人がいます.
  • 誰かが切札を選んだら,他の人が,切札をせり上げることを認める人がいます. 
  • 11点未満しか手になく切札もない場合,ゲームを無勝負にできるとする人がいます. 
  • 手札が11点未満の人がいたら,手を流す人がいます. 

 

カード勝負

点数の高いカードというあいまいな内容を含むルールなので,実戦で揉めごとをおこす可能性がありますが,フランス語版 Wikipedia には,こんな記述がありました.
  • 先手の印が手になく,相手チームのカードが勝っているとき,それに勝てる切札がなかったら,点数の高いカードを捨てなければならないとする人がいます(アルカレット,alcarette). 

 

手役

  • 7か8の4枚組を宣言すると,味方・相手のすべての手役を無効にできるとする人がいます.
  • 7の4枚組を宣言すると,その手を流せるとするところがあります. 
  • 手役の点も,失敗しても奪われないとする人がいます. 
  • 1枚の手札を複数の手役に使うことを認める人がいます(フランス語Wikipedia以外で見たことがないので,まれなバリエーションである可能性があります).
  • 手役が引き分けのとき,カードを配られる順が先の人が勝ちとする人がいます(www.pagat.comの英語記事でしか見たことがないので,まれなバリエーションである可能性があります).
 

点数計算

  • 点数を5点単位で丸める人もいます.
  • 両チームが同じ手で目標点を超えた場合,最後の手に勝ったチームの勝ちとする人がいます.  
  • 手役の点を成功・失敗の判定に使う場合に,カポ負けしたチームは,その手で相手を失敗させることも,ゲームに勝つこともできないとする人がいます. 

2013年8月28日水曜日

2人用のブロート(ブロット)

Belote découverte (発見/発掘 ブロート) という2人用のルールを紹介します.ブロートらしく,人によって根本的にルールが違います.

手札の他に場札を配ります.表向きの自分の場札は,手札と同じように使えます.手札を使ったら,下に伏せてある手札を表向きにします.手役は認めないことが多いです.共通点はここまでで,あとは,手札と場札の枚数は,人によって違います.

その1

配り手は,5枚の手札を,相手に3枚,自分に3枚,相手に2枚,自分に2枚の順で配ります.ついで,相手の5枚の場札を伏せて横1列に並べ,自分の場札も同じように相手の場札より自分側に並べます.次のカードを表向きにして場に置き,切札を決めます.表向きのカードを取らなかった方に手札を1枚配ったら,相手に5枚,自分に5枚の順で,伏せてある場札の上または持ち主側に1枚ずつ表向きの場札を配ります.


その2

手札はなく,すべて場札で遊びます.配り手は,相手に4枚カードを伏せて横1列に配り,それより自分側に少し間を開けて,自分にも同じように4枚のカードを伏せて配ります.さらに,相手と自分に4枚ずつ伏せたカードを持ち主に近い側に横1列に並べて配ります.残りのカードは,伏せたカードを配ったのと同じように,伏せたカードの上に表向きに配ります.最後に配られたカードの印で切札を決めますが,このカードは,切札を選んだ人でなく配り手のものになります.

その3 

その1に近いですが,手札8枚,場札は1人あたり8枚を,4枚を伏せ,残り4枚を伏せたカードの上に表向きに配ります.切札は,手札5枚を配りきり,表向きの手札は配らないときに,4人のブロートのように決め,切札を選んだほうが表向きのカードと残り2枚の手札を,もう一方は残り3枚の手札を受け取ります.

2013年8月23日金曜日

ブロートのカードの出し方のルールについて

フランスのブロートは,何回か遊んで慣れるまでは,カードの出し方のルールが,間違えずに遊べるのかと思うぐらい複雑です.

(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているなら,切札があれば出す.
(3) 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
(4) 切札を出す義務がある場合,勝っているカードに勝つ切札があれば出す.
(2) には,次の変種があります.
(2+) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているとき,それに勝つ切札がないなら,負ける切札があっても,好きなカードを出してよい.

このルールがさまざまな国にそのまま伝わったわけではなく,ギリシャやサウジアラビアのブロートで使われるルールは,次の通りです (情報源は Wikipedia の記事だけなので,どこまで正確かはわかりません).
(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手にないとき,切札があれば出す.勝っているカードに勝てる切札があれば出す(ギリシャ).
(3) 先手が切札のときは,勝っているカードに勝つ手札があれば出す.

この系統のゲームの発祥地と考えられているオランダのクラバーヤッセン (必ず8枚の手札を配りきることと,カード勝負に出たカードに役を認めることを除いては,ブロートとほぼ同じゲームです) は,主なカードの出し方に,次の 2 通りがあります.どちらも,ブロートよりは簡単です.アムステルダム式は,(2+) を採用したブロートに近いですが,先手の印が手になく,味方のカードが勝っているか,勝つ切札がないとき,出ているカードに負ける切札を自由に出せない点が違います.

(アムステルダム式)
(1) 先手と同じ印があれば出す.
(2) 先手と同じ印がなく,相手のカードが勝っている場合,それに勝つ切札があれば出す.
(3) どんな場合でも,出ている切札に負ける切札は,他に選択肢がないかぎり出せない.

(ロッテルダム式)
(1) 先手と同じ印があれば出す.
(2) 先手と同じ印がなく,出ているカードに勝つ切札があれば出す.
(3) どんな場合でも,出ている切札に負ける切札は,他に選択肢がないかぎり出せない.

19 世紀後半から,1940 年ごろにブロートに抜かれるまで,フランスで一番人気のあったマニーユ (manille) のカードの出し方は次の通りです.ブロートは,もともとフランスで広く知られていて,同じ32枚のトランプを使うゲームの影響を受けたのではないでしょうか.
(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(1+) このとき,相手のカードが勝っていて,それに勝つカードがあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
(3) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っていて,それに勝つ切札があれば出す.勝つ切札がなければ,好きなカードを出す.

2013年8月17日土曜日

バルートまたはアラビア版ブロート

ブロートは,サウジアラビアでは“バルート”と呼ばれ,同国の文化の一部だと言われるほど
盛んです.先月書いたフランス版とは,切札の決め方と役の点数が少し違い,切札なし (サン・アトゥー/ザトゥー) に相当する“スン”を体系的に優遇します.また,コアンシュのようなダブルの役割も面白いルールです.

(2016.7.13)別の情報源の記述と,フランスのルールとあまり変わらないと言っている人がいたのを根拠に,切札を指名したチームの得点が相手より少ないときは,ダブルがなくても相手に点を渡すと改めました.

人数とカード


ペア 2 組の 4 人.ペアは向い合って座ります.4 つの印ごとに A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 の 32 枚.

 

カードの強弱と点数


切札の J と 9 を特別扱いします.

カードの強さの順は,強い順に,切札は,J,9,A,10,K,Q,8,7,切札以外は,A,10,K,Q,J,9,8,7 です.

カード勝負で取ったカードの点数は,切札の J が 20 点,切札の 9 が 14 点,A が 11 点,10 が 10 点,K が 4 点,Q が 3 点,切札以外の J が 2 点,切札以外の 9 が 0 点,8 と 7 が 0 点です.この他に,手の最後の 8 回目のカード勝負に勝つと 10 点をもらえます.

 

目標


目標は,152 点です.他のブロートの 1520 点に相当します.

 

カードを配り切札を選ぶ


最初にカードを配る人は好きな方法で決め,以後は反時計回りに交代します.

配り手の左隣りの人は,カードを配る前に,カードをカットする,何もしない,先頭のカードを表向きにする,底の 3 枚を自分のパートナーに渡すのどれかを選びます.

配り手は,右隣の人から反時計回りに,1 周目は 3 枚ずつ,2 周目は 2 枚 ずつで各人 5 枚の手札を配り,次のカードを 1 枚表向きにして机の上に置きます.

ここで切札を決めるせりを行います.1 周目は,表向きのカードを手札にし,切札なしで戦う“なし (スン)”,表向きのカードを手札にし,その印を切札にして戦う“切札 (ホクム)”,表向きのカードを取らない“パス” のいずれかを,配り手の右隣から順に,反時計回りに言います.誰かが“なし”を言ったら,配り手の右隣の 1 番手から“なし”を言った人の手前までの人が順に,代りに“なし”で出るかパスするか言い,せりを終えます.誰かが“切札”を言ったら,他の全員が 1 番手から順に,代わりに“なし”で出るかパスするか言い,全員がパスしたら,“切札”を言った人は,“切札”を“なし”に変えるか“切札”のまま戦うかを言い,せりを終えます.3 番手と 4 番手は,このほかに,“アシュカル”と言えます.これは,表向きのカードをパートナーに取らせた上で,切札なしで戦います.表向きのカードが A のときは,アシュカルを認めない人がいます.1 番手と 2 番手が間違って“アシュカル”を言ったら,“なし”を言ったものとみなします.手札に 7,8,9 しかない場合,切札決めの 1 周目なら,配り手を交代して手を配りなおしにできます.

1 周目に全員がパスしたら,2 周目に入ります.“なし”なら,せりは終わり,1 周目と違い,他の人は代りに出られません.“切札”なら,2 周目の順番が来ていない人が,代わりに“なし”で出るか“パス”かを言い,残りの全員がパスしたら,“切札”のままで行くか,“なし”に変えるかを言います.切札の場合,表向きのカードの印以外の印を指名しなければなりません.切札を指名する前に,あとから配られる 2 枚の手札をみたら,切札なしになります.2 周目には“アシュカル”は言えません.

2 周目も全員パスしたら,配り手を交代して,手を配りなおします.

切札が決まったら,配り手は,表向きのカードを取った人には 2 枚,その他の人には 3 枚ずつ手札を配ります.

手札が配り手のミスで表向きになっても,それが A でなければ,ゲームを続けます.A なら,配り手を変えないで配り直します.

ダブル


切札を決めてからカード勝負に入るまでの間に,ダブルをいえます.ダブル,トリプルなどには,点数を倍にするだけでなく,手に勝ったチームがその手の両チームの得点を独り占めする効果があります.

切札がある場合,切札を指名したチームの相手は,点を倍にするダブルを言えます.ダブルを言われたら,表向きのカードを取った人は,点を 3 倍にするトリプルで応じられます.トリプルを言われたら,ダブルを言った人は,点を 4 倍にできます.4 倍を言われたら,表向きのカードを取った人は“勝負 (ガハワ)”といえます.勝負は,ゲーム全体の勝敗をこの手の勝敗で決めます.

ダブルと 4 倍では,切札の封印をあわせて指定できます.切札を封印すると,手札に切札以外のカードがある場合,先手で切札を出せません.

切札なしの場合,一方のチームが 100 点を超えていて,もう片方が 100 点以下の場合に限り,切札を指名したチームの相手はダブルを言えます.切札なしには,トリプル以上の倍はありません.

手役の宣言


手札に手役がある場合,1 回目のカード勝負に手札を出すとき,得点したい手役の種類をいいます.最強の手役を持つチームは,2 回目のカード勝負の前に,手役を公開します.同じカードは,1 つの手役でしか使えません.

手役は,弱いものから順に,次の通りです.同じ手役のなかでは,最上位のカードが上の方が強いです.手役のカードの順は,カードの強弱とは違い,上から下へ A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 です.続き役も,この順での続きをみます.
  • 同じ印の 3 枚続き.20 点.
  • 同じ印の 4 枚続き.50 点.
  • 10,J,Q,K,A の 4 枚組.100 点.A は切札があるときだけです.
  • 同じ印の 5 枚以上の続き.100 点.
  • 切札なしのときの A の 4 枚組.400 点.

カード勝負


8 枚の手札で 8 回のカード勝負を行います.最初は配り手の右隣,以後は直前のカード勝負の勝者が先手になります.先手は,好きな手札を 1 枚表向きに場に出します.ついで,反時計回りに順番に手札をひとり 1 枚表向きにして出します.このとき,次のルールに従います.先手と同じ印がなかったら無条件に切札を使わされるのが気に入らなければ,フランス風のルールを使ってもいいでしょう.
  • 先手と同じ印があれば出す.
  • 先手と同じ印がない場合,切札があれば出す.
  • 先手が切札の場合,勝っているカードに勝てるカードがあれば出す.
切札が出た場合,一番強い切札,そうでなければ,先手の印で一番強いカードを出した人の勝ちです.カード勝負に勝った人は,出された 4 枚のカードを取ります.取ったカードは,チームでまとめて置きます.

バルート


切札の K と Q が手札にある場合,手からこのペアの 2 枚目を出すときに“バルート”というと 20 点を得られます.K と Q の一方が手役にある場合と,2 枚とも 5 枚続きの役にある場合は,バルートになりません.

得点計算


点数は,チームごとに,10 点単位で記録します.
  • 切札なしの場合,10 の桁で 4 捨 5 入 した点を 10 で割り 2 倍する.
  • 切札ありの場合,10 の桁で 5 捨 6 入 した点を 10 で割る.
  • 切札なし専用の手役 400 点は,例外的に切札なしの 2 倍がつかない.

バルートの点には,ダブル,トリプルなどの倍はつきません.

切札を指名したチームの点数が,相手のチームと同じか多いなら,両チームとも自分のチームの点を得ます.

切札を指名したチームの点数が,相手のチームより少ないなら,相手のチームが両チームの点を合わせて得ます.このとき,バルートの点は相手に渡しません.

ダブル,トリプルなどの場合は,その手の点数の多いチームが,バルート以外の相手の点も含む点を得ます.チームの点数を比べるとき,役の点を含めるかカード勝負の点だけ比べるかは,事前に決めてください.

2013年8月12日月曜日

中欧のトランプ

中欧で普通に使われているトランプは,“トランプ”と起源は同じでも,日本の花札と同じように,見かけがまったく違うものです.このタイプのトランプはハンガリー発祥で,デザインがよいだけでなく,肩のインデクスの助けを借りないでも,多くのカードの見分けが付く実用性を兼ね備えているからか,旧オーストリア・ハンガリー帝国領の各地方に普及しました.例外は,首都のウィーン (宮廷文化の地にふさわしくフランス風),チェコとチロル地方 (絵柄は似ているが,上下反転できない),セルビア (フランス風と併用) などです.

オーストリアなどでは,“Doppeldeutsche” (ダブル・ドイツ),ハンガリーでは“Magyar kártya” (ハンガリーのカード),旧ユーゴでは,Mađarice (ハンガリー風),Belot (ベロート用) など,ほとんど同じデザインのカードが別の名前で売られています.

特徴的なのは,エースに相当するカードがどう見ても 2 にしか見えない女性が描かれた絵札であることです.

同じオーストリアの Piatnik 社によるハンガリー語 (上) と,ドイツ語 (下) の 2 です.上辺中央にある春夏秋冬の言葉が違うだけでなく,よくよくみると,ハンガリー版のほうが女性が元気な表情をしています.
フランスやドイツと同じように,1 組のカードは 32 枚なので,1 つの印には 8 枚のカードがあります.例えば,赤 (ハート) は,次の通りです. 数札にも絵があり,芸が細かいです.

2013年8月10日土曜日

7 または点札取り

ハンガリー,チェコ,ルーマニア,旧ユーゴなどで遊ばれているゲームです.チェコ語,ルーマニア語,セルビア語などでは,“7”の意味の名で呼ばれ,ハンガリー語では,得点札を意味する名前で呼ばれるので,表題のように名づけて見ました.

(2013.8.12) トランプ以外でも遊べることを追記しました.
(2013.8.13) 延長のルールに関する変種の表現を改め,負けてないと延長できないが,味方に負けても延長できるというルールがあることを分かりやすくしました.実例は,例えば www.sedmice.com です.

人数とカード


2 人 2 組の 4 人か,2~3 人.中欧のトランプでは,印ごとに 2,10,王,上の僕,下の僕,9,8,7 の 32 枚組.3 人 のときは 8 を 2 枚取り除いて 30 枚にし,8 も 7 のように扱います.英米のトランプでは,2 は A,上の僕は Q,下の僕は J にそれぞれ対応します.

目的


ゲーム点 5 点,あるいは 10 点を先に取る.個々の手では,2 (A) と 10 を多くとってゲーム点を取る.

遊び方


最初にカードを配る人は好きな方法で決めます.以後は,順番に交代します.4 人の場合,味方同士は向い合って座ります.

配り手は,自分の右隣から反時計回りに順番に手札を 4 枚ずつ配り,残りは山札として場の中央に伏せておきます.

最初は配り手の右隣,そのあとは直前のカード勝負に勝った人が先手になります.先手は,手札を 1 枚表向きにして場に出します.ついで,先手の右隣から反時計回りに順に 1 人 1 枚ずつ手札を場に出します.先手と同じ大きさのカードか 7 を最後に出した人がそのカード勝負に勝ち,出されたカードを得ます.7 は他のカードより強く,7 が出たときは,最後に 7 を出した人が勝つとする人もいます.

先手に,自分が出したのと同じ大きさのカードまたは 7 があるなら,それを場に出して,カード勝負を延長できます.手札が続く限り,2 周以上でも延長できます.7 を他のカードより強いとする場合,7 が出たら,7 でないと延長できません.カード勝負の延長を,先手がカード勝負に勝っているときは認めない人も,先手のチームがカード勝負に勝っているときは認めない人も,常に認めない人もいます.

1 回のカード勝負が終わったら,勝った人から反時計回りに順番に,手札が 4 枚になるまで山札から手札を補充します.山札が足りない場合は,山札を全員で均等に分けます.

4 人で遊ぶとき,味方同士で,勝て,勝つな,2 (A) か 10 を出せ,出すなと指示することを認める人もいます.このとき,指示に従わなくても構いません.

2 (A) と 10 を多く取った方がゲーム点を得ます.4 対 4 のときは,最後のカード勝負に勝った方がゲーム点を得ます.ゲーム点は,取った 2 (A) と 10 の枚数が 4~7 枚のとき 1 点,8 枚で相手がカードを取ったとき 2 点,8 枚で相手がカードを 1 枚も取れなかったとき 3 点です.取った枚数に関わらず,常に勝った方に 1 点を与える人もいます.また,2 (A) と 10 各 1 枚につき 10 点,最後のカード勝負に勝ったら 10 点として,あらかじめ決めた手数の合計を競うか,目標点数に先に到達した方を勝ちとする人もいます.

トランプでなくても


このゲームは,印を区別しないので,8 種類のカードを 4 枚ずつ揃えられる花札,株札,麻雀牌などでも遊べます.例えば花札なら,花が書いてある梅,桜,藤,菖蒲,牡丹,萩,菊,桐の 8 ヶ月を使い,梅と桜の 8 枚を集めるとよいでしょう.ススキ (坊主) も花ですが,華がないので外してみました.先手と同じ月を最後に出した人が出された札を取ります.何でも取れる月は,外れている感じのする桐を使うか,ワイルドカードといえば雨と思う人は,桐を外して雨を入れるとよいでしょう.

2013年8月8日木曜日

プレフェランス (5)

実戦で役立つかもしれない情報を参考資料から拾ってみました.

勝ち数の見積り


何勝できそうか見積もるとき,印の違いは関係ないはずですが,“クラシック”の参考資料から抄訳した下記の一覧のように,ダイヤを特別扱いすることがあります.これは,先手で何を出すか迷ったらダイヤを出せと言う格言があるからです.この格言は,現代ロシアのルールでは意味がなく,他のプレーヤーがこの格言を知らなければ,前提が崩れるので,ダイヤを特別扱いするべきではないでしょう.

A: 1 勝
A, K: 2 勝
A, K, Q: 3 勝
A, K, Q, J: 4 勝
A, K, Q, J, x: 5 勝
A, K, Q, J, x, x: 6 勝
A, K, Q, J, x, x, x: 7 勝
A, K, Q, J, x, x, x, x: 8 勝
A, K, x, x: 3 勝
A, K, x, x, x: 4.5 勝
A, K, x, x, x, x: 6 勝
A, Q: 1 勝
A, Q, J: 1 勝
A, Q, J, x: 2.5 勝
A, Q, J, x, x: 3.5 勝
A, Q, J, x, x, x: 6.5 勝
A, Q, J, x, x, x, x: 7 勝
ダイヤの A: 1 勝
A, J, x: 1 勝
ダイヤの A, x, x: 2 勝
ダイヤの A, x, x, x: 4.5 勝
ダイヤの A, x, x, x, x: 5.5 勝
A, x, x: 1 勝
A, x, x, x: 1.5 勝
A, x, x, x, x: 2.5 勝
K: 0 勝
K, Q (マリヤージュ): 0.7 から 1 勝
K, Q, J (トレリヤージュ): 1.5 から 2 勝
K, Q, J, x: 3 勝
K, Q, x, x: 3 勝
K, Q, x, x, x: 4 勝
K, Q, x, x, x, x: 5 勝
K, Q, J, x, x, x, x: 6 勝
ダイヤの K: 0 勝
K, J, x: 0 勝
ダイヤの K, x, x: 0.5 から 2 勝
K, J, x, x, x: 2.5 勝
K, J, x, x, x, x: 4.5 勝
Q, J: 0 勝
Q, J, x: 0 から 0.3 勝
Q, J, x, x: 0.5 から 1.5 勝
Q, J, x, x, x: 3 勝
Q, J, x, x, x, x: 4.5 勝
J, x, x: 0 勝
J, x, x, x: 0 から 1 勝
J, x, x, x, x: 0 から 2 勝
x, x, x, x: 0 から 2 勝

ミゼールをいうには


手札のすべての印が次のような手をきれいなミゼールといいます.

1 枚目: 7
2 枚目: 8 か 9
3 枚目: 10 か J
4 枚目: Q か K
5 枚目: A

このうちどれかがない場合,ミゼールは,捕まる可能性があります.例えば,ある印が 7 と10 なら,2 枚目の 8 か 9 がありません.相手が 8 か 9 を先手で出したら 7 で応じなければならないので,次に残りの 9 か 8 を出されて,もう 1 人の手に同じ印が残っていなかったら,このミゼールは捕まってしまいます.

ミゼールが捕まる確率は,次の通りです.
7, 10: 50%
7, 9: 親が先手なら 5%
7, J: 80%
7, Q: 95%
8: 親が先手なら 5%,子が先手なら 30%
8, 9: 80%
9: 親が先手なら 15%,子なら 80-90%
7, 8 か 9, Q: 20%
7, 8 か 9, K: 70%
7, 8 か 9, A: 100%
7, 8 か 9, 10 か J, A: 10%

穴が 1 つか 2 つあっても,捕まる確率が 80% 以下なら,山札で穴がふさがるか捕まる確率が下がることを期待して,ミゼールを言ってもよいでしょう.7 がないのに他のカードが複数あるなら,ミゼールはリスクに見合いません.7 がないのにミゼールを言っていいのは,8 (か 9) 1 枚だけで,最初に先手で出せる場合だけです.

ロストフ風の山札


ロストフ風プレフェランスのオプションのルールとして,山札に (ほぼ) 確実に勝てるカードがあるときと山札を拒否したときの点があります.一見ふざけたルールに思えるこの点は,山札を取るか取らないかの判断を複雑にします.

山札を取らなければ,10 点もらえるので,山札を取るときは,山札で純得点を 10 点以上増やせなければ損です.3 人の場合,6 の代を宣言して 6 勝すると約 5.3 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると約 14.7 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合,山札を取るのは 2/3 点の損です.4 人の場合は,6 の代を宣言して 6 勝すると 7 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると 18 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合でも,山札を取った方が 1 点だけ得です.

同じように,山札に A があったときも,喜んで取るのでなく,山札を取らなかった場合より,純得点を 20 点以上増やせるか考えなければなりません.3 人でも,4 人でも,K-Q が A-K-Q になる場合のように,6 の代が 8 の代にならなければ,20 点の価値はありません.8 の代が 9 の代になっても 20 点は増えません.A-K は 30 点増,A 2 枚は 40 点増でなければ,割に合いません.

3 人の場合,6 から 7 は 9 1/3 点,6 から 8 は 22 2/3 点,6 から 9 は 40 点,6 から 10 は 61 1/3 点の違いです.7 から 8 は 13 1/3 点,7 から 9 は 30 2/3 点,7 から 10 は 52 点の違いです.8 から 9 は 17 1/3 点,8 から 10 は 38 2/3 点の違いです.9 から 10 は 21 1/3 点の違いです.

4 人の場合,6 から 7 は 11 点,6 から 8 は 26 点,6 から 9 は 45 点,6 から 10 は 68 点の違いです.7 から 8 は 15 点,7 から 9 は 34 点,7 から 10 は 57 点の違いです.8 から 9 は 19 点,8 から 10 は 42 点の違いです.9 から 10 は 25 点の違いです.

以上の理由から,ロストフは,他と比べて,6 の代の手が多くなりやすいです.ミゼール以外の
7 の代以上の手は,親が確実に取れる勝負を取るのを見るだけになりがちなので,接戦の 6 の代の方が,カード勝負は,面白いことが多いです.それでも,ラスパシーの点が相対的に高く,ラスパシーが勝敗を決してしまうことは,サンクトペテルブルク風と変わりません.

2013年8月6日火曜日

ドゥラークまたは“ばか” (1) 基本ルールとバリエーション

プレフェランスとは別の意味で旧ソ連諸国で盛んなゲームです.日本に例えると,ドゥラークは家族や友人が賭けずに遊ぶので大貧民,プレフェランスは学生や社会人,お偉いさんが賭けて雀荘のようやクラブやオンラインゲームで遊ぶので麻雀のような存在です.この名前と遊び方にもかかわらず,チェスの元世界チャンピオン カルポフやプロのカードプレーヤー ジェレズニャコフによると,2 人勝負のドゥラークは,最も知的に難しいトランプゲームのひとつです.

(2013.11.12) カード勝負のルールに不明点の多い十字軍式を削除しました.全体を読み直して,説明を補足し,細かい表現を直すとともに,修正履歴が長くなり過ぎたので,削除しました.
(2013.11.13) たらい回しのバリエーションに“待った”を,手札のバリエーションに等差数列を,攻守のルールのバリエーションに“くるくる”をそれぞれ追加しました.“くるくる”のロシア語名は,配り切り(дорожный)か交換(круговой)と同じですが,ルールは異なります.1週以上するカード勝負のルール,круговойの意味,および“ばか”との言葉の相性のよさを考えて,名づけました.“山積み”のカード補充の誤りを正すとともに,すべてのカードを取らないでよいバリエーションがあることを追記しました.一度削除した十字軍は,矛盾点の多いカード勝負のルールは,“くるくる”と同じルールを記述し切れていないと解釈するのが自然なので,復活させました.
(2013.11.14) durbetsel.ru の“без названия(無題)”のルールを,ダイヤの9を特別扱いする“くるくる”のバリエーションとして追記しました.
(2013.11.16) 引き分けに関するルールを書き足しました.
(2013.11.17) 飛び入りのルールを詳しくしました.
(2013.11.19) バリエーションに,変わる切札,バルチック,大きさでも印でも,チュホンスキー,見えない切札,裏返しを追加しました.
(2013.12.18) チーム戦の配り手の決め方を追記しました.

人数とカード


2~6 人.4 人か 6 人の場合,個人戦も,2 人か 3 人のチームに分かれて戦うこともできます.チーム戦では,同じチームの人は隣りに座らないようにします.2 人のチーム 3 つで戦うときは,各チームを 1,2,3 として,1,2,3,1,2,3 の順に座ります.4 つの印ごとに Т(A),К(K),Д(Q),В(J),10,9,8,7,6 の 36 枚のトランプを使います.この 36 枚組が,ロシアで普通に売っているトランプです.

目的


手札を人より先になくしてゲームから抜け,最後までゲームに残る“ドゥラーク(ばか)”にならないようにします.

カードの強さ


切札は他の印のカードに勝ちます.切札以外は,印が違うカードに勝てません.印が同じカード同士では,強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7,6 です.

カードを配る


最初にカードを配る人は,好きな方法で決めます.その後は,“ドゥラーク”が配り手です.チーム戦では,“ドゥラーク”のチームが,チームの中で自由に配り手を決めます.なお,前の手が引き分けなら,前の“ドゥラーク”が,引き続き配り手を務めます.

配り手は,全員にひとり 6 枚の手札を配ります.次の 1 枚を表向きにして場に置き,残りを伏せて直角に交わるように重ね,表向きのカードが何かわかるようにします.表向きのカードと同じ印が切札です.伏せたカードと表向きのカードが山札で,表向きのカードは,最後の山札です.

最後のカードまたは好きなカードを 1 枚抜いて表向きにする人もいます.手札に 5 枚以上同じ印がある場合,配り直しにする人がいます.表向きのカードが A の場合,配り直しにする人がいます.切札の 6 を手にしたら,いつでも表向きのカードと交換できるとする人がいます.

6 人の場合,カードを配り切るので,配り手は最後の 1 枚を全員に見せてから自分の手に入れます.このカードの印が切札です.

攻めと守り


このゲームには,いつも攻め手と守り手が 1 人ずついます.最弱の切札を持つ人が最初の攻め手で,2 手目以後は,“ドゥラーク”の左隣(ドゥラークが最後に攻める)または右隣(ドゥラークが最初に守る)のどちらを最初の攻め手にするか事前に決めます.最弱の切札を持つ人を探すには,まず切札の 6 を持つ人がいないか聞き,持っている人は,切札の 6 を全員に示してから,最初の攻め手になります.6 を持つ人がいなければ,同じように 7,8 と続けます.誰も切札を持っていなかったら,どうするかその場で決めてください.攻め手の左隣が守り手です.

攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.守り手は,攻め札 1 枚につき,勝つ手札を 1 枚表向きに,攻め札が見えるように重ねて出します.

同じ大きさの手札は,攻め札としてまとめて一度に出せるとする人がいます.

飛び入り


“飛び入りあるいは飛び込み (подкидной) ドゥラーク”というルールでは,守り手がすべての攻め札に守り札を出すたびに,攻め手および守り手の味方でない人は,場に出ている攻守のカードと大きさが同じ手札を,攻め札として追加できます.追加の攻め札を出す順番は自由で,特にルールはありません.追加する攻め札は,場に出ている攻め札の横に並べて置きます.攻め札が 6 枚になるか,守り始めたときの守り手の手札が 5 枚以下なら,その枚数になったら,攻め札を追加できません.

追加を,いつも攻め手から始め,攻め手が終わったら時計回りで次の人というように順番に行う人もいます.順番はないが,攻め手が追加しないと,他の人は追加できないとする人もいます.順番はないが攻め手をいつも優先する人もいます.4 人以上の個人戦で,攻め札を追加できる人を,守り手の両隣りの 2 人だけにする人がいます.多人数の個人戦では,はじめの守り手が不利なので,最初の守り手,あるいは,守備に成功する人が出るまでは,攻め札を 5 枚以下に制限する人がいます.

攻守の終わり


出された攻め札すべてに守り札を出せば,守備は成功で,出せないか出すのを止めたら,守備は失敗です.守備が成功したら,場に出たカードは伏せて片付け,次の手まで使いません.守備が失敗したら,失敗した守り手は,自分と攻撃側が出したすべてのカードを自分の手札に加えます.

守備が失敗したとき,攻め札が上限まで出ていなければ,攻撃側は,上限まで攻め札を追加できるとする人がいます.

手札の補充と上がり


守備が成功か失敗したら,攻め手は,手札が 5 枚以下なら,手札が 6 枚になるまで,山札をもらいます.攻め手が終わったら,手札が 5 枚以下の人は,時計回り順に手札を 6 枚に戻し,最後に守り手が手札を補充します.山札がなくなったら,手札を補充しないで,手札を 0 枚にした人は上がりでゲームから抜けます.山札があるうちは,手札を使いきっても,手札を補充しなければなりません.

攻守の交代


守り手が失敗したときは,守り手の左隣が次の攻め手です.守り手が成功し,上がっていないときは,次の攻め手になります.守り手が成功して上がったときは,その左隣が次の攻め手です.どの場合も,次の守り手は,次の攻め手の左隣です.

勝敗


守備と手札の補充が終わったとき,手札を持っているのが 1 人か 1 チームだけなら,その人かチームが負けです.敗者は攻守の途中では決まらないので,攻め手の最後の 1 枚の手札での攻めを守り手が最後の 1 枚の手札で守ったら,引き分けです.引き分けを認めないなら,この場合,守り手の負けとします.

負けた人は,“ドゥラーク”とよばれます.ロシア語でアホ,バカ,まぬけの意味のありがたくない称号です.“イワンのばか”の“ばか”の原語です.パーティーなどで遊ぶ場合,ドゥラークになった人は,お酒を一杯飲む,帽子をかぶるなどします.

切札でない 6 が 1 枚だけ,または 6 が 2 枚以上だけの手札の相手に攻められて負けるのは,特に不名誉な負け方です.

戦術


ドゥラークは珍しいタイプのゲームなので,慣れないと戦い方も分からないと思います.ドゥラークの戦術の記事を参考にしてみてください.

たらい回しドゥラーク


“たらい回し (переводной) ドゥラーク”では,攻め手の最初の攻め札と同じ大きさの手札を守り手が出すと,この守り手が攻め手になり,その左隣りの人が守り手になります.たらい回しを起こしたカードは,はじめの攻め札と共に攻め札になります.新たに守り手になった人も同じようにできるので,守り手が一周して,初めの攻め手が守り手になることもあります.守り手になる人の手札が攻め札より少ない場合,たらい回しはできません.

攻め手が 1 巡するまでは,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡は,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡で認める場合,最後の守り手を越えるなら,反時計回りに回す人もいます.

切札は,出さずに見せるだけで,たらい回しできるとする人がいます.ただし,たらい回しが 1 週したあとは,切札でも出さなければならないとするのが普通です.

単純なドゥラーク


“単純な (простой) ドゥラーク”は,すべてのバリエーションの元になった古いルールです.飛び入りがありません.攻め手は,好きな手札を 1 枚,または同じ大きさの手札 2 枚を攻め札にできます.守り手の手札の枚数より多い攻め札は出せません.

守備が失敗したとき,守られた攻め札と守り札は,守り手が取らないで,片付けるとする人がいます.攻め札の出し方のバリエーションも参照してください.

バリエーション


ロシア語版 Wikipedia や,その多くのバリエーションの元ネタである www.durbetsel.ru の“Правила игры в дурака” (ドゥラークのルール) に書かれているものだけで 40 を超えるバリエーションがあります.また,アルメニア式と 2 度目のチャンスとポーカーのようにバリエーションを組み合わせることもあります.この記事では,pagat.comによれば“まれ”で,ロシア語のルール記述では全く言及されないことが多い 52 枚のトランプを使うバリエーション,パーティーゲーム的なもの,ルール記述が理解できなかったものを除いて紹介します.

競技ルール


  • ロシア選手権のルール.人数は 2 人,トランプは,普通のドゥラークと異なり 6 を抜いた 32 枚,あとバックギャモンのダブリングキューブを 1 つ使います.カードをシャッフルし配るのは,プレーヤーでなく,専門のディーラーです.プロを含めたロシア頂上決戦では,会場のカジノ“コスモス”がディーラーを務めました.15 点を先に取った人の勝ちです.第 1 局の先攻は,トランプを 1 枚ずつ引いて決め,以後は互先です.カード勝負のルールは,飛び入りドゥラークですが,普通と異なり,引き分けは認めません.相手を負けまたは下りに追い込むと 1 点です.ダブリングキューブを持つ人は,相手にダブリングキューブを渡し,ゲームの点を 2 倍にしてゲームを続けるか,下りるか選ばせることができます.手の始めは,2 人どちらも,ダブリングキューブを使えます.なお,このルールの参考情報は,コメルサントの記事“Гроссмейстеры подкидного дурака (飛び入りドゥラークのグランドマスターたち)”(www.kommersant.ru/doc/21092),www.marriage.ruのロシア頂上対決の記事“Русский дурак в "Космосе" (カジノ“コスモス”でのロシア・ドゥラーク)”(www.marriage.ru/durak/),および 1997 年 12 月 14 日版モスコフスキー・コムソモリェツ紙の記事“Как карпов своего подопечного сдал(カルポフが弟子から離れたら)”(http://holio.ru/99/160)です.

グループ戦


  • 2 対 2.2 人のチーム 2 組で遊びます.ペアどうしは向かいあって座ります.個人でなく,チームが負けます.先に上がると,味方が 1 対 2 で戦うことを考える必要があります.
  • ペア戦の変種.2 人のチーム 2 組で遊ぶとき,1 人が上がったら,手の残りは個人戦にします.

カードの強弱


  • 日本式 (ヤポンスキー),あるいは“スペードにはスペードを”.スペードに勝てるのはスペードだけで,切札でも勝てません.また,スペードは切札になれません.切札表示がスペードなら,切札はなしです.スペードの女王をスペード最強のカードにする人がいます.切札表示を使わないで,ダイヤを常に切札にすることもあります.
  • 切札なし.切札なしで遊びます.
  • 自分の切札.ひとりずつ自分専用の印を切札にします.攻め手が自分の切札で攻めても,守り手には,切札としての効果はありません.攻め手が切札で攻めたら,守り手は切札で応じなければならないとする人がいます.
  • 印なし.切札以外の印の違いを区別しません.例えば,切札でない J には,どの Q でも勝てます.
  • ロワイヤル.6 に勝つのは A だけです.切札の A は,どの 6 にも勝てます.その上,同じように,A に勝つのは 6 だけとする人がいます.
  • 隠し切札.切札表示の下か側に 1 枚カードを伏せておきます.このカードが最後の山札で,切札表示はその 1 つ前の山札です.切札表示を取ったときに,このカードを表向きして全員に見せ,手が終わるまで,切札をこのカードの印に変えます.
  • 変わる切札.守り手が守りきったとき,最後に守りで出したカードと切札表示を交換してから,カードを片付けます.切札は,新しい切札表示の印に変わります.

少人数または多人数


  • 飛び入りダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは飛び入りできますが,攻めと守りはできません.
  • プレーするダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは,攻め,飛び入り,守りがすべてできます.
  • ダブル.36 枚のトランプ 2 組を使います.攻め札と印も大きさも同じカードを守りで出すと,飛び入り禁止になるとする人がいます.

手札の変形


  • 取り替え.攻守が終わり,山札があるなら手札を補充したあと,全員が,自分の手札を左隣の人に渡して,時計回りに手札を交換します.
  • 使い切り.手札の補充は,手札を使い切ったときしかできません.
  • マガダン式.6 枚の手札を 1 枚は手に,残り 5 枚は目の前に伏せて配ります.伏せてある手札は使えません.守り札を 1 枚出すたびに,伏せてある手札から好きな 1 枚を手に入れます.手札を補充するときは,手札の枚数に,伏せてある手札も含めます.山札がなくなったら,全員が,伏せた手札をすべて手に入れます.
  • 等差数列.手札を 1 人 1 枚ずつ配ります.最初の手札の補充では,手札が 2 枚になるまで補充します.2 度目は 3 枚,3 度目は 4 枚と,山札がなくなるまで補充の枚数を 1 枚ずつ増やし続けます.
  • ポーカー.手札が 6 枚以下なら,守る前に手札を 2 枚捨て,山札から 2 枚補充できます.
  • ポー ランド式.手札なしで始めます.場の中央にカードを表向きに 1 枚置きます.この印が切札です.残りのカードは山札で,切札を囲むように伏せて広げます.配り手の左隣は,好きな山札を 1 枚取り,表向きにして,切札の上にのせます.その左隣の人から順に時計回りに,山札から好きなカードを 1 枚引き,右隣の人が置いたカードに勝てるならその上にのせて守り,もう 1 枚カードを引いて,左隣の人への攻め札としてその上にのせます.勝てないなら,右隣の人が置いたカードと山から引いたカードの合計 2 枚を手に取り,山をめくって,表向きのカードの山の上に攻め札として表向きにしてのせます.手にカードがあるときは,山札を引けず,守り札も,次の人への 攻め札も手札から出します.山札がなくなったら,守れないときは,一番上のカード 3 枚を取ります.次の人は,カードを取った後に一番上になったカードに対して守り札を出します.
  • 印合わせ.手札なしで始めます.山札の一番上のカードを表向きにして場におきます.最初の人から順に,時計回りに,山札がなくなるまで,次のようにします.山札の先頭のカードを 1 枚めくります.このカードが場のカードのどれか 1 枚と同じ印で強いなら,このカードとその場のカードの合計 2 枚を手に入れ,山札の次のカードをめくって場に置きます.そうでなければ,めくったカードを表向きにして場に置きます.めくったカードが,場の複数のカー ドに勝てるときは,勝てるカードのうち,好きな 1 枚を取ります.山札の最後のカードの印が切札です.また,最後のカードは,場のカードを全部取ります.この後は,飛び入りかたらい回しのルールでゲームを 行います.一番弱い切札を持つ人が,最初の攻め手です.
  • 十字軍.手札なしで始めます.全員にカードを 1 枚ずつ表向きに配ります.一番大きなカードを配られた人から順に,時計回りに,次のようにします.まず,山札から 1 枚カードを引きます.引いたカードをのせられるカードがあれば,その上にのせて,自分の番を終えます.表向きのカードには,大きさが 1 つ上のカードをのせられます.A には,6 をのせられます.のせられるカードが 2 枚以上あるときは,時計回りに見て自分に一番近いカードの上にのせます.どこにものせられなければ,引いたカードを手札に加えて,自分の番を終えます.山札がなくなったら,全員が,自分の目の前にあるカードの山を手札に加えて,ゲームを始めます.切札はダイヤですが,クラブに勝てるのはクラブだけです.“くるくる”のルールで,手札にダイヤの 6 がある人が,最初に手札を出します.
  • 裏返し.手札の背を自分に向け,自分はカードが見えず,相手には見えるように持ちます.守り手が,攻め札を守るカードを出せたら,飛び入りできます.守り か飛び入りで間違ったカードを出したら,出ているすべての攻め札と守り札を手に入れます.カードを取った人の左隣が次の攻め手です.

山札を使う攻守


  • アルメニア式あるいはアルバニア式.手札の代わりに,山札の一番上のカードをめくって攻め札を出せます.
  • 2 度目のチャンス.守りに使える手札がない場合,山札をめくり,それが使えるなら出し,使えないなら手札に加えます.

山札の変形


  • チュクチ式.手札を配り終えたら,切札表示ごと山札を片付けます.
  • 配りきり.人数で割り切れるように,低いカードを適切な枚数取り除いてから,山札を残さずに,すべて手札として配りきります.最後に配るカードは,全員に見せてから,配り手の手に入れます.この印のカードが切札です.
  • リサイクル.山札があるうちは,守備が成功したとき,2 回に 1 度は場に出たカードを片付けないで,山札に戻します.
  • 見えない切札.ゲームに参加しない配り手が,手札を配ったあと,切札表示を表向きにしないで,山札の底のカードを見て,その印を切札として告げます.

飛び入り


  • アメリカ式.誰も飛び入りのカードを出せない場合,守り手が,自分の手札で飛び入りして,それを自分で守れます.
  • ずるい.守れない攻め札を出した人は,守り手の代わりにそのカードを守って,自分の手札を減らし,守り手が取るカードを増やせます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 厚かましい.“ずるい”に,飛び入りを始めるときは,自分で出したカードを自分で守るというルールを付け加えます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 飛び入り禁止.たらい回しのルールで,飛び入りは認めません.攻め札と同じ大きさのカードが手札にあるときは,一緒に出さなければなりません.
  • 雪崩.6 枚でなく,守り手の手札の枚数まで飛び入りできます (playset.ru のブログ記事 дурака до завала に紹介されていました).
  • 大きさでも印でも.同じ大きさだけでなく,同じ印のカードでも飛び入りできます.

たらい回し


  • 待った.残り 2 人で,攻め手が最後の 1 枚の手札を出したとき,その相手は,攻め手に手札がないにもかかわらず,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 1.飛び入りのときも,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 2.たらい回しされた人は,たらい回しを起こしたカードだけ守ればよいとします.
  • バルチック.守り手は,攻め札を守るとき,守り札と同じ大きさの手札が別にあれば,一緒に出せます.こうすると,攻め手と守り手が入れ替わり,もとの攻め手は,守り手が一緒に出したカードをすべて守らなければなりません.

攻守のルール


  • くるくる.全員の手札の枚数ができるだけ同じになるように,カードを配り切ります.山札はありません.最後のカードは,全員に見せてから,配り手の手札に入れます.このカードの印が切札です.配り手の左隣から順に,時計回りに,場の一番上のカードに勝つ手札を 1 枚その上に出すか,場の一番下のカードを 1 枚取って手札に加えます.場にカードが 1 枚もないときは,好きな手札を出せます.ゲームに残っている人数と同じ枚数のカードが場に出たら,場のカードを片付け,最後にカードを出した人が,次にカードを出します.場のカードが取られてなくなったら,最後にカードを取った人の左隣が,次にカードを出します.ダイヤの9を,次の2つの特別な働きがあるカードにする人がいます.ダイヤの9が手札にある人が最初に手札を出します.他のカードの上にダイヤの9を出したら,出ている枚数に関係なく,場のカードを片付けて,次に手札を出せます.
  • 中国式.切札表示はなく,スペードが常に切札です.ただし,クラブにはクラブしか勝てません.攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きで出します.攻め手の左隣から順に,時計回りに,一番上の表向きのカードに勝つ手札を 1 枚表向きで出します.出した手札は,新しい一番上のカードになります.表向きのカードが 5 枚になったら,片付けます.この場合,最後に手札を出した人が,次の攻め手です.手札が出せないか,出したくないなら,表向きのカードの一番下を手札に入れ,他を片付けます.この場合,カードを取った人の左隣が,次の攻め手です.山札を残さないで,すべてのカードを手札として配りきる人もいます.10 は K に勝ち A に負けるとする人もいます.表向きのカードの枚数が,ゲームに残っている人数と同じになったら,片付ける人もいます.
  • 山積み.1 枚ずつ 3 枚の手札を配り,次のカードを切札表示として表向きにし,その上に山札をのせます.攻め手が攻め札を 1 枚出し,その左隣が守ります.守れた攻め札と守り札は,片付けないで,場においておきます.守り札を出せたら,次の攻め手になります.守れないか,守りたくなければ,場にあるカードをすべて取ります.この場合次の攻め手は,カードを取った人の左隣です.山札があるうちは,攻守が済むたびに,手札が 2 枚以下の人は,手札が 3 枚になるまで補充します.守れなかった攻め札が切札なら最後の 5 枚,そうでなければ最後の 3 枚を取るとする人もいます.
  • チュホンスキー.カードをすべて,なるべく同じ枚数になるように,手札として配りきります.最初の攻め手は,1手目は配り手の左隣,2手目は,配り手の左隣か右隣かどちらか決めておきます.ぐるぐるか中国式のように,順番に大きいカードを出します.枚数の制限はありません.Aが出たら,出されたカードをすべて片付けます.このとき,次に手札を出すのは,Aを出した人です.出せるカードがないか,出したくない人は,一番上のカードを1枚取り,残りのカードを片付けます.このとき,次にカードを出すのは,カードを取った人の左隣です.

単純なドゥラークの攻め札


  • ペア.手札は 5 枚です.手札の補充でも,手札を 5 枚に戻します.1 枚,大きさが同じカード 2 枚と他の 1 枚,あるいはペア 2 組と他の 1 枚を攻め札として出せます.
  • グループ.基本のルールはペアで,3 枚組と 4 枚組も攻め札にできます.3 枚組には他の 1 枚を付けられません.

その他


  • お人好し.守り手が失敗しても,順番を飛ばさずに,次の攻め手になれます.
  • 弱虫.飛び入りでない攻めには,最強の手札しか出せません.
  • 点数制.守ったカード数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れたカード数を数えます.
  • 絵札.10 以上の攻め札を守った枚数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れた枚数を数えます.
  • 肩章.攻め札と飛び入りで,同じ大きさのカード2枚を同時に出した回数が一番少ない人を敗者とします.
  • ダウト.守りのカードは伏せて出します.このカードが守れていないと疑う人は,“うそ!”,“ダウト”などといい,カードを表向きにします.守れていたら,ダウトした人が,出されたカードをすべて取ります.守れていなかったら,守り手が,出されたカードをすべて取ります.

    2013年8月5日月曜日

    フランスのタロット

    タロットは,ヨーロッパ大陸では普通の遊び道具です.イギリスに伝わらなかったために,英米では占い専用の道具だと思われています.フランスでは,ブロートについで人気のあるトランプゲームがタロット(フランス語読みだと“タロ(ー),tarot”)です.

    人数とカード


    4 人.3 人,5 人でも可能.4 つの印は,王 (R),妃 (D),騎士 (C),召使 (V),10~1 の 14枚,切札は 21~1 の 21 枚,エクスキューズ (★) 1 枚の計 78 枚.

    カードの強さと点数


    4 つの印は,強い順に,R,D,C,V,10,9,…,2,1 です.1 は一番弱いカードです.切札は,強い順に 21,20,…,2,1 です.エクスキューズはいつも負けます.

    カードの点は,普通のカード 1 枚との 2 枚組単位で数えます.切札の 21,1 とエクスキューズの 3 枚は,ブー (bouts) またはウドレール (oudlers) と呼ばれ,1 組 5 点,R も 5 点,D は 4 点,C は 3 点,V は 2 点,それ以外のカードは普通のカードで,1 点です.ブーと R は,1 枚 4.5 点,D は 3.5 点,C は 2.5 点,V は 1.5 点,普通のカードは 0.5 点と考えてもいいです.

    カードを配る


    最初にカードを配る人は,好きな方法で決め,あとは反時計回りに交代します.ゲームを始める前に 1 度だけシャッフルするほかは,シャッフルしません.カードを配る人は,左隣の人にカードをカットしてもらってから,右隣の人から反時計回りに,ひとり 18 枚の手札を 3 枚ずつ配ります.また,6 枚の山札, フランス語では“犬”を意味する“ル・シアン (le chien)”を場に伏せて置きます.山札は,最初と最後に配らず,2 枚続けて配らなければ,いつ配っても構いません.3 人のときは手札 24 枚山札 6 枚,5 人のときは手札 15 枚山札 3 枚にします.

    手札を配り終わったら,手札に切札が 1 (プチ) しかなく,エクスキューズもない人は,そのことを言わなければなりません.そうしたら,配り手を交代して,手を配り直します.この場合に,配り直しにしないで,プチもエクスキューズのように扱ってカード勝負を行う人もいます.手札に切札が 1 枚もないときと,絵札と切札の合計が一定の枚数以下の場合も,同じように配り直しにする人が多いです.

    せり


    カードを配り終えたら,配り手の右隣から,反時計回りにせりを行います.せりでは,その手で最後に言われたものより上の目標を言うか,パスします.パスしたら,その手のせりには戻れません.全員がパスしたら,配り手を変えて配り直します.せりで言える目標は,公式ルールでは,下から順に次のとおりです.
    • プリーズ (prise).山札交換を行う.
    • ギャルド (garde).プリーズと同じ.得失点は倍.
    • ギャルド・サン(・ル・シアン) (garde sans [le chien]).山札を交換しない.山札の点は自分のもの.得失点は 4 倍.
    • ギャルド・コントル(・ル・シアン) (garde contre [le chien]).山札を交換しない.山札の点は相手のもの.得失点は 6 倍.8 倍にする人もいます.

    競技会以外では,プリーズとギャルドの代わりに次の 2 つを使う人もいます.
    • プチット (petite).プリーズと同じ.
    • プス (pousse).プチットと内容も得失点も同じだが,プチットより上.

    せりに最後までパスしないで残った人が親となります.他の全員は,子となり,協力して,親の目標を阻むことを目指します.

    5 人のときは,親は,山札交換の前に,4 枚の R のうちの 1 枚を指名します.この R を持つ人は,親のパートナーになります.親の手札に R が 4 枚あるときは,D を指名します.R も D も 4 枚ずつあるときは,C を指名します.R,D,C が全部 4 枚あるときは,パートナーなしに 1 人で親を務めなければなりません.

    山札交換


    プリーズ (プチット),プス,ギャルドの場合,親は,山札を表にして全員に公開してから,手札に加え,同じ枚数の手札を伏せて捨てます.R と切札は捨てられません.他に捨てられるカードがなければ,ブー以外の切札を捨てられます.切札を捨てた場合,捨てた切札を他の人に見せなければなりません.捨てたカードの点は,親のものになります.

    全勝を目指す“シュレム (chelem)”の宣言は,山札交換後,カード勝負が始まるまでの間に行います.せりと一緒にシュレムを宣言しても構いません.

    カード勝負


    18 枚の手札で 18 回のカード勝負を行います.配り手の右隣,シュレム宣言があった場合,シュレム宣言した人が,最初の先手です.その後は,直前のカード勝負に勝った人が先手です.先手は,好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.その後,先手の右隣の人から,順番に反時計回りに 1 枚手札を表向きにして場に出します.このとき,先手がスペードならスペード,クラブならクラブ,ダイヤならダイヤ,ハートならハート,切札なら切札があれば出さなければなりません.合う種類がなく切札があるときは切札を出さなければなりません.それもないときは,好きな手札を出します.切札を出すときは,場に出ているカードに勝てる切札を持っていたら,出さなければなりません.全員が 1 枚ずつ手札を出したら 1 回のカード勝負は終わります.一番強い切札,切札が出なかったときは,先手と同じ印で一番強いカードを出した人が勝ちです.勝った人 (側) は,カード勝負に出されたカードとカードの点を得ます.

    エクスキューズは,このルールを無視して,いつでも出せます.エクスキューズはカード勝負にかならず負けますが,勝った人が取るのでなく,出した人 (側) の取札になります.カード勝負に勝ったのにエクスキューズを取れなかった人 (側) は,相手の取札から普通のカードを 1 枚もらえます.相手の取札に普通のカードがなければ,後からもらいます.先手がエクスキューズのときは,右隣の人は何を出してもよく,その印が,そのカード勝負の印になります.18 回目のカード勝負にエクスキューズが出たときは特別で,エクスキューズは,出した人の相手側のものになります.ただし,直前の 17 回すべてに勝った人 (側) がエクスキューズを出したときは,例外的に,エクスキューズは出した人のものになります.

    1 回目のカード勝負に手札を出すときに,手札に切札が 10 枚以上,13 枚以上,または 15 枚以上ある人は,それぞれシングル,ダブル,トリプルのポワニェ (poignée) を宣言できます.点数は,シングルが 20 点,ダブルが 40 点,トリプルが 60 点です.ポワニェは,常に勝った側の点になるので,自分側が勝てないと考えるときは,宣言しないほうが得です.3 人のときは,13 枚以上で 20 点,15 枚以上で 40 点,18 枚以上で 60 点です.5 人のときは,8 枚以上で 20 点,10 枚以上で 40 点,13 枚以上で 60 点です.

    1 回目のカード勝負に手札を出すときに,手札に切札も絵札もない人が,“ミゼール”を宣言することを認める人がいます.ミゼールの点は 10 点です.

    得点計算


    親の取札の点が目標点以上なら,親は,他の人ひとりずつから,次の点をもらえます.目標点に達しなかったら,親は,他の人ひとりずつに,次の点を払います.目標点は,親がブーを何枚取ったで変わり,ブー 3 枚なら 36 点,2 枚なら 41 点,1 枚なら 51 点,0 枚なら 56 点です.

    点は,“(25 点 + 目標点と親の取札の点の差の絶対値 + 最後のプチの点)×せりの倍 + ポワニェのボーナス + シュレムのボーナス”です.

    18 回目に切札の 1 (プチ) が出た場合を,Petit au bout (最後のプチ) といいます.全勝した人が 18 回目にエクスキューズ,17 回目にプチを出したときも,最後のプチと認められます.最後のプチに勝った側が点数をもらう側のときはプラス 10 点,点数を払う側のときはマイナス 10 点です.

    シュレムを宣言して全勝すると 400 点,失敗すると 200 点です.宣言なしのシュレムは 200 点です.15 勝することを意味するプチ・シュレムを認める人もいます.宣言に成功して 300 点,失敗して 150 点,宣言なしだと 150 点です.

    せりの目安


    手札を次のように採点します.
    • 切札の 21 は 10 点.エクスキューズ 8 点.切札の 1 は 切札が 1~3 枚のときは 0 点,4 枚なら 5 点,5 枚なら 7 点,6 枚以上なら 9 点.
    • ブーを含む切札 が 4 枚以上あるなら,切札 1 枚につき 2 点.切札の 16~21 1 枚につき 2 点.切札の 16~21 が連続していたら,1 枚につき 1 点.
    • 同じ印の王と妃は 10 点.妃なしの王は 6 点.王なしの妃は 3 点.騎士は 2 点,召使は 1 点.
    • 同じ印のカード 5 枚は 5 点,6 枚は 7 点,7 枚以上は 9 点.
    • ギャルド・サンかギャルド・コントルなら,ある印が手になければ 6 点,ある印のカードが 1 枚しかなければ 3 点.

    39 点以下ならパス,40 点以上 55 点以下ならプリーズ,56 点以上 70 点以下ならギャルド,71 点以上 80 点以下ならギャルド・サン,81 点以上ならギャルド・コントルをせりで言ってもよいでしょう.

    2013年8月3日土曜日

    闘地主

    中国大陸で盛んなゲームです.オンラインゲームでも,人気があります.

    必要な人と物


    3 人で遊びます.トランプは,英米風の 52 枚組と色の違うジョーカー 2 枚の 54 枚です.ジョーカー 2 枚は色などで違いが分かるようにします.他のカードは,大きさだけを区別し,印は区別しません.

    カードを配る


    カードを伏せて,全員でかき混ぜ,ひとり 17 枚の手札を,1〜数枚ずつ,反時計回りに取ります.最初にカードを取る人の決め方と,カードの取り方は,事前に決めておきます.残り 3 枚は伏せてテーブルに置いておきます.

    せり


    手札を見て,反時計回りに,順番に,“1点”,“2点”,
    “3点”,“パス”のどれかをいいます.せりを始める人の決め方は,事前に決めて置きます.例えば,直前の地主が,カードを混ぜた後に 1 枚のカードを表向きにして見せてから戻し,このカードを手にした人からはじめます.点数は,すでに言われているものより大きいものでないと言えません.一番大きい点数を言った人が“地主”です.

    3 人ともパスした場合,カードを配りなおします.

    地主は,テーブルに伏せてあった 3 枚のカードを他の 2 人に見せてから,自分の手に加えます.

    カード勝負


    地主が,最初のカードを出します.2 人が連続してパスするまで,反時計回りに,最後に出されたカードに勝てるカードを出すか,または,パスします. その後は,2 人を連続してパスさせた人が,手札から好きなカードを出し,また,2 人が連続してパスするまで順番にカードを出します.誰かが手札をすべて出したら上がりで,その手は終わりです.

    手札から出せるカードの組み合わせは,次のとおりです.カードの組み合わせの説明には,次の文字を使います.違う文字に,同じ数字のカードは使えません.

    • a, b, c, ...: 何でもよい.強さの順は,上から下に,2,A,K,…,3.
    • p, q, r, ...: 大きさが連続するカード.2 とジョーカーは使えない.印は違ってもよい.例えば,Q-K-A,3-4-5-6-7.最上位のカードを比較する.強さの順は,上から下に,A,K,…,3.
    • i, j, k, l, …: 3 枚組か 4 枚組に付くカード.a, b, c…,p, q, r…と違うカードなら何でもよく,強弱の比較対象にならない.

    ジョーカーのペアの“ロケット”と同じ数字 4 枚の“爆弾”は,最初に出された組み合わせの種類と枚数に関係なく,いつでも出せます.それ以外の組み合わせは,最初に出されたカードと枚数及び組み合わせの種類が同じでなければ出せません.

    • ロケット 赤ジョーカー(大王)と黒ジョーカー(小王)のペア:あらゆるカードに勝てます.
    • 爆弾 aaaa:4 枚組.ロケット及びより大きい爆弾以外のあらゆるカードに勝てます.
    • 単張 a:1 枚.強い順に,大王(赤ジョーカー),小王(黒ジョーカー),2,A,K,…3.
    • 一対 aa:2 枚組.3-3 など.
    • 三不帯 aaa:何も付かない 3 枚組.5-5-5 など.
    • 三帯一 aaai:1 枚を付けた 3 枚組.組の強さだけを比較します.6-6-6 9 など.
    • 三帯二 aaaii:2 枚組を付けた 3 枚組.3 枚組の強さだけを比較します.2 枚組がジョーカーでも,ロケットにはなりません.7-7-7 4-4 など.
    • 単順 pqrst...:5 枚以上の続き.10-J-Q-K-A,3-4-5-6-7-8 など.
    • 双順 ppqqrr...:2 枚組の 3 組以上の続き.Q-Q-K-K-A-A,6-6-7-7-8-8-9-9 など.
    • 翼なし飛行機 (飛機不帯翼) pppqqq...:3 枚組の 2 組以上の続き.K-K-K-A-A-A,7-7-7-8-8-8-9-9-9 など.
    • 小さい翼の飛行機 (飛機帯小翼) pppqqq... ij...:1 枚付き 3 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくて構いません.7-7-7 8-8-8 3 Joker など.
    • 大きい翼の飛行機 (飛機帯大翼) pppqqq... iijj...:2 枚組付き 3 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくて構いません.3-3-3 4-4-4 8-8 10-10 など.2 枚組がジョーカーでも,ロケットにはなりません.
    • 四帯二 aaaaij:2 枚を付けた 4 枚組.2 枚に 2 枚組を認める人もいます (aaaaii).爆弾にはなりません.
    • 四帯二 aaaaiijj:2 枚組 2 組を付けた 4 枚組.爆弾にはなりません.2 枚組がジョーカーでも,ロケットにはなりません.

    4枚組 2組以上の続き“空飛ぶ飛行機 (航天飛機)”も,認められますが,手札にあることはまれです.爆弾にも,ロケットにもなりません.翼なし,小さい翼,大きい翼を付けられます.

    • ppppqqqq...:4 枚組の 2 組以上の 続き.
    • ppppqqqq... ijkl...:2 枚付き4 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくて構いません.
    • ppppqqqq... iijjkkll...:2 枚組 2 組付き 4 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくてかまいません.

     

    手の終了と点数計算


    誰かが上がったら,地主が宣言した点に基づき,点数を受け渡します.地主が上がったときは,地主以外の 2 人は,それぞれ,宣言点を地主に渡します.地主以外が上がったときは,地主は,他の 2 人に,それぞれ宣言点を渡します.

    この点には,次の倍のうち当てはまるものをすべてかけます.
    • ロケットか爆弾が出された回数だけ,点を 2 倍します.例えば,1 回なら 2 倍,2 回なら 4 倍,3 回なら 8 倍です.
    • 地主が上がり,他の 2 人が 1 枚も出せなかったときは,点を 2 倍にします.
    • 地主以外が上がり,地主は最初の 1 度しかカードを出せなかったときは,点を 2 倍にします.

    2013年8月2日金曜日

    Rules of Russian Preferans (3) Classical

    This is according to "Preferans: Rules and Variations (Преферанс: правила и разновидности)" supposedly  approved by General Meeting of Preferansists, Moscow State University in 1971, when the document itself recognised that Sochi was the most popular variant but it gave almost complete description of the classical preferans.

    Seating


    Who draws the highest card and is seated last shuffles the pack again and deal cards to each players, one at a time face up, starting from his/her neighbour to his/her left and clockwise. A player who gets the first ace becomes the first dealer, and final lap ends when deal would move to him/her.

    Structure of a game


    A game consists of two halves. The first half is "rogue" (razboynik), or compulsory hands and the second free. Two laps of all-pass hands are played in the half-time. At the end of the first half, a player with the largest points on his/her hill has the right to determine the stakes, size of the pool, and duration of the second half. The other players can advise him/her, but cannot dictate what he/she says. The stakes is expressed in amounts of money paid for a whist point. The pool cannot be larger than the smallest hill at the end of the first half. The time limit specifies when the final lap starts.

    Dealer


    Dealer moves after each hand except all-pass in the second half, when dealer stays up to three all-pass in a row, then it moves even in case of all-pass. Some let the staying dealer of three all-pass write up to ten points on his/her hill to offset his/her advantage during these hands.

    Auction


    There is an auction for the soloist in the second half of a game, and nominal one during the half-time where everyone passes. Either the eldest or second hand is designated as the soloist without bidding in the first half.

    Misere is outbid by "nine in one (spades) hand." A hand bid is a bid to play a hand without using the widow. An outbid caller of misere can respond by calling "misere hand." Only "ten in one (spades) hand" can outbid "misere hand."

    A player can bid blindly, that is, without looking at cards dealt, so long as no one has made a seeing bid in the same auction. For a seeing bit to outbid a blind one, it has to have larger number of tricks and an equal or higher suit. A bidder of a blind bid can remain in an auction after he/she is outbid by a seeing call, when he/she looks at his/her hand.

    A player can also pass blindly if no one has bid seeing or blindly in the same auction. Minimum bid changes after a blind pass according to number of blind all-pass dealt by the same dealer immediately before the current hand. It is blind "one" (spades) or seeing "seven in one" (seven spades) if there were none, blind seven or seeing eight if one, and blind eight or seeing nine if two.

    Soloist's declaration


    If the soloist wins the auction with a "hand" bid, he/she does not exchange the widow with cards in his/her hand.

    The soloist can refuse to take the widow after looking at them, leaving them face up on the table.

    Misere can be named if the soloist wins the auction by a blind bid even if it is not misere. Some allow misere to be played even when the soloist called other bids, although this is very unusual.

    In the first half of the game, by prior agreement by players, the eldest hand or the second hand is designated to be the soloist. He/she should name a game from his/her own list of games, each one only once, until there are none left. The games are six trick once, seven trick once, eight trick once, nine trick once, ten trick once, and misere once. Number of tricks is said before the widow is revealed, and a trump suit after discard.

    The soloist can invite the dealer to share profit or losses equally in high risk hands like misere.

    Partners' declarations


    There are no requirements for games at ten tricks, that are played just like misere.

    There is not "half- whist," but two passes are treated as if "pass"-"half-whist"-"pass" if the game is at six or seven tricks.

    Players are always required to whist against a game of "one" (six spades), and games up to and including the same suit and one larger number of tricks than bid if a blind bid wins the auction.

    In the first half of the game, by prior agreement by players, the first partner is required to whist and the second pass, or the both partners required to whist.

    Play of cards


    If the soloist is not the eldest hand and if the game is misere, at ten tricks, or open, the two partners lay their cards down face up, arranged in suits, before the opening lead. If the soloist is the eldest hand, this is done after the opening lead in case of misere and games at ten tricks, and before the game starts in the other open games.

    All-pass is played with the widow.

    Score-keeping


    The game point is two if the game is at six tricks, four at seven, six at eight, eight at nine, and ten at ten or misere.

    The points are doubled if the soloist has a simple bomb, quadrupled if he/she has a double bomb, and eight times higher if he/she has a tree. It is doubled again if the soloist won the auction by a blind bid. If he/she has more than one bombs, the oldest one is used. The used bomb disappears if the soloist was successful and remains if he/she failed.

    The soloist writes a half of the game point in his/her pool and writes the same off from his/her hill if he/she played the hand successfully. He/she can choose to write the whole in the pool and leave the hill untouched as well.

    If number of games played successfully in the second half exceeds those in the first half or all-pass, the soloist writes a half of the game point on his/her hill as if it were a result of a game in the first half that should have been played to satisfy the rule that number of successful games in the second half shall be within that of the compulsory hands or all-pass.

    The soloist writes the game point for each undertrick on his/her hill, and each of the others including passing player and the sitting dealer write the same amount in his/her whist against the soloist if the game was not misere.

    The whisting player writes the game point for each of his/her tricks. Tricks won by passing player belong to the whister. This was called ordinary whist in 1970's and is known greedy whist now. The  other options were gentlemen's whist and predatory whist. The gentlemen's is different from its moderm namesake. The whisting player alone writes his/her points and the others none even those for undertricks. In the predatory, everyone writes the same amount as the soloist.

    The whisting player writes the game point for each of his/her tricks in short of his/her responsibility if the partners failed.

    The widow is scored in four player games if the two cards contain quick trick(s) or the soloist refuses  to take them. The dealer writes in his/her whists against the soloist one trick for an Ace or a pair of King and Queen of one suit, two tricks for Ace and King of a suit, and three for two Aces. The dealer writes one trick on his/her hill if the soloist refuses to take the cards, leaving them on the table face up.

    When his/her pool is full, the soloist writes remaining point to the largest pool with some room, unless it belong to the whisting player or the sitting dealer. When all pools are full, the soloist writes points of his/her successful game off from the hill, his/her own first, and other player's. When the soloist writes points in other player's pool or off from a hill of other player, he/she writes 10 times the points given in his/her whists against the recipient.

    In all-pass, every player writes one point for each trick taken in his/her hill, and who did not take any one point off from his/her hill. The points are doubled or quadrupled in second or third all-pass of a staying dealer, respectively. They are doubled again when there is at least one blind pass. A player can write points from all-pass only in his own hill, therefore points that could have been written off disappears when his/her hill is empty.

    If three players passed in the auction and at least one of them did so blindly, who called pass blindly writes a bomb in his/her pool and who did not a bomb one degree less than who did (none in case of simple bombs). The dealer, when four plays, gets the same bomb as the others if everyone passes blindly or as one who looked at one's hand otherwise. The type of bomb is a single, a double, or a triple bomb if it was the first, second or third blind all-pass in a row during staying deals of the current dealer, respectively. The sign for a simple bomb is a letter V upside down, a double bomb two of them stacked one upon another, a triple bomb or a tree three bombs stacked one upon another.

    Irregularities


    If the dealer mis-deals, he/she writes one point on his/her hill and deals again.

    If the soloist forgets to discard two cards after taking the widow, he/she writes three undertricks and the hand is not considered as played.

    If a player fails to follow the suit led or play a trump when he/she can, he/she writes three undertricks on the hill and the hand is not considered as played. If this happens in all-pass, the offending player is assumed to have taken ten tricks and the all-pass is considered to be played.

    If a partner gives an advise to the other, he/she writes one point on his/her hill. If the dealer, when four play, gives an advise after looking at face down widow or the hand of one of the partners, he/she writes one point on his/her hill.

    Other irregularities are handled as agreed by players. For example, it is considered an offence by authors of the reference document that the soloist names a game lower than obvious number of tricks in his/her hand, or that a partner gives away tricks to the soloist that are obviously his/her.

    End of a game


    A game ends when the dealer is about to move to the first dealer of the game after the final lap starts, or all pools are filled and the hills become empty, whichever the earlier.

    2013年7月31日水曜日

    ブロートまたはブロットまたはベロート(1)

    ブロート(Belote)は,フランスでは 1920 年代に普及した歴史の浅いゲームであるにも関わらず,同国で一番人気のあるトランプゲームです.古くはBelotteとも綴られたので,“ブロット”とカナ表記することも多いです.オランダでは,非常によく似たゲームが,長らく国民的ゲームとして遊ばれてきました.また,この2カ国とは離れた地域に広く分布し,旧ユーゴ(ベロート),ブルガリア(ブリッジベロート),ギリシャ(ブルロートとヴィーダ),キプロス(ピロータ),アルメニア(ブロトとバザールブロト),サウジアラビア(バルート)などでも人気があります.ウクライナの黒海沿岸でもデベルツという名で遊ばれています.フランス以外は,オスマントルコ領だったことがあるという共通点がありますが,これらの国に囲まれたトルコでは,ブロートが盛んだという記録を見たことがありません.

    (2013.8.14) 発祥が比較的新しい1910~20年代と考えられているのに,言語が互いに通じない国に,記録もなく国際的に普及した不思議なゲームなので,分布の不思議さについて書き加えたくなりました.
    (2013.8.15) カードの出し方のルールがわかりづらいと感じたので,書き方を変えました.
    (2013.8.16) 目標点がいろいろあることを分かるようにしました.
    (2013.8.17) カポと同点の扱いに関するバリエーションを追記しました.
    (2013.8.18) ブロートと同点が同時にあった場合の扱いを明記しました.
    (2013.8.21) コアンシュのルールを詳しくするとともに,全体の構成を見直しました.
    (2013.8.24) カードを決してシャッフルしないことを強調しました.切札なしの場合の手役の扱いを追記しました.
    (2013.8.29) “すべて切札(トゥ・タトゥー,tout atout)”のルールの誤りを修正しました.
    (2013.9.3) コアンシュの切札なしとすべて切札のカード点計算を修正しました.
    (2013.9.19) カードをシャッフルする場合について追記しました.
    (2013.9.20) 表題に複数のゲーム名を挙げているので,少し,その背景を書き加えてみました.
    (2013.9.21) 切札なしと手役を認める場合,9の4枚組を手役と認める人もいることを書き加えました.

    人数とカード


    2人のチーム2組の4人.チームは向かい合って座る.印ごとに,1(A),R(K),D(Q),V(J),10,9,8,7の8枚がある32枚のカード.

    ゲームの目標


    目標点を超えること.目標点は,1000点,500点などがよく使われます.

    カードの強弱と点数


    カードの強弱と点数は,切札と切札以外で違います.切札以外のカードは,強い順に,A,10,R(K),D(Q),V(J),9,8,7 で,点数は,Aが 11点,10が10 点,R(K)が4点,D(Q)が3点,V(J)が2点,それ以外が0点です.切札は,強い順に,V(J),9,A,10,R(K),D(Q),8,7 で,点数は,V(J)が20点,9が14点,他は切札以外と同じです.

    配り手を決める


    1人1枚ずつカードを引いて一番小さいカードを引いた人が,最初にカードを配ります.このときのカードの順序が強弱順か手役順かは,事前に決めてください.そのあとは,前の手でカードを配った人の右隣の人が配ります.

    カードを配る(1)


    最初にカードを配るときは,配り手が,シャッフルなどで,カードをよく混ぜます.普通は,このとき以外は,カードを混ぜないで,2組のチームが取ったカードの山を重ね合わせるだけです.切札を決めるときの判断には,配られるカードが直前の手のカード勝負で出されたように並んでいることを活用して構いません.

    4手連続で誰も切札を指名しなかったときは,カードをシャッフルすることがあります.

    配り手は,カードの山を左隣の人に渡します.左隣の人は,カードの山を2つに分けます.配り手は,2つの山を,分ける前と上下が逆さになるように重ねて1つに戻します.

    配り手は,自分の右隣の人から順番に,反時計回りに,3枚ずつ,ついで,2枚ずつ伏せて配ります.その次のカードを表向きにして場に置きます.

     

    切札を決める


    全員が,5枚の手札を手に取り,配り手の右隣の人から順に,反時計回りに,表向きのカードの印を切札にするかパスするか言います.4人全員がパスしたら,2周目は,表向きのカードの印以外で切札にしたい印を言うかパスします.2周目も全員がパスしたら,カードを集め,配り手を交代して,配りなおします.誰かが切札を決めたら,後の人の発言を待たずに,残りの手札を配ります.

    2周目に切札の種類として,4つの印の他に,“切札なし (サン・ザトゥー,sans atout)”,“すべて切札 (トゥ・タトゥー,tout atout)”を認めることがあります.

    2周目に誰も切札を選ばなかったら,配り手が切札を選ばなければならないとすることがあります.これを“ヴァシュ(la vache)”といいます.

    カードを配る(2)


    切札を決めた人は,表向きのカードを自分の手札に加えます.配り手は,自分の右隣の人から順番に,反時計回りに,切札を決めた人には2枚,他の人には3枚のカードを1度に配ります.

    主なバリエーションの中には,コアンシュ(coinche)のように,切札をせりで決めるものがあります.この記事の末尾をみてください.

    カード勝負


    8枚の手札で8回のカード勝負を行います.1回目のカード勝負は,配り手の右隣,残りの 7回は,直前のカード勝負に勝った人が先手です.先手は,好きな手札を1枚表向きにして,場に出します.残りの3人は,先手の右隣から順に,反時計回りに,次のルールに従って,手札を1枚場に出します.
    • 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
    • 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているなら,切札があれば出す.
    • 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
    • 切札を出す義務がある場合,勝っているカードに勝つ切札があれば出す.
    4人が1枚ずつ手札を出したら,1回のカード勝負は終わりです.切札が出た場合,最強の切札,そうでなければ,先手の印で最強のカードを出した人が,カード勝負に勝ちます.カード勝負に勝った人は,4枚のカードを取り,裏返して,自分と味方が取ったカードの山の上にのせます.

    すべて切札では,切札は他の印に負けないので,カードの強弱が切札順になり,勝っているカードに勝つカードを出す義務があることを除けば,“切札なし”と同じで,先手の印で一番強いカードが勝ちます.

    先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているとき,それに勝つ切札がないなら,切札に限らず好きなカードを出してよいとすることがあります.

    ブロート(belote)・ルブロート(rebelote)


    切札のR(K)とD(Q)が手札にあるとき,1枚目を出すときブロート,2枚目を出すときルブロートということで,20点をもらえます.ルブロートは言わなくてもよいとする人と,ブロート,ルブロートのどちらか一方でも言い忘れると,この点はもらえないとする人がいます.

    “切札なし”にはブロート・ルブロートはなく,“すべて切札”では,最大4組のブロート・ルブロートがあります.

    ブロート・ルブロートでは,先にR(K)を出さなければならないとすることがあります.

    手役 (アノンス,annonces)


    手役は,認める人と認めない人がいます.1回目のカード勝負に手札を出すとき,あるいは,8枚の手札を手にしたら,手札にあり得点したい組み合わせの種類をすべていいます.続きは,強さと違い,A,R(K),D(Q),V(J),10,9,8,7の順で続いているかをみます.同じカードは,2つ以上の手役に使えません.
    • V(J)の4枚組: 200点
    • 9の4枚組: 150点
    • A,10,R(K),D(Q)の4枚組: 100点
    • 同じ印の5枚以上の続き: 100点
    • 同じ印の4枚続き: 50点
    • 同じ印の3枚続き: 20点V(J) の 4 枚組: 200 点

    最強の手役を持つチームは,申告して公開した手役の点をもらえます.手役の公開は,2回目のカード勝負の前,あるいは手役を申告するとき直ちに行います.役の強弱は,次のように判定します.得点の多い役が強く,100点どうしは,4枚組の方が強く,同じ役どうしは,一番上のカードが上の方が強く,一番上のカードが同じときは,切札が強いです.同じ役で一番上のカードが同じで,どちらも切札でないときは,両チームの手役とも無効です.役の上下を比べるときのカードの上下は,続き役には続き用の順序,4枚組には切札の強弱順を使います.

    切札なしのときは,Aの4枚組を200点,10の4枚組を150点,R(K),D(Q),V(J)の4枚組を100点にし,9の4枚組は100点役と認める人も認めない人もいます.

    点数計算


    両チームが,カード勝負で取ったカードの点数の合計を計算します.このとき,取ったカードの順番を変えないようにします.手の最後の8回目のカード勝負に勝ったチームは,それに10点を加えます.8回全勝したチームは,10点の代わりに100点を加えます.

    どの点をどのチームが得るかは,切札を選んだチームが成功したか,失敗したか,同点かによって変わります.切札を選んだチームの成功・失敗・同点の判定には,カードの点数だけを使う,カードの点数とブロート・ルブロートの点を使う,カードの点数とブロート・ルブロートの点と手役の点を使うという3つの流儀があるので,事前にどれにするか決めてください.

    切札を選んだチームの点数が,そうでないチームより多いときは,切札を選んだチームの成功(勝ち)で,両チームとも,それぞれ得た点を記録します.切札を選んだチームの点が,そうでないチームより少ないときは,切札を選んだチームの失敗(負け)で,切札を選んだチームの点は,ブロート・ルブロートを除いて相手の点になります.同点のときは,切札を選ばなかったチームは,直ちに点を記録しますが,切札を選んだチームの点は,次の手の勝者に持ち越されます.このときも,ブロート・ルブロートの20点は例外で,切札を選んだチームでも直ちに記録できます.

    同点の扱いは複雑なので,例を示します.判定にブロート・ルブロートの点を含めるとして,Aチームが切札を選んで,カードで71点,ブロート・ルブロートで20点の計91点,Bチームがカードで91点を得たとすると,同点です.この手では,Aチームは,ブロート・ルブロートの20点を記録し,残りの71点は次の手に持ち越します.Bチームは,この手で91点を記録します.

    切札なしの場合,最後の10点を含むカード点が130点しかないので,カード点を2倍にすることがあります.すべて切札の点も2倍にすることがあります.

    カード勝負に1勝もできなかったら,手役の点を,全勝した相手に渡すことがあります.

    ブロート・ルブロートの20点を宣言したチームに保障しないで,同点のときの持ち越し,失敗のときの明け渡しの対象にすることがあります.

    点数の記録と勝敗


    電子的な手段を使わないときは,手ごとに点数を10点単位に丸めて記録することが多いです.10点単位に丸める場合,五捨六入します.五捨六入だと,末尾が6のとき合計点が170になるのを嫌うなら,五捨七入し,6は点の高いチームを切り上げ,低いチームを切り下げます.

    紙を使う場合,誰か1人が点数の記録を担当します.スコアシートは,自分のチームと相手のチームの2つの欄に分けます.縦線で2つのチームを分け,左側に自分たちのチーム名(フランス語だとnousのNを使うことが多い),右側に相手チームの名前(同じくeuxのE)を書いて,その下に累計点を書き加えていきます.

    チップを使う場合,10,50,100点用のチップを使います.500点のチップも使うと,卓上のチップ数が減らせて,点数が分かりやすくなります.

    先に目標点を超えたチームが,ゲームに勝ちます.両チームが同じ手で目標点を超えた場合,点の多いチームを勝ちとします.同点の場合,1手延長戦を行います.

    カポされた手で得た点での勝ちを認めないことがあります.この場合,1手延長戦を行います.

    サイン(アペル, appels)


    捨て札で,出して欲しい印,出して欲しくない印を相手に伝えることが認められます.事前にパートナーとどのサインを使うか相談します.
    • 長さのサイン(la longue).Aを捨てると,その印に,複数の勝てるカードがあることを示します.
    • 直接サイン(appel direct).ある印の弱いカードを捨てると,その印にAなどの勝てるカードがあることを示します.
    • 間接サイン(appel indirect).ある印のカードを捨てると,同じ色のもう1つの印にAなどの勝てるカードがあることを示します.
    • クロスサイン(appel indirect croisé).間接サインを同じ色の印でなく,ハートとクラブ,スペードとダイヤで出します.
    • 逆サイン(appel négatif).ある印のカードを捨てると,その印を先手で出して欲しくないことを示します.
    • モダンサイン(appel moderne).先手と同じ色の印を捨てると捨てた印がよいことを,違う色だと捨てた印が悪いことを,それぞれ示します.
    • 絵札を捨てたら,その印が悪いことを示します.
    • ブロート.切札の先手に,ブロートでR(K)を出すと,R(K)とD(Q)以外の切札がないことを示し,D(Q)を出すと少なくとも3枚の切り札があることを示します.
    • 切札のA.パートナーの切札のV(J)に対して,切札のAを出すと,切札の9が手にないことを示します.

    次の2つは,サインというより,定石的なカードの出し方という方がよいかもしれません.
    • 切札を選んだ人が,最初の先手で,切札以外のAを出すと,切札のV(J)が手にないことを示します.
    • 切札を選んだ人が,最初の先手で,切札以外の7~9を出すと,V(J)以外の切札がほとんどないことを示します.

    コアンシュ(coinche)


    せりで切札を決めるバリエーションです.コントレ(contrée)とも呼ばれます.手役を認めるものをコアンシュ,認めないものをコントレと区別することもあります.

    8枚の手札を,3枚,2枚,3枚で一度に配り切ります.

    全員が8枚の手札を手にしたら,配り手の右隣の人から順に,反時計回りに目標点数をせり上げます.点数は,80~160点の10点単位の点または最大の目標であるカポです.点数とあわせて,切札の種類をいいますが,切札はせりの比較対象にはなりません.せりに出られないか,せり上げられない人はパスします.パスしても,せりに戻れます.

    相手チームの目標に対して,達成を阻めると考えるなら,“コアンシェ (coinchée)”といえます.コアンシェは,点を倍にします.相手チームに“コアンシェ”を言われたら,“シュール・コアンシェ (コアンシェ返し)”といえます.これは,点を4倍にします.

    3人が続けてパスするか,コアンシェ,シュール・コアンシェ,カポが言われたら,せりは終わります.なお,カポ(ジェネラルも)にも,コアンシェを言えるとする人と,言えないとする人がいます.

    切札なし(サン・ザトゥー),すべて切札(トゥ・タトゥー)のカードの合計点が162点でないのは,不都合なので,次のようにします.
    • 切札なしの場合,Aを19点にするか,点数に162を掛けてから130で割る.
    • すべて切札の場合,Jを14点,9を9点,Aを6点,10を5点,Kを3点,Qを1点にするか,点数に162を掛けてから258で割る.
    卑見に過ぎませんが,1つの印の点の合計が38点になるように,比例配分に比較的に近いカード点を決めた方がよいように感じます.例えば,切札なしは,Aが15点,10が14点,R(K)が4点,D(Q)が3点,V(J)が2点,すべて切札は,V(J)が12点,9が8点,Aが7点,10が6点,R(K)が3点,D(Q)が2点です.

    成功するには,点数が,せり落とした点以上でなければなりません.同時に,相手の点より多くなければならないとする人もしない人もいます.相手の点より多いことを求めない場合(contréeではこれが普通です),80点でせりに勝ったら,80対82でも成功です.

    点数計算の方法は,複数の記述が一致することがないぐらい多様です.ここでは2つの方法を紹介します.

    ひとつは,手に勝ったチームが,ボーナス点だけを記録する方法です.ボーナス点は,せり落とされた点です.カポ宣言は,250点です.コアンシェ,シュール・コアンシェがあったら,ボーナス点をそれぞれ2倍,4倍にします.

    もうひとつは,ブロート風の点数に,手に勝ったチームがボーナス点を足して記録する方法です.コアンシェの倍はボーナス点だけに付きます.この場合,目標点は2~3倍にします.コアンシェ,シュール・コアンシェのときは,負けたチームは勝ったチームに引渡し対象の(普通はブロート・ルブロートの20点は渡さない)点を渡します.カポに失敗したときは,成功したときと同じ250(252)+250=500点を相手が記録します.

    1 人で全勝する“ジェネラル”をせりでいうのを認める人がいます.ジェネラルはカポより上で,ボーナス点は,350,500,700,1000 などがあります.

     

    切札の印をせる


    ブリッジ・ベロートは,ブルガリアで盛んなルールです.8枚の手札を配り切ってから,点数でなく切札をせります.切札の順位は,ブリッジ順で,下から上へ,クラブ,ダイヤ,ハート,スペード,なし,すべてです.コアンシェ,シュール・コアンシェに相当するコントラ,レコントラも言えます.

    キプロスのピロータは,同じく切札をせります.切札の順位はプレフェランス順で,スペード,クラブ,ダイヤ,ハート(,なし,すべて)です.

    2013年7月30日火曜日

    Rules of Russian Preferans (2) Other Variants

    Kazakhstan's


    With greedy and responsible whists, slightly eased penalties against soloist and reduced points for all-pass, it is a mirror image of subtle Rostov, and seen as a very dynamic game.

    The game points are quadruples of those of Sochi, a six-trick game is worth 8 points, seven 16, eight 24, nine 32, and ten and misere 40.

    The pool is usually 120 points.

    The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game.

    The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else but a passing partner, but including the dealer of a four player game, writes the same amount in the whists against him/her as a prize. Some players do not score the undertrick prizes at all. The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

    The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist).

    When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

    Some players use "over-greedy whist" where there are no shared responsibility of partners and only personal responsibility matters. Personal quota is 2 tricks in a six-trick game and 1 for seven- through nine-trick games. If two players whist, a whister pay penalties if he/she does not take personally required number of tricks, regardless of number of tricks taken by the partnership as a whole. If only one player whists, his/her quota is still the same as when two do, games are always played closed, and tricks taken by the passing partner do not belong to anyone. Some apply the "over-greedy" rule only when there are two whisters.

    All-pass games are played without the widow, and a player taking the least number of tricks writes 10 points for each trick taken by an opponent in each of his/her whists against that player. If there are two such players, tricks taken by the other player is equally divided between them. One who does not take any tricks writes two points in the pool unless he/she is the dealer of a four player game who scores nothing. Some allows the dealer to write two points in the pool.

    Some players exchange cards before all-pass games. The eldest hands add the two cards of the widow without showing them to his/her hand and discards two face down to form a new widow. The second and the youngest hand do the same in this order.

    The minimum bid and points of all-pass games do not change. Some raise trick points of all-pass games like 10-20 or 10-20-30.

    Pool points in excess of the pool size are treated just like in Sochi.

    Finn's


    A "racing" variant popular in Odessa, it is, unlike other conventions, more focused on getting pool points than not losing much in all-pass or failed games.

    The pool is 40 points. Every player writes a half of that, 20 points, on his/her hill before starting.

    Misere is overbid by 9 spades. "Misere hand" is not allowed.

    There are prizes for quick tricks in the widow in four player games. Dealer writes in his/her whists against the soloist the following: one trick for an Ace or a pair of King and Queen of one suit, two tricks for a pair of Ace and King of one suit, and three tricks for two Aces.

    Ten trick games are whisted with one trick quota. When two players whist against 8, 9 or 10 trick games, the second whister is responsible.

    Whist-Pass-Half-whist is allowed.

    The soloist writes the game points off from the hill and writes the same amount in the pool for a successfully played game.

    The soloist writes twice the game points for each undertrick if the game is not misere, and everyone else, excluding passing partner but including dealer of a four player game, writes the same amount in the whists against him/her as a prize. The whisting partner records the prize that would belong to the passing partner in other variants as his/her, in addition to his/her own. The soloist writes twice the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

    The whister writes twice the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. The tricks include those taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist).

    When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes twice the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

    All-pass games are played with the widow, and each one writes two point on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes two points in the pool if it is not full, in which case he/she writes two points off from the hill. The points are forfeited if the pool is full and the hill is empty. It is rare to increase minimum bid or points of all-pass tricks.

    The first player to make his/her hill empty writes in each of his/her whists against the other players 60 points when four play, and 80 points in three player games.

    The first player to fill his/her pool writes 120 points in each of his/her whists against the other players.

    When a pool becomes full, points to be written there are written in pool with the smallest room. When a hill becomes empty, points to be written off from there are written off from the smallest hill. One who does so writes 10 times the points given in his/her whists against the recipient.

    A game ends when a player fills his/her pool. A game can also be finished when everyone agrees. In that case pool size minus pool points are added to each player's hill before the calculation of outcome.

    VMK or Seleznevka


    VMK is a Russian acronym for Computer Mathematics and Cybernetics, a faculty of Moscow State University where this variant is said to have originated and remains popular. It is Sochi with some elements from Rostov and Piter.

    Soloist can resign by writing three undertricks on the hill.

    Whist-Pass-Half-whist is not allowed.

    If two partners whist against 8 or 9 trick games, both are responsible and share hill points equally when they do not take any tricks.

    10 trick games are checked and not whisted.

    Two partners must whist against a game of 6 spades ("Stalingrad").

    The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game. He/she can also choose to write the points off from his/her hill if the game is not whisted.

    The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including the passing partner and the dealer of a four player game writes 10 points for each undertrick of the soloist in the whists against him/her as a prize. The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

    The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist).

    When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

    All-pass games are played with the widow, and each one normally writes two points on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes one point in the pool.

    After an all-pass game, the minimum biddable number of tricks is raised to 7 and points for all-pass games are doubled. A whisted and successfully played game brings this back to the normal -- six tricks and no doubles for all-pass.

    Pool points in excess of the pool size are either treated just like in Sochi, or used to write points off from one's own hill. Soloist can freely choose between them.

    Two-player game


    There is always a dummy player to the left hand side of the dealer. The dummy is the eldest hand who always passes in bidding and whisting. Its hand remains hidden until a whister opens it. A whisting player can choose to whist alone against games at six or seven tricks, in which case the hand of the dummy is not used at all and the whister aims to take two tricks in a six-trick game and one in seven. Some do not allow this and allow "half-whist" instead. If a whister whists with the dummy, the hand is played just like open whists in three player games.

    The widow and the hand of the dummy player is not used in all-pass games.

    "Rogue (Razboynik)"


    It is played on its own as a variation for two players, and less frequently by three or four players in contemporary games. It was also the first half of the "classical" preferans. There are no bidding and the second hand is always the soloist. When three or four players play, the designated soloist is either the eldest or the second hand, by prior agreement between players. The soloist has to name all the games from his/her own list of games, one game at a time and each game only once. The list of "small rogue" is 10 games of 6 spades, 6 clubs, 6 diamonds, 6 hearts, 6 no trump, any 7 trick once, any 8 trick once, any 9 trick once, any 10 trick once and misere once. The "large rogue" is 14 games of 6 spades, 6 clubs, 6 diamonds, 6 hearts, 6 no trump, 7 spades, 7 clubs, 7 diamonds, 7 hearts, 7 no trump, any 8 trick once, any 9 trick once, any 10 trick once, and misere once. The "extra large rogue" is 30 games of 6 to 10 trick games in 5 trumps and misere five times.

    The soloist must name number of tricks and a trump before turning the widow up if it is a six-trick game in "small rogue", a six- or seven-trick game in "large rogue", or all the trick games in "extra large rogue". Misere must be named before the turning of the widow as usual. For the other trick games he/she names number of tricks before seeing the widow and a trump after that.

    The opponent must whist with dummy and open hands in a two player game. When three or four play some say both partners must whist and some say the first partner whists and the second passes. The hands of the partners are open in both cases. Some allow closed whists.

    A game ends when every player finishes playing all the games in his/her list.

    Racing


    A "racing" game is made of four rounds or as many rounds as number of players. In each round players aim to be the first one to fill the pool or one to have the smallest hill, each of whom receives large amount of bonus in his/her whists. The reward for filling the pool is larger than that for losing least, usually by one and a half.

    The following is a rule for racing game based on Piter.

    Minimum bid and points for all pass games go up as in the normal Piter, that is, 6, 7, 7, 7... and 2, 4, 6, 6, ...  A whisted and successfully played game brings back the normal state of six tricks and 2 points.

    A round is 22 points or 17 points, that should be agreed upon before. If the limit is reached when minimum bid and points for all-pass games are raised, it is extended until an exit from the all-pass mode.

    First dealer of a round is the left hand side neighbour of the first dealer of the previous round.

    A first hand of a round is an all-pass.

    Soloist cannot resign by writing three undertricks.

    Players are forced to whist against 6 trick games ("Stalingrad").

    10 trick games are whisted and not checked.

    When two players whist against 8, 9 or 10 trick games, both are responsible.

    When a game is not whisted and successful, the soloist can either write the points in the pool or write them off from the hill.

    When a player including dealer in a four player game does not take any tricks in an all-pass game, he/she can either write the points in the pool or write them off from the hill.

    If there's a failed misere, following hand is an all-pass without doubles (2 points) if the soloist won a trick, with doubled points if two, and with tripled points if three or more.

    If there's a failed 9 or 10 trick game that overbid misere, following hand is an all-pass without doubled points if the soloist was in short of one trick, with doubled points if two, and with tripled points if three or more.

    The first player to fill the pool in a round writes 300 points in each of his/her whists againts the other players. Player with the smallest hill at the end of a round writes 200 points similarly. The points are shared equally in case of a tie.

    At the end of all rounds, one with highest total of pool receives 300 point bonus and smallest total hill 200, just like a round.

    Important options


    Because the rules have many options, important ones are summarised here.
     - Jump bids (to call bids higher than lowest ones the rules allow): allowed or not allowed
     - Exit from all-pass: 6 (not tightened); 6, 7, 7 (tightened); 6, 7, 8, 8 (hard)
     - Exit from all-pass when soloist fails, if the game played is misere, or if the game played is not whisted.
     - Misere: outbid by a 9 trick game; outbid by a 9 trick game which is outbid by misere hand which is outbid either a 9 trick hand or a 10 trick non-hand game by prior agreement by players.
     - Soloist's resignation (without 3 no whists): allowed or not allowed
     - Whist requires for 6 spades (Stalingrad): not allowed
     - Games at ten tricks: checked without whisting, or whisted with partners' quota of one trick
     - Whist-Pass-Half-whist in games at six- or seven-tricks: allowed or not allowed
     - Opening lead of soloist in open games other than misere: with open hands or closed hands
     - Opening lead of soloist in misere: with open hands or closed hands
     - Widow in all-pass: used like Sochi or not used like Rostov
     - Whist is greedy or gentlemen's
     - Whist is responsible or half-responsible
     - Responsible whister in eight to ten trick games if two whist: second whister or both
     - Trick points of all-pass (progressive or not): 1, 1, 1 (no progression); 1, 2, 2, 2; 1, 2, 3, 3 (arithmetic); 1, 2, 4, 4 (geometric). Doubled for Piter.

    The Code of Preferans of 1996, as a tournament-oriented guideline, recommends the following.
     - Jump bids (to call bids higher than lowest ones the rules allow): not allowed
     - Exit from all-pass: 6
     - Various conditions for exit from all-pass: by agreement
     - Misere: misere, 9 spades
     - Soloist's resignation (without 3 no whists): not allowed
     - Whist requires for 6 spades (Stalingrad): not allowed
     - Games at ten tricks: whisted
     - Whist-Pass-Half-whist in games at six- or seven-tricks: by agreement
     - Opening lead of soloist in open games other than misere: with open hands
     - Opening lead of soloist in misere: with closed hands
     - Widow in all-pass (used or not): by agreement
     - Whist is greedy or gentlemen's: by agreement
     - Whist is responsible or half-responsible: by agreement
     - Responsible whister in eight to ten trick games if two whist: second whister
     - Trick points of all-pass (progressive or not): by agreement

    2013年7月29日月曜日

    ウルティ

    ハンガリーを代表するゲームです.強力な手を作れる反面次の人を利さないように注意する必要がある手札交換,自由度の高いせりのシステム,組み合わせ目標を個別に採点する得点システムなど魅力的な要素が多いです.参考資料は,次の 3 つです.
    • 英語とハンガリー語の Wikipedia の記事 (ハンガリー語は読めないので得点表だけ見ました)
    • "Rules of Ulti (Modified 4M standard) Recorded by Csaba Biro"
    • www.pagat.net の記事. 

    (2013.7.30) パスしてもせりに参加できることがわかりやすい書き方に改めました. 配り方の表現が断定的すぎたので,さまざまなバリエーションがあることがわかる表現に改めました.スブコントラより上のコントラの間違いを直しました.

    人数と道具


    3 人.ハンガリー風の 32 枚組のカード.手に入らないときは,4 つの印ごとに A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 の 32 枚で代用できます.

    ハンガリー風のトランプは,もともと同じ国だったオーストリア,旧ユーゴスラビア,ルーマニアの一部などでも広く使われています.4 つの印は,ハンガリー語では,ハートの型が赤,鈴の形がかぼちゃ,葉の形が緑,どんぐりの形はそのままどんぐりを意味する言葉で呼びます.カードの位は,強い順に,切札があるときは,2 (A),X (10),王 (K),上 (Q),下 (J),IX (9),VIII (8),VII (7),ないときは,2 (A),王 (K),上 (Q),下 (J),X (10),IX (9),VIII (8),VII (7) です.切札があるときは,カード点があり,2 (A) と X (10) が各 1 枚 10 点,10 回目のカード勝負に勝つと 10 点,手札に同じ印の王 (K) と 上 (Q) のペアがあると,切札は 40 点,それ以外は 20 点です.

    カードを配る


    最初にカードを配る人は,好きな方法で決めます.以後は,反時計回りに順番に交代します.配り手は,カードをシャッフルし,左隣の人に渡します.左隣の人は,カットするか,カードの山に軽く触れます.右隣のひとから反時計回りに,全員に 5 枚ずつ,右隣りに 7 枚,後の 2 人に 5 枚ずつと配ります.カットしたときは,12枚,10枚,10枚,しなかったときは,はじめだけ 7 枚,あとは 5 枚ずつという配り方もあります.1〜2枚に細かく分けて配ることを勧める人もいます.

    せり


    せりでは,カード勝負で達成する目標をいいます.目標は組み合わせられます.また,最後に言われたものより上なら何でもよく,VII (7) を持っていないときのウルティなど,達成不可能な目標を言うことも,目指す目標と無関係なことを途中でいうことも認められます.

    配り手の右隣の人は,12 枚の手札から 2 枚の不要札を伏せて場に捨ててから目標とするゲーム種別をいいます.ついで,反時計回りで順番に,目標を言いたければ,伏せられた 2 枚のカードを手に入れ,不要な 2 枚を伏せて捨ててから,先に言われたものより上の目標をいいます.目標を言いたくなければ,伏せられた 2 枚の札を次の人に伏せたまま渡します.目標を言わなくても,せりが続く限り,後の自分の順番に言えます.3 人が続けて目標を言わなかったら,せりは終了です.最後に目標を言った人が,それを自らの宣言として親になり,残りの 2 人が子になります.親は,赤以外を切札にする場合,切札にする印を言います.

    最低の目標である赤以外のゲーム (パス,パルティ) で立った親は,この時点で,勝負せずに下りることができます.このとき,親は,2 人の子に 2 点ずつ渡します.この下りを任意でなく強制にする人もいます.

    目標


    せりで言える目標と点数は,次のとおりです.“40-100”と“ゲーム”のように,ある目標を達成すると必ず達成できる目標や,切札ありと切札なしのように相反する目標でなければ,自由に組み合わせられます.せりでの上下は,合計点の大小で比べ,同点の場合,目標数が少ない方を上とします.例外として,“40-100 とドゥルヒマルシュ (4+6=10)”と“ウルティとドゥルヒマルシュ (4+6=10)”は,“赤のウルティ (8+2=10)”と“赤の 2 (A) 4 枚 (8+2=10)”と同点でなく上とみなす人がいます.また,目標数を比べないで合計点だけを比べる人もいます.目標数を比べず,“ゲーム”の 1~2 点を除いた合計点だけを比べ,同点の場合,“ゲーム”の点を足して比べる人もいます.

    (1) 切札ありの目標


    切札がある目標は,赤を切札にする“赤の(目標名)”と,それ以外を切札にする“(目標名)”があり,“赤の”は点数が倍になります.目標の組み合わせをいうとき,目標ごとに“赤の”を繰り返す必要はありません.

    • ゲーム (パス,パルティともいう).1 点.カード点で子に勝つ.ペアのカード点だけで勝つことは認められず,少なくとも 1 回はカード勝負に勝たなくてはいけません.親が捨てた 2 枚のカードの点は子のものです.“ウルティ”,“2 (A) 4 枚”以外の目標がある組み合わせとは複合しません.
    • ウルティ (ウルティモ).4 点.10 回目のカード勝負に最低の切札 VII (7) で勝つ.単独では言えません.“2 (A) 4 枚”を認める場合,ともに単独で言えない“2 (A) 4 枚”との組み合わせでは,他の目標も組み合わせる必要があります.“ゲーム”との組み合わせは,省略して“ウルティ”といいます.ウルティを宣言した親は,ルールの許す限り,切札の VII (7) を手に持ち続けなければなりません.ウルティに失敗した場合,この 4 点の他にペナルティとして 4 点を失います.このペナルティには,赤の倍は適用されますが,ウルティへのコントラの倍は適用されません.
    • 40-100 (しじゅうひゃく,よんじゅうひゃく).4 点.切札のペア 40 点以外のペア点を認めないで,カード点を 100 点以上取る.
    • 20-100 (にじゅうひゃく).8 点.親の 20 ひと組以外のペア点を認めないで,カード点を 100 点以上取る.
    • ドゥルヒマルシュ.6 点.全勝する.切札ありの場合,他の目標と組み合わさないといけないとする人もいます.7 点にする人もいます.
    • オープンドゥルヒマルシュ.赤でも赤以外でも 24 点.1 回目のカード勝負が終わったら,全員が手札を公開する条件で,全勝する.なお,2 人の子は作戦を議論してはいけません.赤以外が切札のときは 12 点にする人もいます.切札ありの場合,他の目標と組み合わさないといけないとする人もいます.手札を公開するのは親だけにする人もいます.

    つぎの目標を認める人もいます.

    • 2 (A) 4 枚.4 点.4 枚の 2 (A) をとる.単独では言えません.ともに単独で言えない“ウルティ”との組み合わせでは,他の目標も組み合わせる必要があります.“ゲーム”との組み合わせは,省略して“2 (A) 4 枚”といいます.ドゥルヒマルシュとは複合しません.

    (2) 切札なしの目標

    全勝または全敗を目指します.同じ内容で点数が倍になる目標があります.倍の目標は,切札がないにも関わらず“赤の”と言う人がいます.また,切札ありのドゥルヒマルシュと同じように,手札の公開が選べます.手札を公開すると,点数が 4 倍になります.

    • ベトリ.5 点.全敗する.
    • レベトリまたは赤のベトリ.10 点.全敗する.ベトリと点数以外の違いはありません.点数が倍になるので,切札がないのに“赤の…”と言うことがあります.
    • オープンベトリ.20 点.1 回目のカード勝負が終わったら,全員が手札を公開する条件で,全敗する.なお,2 人の子は作戦を議論してはいけません.手札を公開するのは親だけにする人もいます.
    • ドゥルヒマルシュ.6 点.全勝する.
    • レドゥルヒマルシュ.12 点.全勝する.ドゥルヒマルシュと点数以外の違いはありません.
    • オープンドゥルヒマルシュ.24 点.1 回目のカード勝負が終わったら,全員が手札を公開する条件で,全勝する.なお,2 人の子は作戦を議論してはいけません.切札ありのオープンドゥルヒマルシュを 12 点にする場合,せりで,切札の有無を言わなければなりません.手札を公開するのは親だけにする人もいます.

    カード勝負


    10 枚の手札で 10 回のカード勝負を行います.1 回目は親が,2 回目以降は,直前のカード勝負の勝者が,先手になります.先手は,手札を 1 枚表にして場に置きます.ついで,反時計回りに順番に 1 枚ずつ手札を表にして場に置きます.このとき,先手と印が同じ手札があれば出さなければなりません.そうでない場合,切札があれば出さなければなりません.さらに,このルールが許す範囲で,すでに場に出てるカードに勝てる手札があれば出さなければなりません.一番強い切札,切札が出なかった場合,先手の印で一番強いカードを出した人がその回のカード勝負に勝ちます.勝った人は,カード勝負に出された 3 枚のカードを自分の手元にまとめておきます.切札がある場合,勝った人は,カード勝負に出た 2 (A) と X (10) 1 枚につきカード点 10 点を得ます.10 回目のカード勝負に勝った人は,10 点のカード点を得ます.

    ペアの宣言


    切札があり,100 か全勝系の目標が宣言されていない場合,同じ印の王 (K) と上 (Q) のペアを持っている人は,1 回目のカード勝負にカードを出すときに,切札のペアなら“40”,切札以外のペアなら“20”ということで,言っただけのカード点を得ます.ペアを構成するカードを公開する必要も,場に出す必要もありません.なお,複数のペアがある場合,点数を足しあわせず,“40 と 20”,“20 ふた組”のようにいいます.

    コントラ


    子は,1 回目のカード勝負に手札を出すとき,親の宣言のうち破れると思う目標に対してコントラと言えます.例えば,“40-100 とドゥルヒマルシュにコントラ”です.親は,1 回目のカード勝負に 3 人がカードを出し終わったとき,コントラを言われた目標のうち対抗できると考えるものに対してレコントラと言えます.例えば,“40-100 にレコントラ”です.実戦ではまれですが,レコントラより上の応酬も認められ,子のスブコントラ,親のモルドコントラ,子のヒルシュコントラ,親のフェダーク・シャーリなどと続きます.最後のフェダーク・シャーリは有名なオペラ歌手の名で,その場で思いついた言葉を言ったのが定着したらしいです.これらを言うたびに,コントラは 2 倍,レコントラは 4 倍,スブコントラは 8 倍,ヒルシュコントラは 16 倍のように,指定した目標に関する点数が倍になります.この倍は,切札ありの場合,どちらの子が言っても両方の子と親の間に,切札なしの場合,言った子と親の間の点数授受に適用されます.

    1 回目のカード勝負の勝者は,レコントラやそれ以上の倍が終わるのを待ってから,場に出たカードを回収し,2 回目のカード勝負に入ります.

    出来役


    ベトリ以外の手で,親が宣言していない目標を親か子が達成したら,達成した側が以下の点を得ます.赤が切札のときは倍になります.ベトリの他に,ドゥルヒマルシュでも認めない人がいます.

    • 黙ってウルティ.2 点.10 回目のカード勝負に切札の VII (7) を出して勝ったとき.また,10 回目のカード勝負に切札の VII (7) を出して負けたら,その人が他の 2 人に対して 1 人あたり 4 点を払います.子が失敗した場合,精算を親子間でなく,失敗した子と他の 2 人で行うことに注意してください.
    • 黙って 100.2 点.カード点で 100 点以上取ったとき.ペアによる 40,20 の点がいくつあっても構いません.“ゲーム”の点を置き換えます.ゲームへのコントラが効くとする人がいます.
    • 黙ってドゥルヒマルシュ.3 点.全勝したとき.親の“ゲーム”の点を置き換えるという人も,“ゲーム”の 1 点に加算して 4 点にする人もいます.ゲームへのコントラが効くとする人がいます.

    2 (A) 4 枚を認めるとき,黙って 2 (A) 4 枚に 2 点を認める人がいます.

    点数計算


    宣言の目標ひとつずつと出来役を,別々に採点します.目標の一部が失敗しても,成功した目標の点を得られます.
    • 親が達成した目標と出来役に対し,それぞれの子は,目標か出来役の点数を親に払います.親子間に目標へのコントラがあれば,コントラ,レコントラなどに応じて点数を倍にします.
    • 親が達成できなかった目標と子の出来役に対し,親は,目標か出来役の点数を子ひとりずつに払います.親子間に目標へのコントラがあれば,コントラ,レコントラなどに応じて点数を倍にします.

    例えば,親が赤のウルティを宣言し,ウルティにもゲームにもコントラがなく,ゲームは未達成,ウルティは達成したら,赤のゲームで 2 点を失うので,子ひとりにつき 2 点ずつ計 4 点を払い,赤のウルティで 8 点を得るので,2 人の子から 8 点ずつ計 16 点をもらいます.

    (参考) せりの階層


    せりで指定できる組み合わせとその順位は複雑なだけでなく,人により異なるので,表にして全員が見えるようにしておくとよいでしょう.“2 (A) 4 枚”なし,“オープンドゥルヒマルシュ”は常に 24 点で目標数を比較する例を示します.

    (1) 1 点: ゲーム
    (2) 2 点: 赤のゲーム
    (3) 4 点: 40-100
    (4) 5 点 (2 目標): ウルティ
    (5) 5 点 (1 目標): ベトリ
    (6) 6 点: ドゥルヒマルシュ (切札ありは認めない人もいる)
    (7) 8 点 (2 目標): 40-100 とウルティ
    (8) 8 点 (1 目標): 赤の 40-100,20-100
    (9) 10 点 (2 目標): 赤のウルティ
    (9') 10 点 (2 目標,(9) より上にする人あり): 40-100 とドゥルヒマルシュ,ウルティとドゥルヒマルシュ
    (10) 10 点 (1 目標): レベトリ (赤のベトリ)
    (11) 12 点: レドゥルヒマルシュ,赤のドゥルヒマルシュ (認めない人もいる)
    (12) 14 点 (3 目標): 40-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
    (13) 14 点 (2 目標): 20-100 とドゥルヒマルシュ
    (14) 16 点 (2 目標): 赤の 40-100 とウルティ
    (15) 16 点 (1 目標): 赤の 20-100
    (16) 18 点: 20-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
    (17) 20 点 (2 目標): 赤の 40-100 とドゥルヒマルシュ,赤のウルティとドゥルヒマルシュ
    (18) 20 点 (1 目標): オープンベトリ
    (19) 24 点 (2 目標): 赤の 20-100 とウルティ
    (20) 24 点: オープンドゥルヒマルシュ
    (21) 28 点 (3 目標): 赤の 40-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
    (22) 28 点 (2 目標): 赤の 20-100 とドゥルヒマルシュ,40-100 とオープンドゥルヒマルシュ,ウルティとオープンドゥルヒマルシュ
    (23) 32 点 (3 目標): 40-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ
    (24) 32 点 (2 目標): 赤の 40-100 とオープンドゥルヒマルシュ,赤のウルティとオープンドゥルヒマルシュ,20-100 とオープンドゥルヒマルシュ
    (25) 36 点: 20-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ,赤の 20-100 とウルティとドゥルヒマルシュ
    (26) 40 点 (3 目標): 赤の 40-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ
    (27) 40 点 (2 目標): 赤の 20-100 とオープンドゥルヒマルシュ
    (28) 48 点: 赤の 20-100 とウルティとオープンドゥルヒマルシュ

    (参考) UltiNet.hu の点数


    目標と点数は,人により大きく異なります.例えば,オンラインサイトの UltiNet.hu では,次の通りです.組み合わせは合計点だけを比較しますが,ウルティ,2 (A) 4 枚,X (10) 4 枚 と複合するパルティの点は数えません.
    • パルティ (ゲーム): 1 点
    • 2 (A) 4 枚: 3 点
    • 40-100: 4 点
    • ウルティ: 4 点
    • ベトリ: 5 点
    • 20-100: 6 点
    • ドゥルヒマルシュ: 7 点,切札ありのドゥルヒマルシュは,他の目標との組み合わせを要します.
    • X (10) 4 枚 (切札ありで X (10) を 4 枚取る): 9 点

    出来役は,黙って 100 が 1 点,黙ってウルティが 2 点,黙ってドゥルヒマルシュが 4 点です.黙ってドゥルヒマルシュは,ドゥルヒマルシュだけでなく,2 (A) 4 枚,X (10) 4 枚の宣言があっても認められません.これより,X (10) 4 枚は,2 (A) 4 枚,ドゥルヒマルシュと同系列の目標であることがわかります.したがって,これらは互いに複合しません.

    Rules of Russian Preferans (1) General Rules and the Major Variants

    Since there do not seem to be any descriptions of way-too-many variations in the game in English (it's a Russian game, anyway), I am tempted to roll my own...

    Players and cards


    Preferans (преферанс, sometimes préférence) is a game for three or four players. Dealer sits out in a hand he/she deals when four play. Everything in the game is done clockwise. A pack of 32 cards common in the continental Europe is used. There are eight cards in each of the four suits: A, K, Q, J, 10, 9, 8 and 7 from high to low.

    Seating


    Each player draws or cuts a card. One who draws or cuts the lowest card picks a seat first, followed by the next lowest, and so on. An ace ranks low below 7 only in this case. Suits are compared when there is a tie. Order of the suits are hearts, diamonds, clubs and spades from high to low, the same as in the bid ladder.

    Deal


    Dealer of the first hand is chosen by any means. A player to the left of the dealer deals in the next hand. The dealer shuffles cards, and after having them cut by his/her right hand neighbour, deals ten cards to each player and a widow of two cards in a batch of two, starting from the player to his/her left. The widow can be dealt at any time so long as they are not the first or the last cards.

    The dealer deals again in case of a misdeal. If it is a misdeal again, he/she writes one undertrick of a six-trick game on his/her hill and the next player deals.

    Auction


    Bidding starts from the eldest hand, that is the left hand neighbour of the dealer, and continues until only one player is left or all players pass. A bid is a combination of a trump suit and number of tricks to be taken, for example "6 (in) clubs". A bid with larger number of tricks outbids one with less, and among bids with same number of tricks, spades ranks lowest, followed by clubs, diamonds, hearts and no trump in this order from low to high. The suits are also known by their numbers: spades as one, clubs as two, diamonds as three, hearts as four, and, less often than the others, no trump as five. The lowest number of tricks one can bid is usually six, that is always omitted when suits are called by their numbers and often still when they are called by their names. Therefore, one can bid, from low to high: "(6) spades" or "one," "(6) clubs" or "two," "(6) diamonds" or "three," "(6) hearts" or "four," "(6) no trump," "7 spades" or "7 in one," "7 clubs" or "7 in two," ..., "10 hearts" or "10 in four," and "10 no trump."

    When a player cannot make a bid, he/she says "pass" and drops out from the auction. Once a player passes, he/she may not bid again in that hand.

    In order to remain in an auction, one has to make a next higher bid in the ladder if the previous bid was made by an elder hand, and repeat the last bid by a younger hand. Some allow bids higher than these, although it is advantageous to make lowest possible bid even in this case so that these two options are effectively the same.

    Here are some examples of bidding:
     - A: Pass, B: Spades, C: Pass
     - A: Spades, B: Pass, C: Clubs, A: Clubs too, C: Diamonds, A: Pass.
     - A: Pass, B: One, C: Two, B: Also Two, C: Pass

    One can also call misere, that is a bid to lose all ten tricks. It should be called at one's first chance in an auction. One who called anything cannot call it, and one who called misere cannot call anything else either. A bid of 9 spades overbids misere. Some allows a special bid of "misere hand" (misere without the widow) by a caller of misere when it's overbid. Some say that 10 spades overbids misere hand, others say that it is "9 spades hand."

    When all three players pass, a game called "raspasovka" or "raspasy" in Russian, or "all-pass" is played. Some raise minimum bid, points of all-pass games, or both after an all-pass game ("St. Petersburg" convention).

    Exchange of widow and soloist's declaration


    The last player to remain in the auction becomes the soloist. The other two players try to spoil the soloist's game as temporary partners. The soloist turns the widow open for everyone to see, add them to his/her hand, and discards two cards face down. Then, if he/she did not bid misere, names a game he/she is going to play. It must be equal to or higher than his/her bid in the ladder. For example, if the soloist won an auction by "(6) diamonds", he/she can name 6 diamonds, 6 hearts, 6 no trump, or any games at 7 or higher but he/she cannot say 6 spades or 6 clubs. One cannot play misere unless he/she called it, and who called misere cannot play anything else.

    Some players score points for quick tricks in the widow or for refusing it ("Rostov" convention).

    Some allow the soloist to invite the dealer in high risk games like misere when four play. If dealer accepts the invitation, he/she shares profit or losses equally with the soloist.

    Some players allow the soloist to resign without playing the hand after looking at the widow. He/she writes points for three undertricks, that are number of tricks in short of the stated goal, on the hill to do so.

    Partners' declarations


    Starting from the one sitting left to the soloist, the partners say "whist" if he/she is willing to take required number of tricks and "pass" otherwise. Whisting player(s) have to take 4 tricks if the game is at six, 2 tricks if seven, and 1 trick if it's eight or nine. There are no requirements for ten-trick games or misere. The partners do not say "whist" or "pass" in these games. They are played in special ways because there are no whisters. Some players set 1 trick requirement for games at ten tricks and play them like the others.

    If two players whist, they try to take the required number of tricks together. When they fail to do so, one who failed to reach one half of the requirement is deemed responsible and scores penalty. When the requirement is one, some players make the second whister, or who said "whist" after, solely responsible; and some make both equally responsible and share penalty points equally.

    If only one player whists and the other passes, tricks taken by the passing partner belong to the whister and he/she is solely responsible for taking the required number of tricks. The whister has an option of playing "up" or "closed", and "down" or "open". In a "closed" game, three players play holding their cards in their hands. In an "open" game, the partners reveal their hands face up on the table and the whister plays hands of the passing partner as well as his/her own.

    If the two partners pass, the soloist is assumed to have won 10 tricks.

    When a game is at six or seven tricks and the first partner passes, the second partner can say "half-whist" in addition to "whist" and "pass". When this occurs the first partner has to say if he/she whists or passes again. If he/she whists, the half-whisting player is assumed to have passed; if he/she passes, the half-whisting player is assumed to have won a half of the required number of tricks and the soloist the rest. When four play and there is a half-whist-pass, the dealer has a chance to say whist or pass after looking at the hand of one of the partners. Some allows the first partner to say "half-whist" after he/she said "whist" and the second partner said "pass".

    When four play, a game is at eight or nine tricks (or ten if it is to be whisted), and the two partners pass, the dealer has a chance to say whist or pass after looking at the hand of one of the partners.

    Play of the cards


    If the game is to be played "open" or misere and the soloist is not the eldest hand, the two partners reveal their hands before the play of a hand begins. If the soloist *is* the eldest hand in an "open" game or misere, the partners reveal their hands before the opening lead if the game is not misere and after the opening lead in  misere. Some players choose different set of rules regarding when -- before or after the opening lead -- to open partners' hands if the soloist has the opening lead, for games other than misere and for misere.

    In misere, the partners can take notes and discuss their moves. These actions are strictly forbidden in the other types of games.

    If the game is at ten tricks and it does not require the partners to take a trick, the three players reveal their hands and play them to check if the soloist can lose some tricks, or it is played by the rules of misere, by prior agreement. There are nothing special in ten trick games if they are to be whisted.

    The eldest hand leads a card to the first trick and the other players, in turn, must play a card of the suit led if he/she has one, or a card of the trump suit if he/she has one and does not have any card of the suit led, or any card otherwise. The highest card of the suit led wins a trick unless trumps are played, in which case the highest trump wins. The winner of a trick leads to the next trick.

    Though not a rule, there is implicit assumption that the partners should cooperate, putting his/her own personal gains aside; he/she should not take a trick that is already his/her partner's, he/she leads low against the soloist and high against the other partner, shows his/her strong suit by first discard and weak one second, should not whist without a trick in hand but always whists with four trumps, and so on.

    An all-pass game is played either with ("Sochi" or "St Petersburg" conventions) or without ("Rostov" convention) the widow, upon agreement. Players try to avoid taking tricks and there are no trumps. In an all-pass game with the widow, the first two tricks are led by turning the top card of the widow, and the eldest hand plays next. The third trick is led by the eldest hand. The fourth trick and onwards are led by the winner of previous trick. The widow just shows the suit of a trick and cannot win in three player games, while it can win tricks and belongs to the dealer when four play. An all-pass without the widow plays like the other games.

    If a player failed to play a card of the suit led or trump when he/she can, there's no penalty if it is corrected within the same trick. If this is discovered in a later trick, the offending player gives at least one trick to the opponent. Any problems arising from the offence is solved to the detriment of the offending player. It is more usual to have the offender write three undertricks in his/her hill.

    General rules of scoring


    A score sheet is a rectangular piece of paper divided into four areas by two diagonals, with each area corresponding to a cardinal direction of a player. There's a small circle at the center, where pool size, stakes (per whist point) and other agreed upon terms are written down. A triangular area is further divided into three layers by two horizontal lines. The top section is called 'hill' and penalties are recorded. The middle one is called 'pool' and successful games are recorded. The bottom is called 'whists' and divided equally by vertical line(s) into number of other players, where tricks taken from him/her as a whister are recorded. Any points written are added to previous value. It is done by writing a new value after a previous one, separated by a period.

    Size of the pool, that determines duration of a game, is usually 10, 20 or 30 points.

    Game point of a six-trick game is 2, seven 4, eight 6, nine 8, and ten and misere 10.

    The outcome of a game is calculated this way:
    - Each player subtracts points of the smallest hill from his/her own hill, so that the smallest hill becomes zero.
    - Each player multiply his/her hill by 10 and divide the result by number of players.
    - Each player pay the resulting points to each opponents as points in the whists.
    - The net score is (sum of points in one's own whists) minus (sum of points in the other players' whists against him/her).

    Sochi's


    Born in 1960's and had become the most popular form the game by early 1970's, it is regarded as the basic or the classical form of the game even today when Piter is by far the most played variant. It favours soloist more than Piter.

    Some say that one must whist against a game of 6 spades. This is called "Stalingrad" because there is no way out, and some use it even when they are not playing Sochi.

    The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game.

    The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including passing partner and the dealer of a four player game write the same amount in the whists against him/her as a prize. The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

    The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister does not share these points with the passing partner when the soloist fails (greedy whist). Note that only whisting players score these points therefore no one writes them in misere or a 10 trick game without partners' responsibility.

    When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

    All-pass games are played with the widow, and each one writes one point on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes one point in the pool. There is, or, was usually no increase in minimum bid or points for all-pass tricks after an all-pass hand. Some introduce Piter-like increase of points for all-pass, although the raised state usually ends automatically after playing fixed number of hands like three.

    When the pool of a player becomes full, he/she writes points of his/her successful game in the pool of a player with smallest room, and 10 times the pool points given to him/her in his/her own whists against that player in return. When all the pools become full, remaining pool points are subtracted from player's own hill.

    A game ends when every player's pool becomes full. A game can also be finished when everyone agrees. In that case pool size minus pool points are added to each player's hill before the calculation of outcome.

    St Petersburg's (Piter)


    Its distinctive feature is progressive all-pass and tightening of exit from that condition, that can result in big win and loss. Compared with Sochi, it also favours whisters who are more difficult to play well than soloist, therefore it is easier for beginners.

    The soloist writes the game points in the pool for a successfully played game. Pool points are not doubled unlike the rest to make size of the pool consistent with other conventions, but it's doubled before the calculation of outcome.

    The soloist writes twice the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including passing partner and the dealer of a four player game write the same amount in the whists against him/her as a prize. The soloist writes twice the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

    The whister writes twice the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister shares a half of these points with the passing partner when the soloist fails (gentlemen's whist).

    When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes the game points for each undertrick on the hill (half-responsible whist -- it is not doubled). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

    All-pass games are played with the widow, and under the normal conditions, each one writes two points on the hill for each trick taken. One who does not take any tricks writes one point in the pool.

    After an all-pass game, the minimum biddable number of tricks is raised to 7 and points for all-pass games are doubled. A whisted and successfully played game brings this back to the normal -- six tricks and no doubles for all-pass.

    If there is an all-pass game when the seven tricks and double rule is in effect, following games are played with the minimum bid of 7 and triple points for all-pass games in ordinary Piter. Some make it minimum of 8 and triple (hard Piter), and some 8 and quadruple. A whisted and successfully played game brings things normal again.

    The game ends when the total points in the pools exceed the pool size times number of players, or agreed upon time passes. Pool points in excess of the pool size are doubled and subtracted from his/her hill, and pool points in short of the pool size are doubled and added to his/her hill before calculating the outcome.

    Rostov's or Moscow's


    Though much less number of games are played in some online gaming sites than the previous conventions, it is regarded as one of three major forms of the game along with Sochi and Piter. It has some distinctive features like rules and scoring of all-pass and heavy penalties for undertricks of soloists, and seen as a game for cautious and technical players.

    Some score points for the widow. They counter-balance the chance factor of widow. Dealer of four player games or each partner of three player games writes the following points (in half in three player games) in his/her whists against the soloists if the widow contains: an Ace - 10 points, a King and a Queen of one suit - 10 points, an Ace and a King of one suit - 20 points, and two Aces - 30 points. Soloist writes 10 points in his/her whists against dealer in four player games and 5 against each partner when three play if he/she refuses to take the widow after turning them up and leaves them on the table.

    The soloist writes game points in the pool for a successfully played game.

    The soloist writes the game points for each undertrick on the hill if the game is not misere, and everyone else including a passing partner and the dealer of a four player game writes 10 points for each undertrick in the whists against him/her as a prize.  The soloist writes the game points for each trick taken on the hill if the game is misere and the others score nothing.

    The whister writes the game points for each trick taken by him/her in the whists against the soloist. Number of tricks includes the tricks taken by a passing partner. The whister shares a half of these points with the passing partner when the soloist fails (gentlemen's whist).

    When the partners fail to take required number of tricks, responsible whister writes a half of the game points for each undertrick on the hill (half-responsible whist). Undertricks are counted against his/her personal quota and not the partnership one.

    All-pass games are played without the widow, and a player taking the least number of tricks writes 5 points for each trick taken by an opponent in each of his/her whists against that player. If there are two such players, tricks taken by the other player is equally divided between them. One who does not take any tricks writes one point in the pool unless he/she is the dealer of a four player game who scores nothing. Some allow the dealer to write one point in the pool.

    The minimum bid and points of all-pass hands remain unchanged throughout the game.

    Pool points in excess of the pool size are treated just like in Sochi.