2013年8月28日水曜日

2人用のブロート(ブロット)

Belote découverte (発見/発掘 ブロート) という2人用のルールを紹介します.ブロートらしく,人によって根本的にルールが違います.

手札の他に場札を配ります.表向きの自分の場札は,手札と同じように使えます.手札を使ったら,下に伏せてある手札を表向きにします.手役は認めないことが多いです.共通点はここまでで,あとは,手札と場札の枚数は,人によって違います.

その1

配り手は,5枚の手札を,相手に3枚,自分に3枚,相手に2枚,自分に2枚の順で配ります.ついで,相手の5枚の場札を伏せて横1列に並べ,自分の場札も同じように相手の場札より自分側に並べます.次のカードを表向きにして場に置き,切札を決めます.表向きのカードを取らなかった方に手札を1枚配ったら,相手に5枚,自分に5枚の順で,伏せてある場札の上または持ち主側に1枚ずつ表向きの場札を配ります.


その2

手札はなく,すべて場札で遊びます.配り手は,相手に4枚カードを伏せて横1列に配り,それより自分側に少し間を開けて,自分にも同じように4枚のカードを伏せて配ります.さらに,相手と自分に4枚ずつ伏せたカードを持ち主に近い側に横1列に並べて配ります.残りのカードは,伏せたカードを配ったのと同じように,伏せたカードの上に表向きに配ります.最後に配られたカードの印で切札を決めますが,このカードは,切札を選んだ人でなく配り手のものになります.

その3 

その1に近いですが,手札8枚,場札は1人あたり8枚を,4枚を伏せ,残り4枚を伏せたカードの上に表向きに配ります.切札は,手札5枚を配りきり,表向きの手札は配らないときに,4人のブロートのように決め,切札を選んだほうが表向きのカードと残り2枚の手札を,もう一方は残り3枚の手札を受け取ります.

2013年8月23日金曜日

ブロートのカードの出し方のルールについて

フランスのブロートは,何回か遊んで慣れるまでは,カードの出し方のルールが,間違えずに遊べるのかと思うぐらい複雑です.

(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているなら,切札があれば出す.
(3) 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
(4) 切札を出す義務がある場合,勝っているカードに勝つ切札があれば出す.
(2) には,次の変種があります.
(2+) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っているとき,それに勝つ切札がないなら,負ける切札があっても,好きなカードを出してよい.

このルールがさまざまな国にそのまま伝わったわけではなく,ギリシャやサウジアラビアのブロートで使われるルールは,次の通りです (情報源は Wikipedia の記事だけなので,どこまで正確かはわかりません).
(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手にないとき,切札があれば出す.勝っているカードに勝てる切札があれば出す(ギリシャ).
(3) 先手が切札のときは,勝っているカードに勝つ手札があれば出す.

この系統のゲームの発祥地と考えられているオランダのクラバーヤッセン (必ず8枚の手札を配りきることと,カード勝負に出たカードに役を認めることを除いては,ブロートとほぼ同じゲームです) は,主なカードの出し方に,次の 2 通りがあります.どちらも,ブロートよりは簡単です.アムステルダム式は,(2+) を採用したブロートに近いですが,先手の印が手になく,味方のカードが勝っているか,勝つ切札がないとき,出ているカードに負ける切札を自由に出せない点が違います.

(アムステルダム式)
(1) 先手と同じ印があれば出す.
(2) 先手と同じ印がなく,相手のカードが勝っている場合,それに勝つ切札があれば出す.
(3) どんな場合でも,出ている切札に負ける切札は,他に選択肢がないかぎり出せない.

(ロッテルダム式)
(1) 先手と同じ印があれば出す.
(2) 先手と同じ印がなく,出ているカードに勝つ切札があれば出す.
(3) どんな場合でも,出ている切札に負ける切札は,他に選択肢がないかぎり出せない.

19 世紀後半から,1940 年ごろにブロートに抜かれるまで,フランスで一番人気のあったマニーユ (manille) のカードの出し方は次の通りです.ブロートは,もともとフランスで広く知られていて,同じ32枚のトランプを使うゲームの影響を受けたのではないでしょうか.
(1) 先手と同じ印のカードが手にあれば出す.
(1+) このとき,相手のカードが勝っていて,それに勝つカードがあれば出す.
(2) 先手と同じ印が手になく,味方のカードが勝っているなら,好きなカードを出す.
(3) 先手と同じ印が手になく,相手のカードが勝っていて,それに勝つ切札があれば出す.勝つ切札がなければ,好きなカードを出す.

2013年8月17日土曜日

バルートまたはアラビア版ブロート

ブロートは,サウジアラビアでは“バルート”と呼ばれ,同国の文化の一部だと言われるほど
盛んです.先月書いたフランス版とは,切札の決め方と役の点数が少し違い,切札なし (サン・アトゥー/ザトゥー) に相当する“スン”を体系的に優遇します.また,コアンシュのようなダブルの役割も面白いルールです.

(2016.7.13)別の情報源の記述と,フランスのルールとあまり変わらないと言っている人がいたのを根拠に,切札を指名したチームの得点が相手より少ないときは,ダブルがなくても相手に点を渡すと改めました.

人数とカード


ペア 2 組の 4 人.ペアは向い合って座ります.4 つの印ごとに A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 の 32 枚.

 

カードの強弱と点数


切札の J と 9 を特別扱いします.

カードの強さの順は,強い順に,切札は,J,9,A,10,K,Q,8,7,切札以外は,A,10,K,Q,J,9,8,7 です.

カード勝負で取ったカードの点数は,切札の J が 20 点,切札の 9 が 14 点,A が 11 点,10 が 10 点,K が 4 点,Q が 3 点,切札以外の J が 2 点,切札以外の 9 が 0 点,8 と 7 が 0 点です.この他に,手の最後の 8 回目のカード勝負に勝つと 10 点をもらえます.

 

目標


目標は,152 点です.他のブロートの 1520 点に相当します.

 

カードを配り切札を選ぶ


最初にカードを配る人は好きな方法で決め,以後は反時計回りに交代します.

配り手の左隣りの人は,カードを配る前に,カードをカットする,何もしない,先頭のカードを表向きにする,底の 3 枚を自分のパートナーに渡すのどれかを選びます.

配り手は,右隣の人から反時計回りに,1 周目は 3 枚ずつ,2 周目は 2 枚 ずつで各人 5 枚の手札を配り,次のカードを 1 枚表向きにして机の上に置きます.

ここで切札を決めるせりを行います.1 周目は,表向きのカードを手札にし,切札なしで戦う“なし (スン)”,表向きのカードを手札にし,その印を切札にして戦う“切札 (ホクム)”,表向きのカードを取らない“パス” のいずれかを,配り手の右隣から順に,反時計回りに言います.誰かが“なし”を言ったら,配り手の右隣の 1 番手から“なし”を言った人の手前までの人が順に,代りに“なし”で出るかパスするか言い,せりを終えます.誰かが“切札”を言ったら,他の全員が 1 番手から順に,代わりに“なし”で出るかパスするか言い,全員がパスしたら,“切札”を言った人は,“切札”を“なし”に変えるか“切札”のまま戦うかを言い,せりを終えます.3 番手と 4 番手は,このほかに,“アシュカル”と言えます.これは,表向きのカードをパートナーに取らせた上で,切札なしで戦います.表向きのカードが A のときは,アシュカルを認めない人がいます.1 番手と 2 番手が間違って“アシュカル”を言ったら,“なし”を言ったものとみなします.手札に 7,8,9 しかない場合,切札決めの 1 周目なら,配り手を交代して手を配りなおしにできます.

1 周目に全員がパスしたら,2 周目に入ります.“なし”なら,せりは終わり,1 周目と違い,他の人は代りに出られません.“切札”なら,2 周目の順番が来ていない人が,代わりに“なし”で出るか“パス”かを言い,残りの全員がパスしたら,“切札”のままで行くか,“なし”に変えるかを言います.切札の場合,表向きのカードの印以外の印を指名しなければなりません.切札を指名する前に,あとから配られる 2 枚の手札をみたら,切札なしになります.2 周目には“アシュカル”は言えません.

2 周目も全員パスしたら,配り手を交代して,手を配りなおします.

切札が決まったら,配り手は,表向きのカードを取った人には 2 枚,その他の人には 3 枚ずつ手札を配ります.

手札が配り手のミスで表向きになっても,それが A でなければ,ゲームを続けます.A なら,配り手を変えないで配り直します.

ダブル


切札を決めてからカード勝負に入るまでの間に,ダブルをいえます.ダブル,トリプルなどには,点数を倍にするだけでなく,手に勝ったチームがその手の両チームの得点を独り占めする効果があります.

切札がある場合,切札を指名したチームの相手は,点を倍にするダブルを言えます.ダブルを言われたら,表向きのカードを取った人は,点を 3 倍にするトリプルで応じられます.トリプルを言われたら,ダブルを言った人は,点を 4 倍にできます.4 倍を言われたら,表向きのカードを取った人は“勝負 (ガハワ)”といえます.勝負は,ゲーム全体の勝敗をこの手の勝敗で決めます.

ダブルと 4 倍では,切札の封印をあわせて指定できます.切札を封印すると,手札に切札以外のカードがある場合,先手で切札を出せません.

切札なしの場合,一方のチームが 100 点を超えていて,もう片方が 100 点以下の場合に限り,切札を指名したチームの相手はダブルを言えます.切札なしには,トリプル以上の倍はありません.

手役の宣言


手札に手役がある場合,1 回目のカード勝負に手札を出すとき,得点したい手役の種類をいいます.最強の手役を持つチームは,2 回目のカード勝負の前に,手役を公開します.同じカードは,1 つの手役でしか使えません.

手役は,弱いものから順に,次の通りです.同じ手役のなかでは,最上位のカードが上の方が強いです.手役のカードの順は,カードの強弱とは違い,上から下へ A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7 です.続き役も,この順での続きをみます.
  • 同じ印の 3 枚続き.20 点.
  • 同じ印の 4 枚続き.50 点.
  • 10,J,Q,K,A の 4 枚組.100 点.A は切札があるときだけです.
  • 同じ印の 5 枚以上の続き.100 点.
  • 切札なしのときの A の 4 枚組.400 点.

カード勝負


8 枚の手札で 8 回のカード勝負を行います.最初は配り手の右隣,以後は直前のカード勝負の勝者が先手になります.先手は,好きな手札を 1 枚表向きに場に出します.ついで,反時計回りに順番に手札をひとり 1 枚表向きにして出します.このとき,次のルールに従います.先手と同じ印がなかったら無条件に切札を使わされるのが気に入らなければ,フランス風のルールを使ってもいいでしょう.
  • 先手と同じ印があれば出す.
  • 先手と同じ印がない場合,切札があれば出す.
  • 先手が切札の場合,勝っているカードに勝てるカードがあれば出す.
切札が出た場合,一番強い切札,そうでなければ,先手の印で一番強いカードを出した人の勝ちです.カード勝負に勝った人は,出された 4 枚のカードを取ります.取ったカードは,チームでまとめて置きます.

バルート


切札の K と Q が手札にある場合,手からこのペアの 2 枚目を出すときに“バルート”というと 20 点を得られます.K と Q の一方が手役にある場合と,2 枚とも 5 枚続きの役にある場合は,バルートになりません.

得点計算


点数は,チームごとに,10 点単位で記録します.
  • 切札なしの場合,10 の桁で 4 捨 5 入 した点を 10 で割り 2 倍する.
  • 切札ありの場合,10 の桁で 5 捨 6 入 した点を 10 で割る.
  • 切札なし専用の手役 400 点は,例外的に切札なしの 2 倍がつかない.

バルートの点には,ダブル,トリプルなどの倍はつきません.

切札を指名したチームの点数が,相手のチームと同じか多いなら,両チームとも自分のチームの点を得ます.

切札を指名したチームの点数が,相手のチームより少ないなら,相手のチームが両チームの点を合わせて得ます.このとき,バルートの点は相手に渡しません.

ダブル,トリプルなどの場合は,その手の点数の多いチームが,バルート以外の相手の点も含む点を得ます.チームの点数を比べるとき,役の点を含めるかカード勝負の点だけ比べるかは,事前に決めてください.

2013年8月12日月曜日

中欧のトランプ

中欧で普通に使われているトランプは,“トランプ”と起源は同じでも,日本の花札と同じように,見かけがまったく違うものです.このタイプのトランプはハンガリー発祥で,デザインがよいだけでなく,肩のインデクスの助けを借りないでも,多くのカードの見分けが付く実用性を兼ね備えているからか,旧オーストリア・ハンガリー帝国領の各地方に普及しました.例外は,首都のウィーン (宮廷文化の地にふさわしくフランス風),チェコとチロル地方 (絵柄は似ているが,上下反転できない),セルビア (フランス風と併用) などです.

オーストリアなどでは,“Doppeldeutsche” (ダブル・ドイツ),ハンガリーでは“Magyar kártya” (ハンガリーのカード),旧ユーゴでは,Mađarice (ハンガリー風),Belot (ベロート用) など,ほとんど同じデザインのカードが別の名前で売られています.

特徴的なのは,エースに相当するカードがどう見ても 2 にしか見えない女性が描かれた絵札であることです.

同じオーストリアの Piatnik 社によるハンガリー語 (上) と,ドイツ語 (下) の 2 です.上辺中央にある春夏秋冬の言葉が違うだけでなく,よくよくみると,ハンガリー版のほうが女性が元気な表情をしています.
フランスやドイツと同じように,1 組のカードは 32 枚なので,1 つの印には 8 枚のカードがあります.例えば,赤 (ハート) は,次の通りです. 数札にも絵があり,芸が細かいです.

2013年8月10日土曜日

7 または点札取り

ハンガリー,チェコ,ルーマニア,旧ユーゴなどで遊ばれているゲームです.チェコ語,ルーマニア語,セルビア語などでは,“7”の意味の名で呼ばれ,ハンガリー語では,得点札を意味する名前で呼ばれるので,表題のように名づけて見ました.

(2013.8.12) トランプ以外でも遊べることを追記しました.
(2013.8.13) 延長のルールに関する変種の表現を改め,負けてないと延長できないが,味方に負けても延長できるというルールがあることを分かりやすくしました.実例は,例えば www.sedmice.com です.

人数とカード


2 人 2 組の 4 人か,2~3 人.中欧のトランプでは,印ごとに 2,10,王,上の僕,下の僕,9,8,7 の 32 枚組.3 人 のときは 8 を 2 枚取り除いて 30 枚にし,8 も 7 のように扱います.英米のトランプでは,2 は A,上の僕は Q,下の僕は J にそれぞれ対応します.

目的


ゲーム点 5 点,あるいは 10 点を先に取る.個々の手では,2 (A) と 10 を多くとってゲーム点を取る.

遊び方


最初にカードを配る人は好きな方法で決めます.以後は,順番に交代します.4 人の場合,味方同士は向い合って座ります.

配り手は,自分の右隣から反時計回りに順番に手札を 4 枚ずつ配り,残りは山札として場の中央に伏せておきます.

最初は配り手の右隣,そのあとは直前のカード勝負に勝った人が先手になります.先手は,手札を 1 枚表向きにして場に出します.ついで,先手の右隣から反時計回りに順に 1 人 1 枚ずつ手札を場に出します.先手と同じ大きさのカードか 7 を最後に出した人がそのカード勝負に勝ち,出されたカードを得ます.7 は他のカードより強く,7 が出たときは,最後に 7 を出した人が勝つとする人もいます.

先手に,自分が出したのと同じ大きさのカードまたは 7 があるなら,それを場に出して,カード勝負を延長できます.手札が続く限り,2 周以上でも延長できます.7 を他のカードより強いとする場合,7 が出たら,7 でないと延長できません.カード勝負の延長を,先手がカード勝負に勝っているときは認めない人も,先手のチームがカード勝負に勝っているときは認めない人も,常に認めない人もいます.

1 回のカード勝負が終わったら,勝った人から反時計回りに順番に,手札が 4 枚になるまで山札から手札を補充します.山札が足りない場合は,山札を全員で均等に分けます.

4 人で遊ぶとき,味方同士で,勝て,勝つな,2 (A) か 10 を出せ,出すなと指示することを認める人もいます.このとき,指示に従わなくても構いません.

2 (A) と 10 を多く取った方がゲーム点を得ます.4 対 4 のときは,最後のカード勝負に勝った方がゲーム点を得ます.ゲーム点は,取った 2 (A) と 10 の枚数が 4~7 枚のとき 1 点,8 枚で相手がカードを取ったとき 2 点,8 枚で相手がカードを 1 枚も取れなかったとき 3 点です.取った枚数に関わらず,常に勝った方に 1 点を与える人もいます.また,2 (A) と 10 各 1 枚につき 10 点,最後のカード勝負に勝ったら 10 点として,あらかじめ決めた手数の合計を競うか,目標点数に先に到達した方を勝ちとする人もいます.

トランプでなくても


このゲームは,印を区別しないので,8 種類のカードを 4 枚ずつ揃えられる花札,株札,麻雀牌などでも遊べます.例えば花札なら,花が書いてある梅,桜,藤,菖蒲,牡丹,萩,菊,桐の 8 ヶ月を使い,梅と桜の 8 枚を集めるとよいでしょう.ススキ (坊主) も花ですが,華がないので外してみました.先手と同じ月を最後に出した人が出された札を取ります.何でも取れる月は,外れている感じのする桐を使うか,ワイルドカードといえば雨と思う人は,桐を外して雨を入れるとよいでしょう.

2013年8月8日木曜日

プレフェランス (5)

実戦で役立つかもしれない情報を参考資料から拾ってみました.

勝ち数の見積り


何勝できそうか見積もるとき,印の違いは関係ないはずですが,“クラシック”の参考資料から抄訳した下記の一覧のように,ダイヤを特別扱いすることがあります.これは,先手で何を出すか迷ったらダイヤを出せと言う格言があるからです.この格言は,現代ロシアのルールでは意味がなく,他のプレーヤーがこの格言を知らなければ,前提が崩れるので,ダイヤを特別扱いするべきではないでしょう.

A: 1 勝
A, K: 2 勝
A, K, Q: 3 勝
A, K, Q, J: 4 勝
A, K, Q, J, x: 5 勝
A, K, Q, J, x, x: 6 勝
A, K, Q, J, x, x, x: 7 勝
A, K, Q, J, x, x, x, x: 8 勝
A, K, x, x: 3 勝
A, K, x, x, x: 4.5 勝
A, K, x, x, x, x: 6 勝
A, Q: 1 勝
A, Q, J: 1 勝
A, Q, J, x: 2.5 勝
A, Q, J, x, x: 3.5 勝
A, Q, J, x, x, x: 6.5 勝
A, Q, J, x, x, x, x: 7 勝
ダイヤの A: 1 勝
A, J, x: 1 勝
ダイヤの A, x, x: 2 勝
ダイヤの A, x, x, x: 4.5 勝
ダイヤの A, x, x, x, x: 5.5 勝
A, x, x: 1 勝
A, x, x, x: 1.5 勝
A, x, x, x, x: 2.5 勝
K: 0 勝
K, Q (マリヤージュ): 0.7 から 1 勝
K, Q, J (トレリヤージュ): 1.5 から 2 勝
K, Q, J, x: 3 勝
K, Q, x, x: 3 勝
K, Q, x, x, x: 4 勝
K, Q, x, x, x, x: 5 勝
K, Q, J, x, x, x, x: 6 勝
ダイヤの K: 0 勝
K, J, x: 0 勝
ダイヤの K, x, x: 0.5 から 2 勝
K, J, x, x, x: 2.5 勝
K, J, x, x, x, x: 4.5 勝
Q, J: 0 勝
Q, J, x: 0 から 0.3 勝
Q, J, x, x: 0.5 から 1.5 勝
Q, J, x, x, x: 3 勝
Q, J, x, x, x, x: 4.5 勝
J, x, x: 0 勝
J, x, x, x: 0 から 1 勝
J, x, x, x, x: 0 から 2 勝
x, x, x, x: 0 から 2 勝

ミゼールをいうには


手札のすべての印が次のような手をきれいなミゼールといいます.

1 枚目: 7
2 枚目: 8 か 9
3 枚目: 10 か J
4 枚目: Q か K
5 枚目: A

このうちどれかがない場合,ミゼールは,捕まる可能性があります.例えば,ある印が 7 と10 なら,2 枚目の 8 か 9 がありません.相手が 8 か 9 を先手で出したら 7 で応じなければならないので,次に残りの 9 か 8 を出されて,もう 1 人の手に同じ印が残っていなかったら,このミゼールは捕まってしまいます.

ミゼールが捕まる確率は,次の通りです.
7, 10: 50%
7, 9: 親が先手なら 5%
7, J: 80%
7, Q: 95%
8: 親が先手なら 5%,子が先手なら 30%
8, 9: 80%
9: 親が先手なら 15%,子なら 80-90%
7, 8 か 9, Q: 20%
7, 8 か 9, K: 70%
7, 8 か 9, A: 100%
7, 8 か 9, 10 か J, A: 10%

穴が 1 つか 2 つあっても,捕まる確率が 80% 以下なら,山札で穴がふさがるか捕まる確率が下がることを期待して,ミゼールを言ってもよいでしょう.7 がないのに他のカードが複数あるなら,ミゼールはリスクに見合いません.7 がないのにミゼールを言っていいのは,8 (か 9) 1 枚だけで,最初に先手で出せる場合だけです.

ロストフ風の山札


ロストフ風プレフェランスのオプションのルールとして,山札に (ほぼ) 確実に勝てるカードがあるときと山札を拒否したときの点があります.一見ふざけたルールに思えるこの点は,山札を取るか取らないかの判断を複雑にします.

山札を取らなければ,10 点もらえるので,山札を取るときは,山札で純得点を 10 点以上増やせなければ損です.3 人の場合,6 の代を宣言して 6 勝すると約 5.3 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると約 14.7 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合,山札を取るのは 2/3 点の損です.4 人の場合は,6 の代を宣言して 6 勝すると 7 点のプラス,7 の代を宣言して 7 勝すると 18 点のプラスなので,6 勝が 7 勝になる場合でも,山札を取った方が 1 点だけ得です.

同じように,山札に A があったときも,喜んで取るのでなく,山札を取らなかった場合より,純得点を 20 点以上増やせるか考えなければなりません.3 人でも,4 人でも,K-Q が A-K-Q になる場合のように,6 の代が 8 の代にならなければ,20 点の価値はありません.8 の代が 9 の代になっても 20 点は増えません.A-K は 30 点増,A 2 枚は 40 点増でなければ,割に合いません.

3 人の場合,6 から 7 は 9 1/3 点,6 から 8 は 22 2/3 点,6 から 9 は 40 点,6 から 10 は 61 1/3 点の違いです.7 から 8 は 13 1/3 点,7 から 9 は 30 2/3 点,7 から 10 は 52 点の違いです.8 から 9 は 17 1/3 点,8 から 10 は 38 2/3 点の違いです.9 から 10 は 21 1/3 点の違いです.

4 人の場合,6 から 7 は 11 点,6 から 8 は 26 点,6 から 9 は 45 点,6 から 10 は 68 点の違いです.7 から 8 は 15 点,7 から 9 は 34 点,7 から 10 は 57 点の違いです.8 から 9 は 19 点,8 から 10 は 42 点の違いです.9 から 10 は 25 点の違いです.

以上の理由から,ロストフは,他と比べて,6 の代の手が多くなりやすいです.ミゼール以外の
7 の代以上の手は,親が確実に取れる勝負を取るのを見るだけになりがちなので,接戦の 6 の代の方が,カード勝負は,面白いことが多いです.それでも,ラスパシーの点が相対的に高く,ラスパシーが勝敗を決してしまうことは,サンクトペテルブルク風と変わりません.

2013年8月6日火曜日

ドゥラークまたは“ばか” (1) 基本ルールとバリエーション

プレフェランスとは別の意味で旧ソ連諸国で盛んなゲームです.日本に例えると,ドゥラークは家族や友人が賭けずに遊ぶので大貧民,プレフェランスは学生や社会人,お偉いさんが賭けて雀荘のようやクラブやオンラインゲームで遊ぶので麻雀のような存在です.この名前と遊び方にもかかわらず,チェスの元世界チャンピオン カルポフやプロのカードプレーヤー ジェレズニャコフによると,2 人勝負のドゥラークは,最も知的に難しいトランプゲームのひとつです.

(2013.11.12) カード勝負のルールに不明点の多い十字軍式を削除しました.全体を読み直して,説明を補足し,細かい表現を直すとともに,修正履歴が長くなり過ぎたので,削除しました.
(2013.11.13) たらい回しのバリエーションに“待った”を,手札のバリエーションに等差数列を,攻守のルールのバリエーションに“くるくる”をそれぞれ追加しました.“くるくる”のロシア語名は,配り切り(дорожный)か交換(круговой)と同じですが,ルールは異なります.1週以上するカード勝負のルール,круговойの意味,および“ばか”との言葉の相性のよさを考えて,名づけました.“山積み”のカード補充の誤りを正すとともに,すべてのカードを取らないでよいバリエーションがあることを追記しました.一度削除した十字軍は,矛盾点の多いカード勝負のルールは,“くるくる”と同じルールを記述し切れていないと解釈するのが自然なので,復活させました.
(2013.11.14) durbetsel.ru の“без названия(無題)”のルールを,ダイヤの9を特別扱いする“くるくる”のバリエーションとして追記しました.
(2013.11.16) 引き分けに関するルールを書き足しました.
(2013.11.17) 飛び入りのルールを詳しくしました.
(2013.11.19) バリエーションに,変わる切札,バルチック,大きさでも印でも,チュホンスキー,見えない切札,裏返しを追加しました.
(2013.12.18) チーム戦の配り手の決め方を追記しました.

人数とカード


2~6 人.4 人か 6 人の場合,個人戦も,2 人か 3 人のチームに分かれて戦うこともできます.チーム戦では,同じチームの人は隣りに座らないようにします.2 人のチーム 3 つで戦うときは,各チームを 1,2,3 として,1,2,3,1,2,3 の順に座ります.4 つの印ごとに Т(A),К(K),Д(Q),В(J),10,9,8,7,6 の 36 枚のトランプを使います.この 36 枚組が,ロシアで普通に売っているトランプです.

目的


手札を人より先になくしてゲームから抜け,最後までゲームに残る“ドゥラーク(ばか)”にならないようにします.

カードの強さ


切札は他の印のカードに勝ちます.切札以外は,印が違うカードに勝てません.印が同じカード同士では,強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7,6 です.

カードを配る


最初にカードを配る人は,好きな方法で決めます.その後は,“ドゥラーク”が配り手です.チーム戦では,“ドゥラーク”のチームが,チームの中で自由に配り手を決めます.なお,前の手が引き分けなら,前の“ドゥラーク”が,引き続き配り手を務めます.

配り手は,全員にひとり 6 枚の手札を配ります.次の 1 枚を表向きにして場に置き,残りを伏せて直角に交わるように重ね,表向きのカードが何かわかるようにします.表向きのカードと同じ印が切札です.伏せたカードと表向きのカードが山札で,表向きのカードは,最後の山札です.

最後のカードまたは好きなカードを 1 枚抜いて表向きにする人もいます.手札に 5 枚以上同じ印がある場合,配り直しにする人がいます.表向きのカードが A の場合,配り直しにする人がいます.切札の 6 を手にしたら,いつでも表向きのカードと交換できるとする人がいます.

6 人の場合,カードを配り切るので,配り手は最後の 1 枚を全員に見せてから自分の手に入れます.このカードの印が切札です.

攻めと守り


このゲームには,いつも攻め手と守り手が 1 人ずついます.最弱の切札を持つ人が最初の攻め手で,2 手目以後は,“ドゥラーク”の左隣(ドゥラークが最後に攻める)または右隣(ドゥラークが最初に守る)のどちらを最初の攻め手にするか事前に決めます.最弱の切札を持つ人を探すには,まず切札の 6 を持つ人がいないか聞き,持っている人は,切札の 6 を全員に示してから,最初の攻め手になります.6 を持つ人がいなければ,同じように 7,8 と続けます.誰も切札を持っていなかったら,どうするかその場で決めてください.攻め手の左隣が守り手です.

攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.守り手は,攻め札 1 枚につき,勝つ手札を 1 枚表向きに,攻め札が見えるように重ねて出します.

同じ大きさの手札は,攻め札としてまとめて一度に出せるとする人がいます.

飛び入り


“飛び入りあるいは飛び込み (подкидной) ドゥラーク”というルールでは,守り手がすべての攻め札に守り札を出すたびに,攻め手および守り手の味方でない人は,場に出ている攻守のカードと大きさが同じ手札を,攻め札として追加できます.追加の攻め札を出す順番は自由で,特にルールはありません.追加する攻め札は,場に出ている攻め札の横に並べて置きます.攻め札が 6 枚になるか,守り始めたときの守り手の手札が 5 枚以下なら,その枚数になったら,攻め札を追加できません.

追加を,いつも攻め手から始め,攻め手が終わったら時計回りで次の人というように順番に行う人もいます.順番はないが,攻め手が追加しないと,他の人は追加できないとする人もいます.順番はないが攻め手をいつも優先する人もいます.4 人以上の個人戦で,攻め札を追加できる人を,守り手の両隣りの 2 人だけにする人がいます.多人数の個人戦では,はじめの守り手が不利なので,最初の守り手,あるいは,守備に成功する人が出るまでは,攻め札を 5 枚以下に制限する人がいます.

攻守の終わり


出された攻め札すべてに守り札を出せば,守備は成功で,出せないか出すのを止めたら,守備は失敗です.守備が成功したら,場に出たカードは伏せて片付け,次の手まで使いません.守備が失敗したら,失敗した守り手は,自分と攻撃側が出したすべてのカードを自分の手札に加えます.

守備が失敗したとき,攻め札が上限まで出ていなければ,攻撃側は,上限まで攻め札を追加できるとする人がいます.

手札の補充と上がり


守備が成功か失敗したら,攻め手は,手札が 5 枚以下なら,手札が 6 枚になるまで,山札をもらいます.攻め手が終わったら,手札が 5 枚以下の人は,時計回り順に手札を 6 枚に戻し,最後に守り手が手札を補充します.山札がなくなったら,手札を補充しないで,手札を 0 枚にした人は上がりでゲームから抜けます.山札があるうちは,手札を使いきっても,手札を補充しなければなりません.

攻守の交代


守り手が失敗したときは,守り手の左隣が次の攻め手です.守り手が成功し,上がっていないときは,次の攻め手になります.守り手が成功して上がったときは,その左隣が次の攻め手です.どの場合も,次の守り手は,次の攻め手の左隣です.

勝敗


守備と手札の補充が終わったとき,手札を持っているのが 1 人か 1 チームだけなら,その人かチームが負けです.敗者は攻守の途中では決まらないので,攻め手の最後の 1 枚の手札での攻めを守り手が最後の 1 枚の手札で守ったら,引き分けです.引き分けを認めないなら,この場合,守り手の負けとします.

負けた人は,“ドゥラーク”とよばれます.ロシア語でアホ,バカ,まぬけの意味のありがたくない称号です.“イワンのばか”の“ばか”の原語です.パーティーなどで遊ぶ場合,ドゥラークになった人は,お酒を一杯飲む,帽子をかぶるなどします.

切札でない 6 が 1 枚だけ,または 6 が 2 枚以上だけの手札の相手に攻められて負けるのは,特に不名誉な負け方です.

戦術


ドゥラークは珍しいタイプのゲームなので,慣れないと戦い方も分からないと思います.ドゥラークの戦術の記事を参考にしてみてください.

たらい回しドゥラーク


“たらい回し (переводной) ドゥラーク”では,攻め手の最初の攻め札と同じ大きさの手札を守り手が出すと,この守り手が攻め手になり,その左隣りの人が守り手になります.たらい回しを起こしたカードは,はじめの攻め札と共に攻め札になります.新たに守り手になった人も同じようにできるので,守り手が一周して,初めの攻め手が守り手になることもあります.守り手になる人の手札が攻め札より少ない場合,たらい回しはできません.

攻め手が 1 巡するまでは,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡は,たらい回しを認めない人がいます.最後の 1 巡で認める場合,最後の守り手を越えるなら,反時計回りに回す人もいます.

切札は,出さずに見せるだけで,たらい回しできるとする人がいます.ただし,たらい回しが 1 週したあとは,切札でも出さなければならないとするのが普通です.

単純なドゥラーク


“単純な (простой) ドゥラーク”は,すべてのバリエーションの元になった古いルールです.飛び入りがありません.攻め手は,好きな手札を 1 枚,または同じ大きさの手札 2 枚を攻め札にできます.守り手の手札の枚数より多い攻め札は出せません.

守備が失敗したとき,守られた攻め札と守り札は,守り手が取らないで,片付けるとする人がいます.攻め札の出し方のバリエーションも参照してください.

バリエーション


ロシア語版 Wikipedia や,その多くのバリエーションの元ネタである www.durbetsel.ru の“Правила игры в дурака” (ドゥラークのルール) に書かれているものだけで 40 を超えるバリエーションがあります.また,アルメニア式と 2 度目のチャンスとポーカーのようにバリエーションを組み合わせることもあります.この記事では,pagat.comによれば“まれ”で,ロシア語のルール記述では全く言及されないことが多い 52 枚のトランプを使うバリエーション,パーティーゲーム的なもの,ルール記述が理解できなかったものを除いて紹介します.

競技ルール


  • ロシア選手権のルール.人数は 2 人,トランプは,普通のドゥラークと異なり 6 を抜いた 32 枚,あとバックギャモンのダブリングキューブを 1 つ使います.カードをシャッフルし配るのは,プレーヤーでなく,専門のディーラーです.プロを含めたロシア頂上決戦では,会場のカジノ“コスモス”がディーラーを務めました.15 点を先に取った人の勝ちです.第 1 局の先攻は,トランプを 1 枚ずつ引いて決め,以後は互先です.カード勝負のルールは,飛び入りドゥラークですが,普通と異なり,引き分けは認めません.相手を負けまたは下りに追い込むと 1 点です.ダブリングキューブを持つ人は,相手にダブリングキューブを渡し,ゲームの点を 2 倍にしてゲームを続けるか,下りるか選ばせることができます.手の始めは,2 人どちらも,ダブリングキューブを使えます.なお,このルールの参考情報は,コメルサントの記事“Гроссмейстеры подкидного дурака (飛び入りドゥラークのグランドマスターたち)”(www.kommersant.ru/doc/21092),www.marriage.ruのロシア頂上対決の記事“Русский дурак в "Космосе" (カジノ“コスモス”でのロシア・ドゥラーク)”(www.marriage.ru/durak/),および 1997 年 12 月 14 日版モスコフスキー・コムソモリェツ紙の記事“Как карпов своего подопечного сдал(カルポフが弟子から離れたら)”(http://holio.ru/99/160)です.

グループ戦


  • 2 対 2.2 人のチーム 2 組で遊びます.ペアどうしは向かいあって座ります.個人でなく,チームが負けます.先に上がると,味方が 1 対 2 で戦うことを考える必要があります.
  • ペア戦の変種.2 人のチーム 2 組で遊ぶとき,1 人が上がったら,手の残りは個人戦にします.

カードの強弱


  • 日本式 (ヤポンスキー),あるいは“スペードにはスペードを”.スペードに勝てるのはスペードだけで,切札でも勝てません.また,スペードは切札になれません.切札表示がスペードなら,切札はなしです.スペードの女王をスペード最強のカードにする人がいます.切札表示を使わないで,ダイヤを常に切札にすることもあります.
  • 切札なし.切札なしで遊びます.
  • 自分の切札.ひとりずつ自分専用の印を切札にします.攻め手が自分の切札で攻めても,守り手には,切札としての効果はありません.攻め手が切札で攻めたら,守り手は切札で応じなければならないとする人がいます.
  • 印なし.切札以外の印の違いを区別しません.例えば,切札でない J には,どの Q でも勝てます.
  • ロワイヤル.6 に勝つのは A だけです.切札の A は,どの 6 にも勝てます.その上,同じように,A に勝つのは 6 だけとする人がいます.
  • 隠し切札.切札表示の下か側に 1 枚カードを伏せておきます.このカードが最後の山札で,切札表示はその 1 つ前の山札です.切札表示を取ったときに,このカードを表向きして全員に見せ,手が終わるまで,切札をこのカードの印に変えます.
  • 変わる切札.守り手が守りきったとき,最後に守りで出したカードと切札表示を交換してから,カードを片付けます.切札は,新しい切札表示の印に変わります.

少人数または多人数


  • 飛び入りダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは飛び入りできますが,攻めと守りはできません.
  • プレーするダミー.架空のプレーヤーであるダミーの手札を配ります.最初の攻め手は,ダミーの手札も扱います.ダミーは,攻め,飛び入り,守りがすべてできます.
  • ダブル.36 枚のトランプ 2 組を使います.攻め札と印も大きさも同じカードを守りで出すと,飛び入り禁止になるとする人がいます.

手札の変形


  • 取り替え.攻守が終わり,山札があるなら手札を補充したあと,全員が,自分の手札を左隣の人に渡して,時計回りに手札を交換します.
  • 使い切り.手札の補充は,手札を使い切ったときしかできません.
  • マガダン式.6 枚の手札を 1 枚は手に,残り 5 枚は目の前に伏せて配ります.伏せてある手札は使えません.守り札を 1 枚出すたびに,伏せてある手札から好きな 1 枚を手に入れます.手札を補充するときは,手札の枚数に,伏せてある手札も含めます.山札がなくなったら,全員が,伏せた手札をすべて手に入れます.
  • 等差数列.手札を 1 人 1 枚ずつ配ります.最初の手札の補充では,手札が 2 枚になるまで補充します.2 度目は 3 枚,3 度目は 4 枚と,山札がなくなるまで補充の枚数を 1 枚ずつ増やし続けます.
  • ポーカー.手札が 6 枚以下なら,守る前に手札を 2 枚捨て,山札から 2 枚補充できます.
  • ポー ランド式.手札なしで始めます.場の中央にカードを表向きに 1 枚置きます.この印が切札です.残りのカードは山札で,切札を囲むように伏せて広げます.配り手の左隣は,好きな山札を 1 枚取り,表向きにして,切札の上にのせます.その左隣の人から順に時計回りに,山札から好きなカードを 1 枚引き,右隣の人が置いたカードに勝てるならその上にのせて守り,もう 1 枚カードを引いて,左隣の人への攻め札としてその上にのせます.勝てないなら,右隣の人が置いたカードと山から引いたカードの合計 2 枚を手に取り,山をめくって,表向きのカードの山の上に攻め札として表向きにしてのせます.手にカードがあるときは,山札を引けず,守り札も,次の人への 攻め札も手札から出します.山札がなくなったら,守れないときは,一番上のカード 3 枚を取ります.次の人は,カードを取った後に一番上になったカードに対して守り札を出します.
  • 印合わせ.手札なしで始めます.山札の一番上のカードを表向きにして場におきます.最初の人から順に,時計回りに,山札がなくなるまで,次のようにします.山札の先頭のカードを 1 枚めくります.このカードが場のカードのどれか 1 枚と同じ印で強いなら,このカードとその場のカードの合計 2 枚を手に入れ,山札の次のカードをめくって場に置きます.そうでなければ,めくったカードを表向きにして場に置きます.めくったカードが,場の複数のカー ドに勝てるときは,勝てるカードのうち,好きな 1 枚を取ります.山札の最後のカードの印が切札です.また,最後のカードは,場のカードを全部取ります.この後は,飛び入りかたらい回しのルールでゲームを 行います.一番弱い切札を持つ人が,最初の攻め手です.
  • 十字軍.手札なしで始めます.全員にカードを 1 枚ずつ表向きに配ります.一番大きなカードを配られた人から順に,時計回りに,次のようにします.まず,山札から 1 枚カードを引きます.引いたカードをのせられるカードがあれば,その上にのせて,自分の番を終えます.表向きのカードには,大きさが 1 つ上のカードをのせられます.A には,6 をのせられます.のせられるカードが 2 枚以上あるときは,時計回りに見て自分に一番近いカードの上にのせます.どこにものせられなければ,引いたカードを手札に加えて,自分の番を終えます.山札がなくなったら,全員が,自分の目の前にあるカードの山を手札に加えて,ゲームを始めます.切札はダイヤですが,クラブに勝てるのはクラブだけです.“くるくる”のルールで,手札にダイヤの 6 がある人が,最初に手札を出します.
  • 裏返し.手札の背を自分に向け,自分はカードが見えず,相手には見えるように持ちます.守り手が,攻め札を守るカードを出せたら,飛び入りできます.守り か飛び入りで間違ったカードを出したら,出ているすべての攻め札と守り札を手に入れます.カードを取った人の左隣が次の攻め手です.

山札を使う攻守


  • アルメニア式あるいはアルバニア式.手札の代わりに,山札の一番上のカードをめくって攻め札を出せます.
  • 2 度目のチャンス.守りに使える手札がない場合,山札をめくり,それが使えるなら出し,使えないなら手札に加えます.

山札の変形


  • チュクチ式.手札を配り終えたら,切札表示ごと山札を片付けます.
  • 配りきり.人数で割り切れるように,低いカードを適切な枚数取り除いてから,山札を残さずに,すべて手札として配りきります.最後に配るカードは,全員に見せてから,配り手の手に入れます.この印のカードが切札です.
  • リサイクル.山札があるうちは,守備が成功したとき,2 回に 1 度は場に出たカードを片付けないで,山札に戻します.
  • 見えない切札.ゲームに参加しない配り手が,手札を配ったあと,切札表示を表向きにしないで,山札の底のカードを見て,その印を切札として告げます.

飛び入り


  • アメリカ式.誰も飛び入りのカードを出せない場合,守り手が,自分の手札で飛び入りして,それを自分で守れます.
  • ずるい.守れない攻め札を出した人は,守り手の代わりにそのカードを守って,自分の手札を減らし,守り手が取るカードを増やせます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 厚かましい.“ずるい”に,飛び入りを始めるときは,自分で出したカードを自分で守るというルールを付け加えます.この守り札と同じ大きさのカードが出ていなかったら,このカードでは飛び入りできません.
  • 飛び入り禁止.たらい回しのルールで,飛び入りは認めません.攻め札と同じ大きさのカードが手札にあるときは,一緒に出さなければなりません.
  • 雪崩.6 枚でなく,守り手の手札の枚数まで飛び入りできます (playset.ru のブログ記事 дурака до завала に紹介されていました).
  • 大きさでも印でも.同じ大きさだけでなく,同じ印のカードでも飛び入りできます.

たらい回し


  • 待った.残り 2 人で,攻め手が最後の 1 枚の手札を出したとき,その相手は,攻め手に手札がないにもかかわらず,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 1.飛び入りのときも,たらい回しできます.
  • たらい回しの追加ルール 2.たらい回しされた人は,たらい回しを起こしたカードだけ守ればよいとします.
  • バルチック.守り手は,攻め札を守るとき,守り札と同じ大きさの手札が別にあれば,一緒に出せます.こうすると,攻め手と守り手が入れ替わり,もとの攻め手は,守り手が一緒に出したカードをすべて守らなければなりません.

攻守のルール


  • くるくる.全員の手札の枚数ができるだけ同じになるように,カードを配り切ります.山札はありません.最後のカードは,全員に見せてから,配り手の手札に入れます.このカードの印が切札です.配り手の左隣から順に,時計回りに,場の一番上のカードに勝つ手札を 1 枚その上に出すか,場の一番下のカードを 1 枚取って手札に加えます.場にカードが 1 枚もないときは,好きな手札を出せます.ゲームに残っている人数と同じ枚数のカードが場に出たら,場のカードを片付け,最後にカードを出した人が,次にカードを出します.場のカードが取られてなくなったら,最後にカードを取った人の左隣が,次にカードを出します.ダイヤの9を,次の2つの特別な働きがあるカードにする人がいます.ダイヤの9が手札にある人が最初に手札を出します.他のカードの上にダイヤの9を出したら,出ている枚数に関係なく,場のカードを片付けて,次に手札を出せます.
  • 中国式.切札表示はなく,スペードが常に切札です.ただし,クラブにはクラブしか勝てません.攻め手は,好きな手札を 1 枚表向きで出します.攻め手の左隣から順に,時計回りに,一番上の表向きのカードに勝つ手札を 1 枚表向きで出します.出した手札は,新しい一番上のカードになります.表向きのカードが 5 枚になったら,片付けます.この場合,最後に手札を出した人が,次の攻め手です.手札が出せないか,出したくないなら,表向きのカードの一番下を手札に入れ,他を片付けます.この場合,カードを取った人の左隣が,次の攻め手です.山札を残さないで,すべてのカードを手札として配りきる人もいます.10 は K に勝ち A に負けるとする人もいます.表向きのカードの枚数が,ゲームに残っている人数と同じになったら,片付ける人もいます.
  • 山積み.1 枚ずつ 3 枚の手札を配り,次のカードを切札表示として表向きにし,その上に山札をのせます.攻め手が攻め札を 1 枚出し,その左隣が守ります.守れた攻め札と守り札は,片付けないで,場においておきます.守り札を出せたら,次の攻め手になります.守れないか,守りたくなければ,場にあるカードをすべて取ります.この場合次の攻め手は,カードを取った人の左隣です.山札があるうちは,攻守が済むたびに,手札が 2 枚以下の人は,手札が 3 枚になるまで補充します.守れなかった攻め札が切札なら最後の 5 枚,そうでなければ最後の 3 枚を取るとする人もいます.
  • チュホンスキー.カードをすべて,なるべく同じ枚数になるように,手札として配りきります.最初の攻め手は,1手目は配り手の左隣,2手目は,配り手の左隣か右隣かどちらか決めておきます.ぐるぐるか中国式のように,順番に大きいカードを出します.枚数の制限はありません.Aが出たら,出されたカードをすべて片付けます.このとき,次に手札を出すのは,Aを出した人です.出せるカードがないか,出したくない人は,一番上のカードを1枚取り,残りのカードを片付けます.このとき,次にカードを出すのは,カードを取った人の左隣です.

単純なドゥラークの攻め札


  • ペア.手札は 5 枚です.手札の補充でも,手札を 5 枚に戻します.1 枚,大きさが同じカード 2 枚と他の 1 枚,あるいはペア 2 組と他の 1 枚を攻め札として出せます.
  • グループ.基本のルールはペアで,3 枚組と 4 枚組も攻め札にできます.3 枚組には他の 1 枚を付けられません.

その他


  • お人好し.守り手が失敗しても,順番を飛ばさずに,次の攻め手になれます.
  • 弱虫.飛び入りでない攻めには,最強の手札しか出せません.
  • 点数制.守ったカード数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れたカード数を数えます.
  • 絵札.10 以上の攻め札を守った枚数が一番少ない人を敗者とします.守備が失敗したときも,守れた枚数を数えます.
  • 肩章.攻め札と飛び入りで,同じ大きさのカード2枚を同時に出した回数が一番少ない人を敗者とします.
  • ダウト.守りのカードは伏せて出します.このカードが守れていないと疑う人は,“うそ!”,“ダウト”などといい,カードを表向きにします.守れていたら,ダウトした人が,出されたカードをすべて取ります.守れていなかったら,守り手が,出されたカードをすべて取ります.

    2013年8月5日月曜日

    フランスのタロット

    タロットは,ヨーロッパ大陸では普通の遊び道具です.イギリスに伝わらなかったために,英米では占い専用の道具だと思われています.フランスでは,ブロートについで人気のあるトランプゲームがタロット(フランス語読みだと“タロ(ー),tarot”)です.

    人数とカード


    4 人.3 人,5 人でも可能.4 つの印は,王 (R),妃 (D),騎士 (C),召使 (V),10~1 の 14枚,切札は 21~1 の 21 枚,エクスキューズ (★) 1 枚の計 78 枚.

    カードの強さと点数


    4 つの印は,強い順に,R,D,C,V,10,9,…,2,1 です.1 は一番弱いカードです.切札は,強い順に 21,20,…,2,1 です.エクスキューズはいつも負けます.

    カードの点は,普通のカード 1 枚との 2 枚組単位で数えます.切札の 21,1 とエクスキューズの 3 枚は,ブー (bouts) またはウドレール (oudlers) と呼ばれ,1 組 5 点,R も 5 点,D は 4 点,C は 3 点,V は 2 点,それ以外のカードは普通のカードで,1 点です.ブーと R は,1 枚 4.5 点,D は 3.5 点,C は 2.5 点,V は 1.5 点,普通のカードは 0.5 点と考えてもいいです.

    カードを配る


    最初にカードを配る人は,好きな方法で決め,あとは反時計回りに交代します.ゲームを始める前に 1 度だけシャッフルするほかは,シャッフルしません.カードを配る人は,左隣の人にカードをカットしてもらってから,右隣の人から反時計回りに,ひとり 18 枚の手札を 3 枚ずつ配ります.また,6 枚の山札, フランス語では“犬”を意味する“ル・シアン (le chien)”を場に伏せて置きます.山札は,最初と最後に配らず,2 枚続けて配らなければ,いつ配っても構いません.3 人のときは手札 24 枚山札 6 枚,5 人のときは手札 15 枚山札 3 枚にします.

    手札を配り終わったら,手札に切札が 1 (プチ) しかなく,エクスキューズもない人は,そのことを言わなければなりません.そうしたら,配り手を交代して,手を配り直します.この場合に,配り直しにしないで,プチもエクスキューズのように扱ってカード勝負を行う人もいます.手札に切札が 1 枚もないときと,絵札と切札の合計が一定の枚数以下の場合も,同じように配り直しにする人が多いです.

    せり


    カードを配り終えたら,配り手の右隣から,反時計回りにせりを行います.せりでは,その手で最後に言われたものより上の目標を言うか,パスします.パスしたら,その手のせりには戻れません.全員がパスしたら,配り手を変えて配り直します.せりで言える目標は,公式ルールでは,下から順に次のとおりです.
    • プリーズ (prise).山札交換を行う.
    • ギャルド (garde).プリーズと同じ.得失点は倍.
    • ギャルド・サン(・ル・シアン) (garde sans [le chien]).山札を交換しない.山札の点は自分のもの.得失点は 4 倍.
    • ギャルド・コントル(・ル・シアン) (garde contre [le chien]).山札を交換しない.山札の点は相手のもの.得失点は 6 倍.8 倍にする人もいます.

    競技会以外では,プリーズとギャルドの代わりに次の 2 つを使う人もいます.
    • プチット (petite).プリーズと同じ.
    • プス (pousse).プチットと内容も得失点も同じだが,プチットより上.

    せりに最後までパスしないで残った人が親となります.他の全員は,子となり,協力して,親の目標を阻むことを目指します.

    5 人のときは,親は,山札交換の前に,4 枚の R のうちの 1 枚を指名します.この R を持つ人は,親のパートナーになります.親の手札に R が 4 枚あるときは,D を指名します.R も D も 4 枚ずつあるときは,C を指名します.R,D,C が全部 4 枚あるときは,パートナーなしに 1 人で親を務めなければなりません.

    山札交換


    プリーズ (プチット),プス,ギャルドの場合,親は,山札を表にして全員に公開してから,手札に加え,同じ枚数の手札を伏せて捨てます.R と切札は捨てられません.他に捨てられるカードがなければ,ブー以外の切札を捨てられます.切札を捨てた場合,捨てた切札を他の人に見せなければなりません.捨てたカードの点は,親のものになります.

    全勝を目指す“シュレム (chelem)”の宣言は,山札交換後,カード勝負が始まるまでの間に行います.せりと一緒にシュレムを宣言しても構いません.

    カード勝負


    18 枚の手札で 18 回のカード勝負を行います.配り手の右隣,シュレム宣言があった場合,シュレム宣言した人が,最初の先手です.その後は,直前のカード勝負に勝った人が先手です.先手は,好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.その後,先手の右隣の人から,順番に反時計回りに 1 枚手札を表向きにして場に出します.このとき,先手がスペードならスペード,クラブならクラブ,ダイヤならダイヤ,ハートならハート,切札なら切札があれば出さなければなりません.合う種類がなく切札があるときは切札を出さなければなりません.それもないときは,好きな手札を出します.切札を出すときは,場に出ているカードに勝てる切札を持っていたら,出さなければなりません.全員が 1 枚ずつ手札を出したら 1 回のカード勝負は終わります.一番強い切札,切札が出なかったときは,先手と同じ印で一番強いカードを出した人が勝ちです.勝った人 (側) は,カード勝負に出されたカードとカードの点を得ます.

    エクスキューズは,このルールを無視して,いつでも出せます.エクスキューズはカード勝負にかならず負けますが,勝った人が取るのでなく,出した人 (側) の取札になります.カード勝負に勝ったのにエクスキューズを取れなかった人 (側) は,相手の取札から普通のカードを 1 枚もらえます.相手の取札に普通のカードがなければ,後からもらいます.先手がエクスキューズのときは,右隣の人は何を出してもよく,その印が,そのカード勝負の印になります.18 回目のカード勝負にエクスキューズが出たときは特別で,エクスキューズは,出した人の相手側のものになります.ただし,直前の 17 回すべてに勝った人 (側) がエクスキューズを出したときは,例外的に,エクスキューズは出した人のものになります.

    1 回目のカード勝負に手札を出すときに,手札に切札が 10 枚以上,13 枚以上,または 15 枚以上ある人は,それぞれシングル,ダブル,トリプルのポワニェ (poignée) を宣言できます.点数は,シングルが 20 点,ダブルが 40 点,トリプルが 60 点です.ポワニェは,常に勝った側の点になるので,自分側が勝てないと考えるときは,宣言しないほうが得です.3 人のときは,13 枚以上で 20 点,15 枚以上で 40 点,18 枚以上で 60 点です.5 人のときは,8 枚以上で 20 点,10 枚以上で 40 点,13 枚以上で 60 点です.

    1 回目のカード勝負に手札を出すときに,手札に切札も絵札もない人が,“ミゼール”を宣言することを認める人がいます.ミゼールの点は 10 点です.

    得点計算


    親の取札の点が目標点以上なら,親は,他の人ひとりずつから,次の点をもらえます.目標点に達しなかったら,親は,他の人ひとりずつに,次の点を払います.目標点は,親がブーを何枚取ったで変わり,ブー 3 枚なら 36 点,2 枚なら 41 点,1 枚なら 51 点,0 枚なら 56 点です.

    点は,“(25 点 + 目標点と親の取札の点の差の絶対値 + 最後のプチの点)×せりの倍 + ポワニェのボーナス + シュレムのボーナス”です.

    18 回目に切札の 1 (プチ) が出た場合を,Petit au bout (最後のプチ) といいます.全勝した人が 18 回目にエクスキューズ,17 回目にプチを出したときも,最後のプチと認められます.最後のプチに勝った側が点数をもらう側のときはプラス 10 点,点数を払う側のときはマイナス 10 点です.

    シュレムを宣言して全勝すると 400 点,失敗すると 200 点です.宣言なしのシュレムは 200 点です.15 勝することを意味するプチ・シュレムを認める人もいます.宣言に成功して 300 点,失敗して 150 点,宣言なしだと 150 点です.

    せりの目安


    手札を次のように採点します.
    • 切札の 21 は 10 点.エクスキューズ 8 点.切札の 1 は 切札が 1~3 枚のときは 0 点,4 枚なら 5 点,5 枚なら 7 点,6 枚以上なら 9 点.
    • ブーを含む切札 が 4 枚以上あるなら,切札 1 枚につき 2 点.切札の 16~21 1 枚につき 2 点.切札の 16~21 が連続していたら,1 枚につき 1 点.
    • 同じ印の王と妃は 10 点.妃なしの王は 6 点.王なしの妃は 3 点.騎士は 2 点,召使は 1 点.
    • 同じ印のカード 5 枚は 5 点,6 枚は 7 点,7 枚以上は 9 点.
    • ギャルド・サンかギャルド・コントルなら,ある印が手になければ 6 点,ある印のカードが 1 枚しかなければ 3 点.

    39 点以下ならパス,40 点以上 55 点以下ならプリーズ,56 点以上 70 点以下ならギャルド,71 点以上 80 点以下ならギャルド・サン,81 点以上ならギャルド・コントルをせりで言ってもよいでしょう.

    2013年8月3日土曜日

    闘地主

    中国大陸で盛んなゲームです.オンラインゲームでも,人気があります.

    必要な人と物


    3 人で遊びます.トランプは,英米風の 52 枚組と色の違うジョーカー 2 枚の 54 枚です.ジョーカー 2 枚は色などで違いが分かるようにします.他のカードは,大きさだけを区別し,印は区別しません.

    カードを配る


    カードを伏せて,全員でかき混ぜ,ひとり 17 枚の手札を,1〜数枚ずつ,反時計回りに取ります.最初にカードを取る人の決め方と,カードの取り方は,事前に決めておきます.残り 3 枚は伏せてテーブルに置いておきます.

    せり


    手札を見て,反時計回りに,順番に,“1点”,“2点”,
    “3点”,“パス”のどれかをいいます.せりを始める人の決め方は,事前に決めて置きます.例えば,直前の地主が,カードを混ぜた後に 1 枚のカードを表向きにして見せてから戻し,このカードを手にした人からはじめます.点数は,すでに言われているものより大きいものでないと言えません.一番大きい点数を言った人が“地主”です.

    3 人ともパスした場合,カードを配りなおします.

    地主は,テーブルに伏せてあった 3 枚のカードを他の 2 人に見せてから,自分の手に加えます.

    カード勝負


    地主が,最初のカードを出します.2 人が連続してパスするまで,反時計回りに,最後に出されたカードに勝てるカードを出すか,または,パスします. その後は,2 人を連続してパスさせた人が,手札から好きなカードを出し,また,2 人が連続してパスするまで順番にカードを出します.誰かが手札をすべて出したら上がりで,その手は終わりです.

    手札から出せるカードの組み合わせは,次のとおりです.カードの組み合わせの説明には,次の文字を使います.違う文字に,同じ数字のカードは使えません.

    • a, b, c, ...: 何でもよい.強さの順は,上から下に,2,A,K,…,3.
    • p, q, r, ...: 大きさが連続するカード.2 とジョーカーは使えない.印は違ってもよい.例えば,Q-K-A,3-4-5-6-7.最上位のカードを比較する.強さの順は,上から下に,A,K,…,3.
    • i, j, k, l, …: 3 枚組か 4 枚組に付くカード.a, b, c…,p, q, r…と違うカードなら何でもよく,強弱の比較対象にならない.

    ジョーカーのペアの“ロケット”と同じ数字 4 枚の“爆弾”は,最初に出された組み合わせの種類と枚数に関係なく,いつでも出せます.それ以外の組み合わせは,最初に出されたカードと枚数及び組み合わせの種類が同じでなければ出せません.

    • ロケット 赤ジョーカー(大王)と黒ジョーカー(小王)のペア:あらゆるカードに勝てます.
    • 爆弾 aaaa:4 枚組.ロケット及びより大きい爆弾以外のあらゆるカードに勝てます.
    • 単張 a:1 枚.強い順に,大王(赤ジョーカー),小王(黒ジョーカー),2,A,K,…3.
    • 一対 aa:2 枚組.3-3 など.
    • 三不帯 aaa:何も付かない 3 枚組.5-5-5 など.
    • 三帯一 aaai:1 枚を付けた 3 枚組.組の強さだけを比較します.6-6-6 9 など.
    • 三帯二 aaaii:2 枚組を付けた 3 枚組.3 枚組の強さだけを比較します.2 枚組がジョーカーでも,ロケットにはなりません.7-7-7 4-4 など.
    • 単順 pqrst...:5 枚以上の続き.10-J-Q-K-A,3-4-5-6-7-8 など.
    • 双順 ppqqrr...:2 枚組の 3 組以上の続き.Q-Q-K-K-A-A,6-6-7-7-8-8-9-9 など.
    • 翼なし飛行機 (飛機不帯翼) pppqqq...:3 枚組の 2 組以上の続き.K-K-K-A-A-A,7-7-7-8-8-8-9-9-9 など.
    • 小さい翼の飛行機 (飛機帯小翼) pppqqq... ij...:1 枚付き 3 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくて構いません.7-7-7 8-8-8 3 Joker など.
    • 大きい翼の飛行機 (飛機帯大翼) pppqqq... iijj...:2 枚組付き 3 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくて構いません.3-3-3 4-4-4 8-8 10-10 など.2 枚組がジョーカーでも,ロケットにはなりません.
    • 四帯二 aaaaij:2 枚を付けた 4 枚組.2 枚に 2 枚組を認める人もいます (aaaaii).爆弾にはなりません.
    • 四帯二 aaaaiijj:2 枚組 2 組を付けた 4 枚組.爆弾にはなりません.2 枚組がジョーカーでも,ロケットにはなりません.

    4枚組 2組以上の続き“空飛ぶ飛行機 (航天飛機)”も,認められますが,手札にあることはまれです.爆弾にも,ロケットにもなりません.翼なし,小さい翼,大きい翼を付けられます.

    • ppppqqqq...:4 枚組の 2 組以上の 続き.
    • ppppqqqq... ijkl...:2 枚付き4 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくて構いません.
    • ppppqqqq... iijjkkll...:2 枚組 2 組付き 4 枚組の 2 組以上の続き.付けたカードは続きでなくてかまいません.

     

    手の終了と点数計算


    誰かが上がったら,地主が宣言した点に基づき,点数を受け渡します.地主が上がったときは,地主以外の 2 人は,それぞれ,宣言点を地主に渡します.地主以外が上がったときは,地主は,他の 2 人に,それぞれ宣言点を渡します.

    この点には,次の倍のうち当てはまるものをすべてかけます.
    • ロケットか爆弾が出された回数だけ,点を 2 倍します.例えば,1 回なら 2 倍,2 回なら 4 倍,3 回なら 8 倍です.
    • 地主が上がり,他の 2 人が 1 枚も出せなかったときは,点を 2 倍にします.
    • 地主以外が上がり,地主は最初の 1 度しかカードを出せなかったときは,点を 2 倍にします.

    2013年8月2日金曜日

    Rules of Russian Preferans (3) Classical

    This is according to "Preferans: Rules and Variations (Преферанс: правила и разновидности)" supposedly  approved by General Meeting of Preferansists, Moscow State University in 1971, when the document itself recognised that Sochi was the most popular variant but it gave almost complete description of the classical preferans.

    Seating


    Who draws the highest card and is seated last shuffles the pack again and deal cards to each players, one at a time face up, starting from his/her neighbour to his/her left and clockwise. A player who gets the first ace becomes the first dealer, and final lap ends when deal would move to him/her.

    Structure of a game


    A game consists of two halves. The first half is "rogue" (razboynik), or compulsory hands and the second free. Two laps of all-pass hands are played in the half-time. At the end of the first half, a player with the largest points on his/her hill has the right to determine the stakes, size of the pool, and duration of the second half. The other players can advise him/her, but cannot dictate what he/she says. The stakes is expressed in amounts of money paid for a whist point. The pool cannot be larger than the smallest hill at the end of the first half. The time limit specifies when the final lap starts.

    Dealer


    Dealer moves after each hand except all-pass in the second half, when dealer stays up to three all-pass in a row, then it moves even in case of all-pass. Some let the staying dealer of three all-pass write up to ten points on his/her hill to offset his/her advantage during these hands.

    Auction


    There is an auction for the soloist in the second half of a game, and nominal one during the half-time where everyone passes. Either the eldest or second hand is designated as the soloist without bidding in the first half.

    Misere is outbid by "nine in one (spades) hand." A hand bid is a bid to play a hand without using the widow. An outbid caller of misere can respond by calling "misere hand." Only "ten in one (spades) hand" can outbid "misere hand."

    A player can bid blindly, that is, without looking at cards dealt, so long as no one has made a seeing bid in the same auction. For a seeing bit to outbid a blind one, it has to have larger number of tricks and an equal or higher suit. A bidder of a blind bid can remain in an auction after he/she is outbid by a seeing call, when he/she looks at his/her hand.

    A player can also pass blindly if no one has bid seeing or blindly in the same auction. Minimum bid changes after a blind pass according to number of blind all-pass dealt by the same dealer immediately before the current hand. It is blind "one" (spades) or seeing "seven in one" (seven spades) if there were none, blind seven or seeing eight if one, and blind eight or seeing nine if two.

    Soloist's declaration


    If the soloist wins the auction with a "hand" bid, he/she does not exchange the widow with cards in his/her hand.

    The soloist can refuse to take the widow after looking at them, leaving them face up on the table.

    Misere can be named if the soloist wins the auction by a blind bid even if it is not misere. Some allow misere to be played even when the soloist called other bids, although this is very unusual.

    In the first half of the game, by prior agreement by players, the eldest hand or the second hand is designated to be the soloist. He/she should name a game from his/her own list of games, each one only once, until there are none left. The games are six trick once, seven trick once, eight trick once, nine trick once, ten trick once, and misere once. Number of tricks is said before the widow is revealed, and a trump suit after discard.

    The soloist can invite the dealer to share profit or losses equally in high risk hands like misere.

    Partners' declarations


    There are no requirements for games at ten tricks, that are played just like misere.

    There is not "half- whist," but two passes are treated as if "pass"-"half-whist"-"pass" if the game is at six or seven tricks.

    Players are always required to whist against a game of "one" (six spades), and games up to and including the same suit and one larger number of tricks than bid if a blind bid wins the auction.

    In the first half of the game, by prior agreement by players, the first partner is required to whist and the second pass, or the both partners required to whist.

    Play of cards


    If the soloist is not the eldest hand and if the game is misere, at ten tricks, or open, the two partners lay their cards down face up, arranged in suits, before the opening lead. If the soloist is the eldest hand, this is done after the opening lead in case of misere and games at ten tricks, and before the game starts in the other open games.

    All-pass is played with the widow.

    Score-keeping


    The game point is two if the game is at six tricks, four at seven, six at eight, eight at nine, and ten at ten or misere.

    The points are doubled if the soloist has a simple bomb, quadrupled if he/she has a double bomb, and eight times higher if he/she has a tree. It is doubled again if the soloist won the auction by a blind bid. If he/she has more than one bombs, the oldest one is used. The used bomb disappears if the soloist was successful and remains if he/she failed.

    The soloist writes a half of the game point in his/her pool and writes the same off from his/her hill if he/she played the hand successfully. He/she can choose to write the whole in the pool and leave the hill untouched as well.

    If number of games played successfully in the second half exceeds those in the first half or all-pass, the soloist writes a half of the game point on his/her hill as if it were a result of a game in the first half that should have been played to satisfy the rule that number of successful games in the second half shall be within that of the compulsory hands or all-pass.

    The soloist writes the game point for each undertrick on his/her hill, and each of the others including passing player and the sitting dealer write the same amount in his/her whist against the soloist if the game was not misere.

    The whisting player writes the game point for each of his/her tricks. Tricks won by passing player belong to the whister. This was called ordinary whist in 1970's and is known greedy whist now. The  other options were gentlemen's whist and predatory whist. The gentlemen's is different from its moderm namesake. The whisting player alone writes his/her points and the others none even those for undertricks. In the predatory, everyone writes the same amount as the soloist.

    The whisting player writes the game point for each of his/her tricks in short of his/her responsibility if the partners failed.

    The widow is scored in four player games if the two cards contain quick trick(s) or the soloist refuses  to take them. The dealer writes in his/her whists against the soloist one trick for an Ace or a pair of King and Queen of one suit, two tricks for Ace and King of a suit, and three for two Aces. The dealer writes one trick on his/her hill if the soloist refuses to take the cards, leaving them on the table face up.

    When his/her pool is full, the soloist writes remaining point to the largest pool with some room, unless it belong to the whisting player or the sitting dealer. When all pools are full, the soloist writes points of his/her successful game off from the hill, his/her own first, and other player's. When the soloist writes points in other player's pool or off from a hill of other player, he/she writes 10 times the points given in his/her whists against the recipient.

    In all-pass, every player writes one point for each trick taken in his/her hill, and who did not take any one point off from his/her hill. The points are doubled or quadrupled in second or third all-pass of a staying dealer, respectively. They are doubled again when there is at least one blind pass. A player can write points from all-pass only in his own hill, therefore points that could have been written off disappears when his/her hill is empty.

    If three players passed in the auction and at least one of them did so blindly, who called pass blindly writes a bomb in his/her pool and who did not a bomb one degree less than who did (none in case of simple bombs). The dealer, when four plays, gets the same bomb as the others if everyone passes blindly or as one who looked at one's hand otherwise. The type of bomb is a single, a double, or a triple bomb if it was the first, second or third blind all-pass in a row during staying deals of the current dealer, respectively. The sign for a simple bomb is a letter V upside down, a double bomb two of them stacked one upon another, a triple bomb or a tree three bombs stacked one upon another.

    Irregularities


    If the dealer mis-deals, he/she writes one point on his/her hill and deals again.

    If the soloist forgets to discard two cards after taking the widow, he/she writes three undertricks and the hand is not considered as played.

    If a player fails to follow the suit led or play a trump when he/she can, he/she writes three undertricks on the hill and the hand is not considered as played. If this happens in all-pass, the offending player is assumed to have taken ten tricks and the all-pass is considered to be played.

    If a partner gives an advise to the other, he/she writes one point on his/her hill. If the dealer, when four play, gives an advise after looking at face down widow or the hand of one of the partners, he/she writes one point on his/her hill.

    Other irregularities are handled as agreed by players. For example, it is considered an offence by authors of the reference document that the soloist names a game lower than obvious number of tricks in his/her hand, or that a partner gives away tricks to the soloist that are obviously his/her.

    End of a game


    A game ends when the dealer is about to move to the first dealer of the game after the final lap starts, or all pools are filled and the hills become empty, whichever the earlier.