2015年9月13日日曜日

浙江台州の麻雀

浙江省台州市の*現代の*ルールです.符点が点数の主役であること,符点が偶数であることに意味があること,上がらなかった3人の間の点数授受があるのが特徴です.上がらなかった3人の間の点数授受は,日本ではサイドと言われ,麻雀導入初期には行われていました.カンがあるとこのサイドで大きめの点が動きます.カンの点を上がりと別に受け渡しするルールがある地域は,サイドの面影を留めていると感じます.
ここで紹介するのは,同市中心部3区の1つ路橋区の13枚ルールです.同市の黄岩区,椒江区(の“搓胡”)と台州の北隣の寧海県では同じく手牌13枚,椒江区の“翻白板”,温嶺,玉環では手牌16枚で,同じ点数システムに,飜の付く役や牌を少し追加して,遊ばれています.

上がらなくても点が入ることがあるとはいえ,作りやすさと点の高さからみて効率良い手を狙うゲームであることには変わりありません.基本戦術は,(1)中發白か自風を死守してワイルドカードも絡めて暗刻化かポンして1台(飜)を付ける,運がよければそれに混一色も付ける.(2)手とツモに恵まれたら清一色,逆にダメなら上がり度外視でポン・カンを狙う.(3)50胡前後以上の手を狙えない限り,中發白の初牌は捨てない.の3つです.
主な情報源は次のサイトのルール記述です(リンク切れあり).

(2015.9.15)前書きを整理しました.情報源を追記しました.台州19楼という掲示板で,小四喜に当たる手を上がった人のスレッドを見たら,四風会斉を認める人より認めない人がはるかに多かったので,本文の記述にそのことを反映しました.
(2015.9.16)参考資料のサイト名とURLを示しました.清一色での白の扱いを書き直しました.三元牌と自分の風には単騎の符点を認める人がいることを書き加えました.
(2015.9.17)符点は“胡”, 飜数は“台”,ワイルドカードは“財神”と台州当地の表現に合わせました.
(2015.10.21)符点計算を教えろという台州19楼のスレッドで,全員が待ちの符点はカンチャンだけと書いていたので,単騎の符点を認める一部資料の記述を対子の符点との混同と断定し,削除しました.上がり牌を見逃した場合の振り込み上がりへの制限と,それに関連した財神の単騎待ちに関するルールを書き加えました.
(2015.10.23)チーのさらし方の作法を書き加えました.少し文章を添削しました.
(2015.10.25)白のポンについて,書き加えました.
(2015.11.30)暗槓のさらし方ついて書き加えました.
(2016.1.4)カンの補充牌の取り方が違う(真の逆順で下が先)ことを見逃していたので,加筆しました.

道具

136枚の麻雀牌.花牌は使わない.サイコロ2つ.

親が上がったら連荘,そうでなければ,親の下家(右隣)が次の親です.流局でも親は交代します.
親は東,親の下家(右隣)は南,親の対面は西,親の上家(左隣)は北が自分の風です.場の風はありません.

配牌と財神

親がサイコロ2つを振り,出た目の合計の席の人がもう一度サイコロ2つを振り,1度目のサイコロで選ばれた人から見た山の右端から,2人の目の合計だけ数えた位置で牌の山を分け,牌を取り始めます.
配牌で親は14枚,子は13枚の手牌を取ります.チョンチョンで残った下ヅモの牌を表向きにし,牌の山の末尾近くにのせます.この牌はゲームに使いませんが,同じ牌3枚が財神になります.上がった手に限り,財神をどの牌の代わりにもでき,白を財神の牌の代わりにも白そのものとしても使えます.


手の進行

捨て牌は,全員がよく見えるように自分の前に出してから,全員の捨て牌が乱雑に置かれている中央へ押し出します.
チー・ポン・カンできます.
チー・ポン・カンした牌は,自分の手牌の背中側に並べてさらします.生牌が分かるように,チーでもらった牌は横向きにします.上海や杭州のような包や,リーチ麻雀のような振り聴はないので,誰から食ったかは示しません.横向きの牌は右側に置くことが多いです.暗槓は4枚を伏せてさらし端の1枚だけを表向きにします.
カンの補充牌は,山をツモ順の逆,つまり,山の末尾の下の牌を上の牌より先に使います.
財神入りのチー・ポン・カンはできません.白はポンできますが,ポンした白は財神表示に化けられません.
ポンを見逃したら,自分の順番が来るまで,同じ牌をポンできません.ポン・カンで順番を飛ばされたときも,順番が来たものとみなします.

上がり

手の牌とチー・ポン・カンした牌に,山から引いた牌か捨てられた牌を合わせて,1組の対子と4つの面子ができたら,上がれます.これ以外の手の形はありません.カンの補充牌と搶槓(チャンカン)でも上がれます.搶槓のカンは,点数計算のとき,成立していないものとみなします.
捨てられた財神では上がれません.財神入りの面子を捨て牌で完成させて上がれます.
1つの捨て牌で2人以上があがれるときは,捨て牌を捨てた人に一番順番の近い人1人の上がりになります.
上がり牌を見逃したら,次に順番が来るまでは(飛ばされた場合も含む),振り込み上がりに制限がかかります.見逃したのと同じ牌では上がれない,あるいは,見逃した牌より高い上がりでなければ上がれないのどちらにするか,事前に決めてください.これに関連して,財神の単騎待ちは,すべての牌が待ち牌で,財神単騎に構えたときから,常に上がり牌を見逃しているので,自摸でしか上がれない,あるいは捨て牌で自摸上がっていた場合より点が高くないと振り込みでは上がれないのどちらかにします.
上がったら,手は終わり,点数計算を行います.

流局

牌の山が残り7列14枚になったら黄牌,荒牌などと書かれる流局です.残す牌はカンで補充牌を引くたびに,上下2枚の1列を加えます.したがって,残す牌の枚数は,カンのたびに1枚ずつ増えます.

点数計算

手が上がりでおわったら,上がった人だけでなく,全員が点数を計算します.上がった人の点が財神と白の化け方で変わる場合,点が最大になる化け方で計算します.
点数は,手にある胡数(ふすう)すべての合計を,該当する台数(たいすう)の合計回数2倍した結果です.例えば,14胡(ふ)の手に2台(たい)あれば,14を2回2倍した56胡が点数になります.

辣子,臘子(どちらも発音はラーツ).点数の上限です.路橋では100胡です.点数が100胡を超える場合,100胡を超える点は捨てて100胡とします.

胡数(和数)

“胡”または“和”はフと読みます.符点のことです.語源的には“和数”,“和頭”などと書くのが正しいのですが,“和”は普通はフと読まないので,“胡”の字を当てることが圧倒的に多いです.

(1) 全員が得点できる胡数
上がった人だけは,対子,刻子,槓子に財神(と財神の牌に化けた白)を入れられます.上がりで完成した対子,刻子にも胡が付きます.刻子が自摸上がりで完成したら暗刻,振り込み上がりで完成したら明刻です.上がっていない人は,手に複数の得点できる対子があるとき,すべての点を得点できます.
  • 自分の風か中發白の対子:2胡
  • 刻子と槓子.次の表の通りです.槓子の点はカンしていないと認められません.カンしてない牌が4枚あるときは,刻子1組の点を数えます.
    2~8  19字牌 
明刻2胡4胡
暗刻4胡8胡
明槓8胡16胡
暗槓16胡32胡

(2) 上がった人だけの胡数
  • 胡底:10胡.上がれば手の内容,形に関わらずもらえます.
  • 対対胡:4胡.対対和です.台数でなく,胡が付きます.
  • 嵌檔.2胡.カンチャン.路橋では,ペンチャンと単騎には胡はつきません.
  • 自摸.2胡.ツモ上がり.

台数

“飜(ふぁん)”を浙江,福建,台湾ではファンと言わず,“台(たい)”といいます.2倍の回数です.“台頭”のように“上げる”という意味があります.

(1) 全員に付く台数
上がった人だけは,財神を入れられます.
  • 自分の風の刻子,槓子:1台
  • 中發白の刻子,槓子:1組につき1台
  • (参考,認めない人が多い)四風会斉:13台.上がりは13台上がらなければ4台という人もいる.点数はどれでも辣子になる(風の刻子3つで少なくとも12胡,12胡の4台で192胡).風が4種類そろった手.大四喜でないと認めない人と,小四喜でも認める人がいる.小四喜の場合,対子は自分の風であることを求める人がいる.

(2) 上がった人だけに付く台数
  • 清一色.3台.額面の種類が違う財神が混じってよい.例えば,萬子の清一色に,索子の財神を入れてもよい.財神表示と同じ種類の牌を揃えるなら,白が混じってもよいが,白をポンしたら白入りの混一色になる.白の暗刻はよい.
  • 混一色.1台.額面の種類が違う財神が混じってよい.
なお,平和相当の上がり,カンの補充牌での上がり,チャンカン,海底撈月には,台はつきません.

上がった人への支払い

上がった人以外の3人それぞれが払います.
  • 払う人か上がった人が親の場合,上がった人の点数を払います.
  • どちらも親でない場合,上がった人の点数が辣子なら辣子,そうでなければ,点数の2分の1を払います.

上がらなかった3人の間の支払い

3人は,互いの点数を比べ,点数の低い方が高い方に払います.
  • 払う人かもらう人が親の場合,点数の高い方から低い方を引いた差.
  • どちらも親でない場合,点数の高い方から低い方を引いた差の2分の1.

包(パオ)

ハイリスクな捨て牌をした人が責任払いすることです.
  • 中發白のうち2種類をポン・カンしている人に,残り1つを生牌(ションパイ,一度も捨てられていない牌のこと)で捨てて上がられたら,上がり牌を捨てた人の包になり,その手のすべての支払を肩代わりします.捨てた三元牌が生牌でなければ,包になりません.
  • 3組以上のチー・ポン・カン(暗槓を除く)で同じ種類の牌をさらしている場合,同じ種類の牌を捨てて清一色を上がられたら,上がり牌を捨てた人は,その手のすべての支払を肩代わりします.捨て牌が,生牌でなくても包になります.
  • 聴牌でも一向聴でもないとき,生牌の中發白を捨てて上がられたら,上がり牌を捨てた人は,その手のすべての支払を肩代わりします.
生牌でなくても包にする人がいるなど,違いが大きいので,事前に相談してください.

点数の簡素化

点数の精算には,最小単位が1のチップを1人あたり500前後用意するか,紙と鉛筆で点を記録する必要があります.これが面倒なら,次のように点数を切り上げて丸めます.
  • 点数を計算し終えたら10の位に繰り上げる.例えば,12胡でも18胡でも20胡になる.
  • 繰り上げた点で上がりとサイドの支払いを計算する.繰り上げ結果が同じなら,元の点が違っても同点とする.例えば,上がらなかった3人の繰り上げ前の点が,それぞれ2胡,4胡,10胡なら,繰り上げて全員10胡になるので,サイドはない.
  • 繰り上げて100胡になったときは辣子扱いしない.

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