2015年9月22日火曜日

上海の古い麻雀ルール

現在流行しているルール“清混碰”の他に,世代によっては古いルールで遊ぶ人がいます.上海の“流行式”と香港の“旧章(清章)”,上海の“新式”と香港の“新章”,上海で現在の主流の“清混碰”と香港で現在の主流の3飜縛りは,互いによく似ていますが,広東麻雀の特徴である満貫役は,上海の麻雀には出てきません.あと,上海は,捨て牌を綺麗に並べる,食った牌を明示するなど作法にうるさいです.

老式(旧式)

老人世代のルールです.2011年に現役の先生が書いたブログ記事で,子供の頃に習った符点計算ありの上海ルールを紹介しているので,1950年代ごろまでは,こうだったと推測します.胡(符点)と台(番)で点数を計算します.上がりには,自摸でも振込みでも,上がらなかった3人が点を払い,また上がらなかった3人の間でも,互いの点数の差を払います.払い手か受け取り手が親なら,点を倍にします.

春夏秋冬の4枚の花牌を加えます.花牌が配牌にあったら,親の第1打牌の前に,親から順に,反時計回りにさらして,さらした枚数と同じ枚数の牌を山の末尾から補充します.山から花牌を引いたときも,同じように,さらして補充牌を引きます.

胡頭(ふとう)

正確には“和頭”や“和数”ですが,迷わず“ふ”と読める胡の字で“胡頭”,“胡数”などと書くことが圧倒的に多いです.日本では,ピンフを平和と書くのに,なぜか“和”でなく“符”と書き,底の場合は,さらに化けて“副”と書くようになりました.

  • 刻子・槓子はおなじみのもの.2から8の明刻2胡,暗刻4胡,明槓8胡,暗槓16胡で.1・9・風・字牌は2倍.上がっても,上がらなくても数えられる.
  • 中發白と自分の風の対子1組につき上がったら4胡,上がらなかったら2胡.
  • 花牌1枚4胡.上がっても,上がらなくても数えられる.
  • カンチャン・ペンチャン・単騎待ち2胡.自摸2胡.上がった人専用.
  • 上がった手に必ず付く点(底)は,0胡,10胡または20胡のどれにするか,事前に決めます.


台(たい)または番(ふぁん)

飜です.符点をこの回数だけ2倍します.すぐ南隣の浙江や,福建,台湾でも“台”といいます.官話系方言や広東ではおなじみの“ファン”ですが,旧字体の香港も含めて字が異なり,“番”と書きます.

  • 中發白の刻子・槓子,1台.上がっても上がらなくても付く.
  • 自分の風,1台.場風はない.上がっても上がらなくても付く.
  • 平和,1台.中發白自分の風は頭にできない.待ちは,ペンチャン・カンチャン・単騎ではいけない.
  • 対対和,1台
  • 混一色,1台
  • 清一色,3台
  • 坐花,1台.自分の花牌.春夏秋冬の4枚だけを使い,梅蘭菊竹は使わない.東家は春,南家は夏,西家は秋,北家は冬.上がっても上がらなくても付く.
  • 四只花,2台.花牌4枚を集めたとき.2台には,坐花1台を含む.上がっても上がらなくても付く.
  • 槓頭開花,1台.槓か花牌の補充牌での上がり.
  • 搶槓,1台.


流行式

普通は符点を数えないで,あがった人だけに固定点を与えます.この点を台数(番数)だけ2倍したのが手の点です.老式と同じように,自摸,振込みに関係なく,上がらなかった3人が上がった人に点を払います.しかし,親でなく,自摸・振込みの人を倍収支にします.同じ種類の牌を3メンツさらしている人に清一色を振り込んだときは,振り込んだ人1人の責任払いにします.

  • 中發白の刻子,1台
  • 平和,1台.刻子に代の付く牌は頭にできない.待ちはカンチャン,ペンチャン,単騎でもよい.
  • 対対和,2台
  • 混一色,2台
  • 清一色,4台
  • 辺嵌張,単釣,1台
  • 坐風,1台
  • 圏風,1台.自風だけでなく場風もある.
  • 坐花,1台.春夏秋冬だけでなく梅蘭菊竹も使う.東家は梅,南家は蘭,西家は菊,北家は竹.
  • 四只花,2台.春夏秋冬1組または梅蘭菊竹1組.2台には坐花の1台を含む.
  • 槓頭開花,1台.槓か花牌の補充牌での上がり.
  • 搶槓和,1台.


新式

流行式に次の台(番)を加えます.符点は使いません.

  • 断么九,1台
  • 全么九,1台.全帯么.
  • 一般高,1台.イーペーコー.
  • 喜相逢,1台.2種類の牌によるイーペーコー.
  • 両般高,2台.イーペーコーに同じ順子をもう1組.
  • 双相逢,2台.三色同順
  • 清龍,2台.一気通貫
  • 混龍,1台.三色一通
  • 門前清,1台.振込みの場合
  • 不求人,2台.門前で自摸の場合
  • 欠一門,1台.数牌2種類だけからなる手
  • 無字無花,1台
  • 十三不搭,1台
  • 七星聚会,2台.字牌7枚が1枚ずつある十三不搭.2台には十三不搭の1台を含む.
  • 七対子,1台
  • 五門全,1台
  • 嵌中心,1台.5をカンチャンで待つ


1980年代末のルール

この時期に上海で麻雀を覚えたという人が,以前よりすでに大幅に簡略化されていたといいつつ,次のようなルールを紹介しています.“流行式”の一種に見えます.
符点は数えないで,上がった人に普通はチップ3枚の点を与え,花牌1枚につきチップ1枚を加えます.これを手の番数回だけ2倍したのが手の点数です.振込み上がりのときは,振り込んだ人が手の点数を,自摸のときは他の3人全員が手の点数を,上がった人に払います.上がった人が次の親です.3組の包あり.番数は,混一色2番,清一色4番,対対胡2番,大吊車1番,槓開1番など.40が辣子.番しばりなし.

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