2015年9月25日金曜日

浙江奉化の麻雀

奉化は浙江省の寧波に近い市で,蒋介石の出身地として有名です.寧波の麻雀をベースに,特殊な上がり方ばかりを選んで加えたような不思議なルールです.

(2015.10.4)“正風”,“位風,圏風”の間違いを直しました.
(2016.1.1)百搭の決め方を寧波のルールと同じように修正しました(寧波のサイトで,奉化の百搭の決め方に,一切特別な記述がないので,同じ流儀と判断しました).
(2016.1.9)点数を現代のものに変更しました.

道具

春夏秋冬,梅蘭菊竹の8枚の花牌を加えた144枚の牌を使います.

最初の親は,仮東がサイコロ2つを1度を振って決めます.親が上がるか流局したら,引き続き親を務めます.そうでなければ,親の下家(右隣)が次の親です.

配牌と百搭

親がサイコロ2つを1度振って,牌を取り始める山,取り始める位置と百搭表示の位置を決めます.2つの目の合計の人の山を,大きい方の目だけ残して,牌を取り始めます.配牌を終えたら,牌の山の末尾を1として,反時計回りに小さい方の目だけ数えた位置の牌を表向きにします.これが百搭表示です.大きい目と小さい目の使い方を逆にする人もいます.
百搭表示はゲームに使いません.百搭表示と同じ牌3枚が百搭(パイター,財神ともいう)です.百搭は,花牌以外の何の代わりにもなる万能牌です.百搭表示が花牌の場合,春夏秋冬のどれかなら他の3枚,梅蘭菊竹のどれかなら他の3枚が,それぞれ百搭になります.百搭になった花牌は,花牌の力を失うので,1枚でさらせません.

花牌

配牌に花牌があったら,親の最初の捨て牌の前に,親から順に反時計回りに,配牌の花牌をすべてさらし,さらしたのと同じ枚数の牌を,山の末尾から補充します.このとき百搭表示は引かないで飛ばします.山や補充牌で花牌を引いたときも,同じようにさらして補充牌を引きます.

進行

チー・ポン・カンできます.
百搭入りの面子はチー・ポン・カンできません.
4メンツと頭以外に,大大胡(十三不搭),乱老頭,七対頭(七対子),花牌8枚でも上がれます.
百搭の単騎待ちは,自摸でなければ上がれません.
2人同時には上がれません.振り込んだ人から順番が一番近い人の上がりになります(頭ハネ).
振込みで上がるには,上がり手の点が4台以上でなければなりません.かつては3台以上でした.自摸なら,4台なくても上がれます.
牌の山を百搭表示の直前まで使って誰も上がらなければ,流局です.使える最後の牌は海底牌といいます.海底牌は,引くか引かないか選べます.引かない場合,次の順番の人が同じように引くか引かないか選びます.4人とも引くのを拒否した場合,そのまま流局します.

点数計算

点数は台(たい)で数えます.上がった人の手にあるすべての台数を合計してから,1の位を10に切り上げます.1~2台でない点数は,時代,人や地域による違いが大きいので,以下は一例と捉えてください.1990年代(以下“旧”と略します)までは,30台の倍数を基本にした体系で,2000年代以降(以下“新”と略します)は50台の倍数が主流です.自摸上がりのときは,上がっていない3人が,それぞれ点数の2倍を払います.振込み上がりのときは,振り込んだ人は点数の2倍,それ以外の2人は,それぞれ点数そのままを払います.
  • 坐台,1台.上がれば必ず付く.百搭もあってもなくても1台は付くので,4台しばりは,実質2台しばりになる.
  • 朋胡,1台.4メンツがすべて順子.待ちと頭は何でもよい.
  • 中發白の刻子,1台.
  • 正風,2台.自分の風と場の風が同じときの自分の風の刻子.
  • 位風,圏風,1台.自分の風か場の風の刻子.
  • 辺,嵌,単吊,対倒,1台.単吊は単騎,対倒はシャンポン待ち.
  • 自摸,1台.
  • 無搭,1台.百搭がない手.
  • 一搭,1台.百搭が1枚だけの手.
  • 二搭,2台.百搭が2枚の手.
  • 還搭,1台.手のすべての百搭を額面通りに使う.
  • 拉槓胡,上がり方としては認められるが,特にボーナス点はないことが多い.
  • 海底撈月,上がり方としては認められるが,特にボーナス点はないことが多い.
  • 十三不搭(大大胡),50台.いつ聴牌してもよい.上がりの14枚に,対子,メンツ,両面待ち,カンチャン,ペンチャンが1つもない.数牌はスジ以上離れている必要がある.
  • 大大胡(暗七星),150台.字牌各1枚計7枚がある大大胡.字牌7枚が手の内に揃っている場合.
  • 大大胡(明七星),100台.字牌各1枚計7枚がある大大胡.上がり牌で字牌7枚が揃う場合.
  • 大大胡(欠色),150台.大大胡で,手牌に数牌1種を欠き,欠けている種類の牌で上がる.必ず暗七星になるので暗七星とは複合しない.
  • 大対対(有搭),50台.対対和.百搭あり.
  • 大対対(無搭),100台.対対和.百搭なし.
  • 大吊車(有搭),50台.裸単騎.百搭あり.百搭の裸単騎なので,何でも上がれるが自摸限定になる.
  • 大吊車(無搭),100台.裸単騎.百搭なし.
  • 七対頭(有搭),50台.百搭あり七対子
  • 七対頭(無搭),150台.百搭なし七対子.
  • 七対頭(暗炸),100台.手の内に同じ牌が4枚揃っている七対子.有搭無搭の七対頭の台と複合する.4枚に百搭を使ってはならない.
  • 七対頭(明炸),50台.上がり牌で同じ牌が4枚揃う七対子.有搭無搭の七対頭の台と複合する.4枚に百搭を使ってはならない.
  • 混一色,70台.切り上げたとき,清一色150+10=160の半分になるように設定されています.
  • 清一色,150台.
  • 天胡,認めるなら乱老頭/清老頭のように祝うだけで点数にはしない.
  • 地胡,認めるなら乱老頭/清老頭のように祝うだけで点数にはしない.
  • 乱老頭,400台あるいはご祝儀.祝い方としては,”全員で起立して国歌斉唱(笑)”と書いている人がいる.字牌しかない手.字牌以外がなければ,4メンツも頭も不要.メチャクチャ役だが,ポン・カンしてもよい.
  • 清老頭,800台あるいはご祝儀.混乱を招く役名だが,字一色のこと.字牌だけで4メンツと頭を作る.
以下の花牌,カン,三百搭の台数は,4台しばりには含めません.
  • 八花(搓胡),800台あるいはご祝儀.花牌を8枚集めても上がらずに,プレーを続けて,普通に上がったとき.
  • 八花(直胡),400台あるいはご祝儀.花牌を8枚集めたら,4メンツと頭ができてなくても上がれる.4台しばりの例外.
  • 直槓(不開花),50台.手持ちの暗刻でした明槓.補充牌で上がれなかった場合.
  • 直槓(開花),100台.手持ちの暗刻でした明槓の補充牌で上がったとき.
  • 暗槓(不開花),100台.補充牌で上がれなかった場合.
  • 暗槓(開花),150台.補充牌で上がったとき.
  • 風険槓(不開花),100台.ポンした牌での明槓.補充牌で上がれなかった場合.
  • 風険槓(開花),200台.ポンした牌での明槓の補充牌で上がったとき.
  • 花槓槓開,50台.花牌の補充牌での上がり
  • 普通三百搭,150台.百搭3枚
  • 三花三百搭,300台.花牌が百搭のときの百搭3枚
  • 正花,2台.自分の席の花牌
  • 四花,150台.花牌4枚一式.

  • 拉槓(搶槓,チャンカン)は,点数は自摸扱いで,チャンカンされた人の包となります.
  • 同じ人に4メンツ食われたら,食われた人の包です.包関係は,上海のような両方向でなく単方向で,食った人が上がった場合だけ,食われた人が1人で責任払いします.
  • 清一色,混一色または大対対(対対胡)を作っている人に3回食われた人は包です.この包関係も単方向です.
  • 海底牌で振り込んだ人は包です(海底牌は拒否できる).

2015年9月23日水曜日

上海金山区の麻雀

浙江各地にも現存する場風なし符点・サイド計算ありの点数システムと,倍収支を親から放銃・自摸者に変えた出冲制(香港の半銃制と同じ)の組み合わせが面白いルールです.満貫役があるところは,広東・香港風味です.上海の市街地で現在主流な“清混碰”とは似ても似つかないところも,中国のルールの多様性を示していて興味深いです.

道具

花牌8枚を入れた144枚の麻雀牌.春夏秋冬は花,梅蘭菊竹は百搭(ワイルドカード).

進行の特記事項

サイコロ2つの2度振り.手牌13枚.親が上がれば連荘,それ以外は,下家に親が移ります.
百搭は捨てられません.
チー・ポン・カンできます.
3組泣きの包はありません.
食ったとき,食ったのと同じ牌を捨ててはならないと書いている人がいます.
同時上がりは頭ハネです.
十三么以外の手で上がるには,台で倍々計算する前の点が20胡(ふ)なければなりません.このしばりは,天胡・地胡を含むすべての手にあてはまります.

点数計算

上がった人がいるときは,上がった人も他の3人も点数を計算します.手の点数は,手にある胡(ふ)点の合計を手の台(たい)数回だけ2倍したものです.例えば,22胡の2台なら,22を2回2倍して88胡です.
自摸の場合,上がった人は,上がり手の点×2÷10+ベースの点を他の3人からもらいます.小数点以下は切り上げます.ベースの点(底注)は3点にします.
放銃の場合,上がった人は,放銃者から自摸と同じ点を,他の2人からは,上がり手の点÷10+ベースの点をもらいます.
点の上限(辣子)は50です.50を超える場合,50点を受け渡します.
上がらなかった3人は,互いの点を比較し,少ない方が多い方へ払います.払う点数は,払い手か受け取り手が放銃者なら,点差×2÷10,そうでなければ点差÷10で,小数点以下は切り上げます.

胡頭

符点です.語源にこだわる人は“和”と書きます.“和”は普通はフと読まないので,“胡”と書くことが多いです.

上がっても上がらなくても付く点


  • 花牌1枚4胡.
  • 中發白か自分の風の対子,1組2胡.
  • 2〜8の明刻2胡,暗刻4胡,明槓8胡,暗槓16胡.1・9・風・字牌は2〜8の2倍.

上がりだけに付く点


  • 上がった手に付く点(底)10胡
  • ペンチャン・カンチャン待ち2胡
  • 単騎待ち,1・9・風・字牌4胡,それ以外2胡.
  • 自摸上がり2胡.


台数

飜です.江浙,福建,台湾では“台(たい)”といいます.

全員に付く台数


  • 坐花1台.自分の花牌.東家は春,南家は夏,西家は秋,北家は冬.
  • 四花2台.2台には坐花の1台を含む
  • 中發白と坐風の刻子1台.場風はない.

上がり手だけに付く台数


  • 槓開1台.カンか花牌の補充牌での上がり
  • 拉槓1台.チャンカン
  • 対対胡1台
  • 没百搭1台.百搭のない手
  • 小三元1台
  • 混一色1台
  • 清一色3台
  • 全老頭辣子.すべて老頭牌の手.混老頭.
  • 門門鑑辣子.4つ暗刻がある単騎待ちで振込みか自摸で上がるか,3つ暗刻がある手の双ポン待ちで自摸上がる.単騎自摸しか認めない人もいる.四暗刻.
  • 大四喜辣子
  • 大三元辣子
  • 十三么辣子.20胡しばりの唯一の例外.
  • 四百搭辣子.百搭が4枚ある手
  • 三百搭成凱辣子.百搭3枚を刻子(8胡)として使い,残り3面子が順子の手.20胡しばりのため,頭に2胡なければならない.
  • 天胡辣子
  • 地胡辣子

2015年9月22日火曜日

上海の古い麻雀ルール

現在流行しているルール“清混碰”の他に,世代によっては古いルールで遊ぶ人がいます.上海の“流行式”と香港の“旧章(清章)”,上海の“新式”と香港の“新章”,上海で現在の主流の“清混碰”と香港で現在の主流の3飜縛りは,互いによく似ていますが,広東麻雀の特徴である満貫役は,上海の麻雀には出てきません.あと,上海は,捨て牌を綺麗に並べる,食った牌を明示するなど作法にうるさいです.

老式(旧式)

老人世代のルールです.2011年に現役の先生が書いたブログ記事で,子供の頃に習った符点計算ありの上海ルールを紹介しているので,1950年代ごろまでは,こうだったと推測します.胡(符点)と台(番)で点数を計算します.上がりには,自摸でも振込みでも,上がらなかった3人が点を払い,また上がらなかった3人の間でも,互いの点数の差を払います.払い手か受け取り手が親なら,点を倍にします.

春夏秋冬の4枚の花牌を加えます.花牌が配牌にあったら,親の第1打牌の前に,親から順に,反時計回りにさらして,さらした枚数と同じ枚数の牌を山の末尾から補充します.山から花牌を引いたときも,同じように,さらして補充牌を引きます.

胡頭(ふとう)

正確には“和頭”や“和数”ですが,迷わず“ふ”と読める胡の字で“胡頭”,“胡数”などと書くことが圧倒的に多いです.日本では,ピンフを平和と書くのに,なぜか“和”でなく“符”と書き,底の場合は,さらに化けて“副”と書くようになりました.

  • 刻子・槓子はおなじみのもの.2から8の明刻2胡,暗刻4胡,明槓8胡,暗槓16胡で.1・9・風・字牌は2倍.上がっても,上がらなくても数えられる.
  • 中發白と自分の風の対子1組につき上がったら4胡,上がらなかったら2胡.
  • 花牌1枚4胡.上がっても,上がらなくても数えられる.
  • カンチャン・ペンチャン・単騎待ち2胡.自摸2胡.上がった人専用.
  • 上がった手に必ず付く点(底)は,0胡,10胡または20胡のどれにするか,事前に決めます.


台(たい)または番(ふぁん)

飜です.符点をこの回数だけ2倍します.すぐ南隣の浙江や,福建,台湾でも“台”といいます.官話系方言や広東ではおなじみの“ファン”ですが,旧字体の香港も含めて字が異なり,“番”と書きます.

  • 中發白の刻子・槓子,1台.上がっても上がらなくても付く.
  • 自分の風,1台.場風はない.上がっても上がらなくても付く.
  • 平和,1台.中發白自分の風は頭にできない.待ちは,ペンチャン・カンチャン・単騎ではいけない.
  • 対対和,1台
  • 混一色,1台
  • 清一色,3台
  • 坐花,1台.自分の花牌.春夏秋冬の4枚だけを使い,梅蘭菊竹は使わない.東家は春,南家は夏,西家は秋,北家は冬.上がっても上がらなくても付く.
  • 四只花,2台.花牌4枚を集めたとき.2台には,坐花1台を含む.上がっても上がらなくても付く.
  • 槓頭開花,1台.槓か花牌の補充牌での上がり.
  • 搶槓,1台.


流行式

普通は符点を数えないで,あがった人だけに固定点を与えます.この点を台数(番数)だけ2倍したのが手の点です.老式と同じように,自摸,振込みに関係なく,上がらなかった3人が上がった人に点を払います.しかし,親でなく,自摸・振込みの人を倍収支にします.同じ種類の牌を3メンツさらしている人に清一色を振り込んだときは,振り込んだ人1人の責任払いにします.

  • 中發白の刻子,1台
  • 平和,1台.刻子に代の付く牌は頭にできない.待ちはカンチャン,ペンチャン,単騎でもよい.
  • 対対和,2台
  • 混一色,2台
  • 清一色,4台
  • 辺嵌張,単釣,1台
  • 坐風,1台
  • 圏風,1台.自風だけでなく場風もある.
  • 坐花,1台.春夏秋冬だけでなく梅蘭菊竹も使う.東家は梅,南家は蘭,西家は菊,北家は竹.
  • 四只花,2台.春夏秋冬1組または梅蘭菊竹1組.2台には坐花の1台を含む.
  • 槓頭開花,1台.槓か花牌の補充牌での上がり.
  • 搶槓和,1台.


新式

流行式に次の台(番)を加えます.符点は使いません.

  • 断么九,1台
  • 全么九,1台.全帯么.
  • 一般高,1台.イーペーコー.
  • 喜相逢,1台.2種類の牌によるイーペーコー.
  • 両般高,2台.イーペーコーに同じ順子をもう1組.
  • 双相逢,2台.三色同順
  • 清龍,2台.一気通貫
  • 混龍,1台.三色一通
  • 門前清,1台.振込みの場合
  • 不求人,2台.門前で自摸の場合
  • 欠一門,1台.数牌2種類だけからなる手
  • 無字無花,1台
  • 十三不搭,1台
  • 七星聚会,2台.字牌7枚が1枚ずつある十三不搭.2台には十三不搭の1台を含む.
  • 七対子,1台
  • 五門全,1台
  • 嵌中心,1台.5をカンチャンで待つ


1980年代末のルール

この時期に上海で麻雀を覚えたという人が,以前よりすでに大幅に簡略化されていたといいつつ,次のようなルールを紹介しています.“流行式”の一種に見えます.
符点は数えないで,上がった人に普通はチップ3枚の点を与え,花牌1枚につきチップ1枚を加えます.これを手の番数回だけ2倍したのが手の点数です.振込み上がりのときは,振り込んだ人が手の点数を,自摸のときは他の3人全員が手の点数を,上がった人に払います.上がった人が次の親です.3組の包あり.番数は,混一色2番,清一色4番,対対胡2番,大吊車1番,槓開1番など.40が辣子.番しばりなし.

2015年9月13日日曜日

浙江台州の麻雀

浙江省台州市の*現代の*ルールです.符点が点数の主役であること,符点が偶数であることに意味があること,上がらなかった3人の間の点数授受があるのが特徴です.上がらなかった3人の間の点数授受は,日本ではサイドと言われ,麻雀導入初期には行われていました.カンがあるとこのサイドで大きめの点が動きます.カンの点を上がりと別に受け渡しするルールがある地域は,サイドの面影を留めていると感じます.
ここで紹介するのは,同市中心部3区の1つ路橋区の13枚ルールです.同市の黄岩区,椒江区(の“搓胡”)と台州の北隣の寧海県では同じく手牌13枚,椒江区の“翻白板”,温嶺,玉環では手牌16枚で,同じ点数システムに,飜の付く役や牌を少し追加して,遊ばれています.

上がらなくても点が入ることがあるとはいえ,作りやすさと点の高さからみて効率良い手を狙うゲームであることには変わりありません.基本戦術は,(1)中發白か自風を死守してワイルドカードも絡めて暗刻化かポンして1台(飜)を付ける,運がよければそれに混一色も付ける.(2)手とツモに恵まれたら清一色,逆にダメなら上がり度外視でポン・カンを狙う.(3)50胡前後以上の手を狙えない限り,中發白の初牌は捨てない.の3つです.
主な情報源は次のサイトのルール記述です(リンク切れあり).

(2015.9.15)前書きを整理しました.情報源を追記しました.台州19楼という掲示板で,小四喜に当たる手を上がった人のスレッドを見たら,四風会斉を認める人より認めない人がはるかに多かったので,本文の記述にそのことを反映しました.
(2015.9.16)参考資料のサイト名とURLを示しました.清一色での白の扱いを書き直しました.三元牌と自分の風には単騎の符点を認める人がいることを書き加えました.
(2015.9.17)符点は“胡”, 飜数は“台”,ワイルドカードは“財神”と台州当地の表現に合わせました.
(2015.10.21)符点計算を教えろという台州19楼のスレッドで,全員が待ちの符点はカンチャンだけと書いていたので,単騎の符点を認める一部資料の記述を対子の符点との混同と断定し,削除しました.上がり牌を見逃した場合の振り込み上がりへの制限と,それに関連した財神の単騎待ちに関するルールを書き加えました.
(2015.10.23)チーのさらし方の作法を書き加えました.少し文章を添削しました.
(2015.10.25)白のポンについて,書き加えました.
(2015.11.30)暗槓のさらし方ついて書き加えました.
(2016.1.4)カンの補充牌の取り方が違う(真の逆順で下が先)ことを見逃していたので,加筆しました.

道具

136枚の麻雀牌.花牌は使わない.サイコロ2つ.

親が上がったら連荘,そうでなければ,親の下家(右隣)が次の親です.流局でも親は交代します.
親は東,親の下家(右隣)は南,親の対面は西,親の上家(左隣)は北が自分の風です.場の風はありません.

配牌と財神

親がサイコロ2つを振り,出た目の合計の席の人がもう一度サイコロ2つを振り,1度目のサイコロで選ばれた人から見た山の右端から,2人の目の合計だけ数えた位置で牌の山を分け,牌を取り始めます.
配牌で親は14枚,子は13枚の手牌を取ります.チョンチョンで残った下ヅモの牌を表向きにし,牌の山の末尾近くにのせます.この牌はゲームに使いませんが,同じ牌3枚が財神になります.上がった手に限り,財神をどの牌の代わりにもでき,白を財神の牌の代わりにも白そのものとしても使えます.


手の進行

捨て牌は,全員がよく見えるように自分の前に出してから,全員の捨て牌が乱雑に置かれている中央へ押し出します.
チー・ポン・カンできます.
チー・ポン・カンした牌は,自分の手牌の背中側に並べてさらします.生牌が分かるように,チーでもらった牌は横向きにします.上海や杭州のような包や,リーチ麻雀のような振り聴はないので,誰から食ったかは示しません.横向きの牌は右側に置くことが多いです.暗槓は4枚を伏せてさらし端の1枚だけを表向きにします.
カンの補充牌は,山をツモ順の逆,つまり,山の末尾の下の牌を上の牌より先に使います.
財神入りのチー・ポン・カンはできません.白はポンできますが,ポンした白は財神表示に化けられません.
ポンを見逃したら,自分の順番が来るまで,同じ牌をポンできません.ポン・カンで順番を飛ばされたときも,順番が来たものとみなします.

上がり

手の牌とチー・ポン・カンした牌に,山から引いた牌か捨てられた牌を合わせて,1組の対子と4つの面子ができたら,上がれます.これ以外の手の形はありません.カンの補充牌と搶槓(チャンカン)でも上がれます.搶槓のカンは,点数計算のとき,成立していないものとみなします.
捨てられた財神では上がれません.財神入りの面子を捨て牌で完成させて上がれます.
1つの捨て牌で2人以上があがれるときは,捨て牌を捨てた人に一番順番の近い人1人の上がりになります.
上がり牌を見逃したら,次に順番が来るまでは(飛ばされた場合も含む),振り込み上がりに制限がかかります.見逃したのと同じ牌では上がれない,あるいは,見逃した牌より高い上がりでなければ上がれないのどちらにするか,事前に決めてください.これに関連して,財神の単騎待ちは,すべての牌が待ち牌で,財神単騎に構えたときから,常に上がり牌を見逃しているので,自摸でしか上がれない,あるいは捨て牌で自摸上がっていた場合より点が高くないと振り込みでは上がれないのどちらかにします.
上がったら,手は終わり,点数計算を行います.

流局

牌の山が残り7列14枚になったら黄牌,荒牌などと書かれる流局です.残す牌はカンで補充牌を引くたびに,上下2枚の1列を加えます.したがって,残す牌の枚数は,カンのたびに1枚ずつ増えます.

点数計算

手が上がりでおわったら,上がった人だけでなく,全員が点数を計算します.上がった人の点が財神と白の化け方で変わる場合,点が最大になる化け方で計算します.
点数は,手にある胡数(ふすう)すべての合計を,該当する台数(たいすう)の合計回数2倍した結果です.例えば,14胡(ふ)の手に2台(たい)あれば,14を2回2倍した56胡が点数になります.

辣子,臘子(どちらも発音はラーツ).点数の上限です.路橋では100胡です.点数が100胡を超える場合,100胡を超える点は捨てて100胡とします.

胡数(和数)

“胡”または“和”はフと読みます.符点のことです.語源的には“和数”,“和頭”などと書くのが正しいのですが,“和”は普通はフと読まないので,“胡”の字を当てることが圧倒的に多いです.

(1) 全員が得点できる胡数
上がった人だけは,対子,刻子,槓子に財神(と財神の牌に化けた白)を入れられます.上がりで完成した対子,刻子にも胡が付きます.刻子が自摸上がりで完成したら暗刻,振り込み上がりで完成したら明刻です.上がっていない人は,手に複数の得点できる対子があるとき,すべての点を得点できます.
  • 自分の風か中發白の対子:2胡
  • 刻子と槓子.次の表の通りです.槓子の点はカンしていないと認められません.カンしてない牌が4枚あるときは,刻子1組の点を数えます.
    2~8  19字牌 
明刻2胡4胡
暗刻4胡8胡
明槓8胡16胡
暗槓16胡32胡

(2) 上がった人だけの胡数
  • 胡底:10胡.上がれば手の内容,形に関わらずもらえます.
  • 対対胡:4胡.対対和です.台数でなく,胡が付きます.
  • 嵌檔.2胡.カンチャン.路橋では,ペンチャンと単騎には胡はつきません.
  • 自摸.2胡.ツモ上がり.

台数

“飜(ふぁん)”を浙江,福建,台湾ではファンと言わず,“台(たい)”といいます.2倍の回数です.“台頭”のように“上げる”という意味があります.

(1) 全員に付く台数
上がった人だけは,財神を入れられます.
  • 自分の風の刻子,槓子:1台
  • 中發白の刻子,槓子:1組につき1台
  • (参考,認めない人が多い)四風会斉:13台.上がりは13台上がらなければ4台という人もいる.点数はどれでも辣子になる(風の刻子3つで少なくとも12胡,12胡の4台で192胡).風が4種類そろった手.大四喜でないと認めない人と,小四喜でも認める人がいる.小四喜の場合,対子は自分の風であることを求める人がいる.

(2) 上がった人だけに付く台数
  • 清一色.3台.額面の種類が違う財神が混じってよい.例えば,萬子の清一色に,索子の財神を入れてもよい.財神表示と同じ種類の牌を揃えるなら,白が混じってもよいが,白をポンしたら白入りの混一色になる.白の暗刻はよい.
  • 混一色.1台.額面の種類が違う財神が混じってよい.
なお,平和相当の上がり,カンの補充牌での上がり,チャンカン,海底撈月には,台はつきません.

上がった人への支払い

上がった人以外の3人それぞれが払います.
  • 払う人か上がった人が親の場合,上がった人の点数を払います.
  • どちらも親でない場合,上がった人の点数が辣子なら辣子,そうでなければ,点数の2分の1を払います.

上がらなかった3人の間の支払い

3人は,互いの点数を比べ,点数の低い方が高い方に払います.
  • 払う人かもらう人が親の場合,点数の高い方から低い方を引いた差.
  • どちらも親でない場合,点数の高い方から低い方を引いた差の2分の1.

包(パオ)

ハイリスクな捨て牌をした人が責任払いすることです.
  • 中發白のうち2種類をポン・カンしている人に,残り1つを生牌(ションパイ,一度も捨てられていない牌のこと)で捨てて上がられたら,上がり牌を捨てた人の包になり,その手のすべての支払を肩代わりします.捨てた三元牌が生牌でなければ,包になりません.
  • 3組以上のチー・ポン・カン(暗槓を除く)で同じ種類の牌をさらしている場合,同じ種類の牌を捨てて清一色を上がられたら,上がり牌を捨てた人は,その手のすべての支払を肩代わりします.捨て牌が,生牌でなくても包になります.
  • 聴牌でも一向聴でもないとき,生牌の中發白を捨てて上がられたら,上がり牌を捨てた人は,その手のすべての支払を肩代わりします.
生牌でなくても包にする人がいるなど,違いが大きいので,事前に相談してください.

点数の簡素化

点数の精算には,最小単位が1のチップを1人あたり500前後用意するか,紙と鉛筆で点を記録する必要があります.これが面倒なら,次のように点数を切り上げて丸めます.
  • 点数を計算し終えたら10の位に繰り上げる.例えば,12胡でも18胡でも20胡になる.
  • 繰り上げた点で上がりとサイドの支払いを計算する.繰り上げ結果が同じなら,元の点が違っても同点とする.例えば,上がらなかった3人の繰り上げ前の点が,それぞれ2胡,4胡,10胡なら,繰り上げて全員10胡になるので,サイドはない.
  • 繰り上げて100胡になったときは辣子扱いしない.

2015年9月11日金曜日

南京の麻雀

符点計算風の点数計算が特徴のルールです.役の点も符点相当の点へのボーナス加点で,かけ算ではありません.手役がある程度あるのに,役より早いメンツ作りを競う“推倒胡”系のルールのように,チーがなく,上がりとは関係なくカンで祝儀を受け渡します.中發白を花牌として扱い,合わせて20枚も花牌があります.しかし,花牌の効果は1枚1花(2符相当)とおとなしいです.

道具

春夏秋冬,梅蘭菊竹の8枚を入れた144枚の牌を使います.春夏秋冬,梅蘭菊竹の他に中4枚,發4枚,白4枚の合計20枚が花牌で,中發白は他の花牌と全く同じように扱います.

進行

最初の親は仮親がサイコロを振って決めます.あとは,親が“大胡”で上がったときだけ連荘し,それ以外の場合は,親の下家(右隣)に親が移動します.
牌の山は,1人18枚になるようにします.
配牌は普通で,親14枚,子13枚の牌をとります.なお,ドラはありません.
親が最初の捨て牌を出す前に,親から順に,反時計回りに,手の中の花牌を全部さらし,さらしたのと同じ枚数の牌を山の末尾(カンで補充牌を引く位置)から補充します.中發白も花牌であることに注意してください.
山から花牌を引いたときは,すぐにさらして,山の末尾から1枚補充牌を引きます.
ポン・カンはできますが,チーはできません.
山の残りが16枚(14ではなく)になって,誰も上がらなければ,流局(荒荘,ホァンチャン)です.

上がり

上がるには,次のいずれかの条件を満たす必要があります.

  • 大胡(ターホー,役あり)
  • 門清(門前)
  • 花牌(もちろん中發白を含む)を4枚以上さらしている


手の点数

手の点数は,“上がると必ず付く点+(硬花+軟花)×2+役の点”です.
ツモ上がりの場合,他の3人がそれぞれ手の点数を上がった人に払います.振り込み上がりの場合,振り込んだ人が,1人分(ツモの3人分でなく)の手の点数を上がった人に払います.ツモだと,振り込みの3倍の点が手に入ります.

  • 上がると必ず付く点.20花です.南京では“跑20”といいます.
  • 硬花(インホァ).春夏秋冬,梅蘭菊竹,中,發,白をさらした枚数です.
  • 軟花(ルァンホァ).風牌の刻子,カンチャン,ペンチャン,単騎待ち,欠門(萬・索・筒のどれか1種類以上がない手)各1.風牌の明槓2,暗槓3です.

硬花と軟花の数は2倍します.これを南京では“砸2”といいます.南京では,カンチャンは圧档(ヤータン),ペンチャンは辺枝(ペンチー),単騎待ちは独占(トゥーチャン)といいます.

小胡


  • 何もない手.花牌を4枚以上さらさないと上がれない.
  • 門清(メンチン).20花.1度もポンしないで上がる.暗槓と手持ちの暗刻でするカンは,門清を崩しません.小胡でなくても,該当すれば加算できます.

大胡


  • 混一色.20花
  • 清一色.40花
  • 対対胡.40花
  • 全球独釣(チェンチウトゥーティャオ).60花.裸単騎.対対胡は,必ず成立するので,複合しない.
  • 七対.40花.必ず門清なので,門清は複合しない.80花にする人もいる.
  • 双七対.80花.七対で3枚同じ牌があり,残りの1枚であがる.
    この代わりに,他の地域で有名な豪華七対を採用するひともいます.
  • 豪華七対.七対の2倍.上がり形に同じ牌4枚が1組ある七対.暗槓不可.
    超豪華七対,両豪華~.七対の3倍.上がり形に同じ牌4枚が2組ある七対.暗槓不可.
    超超豪華七対,三豪華~.七対の4倍.上がり形に同じ牌4枚が3組ある七対.暗槓不可.
  • 圧絶(ヤーチュエ).40花.ポンされている牌でのカンチャン.
  • 無花果(ウーホァクオ).40花.硬花が1枚もない上がり.門清限定.
  • 小槓開花(シャオカンカイホァ).20花.花牌の補充牌での上がり.
  • 大槓開花(ターカンカイホァ).40花.カンの補充牌での上がり.
  • 天胡(テンホー).320花.親の配牌での上がり.花牌交換後でよい.カンしたら不可.
  • 地胡(ティーホー).280花.配牌で聴牌(テンパイ,上がれる手)し,ポン・カンがない間に上がる.


比下胡(ピーシャーホー)

連荘したら,すべての点数(祝儀を含む)を2倍にします.連荘だけでなく,前の手で花槓,罰金,大・小槓開花,包,流局があったときも2倍にする人がいます.

カンの祝儀

上がりに関係なく,受け渡します.

  • 明槓したら,カンした牌を出した人,あるいは元のポンの牌を出した人は,カンした人に,6花相当,5花相当など,あらかじめ決めた祝儀を払います.
  • 暗槓したら,他の3人は,カンした人に,3花相当など,あらかじめ決めた祝儀を払います.
  • 花槓.春夏秋冬の1組,梅蘭菊竹の1組,中4枚,發4枚,白4枚を揃えたら,他の3人は,6花相当,5花相当など,あらかじめ決めた祝儀を払います.

人によっては,20花相当など,祝儀の額を上がりに近くする人がいます.

罰金


  • 4人が間にポン・カンを挟まずに続けて同じ牌を捨てたら,最初にその牌を捨てた人は,他の3人に罰金を払います.罰金の額は,人によりさまざまで,10花相当,3花相当などがあります.
  • 1人で同じ牌を4枚捨てたら,他の3人に罰金を払います.4枚を続けて捨てないでも,該当します.額は,4人続けての捨て牌と同じです.


包(パオ,責任払い)


  • 同じ人に3回ポン・カンされたら,その人が対対胡か全球独釣で上がったとき,すべての点数の支払いをポン・カンされた人が肩代わりします.清一色,混一色が成立していたら,その点も払います.
  • チャンカンは,点数はツモ扱いですが,支払いは,チャンカンされた人の包です.
  • 大槓開花は,点数はツモ扱いです.カンが直槓(暗刻持ちでのカン)の場合,カンされた人の包です.


有限責任

全員が100元など一定の同じ金額を持ってはじめ,一銭もなくなった人は,何も払わなくてよく,借りもなく,上がりやカンでは,そのままもらえるとすることがあります.このとき,2人が破産したら,即座にゲーム終了とします.

城北地区の点数

地区(城北?),人によっては,底と役の点数を全体的に低くします.硬花,軟花の点の比重が高まります.

  • 底(跑),10花
  • 門清,10花
  • 混一色,30花
  • 清一色,40花
  • 対対胡,30花
  • 全球独釣,40花
  • 七対,50花
  • 双七対,100花
  • 圧絶,30花
  • 無花果,40花
  • 天胡,50花
  • 地胡,30花
  • 大槓開花,20花
  • 小槓開花,10花

2015年9月8日火曜日

シンガポールの麻雀

花牌を必ず使うこと,カンと花牌の祝儀を除けば,3飜しばりが普及する前の香港旧章(清章)広東鶏平胡によく似ています.花牌が多い上に,席を問わない動物牌,花牌を1枚も引かないと高くなる平和があるので,ストイックな香港・広東麻雀と違い,ちょうど一発・裏ドラのように,運の要素で点数が倍々に増える楽しみがあります.

道具

148枚の牌を使います.136枚に,春夏秋冬,梅欄菊竹の8枚の花牌と,猫・鼠・鶏・虫の4枚の動物牌を追加します.
サイコロは3つか2つです.

進行

流局か親が上がったら,連荘します.子が上がったら,親の下家(右隣)が次の手の親です.親が4周したらゲーム終了です(一荘戦).
牌の山を作るときは,1列18枚か19枚になるようにします.サイコロを3つ使うときは,親が1回振って出した目で,山と山を分ける位置を決めます.2つのときは,親が振って出した目で山を決め,山の席の人がもう1度振って出した目を加えた位置で山を分けます.
ドラはありません.
親が最初の牌を捨てる前に,親から順に,配牌の花牌をすべてさらし,さらしたのと同じ枚数の牌を山の末尾から補充します.
山から花牌を引いたときは,さらして,山の末尾から補充牌を引きます.
チー・ポン・カンできます.一部を除き,食っても役は成立し,役の点数も変わりません.
捨て牌は,覚えておかないと誰が何を捨てたか分からないように,乱雑に捨てます.ポン・チーした牌も,同じ理由で,どれが誰からもらった牌か示しません.
振り聴のような上がり牌に関する制限はありません.
リーチはありません.
2人以上同時の上がりを認めません.捨て牌を捨てた人から一番順番が近い人1人の上がりになります (頭ハネ).3人同時の上がりの場合,頭ハネにしないで,流局にする人がいます.
カンの補充で山の形がかわっても,15枚(タイプミスではありません.奇数の15です)は,使わないで残します.山の残りが15枚になったら流局です.

カンと花牌・動物牌の祝儀

カンと花牌・動物牌の一定の組み合わせを手にしたら,祝儀をもらえます.祝儀の点は,手が終わるのを待たないで,すぐに受け渡しし,勝ち負け,多牌,少牌,チョンボなどがあっても,返しません.他の3人1人ずつから,次の点をもらいます.1台と2台の自摸と同じです.
  • 明槓:2点
  • 暗槓:4点
  • 動物4匹:4点
  • 花1組4枚:4点
  • 猫と鼠:2点,配牌にあるときは4点
  • 鶏と虫:2点,配牌にあるときは4点
  • 自分の花2枚:2点,配牌にあるときは4点

役と点数

役の点数は飜で数えます.飜を閩南系の人は「台(タイ)」,広東系の人は「番(ファン)」といいます.
1台しばりです.上がるには花牌の台も含めて1台以上必要です.上限は5台です.
レートのベースになる点を台の回数だけ2倍した点を,振り込みなら,振り込んだ人は2倍,他の2人は1倍,ツモなら3人が2倍ずつ払います(少し前の香港ルールに多かった半銃制と同じ).最低の1台の振り込みを2点1点とすると,次のとおりです.

放銃者非放銃者(2人各自)自摸(3人各自)
1212
2424
3848
416816
5321632

食ったら作れない十三幺,四暗刻,九子連環(九蓮宝燈)以外は,食いに関する制限・減点はありません.

1台

  • (臭)平胡.順子が4つと頭の手で,花牌・動物牌を1枚でも引いた場合.香港・広東ルールと異なり,刻子で台が付く字牌を頭にできず,振り込みで上がる場合は両面待ちでないといけない.裸単騎は自摸でも不可.台がつかない花牌を引いても花牌ありになる.これらを1枚も引かないと,4台の清平胡になる.
  • 三元牌の刻子
  • 場の風の刻子.親1周目は東,2周目は南,3周目は西,4周目は北.
  • 自分の風の刻子.親は東,親の右隣は南,親の向かいは西,親の左隣は北.
  • 動物牌.1枚につき1台.
  • 動物牌4枚一式.4枚の4台と必ず複合する.
  • 正花(チョンホァ).自分の席の花牌1枚につき1台.親は春か梅,親の右隣は夏か蘭,親の向かいは秋か菊,親の左隣は冬か竹.
  • 一台花(イータイホァ).春夏秋冬の1組,または梅蘭菊竹の1組.正花1台と必ず複合する.
  • 槓上花(カンシャンホァ).槓か花牌の補充牌でのあがり.
  • 海底撈月.15枚を残して最後の牌でのツモあがり.最後の捨て牌での上がりには1台つかない.
  • 搶槓(チャンカン).
  • 小三元.よく3台として扱われますが,小三元自体は1台で,三元牌の刻子2つと合わせて3台です.

2台

  • 対対胡.
  • 混一色.
  • 混幺九.混老頭.一九字牌だけの手.1台にする人もいる.対対胡2台と必ず複合する.
  • 小四喜.小四喜自体は2台で,自分と場の風の一方または両方で3~4台.

4台

  • 清一色.
  • 清平胡.花牌・動物牌を1枚も引かなかった平胡.台のつかない花牌を引いても臭平胡になる.

満貫(5台)

  • 大三元.3メンツそろえたら,他が上がりの形をしていなくても,すぐに点を受け渡しする人が多い.
  • 清幺九.清老頭.一九牌だけの手.
  • 槓上槓(カンシャンカン).カンの補充牌でまたカンした補充牌での上がり.
  • 七搶一(チーチャンイー).7枚の花牌を1人で集め,残りの1枚を別の人が引いたとき.手の形は上がれてなくてもよい.1枚を引いた人の振り込み扱い.
  • 大花胡(ターホァホー),八仙過海(パーシェンクォハイ).8枚の花牌を1人で集めたとき.手の形は上がれてなくてもよい.ツモ扱い.
  • 字一色.
  • 大四喜.頭はできてなくても,4メンツそろえたら,すぐに点を受け渡しする人が多い.
  • 四暗刻.単騎ツモ以外は認めない人と,ツモなら単騎でなくてもよいとする人がいる.門前限定.
  • 十八羅漢.カン4つ.
  • 天胡.配牌での親の上がり.花牌をさらして補充した後でよい.
  • 地胡.親の第1捨て牌での子の上がり.
  • 人胡.1順目に自分のツモ順の前に上がる.ポン・チーなどがあったらダメ.認める人と認めない人がいる.
  • 十三幺.国士無双.振り込みでもツモ扱い.頭ハネに勝つ.暗槓を搶槓できる.門前限定.
  • 九子連環(九蓮宝燈).9面待ちでなければ認められない(清一色で1112345678999).したがって面前限定.

包(パオ,責任払い)

清一色,字一色,清么九を作っている人が3組以上の牌をさらしているとき,危険牌を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.危険牌は,清一色なら,萬子,索子,筒子のうち集めている種類の牌,字一色なら字牌,清么九なら一か九です.

大三元を作っている人が,白發中のうち2組の牌をさらしたとき,白發中の残り1種を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.

大三元を作っている人が,白發中のうち2組の牌をさらしたとき,白發中の残り1種を捨ててポンされたら,大三元をツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.

大四喜,小四喜を作っている人が,東南西北のうち3組の牌をさらしたとき,東南西北の残り1種を捨てて振り込んだ人は,全員分の点数を責任払いします.

大四喜を作っている人が3組の牌をさらしたとき,危険牌を捨てて4組目の牌をポンされたら,大四喜をツモ上がりしたとき,全員分の点数を責任払いします.

食いと花牌ですでに4台ある人に,三元牌のような台を追加する牌を捨てて上がられるか,ポンされてその後ツモあがりされたら,全員分の点数を責任払いします.すでに3台ある人に2台の風牌を出したときも同様に包です.

やむを得ない捨て牌の免除

包が成立するためには,危険牌でない捨て牌が可能でなければなりません.したがって,手に危険牌しかない人が危険牌を捨てても包になりません.ただし,包の宣言の後に,ポン・チーした場合は,自分で手牌を減らしているので,包になります.

先を包し後を包せず(包先不包後)

例えば,Aさんが萬子とBさんが筒子の清一色に走り,まずAさん,ついでBさんが3面子食ったとき,手に萬子と筒子しかないCさんが,萬子を捨ててAさんの清一色に振り込んだら包(責任払い)になりますが,筒子を捨てて,後に3面子さらしたBさんに振り込んでも,包にはなりません.

残り5枚未満での生牌(ションパイ)の包

旺牌15枚を残して,牌の山から引ける牌が残り5枚未満になったとき,生牌(ションパイ),つまり1度も捨てられてなく,さらされてもいない牌を捨てて振り込み上がりされた人は,全員分の点数を責任払いします.生牌を見るとき,捨て牌だけで,さらした牌は含めない人もいます.

オプション

  • 門前を1台にする人がいます.
  • ツモを1台にする人がいます.
  • 残り6枚以下で生牌を出してカンされたら,カンの祝儀を責任払いさせる人がいます.これで槓上花なら,上がりも責任払いです.

2015年9月5日土曜日

湖北宜昌の「血流成河」麻雀

四川の「血戦到底」を一歩進めたようなルールです.上がっても抜けずに打ち続けます.2度以上上がって上がるたびに点を得られますが,相手のツモや上がりには点を払わなければなりません.

人数と道具

4人.東南西北白發中を除いた数牌だけの麻雀牌108枚.サイコロ1つ.

席決め・親決め・配牌

席と最初の親は好きな方法で決めます.
牌をすべて伏せ,4人で協力して混ぜあわせます.各人が,牌を伏せたまま,牌の短い辺を自分に向け,テーブルの縁に沿って,同じ長さの牌の列を作り,それに接するように同じ長さの列をもう1列作ります.列の長さは,親と親の向かいが14枚,親の左右が13枚,あるいは,親と親の向かいが13列,親の左右が14列です.牌の列ができたら,2列のまま,テーブルの中央に押し出し,4人の牌が口の字になるようにします.そして,手前の列を中央に近い列の上にのせ,2段の牌の山をつくり,山の位置を微調整します.

2手目以降は,前の手で最初に上がった人が親です.前の手の最初の上がりが2人以上同時の振り込みだった場合は,それに振りこんだ人が親です.誰も上がらないで流局したときは,前の手の親が引き続き親です.

親がサイコロ1つを牌に囲まれた中で振ります.親を1として,反時計回りに,右隣が2,向かいが3,左隣が4,親が5,右隣が6と数え,出た目の席の人は,自分の前にある牌の山を,右端を1として,時計回りに,目の数だけ数え,その列と次の列の間にすき間を開けます.親から反時計回りに,牌の山を2列2段の4枚ずつ,分け目から時計回りに取っていきます.取った牌は,自分の前に,1段の横一列に伏せて置きます.これを3周続けて,全員が12枚の牌を取ったら,親は,次に牌を取る位置の上の段の1枚目と3枚目の2枚の牌を取り,ついで,反時計回りに,順番に,下の段の牌1枚,次の列の上の段の牌1枚,下の段の牌1枚を取ります.これで,親には14枚,残り3人には13枚の牌が行き渡ります.親だけ1枚多いのは,山から引く牌をあらかじめ取っているからです.全員が牌を取り終わったら,各人が,自分だけに見えるように,牌を起こします.なお,ドラはありません.

換三張(ホァンサンチャン)

配牌を見たら,同じ種類(萬子,索子,筒子)の牌3枚を伏せて自分の前に出します.同じ種類の牌を3枚出さなければならないので,例えば萬子が1枚しかない手では,萬子は出せません.親がサイコロ1つを振ります.出た目が1か2なら下家(右隣),3か4なら対面(向かい),5か6なら上家(左隣)の人が出した牌を取り,手に加えます.

ゲームの目的と上がりの形

山から牌を引くか,他人の捨て牌をもらい,不要牌を捨てることを繰り返し,上がりを目指します.
上がるには,萬子,索子,筒子の3種類のうち,少なくとも1種類を欠く手でなければなりません.これを欠門(チュエメン)といいます.欠門でないと,上がれないだけでなく,高い罰金を払わなければなりません.
また上がるには,自分の手と,山から引いた牌または他人が捨てた牌で,組4つと頭1つを作らなければなりません.組は,同じ牌3枚,カンした同じ牌4枚,または同じ種類で数字が連続した3枚の牌です.1と9は連続していないので,912は組になりません.頭は,同じ牌2枚です.後一枚で
上がれる状態,つまり,待っている牌を山から引くか捨てられたら上がれる状態を聴牌(テンパイ)または下叫(シャーチャオ)と言います.手が終わったときに聴牌していないと,罰金があります.

手の進行

親は,手牌のうち不要な牌を1枚捨てます.捨て牌は,自分の前の牌の山よりテーブルの内側に捨てます.ついで,反時計回りに順に,山から1枚牌を引き,手から不要牌を1枚捨てることを繰り返します.山は,ゲームの進行と異なり,時計回りに使います.手の最初は,親が1枚おきに取った残りの下段,後は,上,下,次の列の上,下の順に使い,山を使い終わったら,時計回りで隣の山に移ります.

ポン.手に同じ牌が2枚あり,その牌が捨てられたとき,ポンと発声すれば,手の2枚と捨てられた1枚で3枚組を作れます.ポンした人は,この3枚を表向きにさらし,不要牌を1枚捨てます.次の順番はポンした人の右隣りになります.ポンされた牌を捨てた人とポンした人の間の順番は飛ばされます.ポンと上がりが同時にあったときは,上がりが優先されます.

カン.同じ牌4枚1組のセットを作ります.2通りの明槓(ミンカン)と暗槓(アンカン)があります.
直槓(チーカン).日本の麻雀用語では大明槓(だいミンカン)です.手に同じ牌が3枚あり,その牌が捨てられたとき,カンと発声すれば,手の3枚と捨てられた1枚で4枚組を作れます.カンした人は,この4枚を表向きにさらし,牌の山の末尾ではなく,次のツモ位置から1枚手に補充し,不要牌を1枚捨てます.次の順番は,カンした人の右隣りになります.カンと上がりが同時にあったときは,上がりが優先されます.
補槓(プーカン).日本の麻雀用語では加槓(チャーカン)です.明槓の一種です.すでに自分がポンしている牌と同じ牌を山から引いたとき,カンと発声して,引いた牌をポンした牌に加えてさらし,牌の山の末尾ではなく,次のツモ位置から1枚手に補充してから,不要牌を1枚捨てます.このカンは,搶槓(チャンカン)されることがあります.
暗槓(アンカン).手に同じ牌が4枚あるとき,カンと発声してこの4枚の1枚を表,残りを裏向きにしてさらし,牌の山の末尾ではなく,次のツモ位置から1枚手に補充してから,不要牌を1枚捨てます.

なお,チーはありません.

上がり

手とさらした牌に今他人が捨てた牌または山から引いた牌を合わせると上がれるなら,上がりを意味する発声とともに,捨て牌または山から引いた牌を手の右側に表向きに置いて上れます.上がったときは,手を伏せ,役と点数をいい,点をもらいます.手の公開は,手が終わった後に行います.
捨て牌での上がりは,日本語では振り込み,放銃など,中国語でも点炮,出銃など火器に因んだ表現をつかいます.振り聴のような,振り込み上がりを制限するルールはありません.同じ捨て牌で2人,3人が同時に上がることもできます(頭ハネなし).振り込み上がりの特別な場合に搶槓(チャンカン)があります.補槓(加槓)した牌が待ち牌だった場合,カンした牌で上がれます.搶槓されたカンは成立していないものとみなします.
山から引いた牌での上がりは,自摸(ツモ)といいます.カンの補充牌での上がりも,ツモ上がりです.このときのカンは,成立しているとみなします.
上がった人も,他の人と同じように,打ち続けます.ただし,一度上がった人は,補槓(加槓)と聴牌形を変えない暗槓以外は手を変えることはできません.上がったら,次の順番は,上がった人の下家(右隣)です.二人以上同時に上がったときは,振り込んだ人から順番が一番遠い人の下家(右隣)の順番になります.
同じ手で2度以上上がれます.上がりのたびに,点をもらえます.ただし,1度上がったら,同じ手で,1度目の上がりと違う役では上がれません.1度目の役に他の役が複合した形の上がりは認められますが,1度目の上がりの役の点しかもらえません.
1度上がっても,他の人の上がりには,点を払わなければなりません.
何人が何回上がろうが,牌の山がなくなるまで打ち続けます.牌の山を一定枚数残すことはしないで,最後の1枚まで使い切ります.
親は3枚交換直後の配牌で上がることは,認められません.上がりの条件を満たす手でも,1枚捨てなければなりません.

上がりの点数授受

振り込み上がりは,上がり牌を捨てた人が,上がった人に手の点数を払います.2人,3人が同時に上がった場合,上がった人ひとりずつに支払います.ツモのときは,他の3人が,それぞれ手の点数を払います.ツモ上がりは,振り込みの3倍の点が得られます.ツモが得なのは,日本でリーチが得なのと似た感覚で捉えられています.

手の役と点数

上がった手は,手の中にある役で点数をつけます.点数の単位は,“番(ファン)”ですが,番は足し算で,倍々計算はしません.
  • 何もない手:1番
  • 碰碰胡(ポンポンホー):3番.頭以外は刻子と槓子しかない手.対対和.
  • 清一色(チンイーソー):6番.1種類の牌だけの手.
  • 清碰(チンポン):9番.清一色の碰碰胡.
なお,番数は,人による違いが大きいです.

一度もポンしないでツモ上がりしたら,次の点を加えます.

  • 門前自摸(メンゼンツモ):プラス1番


また,上がった人と払う人がしたカンの点を加えます(槓進槓出,カンチン・カンチュー).払う人のカンは加算しない人もいます(槓進槓不出,カンチン・カンプーチュー).上がり以外では,カンの点をもらえないことに気をつけてください.

  • 明槓:1つにつきプラス1番
  • 暗槓:1つにつきプラス2番


聴牌できなかった場合の罰

手が終わったら,全員が手牌を公開します.聴牌していない人のうち,次の花猪(ホァチュー)の罰に当たらない人は,上がった人を含めた聴牌している人に,それぞれの手で上がれる一番高い役の点を払います.

欠門できなかった場合(花猪)の罰

手が終わった時に,手牌とポン・カンした牌に萬子,索子,筒子の3種類がある人は,“花猪(ホァチュー)”といい,上がった人を含めた聴牌している人に,それぞれの手で上がれる一番高い役の点の2倍を払います.3倍にする人もいます.

上海の「清混碰」麻雀

現代の香港ルールの主流と同じく,対々和か染めるしかないルールです.流局が多く,じっくり遊びたい人向けです.せわしない大都会でゆっくりしたゲームが普及したのは,興味深いと思います.

道具

春夏秋冬,梅蘭菊竹の8枚の花牌を加えた144枚の麻雀牌.サイコロ2つ.

進行

牌の山は1人18列です.サイコロは2つの1度振りで,2つの目の合計で,開門する山と位置の両方を決めます.配牌時は親14枚,子は13枚の牌を取ります.ドラや混(ワイルドカード)のような牌の山の1枚を表にして決める牌はありません.

牌の山を1枚も残さないで使い切ったら流局(荒牌)です.これ以外の流局はありません.流局は連荘します.前の手に上がった人が次の手の親です.前の手で2人以上同時に上がったときは,上がった人のうち振り込んだ人に一番順番が近い人の下家が次の手の親です.

配牌に花牌があったら,親から順番に反時計回りに,花牌をさらし,同じ数の牌を山の末尾から補充します.山から花牌を引いたときも同じようにさらして補充牌を引きます.

チー,ポン,カンいずれもできます.後に説明する包のために,ポンとカンは,誰から捨て牌をもらったかわかるようにします.暗槓は4枚を伏せて出します.

上がり

上がるには,次の7種類の手のひとつである必要があります.
  • 碰碰胡(ポンポンホー):対対和.刻子(槓子)4組と頭.
  • 混一色:字牌と数牌一種類だけで4メンツと頭を作る.
  • 混碰(ホンポン):混一色の碰碰胡
  • 清一色:数牌一種類だけで4メンツと頭を作る.
  • 清碰(チンポン):清一色の碰碰胡
  • 全風向(チェンフォンシャン):14枚全部が字牌の手.4メンツと頭の形をしてなくてよく,字牌なら何でも上がれる.
  • 風碰(フォンポン):字一色.全風向の碰碰胡.

上がり方には,次の4通りがあります.
  • 自摸:山から引いた牌で上がる.
  • 槓開(カンカイ):カンか花牌の補充牌で上がる.
  • 搶槓(チャンカン):ポンに牌を付け加えるカンが待ち牌だったとき.
  • 点胡(テンホー):捨て牌で上がる.

捨て牌で上がるには,点が2花以上なければなりません.上がり牌を見逃したら,自分が山から牌を引くか,自分がポン,チーまたは明槓するまで,見逃した牌と同じ捨て牌では上がれません.これ以外に,上がり牌に対する制限はありません.

1つの捨て牌で2人以上同時に上がることを認めます.このとき,上がり牌を捨てた人は上がった人1人ずつに点を払います.

点数計算

点数は,花(ホァ)と喇子(ラーツ,ローツ)という2つの単位で表します.
底(ティー):すべての手につく点.例えば,20元.
花(ホァ):喇子未満の手の刻子,槓子,花牌1つごとにつく点.例えばひとつあたり10元.
喇子,辣子または勒子(ラーツ,ローツ):高い点の単位.満貫のようなもの.通常は8花または4花.底20元,花10元で8花だと,喇子は100元.

点数は手の形で決まり,上がり方により増えることがあります.

碰碰胡と混一色は,花を数えます.喇子を超えたら喇子止まりでそれ以上の花は数えません.
1枚 刻子 明槓 暗槓
花牌 1花 - - -
数牌 - 0花 1花 2花
東南西北 - 1花 2花 3花
中發白 - 2花 3花 4花


碰碰胡と混一色以外の手は,すべて喇子単位です.
混碰:喇子
清一色:喇子
清碰:2倍喇子
全風向:2倍喇子
風碰:4倍喇子

上がり方による特典は次の通りです.
  • 槓開.喇子未満なら喇子,喇子以上なら手の点数通りです.
  • 単釣(タンティャオ)または大吊車(ターティャオチョー).裸単騎のことです.喇子未満なら喇子,喇子以上なら手の点数通りです.
  • 門清(メンチン).これを認めるかどうかは事前に決めてください.門前で上がったら,点数を2倍にする人がいます.ただし,もとの点が喇子未満なら,喇子を超えた点は切り捨てます.
  • 海底撈(ハイティラオ).各人の最後のツモ牌での上がりです.点数を2倍にします.もとの点が喇子未満なら,喇子を超えた点は切り捨てます.
  • 七捉一(チーチュアイー).一般的でありません.Aが1枚,Bが7枚花牌を引いたら,手の形に無関係にBの上がりとなり,AはBに2喇子などあらかじめ決めた点を払います.
  • 八花斉(パーホァチー).一般的でありません.1人で花牌を8枚引いたら,手の形に関係なく自摸上がりとなり,他の3人は,あらかじめ決めた点を払います.

点の支払い方は,上がり方によって違います.中国の多くのルールと共通して,自摸は振り込みの3倍になります.
  • 自摸と槓開は,他の3人が,それぞれ手の点数を払う.
  • 搶槓は,自摸でもらえる点数(3人分)を,カンした人1人が払う.
  • 点胡(振り込み)は,上がり牌を捨てた人が手の点数を払い,他の2人は何も払わない.

三口(サンコウ)の包(パオ)

名前は包ですが、包でない人にも点の支払いがあり,上がった人が受け取る点数が増える効果もあります.
Aの捨て牌をBが3回泣く(チー,ポンまたは明槓)と,その手が終わるまで,AとBは互いに三口の包関係になります.Aが上がったときはB,Bが上がったときはAが,それぞれ決められた点を払う義務があります.Aが上がった場合だけを書きますが,Bが上がった場合も,Aが同じ点数をBに払います.
Aが自摸(槓開を含む)で上がったら,Bは点数の3倍を,AB以外の2人は,点数そのものをそれぞれAに払います(小包,シャオパオ,自摸三家,ツモサンチャ).Bは点数の5倍を払い,他の人は何も払わないとする人もいます(大包,ターパオ,自摸五家,ツモウーチャ).
AがBの捨て牌で上がったら,Bは点数の2倍をAに払うとする人がいます(自銃両家,ツーチョンリャンチャ).
AがCの捨て牌で上がったら,Cが聴牌していた場合,CとBそれぞれが点数そのものをAに払います(一人一家,イーレンイーチャ).Cが聴牌していなかった場合,Cが1人で点数の2倍をAに払います.Cが聴牌していなくても,CとBが1人分ずつ払うとする人もいます.
AがCから搶槓した場合,CとBそれぞれが点数の3倍をAに払います.
上がった人に複数の包関係があったら,すべての包関係について,上がった人の相手が包の規則による点を払います.AがBから3メンツ泣き,BもAから3メンツ泣いていた場合も,包関係が2つあるとみなします.

荒番(ホァンファン)

これを採用するかどうかは,事前に決めてください.流局したら,荒番のカウントを1増やします.このカウントは,始めは0です.カウントが0でないときは,荒番です.荒番では,すべての点数が2倍になります.荒番で上がったら,カウントを1減らします.

挖宝(ワーパオ)または開宝(カイパオ)

荒番への追加ルールです.採用するかどうかは事前に決めてください.サイコロの目に1か4があるかゾロ目なら,荒番のカウントを1増やします.1のゾロ目か4のゾロ目なら2増やします.サイコロで増やしたカウントは直ちに有効で,その手を荒番にします.

衛生麻雀

負けの絶対的な上限を設定して安心して遊ぶために,次のようにする人がいます.全員が同じ点数分のチップやトランプのカードを持って始めます.持ち点がなくなった人は,何も払わなくてよく,他の人が立て替えることもありません.払えなくなった人は,後で,払えなかった分を返す必要はなく,上がったら,何のペナルティもなく,上がり手の分の点をもらえます.

2015年9月4日金曜日

北京の「吃碰提」麻雀

首都のルールなのに,中国全土共通というより,独特なローカル色が目立ちます.まず,メンゼン大好きなルールです.「吃碰提」とは,「チー・ポン・ツモ」の意味で,食ったらツモでしか上がれない北京ルールの特徴を表しています.もうひとつの大きな特徴は,「混兒(ホァル)」というワイルドカードを使うことです.ワイルドカードを使うルールは,浙江,福建,江西の3省を中心に分布し,北京(と天津)は離れ小島のような存在です.

(2015.9.8)欠門を要求する人がいることを書き加えました.
(2015.10.6)他ルールからの類推で搶槓で点が倍になるとしていた過ちを修正しました.混を額面どおりに使えば,没混の倍がつくことを書き加えました.オンラインゲームのルール記述では,極端に高い飜数をつけていることがあることに言及しました.全体の文章を少し添削しました.
(2015.12.3)混悠(混の単騎待ち)と,龍と同色の混を1枚龍身に使った場合について書き加えました.チャンカンの点を再度修正し,ツモと同じとしました.上がりを見逃したら,見逃した牌以外でも上がれないと修正しました.頭ハネかしないか明言する人が少ないので,あえて書くのをやめました.
(2015.12.5)清一色は,倍数だけでなく,種類の違う混を認めるか認めないかも人により違うことを追記しました.焼荘を認める場合の風牌の連打について書き加えました.
(2016.2.12)混悠の記述を点数から上がりに移しました.点が倍になる手について,一般的と思われるものと,バリエーションを分けました.カンの採点例を書き加えました.
(2016.2.20)捨てられた混で上がれないことを追記しました.始めに使った情報源が採用していたので,メインの役に入れながら一般的でないと注記していた清一色を基本ルールから外しオプションルールに移動しました.一部の役の倍数を増やすのは人により違うので例示を止めました.カンごとに使わない牌を増やすオプションで増やし方を1枚ずつと明記しました.上がり放棄の記述が重複していたので,反則の章1か所にまとめました.親のカンの点を倍にしない人もいることを追記しました.上楼を1手でなく親が一巡する間続ける人がいることを追記しました.断門を要求する地区として昌平区を例示しました.

道具

136枚の麻雀牌,花牌は使いません.サイコロ2つ.

配牌

流局か親が上がったら連荘,子が上がったら,親の下家が次の親です.
牌を取り始めるときは,日本や香港と同じく,サイコロを1度振って,目の合計で山と位置の両方を決めます.

混兒(ホァル)

チョンチョンで残った下ヅモの牌を表向きにして,使わない7列の牌の上に乗せます.これが「混兒(ホァル)」の表示牌です.表示牌の次の牌が混です.表示が一萬なら混は二萬,二萬なら三萬,九萬なら一萬です.風牌は東南西北の順,三元牌は,中国式の順序で中發白です.なお,「ホァル」の表記は一定してなく,混兒,會兒,惠兒など,さまざまな字が当てられます.「兒」を書き続けるのが面倒なので,以下「混」とします.
混は,何の代わりにもなるワイルドカードです.例外は,捉五の五萬,豪華の4枚には使えないことと,混入りのメンツを食えないことです.混を捨てたら,上がり放棄です.捨てられた混は食えません.捨てられた混では上がれません.混が手に3枚あったら,ツモでしか上がれません.

進行の特記事項

上家からチー,誰からでもポン・カンできます.
捨て牌は,誰が何を捨てたか覚えておかないと分からないように,乱雑に捨てます.
最後の7列14枚の牌は使いません.ここまで来て誰も上がらなかったら流局です.使わない牌の枚数は,7列固定,1回カンしても変わらないが,2回以上カンがあったら8列にする,カンごとに1枚増えるなど,人により違いますが,1枚も残さず使い切ることはありません.

上がり

七対を除けば,上がるには4つのメンツと1つの頭が必要です.
捨てられた混では上がれません.ツモった混でなら上がれます.
上がれる捨て牌を見逃したら,自分の番が来るまで振込みでは上がれません.1度つもるかポン・チーしないと振込みでは上がれないとする人もいます.
ポン・チー・明槓のどれかをしたら,ツモでしか上がれません.捨て牌で上がるには,メンゼンでなければなりません.
手に混が3枚あるときは,ツモでしか上がれません.
混の単騎待ちは,混悠(ホァルヨウ)といい,何でも上がれますが,メンゼンでもツモでしか上がれません.
なお,槓開(カンカイ,カンの補充牌での上がり)は,どんなカンでもツモ上がり扱い,搶槓(チャンカン)は,点数計算はツモ扱いですが,上がりのルールでは振り込み上がり扱いです.

上がり手の点数

何も倍が付かなければ1点です.次のうち当てはまるものすべての回数2倍します.例えば,親が混あり食いなしの一通をツモったら,荘家,門清,提溜,龍で16点になります.
  • 荘家(チュアンチャ):親の上がりへの支払いと子の上がりへの親の支払いの両方に付く
  • 門清(メンチン):チー・ポン・明槓がない
  • 没混(メイホァル),無混(ウーホァル):混がないか,手のすべての混を額面どおりに使う
  • 提溜(ティーリウ):ツモ.山から引いた牌での上がり.「吃碰提」の「提」はこの略.これに関連して,振り込んだ人の支払いも点を2倍にする
  • 龍(ロン)または一条龍(イーテャオロン):同じ種類の1〜9各1枚で3メンツ
  • 七対子(チートイツ):同じ牌2枚の組み7組.必ず門清も付く.同じ牌が4枚あってよく,その場合「豪華」にもなる
  • 豪華(ハオファ):七対に4枚同じ牌がある.暗槓を含めたカンはできない.4枚の一部を混で代用したら豪華にならない.「豪華七対」を略して「豪七」ともいう.4枚組が複数ある場合,組の数だけ豪華の倍が付く
  • 捉五魁(チュアウークイ)または捉五(チュアウー):五萬の嵌張,または七対で五萬の単騎.この五萬を混で代用したら捉五魁にならない
  • 槓開(カンカイ)または槓疵(カンツー,ツーの字は一定しない):槓(カン)の補充牌での上がり.ツモ扱いなので,必ず提溜も付く
なお,搶槓(チャンカン)そのものに倍はありませんが,ツモとして点数計算します(提溜の倍が付く).チャンカンできるのは,ポンしてある牌へのカンだけですが,龍の3メンツのどれかが待ちの場合に限り,暗槓でもチャンカンできます.搶槓は搶槓された人の包(責任払い)にする人もいます.

役のバリエーション

  • 龍で,混が1枚あり,龍の9枚の1枚に化け,混の額面が他の8枚と同じ種類の数牌のときを本混龍(ペンホァルロン)といい,没混として扱い,2倍を与える人がいます.
  • 混悠(混の単騎)を没混として扱い,2倍を与える人がいます.

つぎの3つの手はまれなので,決まった点数はなく,事前に決めます.純粋に偶然による手なので,高い点を与えるのは避けるのが普通です.親子に関係なく,同じ点(例えば20点)を他の3人が払います.
  • 天和:親が配牌であがっていたとき
  • 地和:子が親の最初の捨て牌で上がったとき
  • 混槓:混が4枚手にあるとき.手は上がりの形でなくてよい

上がり手の点の支払い

放銃もツモも3人払いです.上がった人に対し,他の3人は,各自,ベースのレートに上がり手にある倍をすべて掛け合わせ,自分が親の場合さらに2倍,上がり牌を捨てた場合もさらに2倍して(荘家と提溜だけは上がり手だけでなく支払い側の条件による倍もある),上がった人に払います.

カンの点数

上がった人は,自分がしたカン1つごとに,あらかじめ決めた点を他の3人からもらえます.例えば,明槓は1つ1点,暗槓は1つ2点です.親が支払いか受け取りに絡んだら2倍にします.槓開の倍はカンの点にも効きます.他の上がりの倍はつきません.
例えば,親が明カンで槓開したら(混悠の待ちなら確実に槓開できるので珍しくない),荘家・提溜・槓開の8点と親の明槓に槓開で4点の合計12点,親が門前・暗カンで槓開したら,荘家・門清・提溜・槓開の16点と親の暗槓に槓開で8点の合計24点です.
なお,親のカンの点を2倍にしない人もいます.

反則

チョンボは,上がろうとした手でもらえる点を逆方向に払うか,天・地胡,混槓と同じ点(20点にすることがが多い)など,あらかじめ決めた点を払います.
混を捨てたとき,大相公(多牌),小相公(少牌)は上がり放棄です.

荒荘(ホァンチュアン),焼荘(シャオチュアン)

最初の一巡に喰いなしに全員が同じ牌を捨てたら,親に罰金を払わせる荒荘または焼荘と呼ばれるルールを採用する人がいます.このルールを使う場合,荒荘で流局しなかったら,親があらかじめ決められた罰金を残りの3人に払います.天・地胡,混槓の半分の10点と非常に高く設定することが多いです.流局のときは,この罰金はありません.また,親の最初の捨て牌が風牌のときは,その牌が手にある人は,続けて捨てなければなりません.

上楼(シャンロウ)

流局の直後の手は点数を2倍にする人がいます.三連荘以上でも点数を2倍にする人がいます.流局の直後の手だけでなく,親が一巡する間ずっと上楼を続ける人もいます.

役と倍数の追加

特にお金が絡まないオンラインゲームで,他の地域のルールを参考にして役を足したり,倍数を大幅に増やすことがあります.追加する役は,清一色,対対和,大釣(裸単騎のこと),海底撈月からいくつかを選ぶことが多いです.また,これに関連して,なんでも2倍という体系をくずして,一部の役を4倍や8倍あるいはそれ以上にする人もいます

断門(トゥアンメン)

断門(トゥァンメン)でないと上がれないとする人や地区(昌平区一帯)があります.断門は,萬子,索子,筒子のうち少なくとも1種類を欠いた手です.

食いの回数制限

ポン・チーの回数をひとり当たり1手1回に制限する人がいます.この場合も,ポンなしの明カンは何回でもできます.

点炮包荘(テンパオ・パオチュアン)または大包(ターパオ)

上がり牌を捨てた人が,3人分の点を1人で払うとする人がいます.これも主にオンラインゲーム(実際のゲームと違って捨て牌を整列して表示する)で使われるバリエーションです.この支払い方法を使う場合,放銃の倍は採用しません.自摸の倍は,放銃の倍と関連していますが,採用しないかするかは,事前に決めてください.

杭州流の3副露の包を採用する人がいます.AさんがBさんから3回チー・ポン・明カンしたら,その手が終わるまで,AとBの2人は包の関係になり,互いに相手の上がり点を1人で肩代わりします.Aがツモ上がりしたら(食っているので振り込みでは上がれない),BはAが受け取る点をすべて肩代わりして払います.また,Bがツモまたは振り込みで上がったら,AはBが受け取る点をすべて肩代わりして払います.AがBともCとも包なら,Aは,上がったときに,BからもCからも点をもらえるので,受け取る点が2倍になります. BがAから3回,AがBから3回それぞれチー・ポン・明槓していたら,二重の包関係になるので,相手の上がりに,上がり2回分の点数を払います.