2018年10月23日火曜日

ピケ(piquet)

16 世紀からある古いゲームです.山札交換と手役宣言で相手の手が読めることが多いので,カード勝負で得点するために手役の一部を隠す作戦があるなど,戦術的です.主な情報源は,古いフランスの文献をもとにしたルールを掲載している“忘れ去られたゲームのアカデミー (L’Académie des jeux oubliés)” (academiedesjeux.jeuxsoc.fr) です.ピケは,トランプゲームとしては極めて例外的に,大きなルールの相違がほとんどありませんが,変化の可能性を示すために,古いイギリスの文献を主にした David Parlett 氏の“Historic card games” (www.davidparlett.co.uk/histocs) のルール記述との違いを追記しました.

(2013.7.30) 複数の続き (セカンス) と組 (トロワ,カトルズ) を得点できる条件を,点数ではなく,宣言の強さに修正しました.
(2013.7.30) David Parlett 氏のルールとの違いを追記しました.
(2018.10.23) 「古いルール」が19世紀中ごろまでのルールであることを追記しました.手役の文章を書き直しました.
(2018.10.27) 手役の文章をさらに添削し,また 1 番手は点の手役を宣言しないことはできないので,2 番手のルピックの例を改めました.

人数とカード


2 人.4 つの印ごとに 8 枚の計 32 枚.強い順に 1(A),R(K),D(Q),V(J),10,9,8,7.切札はありません.ピケは400年間も流行したにもかかわらず両大戦間に急激に衰退し,20 世紀中頃には遊ぶ人がほとんどいなくなってしまいましたが,南欧以外のヨーロッパ大陸の国々では,このゲームから始まり,現代の国民的ゲームに至るまで 32 枚を使うものが多いので,普通に売られているトランプも 32 枚組が多いです.

目的


複数の手の合計点で,決められた点に先に到達することです.

順番決め


カット,または 1 枚引いて,低いカードを引いた方が,最初の配り手です.配り手の相手が 1 番手,配り手は,2 番手です.以後の手では,ゲームの終了まで,交互に配り手をつとめます.

カードを配る


配り手は,カードをよく切り,相手にカットさせてから,相手自分の順で交互に 2 枚または 3 枚ずつ,12 枚の手札を配り,残り 8 枚を山札 (タロン,talon) として 2 人の中央に 1 枚ずつずらして伏せて置きます.

絵札なし(カルト・ブランシュ,cartes blanches)


配られた直後の手札に 1 枚も絵札 (K,Q,J) がない場合,1 番手は自らの手札交換の前に,2 番手は 1 番手の手札交換の後,自らの手札交換の前に,絵札なしを宣言できます.このとき,手札をすばやく 1 枚ずつ表向きに重ねて置き,絵札がないことを相手に示します.絵札なしの点数は,10 点です.

手札交換


1 番手は,手札を少なくとも 1 枚,最大で 5 枚,枚数を言って捨て,同じ枚数の山札を上から順に取ります.手札を 5 枚交換しない場合,5 枚交換で手にできた山札をのぞき見できます.

2 番手は,1 番手の後に,手札を少なくとも 1 枚,最大で山札の残りだけ捨て,同じ枚数の山札を上から順に取ります.2 番手は,残りの山札をのぞき見できます.1 番手は,最初のカード勝負に出す手札の印を告げれば,残りの山札を公開できます.なお,イギリスの文献に基づく David Parlett 氏のルール記述は,2 番手が手札を 1 枚も捨てないことを認め,残りの山札を 1 人で見ることは認めず,見たければ 2 人が見えるように公開しなければならないとします.

捨てたカードは右の手元に伏せて置き,ゲームには使いません.David Parlett 氏は,逆に、自分が捨てたカードはいつでも見てよいとします.

1 番手に絵札がないとき,2 番手が 1 番手の手札を見て手札を交換できないように,絵札なしの宣言,および手札交換を次の手順で行います.(1) 1 番手は,絵札なしを宣言するとともに,交換する手札の枚数を 2 番手に告げる.(2) 2 番手は手札交換で交換する手札を捨てる.(3) 1 番手は手札をすばやく 1 枚ずつ表向きに積み,絵札がないことを示す.(4) 1 番手は告げた枚数の手札を捨て,同じ枚数の山札を取る.(5) 2 番手は,自分が捨てた枚数の山札を取る.David Parlett 氏は,この複雑な手順に言及していません.

手役の宣言


1 番手は,点 (ポアン,point),続き (セカンス,séquence),組 (トロワとカトルズ,trois et quatorze) の順に手役を宣言します.宣言の手順は,次の通りです.

1 番手は,手役を宣言します.

2 番手は,1 番手の宣言に勝てる手役があれば宣言を拒み,なければ宣言を認めます.同じ手役があれば同点とします.宣言を認める,拒む,同点とするための言葉は,互いに理解できるなら,何でも構いません.いい/だめ/あいこ,OK/NG/同じなどでもいいでしょう.フランス語では,"C’est bon(セボン)","mieux(ミユ,[自分の方が]もっと良いの意)","égal(エガル)"です.

1 番手は,最強の手役を宣言しなくても,続きと組は手役を隠しても構いません.2 番手も,最強の手役と比べなくても,手役を隠しても構いません.

1 番手は,2 番手が認めた手役の点を得ます.2 番手は,拒んだ手役と 1 番手が宣言しなかった手役を,1 番手が最初に手札を出した後,自分が最初の手札を出す前に,申告して得ます.続き (セカンス) 役の宣言が認められた 1 番手と,続き役の宣言がなかったか拒んだ場合の 2 番手は,宣言に勝った続き役に勝てない続き役が手にあれば,その点も得点できます.宣言・拒否に使わなかった続き役は得点しなくても構いません.組役も,同様に,宣言に勝った組役に勝てない組役はすべて得点できます.どの手役も,最後まで同点なら,2 人とも点を得られません.なお,David Parlett 氏のルール記述は,宣言で勝ったもの以外の続き役と組役の得点に役の強弱の制約がありません.

点の役と続き役のカードは,得点するときに相手に見せます.組役は,普通は,公開しないでも分かるので,公開の義務がありませんが,相手が要求したら,得点したカードを見せなければなりません.

手役 1:点 (ポアン, point)


現代のルールでは,枚数が多い印のカードの枚数を宣言します.同点なら,A=11点,K,Q,J=10点,それ以外=額面として換算した点数の合計を宣言します.宣言/申告した印の枚数が得点になります.古いルール(19世紀中ごろまで)では,はじめから点数を宣言し,点数の 1 の桁を四捨五入し 10 で割った値を得点します.ポアンは,17 世紀前半までは,ロンフル (ronfle) と呼ばれました.

手役 2:続き (セカンス, séquence)


同じ印で強さ順に 3 枚以上続いているカード (例:スペードのA,K,Q,J) の枚数とその中で最強のカードをまとめて宣言します.そのようなカードがないときまたは公表したくないときは,続き役がないと宣言します.David Parlett 氏のルールでは,枚数を宣言して,同点なら最強のカードの強さを宣言します.印は比較しません.1 つあたりの得点は,3 枚続き (ティエルス,tierce) が 3 点,4 枚続き (カトリエーム,quatrième) が 4 点,5 枚続き (カント,quinte) が 15 点,6 枚続き (セジエーム,seizième) が 16 点,7 枚続き (ディス・セティエーム,dix-septième) が 17 点,8 枚続き (ディズ・ウィティエーム,dix-huitième) が 18 点です.

手役 3:組 (トロワとカトルズ, trois et quatorze)


A,K,Q,J,10 のどれかが 3 枚以上あるとき,強さ (A,K など) と枚数 (3 または 4) を宣言します.9 以下の組は,この役になりません.組がないときまたは公表したくないときは,何も言わずにカード勝負に移ります.David Parker 氏のルールでは,枚数を宣言して,同点なら強さを比較します.1 組あたりの得点は,3 枚組 (トロワ) が 3 点,4 枚組 (カトルズ) が 14 点です.

カード勝負


12 枚の手札で 12 回のカード勝負を行います.1 回目は 1 番手,2 回目以降は,直前の回の勝者が先手になります.先手は,手札から好きな手札を 1 枚表向きにして場に出します.後手は,先手と同じ印の手札があればそれを,なければ好きな手札を 1 枚出します.先手と同じ印で強いカードを出した方が,その回に勝ちます.勝った人は,2 枚のカードを取り,重ねて伏せ,手元におきます.カードを置くとき,勝ち数がわかりやすいように,直前が縦向きなら横,横向きなら縦にして,十字型を作ります.参考にしたルール記述は,直前のカード勝負に出されたカード以外は見てはいけないと明記しています.David Parlett 氏のルールは,取ったカードを見ていいかどうかに言及していません.

カード勝負の点


現代のルールでは,先手で手札を出したら,1 点を得,相手が先手のとき勝ったら,1 点を得ます.古いルール(19世紀中ごろまで)では,先手は,10 以上の手札を出したら 1 点を得,相手が先手の時に 10 以上で勝ったら 1 点を得ます.

12 回目のカード勝負に勝ったら,1 点を得ます.この点は,先手の点,相手の先手に勝った点とともに取れます.古いルールでも,カードの大きさに関係なくこの点を取れます.なお,David Parlett 氏が引用する 1620 年ごろのドイツの文献は,10 以上で勝たないとこの点も取れなかったとします.現代のルールでは,12 回全勝の時は,この 1 点を認めない人がいます.

カード勝負終了後,相手より勝ち数が多ければ 10 点,12 回全勝ならこの 10 点の代わりに 40 点を得ます.

ルピック (repic) とピック (pic)


1 手の中で,相手が 1 点も得点していないうちに,絵札なしと手役だけで 30 点に達したとき,ルピックといい,その人は 60 点のボーナスを得ます.

1 手の中で,相手が 1 点も得点していないうちに,絵札なし,手役,カード勝負で 30 点に達したとき,ピックといい,その人は 30 点のボーナスを得ます.相手より勝ち数が多いときの 10 点と全勝の 40 点は,ピックには使えません.ルピックでボーナス点を得た場合,ピックにはなりません.現代のルールでは,1 番手は 1 回目の先手で 1 点取れるので,2 番手のピックはありえません.古いルールでも,2 番手のピックは実際には起こりません.

ピックおよびルピックの判定では,絵札なし (カルト・ブランシュ),点 (ポアン),続き (セカンス),組 (トロワとカトルズ),カード勝負の順に点が入り,2 人の得点が確定しない限り,後の点は入っていないと見なします.したがって,1 番手が手役を宣言しなかったか,拒まれた場合,その後の 1 番手の手役と最初の先手の点は,ゲームとは異なる時点で入ると見なされます.例えば,1 番手が点の宣言を拒否され続きを宣言せずに,組を宣言して認められ,最初に手札を出したあとに,2 番手が 2 組の 5 枚続きを申告したら,続きは組より前なので,2 番手のルピックになります.

得点計算


得点するたびに,その手で得た点の合計を言います.1 番手は,宣言しないか拒まれた手役があった後も,手役の点を,宣言時点で数え上げますが,ルピック,ピックの判定は,上記に従います.1 手が終わったら,スコアシートにその手で得た点を書き加え,次の手の得点は,また 0 から数えます.

合計点が目標に先に到達した人が勝ちです.このゲームの古い名前がフランス語で 100 を意味する Cent であることからわかるように,100 点が伝統的な目標です. 150 点,200 点などを使う人もいます.手の途中で,目標に到達したら,その時点で終わりにします.このとき,点は,ピック・ルピックの判定と同じ順序で入るとみなします.カード勝負に入ったら,目標点に到達しても打ち切らずに 12 回のカード勝負を行い,2人とも目標に到達した場合,カード勝負の結果点も合わせた合計点が大きい方を勝ちとします.

普通は,100 点の勝負を 2 回行い,1 勝 1 敗なら,もう 1 勝負します.

17 世紀のピケ


モリエールの作品に登場するピケは,18 世紀以降のルールである古いルールとは,次のような違いがあります.
- 各印 A~6 の 36 枚を使い,手札,山札は 12 枚です.32 枚を使うピケは,17 世紀末に登場しました.
- 1 番手は 1~8 枚を交換.2 番手は,1~残リ枚数を交換します.
- 2 人とも絵札なしなら,どちらも 10 点を得点します.
- 9 枚続きは 19 点です.

ルビコン


ルビコンは,勝負の決め方に関するバリエーションです.

最初の配り手を決めるとき,高いカードを引いた方が,1 番手か 2 番手の好きな方を選び,後は手ごとに交代します.

ゲームは 6 手で,合計点が大きい方が勝ちです.同点の場合,2 手延長します.負けた方が 100 点未満なら,2 人の点の合計+100 点の勝ち,100 点以上なら,2 人の点の差+100 点の勝ちです.

2018年10月20日土曜日

99

ゲーム研究家の David Parlett 氏の創作ゲームです.創作ゲームなのに,そうと感じさせないシンプルさがあると思います.

人数とカード

3人.4 つの印ごとに,A,K,Q,J,10,9,8,7,6 の 36 枚.

カードの強さ

強い順に,A,K,Q,J,10,9,8,7,6 です.

カードを配る

最初にカードを配る人は好きな方法で決め,そのあとは順番に交代します.配り手は,カードをよく切り,右隣の人にカットしてもらってから,左隣の人から時計回りに順番に,ひとり 12 枚の手札を配ります.

宣言

3 人とも,手札から 3 枚のカードを選んで伏せて捨て,9 回のうち何回勝つことを目指すか決めます.クラブは 3,ハートは 2,スペードは 1,ダイヤは 0 として捨てた 3 枚の合計が目標です.この数字は,印の飛び出している個所の数で覚えればよいと作者はいいますが,ダイヤには 4 個所突起があるような気がします.スペインのトランプのように,枠の切れ目が0〜3つあると,何も悩まないのですが…(ちなみにスペイン語圏のトランプは印も日本でおなじみのフランス風と異なり,コイン,カップ,剣,棒です).

カード勝負の前に目標のカードを公開すると 30 点,目標のカードと手札を公開すると 60 点のボーナス点が付きます.公開は 1 人しかできません.手札公開は目標公開に勝ち,同じ公開なら配り手の左隣を 1 番として時計回り順に優先されます.

カード勝負

9 枚の手札で 9 回のカード勝負を行います.1 回目は,配り手の左隣,2 回目以降は直前の回の勝者が,先手になります.先手は,手札から1 枚を表に向け場に出します.先手の左隣から順に,時計回りに,全員が 1 枚ずつ手札を表向きに場に出します.このとき,先手と同じ印の手札があるなら,出さなければなりません.一番強い切札,切札がないときは,先手と同じ印で一番強いカードを出した人が,1 回の勝負に勝ちます.切札は,最初の手は 0 (ダイヤ),以後は直前の手で目標どおりに勝った人数(0〜3)に対応する印が切札になります.

得点計算

目標と勝ち数が同じなら成功,多すぎても少なすぎても失敗で,成功した人が 3 人なら 3 人とも 10 点ずつ,2 人なら 2 人が 20 点ずつ,1 人なら 30 点をそれぞれ得点します.成功失敗に関係なく,カード勝負 1 勝あたり 1 点を得ます.公開のボーナス点は,公開した人が成功したら,公開した人,失敗したら,他の 2 人のどちらもが得点します.

9 手あるいは事前に決めた 9 の倍数の手数で一番得点の多い人が勝ちです.あるいは,1 勝を 100 点先取として,最初に 3 勝した人が勝ちです.

初期バージョンのルール

ジョーカー1枚を入れた37枚を使います.
手札を配り切って残った1枚を表向きにし,このカードの印を切札にします.表になったカードがジョーカーか9のときは切札なし(ノートランプ)です.ジョーカーそのものには特別な力はなく,表向きになったカードと同じカードとして扱います.

切札がないと,手の最初にカードを出す人が有利過ぎるので,切札なしではなくすべて切札としても良いのではないかと作者が提案しています.この場合,カードの出し方のルールは同じですが,勝つのは,印を無視して1番強いカードです.同じ強さのカードが複数出されたときは,先に出たカードの勝ちです.

戦術

ぴったり決めた回数勝たなければならないので,確実に勝てる上位のカードだけでなく,確実に負ける下位のカードも重要です.捨てるカードは,勝てるか負けるか分からない中間のカードから選ぶことが多いです.

全 9 回を 3 人で割ると 3 なので,何回にしてよいかわからないときは,3 を選ぶとよいでしょう.

どうしようもないときは,上位の切札など意表を突くカードを捨てて,他のプレイヤーを撹乱します.

ダイヤは捨て札に入ることが多く,クラブは少ないので,ダイヤは確実には勝てず,クラブは手堅く勝てます.

2018年10月6日土曜日

武漢の「紅中頼子槓」麻雀

ルール名は,ホンチュン・ライツカンと読みます.得点計算がユニークで,「頼子(ライツ)」というワイルドカードがある麻雀です.高い手を目指す人は高いリスクを負う公平なインフレシステムが魅力です.ワイルドカードは一般的には「混(ホン)」,北京では「混兒(ホワール)」と呼ばれ,ワイルドカードを使うルールは,北京や浙江・福建・江西省各地などにも分布しています.なお,頼子は癩子と表記する方が多いかもしれませんが,画数も多く,字義も良くないのであえてこうします.

主な参考資料は,「武漢麻將紅中頼子槓超詳細入門教程」です.この資料は,「紅中頼子槓」のインフレ版「紅中發財頼子槓」を解説しているので,上限の点数,大役複合時の点数は他の資料も参考にしました.

道具

麻雀牌136枚.萬子,索子,筒子と東南西北白發中.花牌は使いません.
サイコロ2つ.

席決め

伝統的な方法と,電動卓向けの新しい方法があります.
伝統的な方法は,東南西北1枚ずつ4枚を伏せてよく混ぜ,1人1枚ずつ好きな牌を取ります.東を引いた人がサイコロ2つを振って出た目の合計の席が東の席です.反時計回りに東南西北の順になるように席を変えます.
新しい方法は,自分の目の前の山から牌を1枚とり,数字の大きい順に東南西北にします.字牌は数牌より下で,上から順に東南西北中發白です.数が同じ場合,種類を比べます.上から筒,索,萬の順です.同じ牌を引いた人は,もう1枚自分の山から牌を引いて,同じように比べ,同点だった人の間の順位を決めます.東がサイコロを振る以降は伝統的な方法と同じです.

配牌

サイコロは2つで,牌を取り始める山は2つの目の合計で決めますが,山を分ける位置は,合計でなく小さな方の目だけを使います.例えば,2-5なら,合計の7にあたる親の対面が,小さい方の目が2なので右から2列目と3列目の間に切れ目を作り,親は3列目と4列目を取ります.親がチョンチョンして残った下段の牌を表向きにし,牌の山の上にのせます.山の末尾近くに置くことが多いですが,カン補充牌を多く使うルールなので,特にどこに置くという決まりはなく,全員に頼子が何か分かればよいです.この牌が「頼子」表示牌です.この牌が数牌なら,同じ種類で数が1つ大きい牌,9のときは1,字牌なら,東南西北中發白の順で次の牌,白のときは戻って東が頼子です.風と三元牌を分けないことと,三元牌の順番が日本語と逆なことに気をつけてください.なお中は決して頼子になれないので,表示牌が北のときは,發が頼子です.(決め方が似ている頼子があるので書いていませんでしたが念のため.ドラはありません)

進行

最初の親は,席ぎめで東になった人です.流局か親が上がると連荘です.子が上がると,親の下家(右隣)が次の親です.流局するのは,牌の山を使い切って誰も上がらなかったときだけです.
1回のゲームは,親4周(一荘戦)です.続けるときは,席決めからやり直します.
参考までに,“一分(点0.1元)”のレートで“紅中發財頼子槓”の開口飜の一荘戦を行うと,普通の勝敗は200〜300元,荒れると1000元近くになります.一荘戦を3回すると,普通は500元前後,荒れると800元から1200元,おとなしいと200元前後です.
捨て牌は,誰が何を捨てたか覚えておかないと分からないように,机の中央に乱雑に置きます.
チー・ポン・カンした牌と,1枚でカンするか捨てた中・頼子は,左手側の隅から1列または何列かに分けて並べます.自分に面した縁に沿って並べる人もいます.
チー・ポン・カンで,誰からどの牌をもらったかは示しません.
カンを何回しても,流局になりません.

暗槓は4枚を伏せてさらし,手が終わったときに公開します.
中は,ポンも4枚揃えてのカンもできません.中が手にあるか山から引いたら,1枚でカンのようにさらし,山の末尾から補充牌を引けます.また,中を捨てても構いません.カンしても,捨てても,紅中槓となります.
頼子は,中を除くどんな牌の代わりにもなります.頼子を含むメンツは,チー・ポン・カンできません.上がるときは頼子入りのメンツや頭を捨て牌で完成できますが,捨てられた頼子では上がれません.また頼子は,中と同じように1枚でカンできます.頼子を捨てても構いません.カンしても捨てても頼子槓となります.
牌の山が残り14枚(7列)になったら,1人1回1枚ずつ,順に山からツモるだけで,牌を捨てません.このときカンはできません.牌の山が残り10枚になっても誰も上がらなければ,流局です.これ以外の流局はありません.
武漢での10000人麻雀大会の写真も参考にしてください.中だけでなく發もカンしている人がいるので,“紅中發財頼子槓”であることがわかります.また,牌をさらす場所が人によって違うこと,頼子表示牌を山の中の牌を表に返して決めている卓が1つあるなど,作法の細かい違いにも気づけると思います.

上がり

上がるには,次の条件を満たす必要があります.
  • 手に中がなく,あった中はすべてカンするか捨ててある.
  • 少なくとも1つ“開口(カイコウ)”している.“開口”は,食い,泣きのことで,チー・ポンまたは明槓のどれでもよい.暗槓,紅中,頼子のカンは開口に数えない.
  • 風一色でも将一色でもない場合,4つのメンツと1つの頭がある.
  • 対対胡,風一色,将一色,清一色のどれでもない場合,頭が2か5か8.頼子2枚の頭は,額面が2,5,8でなければ認められない.頼子1枚の単騎で,任意の2,5,8を待つのは,認められる.
  • 小胡の場合,手にある頼子が1枚か0枚.このとき額面どおりで使っている頼子は数え,カンしている頼子は数えない.小胡を聴牌した手に頼子が1枚あって,頼子をツモったら,上がれる手を維持するためには,どちらか1枚を捨てるかカンしなければならない.
  • 上がる人と他の3人それぞれの間の点数が,あらかじめ決めた下限,例えば8点や16点以上なければ上がりを認めないことが多い.8点,16点でなく3飜,4飜ということもあり,この場合,大胡なら,これらの飜数がなくても上がれる (4飜は16点の同義語なので,大胡なら10点と開口で少なくとも20点はある).後述する紅中發財頼子槓や口口番では,さらに高い32点 (5飜) 縛りがあり,この場合,大胡でも点数に気を付ける必要があるが,実際は損失を抑えるために,どれだけ開口と槓牌を増やさないか気にしなければならないことの方が多い.

対対胡での頼子の単騎待ちのように,どんな牌でも上がれる待ちは,自摸か搶槓(チャンカン)でしか上がれません.
上がり牌を見逃した場合,自分のツモ順を待たないでも上がれます.なお,日本以外のほとんどのルールと同じく,上がり牌を自分で捨てていても振り込みで上がれます(振り聴なし)
同じ捨て牌で2人以上が同時に上がることを認めません.この場合,捨て牌を捨てた人から順番が一番近い人の上がりとなります(頭ハネ).

点数計算

包でなければ,上がった人以外の3人が,それぞれ上がった人に点を払います.支払う点数は,基礎点(起翻)を自分の飜数と上がった人の飜数を合わせた回数だけ2倍した点です.スコアカード,ポーカーチップや点棒の類は使わず1手ごとに精算するので,一分(点0.1)なら10分の1,五厘なら20分の1し,小数点以下を四捨六入した額を現金や現金に見立てたトランプのカードで受け渡しします.
1人あたりの支払い点数には上限(封頂,フォンティン)があり,点数計算の結果が上限以上なら,上限の点を払います.
普通の上限は,
  • 封頂 300点
  • 3人全員が封頂の場合は金頂(チンティン)といい,400点負けにします.
  • 金頂のとき開口していない人は陽光頂(ヤンクワンティン),光明頂(クワンミンティン)などといい,500点負けにします.
  • 3人全員が陽光頂のときは三陽(サンヤン)といい,600点負けにします.

基礎点

  • 小胡(シャオホー):1点
  • 大胡(ターホー):上がった手で該当するもの1つにつき10点

小胡(シャオホー)

  • 平胡または屁胡(ピーホー).大胡でない手.

大胡(ターホー)

  • 碰碰胡: 対対胡(和)です.頭に2,5,8以外の牌も使えます.
  • 風一色(フォンイーソー):風か發か白だけの手.このとき,中と頼子のカンは手に含めないで判定します.14枚がこの条件を満たし1開口あれば,4面子も1雀頭も不要で,風發白の何でも上がれます.他の一色役でもそうですが,化けた頼子を混ぜて構いません.
  • 将一色(チャンイーソー):2,5,8だけの手.このとき,中と頼子のカンは手に含めないで判定します.14枚がこの条件を満たし1開口あれば,4面子も1雀頭も不要で,258の何でも上がれます.
  • 清一色(チンイーソー):数牌1種類だけの手です.このとき,中と頼子のカンは手に含めないで判定します.頭に2,5,8以外の牌も使えます.
  • 海底撈: 山の最後の10枚を除いた最後の4枚の牌どれかでのツモ上がり.繰り返しになりますが,山の最後の4枚は,ツモるだけで,捨てません.また,この牌ではカンできません.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ海底撈の役は成立しません.海底撈はツモを含む役なので,ツモの半飜は数えません.
  • 槓上開: カンの補充牌でのツモ上がり.頼子と紅中のカンでの補充を含みます.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ,槓上開の役は成立しません.槓上開はツモを含む役なので,ツモの半飜は数えません.
  • 搶槓(チャンカン):ポンに牌を付け加えるカンが上がり牌のとき,その牌であがること.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ,搶槓の役は成立しません.
  • 全求人(チェンチウレン):4つ開口しての,裸単騎の振り込み上がり.4開口なので,暗槓すると作れません.このとき碰碰胡などが成立すれば頭が何でも上がれますが,頭が2,5,8でなければ,全求人の役は成立しません.

飜数

基礎点に次のうち上がった人と支払う人の該当する項目をすべて掛け合わせます.
上がりにも支払いにも適用される倍は,自分が上がったときにもらう点を増やすだけでなく,上がられたときの支払も増やします.

(1)上がった人払う人双方の分を数える

  • 開口(カイコウ):1飜(x2) .チー,ポン,明槓.開口が1つ以上あれば1飜.
  • 暗槓,頼子槓:1つにつき2飜(x4).頼子はカンしても捨てても頼子槓になる.
  • 明槓,紅中槓:1つにつき1飜(x2).中はカンしても捨てても紅中槓になる.チャンカンされた槓は成立していないので数えない.
  • 荘家: 小胡なら1飜(x2),大胡なら0飜(x1)

(2)上がった人の分だけを数える

  • 硬胡(インホー): 1飜(x2).頼子が1枚もないか,あってもカンしたか,額面通りに使った手.
  • ツモ: 小胡なら1飜(x2),大胡なら半飜(x1.5).槓上開・海底撈は,ツモを含んだ役なので,この飜はつかない.

(3)払う人の分だけを数える

  • 放銃者:小胡なら1飜(x2),大胡なら半飜(x1.5)

A: 親,開口
B: 放銃,開口
C: 開口,紅中槓1回,頼子槓1回
D: 上がり,小胡,硬胡,開口
とすると,
AからDへ
  1(基本点)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Aの親)x2(Aの開口)=16
BからDへ
  1(基本点)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Bの放銃)x2(Bの開口)=16
CからDへ
  1(基本点)x2(Dの硬胡)x2(Dの開口)x2(Cの開口)x2(Cの紅中槓1つ)x4(Cの頼子槓1つ)=64
で,Dは16+16+64=96点を得ます.

包の人は,全員分の点数を1人で肩代わりします.
  • 聴牌していないで,全求人を放銃したら包です.上がりの条件を満たしていない手は聴牌とみなしません.チャンカンか槓上開でないと上がれない手は聴牌ではありません.全求人が成立しなければ包にならないので,将(258)の振込みに限定されます.
  • 3開口以上ある清一色の3つめの開口を泣かせた人は包です.
  • 搶槓された人は包です.

荆州?麻雀(紅中頼子槓の三麻)

三国志でおなじみの荊州のルールとして掲載されていた3人向けバージョンです.荊州は紅中頼子槓の流行地域から少し外れているので,本当に現地で知名度のあるルールなのかわかりませんが,よくできていると思うので,ここに紹介します.4人ルールとの違いだけ書きます.
  • 数牌1種類の1〜9(例えば萬子すべて)と東を除いた96枚を使い,16枚2段の山を作る
  • 後述の發を槓牌にするオプションや口口飜は使わない
  • 8点縛りだが,敗者全員でなく少なくとも1人が縛りを満たせば上がれる
  • 大胡の海底撈はない.したがって最後のツモに関する特別なルールはなく(カンできる,不要牌を捨てる),残り10枚で流局
  • 大胡でも自摸,放銃は1飜
  • 三麻なので手が高くなりやすいが,封頂は変えずに封頂300,金頂400.
  • 風一色と将一色は無条件で金頂

バリエーション

槓牌を増やす.次のように,カンすれば2倍になる牌の枚数を増やす人がいます.
  • 紅中發財頼子槓といって,發も中と同じように扱うルールは広く遊ばれています.
  • 皮子(ピーツ,痞子とも書く)槓.中・發ではなく,頼子表示牌と1つ下の牌を“皮子”として,中のように扱う人もいます.中・發は皮子でない限り普通の牌です.
これらの場合,縛りは16点(4飜)以上が多く,封頂も上げます.
  • 封頂400点
  • 金頂500点
  • 陽光頂600点
  • 三陽700点または800点

口口飜(コウコウファン).開口(チー,ポン,明槓)1つにつき1飜(x2)を与えます.これに対し,開口がいくつでも1飜なのは“開口飜(カイコウファン)”といいます.“口口飜”では,更に封頂を上げ,封頂600,金頂800,陽光頂1000,三陽1200が多いです.

大胡の基礎点
大胡が複合したときの基礎点を,2つなら20,3つなら40とする人もいます.
風一色,将一色,清一色の基礎点を15点にする人(地域?)がいます.奇数で半飜計算はしづらいので,自摸と放銃はプラス5点の20点から倍々計算します.

包.将一色,風一色に清一色と同様の包を認める人もいます.

更新履歴

(2015.8.25)サイコロの使い方が違うので書き加えました.「頼子」,「飜」の文字づかいを揃えました.上限を整理しました.
(2015.9.8)飜しばり,上限のバリエーション,一色役の包,痞子について書き加えました.
(2015.9.9)全求人の頭の制限について加筆し,全求人の包は258の振り込みでしか成り立ち得ないと書き直しました.点数計算の硬胡の定義で頼子を捨てると認められないと書いてあった誤りを修正しました.上がりのしばりは,飜でなく点数の下限設定に修正しました.小胡の頼子の枚数にはカンした頼子も含まれることを追記しました.食い,泣きを意味する言葉に“開門”と“開口”の両方を使っていたのを“開口”に統一しました.
(2015.12.22)対々胡の頼子単騎のように何でも上がれる待ちは自摸でしか上がれないことを書き加えました.席決めと初めの親の決め方を補足しました.大胡のうち手の形ではなく,上がり方である槓上開,搶槓,海底撈は全求人と同じように頭が258でないと認められないと修正しました.
(2016.3.11)頭が258でなければならない手で,頼子単騎で258を待てるのは全求人だけではないので,全求人だけにあったこの説明の重複を削りました.
(2016.3.14)何でも上がれる手はツモ以外にチャンカンでも上がれることを書き加えました.一色役と小胡の制限で,カンした中と頼子は除いて考えることを明記し,2枚以上頼子があるときは余分な頼子を捨てないと小胡で上がれないとしていたのを改めました.
(2016.3.19)一色役に頼子を混ぜて良いことを明記しました.痞子の表記を皮子に変えました.全求人の258に関するルール記述を他の役に合わせました.
(2016.3.23)主な参考資料に従い,頼子はカンしても捨てても2飜を基本形にするとともに,頼子槓の飜数のバリエーションについて書き加えました.槓上開ではツモの半飜は付かないと改めました.チャンカンされた槓は不成立であることを追記しました.
(2016.3.24)捨て牌は乱雑に置くこと,さらした牌と捨てた中・頼子は左側の隅に置くことを明記しました.
(2016.3.26)金頂の記述が上限の引き上げにも読めたので改めました.海底撈も槓上開と同じくツモを含む役なので,ツモの飜が付かないことを追記しました.
(2016.3.28)包の規則でチャンカンか槓上開の助けを借りないと上がれない手は聴牌とみなさないことを書き加えました.
(2016.3.31)封頂の違いや口口翻の記述をバリエーションに移動しました.
(2016.4.2)頼子表示牌の置き場所について書き忘れていたので,補足しました.
(2016.4.4)中と頼子の使い方に点数計算の記述が混ざっていたのを削除しました.
(2018.9.24)海底撈などの成立条件の説明を誤解の余地が少ないように書き直しました(頭が自由な手なら,258以外の頭だとこれらの役は成立しないが,上がることは可能).
(2018.9.29)荊州?(紅中頼子槓エリアではないので当地で遊ばれているのかどうか怪しいが,ルールそのものは良い三麻アレンジなので)の三麻ルールを追記しました.
(2018.10.1)各種の封頂(満貫)の記述をすべて基本ルールに移動しました.高い縛りだと大胡も縛りの対象になることを追記しました.
(2018.10.4)ドラがないことと,何回カンしても流局しないことを追記しました.
(2018.10.6)点数計算の概要が飜数をかけるとなっていたのを,飜数の回数2倍すると正確な表現に改めました.大胡の基礎点のバリエーションを追加しました(鄂州のもの)
(2018.12.10)皮子の記述を七皮四頼のルールに従って固定槓牌なしに修正しました.実際に牌で遊ぶことを前提にしたルール記述で頼子槓の飜数を2にしていないものがないので,頼子槓の飜数のバリエーションを削除しました.

2018年10月5日金曜日

New Three-Player Mahjong of Northwestern Hubei

It is a young regional variant, called 卡五星 or 卡五心, meaning gap call of a 5, created in late 2000’s and spread rapidly to the northwestern quadrant of the Hubei province. It combines simple classical gameplay with speed of three player variations.

Preliminaries

Number of (active) players: 3. Winner of previous hand is taken over by resting player when four play.
Equipments: 84 tiles of two suits (remove one of Characters, Bams or Dots) and Red, Green and White dragons; two dice
Prior agreement: Players have to agree on how much a unit is worth, number of hands to play or duration of game, and any optional rules.

Seating

Seats are determined by any appropriate means (i.e. random). It is generally considered to deeply influence elements of luck and done in more or less formal way. It is advisable to change seats after agreed upon number of hands are played.

Deal

The tiles are turned face down and shuffled well by all the players. Each player, then, builds a wall of fourteen tile wide and two tile high in front of him/her. Who ranked first in the seating rolls two dice, count the sum of the pips starting from him/herself as one and counter-clockwise, and who sits in the position of the sum becomes the first banker. In subsequent hands, winner of previous hand is the banker, or the loser when there are two winners. The banker stays if a hand ends in a draw.

The banker rolls two dice and a wall is chosen just like the first banker. The player behind the wall counts number of stacked pairs from the right end as one and until the rolled sum clockwise, and opens a gap between the last counted pair and the next one. The wall is, unlike everything else in the game, used clockwise from the gap during a deal and a game. Kong supplement tiles are taken from the other end the gap. Either on the head or the tail, a top tile of a pair is used before a bottom one. Starting from the banker and counter-clockwise, each player grabs two stacked pairs of four tiles from the head of the walls in turn, repeated three times to have twelve tiles in hand. Then each player picks a tile in turn, and the banker takes one extra tile to finish the deal.

Each player turns his/her tiles up for him/herself to see and not anyone else, and (optionally) arranges them in suits.

Objective

The objective of the game is to win some money by winning hands and making kong’s. In order to win a hand, a player has to make
  • one pair and four sets, or
  • seven pairs
with his/her tiles in hand, pung's and kong's, and
  • a tile draw from the wall, either as his/her first action of his/her turn, or as a kong (explained later) supplement,
  • a tile just discarded by another player, or
  • robbing a tile from a kong.
A pair is two identical tiles.
A set is
  • a run of three tiles of the same suit (e.g. 1-2-3, 6-7-8),
  • a three identical tiles, or
  • a kong (four identical tiles melded with a kong declaration).


Normal turns

Unless it is first turn of the banker who already has one extra tile, a player draws a tile from the head of the walls, and if his/her hand does not meet winning condition, or he/she does not want to win yet, discards a tile face up in the center area of the table. Discarded tiles are placed rather haphazardly so that one has to remember who discarded what and when. Turn moves to right player (i.e. counter-clockwise) after discarding.

Pung

If a player has two identical tiles and a same tile is just discarded, he/she can make a set by
  • saying 'pung' for the other players to hear,
  • turning the two tiles face up, taking the discarded tile, and putting them together in front of his/her hand, or to its left or right, and
  • discarding a tile from his/her hand.

The pung call must be the first action, and the rest can be done in any order. It is a good manner to do the discarding first so that the other players can continue playing as soon as possible. A turn of player (if any) between the discarding player and who called the pung is skipped. Turn moves to right player of who called the pung after the discarding. Tiles cannot be taken away from a pung.

Kong

There are three different ways to do a kong: direct, growing and closed.
a) direct kong
If a player has three identical tiles and a same tile is just discarded, he/she can make a set by
  • saying 'kong' for the other players to hear,
  • turning the three tiles face up, taking the discarded tile, and putting them together in front of his/her hand, or to its left or right,
  • drawing a supplement tile from the tail of the walls, and
  • discarding a tile from his/her hand.
b) growing kong
If a player has a pung and draws a same tile from the wall (either from the head or the tail), he/she can make a set by
  • saying 'kong' for the other players to hear,
  • placing the tile just drawn face up together with the other three,
  • drawing a supplement tile from the tail of the walls, and
  • discarding a tile from his/her hand.
c) closed kong
If a player has four identical tiles in his/her hand and it is his/her turn, he/she can make a set by
  • saying 'kong' for the other players to hear,
  • laying the four tiles face down in front of his/her hand, or to its left or right,
  • drawing a supplement tile from the tail of the walls, and
  • discarding a tile from his/her hand.
Four tiles of a closed kong are shown to the other players when current hand ends.

A turn of player (if any) between the discarding player and who called the kong is skipped. Turn moves to right player of who called the kong after the discarding. Tiles cannot be taken away from a kong.

An attempt at growing a kong can be robbed by another player calling for the same tile to win. This form of winning is called 'robbing a kong' and the attempted kong is deemed unsuccessful.

There are some additional rules for kong:
  • when a player has three identical tiles, he/she must do a direct kong; he/she cannot do a pung and save the other tile to do a growing kong later;
  • a player cannot do a closed kong during a turn started by his/her own pung; and
  • a player cannot do a kong when there is no supplement tiles left in the walls.


Kong payment

A player who has made a successful kong is paid immediately.
  • a direct kong: 2 units from the discarding player
  • a growing kong: 1 unit from each of the other players
  • a closed kong: 2 units from each of the other players
The amount is doubled by number of uninterrupted sequence of preceding kong's if a kong is made from a supplement tile or discarded tile of another kong. The payment will not be cancelled by any events, be it a win by another player, a draw, or irregularity like long or short hands.

Winning a Hand

A player can win a hand if his/her hand forms a pair and four sets or seven pairs, and either it contains at least one of doubling patterns or it is won by a tile drawn from the wall. A player must tell the others that he/she wins (any words understood as such by all players do), laying his/her hand face up to be examined by all.
A win takes precedence over a pung or a kong. Two players can claim a discarded tile or rob a kong to win at the same time. If a player missed a winning tile, he/she must wait until his/her own turn or it is passed by a pung or a kong, unless his/her hand scores higher than win by the missed tile. If there is no winner when all the tiles in the walls are used, it is a draw.

Pay out scheme

If it is a valid win, number of doubles are counted and the unit is doubled by that times to calculate the score of the hand. When different set of patterns can be counted in a hand, highest scoring one should be used. Maximum number of doubles is usually set to 3 (x8) and any higher doubles are ignored. Some make an exception for Double Dragon Seven Pairs and score it as four doubles (x16).
If a hand is won by claiming a discarded tile or robbing a kong, the player who discarded the tile or whose (attemped) kong is robbed pays the amount to the winner. If it is won by a tile from the walls either from the head or the tail, each of the other two players pays the amount.

One Double (x2)

  • All Pung (碰碰胡): all sets are three or four identical tiles.
  • Fit Five (卡五星): game’s namesake, a win by 5 with 4 and 6 in hand to complete a run of 4-5-6.
  • Open Four in One (明四归一): a win by the same tile as three tiles in a pung. The fourth tile can be something other than the winning tile if the winning hand contains Pure One Suit or higher doubling pattern.
  • Bloom on Kong (杠上开花): a win by a kong supplement tile. It can be combined with another bloom on Kong when the kong is made from a kong supplement tile (kong on kong).
  • Claimed on Kong (杠上炮): a win by a discarded tile of a kong. It does not combine with Bloom on Kong even when the claimed tile is discarded after a kong on kong.
  • Robbing a Kong (抢杠胡)
  • Disclosure (亮倒): when winning player has played with his/her hand laid open for others to see after he/she was ready (one turn away from winning). Some players disclose all of his/her tiles, while some do only calling part. A player cannot discard tiles from his/her hand after disclosing it. First disclosing player has to pay each of the others a unit when a hand ends in a draw. It is scored as if it is won by a tile drawn from the walls even when it is won by claiming, and claimed player pays on behalf of all.
  • Fishing the Bottom (海底捞): a win by drawing the last tile in the walls. It does not apply to the last discarded tile.

Two Doubles (x4)

  • Pure One Suit (清一色): a winning hand made solely from tiles of one suit.
  • Seven Pairs (七对)
  • Lone Tile (手抓一): a winning hand with four pung's and calling for a pair with only one tile in hand.
  • Lesser Three Elements (小三元): two sets of dragons and a pair of the remaining one.
  • Closed Four in One (暗四归一): three identical tiles in hand (in any ways but a pung; for example, a set, a pair plus another in a run, etc) and winning by the remaining one. The fourth tile can be something other than the winning tile if the hand contains Pure one suit or higher doubling pattern.

Three Doubles (x8)

  • Greater Three Elements (大三元): three sets of dragons.
  • Dragon Seven Pairs (龙七对): seven pairs where two pairs are four identical tiles. It does not combine with Closed Four in One.

Four Doubles (x16)

  • Double Dragon Seven Pairs (双龙七对): seven pairs where four pairs are two sets of four identical tiles. It does not combine with Closed Four in One.

2018年10月2日火曜日

卡五星 (湖北省北西部の麻雀)

湖北省大悟県で2007年ごろに随県のルールに手を加えて作られ2009年の春節時期に同省北西部に急速に広まった新しいルールです.中国の民間ルールは,書籍やゲーム機で覚えるのではなく,大富豪のように人づてに教わるゲームなので,このようなことが起こります.

必要なもの

人数:3人.4人のときは,前の手で上がった人が抜けている人と交代する
道具:136枚の麻雀牌から数牌1種(何でもよい)と東南西北を除いた84枚
サイコロ2つ

事前の取り決め

レート:最大の上がりが最小の8倍であることを念頭に決めます.そうは言っても,日本には小額紙幣がないので,雰囲気を出すためには,子供銀行券を用意するとよいと思います.
ゲームの長さ: 親のメリットは順番が早いことだけなので,あらかじめ決めた時間か手数が過ぎたらゲームを終わりにできます.

手の開始

各人14枚2段の山を作ります.
最初の親はサイコロで決めます.あとは前の手で上がった人が親です.2人同時に上がった手の次は,振り込んだ人が親です.流局は連荘します.
親がサイコロ2つを振り,2つの目の合計で,配牌を始める山と位置を決めます.手牌は13枚です(親は最初のツモを合わせた14枚を取ることを含め変わらない).ドラやワイルドカードのように山の牌を表向きにして決める特殊牌はありません.

手の進行

捨て牌は誰が何を捨てたか覚えておかないとわからないように,乱雑に捨てます.
チーはできません.
1手の中のカンの回数に制限はありません.
ポンして捨て牌する間には暗槓できません.
手に暗刻があるときは捨て牌で直ちに明槓しなければなりません.手の2枚でポンして後から残りの1枚でカンすることは認められません.

カンの支払い

カンしたら直ちに支払いを行います.これは,上がりや流局には関係なく受け取れるので,これらの場合に返す必要はありません.
  • 手にある暗刻でカンしたときは,牌を捨てた人からレート×2
  • ポン済みの牌にカンしたときは,他の2人からレート×1ずつ
  • 暗槓のときは,他の2人からレート×2ずつ
  • カン補充牌かカンの捨て牌でカンが連続した場合,2連続なら2倍,3連続なら4倍と,連続のたびにカンの点を2倍にします.

上がり

手牌に自摸,捨て牌,カン補充牌か搶槓を加えると4メンツと雀頭か,7つの対子が完成するなら上がれます.(念のため…チーはできませんが順子を捨て牌で完成させて上がれます)
何の倍もつかない手は,平胡(ピンフー)あるいは屁胡(ピーフー)と呼ばれ,自摸でしか上がれないとするのが普通です.
七対を除き,ポン・カンして作れなくなったり価値が下がる役はありません(亮倒もできます).
振り聴はありません.
上がり牌を見逃した場合,自分のツモ順が来るか飛ばされるまでは,見逃した手より高い手でなければ上がれません.

流局

牌の山を1枚残らず使い切って誰も上がらなければ,流局です.最後のツモでも,上がれなけば牌を捨てます.
カン補充牌がなくなった状態ではカンできません.

上がりの支払い

ツモ上がり(カン補充牌での上がりを含む)は,上がらなかった2人がそれぞれ,振り込み上がり(搶槓を含む)は振り込んだ人が,レートを上がり手にあるすべての役の飜数だけ2倍した額を上がった人に払います.なので,ツモ上がりだと振り込みの2倍の金額を得られます.
複数の採点が可能な場合,手が高くなる方を選びます.
多くの地区で,上限は3飜(8倍)でそれを超える場合はすべて3飜として扱います.双龍七対だけ特別扱いして16倍を支払うとする人もいます.

1飜(×2)

  • 碰碰胡.対々和
  • 明四帰一.ポンした牌と同じ牌での上がり.清一色以上の役があるときは,4枚目が上がり牌でなくてもよい
  • 卡五星(カーウーシン).5のカンチャンでの上がり
  • 槓上開花.カン補充牌での上がり.常にツモ扱い.カンの補充牌でのカンが連続した場合,カンの回数だけ飜が付く
  • 槓上炮.カンの捨て牌での上がり.カンの点と異なり,カンが何回連続した後でも,槓上開花の倍は複合しない
  • 搶槓
  • 亮倒(リャンタオ).聴牌した手を公開しての上がり.手すべてを公開するところと,待ちの部分だけを公開するところがある.公開後は,待ちを変えることもツモった牌と手牌を入れ替えることもできない.流局したら,手で最初に亮倒した人は,他の2人にレート×1ずつ払う.亮倒に振り込んだら,ツモ扱いで,振り込んだ人の責任払い
  • 海底撈.山の最後の牌でのツモ上がり.最後の捨て牌での振り込みには倍はない

2飜(×4)

  • 清一色
  • 七対
  • 小三元
  • 暗四帰一.暗刻や対子と順子中の1枚など手の中の3枚と同じ牌での上がり.清一色以上の役があるときは,4枚目が上がり牌でなくてもよい
  • 手把一(ショウパーイー).裸単騎

3飜(×8)

  • 大三元
  • 龍七対.同じ牌4枚で2組の対子を作った七対.暗四帰一と複合しない.杭州や北京の「豪華七対(豪七)」と同じ

4飜(×16)

  • 双龍七対.同じ牌4枚2組で4組の対子を作った七対子.暗四帰一と複合しない