主な情報源は浙江大学の杭州麻雀大会の規則と,辺鋒という杭州のゲーム会社によるルールです.
なお,浙江省は符点計算だけでなくサイド計算も残す,場風や平和1飜も認めない(これらは古い麻雀にはなかったらしい)など超保守的ルールの宝庫なのに,省都杭州のルールは,逆方向に突き抜けているのが興味深いです.
(2015.10.29)一般的な麻雀のルールを省略しないで通して記述するように書き直しました.
(2015.12.3)上がりのあと,全員が手を公開することと,点数の有限責任について書き加えました.
(2018.9.24)七対と他の役との複合関係を修正しました(財神なしで必ず2倍.爆頭系とは複合しない?)
(2018.9.25)財神表示の山の位置を訂正しました.七対と爆頭などの複合を認める記事や動画が多いので,七対の複合関係に関する制限を削除しました(なので財神ありの七対をツモったら財神とペアを組む牌を捨てて次の周に爆頭も付けて上がらないと損です)
(2018.9.27)画像資料を再確認し,財神表示の決め方を元に戻しました.
(2018.9.28)槓爆などを独立した役でなく槓開と他の役の組み合わせの略称と分かるようにしました.財神なしの七対の一般的な役名清七対を追記しました.
(2018.10.7)振り込み上がりの場合の包の規則を加筆しました.
(2018.10.8)主要なバリエーションを追加しました.
(2018.10.10)バリエーションを追加し,包のさまざまなオプションをバリエーションに移動しました.
(2018.10.14)対人戦とゲームサイトの規則を比較し,3組泣いたときの包はもともと自摸上がり用で,バリエーションとして振り込みにも適用する人がいると整理しました.
(2018.10.20)点数の動きがおとなしいと誤解されかねない前書きを書き換えました.
道具
麻雀牌136枚,サイコロ2つ.取り決め
はじめにゲームの時間とレートを決めます.数時間遊ぶ場合,1時間程度を目安に,席ぎめし直します.また,各プレイヤーが持つ紙幣に見立てたトランプのカードやチップの枚数を決めます.よく使われるのは40点,50点,100点などです.この点数が負けの最大値です.手の点に満貫の規定がないので,この取り決めを絶対に忘れないでください.持ち点がゼロになった人は,何も払わなくてよく,上がれば,何のペナルティもなく点をもらえます.払えなかった点は,上がった人の損となり,他の人が肩代わりする必要も後で返す必要もありません.席決め
これが正しいという方法はなく,人により少しずつ違います.4人が好きな席に座ります.東南西北を各1枚取り出し,伏せてよく混ぜます.サイコロを振った人を1として,反時計回りに,2つの目の合計だけ数えます.サイコロで人や位置を決める数え方は,他の場合も,これと同じです.サイコロの目の位置の人から順に,反時計回りに,混ぜた4つの牌を1つずつとります.4枚を横一列に並べ,両脇に偶数と奇数の牌を置いて,取り始める位置を決めることもあります.サイコロを使わずに4人が思い思いに取ることもあります.東を手にした人は,そのまま座り続けるか,適切な方法で東に決めた席に座ります.あとは,反時計回りに,東南西北の順になるように,座りなおします.手の開始
全員で協力して,すべての牌を伏せてよく混ぜ,1人あたり,17枚2段の伏せられた牌の山を作ります.テーブルの上に布を置いて遊ぶことが多いので,手元で作った牌の山を押し出さないで,はじめから山を作る位置に下の段の牌を並べ,その上に上の段の牌を少しずつ載せてかまいません.親
最初の親は,東の席の人がサイコロ2つを振って決めるか,全員でサイコロを振って,一番大きな目を出した人にします.あとは,前の手で上がった人が親です.前の手が流局だったときは,親を変えません.親を続けて務めること,普通の麻雀用語の連荘(レンチャン)を,杭州では“牢荘”(ラオツヮン)といいます.“老荘”と書くこともあります.他の人から変わったばかり,あるいはゲームの最初の親は“1牢”,2手続けての親は“2牢”,3手続けての親は“3牢”といいます.配牌
親は,サイコロ2つを牌の山に囲まれた中で振ります.2つの目の合計の席の人は,自分の目の前の山を,右端を1として,右から左に,2つの目の合計まで数え,その列と次の列の間を少し空けます.牌の山は,他のゲームの進行とは逆に,この切れ目から時計回りに使います.切れ目の時計回り側が山の先頭,反時計回り側が末尾です.先頭から1枚ずつ牌を取るときは,上,下,次の列の上の順番で取ります.末尾から牌を取るときは,杭州では,他所と異なり,下,(下が先に取られて下になった)上,次の列の下の順番に取ります.親から順番に,反時計回りに,牌の山を,先頭から2列4枚ずつ取ります.これを3周行って,1人12枚を牌を手にしたら,親は,牌の山の先頭の上の段の1列目と3列目の2枚を取り,手の枚数を14枚にします.親の右隣の人は,1列目の下の段,親の向かいは2列目の上の段,親の左隣は,2列目の下の段を取ります.これで,子3人は,それぞれ13枚の牌を手にします.財神
財神(ざいじん,ざいしん,ツァイシェン,杭州話だとゼーゼン)は,上がりの手の中に限り,何の牌にも化けられる万能牌です.配牌を終えたら,配牌で山を分けた人の右隣りの人の山の末尾を1として,先頭に向かって,配牌のとき親が出した2つの目の合計まで数え,その列の上段の牌を表に返します.この牌は,財神表示で,その下段にある牌ともどもゲームには使いません.財神表示と同じ牌3枚が財神になります.白は,白ではなく,財神表示と同じ牌として扱います.例えば,財神表示が3索なら,残りの3枚の3索が財神で,白は3索になります.手の進行
全員が牌を取り終えたら,横一列に並べた牌を,自分だけが見えるように起こします.誰かが上がるか流局するまで,親から始めて,反時計回りに,順番に,上がりを目指して,以下を繰り返します.
牌を1枚余分に手にしている親の最初の番を除いて,牌の山の先頭から牌を1枚手に入れます.上がっていなければ,あるいは,上がりたくなければ,手の牌から,不要な牌を1枚捨てます.捨て牌は,自分の前,牌の山の内側に,捨てた順に並べて置きます.参考までに,中国各地には,香港映画で見かけるように,中央に乱雑に置くルールが多く,杭州のようにきれいに並べるのは,少数派だと思います.
上がり型
上がるには,手の牌とさらした牌に山から引いた牌か捨て牌1枚を合わせて,対子1つ(頭という)と4つの面子,あるいは7組の対子を作ります.対子は同じ牌2枚です.面子は,順子か刻子か槓子です.順子は,3萬4萬5萬のように,同じ種類で数が続いた牌3枚です.1と9はつながらないので,8索9索1索は順子になりません.刻子は,7筒7筒7筒,中中中のような同じ牌3枚です.槓子はカンしてさらした同じ牌4枚です.同じ牌が4枚あっても,カンしなければ槓子になりません.
チー・ポン・カン
チー.手の中の牌2枚と,上家(左隣の人)が捨てた牌が順子になるとき,“チー”(杭州話では“チョッ”)と発声すると,山から牌を引く代わりに,捨て牌と2枚の手牌で順子を作れます.チーした人は,不要な牌を1枚捨て,手の中の2枚の牌を手牌から少し離れた左側に表向きにさらし,捨て牌を横向きにして2枚の左側に置きます.牌を横向きにおくのは,最後に説明する包(パオ)の規則のためです.次の順番は,チーした人の下家(右隣の人)になります.手から財神を出してチーはできません.捨てられた財神はチーできません.なお,白は財神表示の代わりで,特別な万能牌ではないので,白を財神表示の代わりにしてのチーはできます.ポン.手の中の牌2枚と,他の3人の誰かが捨てた牌が刻子になるとき,“ポン”(杭州話も同じ)と発声すると,間の順番の人を飛ばして,山から牌を引く代わりに,捨て牌と2枚の手牌で刻子を作れます.ポンした人は,不要な牌を1枚捨て,手の中の2枚の牌をチーと同じようにさらし,右隣か左隣からポンしたときは捨て牌を横向きにし,2枚のそれぞれ右端,左端に置きます.対面(向かい)からポンしたときは1枚も横にしないで3枚を並べてさらします.次の順番は,ポンした人の下家(右隣の人)になります.チーとポンが同時に言われたときは,ポンが優先で,チーはできません.手から財神を出してポンはできません.捨てられた財神はポンできません.なお,白はポンできます.
カン.3通りの方法があります.(1)暗槓.自分の番に手の中に同じ牌が4枚あるとき,“カン”(杭州話も同じ)と発声し,4枚を伏せてさらし(手が終わったら見せる),山の末尾から牌を1枚補充し,不要牌を1枚捨てます.(2)補槓.自分の番に,自分がポンしている牌を山から引いたとき,あるいは,すでに手の内にあるとき,“カン”と発声し,この1枚をポンしている牌に付け加えてさらし,山の末尾から牌を1枚補充し,不要牌を1枚捨てます.(3)直槓.手の中に同じ牌が3枚あり,他の3人の誰かがもう1枚を捨てたとき,“カン”と発声すると,間の人の順番を飛ばして,捨て牌と3枚の手牌で槓子を作れます.4枚をポン同様に捨て牌をもらった人がわかるようにさらし,山の末尾から牌を1枚補充し,不要牌を1枚捨てます.チーとカンが同時に言われたときは,カンが優先で,チーはできません.財神が入ったカンはできません.どのカンでも,次の順番は,カンした人の下家(右隣の人)です.また,杭州ルールでは,カンの補充牌を取るとき,山の末尾の上ではなく下の牌を先にとります.
ポンできる牌を見逃したら,自分の順番が来るまで,見逃した牌はポンできないとする人がいます.ポンやカンで順番が飛ばされた場合,順番が来たものとみなします.
上がり
順番で,あるいはカンの補充で山から引いた牌で上がれる場合,この牌を手に入れないで卓上に置き,上がりを意味する発声(杭州話では“hu”)とともに手を公開して上がれます.これをツモ(自摸)上がりといいます.3牢(3連荘)以上の場合に限り,親なら子,子なら親の捨て牌か拉槓(ラーカン)でも上がれます.捨て牌での上がりを振込み上がりといい,振り込むことを放銃(中国語だと放冲,点炮)といいます.拉槓は,チャンカンのことで,捨てられたら上がれる牌を,他の人が,ポンした牌に付け加えるカンしたときです.まとめると,1牢と2牢では,ツモでしか上がれません.3牢以上ならツモの他に,振込みと拉槓でも上がれますが,振込みと拉槓は,親子間でしか認められず,子どうしの振込みと拉槓はできません.
上がりのとき,上がった人だけでなく,全員が手を公開します.
捨てられた財神では上がれません.振込み上がりは,チー,ポン,カンより優先されます.親の捨て牌で2人以上の子が上がりを宣言したら,親に順番の近い子が優先され,他の子の上がりは認められません.
上がれる牌を見逃したら,自分の順番が来るまで,見逃した牌では上がれないとする人がいます.ポンやカンで順番が飛ばされた場合,順番が来たものとみなします.
財飄でないのに財神を捨てたら上がり放棄とする人がいます.これを認める場合も,白は,財神表示と同じ牌扱いなので,捨てても上がり牌の見逃し以外の制限を受けません.
上がったら,その手は終わりです.上がり方に応じた点数を受け渡し,次の手をはじめます.
流局
牌の山は,必ず財神表示とその下の牌を含めた10列20枚を使わないで残します.それまでに誰も上がらなければ流局です.流局したら,点数の受け渡しはなしに,次の手をはじめます.点数
ツモ上がりは,他の3人が1点ずつを,振込み上がりは,振り込んだ人が1点を上がった人に払います.受け取りか支払いが親の場合,1牢なら2倍,2牢なら4倍,3牢以上なら8倍にします.したがって,- 1牢.親のツモなら,子3人が2点ずつ.子のツモなら,親は2点,子2人は1点ずつ.
- 2牢.親のツモなら,子3人が4点ずつ.子のツモなら,親は4点,子2人は1点ずつ.
- 3牢以上.親のツモなら,子3人が8点ずつ.子のツモなら,親は8点,子2人は1点ずつ.親から子,子から親への振込みでは,振り込んだ人が上がった人に8点.
次の上がり方では,この点に所定の倍がつきます.
- 爆頭(パオトウ,杭州話だとバオドー,ドーの母音はOウムラウトの音).2倍.暴頭とも書く.敲響(チャオシャン)とも言う.財神の単騎待ち(1枚で頭・対子になるのを待つこと)です.何でも上がれる形ですが,この場合に限り,3牢以上でもツモ上がりしかできません.なお,この形に構えるときの捨て牌と財神で頭(か対子)が完成しているので,爆頭などを狙うには,必ず上がりを崩す必要があります.逆にいうと,財神ありの手でツモ上がる前に,爆頭などを狙えないか考える必要があります.
- 財飄(ツァイピャオ,杭ゼーピャオ).1回に付き2倍,必ず爆頭の2倍も付くので,財飄で4倍と考えてもよい.財神を捨てて次のツモで爆頭で上がります.ツモ上がりの前にカンかもう1周の財飄をはさめます.財神が捨てられたら,他の3人は,1周の間,チー・ポン・明槓・振込み上がりはできません.暗槓とツモ上がりはできます.財飄中の人に,つぎのツモを待つだけでなく,チー・ポン・明槓を認める人がいます.チー・ポンが許されるのは,手の中で財神で代替していた牌をチー・ポンで浮かせられる場合だけで,浮いた財神を捨てて,もう1周財飄を続けます.
- 双飄(シュアンピャオ,杭スヮンピャオ).財飄2回と爆頭で8倍.両飄ともいう.財飄中に,ツモかカンの補充で財神を浮かせるか得て,それを捨ててもう1周財飄を回して上がります.財飄と財飄の間にカンがあっても,双飄です.財飄中のチー・ポンを認めるなら,チー・ポンで浮かせた財神を捨てても双飄です.
- 槓開(カンカイ,杭カンケー).1回につき2倍.カンの補充牌での上がりです.常にツモ上がりとして扱います.カンが連続したら,連続した回数2倍します.カンとカンの間に財飄があっても,カンが連続しているとみなします.何でも上がれる爆頭・財飄との組み合わせでできることが多いので,次のような略称があります.
- 槓爆(カンパオ,杭カンバオ).槓開+爆頭
- 槓飄(カンピャオ).槓開+財飄
- 飄槓(ピャオカン).財飄+槓開
- 七対(チートゥイ,杭チェットゥイ).2倍.対子7組での上がりです.財神がないときは清七対といい,さらに2倍して4倍になります.3牢の振り込み上がりでは清七対の追加の2倍を認めない人も多いです.
- 豪華(ハオホァ,杭ガウワー).1組につき2倍.同じ牌4枚で対子2組を作った七対です.カンしてはなりません.4枚に財神を入れられません.
- 拉槓(ラーカン).2倍.ポンした牌へのカンが待ち牌の場合です.振込み上がりの一種なので,3牢以上で,親子間でないとできません.2牢で認める人もいます.爆頭では拉槓できません.点数はツモ上がりと同じですが,拉槓された人が包のように1人で払います.
一番高い手は,三牢四槓両飄の1024点です.三連荘以上でカン4回と財飄2回を続けての上がりなので,理論的な可能性に過ぎません.
包
三攤(タン,杭テー)の包.同じ手の間に,AがBに3回以上チー・ポンされたら,AとBの間には,その手が終わるまで,包の関係ができます.さらし方で誰からチー・ポン・カンしたか分かるので,置き方が同じ組が3組あると,その人と3組の牌が指す席の人の間に包が成立するとひと目で分かります.Bがツモで上がったら,Bへのすべての支払いをAが肩代わりして払います(承包).Aがツモで上がったら,Aへのすべての支払いを2倍にしてBが肩代わりして払います(反承包).上がった人に複数の包の関係があるときは,すべての包の相手から,承包か反承包の点を丸ごともらえます.例えば,AとBが互いに3回以上チー・ポンしているときは,A,Bともに,相手から,承包と反承包の両方の点をもらえるので,手に入る点数が3倍になります.罰則
大相公,小相公.捨て忘れやカンのミスで手牌が多すぎ(大相公),少なすぎ(小相公)の人は,その手が終わるまで上がり放棄です.チョンボ.上がれない手で上がったら,上がろうとした虚偽の上がりの点数を全員に払います.その手が終わるまで上がり放棄にして,手を続ける人もいます.
バリエーション
三攤の包に関する食いの制限.三攤の包は親子間だけでしか成立してはならない,つまり子同士で包が成立するような食いをしてはならないという人がいます.チー3回はダメだがポンが混ざるならよく,その場合は子の間の包も成立するという人がいます.2牢まではよく,3牢のときだけどちらかの制限をかける人もいます.2牢以上で制限する人もいます.包の規則の混乱を防ぐため,いつでも親子を問わず誰も同じ人から3つ以上泣いてはいけないとする人もいます.振り込みのときの包.3牢の振り込みのとき,ツモ上がりと同じように三攤の包を適用し,振り込んだ人だけでなく承包(反承包)の人も上がった人に支払うとする人がいます(同じプレイヤーなら支払いが2倍か3倍になる).
財飄後半場の包.財飄の周に財飄している人にチー・ポン・カンされた人は,チー・ポン・カン以後の分の点を1人で肩代わりして払うとする人がいます.この場合,チー・ポン・カンより前の分の点は,3人で払います.
白板財神.自動卓を使う場合に,財神表示をめくらないで白を固定財神にする人がいます.これは財神をわかりやすくするためではなく,高い手のもとである財神を4枚に増やす目的で行われます.
ツモのみ.主に財神を増やすのに併せて,3牢でもツモでしか上がれないとする人がいます.
十風.手の始めから10枚連続で字牌を捨てるとツモ,11枚なら爆頭相当の上がりにする人がいます.10枚で爆頭という人もいる,食われたらどうするか,財飄したらどうなるかは定説がありません.生のゲームで見たことがないという人がおり,オンラインゲーム専用のルールかもしれません.
いきなり3牢.サイコロの目がゾロ目や一定の数以上のとき,3牢にする人がいます.オンラインゲームのオプションです.
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