2015年11月4日水曜日

温州の麻雀

浙江省の南端にある温州は,不動産投資を代表とした商才と全く通じない方言で有名な地域です.ミカンは当地の名産でなかったりします.麻雀は,北隣の台州南部から福建省全域と同じように16枚です.県部(馬站鎮,龍港など)は符点・サイドありの複雑な点数計算をしますが,市部のルールは杭州や厦門とも共通した上がり方より連荘の比重が高いシンプルなものです.

(2018.11.21)4連荘での親の上がりは,席の決め直しから,親の交代に改めました.
(2015.11.6)財神の決め方を修正しました.点数計算の説明で,基数と倍数が逆になっていたのを修正しました.字牌の捨て方を書き直しました.財神銭について書き加えました.
(2015.11.5)硬牌関連の一貫しない記述を修正しました.牌を2段に積む人もいることを書き加えました.財神を末尾から7組目の内側(上)にしている例が見当たらないので,サイコロを使う決め方以外を削除しました.

道具

花牌なしの136枚の麻雀牌,サイコロ2つ.牌17枚分より長さのある細長い板4枚(牌尺.なくてもよい).

席決め

年少者などが,東南西北各1枚を取り出し,伏せてよく混ぜます.年長者などが,サイコロ2つを振り,振った人を1として反時計回りに2つの目の合計だけ数えた位置を東にします.もう一度サイコロ2つを振り,目の合計の位置の人から反時計回りに,混ぜられた4枚の牌を1枚ずつ取ります.先に決めた東の席から,反時計回りに東南西北となるように座り直します.

牌の山の作り方

すべての牌を伏せて,4人で協力してよく混ぜ,各人が17枚2列に並べます.2つの列は重ねません.内側が上の段,外側が下の段にそれぞれ対応します.牌の列は,1人に1枚ずつある定規より細長い板に沿うように置き,4人分が正方形になるように,整然と並べます.辺の左端は左隣の人の列の端,右端は自分の列の端になるように噛み合わせます.自動卓を使う場合など,他の地域のように2段に重ねることもあります .

親決め

最初の親は東の席の人です.後は,親が上がれば連荘,子が上がれば親の右隣が次の親です.流局したら,誰もカンしなかった場合,親の倍数を変えないで連荘(4連荘のときも),誰かがカンしたら,親の右隣が次の親です.

配牌

親がサイコロ2つを振ります.目の位置の人も,サイコロ2つを振ります.1度目の目の人は,目の前の牌を右端を1として,内外どちらかの列を時計回りに2人の目の合計だけ数えたら,その位置の内外2枚と次の組との間にすき間をあけます.目の合計が17より大きいときは,左隣の人の牌を続けて数えます.他のゲームの進行と異なり,牌の山は,時計周りに使います.親から順に,すき間から時計回りに2組4枚ずつ牌を16枚取ります.親だけはそのあと,次の内側の牌を1枚取って17枚にします.

財神

全員が牌を取り終わったら,2度目にサイコロを振った人が,自分の山の内側の列を,右端を1として時計回りに親が出した目まで数えた位置の牌を表向きにします.例えば,親が8,(親から8数えた席である)親の左隣が6を出したら,財神は,親の左隣の人の列の右から8枚目,牌を取り始めるのは,8+6=14の次なので,右から15枚目(左から3枚目)です.配牌のときに財神表示牌をうつ向けのまま取り除けて,配牌後に,表向きにして元の位置に収めても構いません.この牌と同じ牌3枚が財神です.財神は何にでも化けられる万能牌です.財神表示が白でないときは,白は財神表示と同じ牌になります.例えば,財神表示が2万なら,それ以外の2万3枚が財神,白は2万になります.

進行の特記事項

対子や刻子になっていない字牌があるときは,数牌より先に捨てなければなりません.
すでに捨てられた字牌が対子や刻子になっていなければ,他の字牌と数牌より先に捨てなければなりません.
捨て牌は,誰が何を捨てたか覚えておかないと分からないように,乱雑に捨てます.
チー・ポン・カンできます.
捨て牌と同じ理由で,誰からポン・カンしたか示しません.
ポンを見逃したら,同じ一巡のうちに同じ牌をポンできないとする人がいます.
財神入りのチー・ポン・カンはできません.白は化けるのではなく財神表示そのものなので,チー・ポン・カンできます.
手牌に財神しかない場合を除き,財神を捨てられません.

上がり

上がるには,
  • 頭と5面子
  • 八対.対子8組+任意の1枚.任意の1枚が対子と同じでもよい.同じ牌4枚で対子2組を作っても,他の地域のようなボーナス点はない.
  • 財神3枚であとはめちゃくちゃ
のどれかでなければなりません.
財神の単騎待ちは,ツモでしか上がれません.
上がる人は,常に1人です.2人以上が同時に上がりの発声をした場合,上がり牌を捨てた人から一番順番の近い人の上がりで,他の人は上がりと認められません(頭ハネ).ただし,双翻はこのルールに打ち勝ちます.双翻どうしは,頭ハネになります.

流局

山が残り16枚になって誰も上がらなければ,流局です.財神表示が16枚の外にある場合,財神表示の直前に到達した場合も流局です.

点数

上がった人以外の3人は,それぞれ,上がった人に点を払います.子から子へは1枚,子から親と親から子は,事前に“2468”,“3579”などのように決めます.よく使う“2468”なら,親になってすぐの手は2枚,2連荘は4枚,3連荘は6枚,4連荘は8枚です.4連荘で親が上がったら,次の手は,下家に親を交代します.これらの点を軟牌なら1倍(そのまま),硬牌なら2倍,双翻なら4倍します.

軟牌

  • 下記のどれにも当てはまらない上がりです.財神を化けさせての振り込み上がりです.

硬牌

  • ツモ上がり(カンの補充牌での上がりは常にツモ扱い)
  • 財神がないか,財神を額面どおりに使った上がり.白は財神表示の代わりなので,財神と白で頭か暗刻を作ってもよい.白を財神表示の代わりに使わないことを要求する人もいる.
  • チャンカン
  • 軟八対.財神を化けさせた八対
  • 財神3枚残りめちゃくちゃ.この形で天胡・地胡はできない.

双翻

  • 硬八対.財神がない八対か財神を額面どおりに使った八対.財神2枚をペアにした八対とペアでない1枚に財神を使った八対も含む.
  • 三財神.財神が3枚あり,頭と5面子,あるいは,八対の形をしている手.
  • 天胡.親の配牌での上がり.
  • 地胡.親の第1打牌での子の上がり.
  • 単吊.裸単騎.財神の裸単騎は,“全求神”とも呼ばれる.全求と全球[全世界の意味]を掛けている.
双翻に対対胡を含める人がいます.

財神銭(財神のボーナス)

上がっても上がらなくても,手が終わったときに,財神を持っている人は,1つにつき1枚などあらかじめ決めた点を,他の3人からもらいます.

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