2015年10月24日土曜日

台湾の16枚麻雀 (台灣十六張麻將)

台湾の16枚麻雀は,一目で分かる違いがあり,地理的にも近いので,わざわざここで書くこともないほど知名度の高い海外ルールだと思いますが,故意に無視していると受け取られないように,書いておきます.

道具

春夏秋冬,梅蘭菊竹の花牌8枚を入れた144枚の麻雀牌.サイコロ3つ.特に南部には花牌を使わない地域もあります.

席決め

初めは好きなように座ります.東南西北各1枚ずつの4枚を伏せてよく混ぜます.年長者などがサイコロ3つを振ります.サイコロを振った人を1として,反時計回りに3つの目の合計まで数えた位置の席を東の席にします.また,この席の人から順に,混ぜた4枚の牌を1枚ずつ取ります.東を引いた人が東の席,あとは反時計回りに南,西,北の順になるように座り直します.

最初の親は,東の席に座った人がサイコロ3つを1度振って決めます.親が上がったときと,流局のときは,連荘します.子が上がったときは,親の下家(右隣)が次の親です.一荘戦を行います.

配牌

各自18列2段の牌の山を作り,右端が左端より前になるように斜めにして,4人の山をくっつけます.親が,サイコロ3つを振り,3つの目の合計の席の人の山を,目の合計だけ残して,牌を取り始めます.最初の親だけは例外的に,親でなく仮の東の人が降った親決めの目で,牌を取り始める山と位置も決める人が多いです.

4人が4枚ずつ4回牌を取ったら,親が1枚だけ山の次の牌を取ります.これで,親の牌が17枚,子が16枚になります.ドラや福建省で一般的な金(混,財神)のように牌を表向きにして決める特殊牌はありません.

補花(ぷーほぁ)

配牌に花牌がある人は,親から順番に,花牌をすべてさらし,同じ枚数の牌を山の末尾から補充します.補充した牌に花牌があったら,同じように,手から花牌がなくなるまで繰り返してから,次の人に順番を譲ります.

進行の特記事項

  • 自分の風と花牌の方位は,配牌のサイコロの目が当たった人(例えば,親が14を出したら,親の右隣)を東とするのが普通です.親をいつも東にする人も少なからずいます.
  • 山から花牌を引いたら,さらして,山の末尾から牌を補充します.
  • 上家からチー,他の3人誰からでもポン・カンできます.
  • チー・ポンして捨て牌を捨てる前にカンしてはならないという人がいます.
  • チー・ポンしたとき,食った牌と同じ牌を捨ててはならないという人がいます.捨てた牌と同じ牌を同一周内に食ってはならないという人がいます.
  • 上がるには,チー・ポン・カンした牌と手牌に,山から引いた牌か捨て牌で,頭と5つの面子を作ります.
  • 上がり牌を見逃したら,ツモ順が来るまで,振り込みでは上がれません.
  • 牌の山が残り16枚になって誰も上がらなければ流局です.残す牌の枚数は,16枚固定の他に,カンのたびに1枚増やす,残さず使い切るなどがあります.
  • 海底牌のツモを拒んで下家に譲れるとする人がいます.この場合,海底牌をツモって上がれなければ,そのまま捨てなければなりません.全員が海底牌を拒んだら流局です.

点数

振り込みのときは振り込んだ人が,ツモのときは上がった人以外の3人が,“底+上がり手の台数×レート”を上がった人に払います.ツモは振り込みの3倍以上になります.日本でリーチ,一発,ドラ,裏ドラで点数が何倍にもなるのが当然だと思われているのと同じように,ツモが高いのは麻雀にとって本質的なことだと受け止められています.底は事前に決めます.台の2〜4倍にすることが多いようです.例えば,“底50台20”なら,50+20×台を払います.

台が付く手と台数は,香港や広東のように満貫役があるので,多めです.人や地方によって細かい違いがあるので,何を認め何台か,事前に決めてください.
  • 荘家と連荘・拉荘.親が上がってもらう点だけでなく,親が払う点にも付きます.荘家は無条件に1台付きます.連荘と拉荘は,いつも一緒に付きます.どちらも台数は連荘した回数と同じで,例えば,二連荘なら1,三連荘なら2です.この3つを合わせると,親になったばかりなら,荘家だけで連荘と拉荘はないので1台,二連荘なら荘家と“連1拉1”で3台,三連荘なら荘家と“連2拉2”で5台のようになります.
  • 宣告聴牌,1台.単に聴牌とも眼牌ともいう.聴牌を宣言して,宣言後手を変えないで上がる.補花,加槓,待ちを変えない暗槓はできる.なお門前は不要.
  • 自摸,1台.ツモあがり.
  • 門清,1台.チー・ポン・明槓しないで上がる.振り込みでも自摸でもよいが,自摸の場合,門清自摸3台となる.
  • 三元台,1台.三元牌の刻子か槓子1つにつき1台.
  • 圏風台,1台.場の風の刻子か槓子.
  • 門風台,1台.自分の風の刻子か槓子.親が東とは限らないことに注意.
  • 花牌,1台.自分の花牌1枚につき1台.東は春と梅,南は夏と蘭,西は秋と菊,北は冬と竹が,それぞれ自分の花牌です.親が東と限らないことに注意.
  • 花槓,2台.自分の花牌1台の代わりに2台.
  • 辺張,1台.唯一の待ちがペンチャンのときだけ付く.
  • 中洞,1台.唯一の待ちがカンチャンのときだけ付く.
  • 単吊,1台.唯一の待ちが単騎のときだけ付く.
  • 搶槓,1台.
  • 槓上開花,1台.自摸も必ず付く.
  • 海底撈月,1台.ツモだけに認める人とツモも振り込みも1台を認める人がいる.
  • 全求人,2台.裸単騎の振り込み上がり.必ず単吊だが,単吊1台も付く.
  • 平胡,2台.字牌なし,花牌なし,全部順子の振り込み上がり.待ちのなかに単騎,カンチャン,ペンチャンがあったら,両面で上がっても認められない.なお門前は不要.
  • 門清自摸,3台.門清と自摸は複合しない.
  • 三暗刻,2台.3台にする人もいる.
  • 地聴,4台.最初の捨て牌での宣告聴牌.手を変えてはならない.門清と聴牌の台は付かない.自摸は1台でなく門清自摸のように不求で2台付く.子が配牌で聴牌していた場合,最初のツモの前に宣告聴牌したら天聴8台とする人がいる.
  • 対対胡,4台.
  • 混一色,4台.
  • 小三元,4台.三元牌の2台は付かない.
  • 配牌花胡,4台.配牌と補花を終えて七搶一か八仙過海なら,親は配牌で,子は最初のツモで手牌を17枚にした時点で上がり.必ず七搶一か八仙過海の8台も付く.
  • 四暗刻,5台.4台や6台にする人もいる.
  • 五暗刻,8台.
  • 清一色,8台.
  • 大三元,8台.三元牌の3台は付かない.
  • 小四喜,8台.4台にする人もいる.自分の風と場の風の台があれば付く.
  • 字一色,8台.16台にする人もいる.対対胡は付かない.
  • 七搶一,8台.1人で花牌を7枚集め,もう1枚の花牌を別の人が引いたとき.あるいは花牌を6枚集めていて,もう1枚の花牌は別の人がさらしていたときに,7枚目の花牌を引いたとき.手の形に関係なく,7枚集めた人の上がりで,もう1枚を引いた人の振り込み扱い.
  • 八仙過海,8台.1人で花牌を8枚集めたとき.手の形に関係なく,8枚集めた人の上がりで,自摸扱い.
  • 大四喜,16台.8台にする人もいる.自分の風と場の風の台は付かない.
  • 地胡,16台.親の最初の捨て牌でのあがり.
  • 天胡,24台.16台にする人もいる.

2015年10月21日水曜日

寧波の麻雀

著者が知る限り,普通に使われる縛りが一番高いルールです.隣町の奉化も同じ4台しばりですが,奉化には上がれば無条件に付く1台とワイルドカードがあってもなくても付く1台があります.ワイルドカードがあっても縛りがきついので,集中力を要するスピードゲームにはなりづらく,上海香港やリーチ麻雀のようなゆったりした流局が多い麻雀です.

道具

春夏秋冬,梅蘭菊竹の花牌8枚がある144枚の麻雀牌
サイコロ2つ

席を決めたら,東の人がサイコロ2つを振って最初の親を決めます.あとは,一荘戦を終えるまで,親が上がるか流局したら親を変えず,子が上がったら親の下家(右隣)が親になります.

配牌と百搭

親がサイコロ2つを1度振って,牌を取り始める山,取り始める位置と百搭表示の位置を決めます.2つの目の合計の人の山を,大きい方の目だけ残して,牌を取り始めます.配牌を終えたら,牌の山の末尾を1として,反時計回りに小さい方の目だけ数えた位置の牌を表向きにします.これが百搭表示です.大きい目と小さい目の使い方を逆にする人もいます.

百搭表示はゲームに使いません.ツモかカンの補充が百搭表示まできたら,百搭表示を飛び越して次の牌を使います.百搭表示と同じ牌3枚が百搭(パイター,財神ともいう)です.百搭は,花牌以外の何の代わりにもなる万能牌です.百搭表示が花牌の場合,春夏秋冬のどれかなら他の3枚,梅蘭菊竹のどれかなら他の3枚が,それぞれ百搭になります.百搭になった花牌は,花牌の力を失うので,1枚でさらせません.

補花

百搭を決めたら,親から順に反時計回りに,手牌の花牌をすべてさらし,さらしたのと同じ枚数の牌を山の末尾から補充します.補充で花牌を引いたら,他の人の順番を待たずに,その場ですぐにさらして補充します.手牌に花牌がなくなったら,次の人が,同じように,花牌をさらします.

進行

花牌をツモったら,配牌の後と同じようにさらし,山の末尾から補充します.
上家からチー,他の人誰からでもポン・カンできます.
チー・ポンしたとき,チー・ポンでもらった牌と同じ牌は捨てられません.大吊のときは,捨てて構いません.
チー・ポンして牌を捨てる前にカンできません.
捨てられた百搭をチー・ポン・カンできません.捨てられた百搭では上がれません.
百搭入りのチー・ポン・カンはできません.
百搭入りの面子は振り込みで完成させて上がれます.百搭の単騎待ちは,自摸でないと上がれません.
上がるには,4台以上必要です.
2人以上同時には上がれません.同じ捨て牌に2人以上が上がりを宣言したら,上がり牌を捨てた人から一番順番が近い人の上がりです.
百搭表示以外の牌を全部使い切って誰も上がらなければ,流局です.

点数

ツモであがったら,他の3人から,それぞれ手の点数をもらいます.
振り込みであがったら,振り込んだ人から,手の点数の2倍をもらいます.
点数は台(タイ)で数えます.台にレートをかけた点を受け渡します.倍々計算はしません.

  • 自摸1台
  • 辺張1台
  • 嵌張1台
  • 単吊1台 単騎待ち
  • 対倒1台 シャンポン待ち
  • 三元牌の刻子1台
  • 自分の風の刻子1台
  • 場の風の刻子1台
  • 位花1台 自分の風と合う花牌.東は春と梅,南は夏と蘭,西は秋と菊,北は冬と竹.
  • 平胡1台 4面子が全部順子で頭がポンで台がつく字牌ではない手.待ちや門前の制限はない
  • 大吊(車)1台 裸単騎.必ず単吊1台も付く
  • 槓上開花1台 常に自摸扱い
  • 海底撈月1台 必ず自摸1台も付く
  • 硬胡1台 百搭がないか,百搭を額面通りに使った手
  • 対対胡2台
  • 混一色2台
  • 四花2台 春夏秋冬または梅蘭菊竹を揃える.位花1台は付かない
  • 三搭(三財神)3台 この3台は4台しばりには含めない
  • 清一色4台
  • 字一色4台
  • 八花6台 四花2台,位花1台は付かない
  • 地胡6台
  • 天胡8台


点数の特例と包


  • 拉槓(ラーカン,チャンカンのこと)には自摸がつき,かつ拉槓された人は,点数の5倍をあがった人に払います.他の2人は何も払いません.
  • 大明槓で槓上開花された人は,点数の5倍をあがった人に払います.他の2人はそれぞれ点数×1を払います.
  • 同じ手のうちにAがBから3つチー・ポン・カンすると,AとBは互いに包の関係になります.包の相手が自摸であがったら,点数の5倍を払い,他の2人は何も払いません.包の相手が振り込みであがったら,点数の2倍を払い,振り込んだ人も点数の2倍を払います.
  • 槓上開花の5倍払いと包が両方成り立つ場合,包の点しかもらえません.

2015年10月12日月曜日

福州の麻雀

(2015.10.16)開金で花牌が出たときの扱い,金雀が頭ハネに勝つこと,金龍はオプションであること,点数計算が多様なことを書き加えました.
(2015.11.16)上がり方で倍数を変えない場合の点数計算は,上がり方のボーナス点に2倍がかからないように修正しました.
(2015.11.17)点数計算を書き直しました.連荘回数の2倍でなく回数そのものを底に加えるよう修正しました.

道具

数牌と東南西北と中の128枚または136枚に春夏秋冬,梅欄菊竹を足した144枚.サイコロ2つ.
128枚の場合,字牌20枚が花牌,144枚の場合,字牌と春夏秋冬,梅蘭菊竹の計36枚が花牌になります.

最初の親は,仮親がサイコロ2つを振って決めます.後は,親が上がったら連荘,子が上がるか流局したら親の下家(右隣)が親です.

配牌

親が2つのサイコロを1度振って,2つの目の合計で,牌を取り始める山と山を分ける位置の両方を決めます.4枚ずつ4周で16枚の手牌を取り,親はもう1枚取って17枚にします.

補花と開金

親から順に,手牌の花牌をすべてさらし,さらしたのと同じ枚数の牌を山の末尾から補充します.花牌は128枚なら東南西北と中,144枚なら東南西北,中發白,春夏秋冬,梅蘭菊竹です.補充した牌に花牌があるときは,すぐにさらして補充しないで,一周して自分の番が来るのを待ちます.全員の手が数牌だけになるまで,これを繰り返します.手から花牌がなくなったら,次の補充牌を表向きにし,牌の山の末尾から9列目の上に置きます.この牌はゲームに使いませんが,同じ牌3枚が金牌になります.金牌は,花牌以外のどんな牌の代わりにもなる万能牌です.金牌表示が花牌のときは,親がさらした花牌にして,また末尾の牌をめくり直します.

進行

上家からチー,誰からでもポン・カンできます.
山から花牌(字牌,144枚使うなら春夏秋冬,梅蘭菊竹も)を引いたときは,開局前と同じように,さらして,山の末尾から補充します.
金牌を捨ててもよいですが,金牌を捨てた人は,自摸でしか上がれません.捨てられた金牌は,チー・ポン・カンできません.また捨てられた金牌では上がれません.
チー・ポン・カンした牌を合わせた手牌とツモった牌か捨て牌で,頭と5組の面子ができたら上がりです.
同じ捨て牌で2人以上が上がれるときは,上がり牌を捨てた人から一番順番が近い人の上がりです.(頭ハネ)
山の残りが18枚になっても誰も上がらなかったら,流局です.残す枚数は,手の始めは18枚ですが,明槓のたびに1枚,暗槓のたびに2枚増えます.同じ花牌を4枚さらしたときも,暗槓と同じように2枚増やします.春夏秋冬の4枚,梅蘭菊竹の4枚も同じ花牌です.使える牌の終わりが変わったら,金牌表示牌の位置も動かします.
使える牌が残り4枚になったら,4人で順番にツモるだけで,捨てません.カンもできません.

点数計算

捨て牌でもツモでも,上がった人以外の3人が上がった人に点を払います.
底は,1点,3点,5点など,事前に決めます.底が大きいほど,花の多少で点数が変わりづらくなります.
花はさらした花牌,手にある金牌,カンに付く点です.

  • 金牌・花牌1枚1点
  • 明槓1組1点
  • 暗槓1組2点

同じ花牌4枚をさらしたら,暗槓とみなします.春夏秋冬の4枚,梅蘭菊竹の4枚も同じ花牌です.
連荘時は,親が上がったときと,親からの支払いのとき,連荘回数を底に加えます.1度目の連荘(二連荘)なら1点,2度目の連荘(三連荘)なら2点のようになります.

方法1:(底+花)×倍数+ボーナス

倍数は,放銃なら1,自摸なら2です.搶槓も自摸として扱います.上がり方でボーナス点を変えます.ボーナスは,複合しません.手に当てはまる一番高いものが付きます.

  • 花(と金)が1枚だけでカンがない上がり,15点.
  • 花も金もカンもない上がり,30点.
  • 搶金,30点.親は第1打牌で金牌で上がれる形になった場合,子は配牌で金牌で上がれる場合.自摸上がり扱いです.金牌を万能牌として扱って構いません.子の搶金は,捨て牌を伴わないので,親の搶金に勝ちます.
  • 天胡・地胡,30点.地胡は親の第1打牌での子の上がり.天胡は子の搶金に勝ちます.
  • 三金倒,40点.手に金牌が3枚あるとき.自摸上がり扱いです.手が上がりの条件を満たしていなくても上がれます.
  • 金雀,60点.頭が金牌2枚のとき.頭ハネに勝ちます.
  • 金龍,120点.手にある3枚の金牌を暗刻として使い,上がりの条件を満たす上がり.


方法2:(底+花)×倍数

暗算力が高くないと使いづらい方法ですが,整然としています.
上がり方で倍数を変えます.

  • 自摸.2倍.搶槓も自摸扱い.
  • 三金倒.3倍.
  • 金雀.4倍.
  • 搶金.5倍.
  • 金龍.6倍.

2015年10月4日日曜日

江西南昌の麻雀

異色な字牌の順子が目につきますが,そのおかげで不要牌が少なく,ワイルドカードの多さと相まって,16枚ルールのようにいつも手が進んでいるスピード感があります.点数体系が似ている北京ルールを加速した感じもあります.

(2015.10.4)搶槓は,徳国での加点も含めツモ扱いであることを追記しました.十三爛で字牌のチーはできないことを明記しました.
(2016.1.20)全体的に修正しました.特に,流局は原則連荘,捨て牌の精を数えるとしていたのを数えない,山を残さず使うとしていたのを17列残すと,それぞれ改めました.
(2016.1.21)暗カンの作法を追記しました.カンの補充と精表示について補足しました.
(2016.1.26)槓開はいつもツモ扱いであることを強調しました.またが槓開がツモでないかのように受け取れる精釣の記述も修正しました.

道具

136枚の麻雀牌.サイコロ2つ.

最初の親は,年長者や仮親がサイコロ2つを1度振って決めます.後は,子が上がったときは親の下家(右隣)が次の親,親が上がったときと流局では親が引き続き次の親を務めます.例外的に,抄荘(4人の最初の捨て牌が同じとき)なら,親が上がっても流局でも,親の下家に親が移ります.

配牌と精(チン)

親が2つのサイコロを1度振って2つの目の合計で取り始めの山を決め,その位置の人がもう一度サイコロ2つを1度振り,2人の目の合計で残す列の数を決めます.
親が14枚,子が13枚の牌を取ったら,親が2つのサイコロを振り,牌の山の末尾を1として,反時計回りに目の数だけ数えた位置の上段の牌を表向きにします.この牌と同じ牌が正精,1つ大きい牌が副精で,どちらも,何の代わりにもなるワイルドカードです.例えば,表になったのが2萬なら,正精は2萬,副精は3萬,9索なら,9索と1索,風牌は東南西北東,三元牌は,中發白中の順です.

進行

  • 抄荘(チャオチュアン).手の最初の1周に,4人全員が同じ牌を捨てたら,抄荘になります.抄荘のときも,上がりか流局になるまで普通に打ち続けます.
  • 字牌の順子.三元牌各1枚(“中發白”),同じ風牌がない風牌3枚(例えば“東西北”)でも順子を作れます.字牌の順子もチーできます.
  • 捨て牌は,誰が何を捨てたか覚えておかなければ分からないように,乱雑に捨てます.
  • チー・ポン・カンできます.チー・ポン・カンを誰からもらったかは,示す必要はありません.
  • 暗カンは4枚を伏せて出し,そのうち1枚を表向きにします.
  • カンの補充牌を引くとき,精表示まで来たら,飛ばさないで精表示を使うとする人がいます.ただし,カンが多いこと自体まれなので,こう書きながら,精のカンは副精だけ,精は7枚とするなど,一貫しない扱いが目立ちます.
  • 精は捨てたら,額面どおりの牌になります.
  • 精入りのチー・ポン・カンでは,精は額面どおりです.
  • 上がりで完成する面子または頭の精は,化けられます.
  • 牌の山は,17列残します.カンの補充で1枚だけになった列も1列と数える(最後の牌を常に下段にする)人と常に34枚残す人がいます.
  • 棄先不胡後.上がり牌を見逃したら,自分の順番が来るまで上がれません.ポンの見逃しの後の同じ牌のポンも,同じように制限する人がいます.
  • 頭ハネ.上がりはいつも1人です.同じ捨て牌で2人以上が上がれるときは,捨て牌を捨てた人に一番順番の近い人の上がりです.
  • 上がり.手牌と食った牌とツモあるいは捨て牌で,4面子と頭,対子7組あるいは14不搭(字牌の順子は無視して)になれば,上がれます.

上がりの点数

ツモでも振り込みでも,上がらなかった3人が,それぞれ上がった人に点を払います.次のうち当てはまるものすべての回数1点を2倍します.
  • 荘家(チュアンチャ,おや).親が払う点,もらう点どちらも2倍します.
  • 自摸.ツモで上がった人に払う点は2倍にします.
  • 点炮.振り込んだ人が払う点は2倍にします.
  • 搶槓(チャンカン).ポンに牌を足すカンが上がり牌だったとき.自摸の倍は付きませんが,自摸扱いで,チャンカンされた人に振込みの倍は付きません.チャンカンされた人のカンは不成立です.
  • 槓開.カンで補充した牌での上がり.常にツモ扱いで,自摸の倍も付きます.
  • 大七対.対対和のことなので,ポンできます.
  • 小七対.七対子.門前専用.暗槓も不可.同じ牌4枚で2対子にしても,北京や杭州のような豪華の倍は付きません.
  • 十三爛(シーサンラン).14枚の中に,同じ牌が2枚以上なく,数牌は14萬のように間が2枚以上離れている上がり型.門前専用.字牌のチーをしてはなりません.
  • 七星(チーシン).十三爛で7種類の字牌が1枚ずつある手.7枚の字牌は精でないか,精を額面どおり使わなければなりません.必ず十三爛も付きます.
  • 徳国.精が1枚もないか,すべて額面どおりに使った手.徳国自体の2倍も含むすべての2倍をかけた後,ツモと搶槓への支払い,振り込んだ人からの支払いには5点を加えす.なお,徳国は,ドイツの中国語表記です.
  • 徳中徳.徳国で他の3人に精がない場合.必ず徳国も付きます.徳国の5点増しも付きます.
  • 精釣(チンティャオ).精の単騎待ちツモ.必ず自摸も付きます.精の単騎は何でも上がれますが,徳国でない限り,ツモで上がらなければなりません.ツモで上がらない限り,精釣の倍は付きません.徳国でツモった場合,徳国も精釣も(自摸も)付きます.

例:
子の58萬,169策,7筒,東南西北,中發白に別の子が4筒を振り込んだ場合.誰も精がなかったとすると,
  • 親:1×2(七星)×2(十三爛)×2(徳中徳)×2(徳国)×2(荘家)=32
  • 振り込んだ子:1×2(七星)×2(十三爛)×2(徳中徳)×2(徳国)×2(点炮)+5(徳国への振り込み)=37
  • 振り込まなかった子:1×2(七星)×2(十三爛)×2(徳中徳)×2(徳国)=16
をそれぞれ上がった人に払います.

上がり点には,次の例外があります.
  • 天胡,地胡.天胡は親の配牌での上がり.地胡は,親の第一打牌での子の上がり.他の3人は,20点ずつ払う.親の倍,ツモの倍,振り込みの倍は付きません.

カンの点

上がりの点とは別に計算します.上がった人も上がらなかった人ももらえます.親の倍はつきません.
  • 明槓.他の3人から1組につき1点ずつ.
  • 暗槓.他の3人から1組につき2点ずつ.

精の点

上がりの点とは別に計算します.上がった人も上がらなかった人ももらえます.親の倍はつきません.
チー・ポン・カンした牌を含む手の中の精を次のように採点した結果を,他の3人から,それぞれもらいます.
  • 正精.1枚2点
  • 副精.1枚1点.
  • 冲関.精の点が5点以上のときは,次のようにします.
    5:5×2=10
    6:6×3=18
    7:7×4=28
    8:8×5=40
    9:9×6=54
    10:10×7=70
  • 覇王.4人のうち1人しか精がないとき,覇王といい,精の点を2倍にします.
  • 槓精.精をカンしたら,他の精の点とは別に,他の3人から10点ずつもらえます.この10点には,覇王や冲関の倍は付きません.この10点は,冲関の判定には含めません.また,このカンには,カンの点は付きません.4枚の精の点を,精の点として普通に計算できます.

その他

  • 抄荘のときは,親から他の3人に5点ずつ払います.
  • 流局したら,親に他の3人に5点ずつ払わせる人がいます.

2015年10月2日金曜日

山東済南の麻雀

蘇州,無錫,南京など江蘇省に多い符点に似ているがインフレ度の低い“花”で点数を数えるルールの北限だと思います.花は,上海の現代ルール“清混碰”にも少し姿を止めています.

道具

花牌8枚を加えた144枚.サイコロ2つ.

最初の親は,仮東がサイコロを1度振るなどして決めます.後は,前の手で上がった人が次の親です.流局の場合,前の手の親の下家(右隣)が次の親です.

開門

親が2つのサイコロを1度振ります.2つの目の合計で山を決め,2つのうち小さい方の目で,山を分ける位置を決めます.手牌は13枚です.親は始めに14枚の牌を取ります.

進行

配牌が済んだら,親から順番に,手のすべての花牌をさらし,同じ枚数の牌を山の末尾から補充します.補充牌に花牌があったら,手に花牌がなくなるまで同じようにさらして補充たら,次の人の順番になります.全員が花牌をさらしてから,親は最初の捨て牌を捨てます.
チー・ポン・カンできます.
花牌をツモったら,さらして,山の末尾から牌を補充します.
明楼(ミンロウ).聴牌したとき,手を公開すると,上がったときの点を2倍にできます.このとき,手を変えることはできません.また,ツモ上がりしかできません.明楼のひとが振り込んだときも,点を2倍にします.
山の残りが6列になったら,荒荘(ホァンチュアン,流局)です.上下2枚でなく下の1枚だけの列も1列と数えます.荒荘のときは,次の手の点数が2倍になります.2手荒荘が続いたら次の手は4倍,3手なら8倍と倍々に増えます.上限は5連続以上の32倍です.
上がるには,頭が2か5か8でなければなりません.
2人以上同時には上がれません.この場合,上がり牌を捨てた人から一番順番の近い人の上がりになります(頭ハネ).同時の上がりを認める人もいます.

点数

ツモ上がりなら,他の3人がそれぞれ上がった人に手の点数を払います.振り込みなら,振り込んだ人が上がった人に手の点数を払い,他の2人は何も払いません.
手の点数は,“(底+花)×番数”に明楼と荒荘の倍をかけて計算します.底は1点です.

花は,以下の合計です.上がりで完成した刻子は数えません.

  • 花牌.1枚1花.
  • 字牌.刻子1組1花,明槓1組2花,暗槓1組3花.
  • 数牌.明槓1組1花,暗槓1組2花.


番数は手の形を見ます.符点相当の点の比重が高い点数体系の常として,役は少ないです.
  • 平胡または推倒胡.1番.以下のどれにも当てはまらない手.
  • 碰碰胡.2番.対対胡.
  • 混一色.2番.
  • 一条龍.2番.一気通貫.
  • 槓開.2番.カンか花牌の補充牌での上がり.常にツモ扱いです.
  • 清一色.5番.



  • 3口の包.AがBから3組チー・ポン・カンしたら,AまたはBが上がったとき,もう1人がすべての支払いを肩代わりします.
  • 搶槓(チャンカン).点はツモですが,搶槓された人が1人で3人分を払います.
  • 槓爆(包餃子).捨て牌をカンされてその補充牌で上がられたら,カンされた人は,1人で3人分の点を払います.


その他

跟荘(ケンチャン).1周目に全員が同じ牌を捨てたら,親はあらかじめ決めた点を,他の3人に払います.2周続いたら2倍にします.

2015年10月1日木曜日

湖南長沙の麻雀

カンの補充牌のルールや「鳥」など,日本のローカルルールにも似たギャンブル要素を強調したゲームです.

道具

風と中發白を除いた108枚.サイコロ2つ.

最初の親は,東の席の人がサイコロを1度振るなどして決めます.その後は,前の手で上がった人,流局の場合,海底牌をつかんだ人が次の親です.同時に2人以上上がったときは,振り込んだ人,配牌で2人以上上がったときは,鳥にあたった人が次の親です.誰も海底牌を取らなかったときは,最初に海底牌を取るか取らないか選べた人,海底牌が補充に使われてしまったときは,海底牌を補充に使った人を次の親にします.

開門と配牌

親が2つのサイコロを1度振り,2つの目の合計の位置の山を,小さい方の目だけで分けて,牌を取り始めます.例えば2-5なら,合計は7なので対面の山で,小さい目は2なので2列目と3列目の間に切れ目を作り,親は3列目と4列目を取ります.手牌は13枚です(親は14枚取る).

進行

配牌に特別な上がり型があります.
チー・ポン・カンできます.
暗槓でも4枚を表向きにしてさらします.
2人以上同時に上がれます.
上がりを見逃したら,自分のツモ順まで,見逃した牌では,上がれません.

カンの補充牌

聴牌していれば,カンの補充牌を引くとき,末尾から引くか,サイコロで引く牌を決めるか選べます.サイコロを使うなら,牌の山の末尾を1として時計回りに出目だけ数えた列の一番上の牌(上段,上段がなければ下段)を引きます.サイコロは普通は2つですが,山の残りが12列未満なら1つにしてもよく,6列未満なら必ず1つにします.牌の山が目だけ残っていない場合,末尾から一番遠い列を引きます.サイコロを使ったら,その手の終わりまで,手を変えられません.待ちを変えない暗槓とポンした牌への槓はできます.サイコロを使わないと,補充牌での上がりは普通のツモ上がりで槓上開花になりませんが,上がれなかったとき,捨て牌を自由に選べ,捨て牌で振り込んでも槓上炮にならず,手を自由に変えられます.

海底牌

牌の山を1枚も残さないで使い切ったら流局です.最後の1枚の牌は海底牌といいます.海底牌はツモるか拒むか選べます.拒んだ場合,下家が同じように海底牌をツモるか拒否するか選びます.4人全員が拒否したら流局です.海底牌をツモって上がれなかったら,手牌と入れ替えないでそのまま捨てなければなりません.これで振り込んだら,海底炮になります.
カンの補充牌が海底牌の場合,海底牌は消滅します.カンの補充牌として引いた牌は海底牌とはみなされません.

配牌での上がり

決まった形が配牌にあれば,他の牌の形を問わずに上がれます.点数は,小胡のツモとして扱います.天胡・地胡にはなりません.

  • 四喜.同じ牌4枚がある配牌.
  • 板板胡.2,5,8が1枚もない配牌.
  • 欠一色.どれか一種類の牌がない配牌.
  • 六六順.刻子が2つある配牌.


上がり

七小対と将一色以外は,頭と4組の面子からなる手です.頭が自由でなければ,2か5か8の対子でなければなりません.大胡の頭は全部自由とする人もいます.

小胡


  • 平胡.刻子(槓子)と順子が混じった4面子の手.

大胡


  • ポンポン胡.4面子がすべて刻子(槓子)の手.頭は自由.
  • 七小対.七対子.頭は自由.
  • 豪華七小対.2組の対子に同じ牌を使った七対子.七小対なので頭は自由.
  • 将将胡.14枚すべてが2か5か8の手.4面子も頭も不要で2,5,8ならなんでも上がれる.めちゃくちゃ系の手だが,ポン・カンしてもよい.
  • 清一色.1種類の牌だけからなる手.頭は自由.
  • 全求人.4つポン・チー・明槓して,振込みかツモで上がる.頭は自由とする人と,そうでないとする人がいる.
  • 海底撈月.海底牌でのツモ上がり.頭は手の形による.
  • 海底炮.海底牌での振込み.頭は手の形による.
  • 槓上開花.サイコロで決めたカンの補充牌での上がり.頭は手の形による.
  • 槓上炮.サイコロで決めたカンの補充牌での振込み.頭は手の形による.
  • 搶槓胡.待ち牌を明槓されたら上がれる.ポンした牌へのカンでなければならない.頭は手の形による.
  • 天胡.親の配牌での上がり.頭は手の形による.
  • 地胡.親の第1打牌での子の上がり.頭は手の形による.


扎鳥(チャーニャオ)

上がったら,山の次の牌を表にします.海底牌で上がったときは,海底牌で鳥を選びます.親を1としてサイコロの目と同じように数えた位置の人に鳥が行きます.鳥にあたった人は,受取も支払も2倍にします.

点数

小胡どうしは複合します.小胡と大胡があるときは,大胡だけを数えます.大胡どうしは複合します.複合する点数は,足し合わせます.
ツモは,残りの3人が上がった人に点を払います.振込みは,振り込んだ人が上がった人に点を払い,残りの2人は何も払いません.

  • 小胡は,子どうしは1点,受け取りか支払いが親なら2点.
  • 大胡のツモは,子どうしは3点,受け取りか支払いが親なら4点.
  • 大胡の振込みは,子どうしは6点,受け取りか支払いが親なら7点.


バリエーション


  • (双槓)カンの補充牌をサイコロで選ぶとき,1枚でなく上下2枚の牌を引き,どちらかで上がりなら上がりとする人がいます.両方とも上がりなら,点を2倍にします.振込みも,どちらかで上がれるなら上がりで,両方とも上がりなら,点を2倍にします.
  • (双鳥)鳥で牌を続けて2枚めくる人がいます.どちらの牌にあたる人にも鳥が行きます.海底なら,海底牌1枚で2羽の位置を決めます.払い手ともらい手で鳥が2羽いる場合,点数を3倍にします.
  • (六七片)点数で大胡のツモと振込みを区別しないで,ツモにも振込みの点数を使う人がいます.この採点法を使う場合,大胡はいくつ複合しても大胡1つ分の点しか与えないのが普通です.