2013年11月25日月曜日

1000

ドゥラークプレフェランスと同じように,ロシアや旧ソ連諸国で人気のあるトランプゲームのひとつです.

(2013.11.25) 同じ印のKとQの一方を先手で出すことを単に“ペア”と呼ぶと,出さずに手に持っているだけで成立するように誤解される可能性があるので,一貫して“マリアージュ”と呼ぶようにしました.
(2013.11.26) “リーチ”の記事を書き足しました.
(2013.11.27) カットで3回続けて底のカードが9のとき失点する人は配り手は誤りで,カットした人が正しいです.0勝だけをボルトにする人もいることを書き加えました.
(2013.11.28) プラスマイナス555点になったら0点に戻るルールの名前(ダンプカー)を追記しました.A4枚にマリアージュを認めるバリエーションを追記しました. リーチの点数が880点でないバリエーションは,2人リーチを認めないバリエーションとは無関係なので,記述場所を変えました.
(2013.12.10) 501と32枚のトランプを使うバリエーションを追記しました.
(2013.12.11) マリアージュのときいう言葉はロシア語でもいろいろあるので,マリアージュを告げることが全員に通じれば何でもいいことを明記しました.

人数とトランプ


3人から4人.4人のときは,配り手がゲームから抜けます.4つの印ごとにA(ロシア語ではТ,以下同様),K(К),Q(Д),J(В),10,9の24枚のトランプ.

目的


一番早く1000点以上取ること.

1000点でなく,1001点に到達した人を勝ちとする人がいます.

カードの強弱と点数


カードの強い順は,A,10,K,Q,J,9です.カードの点数は,Aは11点,点数は,10が10点,Kが4点,Qが3点,Jが2点,9が0点です.同じ印のKとQのペアの手役マリアージュの点は,ハートが100点,ダイヤが80点,クラブが60点,スペードが40点です.

カードの配り方


最初の配り手は,1枚ずつカードを引き一番弱いカードを引いた人など,くじ引きで決め,あとは時計回りに交代します.配り手は,右隣の人にカードをカットしてもらってから,左隣が最初,自分が最後になるように,時計回りに,1枚ずつ,ひとり7枚の手札と場に3枚の山札を配ります.3人のときは,山札を最後に配らないようにします.4人のときは,山札を配り手の手札のように配るので,最後に配る1枚は山札です.

カットのあと,配り手は自分に最後に配るカードとなる底のカードを見てもよいとする人がいます.これを認める場合,底のカードが9なら,配り手は,それを全員に見せてから,再カットを求められます.これが3回続いたら,カットした人は,120点を失います.底のカードがJなら,それを全員に見せてから,カードの山の真ん中に戻して,カードを配ります.

カードが出た順番をある程度覚えられる上級者は,最初の手以外は,カードをシャッフルしないで遊ぶことが多いです.

せり


カードとペアで合計何点以上取るかをせります.目標点は5の倍数で,最低は100点です.手にあるペアの点に120点を足した点より大きな点は言えません.配り手の左隣からせりを始めます.配り手の左隣は,手の良し悪しに関係なく100点を言います.時計回り順に,今までに言われた点より5点大きな点を言うか,せりから下ります.下りた人は,同じ手のせりに戻れません.2人が下りたら,せりは終わり,一番大きな点を言った人がせりに勝ちます.

せりで,5点だけでなく,どの5の倍数せりあげてもよいとする人がいます.

黄金週(золотой кон).最初の1周は,配り手の左隣が最低でも120点を宣言しなければならないとする人がいます.黄金週では,スコアシートに記録するとき,カードの点を倍にします.4人のときの配り手がもらう固定点も,倍にします.マリアージュの点も倍にする人もいます.

マイナスのせり.-150,-120,-100など,あらかじめ決めた点を下回ったら,せりで100点以外いえないとする人がいます.

見ず出("в тёмную").手札を見ないでせりに出ることを認める人がいます.これでせりに勝ったら,山札を見せずに取り,スコアシートに記録するとき,カードの点を倍にします.4人のときの配り手がもらう固定点も,倍にします.マリアージュの点も倍にする人もいます.目標が100点の手を見ず出と同じように扱う人がいます.

手札交換


せりに勝った人は,山札を全員に公開してから手札に加え,不要な2枚を1枚ずつ伏せて相手に渡します.このあと,せりに勝った人は,目標点を,せり落とした点より大きい5の倍数に言い直せます.

配り直し


山札と手札交換の後の手札が次のような場合,配り直しにします.配り直しのとき,配り手は変わりません.
  • 手札に9が4枚あるとき.
  • 手札の点数が13点未満のとき.
  • 山札に9が2枚以上あるとき.
  • 山札が4点以下のとき.

手札に9が3枚でも配り直しにする人がいます.配り手の左隣だけ,9が3枚でも配り直しにする人もいます.手札の点数が14,15,16点未満で配り直しにする人もいます.山札が,5点または7点以下のとき配り直しにする人もいます.配り直しが3回続いたら,配り手が120点を失うとする人がいます.

カード勝負


手の最初のカード勝負は目標点を言った人,その後は前のカード勝負に勝った人が先手です.先手は,好きな手札を1枚,表向きにして場に出します.時計回り順に,先手と同じ印の手札,それがなければ切札,それもなければ好きな印の手札を1枚出し,全員が1枚ずつ手札を出したら,1回のカード勝負は終わりです.一番強い切札,切札が出ていなければ,先手の印で一番強いカードを出した人の勝ちです.カード勝負に勝った人は,場に出た3枚のカードの点を得ます.

マリアージュ(марьяж)または祝言(хваль)


カード勝負に勝って得た先手で,同じ印のKとQが手札に残っているとき,全員に分かる表現,例えば,その点数をいうか結婚のお祝いを言ってから,どちらか1枚を出すと,マリアージュ(marriage,フランス語で結婚の意味)の点が得られます.また,そのときから,切札が,そのカップルの印に変わります.手の最初の先手は,カード勝負に勝っていないので,始めは切札はありません. 1手の中で,最大4回切札が変わります.

祝言をあげるときは,KでなくQを出さなければならないとする人がいます.

Aのマリアージュ.カード勝負に勝った後の先手は,手札にAが4枚残っているなら,そのことを告げてAを出すことで,Aのマリアージュの点200点を得るとする人がいます.切札は変わりません.

点数計算


8回のカード勝負が終わったら,全員が,カード勝負で取ったカードの点とマリアージュの点の合計を計算します.目標点を言った人は,カードの点とマリアージュの点で目標点以上取れたら,目標点を得,そうでなければ,目標点を失います.残りの2人は,カードの点とマリアージュの点の合計を一番近い5の倍数に丸めた点を得ます.

4人のときの配り手は,ゲームに参加しませんが, 次の点を得ます.
  • 5点単位に丸めた山札の点
  • 山札で配り直しにならず,山札に祝言をあげたカードがなれけば,固定点(25点か30点が普通)
  • 山札に,祝言をあげたカードの両方か片方があれば,祝言の点

ダンプカー(самосвал).カード勝負後の点数計算の結果,点数がちょうどプラス555点かマイナス555点になったら,点数を0点に戻す人がいます.

リーチ(сидеть на бочке)


点数が880点以上1000点未満になったら,リーチです.ロシア語の表現を直訳すると“樽にすわる”です.リーチの人のスコアシートには,点数を線で囲うか,●を貫く横線を書きます.リーチでは,点数は880点になり,3手の間に,目標点による得点で一気に1000点に到達しなければなりません.リーチのときは,目標を達成したときの点以外の得点は入りません.リーチで失点したら,リーチでなくなります.リーチが3手続いたら,120点失点して,リーチでなくなります.

リーチを880点でなく,900点などにする人もいます.

2人リーチ.2人以上のリーチを認めない人がいます.この場合,2人目がリーチしたら,1人目は,120点を失点してリーチでなくなり,2人同時リーチでは,リーチの全員が120点を失点して,リーチでなくなります.

リーチから3手の間に勝てないことを3回繰り返すと,120点減点でなく,点数を0点に戻す人がいます.

ボルト(болт)


1点もとれなかったらボルトといい,スコアシートに横線を1本書きます.2点を丸めた0点は,ボルトではありません.ボルト3本につき,120点失点します.

カード勝負に1勝もしなかったときだけ,ボルトにする人がいます.ボルトの失点を,黄金週と見ず出で倍にすることがあります.

投了(расписать)


目標点を言った人が,山札を交換したあと,目標を達成できないと考えたら,投了できます.リーチのときは,投了できません.投了したら,相手2人は,それぞれ,60点または目標点の半分を5の倍数に丸めた点のどちらをもらうか,事前に決めます.また,投了した人は,失点なしか,目標点を失点するか,投了3回につき120点を失点するか,事前に決めます.

バリエーションあるいは類似のゲーム

501


目標点は501点,マリアージュの点は,ハートが80,スペードが60,ダイヤが40,クラブが20点です.せりは40点から始めます.切札は,せりに勝った人が,山札を手に入れた後,最初の手札を出す前に指定します.マリアージュで切札は変わりません.

32枚のトランプを使う


4つの印ごとにA(ロシア語ではТ,以下同様),K(К),Q(Д),J(В),10,9,8,7の32枚のトランプを使います.手札を5枚ずつ,山札2枚,手札を5枚ずつと,10枚の手札を3人に配ります.せりは50点から始め,10点ずつせりあげます.配り手の左隣は50を言わなければなりません.せりに勝った人は,山札を全員に見せてから手に入れ,不要な2枚を伏せて捨てます.このとき,最後に言った目標点より高い点を言いなおせます.カード勝負のルール,カードの点,マリアージュの点は同じです.手の最後の10回目のカード勝負に勝った人は10点を得ます.目標点を決めた人は,目標を達成したら,目標点を得,失敗したら,目標点を失います.他の2人は,カード点とマリアージュの点を10に丸めた(四捨五入)点を得ます.

2013年11月9日土曜日

ドゥラークまたは“ばか”の Wikipedia に貢献してみました

日本語版 Wikipedia の今日時点での“ドゥラーク”の内容と,このブログの記事と内容が似ているのは,情報源も,筆者も同じだからです.盗用でも,偶然でもありません.引用元を細かく書けるのは,気分が良い反面,参考文献を示せないルールが書きづらいので,ドゥラークのように公式ルールも,専門の書籍もないゲームには,Wikipediaの規則は辛かったです.

当ブログでは,あえて除外した52枚組のトランプを使ったバリエーションも,ロシア語版Wikipedia から訳出してみました.編集合戦や荒らしがひどくて,信用できる情報かと言われると疑問もあるのですが,他に52枚のバリエーションをまとめた情報源を知りません.それだけ,実際には,レアなのでしょう.